アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)
『アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)』 | ||||
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ブライアン・フェリー の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1974年 ロンドン アイランド・スタジオ ランポート・スタジオ AIRスタジオ | |||
時間 | ||||
レーベル |
アイランド・レコード アトランティック・レコード | |||
プロデュース | ブライアン・フェリー、ジョン・パンター | |||
ブライアン・フェリー アルバム 年表 | ||||
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『アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)』(Another Time, Another Place)は、イングランドのロック・ミュージシャンのブライアン・フェリーが、ロキシー・ミュージックに在籍していた1974年に発表した2作目のソロ・アルバムである[1][2]。
解説
[編集]経緯
[編集]録音は1974年春にロンドンのアイランド・レコードのスタジオ、ランポート・スタジオ、AIRスタジオで行なわれた。プロデューサーはフェリーとジョン・パンター[注釈 1]。フェリー(ヴォーカル、キーボード)、ジョン・ポーター[注釈 2](ギター)、ロキシー・ミュージックのポール・トンプソン(ドラムス)、元キング・クリムゾンのジョン・ウェットン[注釈 3](ベース)を中心に、数多くのミュージシャンが参加した[注釈 4]。
内容
[編集]本作は前作『愚かなり、わが恋』[注釈 5]と同じく主にカバーで構成され、収録曲10曲のうち9曲が「煙が目にしみる」(1935年)や「ユー・アー・マイ・サンシャイン」(1940年)からボブ・ディラン[注釈 6]、アイク&ティナ・ターナー、クリス・クリストファーソンの楽曲まで、幅広く選曲された。残る1曲はアルバムのタイトル曲でもあるフェリー作の新曲「アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつか、どこかで)」で、彼のオルガン・ソロが披露されている。
5月、シングル『ジ・イン・クラウド』[3]が発表され、全英シングルチャートで最高位13位を記録[4][5]。本作はイギリスでは7月5日に発表され、全英アルバムチャートで最高位4位を記録してチャートに6か月間留まった[6]。
同年12月、彼はニューカッスル、バーミンガム、ロンドンで初のソロ・コンサートを開き、本作から「アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつか、どこかで)」「フィンガーポピン」「煙が目にしみる」「ジ・イン・クラウド」を披露した[注釈 7][7][8]。さらに彼は、1975年から1976年にかけて行なわれたロキシー・ミュージックのツアーで「ジ・イン・クラウド」を取り上げた[注釈 8][9][10][11]。
収録曲
[編集]- LP
- CD
# | タイトル | 作詞・作曲 | オリジナル | 時間 |
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1. | 「ジ・イン・クラウド(The 'In' Crowd)」 | Billy Page | ドビー・グレイ、アルバム"Dobie Gray Sings for 'In' Crowders That 'Go Go'"(1965年) | |
2. | 「煙が目にしみる(Smoke Gets in Your Eyes)」 | Jerome Kern, Otto Harbach | Gertrude Niesen with Ray Sinatra and his Orchestra、シングル(1933年) | |
3. | 「ウォーク・ア・マイル・イン・マイ・シューズ(Walk a Mile in My Shoes)」 | Joe South | ジョー・サウス、アルバム"Don't It Make You Want To Go Home"(1970年) | |
4. | 「ファニー・ハウ・タイム・スリップス・アウェイ(Funny How Time Slips Away)」 | Willie Nelson | Billy Walker、シングル(1961年) | |
5. | 「ユー・アー・マイ・サンシャイン(You Are My Sunshine)」 | Jimmie Davis, Charles Mitchell | Jimmie Davis with Charles Mitchell's Orchestra、シングル(1940年) | |
6. | 「ワンダフル・ワールド((What A) Wonderful World)」 | Sam Cooke, Herb Alpert, Lou Adler | サム・クック、シングル(1960年) | |
7. | 「悲しきベイブ(It Ain't Me Babe)」 | Bob Dylan | ボブ・ディラン、アルバム『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』(1964年) | |
8. | 「フィンガーポピン(Fingerpoppin')」 | Ike Turner | アイク&ティナ・ターナー、シングル(1965年) | |
9. | 「ひとりぼっちの夜(Help Me Make It Through the Night)」 | Kris Kristofferson | クリス・クリストファーソン、アルバム"Kristofferson"(1970年) | |
10. | 「アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつか、どこかで)(Another Time, Another Place)」 | Bryan Ferry | 本作 | |
合計時間: |
参加メンバー
[編集]- Bryan Ferry – Voices & Keyboards
- John Porter – Guitar
- Paul Thompson – Drums
- John Wetton – Bass
- soloists
- Bryan Ferry – Harmonica & Organ
- Henry Lowther – Trumpet
- Chris Mercer – Tenor Sax
- David O'List – Guitar
- Ruan O'Lochlainn – Alto Sax
- John Porter – Guitar
- Chris Pyne – Trombone
- John Wetton – Fiddle
- also featuring
Tony Carr, Tony Charles, Don Cirilo, Paul Cosh, Geoff Daly, Martin Drover, Bob Efford, Malcolm Griffiths, Jimmy Hastings, Morris Pert, John Punter, Alf Reece, Peter Robinson, Ronnie Ross, Bruce Rowlands, Steve Saunders, Alan Skidmore, Winston Stone, Mark Warner.
