SAKANAQUARIUM 光 ONLINE
『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』は日本のロックバンド・サカナクションが2020年8月15日および16日に開催したオンライン・ライブ、およびその模様を収録した映像作品の名前である。
背景
[編集]サカナクションは2019年8月26日に7枚目のアルバム『834.194』をひっさげたホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」の開催を発表し[1]、12月27日にはぴあアリーナMMおよび大阪城ホールでの追加公演も発表された[2]。しかし2019年末から世界で流行している新型コロナウイルスの感染拡大を受け、行程の中盤にあたる2020年2月29日の石川公演以降の公演を延期せざるを得なくなり[広報 1]、最終的にはアリーナの追加公演を含めた残りの公演全てを中止することとなった[広報 2]。そんな中、2020年7月17日にバンドはホールツアーの代替企画としてバンド史上初となるライブストリーミング公演「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」の開催を発表した[3]。
オンライン・ライブ
[編集]SAKANAQUARIUM 光 ONLINE | ||||
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サカナクション の オンライン・ライブ・ツアー | ||||
場所 | シミズオクト 千葉スタジオ | |||
初日 | 2020年8月15日 | |||
最終日 | 2020年8月16日 | |||
公演数 | 2 | |||
ウェブサイト | SAKANAQUARIUM 光 ONLINE | |||
サカナクション ツアー 年表 | ||||
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映像外部リンク | |
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サカナクション / ONLINE LIVE「SAKANAQUARIUM 光」Official Trailer | |
サカナクション / モス(SAKANAQUARIUM 2019"834.194") |
新型コロナウイルスの影響で約半数の公演が開催中止となったホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」の代替企画として、バンド史上初となるライブストリーミング公演『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』の開催が7月17日に発表された[広報 3]。公演は2020年8月15日、16日の二日間に渡って配信され[4]、ファンクラブ会員限定の初日の公演はイープラスの「Streaming+」でのみ、一般公開の二日目の公演は「Streaming+」に加えローソンチケットの「ローチケ LIVE STREAMING」、チケットぴあの「PIA LIVE STREAMING」、LINEの「LINE LIVE-VIEWING」で配信された[広報 4]。監督は田中裕介が「834.194 光」ツアーから引き続いて務めた[5]。
配信日 | 配信会場 | 備考 |
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8月15日 | シミズオクト 千葉スタジオ | 公式ファンクラブ会員限定配信 |
8月16日 | 一般配信 |
2日間の配信を購入した人にはいくつかの購入特典が用意された。本番やリハーサル風景を撮影した写真や映像を公開しているページ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE解剖書」のアクセス権利に加え、山口・江島・監督の田中裕介・音響の佐々木幸生・浦本雅史によるオーディオコメンタリー配信、山口によるアコースティックライブ&トーク&クッキングショー配信が企画された。オーディオコメンタリー配信は2020年10月3日に配信され、山口によるアコースティックライブ配信は当初2020年10月24日に配信予定であったが、山口の体調不良により2021年1月6日に振り替えられた。
配信における演出・曲目
[編集]本公演はあらかじめ収録した映像の配信ではなく、二日とも演奏や演出含めすべて生で行われた。配信の音響システムにはドイツの企業「KLANG:technologies」による3Dサウンドが採用された。イヤーモニターのミキシング用に開発されたテクノロジーだが、日本のロックバンドでこのシステムを使用したのはサカナクションが初となる[6]。本番のオペレートは普段のサカナクションのライブで音響オペレートを担当しているAcousticの佐々木幸生が担当した[6]。
映像は2019年のサラウンドツアーの映像作品と同様、シネマスコープサイズで制作された。
基本的なライブの構成は2020年のホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」を引き継いだものとなっている。大きく分けて2部構成となっており、前半の白い幕で覆われた直方体の中でミドルテンポの曲やスローテンポの曲を中心にパフォーマンスを行う「深海・中層」セクションと、後半の幕を取り払った広いステージの中でアップテンポな曲を中心にパフォーマンスを行う「浅瀬」セクションに分かれている。このホールツアーでの演出に加え今回のオンライン公演では、「浅瀬」セクションの冒頭に演奏される「陽炎」でスナックのセットを用いた演出が新たに追加された。
