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聖カタリナの神秘の結婚 (プッサン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『聖カタリナの神秘の結婚』
フランス語: Le Mariage mystique de sainte Catherine
英語: The Mystic Marriage of Saint Catherine
作者ニコラ・プッサン
製作年1628-1629年
種類オーク板上に油彩
寸法126 cm × 168 cm (50 in × 66 in)
所蔵スコットランド国立美術館エジンバラ

聖カタリナの神秘の結婚』(せいカタリナのしんぴのけっこん、: Le Mariage mystique de sainte Catherine: The Mystic Marriage of Saint Catherine)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンが1628-1629年ごろに油彩で制作した絵画で、プッサンの絵画としては例外的にキャンバスではなく、5枚のオーク板上に描かれている[1] 。主題は、イエス・キリスト聖カタリナの神秘の結婚 (解説)英語版である。作品は1973年以来、エジンバラスコットランド国立美術館に所蔵されている[1]

作品

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プッサン『聖チェチリア』 (1625年ごろ)、プラド美術館マドリード

アレクサンドリアのカタリナは、4世紀にキリスト教徒としてエジプト洗礼を受けた[1][2]。彼女に求婚を拒否されたローマ皇帝マクセンティウスは、当時最高の賢者を50人招集し、彼女が信仰を捨てるよう説得することを命じた。ところが、カタリナの学識は逆に彼らをキリスト教改宗させるほど卓越していた。牢獄に幽閉しても奇跡で守られる彼女に皇帝は業を煮やし[2]、刃を仕込んだ大きな車輪で彼女を引き裂き、処刑するよう命じる。しかし、車輪は奇跡的に壊れ、後にカタリナは斬首された[1][2]シュロの枝とは彼女の殉教象徴する[1]

画面には、8人の人物があたかも古代のフリーズ彫刻のように横一面に表されている[1]。左側の聖母マリアは赤い衣服と青いマントを身に着け、膝に幼子イエス・キリストを抱いている。イエスは、聖カタリナの指に指輪をはめている。彼女の背後には、聖カタリナの殉教で使われた剣を持った天使がいる。 聖カタリナの左側には、彼女とイエスの神秘の結婚を目撃している他の2人の天使がいる。聖母の背後には2人の幼い天使がおり、そのうちの1人は手にシュロの枝を持っている[1]美術史家ジョン・スミス英語版が1837年に述べたところによると、「この絵画は、色彩の点で非常に豊潤で調和がある」。豊かな色彩の衣服および堅固な人物像は、イタリアルネサンスの巨匠ラファエロティツィアーノの影響を示している[1]。なお、聖カタリナの顔は、プッサンの『聖チェチリア』 (1625年ごろ、プラド美術館マドリード) 中のチェチリアの顔と同じものである[3]

来歴

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本作は、1657年に死去したカッシアーノ・ダル・ポッツォ英語版に所有されていた。後の1786年には、前年に死去したハンフリー・モーリス英語版から、ジョン・アシュバーナム (第2代アシュバーナム伯爵) により購入された。19世紀には何度かクリスティーズ競売にかけられたが、1886年にはハーバート・クック英語版卿に取得された。その後、第4代準男爵フランシス・クック卿 英語版に継承されたが、彼は1946年に本作と家族の美術コレクションの多くを売却した。次いで、作品はデヴォンにあるティヴァートン (Tiverton) の初代準男爵ジョン・ヒースコート=アモリー英語版の所有となったが、彼の死後の1973年にスコットランド国立美術館に遺贈された[1]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i NG 2319”. スコットランド国立美術館公式サイト (英語). 2024年10月21日閲覧。
  2. ^ a b c 「聖書」と「神話」の象徴図鑑 2011年、158頁。
  3. ^ Saint Cecilia”. プラド美術館公式サイト (英語). 2024年10月20日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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