SAKANAQUARIUM 暗闇
『SAKANAQUARIUM 暗闇』は日本のロックバンド・サカナクションが2021年1月8日から11日にかけて開催予定であったインスタレーションを主体とした音楽イベントである。2019新型コロナウイルス感染症の流行の影響により開催中止が発表された。本項目では企画の関連性が高い、あいちトリエンナーレ2019での同バンドによる音楽プログラム『暗闇 -KURAYAMI-』についても記載していく。
背景と開催中止までの経緯
[編集]2019年の8月7日から11日にかけて、サカナクションはあいちトリエンナーレ2019おける音楽プログラムの一つとして『暗闇 -KURAYAMI-』という公演を行った[1](イベントにつけられた通し番号は"A50")。これまでのあいちトリエンナーレでは初回の2010年から2016年までの3回とも音楽イベントのメイン事業のひとつとしてプロデュースオペラ公演が行われていた。しかし2019年はこれをとりやめ代わりに音楽プログラムが実施されることになり[2][3]、新たなプログラムのひとつとしてサカナクションによるパフォーマンスが企画された。「暗闇ライブ」は歴代あいちトリエンナーレにおける2019年の回のプログラム構成を特徴づける企画の一つとなっている。またサカナクションの活動においても翌2020年の初旬に行われたホールツアー「SAKANAQUARIUM2020 "834.194 光"」のコンセプトにも関連しており、バンドにとってもその後の活動に影響を与えた企画となっている。
2020年11月24日、2019年にあいちトリエンナーレで行った演目『暗闇 -KURAYAMI-』の内容を引き継いだワンマンイベント「SAKANAQUARIUM 暗闇」を2021年1月8日から11日にかけて開催することを発表した[4]。バンドはこのイベントを2019新型コロナウイルス感染症の流行の影響により開催中止となったツアー「834.194 光」の代替企画として行われたバンド史上初のオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」の「次のアクション」と位置付けており[5]、「834.194 光」ツアーが休止となって以降初の有観客のライブとなる予定であった。
しかし2020年12月18日、コロナウイルス感染症の所謂「第3波」[6]が発生している状況を鑑みて、2021年初頭に予定されていた全公演を開催中止とすることが発表された[7]。 なお、その後2021年1月3日に東京都の小池知事が千葉、埼玉、神奈川県知事と共に政府に緊急事態宣言の発出を要請し[8]、1月8日から1都3県で発出された[9][10]。
2019年の公演
[編集]あいちトリエンナーレ2019 サカナクション 『暗闇 -KURAYAMI-』 Aichi Triennale 2019 Sakanaction Live Performance: Darkness | |
---|---|
イベントの種類 | 音楽系イベント |
通称・略称 | 暗闇ライブ[11] |
開催時期 | 2019年8月 |
初回開催 | 2019年8月7日 |
最終開催 | 2019年8月11日 |
会場 | 愛知県芸術劇場大ホール |
主催 | サカナクション |
運営 | あいちトリエンナーレ2019 |
出展数 | 1 |
最寄駅 |
名古屋市営地下鉄 東山線・名城線 栄駅 名古屋鉄道瀬戸線 栄町駅 |
公式サイト |
これまでのサカナクションのパフォーマンスでは「SAKANAQUARIUM2012"ZEPP ALIVE"」において「壁」という楽曲の演出で完全暗転を行うなど[12]、コンサートのアクセントとして暗転を用いることはあったが、2019年以降の公演ではコンサート全体を通して「暗闇」状態で演奏する時間が多くを占める事が最大の特徴である。音響には「SAKANAQUARIUM 2018 "魚図鑑ゼミナール"VISUAL LIVE SESSION」で初採用されたd&b audiotechnik社の「Soundscape」システムを導入した。「暗闇」という名前のライブではあるものの、全編を通して真っ暗というわけではなく、一部で照明や映像による演出がある。演出用の映像は2019年のツアー「SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session」と同じく田中裕介が担当した。