メンバーの衣装は三田真一によるスタイリングで頭から足までのほぼ全てを白を基調としたものに揃えられており、前年の「暗闇」公演で着用した黒い衣装とは対照的なものとなっている。
「深海・中層」セクション
[編集]床・上手・下手・奥を白い幕で覆われた舞台上で演奏が行われる。序盤はスチームが焚かれているため、照明の光の散乱でメンバーの表情はあまり見えず幻想的な印象を与える。このセクションではステージで上手・下手・奥の三面に映像を投映したり、配信上でカメラ画とオイルアートのVTRをディゾルブで切り替えたりするなど映像による演出が積極的に用いられている。また舞台上部からのレーザーによる演出も特徴的である。
「浅瀬」セクション
[編集]通常のワンマンライブでのステージに近い、空間の広がりを活かした演出の元で演奏が行われる。照明のオペレートは普段のライブ同様、平山和裕が担当している。
スナックひかり
[編集]ライブ中盤に演奏された「陽炎」の演出で、レトロな出で立ちのスナックのセットが登場した。この曲の演奏中のみ山口は他のメンバーがいる場所から離れこのスナックの中で歌う。セットの中には著名人のサインが飾られているが、これは山口が実際に直接オファーをし集められた本物であり、橋本環奈、水川あさみ、日本テレビ系列『スッキリ』の出演者である極楽とんぼの加藤浩次、ハリセンボンの近藤春菜、アナウンサーの水卜麻美に加え川谷絵音のサインが登場した。
ライブストリーミング公演のセットリスト
[編集]ライブ映像は屋外の自動販売機の前でスマートフォンを見つめる山口のカットからスタートする。空き缶をゴミ箱に捨ててから山口が歩き初め、徐々に演奏の音が大きくなるのと平行して山口もイヤモニの装着など歌う準備を歩きながら進めていき、屋内のステージに到着すると即座にライブのロゴが表示され、一曲目の演奏が開始する。
- M0 - タイムパラドックス
- 2019年のサラウンドツアーのオープニングSEとグッドバイのアウトロ部分の合唱がミックスした楽曲。ホールツアー"834.194 光"でもこの曲が初めに演奏された。
- M1 - グッドバイ
- オープニング曲からシームレスで演奏が始まる。ステージのセット内に蒸気が満たされた空間の中で演奏が行われた。
- M2 - マッチとピーナッツ
- オイルアートやピーナッツの皮を剥く映像やマッチをこする映像がメンバーを取り囲む白い箱に投映されたり、配信上でディゾルブで表示されたりする演出が行われた。投映された映像にはエモン久瑠美が出演した。
- M3 - 「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」
- ミラーボールとレーザーの光が飛び交う演出が行われた。
- M4 - ユリイカ
- メンバーを取り囲む白い幕に東京と北海道の映像が交互に投映する演出が行われた。後方の幕に投映された映像には2019年のサラウンドツアーでの同曲の演出で使用された素材を再編集したものが使用された。
- CD音源とは違い、終盤の「時が震える 月が消えてく」という部分を二度繰り返すアレンジで演奏された。
- M5 - ネイティブダンサー
- 都会の夜景の映像とレーザーによるモーショングラフィック風の演出が展開された。
- M6 - ワンダーランド
- Rhizomatiksによる激しいノイズと光の点滅を伴うビジュアルエフェクトが採用された。ここでの演出は配信に乗る直前のカメラ画に施されたものとなっている。
- M7 - 流線
- M8 - 茶柱
- ステージ上にイサムノグチの照明が設置された状態で演奏された。この曲の間は一台のクレーンカメラによってワンカットで撮影されている。
- M9 - ナイロンの糸
- ステージの前面に紗幕が張られ、メンバーとカメラの間に映像が投映されつつ演奏された。映像にはファッションモデルの花梨が出演した。
- M10 - ボイル
- 冒頭に紗幕が取り払われ再び白い箱の中で演奏された。
- この曲の終盤「朝に描けてライズしたんだ」という歌詞のタイミングでメンバーを取り囲む白い幕が全て取り払われ広いステージが姿を現わした。これに合わせバンドセットが設置された台が以降の演出で稼働する照明機器の位置に合わせ後ろへ移動した。なお、2019年のサラウンドツアーの冒頭ではアルクアラウンドのイントロでバンドセットが設置された台が前にせり出す演出があり、今回の演出と対をなしている。
- M11 - 陽炎
- 前述した「スナックひかり」の演出が行われた。スナックのシーンには店の「ママ」としてエモン久瑠美が、客としてファッションモデルのるうこ、2の古舘佑太郎、スタイリストの藤井希恵、ビクターの山上聡が出演した。またこの楽曲での山口のボーカルマイクは普段使用しているゼンハイザーのe935ではなくシュアのワイヤレスハンドマイクが使用された。
- M12 - モス
- M13 - 夜の踊り子
- 踊り子として日本舞踊家の花柳凜と花柳寿紗保美が出演した。
- M14 - アイデンティティ
- M15 - 多分、風。
山口一郎がマントを着けながらの演出だった。
- M16 - ルーキー
- M17 - ミュージック
- 再びRhizomatiksによるビジュアルエフェクトが採用された。
