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ユーロトラム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユーロトラム
Eurotram
フレキシティ・アウトルック E
Flexity Outlook E
最初の導入先となったストラスブール・トラムのユーロトラム
2015年撮影)
基本情報
製造所 ABBソシミアドトランツボンバルディア・トランスポーテーション
製造年 1994年 - 2004年
運用開始 1994年(ストラスブール・トラム)
投入先 ストラスブール・トラムミラノ市電ポルトメトロ
主要諸元
編成 7車体・9車体連接車
軸配置 Bo 2 Bo Bo(7車体連接車)
Bo Bo 2 Bo Bo(9車体連接車)
軌間 1,435 mm
床面高さ 350 mm(低床率100 %)
主電動機 かご形三相誘導電動機
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。
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ユーロトラム(Eurotram)は、かつて各企業によって生産が実施された路面電車車両。近未来的なデザインが特徴の超低床電車で、フランスストラスブールの路面電車(ストラスブール・トラム)を始めとした各地の都市に導入が実施された[1][2][3][4][5][6][7][8]

概要

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開発までの経緯

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1989年フランスの都市・ストラスブールは、それまで導入が検討されていた案内軌条式旅客輸送システムヴェイキュロトマティクレジェ(VAL)の計画を変更し、代わりに市内に路面電車ライトレール)を導入する事を決定した。その中で、導入車両に関してバリアフリーに適した低床車体ストラスブール駅の地下に乗り入れる際の8 斜路を走行可能な性能、広幅の乗降扉、冷房を含めた空調装置の設置といった条件が打ち出された。そして、複数の企業が参加した入札手続きを経て、ABBソシミが受注を獲得した。そして両者が製造を実施した車両は、欧州議会が所在するストラスブールにちなみ「ユーロトラム」と呼ばれるようになった[1][2][9]

構造

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「ユーロトラム」はモジュール構造を用いた車体を有する路面電車車両で、台車を有する長さが短い車体が、車体が長く片開きの乗降扉を有するが台車を持たない車体を挟み込む形の編成を組む。床上高さは350 mmに抑えられている他、乗降扉下部には車椅子用の収納式スロープも設置可能である。各台車は車軸を持たない独立車輪式で、動力台車は各車輪の外側に設置された水冷式かご形三相誘導電動機によって駆動する。台車の1次ばねには特殊なラジアルアームが、2次ばねには空気ばねが用いられており、曲線走行時の性能向上が図られている。屋根上には電気機器が設置されているが、通常はカバーに覆われている[5][2]

流線形の前面や大きな窓、広幅の乗降扉など近未来的なスタイルを取り入れた車体デザインはベルギーのインダストリアルデザイナーであったフィリップ・ニールマン英語版が手掛けており、それまでの路面電車が持つ古いイメージを一新するものとして高く評価され、後述のように鉄道のみならず自動車のデザインにも影響を与えている[1][10]

製造企業について

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「ユーロトラム」の発注を獲得したのはABBとソシミのコンソーシアムであったが、設計や試作車の製造を実施したソシミは1994年に破産したため、同社が受け持ったストラスブール向け車両の発注分はABBが生産を実施した。その後、ABBは輸送用機器の製造部門をアドトランツに売却し、更に同社がボンバルディア・トランスポーテーション(現:アルストム)に買収された事により、最終的にユーロトラムはボンバルディア・トランスポーテーションが展開する路面電車車両ブランド「フレキシティフレキシティ・アウトルックE英語版)」の1車種として展開された[1][5][2][3][4]

運用

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1994年から営業運転を開始したストラスブールの路面電車(ストラスブール・トラム)を含め、ユーロトラムは以下の都市への導入が実施された。これらに加えてイギリスノッティンガムのライトレール(ノッティンガム・エクスプレス・トランジット)へ導入する計画が存在したが実現せずに終わった[2][3][4][7][8]

ユーロトラム/フレキシティ・アウトルックE 導入都市一覧
都市 編成 運転台 両数 備考・参考
フランス ストラスブール
(ストラスブール・トラム)
7車体連接車 両運転台 36両
9車体連接車 両運転台 17両
イタリア ミラノ
(ミラノ市電)
7車体連接車 片運転台 26両 詳細は「ミラノ市電7000形電車」を参照[11]
ポルトガル ポルト
(ポルトメトロ)
7車体連接車 両運転台 72両 [12]

関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e Strasbourg: Interurban tram strategy strengthens city system”. LRTA (March 2003). 2011年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Strasbourg Light Rail Extension, France”. Railway Technology. 2024年11月16日閲覧。
  3. ^ a b c d Milano Metro Modernisation, Italy”. Railway Technology. 2024年11月16日閲覧。
  4. ^ a b c d Metro do Porto”. Railway Technology. 2024年11月16日閲覧。
  5. ^ a b c d Transportation Research Board 1995, p. 28.
  6. ^ a b Transportation Research Board 1995, p. 8.
  7. ^ a b c Harry Hondius 2022, p. 38.
  8. ^ a b Harry Hondius 2022, p. 40.
  9. ^ 北村秀哉. “LRT:人と環境に優しい交通システム”. エレクトロヒート (日本エレクトロヒートセンター). https://www.jeh-center.org/asset/00032/eh/No151/151_Part8.pdf 2024年11月16日閲覧。. 
  10. ^ a b MOBILIO”. 本田技研工業 (2001年12月21日). 2024年11月16日閲覧。
  11. ^ FLEXITY Outlook – Milan, Italy”. Bombardier Transportation. 2018年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月16日閲覧。
  12. ^ FLEXITY Swift – Porto, Portugal”. Bomardier. 2018年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月16日閲覧。
  13. ^ FLEXITY Trams”. Bombardier. 2015年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月16日閲覧。

参考資料

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  • Transportation Research Board (1995). Report 2: Applicability of Low-Floor Light Rail Vehicles in North America (PDF) (Report). Transit Cooperative Research Program (英語). Washington, D.C.: NATIONAL ACADEMY PRESS. 2024年11月16日閲覧
  • Harry Hondius (2002-7/8). “Rozwój tramwajów i kolejek miejskich (2)”. TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 32-58. http://yadda.icm.edu.pl/yadda/element/bwmeta1.element.baztech-article-BGPK-0379-2650/c/Hondius.pdf 2024年11月16日閲覧。.