ライブは合計約1時間ほどで構成されており、以下の5つのセクションに分かれている[13] [14]。
- プラクティス チューニング リズムのずれ
- 暗闇の「予行演習」として設けられた時間で、この時間に完全暗転に耐えられないと感じた観客は次の第一幕が始まるまでに退出することが出来るようになっている。
- 第一幕 Ame(C)
- 1st シングル「セントレイ」などに収録された「Ame(A)」, 3rd アルバム「シンシロ」に収録された「Ame(B)」に続くAmeのタイトルを冠した新曲「Ame(C)」が演奏された。
- 第二幕 変容
- アルバム『834.194』の収録曲を本公演用にアレンジした「茶柱 -KURAYAMI version-」と「ナイロンの糸 -KURAYAMI version-」が映像とともに演奏された。
- 第三幕 響
- 和太鼓や拍子木などの和楽器の演奏や山口が操作する超指向性スピーカーによるパフォーマンスが行われた。
- 第四幕 闇よ 行くよ
- 最後のパートのみ映像や照明による演出のない"完全暗転"でのパフォーマンスとなった。
2021年の公演
[編集]SAKANAQUARIUM 暗闇(開催中止) | ||||
---|---|---|---|---|
サカナクション の ツアー | ||||
場所 | 幕張メッセ 幕張イベントホール | |||
公演数 | 7 (すべて中止) | |||
ウェブサイト | SAKANAQUARIUM 暗闇 | |||
サカナクション ツアー 年表 | ||||
|
2020年11月24日、2019年にあいちトリエンナーレで行った演目を再びワンマンライブとして開催することを発表した[4][5]。構成は2019年の公演と同様の4幕構成で1時間程度の内容であることがアナウンスされていた[15]。12月18日、コロナウイルス感染症の感染拡大を受け全公演を中止した[7]。
グッズ販売
[編集]本公演ではライブグッズとして新型コロナウイルス感染症対策に効果のある[16][17][18]シキボウの抗ウィルス機能加工「フルテクト加工」[19]を使用したアイテムをファッションブランドANREALAGEと共同で開発中であることがアナウンスされていた[20]。なお、本公演のグッズよりも前に「フルテクト」加工は2020年9月に発表されたANREALAGEの2021年春夏コレクション"HOME"で既に採用されている[21]。
2021年1月6日に中止となった本公演のライブグッズがECサイトで販売されることがアナウンスされ、当初公演が行われる予定だった8日から11日まではファンクラブ会員限定で、12日以降は一般向けに販売が開始される[22][23][24]。ECサイトに掲載された着用モデルの一人として紅巴が起用されている[25]。「ANREALAGENF × 暗闇 FLUTECT」以外にも本公演に向けて制作されたグッズが販売されているが、このうちの一つ「KURAYAMI HOODIE/Black」の背面には英語版ウィキペディアの記事「en:Darkness」の文章が刺繍されている。
脚注
[編集]- ^ 「音楽プログラム サカナクション『暗闇 -KURAYAMI-』」あいちトリエンナーレ2019、2019年。2020年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月2日閲覧。
- ^ “<議 題>あいちトリエンナーレ2019について”. 愛知県 文化・スポーツ・観光振興対策特別委員会. 2021年1月2日閲覧。 “... もう一つ、これは報道なんかでも伝えられていると思いますが、過去3回のあいちトリエンナーレで実施してきたプロデュースオペラの扱いを今回変えさせていただきました。具体的には、オペラをやめて、その代わりに祝祭感のある音楽プログラムを実施することにしました。 ...”