- M18 - 新宝島
- 多摩っ子バブルスのダンサーが出演した。
- M19 - 忘れられないの
ステージを、紙吹雪が覆った。
- M20 - さよならはエモーション
- 演奏風景を背景にスタッフロールが流れ、「ヒカリヲヌケ」というフレーズでライブが締めくくられた。
協賛・広告について
[編集]本企画は参天製薬が協賛し、撮影には日テレプラスが協力している。配信では、ライブ本編の前後にサカナクションやNFに関連したCMが放送された。
- サンテFX×エヴァンゲリオン CM
- SAKANAQUARIUM 光 ONLINE 配信の見所
- SAKANAQUARIUM 光 ONLINE ITEMS
- るうこと青山翔太郎が出演し、本公演に向けて作成された10種類のライブグッズを使用・着用している様子が収録されている。
- サカナクション公式ファンクラブ 「NF member」
- サカナクション公式 Twitchチャンネル 「NF_ONLINE」
- Rhizomatiks presents 「PLAYING TOKYO」
- LOOPWHEELR
- GEN GEN AN
- kolor Autumn/Winter 2020-21
- ANREALAGE
- THE2 online ONE MAN LIVE「2ND VIRGIN」
- MOBY DICK公式YouTubeチャンネル告知動画
- NHK Eテレ「シュガー&シュガー」 第3回 CM
- NHK Eテレ「シュガー&シュガー」 第4回 CM
- LIVE FISH -COMPLETE BOX-
- Music Cross Aid
映像作品
[編集]『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』 | ||||
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サカナクション の ライブ・ビデオ | ||||
リリース | ||||
録音 |
2020年8月16日 2020年8月15日ファンクラブ会員限定盤のみ収録 日本・シミズオクト千葉スタジオ | |||
ジャンル |
J-POP ポップス ロック AOR | |||
レーベル | NF Records | |||
サカナクション 映像作品 年表 | ||||
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映像外部リンク | |
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サカナクション / LIVE Blu-ray,DVD「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」teaser movie | |
サカナクション / ワンダーランド from 「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」 |
オンライン・ライブの2日目の公演の模様を収録した映像作品が公演名と同じタイトル「SAKANAQUARIU 光 ONLINE」として2021年3月17日にNF Recordsからリリースされる。本作は完全生産限定盤(Blu-ray/DVD)と通常盤(Blu-ray/DVD)の4形態でリリースされる他、バンドの公式ファンクラブ「NF member」の会員限定の受注生産商品「NF member Limited Edition」も合わせた合計5形態が存在する。リリースは2020年11月28日に発表され、同時にNF member Limited Editionの予約が開始された。当初の予約期間は11月28日から12月20日までであったが、20日の午後にさらに予約期間が1週間延長されることが発表された。
全ての形態で8月16日に配信された映像が収録され、音声は「KLANG:technologies」による3Dサウンドが体感できるミックスがされている。完全限定生産盤の2形態には16日の公演の音声のみを前後編で分割して収録したCD2枚と本企画のデータを掲載したブックレットが付属し、NF member Limited Editionにはさらに15日の公演の映像を収録したBlu-ray1枚、シキボウおよび丸十服装が共同で開発した「フルテクトマスク」3枚、本企画限定デザインのマフラータオルが付属する。なお、すべての形態に収録された映像には歌詞表示機能とプレイパス機能も付いている。
クレジット
[編集]サカナクション
[編集]オンライン・ライブのスタッフ
[編集]- 監督 - 田中裕介(CAVIAR)
- 撮影監督 - 奥口睦(tsujimanagement)
- Live Camera Director - Shinya Yamada
- 照明監督 - Kousei Kobayashi
- DIT - Taito Oyama(Progressive)
- Production designer - Atsuyoshi Edahiro
- Visual Effect - Rhizomatiks
- 舞台監督 - 増田崇(HIP LAND MUSIC CORPORATION)
- 舞台照明 - 平山和裕(BAGS GROOVE)
- 音響 - 佐々木幸雄(Acoustic)、浦本雅史(Soi co Ltd)
- ヘアメイク - 根本亜沙美
- スタイリスト - 三田真一(KiKi inc.)
