コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

愚かなり、わが恋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『愚かなり、わが恋』
ブライアン・フェリースタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年6月
イングランドの旗 ロンドン AIRスタジオ
時間
レーベル イギリスの旗 アイランド・レコード
アメリカ合衆国の旗 アトランティック・レコード
プロデュース ブライアン・フェリー、ジョン・ポーター、ジョン・パンター
ブライアン・フェリー アルバム 年表
愚かなり、わが恋
(1973年)
アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)
(1974年)
テンプレートを表示

愚かなり、わが恋』(These Foolish Things)は、イングランドロックミュージシャンブライアン・フェリーが、ロキシー・ミュージックに在籍していた1973年に発表した初のソロ・アルバムである[1][2]

解説

[編集]

経緯

[編集]

録音は1973年6月にロンドンAIRスタジオで行なわれた。プロデューサーはフェリー、ジョン・ポーター[注釈 1]ジョン・パンター[注釈 2]。フェリー(ヴォーカル、ピアノ)、ポーター(ギター、ベース)の他、ロキシー・ミュージックのポール・トンプソン(ドラムス)とエディ・ジョブソン[注釈 3](キーボード、バイオリン)、デヴィッド・スキナー[注釈 4](ピアノ)らが演奏に参加した。

内容

[編集]

フェリーはそれまでに発表されたロキシー・ミュージックの2作のアルバムを自作で埋め尽くした[注釈 5]が、対照的に初のソロ・アルバムを全てカバーで構成した。収録曲にはスタンダートの「愚かなり、我が恋」(1935年)からローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」(1968年)まで、幅広い領域に渡る楽曲が取り上げられた。

同年9月、ボブ・ディランの「はげしい雨が降る」がシングル発表され[3]、10月に全英シングルチャートで最高位10位を記録した[4]。本作はイギリスでは10月に発表され、全英アルバムチャートの最高位5位を記録してチャートに42週間留まった[5]

翌1974年、彼は7月に次作『アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)』を発表した後、12月にニューカッスルバーミンガム、ロンドンで初のソロ・コンサートを開いた。本作からは「悪魔を憐れむ歌」「わすれたいのに」「ベイビー・アイ・ドント・ケア」「ドント・ウォーリー・ベイビー」「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」「ユー・ウォント・シー・ミー」「はげしい雨が降る」「愚かなり、我が恋」を披露した[注釈 6][6][7]。さらに彼は、「はげしい雨が降る」をロキシー・ミュージックの1975年のツアー[注釈 7][8][9][10]や1977年のソロ・ツアー[注釈 8][11][12]でも取り上げた[注釈 9]

収録曲

[編集]
LP
Side One
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.はげしい雨が降る(A Hard Rain's a-Gonna Fall)」Bob Dylanボブ・ディラン、アルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(1963年)
2.「リヴァー・オブ・ソルト(River of Salt)」Irving Brown, Bernard Zackery, Jan ZackeryKetty Lester、アルバム"Love Letters"(1962年)
3.「ドント・エヴァー・チェンジ(Don't Ever Change)」Gerry Goffin, Carole KingThe Crickets、シングル(1962年)
4.「心のかけら(Piece of My Heart)」Jerry Ragovoy, Bert BernsErma Franklin、シングル(1967年)
5.「ベイビー・アイ・ドント・ケア(Baby I Don't Care)」Jerry Leiber, Mike Stollerエルヴィス・プレスリー、EP『監獄ロック』(1957年)
6.涙のバースデイ・パーティ(It's My Party)」Walter Gold, John Gluck Jr., Herb Weinerレスリー・ゴーア、シングル(1963年)
7.「ドント・ウォーリー・ベイビー(Don't Worry Baby)」Brian Wilson, Roger Christianザ・ビーチ・ボーイズ、アルバム『シャット・ダウン・ヴォリューム2』(1964年)
合計時間:
Side Two
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil)」Mick Jagger, Keith Richardローリング・ストーンズ、アルバム『ベガーズ・バンケット』(1968年)
2.トラックス・オブ・マイ・ティアーズ(The Tracks of My Tears)」Smokey Robinson, Warren Moore, Marvin Tarplinザ・ミラクルズ、アルバム"Going to a Go-Go"(1965年)
3.ユー・ウォント・シー・ミー(You Won't See Me)」John Lennon, Paul McCartneyビートルズ、アルバム『ラバー・ソウル』(1965年)
4.わすれたいのに(I Love How You Love Me)」Barry Mann, Larry KolberThe Paris Sisters、シングル(1961年)
5.「ラヴィング・ユー・イズ・スウィーター・ザン・エヴァー(Loving You Is Sweeter Than Ever)」Ivy Jo Hunter, Stevie Wonderフォー・トップス、アルバム"On Top"(1966年)
6.「愚かなり、わが恋(These Foolish Things)」Jack Strachey, Eric Maschwitz, Harry Linkスタンダード
合計時間:
CD
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.はげしい雨が降る(A Hard Rain's a-Gonna Fall)」Bob Dylanボブ・ディラン、アルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(1963年)
2.「リヴァー・オブ・ソルト(River of Salt)」Irving Brown, Bernard Zackery, Jan ZackeryKetty Lester、アルバム"Love Letters"(1962年)
3.「ドント・エヴァー・チェンジ(Don't Ever Change)」Gerry Goffin, Carole KingThe Crickets、シングル(1962年)
4.「心のかけら(Piece of My Heart)」Jerry Ragovoy, Bert BernsErma Franklin、シングル(1967年)
5.「ベイビー・アイ・ドント・ケア(Baby I Don't Care)」Jerry Leiber, Mike Stollerエルヴィス・プレスリー、EP『監獄ロック』(1957年)
6.涙のバースデイ・パーティ(It's My Party)」Walter Gold, John Gluck Jr., Herb Weinerレスリー・ゴーア、シングル(1963年)
7.「ドント・ウォーリー・ベイビー(Don't Worry Baby)」Brian Wilson, Roger Christianザ・ビーチ・ボーイズ、アルバム『シャット・ダウン・ヴォリューム2』(1964年)
8.悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil)」Mick Jagger, Keith Richardローリング・ストーンズ、アルバム『ベガーズ・バンケット』(1968年)
9.トラックス・オブ・マイ・ティアーズ(The Tracks of My Tears)」Smokey Robinson, Warren Moore, Marvin Tarplinザ・ミラクルズ、アルバム"Going to a Go-Go"(1965年)
10.ユー・ウォント・シー・ミー(You Won't See Me)」John Lennon, Paul McCartneyビートルズ、アルバム『ラバー・ソウル』(1965年)
11.わすれたいのに(I Love How You Love Me)」Barry Mann, Larry KolberThe Paris Sisters、シングル(1961年)
12.「ラヴィング・ユー・イズ・スウィーター・ザン・エヴァー(Loving You Is Sweeter Than Ever)」Ivy Jo Hunter, Stevie Wonderフォー・トップス、アルバム"On Top"(1966年)
13.「愚かなり、わが恋(These Foolish Things)」Jack Strachey, Eric Maschwitz, Harry Linkスタンダード
合計時間:

