オルフェウスとエウリュディケーのいる風景
フランス語: Paysage avec Orphée et Eurydice 英語: Landscape with Orpheus and Eurydice | |
作者 | ニコラ・プッサン |
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製作年 | 1650年頃 |
寸法 | 124 cm × 200 cm (4 ft 1 in × 6 ft 7 in) |
所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『オルフェウスとエウリュディケーのいる風景』(オルフェウスとエウリュディケーのいるふうけい、仏: Paysage avec Orphée et Eurydice, 英: Landscape with Orpheus and Eurydice)は、フランス17世紀の巨匠ニコラ・プッサンが1650年頃に制作したキャンバス上の油彩による風景画である。パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1]。
概要
[編集]主題は古代ローマの詩人オウィディウスの『転身物語』(巻10) から取られている。古代ギリシア最後の詩人であり、音楽家であるオルフェウスがエウリュディケーと婚礼を挙げた直後、「新妻 (エウリュディケー) がナイスたちの群れにつきそわれて草原を散歩していたとき、踵を蛇にかまれて死んでしまう」前の場面が描かれている[2]。
前景で竪琴を弾いているのがオルフェウスで、その音楽には野獣や草木も聞き惚れたという。野原で蛇を見て驚いているエウリュディケー (前景ほぼ中央にいる) は、その蛇に咬まれて死に、冥界に去ってしまう。オルフェウスは妻エウリュディケーを取り戻そうと冥界に下り、自身の音楽で神々や悪魔たちを魅了した末に、妻を地上に連れ帰ることを許される。ただし、地上への帰り道で決して後ろを振り返ってはならないという条件がついていた。ところが地上に出ようとしたとき、エウリュディケーがついてきているかどうか気遣って後ろを振り向いてしまい、エウリュディケーはたちまち冥界に引き戻され、オルフェウスと永遠の別れとなってしまう[3]。
本作は一見のどかな田園風景であるが、悲劇を予感したものとなっている。事実、暗雲が空を覆い始めており、ローマのサンタンジェロ城と思われる左に見える城からは黒煙が立ち上り、不吉さを漂わせている。画面中央にある川は、生と死を隔てる忘却の川レーテー (地下の冥界を七重に取り巻いて流れ、生者の領域と死者の領域とを峻別しているというステュクスの支流) であるのかもしれない。エウリュディケーが蛇に咬まれるやいなや、この情景は暗転して死の国になるのである[3]。
1624年にパリからローマに戻ったプッサンの作品では風景がだんだん重要な位置を占めていく[3]が、本作の描写には不均衡が見られる。すなわち後景の山並み、城、前景右手の土手などは丹念に明暗を強調して描きこまれているのに対し、左側の土手、その上の花の描写は粗野で、左下隅の道も不明瞭で未完成に近い[2]。
脚注
[編集]- ^ ルーヴル美術館美術館公式サイトの本作の解説 (フランス語) [1] 2022年11月29日閲覧
- ^ a b カンヴァス世界の大画家 14 プッサン、1984年刊行、78頁、ISBN 4-12-401904-1
- ^ a b c NHKルーブル美術館VI フランス芸術の華、1985年刊行、51頁 ISBN 4-14-008426-X
外部リンク
[編集]- 本作に関するルーヴル美術館のサイト (フランス語) [2]