幼児虐殺 (プッサン)
フランス語: Le massacre des Innocents 英語: The Massacre of the Innocents | |
作者 | ニコラ・プッサン |
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製作年 | 1625-1632年 |
寸法 | 147 cm × 171 cm (58 in × 67 in) |
所蔵 | コンデ美術館、シャンティイ |
『幼児虐殺』(ようじぎゃくさつ、仏: Le massacre des Innocents、英: The Massacre of the Innocents )は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンによって1625-1632年に描かれた、新約聖書の主題に基づいたキャンバス上の油彩画である。シャンティイにあるコンデ美術館に所蔵されている[1]。
概要
[編集]本作の注文主は、ローマの収集家ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニであったと思われる[2]。おそらく、1564年に彼の子供たちがオスマントルコ帝国の捕虜になった悲劇を記念して依頼されたものである。当時プッサンはまだローマでは名が知られておらず、著名な収集家ジュスティニアーニからの受注により自身の名を広めようとしたのであろう。作品は1804年までジュスティニアーニ宮殿にあったが、その年にリュシアン・ボナパルト によって購入された。その後、何人かの所有者を経て、1854年にロンドンでアンリ・ドルレアン (オマール公) に購入され、コンデ美術館の所有となった[1]。
作品の主題は、新約聖書のマタイによる福音書 (II-16∼18) に描かれている幼児虐殺の場面である。ヘロデ王はイエス・キリストが生まれたことを知り、やがてキリストがユダヤの王になることを恐れ、「ベツレヘムとその付近の地方とにいる2歳以下の男の子をことごとく殺した。・・・叫び泣く大いなる悲しみの声がラマで聞こえた」と記述されている[2]。
様式的には、前景の人物を思い切ってクローズ・アップすることで激越な悲劇性を強調している。今には殺されようとしている赤子にハイライトを当て、イタリアのバロック絵画の巨匠カラヴァッジョ的な演出が意識されている。プッサンはボローニャの国立絵画館にあるグイド・レーニの同主題の作品に対抗しているが、グイド・レーニの作品に描かれている多数の人物を前景では主要3人に絞り、それによって非常に劇的な力強さを生み出している[1]。
作品の背景にはコリント式の柱頭やオベリスクが見られるヘロデ王の宮殿があるが、その宮殿は前景と平行に描かれている。中景と遠景にはやはり前景に平行に人物が描かれているが、それらの人物も床による線遠近法とともに前景、中景、遠景の奥行きを示し、幾何学的な計算がうかがえる。人物の動きに満ちたポーズにはバロック的な造形が見られるが、こうした構図的な配慮にはプッサンらしい秩序への指向が現れており、本作には画家の後期のより古典主義的な作風への過度的性格が読み取れる[2]。
脚注
[編集]外部リンク
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