参加メンバー

[編集]


  • Phil Manzanera – Guitar Solo (CD #10)
  • John Punter – Additional Drums (CD #7, #8)
  • Ruan O'Lochlainn – Alto Solo (CD #11)
  • Robbie Montgomery – Backing Vocals (CD #1, #8)
  • Jessie Davis – Backing Vocals (CD #1, #8)
  • The Angelettes – Backing Vocals (CD #2–7, #9–13)



  • Engineers – John Punter & Steve Nye
  • Assistant – Andy Arthurs
  • Majordomo – Christian Wainwright
  • Produced by – Bryan Ferry, John Porter & John Punter

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ フェリーが1960年代にニューカッスル大学に在学中に結成したザ・ガス・ボード(The Gas Board)のメンバー。ロキシー・ミュージックのセカンド・アルバム『フォー・ユア・プレジャー』(1972年)に客演してベースを演奏。後にザ・スミスデビュー・アルバムをプロデュースした。
  2. ^ 後にジャパンなどのプロデューサーを務めた。
  3. ^ ブライアン・イーノの後任としてロキシー・ミュージックに加入したばかりだった。
  4. ^ 1979年に再結成したロキシー・ミュージックの準メンバーに迎えられ、日本公演にも参加した。
  5. ^ 本作発表後に発表した3作目のアルバムからは、メンバーと数曲を共作するようになった。
  6. ^ 12月19日にロイヤル・アルバート・ホールで行なわれたロンドン公演の模様は、2020年にCD"Live At The Royal Albert Hall 1974"として発表された。
  7. ^ 1976年1月27日のストックホルム公演をSR International – Radio Swedenが収録して放映した約45分の番組が、同年12月30日にNHK総合テレビジョンの『ヤング・ミュージック・ショー』で放映され、同曲も含まれた。
  8. ^ ツアーは1977年2月初旬から同年7月末まで行なわれた。同曲は6月の初の日本公演でも披露され、渋谷のNHK放送センターの101スタジオで行なわれた総合テレビジョンの『ヤング・ミュージック・ショー』の公開録画でも演奏された。放送日は同年9月10日。
  9. ^ さらに彼は『アナザー・タイム、アナザー・プレイス (いつかどこかで)』では「悲しきベイブ」、アルバム『フランティック』(2002年)では「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」と「くよくよするなよ」を取り上げ、2007年には全収録曲がディランの楽曲であるアルバム『ディラネスク』を発表した。

出典

[編集]
  1. ^ Buckley (2004), pp. 140–144, 146, 147.
  2. ^ Thompson (2022), pp. 46–50.
  3. ^ Discogs”. 2024年11月10日閲覧。
  4. ^ Buckley (2004), p. 141.
  5. ^ Buckley (2004), p. 146.
  6. ^ Discogs”. 2024年11月9日閲覧。
  7. ^ Thompson (2022), pp. 80–82.
  8. ^ ヤング・ミュージック・ショー ―ロキシー・ミュージック&フリートウッド・マック― | NHKクロニクル | NHKアーカイブス”. 日本放送協会. 2022年7月24日閲覧。
  9. ^ Buckley (2004), p. 199.
  10. ^ 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年、386頁。ISBN 978-4795843622 
  11. ^ nhk.or.jp”. 2023年11月4日閲覧。
  12. ^ 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年、422-428頁。ISBN 978-4795843622 

引用文献

[編集]
  • Buckley, David (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music. London: Andre Deutsch. ISBN 0-233-05113-9 
  • Thompson, Dave (2022). Roxy Music in the 1970s. London: Sonic Bond Publishing. ISBN 978-1-78952-180-1