- プロデューサー - 野村達也(HIP LAND MUSIC CORPORATION)、中村 ミサ(CAVIAR)
- プロダクション - HIP LAND MUSIC CORPORATION、CAVIAR Limited、Victor Entertainment、Livemasters Inc.
解禁日と発売日一覧
[編集]国・地域 | 発売/発信元 | 発売日/解禁日 | 規格 | 規格品番/リクエストナンバー/備考 |
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日本 | NF Records (Victor Entertainment) | 2021年3月17日 (予約期間は2020年11月28日 - 12月26日) |
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2021年3月17日 |
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脚注
[編集]出典
[編集]- ^ "サカナクション、全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2020」開催決定". rockin'on.com. ロッキング・オン. 26 August 2019. 2020年12月30日閲覧。
- ^ "サカナクション、来年1月からのツアーにアリーナ3公演を追加。通常のライブよりスピーカーをプラス". rockin'on.com. ロッキング・オン. 27 December 2019. 2020年12月30日閲覧。
- ^ "サカナクション、初のオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光」2DAYSで開催". 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 1 August 2020. 2020年12月30日閲覧。
- ^ "サカナクション、ライブ×ミュージックビデオの新たな表現を見せつけた熱狂の二夜". 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 18 August 2020. 2020年11月29日閲覧。
- ^ "サカナクション"最高峰のオンラインライブ"の裏側ーー田中裕介に聞く「ライブミュージックビデオ」の演出法". リアルサウンド テック. 株式会社blueprint. 25 October 2020. 2020年12月30日閲覧。
- ^ a b "サカナクションのオンラインライブにおける"超立体サウンド"の裏側ーー佐々木幸生&浦本雅史に聞く". リアルサウンド テック. 株式会社blueprint. 24 October 2020. 2020年12月30日閲覧。
バンド公式・所属事務所・関係者による告知
[編集]- ^ "「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」 2月26日仙台公演、金沢以降の公演にお越しのお客様へ". サカナクション公式サイト. サカナクション. 26 February 2020. 2020年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月23日閲覧。
- ^ "「SAKANAQUARIUM 2020 "834.194 光"」ツアー再開断念と全公演中止のご案内". サカナクション公式サイト. サカナクション. 4 August 2020. 2020年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月23日閲覧。
- ^ サカナクション [@sakanaction] (2020年7月17日). "サカナクション初のライブストリーミング公演「SAKANAQUARIUM 光」8月15日・16日に開催決定!". 2020年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2020年11月18日閲覧。
- ^ サカナクション [@sakanaction] (2020年7月28日). "「SAKANAQUARIUM 光」配信プラットフォーム・チケットに関する情報を公開しました。". 2020年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2020年11月18日閲覧。
外部リンク
[編集]- SAKANAQUARIUM 光 ONLINE - オンライン・ライブ公式サイト
- SAKANAQUARIUM 光 ONLINE -NF member Limited Edition- - 映像作品特設サイト