トヨタ・センチュリーロイヤル
トヨタ・センチュリーロイヤル GZG51/51W型 | |
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概要 | |
販売期間 |
御料車: 2006年-2007年(納入) 寝台車: 2008年(納入) |
ボディ | |
乗車定員 | 8人 |
ボディタイプ |
4ドアセダン リムジン 5ドアワゴン 寝台車 |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) |
パワートレイン | |
エンジン | 1GZ-FE型 5L V型12気筒 |
変速機 | 6速AT |
前 | ダブルウィッシュボーン式エアサスペンション |
後 | ダブルウィッシュボーン式エアサスペンション |
車両寸法 | |
全長 | 6,155 mm |
全幅 | 2,050 mm |
全高 | 1,780 mm |
車両重量 |
2,920 kg(標準車) 3,270 kg(特装車) |
系譜 | |
先代 |
日産・プリンスロイヤル (御料車として、間接上) |
センチュリーロイヤル(CENTURY ROYAL)は、2006年(平成18年)から2008年(平成20年)までにトヨタ自動車が製作し、宮内庁へ納入したセダン型御料車、およびワゴン型車である。
概要
[編集]国会開会式、全国戦没者追悼式、国賓接遇など、特に格式の高い公式行事で限定的に使用される、宮内庁管理部車馬課が管理する御料車で、一般的な公式行事の行幸啓や私的な外出の際に使用される「トヨタ・センチュリー」とは区別して使用される[1][2]。
トヨタでは同車を先代の御料車である「日産・プリンスロイヤル」と同じく御料車専用車種と位置付け、一般への販売・納入は一切行わない。
1967年(昭和42年)以来、御料車として使用されてきた「日産・プリンスロイヤル」が老朽化のため更新されることとなったが、同車を納入した日産自動車は現行車台をはじめ、御料車に要求される生産要素をめぐる判断から次代の車両納入を辞退した。その後、トヨタが新規車種の納入を提案したことを受け、2005年(平成17年)8月、同社の貴賓・要人向け大型高級車「センチュリー」(2代目 GZG5#型)をベースとした特別生産車「センチュリーロイヤル」の採用が決定した。ちなみに、トヨタ社内での車両開発コードネームは「大きな車」であり、ベース車両とは別物になるほどの改良が加えられている[注釈 1]。
ベース車からの変更点としては、窓の強化防弾ガラス採用や観音開きの側扉、乗車した天皇・皇后や皇族の姿が明瞭に見えるよう拡大された室内高と窓などがある。内装も和紙や毛織物などの素材が使われている(詳細は後述)。
2006年(平成18年)7月7日以降、宮内庁に順次納入され9月28日の臨時国会開会式臨席の際から使用された。当初は、8月15日の全国戦没者追悼式から使用される予定であった。
宮内庁は、当初 プリンスロイヤルの台数と同じ5台の購入を予定していたが、国の財政状況を考慮し、1台減の4台体制となった。4台のナンバープレートは「皇1」、「皇2」、「皇3」、「皇5」であり、このうち「皇2」は寝台車(霊柩車)である。(「皇4」は欠番)
価格は、天皇・皇后が公式行事等で乗車する標準車(「皇1」)で、1台5,250万円(税込)。防弾・装甲性能等が強化された国賓接遇用の特装車(「皇3」「皇5」)で、1台9,450万円(税込)。2007年9月から特装車2両が納入され、翌2008年5月に中華人民共和国の国家主席胡錦濤および夫人が国賓として来日した際から使用された。
前述のとおり、センチュリーロイヤルのベース車は2代目センチュリーであるが、2019年に導入された「皇9」から御料車のベース車が3代目センチュリー(UWG60型)に変更されている。2019年11月10日に行われた即位の礼・祝賀御列(おんれつ)の儀に使用されたオープンカーも3代目センチュリーをベースとして1台だけ製作された特別仕様車であるが、センチュリーロイヤルではない[3]。なお、このオープンカーは「皇10」のナンバープレートを付けて祝賀御列の儀と伊勢神宮内宮への親謁の儀で使用された後は、御料車としての役目を終え内閣府へ移管されており、以後は2020年東京オリンピック後のパレードなどに使用される予定である[4][5]。
構造・機構
[編集]全長6,155 mm、幅2,050 mm、高さ1,780 mm、車両重量2,920 kg(標準車)、8人乗りのリムジンである。その他の変更点は、
