中国の歴史 (講談社)
『中国の歴史』(ちゅうごくのれきし)は講談社から刊行された中国通史の叢書であり、これまで同じタイトルの叢書が3次にわたり刊行されている。
『中国の歴史』(旧版)
[編集]概要
[編集]全10巻、1974年4月から1975年2月に刊行された。一般向けの中国通史シリーズは、1960年代に人物往来社(後の新人物往来社、その後中経出版に吸収された後にKADOKAWAの一部となる)で刊行された『東洋の歴史』(全13巻。2001年に『中国文明の歴史』中央公論新社〈中公文庫〉で再刊)に続くもので、後に各社で刊行される中国通史の嚆矢的な叢書であった。
第1回配本は、第9巻『人民中国の誕生』で、最終回(第10回)配本は、第10巻『目で見る中国の歴史』であった。第8・10巻以外は、講談社学術文庫で新版解説を付け単著再刊された。
巻構成
[編集]カッコ末尾内は当該巻の執筆者(以下同じ)。
- 原始から春秋戦国(貝塚茂樹・伊藤道治)
- 秦漢帝国(西嶋定生)
- 魏晋南北朝(川勝義雄)
- 隋唐帝国(布目潮渢・栗原益男)
- 五代・宋(周藤吉之・中嶋敏)
- 元・明(愛宕松男・寺田隆信)
- 清帝国(増井経夫)
- 近代中国(佐伯有一)
- 人民中国の誕生(野村浩一)
- 目で見る中国の歴史(日比野丈夫)
『図説 中国の歴史』
[編集]- 図版を軸とする大判サイズのシリーズ・全12巻、1976年11月から1977年12月に刊行。
巻構成
[編集]- よみがえる古代(伊藤道治)
- 秦漢帝国の威容(大庭脩)
- 魏晋南北朝の世界(岡崎敬)
- 華麗なる隋唐帝国(日比野丈夫)
- 宋王朝と新文化(梅原郁)
- 遊牧民族国家・元(村上正二)
- 明帝国と日本(山根幸夫)
- 清帝国の盛衰(神田信夫)
- 人民中国への鼓動(小野信爾)
- 中華人民共和国の歩み(安藤彦太郎)
- 東西文明の交流(榎一雄)
- 中国美術の流れ(宮川寅雄)
『中国の歴史』(新版)
[編集]概要
[編集]全12巻で、2004年11月から2005年11月に刊行。編集委員は礪波護・尾形勇・鶴間和幸・上田信。各巻にはさみこみの月報があり、いしいひさいちが4コママンガ「コミカル4000年ツアー」を描いている。
2020年10月から2021年6月に講談社学術文庫で新版刊行。
巻構成
[編集]- 神話から歴史へ(神話時代 夏王朝)宮本一夫
- 都市国家から中華へ(殷周 春秋戦国)平勢隆郎
- ファーストエンペラーの遺産(秦漢)鶴間和幸
- 三国志の世界(後漢 三国時代)金文京
- 中華の崩壊と拡大(魏晋南北朝)川本芳昭
- 絢爛たる世界帝国(隋唐時代)氣賀澤保規
- 中国思想と宗教の奔流(宋朝)小島毅
- 疾駆する草原の征服者(遼 西夏 金 元)杉山正明
- 海と帝国(明清時代)上田信
- ラストエンペラーと近代中国(清末 中華民国)菊池秀明
- 巨龍の胎動(毛沢東VS鄧小平)天児慧
- 日本にとって中国とは何か(対談ほかの共同での論集)
中国語版の刊行
[編集]このシリーズの中国語版は2014年1月に発売され、中国本土でも好評を得て何度も増刷販売され、2014年内だけでも10万セット(中国語版セットは、近代史ほか2巻を除いた10巻目まで)を突破する勢いとなった(なお、元版の日本語版・12巻は値段が高いこともあり各巻平均で1.5万部程度の売れ行きであった)。外国人が書いた中国史の本がこれほど売れることは、中国では珍しいこととされる。中国北京からの漢民族の中国史観のみならず、漢民族以外の中国を構成する周辺民族の歴史的観点をも含めた本書の特徴が、中国人読者の興味を惹いているみられる。近代史ほか最終2巻は、訳・出版の予定はない[1]。
脚注
[編集]- ^ 「日本人が書いた中国史」が現地で大人気 その理由は 朝日新聞、2014年6月25日、2021年9月1日閲覧