- chorus
Vicki Brown, Helen Chappelle, Barry St. John, Liza Strike
- Strings arranged by Ann Odell
- Brass arranged by Martyn Ford
- Cover Concept – Bryan Ferry
- Photography – Eric Boman
- Design – Nicholas De Ville
- Artworks – Bob Bowkett at C.C.S.
- Fashion – Anthony Price
- Media Consultant – Simon Puxley
- Special Thanks to: Virginia Riggs, Ann Bell, Manolo Blahnik, Jeremy Railton
- Engineer – John Punter assisted by Rhett Davies, Mark Dodson, Gary Edwards and Sean Milligan
- Produced by – Bryan Ferry and John Punter
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 前作『愚かなり、わが恋』に引き続いて務めた。
- ^ フェリーが1960年代にニューカッスル大学に在学中に結成したザ・ガス・ボード(The Gas Board)のメンバー。ロキシー・ミュージックのセカンド・アルバム『フォー・ユア・プレジャー』(1972年)に客演してベースを演奏。前作でも『愚かなり、わが恋』では、フェリー、パンターと共にプロデューサーを務めたほか、ベースとギターを演奏した。
- ^ 同年にキング・クリムゾンが解散した後、本作の制作に参加。後日、同じEGレコードに所属するロキシー・ミュージックのツアーに準メンバーとして参加した。
- ^ 元ザ・ナイスで、ロキシー・ミュージックの2代目ギタリストだったデヴィッド・オリストを含む。
- ^ 全13曲がカバー。
- ^ 前作の「はげしい雨が降る」に続いて「悲しきベイブ」を取り上げた。彼は後年、アルバム『フランティック』(2002年)、『ディラネスク』(2007年)で、さらにディランの曲を数多く取り上げた。
- ^ 12月19日にロイヤル・アルバート・ホールで行なわれたロンドン公演の模様は、2020年にCD"Live At The Royal Albert Hall 1974"として発表された。
- ^ 1976年1月27日のストックホルム公演をSR International – Radio Swedenが収録して放映した約45分の番組が、同年12月30日にNHK総合テレビジョンの『ヤング・ミュージック・ショー』で放映され、同曲も含まれた。
出典
[編集]- ^ Buckley (2004), pp. 165, 166–167, 169–171.
- ^ Thompson (2022), pp. 70–72.
- ^ “Discogs”. 2024年11月10日閲覧。
- ^ Buckley (2004), p. 170.
- ^ Thompson (2022), p. 66.
- ^ Buckley (2004), p. 171.
- ^ “Discogs”. 2024年11月9日閲覧。
- ^ Thompson (2022), pp. 80–82.
- ^ “ヤング・ミュージック・ショー ―ロキシー・ミュージック&フリートウッド・マック― | NHKクロニクル | NHKアーカイブス”. 日本放送協会. 2022年7月24日閲覧。
- ^ Buckley (2004), p. 199.
- ^ 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年、386頁。ISBN 978-4795843622。
引用文献
[編集]- Buckley, David (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music. London: Andre Deutsch. ISBN 0-233-05113-9
- Thompson, Dave (2022). Roxy Music in the 1970s. London: Sonic Bond Publishing. ISBN 978-1-78952-180-1