- ^ 江川紹子 (2021年1月2日). “江川紹子の「事件ウオッチ」第134回【『表現の不自由展』中止問題】津田大介氏による「お詫びと報告」に対して生じる疑問”. Business Journal
- ^ a b サカナクション [@sakanaction]「SAKANAQUARIUM 暗闇 SOUND INSTALLATION」2020年11月24日。2021年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2021年1月2日閲覧。
- ^ a b 「暗闇 KURAYAMI」『サカナクション公式サイト』サカナクション、2020年11月24日。2021年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月2日閲覧。
- ^ 「「かつてない大きさの第3波 年末年始が分水れい」小池都知事」『NHK NEWS WEB』NHK、2020年12月30日。2021年1月7日閲覧。
- ^ a b サカナクション [@sakanaction]「#SAKANAQUARIUM暗闇 この度の新型コロナウイルス感染拡大状況下での公演開催は難しいと判断し、やむなく全公演を中止することとなりました。」2020年12月18日。2021年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2021年1月2日閲覧。
- ^ 「緊急事態宣言発出要請 小池知事」『NHK NEWS WEB』NHK、2021年1月3日。2021年1月7日閲覧。
- ^ 「「緊急事態宣言」菅首相が夕方宣言へ」『NHK NEWS WEB』NHK、2021年1月7日。2021年1月7日閲覧。
- ^ 「令和3年1月7日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見」『首相官邸ホームページ』内閣官房内閣広報室、2021年1月7日。2021年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月14日閲覧。
- ^ “「サカナクション『暗闇 KURAYAMI』ライブを振り返ります!」”. SCHOOL OF LOCK! (2019年8月29日). 2021年1月2日閲覧。
- ^ “6/25 「SAKANAQUALIUM 2012 "ZEPP ALIVE" のセットリスト」”. SCHOOL OF LOCK! (2012年6月15日). 2020年3月8日閲覧。
- ^ “サカナクション『暗闇』レポ。完全暗転の会場で音楽が見えた瞬間”. 北欧カルチャーマガジン Fika(フィーカ). CINRA (2019年9月5日). 2021年1月2日閲覧。
- ^ サカナクション『SAKANAQUARIUM 2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session -LIVE at PORTMESSE NAGOYA 2019.06.14-(完全生産限定盤)』(Blu-ray/DVD)ビクターエンタテインメント、東京、2020年1月15日。ASIN B081RRCWVJ。
- ^ サカナクション [@sakanaction]「1月8日〜11日開催「#SAKANAQUARIUM暗闇」NF member SS席先行実施中。一般向けの抽選は12/11から。」2020年12月4日。X(旧Twitter)より2021年1月7日閲覧。
- ^ 『抗ウイルス加工「フルテクトⓇ」の試験結果について』(PDF)(プレスリリース)シキボウ株式会社、2020年4月10日 。2021年1月7日閲覧。
- ^ 『抗ウイルス加工「フルテクトⓇ」のコロナウイルス(ヒト)に対する効果を確認』(PDF)(プレスリリース)シキボウ株式会社、2020年4月13日 。2021年1月7日閲覧。
- ^ 『抗ウイルス加工「フルテクトⓇ」の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する効果を確認』(PDF)(プレスリリース)シキボウ株式会社、2020年11月19日 。2021年1月7日閲覧。
- ^ 『抗ウイルス加工 FLUTECT® (PDF)』(プレスリリース)(日本語)、シキボウ株式会社。2021年1月7日閲覧。
- ^ 「サカナクションが完全暗転の会場でパフォーマンス「暗闇」1月に幕張で再演」『音楽ナタリー』株式会社ナターシャ、2020年11月25日。2021年1月2日閲覧。
- ^ 『抗ウイルス加工「フルテクトⓇ」が2021年春夏パリコレクションで初披露』(PDF)(プレスリリース)シキボウ株式会社、2020年9月30日 。2021年1月7日閲覧。
- ^ サカナクション [@sakanaction]「新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえ、公演は中止とさせていただきましたが、本公演のために製作したアイテムを通信販売で取り扱いします。」2021年1月6日。X(旧Twitter)より2021年1月7日閲覧。
- ^ 「「SAKANAQUARIUM 暗闇 KURAYAMI」ITEMSのお知らせ」『サカナクション公式サイト』サカナクション、2020年1月6日。2021年1月7日閲覧。
- ^ 『フルテクトⓇ加工使用のサカナクションライブグッズ販売について (PDF)』(プレスリリース)(日本語)、シキボウ株式会社、2021年1月8日。2021年1月14日閲覧。
- ^ kureha / 紅巴 [@kure_ha17]「サカナクションさんのグッズモデルをやらせて頂きました。嬉しい。」2021年1月6日。2021年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。Instagramより2021年1月7日閲覧。
関連項目
[編集]- 闇
- en:Darkness - 「闇」の記事の英語版。この記事の文章が「SAKANAQUARIUM 暗闇」のグッズの一つ「KURAYAMI HOODIE/Black」に刺繍されている。
外部リンク
[編集]- あいちトリエンナーレ2019 サカナクション 暗闇 KURAYAMI - 2019年の暗闇ライブ公式サイト
- SAKANAQUARIUM 暗闇 - 2021年の暗闇ライブ公式サイト