- 3列8人乗りとし、車体をストレッチリムジン化(ベース車のセンチュリーは5人乗り)
- 側扉は天皇・皇后・上皇・上皇后・皇族の乗降や案内に資する観音開きを採用し、式典時における沿道からの注目に、後席の天皇・皇后・上皇・上皇后・皇族の姿がより明瞭に見えるよう、後扉窓・扉後方窓の窓を一体的に拡大している。また窓ガラスは強化防弾ガラスが採用されている。
- 内装には、天井に和紙、後部座席に毛織物、乗降ステップに御影石などが使われている。
- 後部座席からの乗降のしやすさを考慮し、室内の床面を可能な限り下げる設計がされている(宮内庁からの設計要求事項の1つ)。
- 前席は革張り・後部座席は布とされているが、これは最高クラスのリムジンとしての伝統的様式に則った艤装[注釈 2]であり、先代の御料車である日産・プリンスロイヤルや、イギリス王室が利用するベントレー・ステートリムジンも同様である。なお一般型のセンチュリーは前後のシートを別素材にすることは出来ない(全て革かウールのどちらか)。
- 後席には伊勢神宮に天皇参拝時に剣璽動座を行う際に皇居から持ち出される、三種の神器の「八尺瓊勾玉」「草那藝之大刀」を安置するための台座が設置できるようになっている。『今上天皇即位後、天皇・皇后は、上皇・上皇后が高輪皇族邸へ移転するまでの当面の間は、赤坂御所にて生活するため、皇居内での儀式に剣璽が必要になる場合はその都度、赤坂御所から持ち出されることになる』などとされているが、詳細な仕様・諸元は公開されておらず、駆動系の変更点は全く不明である。なお初代のセンチュリーにはリムジン仕様が存在した。
ベース車両に関してはセンチュリーを参照。
- 皇1 - 標準仕様。天皇・皇后・上皇・上皇后が乗車。
- 皇2 - 寝台車仕様。2008年(平成20年)に製造され、センチュリーロイヤルとしては最後に製作された車両である。2012年(平成24年)6月に行われた寬仁親王の斂葬の儀にて初使用。リムジンのDピラー部をそのままバックドアまで展張した、6ライトのオーソドックスなデザイン。尾灯のレンズが、リムジンは赤一色であるのに対し、寝台車はクリア(内部で着色LEDが点灯)となっている。
- 皇3・皇5 - 国賓接遇用の特装車。防弾・装甲性能等を強化。アメリカ合衆国大統領とロシア連邦大統領以外[注釈 3]の国賓および信任状奉呈式に向かう新任の各国駐日全権大使が主に乗車(信任状奉呈式は馬車と当車両が選べるため、大半の大使は馬車を希望することが多い)。また地方行幸啓時や伊勢神宮の式年遷宮に伴う親拝時は天皇乗車の御料車には剣璽が同乗するため、皇后は別の御料車に乗る必要があり2台必要となること、(新幹線や飛行機などを使用し、複数の視察先があるなどの場合は車両回送が間に合わないため)及び万が一の故障時に予備車両として使用されることもある。車両総重量が2017年3月12日以降の普通自動車の限度である3,500kgを超えるため、準中型自動車扱いになる。
車名の由来
[編集]- センチュリー(Century)は、ラテン語のケントゥリアを語源とする英単語で「100年」「世紀」を意味する。
- ロイヤル(Royal)は、英語で「王の」「王室の」「威厳ある」「素晴らしい」[6][7]を意味する。
- 先代の御料車「プリンスロイヤル」にならい御料車=〜ロイヤルというイメージの定着。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 御料車について 宮内庁
- ^ 通例として、トヨタ・センチュリーは、公式行事では皇ナンバー車が、私的外出には品川ナンバー車が使用される。
- ^ “価格は8000万円。燃料はわずか338cc。即位記念「祝賀御列の儀」のパレードで使われるトヨタ・新型センチュリーベースのパレードカー”. モーターファン web (2019年11月13日). 2023年4月27日閲覧。
- ^ 【トヨタセンチュリーの御料車も登場】 11月10日(日)は祝賀御列(おんれつ)の儀 - ベストカーWeb
- ^ オープンカーを一般公開 両陛下がパレードで乗車 産経新聞 2019年11月28日
- ^ Cambridge dictionary
- ^ kotobank プログレッシブ英和中辞典(第4版)
参考
[編集]関連項目
[編集]- トヨタ・センチュリー - ベースとなった車両
- 皇室用客車
- 内閣総理大臣専用車 - 内閣総理大臣が使用する専用車(センチュリーとレクサス・LSハイブリッド)
- 日産・プリンスロイヤル
- ランドーレット - パレード用のボディ形式。近年では保安上の問題から、パパモビルのようにガラス張りにすることもある。