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台東線

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花東線から転送)
台東線
台東線を走る自強号(DR2800型)
台東線を走る自強号DR2800型
基本情報
中華民国の旗 中華民国台湾
起点 花蓮駅
終点 台東駅
駅数 26駅
開業 1910年12月16日
全通 1926年3月25日
所有者 台湾鉄路公司
運営者 台湾鉄路公司
路線諸元
路線距離 150.9 km
軌間 1,067 mm
線路数 単線、複線
電化区間 全線
電化方式 交流25,000V・60Hz 架空電車線方式
路線図

台湾鉄路管理局路線図。濃い青色の線が台東線。
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台東線
各種表記
繁体字 臺東線
簡体字 台东线
拼音 Táidōng xiàn
通用拼音 Táidōng siàn
注音符号 ㄊㄞˊ ㄉㄨㄥ ㄒㄧㄢˋ
発音: タイドンシェン
台湾語白話字 Tâi-tang Soàⁿ
客家語白話字: Thòi-tûng Sien
日本語漢音読み たいとうせん
英文 Hualien–Taitung Line
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志学駅に入線する莒光号
花蓮に保存されているナローゲージ時代のLDT100型蒸気機関車
台東線の特色を表した鉄橋 - 新加濃濃渓橋
玉里客城鉄橋
玉里客城鉄橋付近の田んぼアート

台東線(たいとうせん)は、台湾花蓮県花蓮市花蓮駅から台東県台東市台東駅に至る、台湾鉄路公司鉄道路線。起終点の駅名から、花東線(かとうせん)の別称がある。

路線データ

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  • 管理者:台湾鉄路公司
  • 路線距離(営業キロ):花蓮 - 台東間 150.9 km
  • 軌間:1,067mm
  • 駅数:26(起終点駅含む。)
  • トンネル数:5
  • 複線区間
    • 寿豊 - 南平間 11.1km
    • 萬栄 - 光復間 5.6km
    • 瑞穂 - 三民間 9.3km
    • 玉里 - 東里間 6.7km
    • 山里 - 台東間 8.1km
  • 電化区間:全線電化(交流25000V、2014年6月完成)
  • 電報略号ㄏㄚㄉㄒ
  • 開業日:1910年12月16日部分開業、1926年3月25日全線開業。

歴史

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日清戦争後、日本下関条約により割譲された台湾経営に着手する。合理的な経営には交通網整備が不可欠であるとし、1898年より台湾東部の鉄道路線に関する調査を開始、1910年2月1日より花蓮港(花蓮旧駅)から璞石閣(現在の玉里)間の建設に着手し、同年12月16日に花蓮港から鯉魚尾(現・寿豊駅)までが開通した[1]。規格は軌間762mmの軽便鉄道であったが、将来は1,067mmに改軌して、西部縦貫線との連絡を考慮に入れての建設であった。玉里までの区間は7年4ヶ月の歳月と、総工費434万円の費用をもって、1917年11月1日に開業した[2][3]

璞石閣以南の建設は二期建設計画に策定されたが、当時の交通需要から積極的な建設は推進されなかった。そこで台東開拓会社は卑南(現在の台東市) - 里(現在の関山鎮)間の建設を自力で進め、1919年12月16日に供用開始としている[4]。1920年代に入ると交通機関の一元化が提唱されたことから、1924年に台東開拓会社鉄道は台湾総督府鉄道により買収され[5]、台東南線となる。同時に未着工区間であった台東 - 里間の建設を開始した。1926年3月25日、公埔と池上間が開通したことに伴い花蓮~台東を結ぶ総延長171.8キロの台東鉄道が完成し[6]、全通式典が玉里で開かれた[7]

当時の台東線は軽便鉄道であったため列車の高速化が困難であり、花蓮 - 台東間は旅客で7 - 8時間、貨物の場合は11時間以上を要していた。しかし蒸気機関車牽引列車からディーゼル気動車へ更新されるに従い所要時間は漸次短縮され、1968年に新型光華号が投入されると、所要時間は3~4時間と大幅に短縮された[8](p115)。また、ナローゲージでは珍しい寝台車を連結した夜行列車も運行されていた[9]

台東線改軌計画

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軽便鉄道規格で供用開始した台東線であったが、1967年に花蓮管理処より1,067mmへの改軌計画が提出され、台東線の輸送力強化が計画された[10]:頁97。しかし、この時は計画は見送られ、南廻線による環島鉄道計画が立案されてから具体化の方向となった。

1978年7月1日、改軌工事が開始されたが[10]:頁97、工事は既存鉄道を運行しながらの同時進行であったため、その輸送力確保は困難を極めた。ナローゲージの線路の両側に1,067mm軌道を設置する四線軌条で工事を進め、また鉄道敷設には適当でない場所に関しては新線を建設した。当初は同時期に完工した北廻線田浦駅、のちに吉安駅での乗換えという形だったが、1982年6月26日に全線改軌工事は完了し[10]:頁98、翌日台北方面からの直通列車が運行されるに至った[10]:頁98。また、舞鶴三民間の自強トンネル工事は予定より遅れ、1984年末に完成し、1985年元旦に開通した[10]:頁98

台東線改良計画

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現在複線電化事業が行われており、このうち電化工事については、2014年6月に完成した[11]。これに併せて新型自強号電車(TEMU2000型電車)の投入が進められ、電化開業後は、それまでと比較して大幅な時間短縮を実現した。電化開業とともに、その直後のダイヤ改正で台東線に普快車として残っていたDR2700型が営業運転から退いた[12]。引き続き、部分複線化工事が進められている。

  • 主な内容
    • 全線重軌化
    • 自動閉塞式の採用
    • 寿豊 - 南平間約9kmの複線化
    • 鳳林 - 萬栄間の直線化
      • 鳳林 - 万里渓橋間新トンネル建設
      • 万里渓橋新規架橋
    • 瑞穂舞鶴間の直線化

沿革

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将来
  • 2022年9月:南平 - 萬栄間が複線化予定[16]。(寿豊 - 光復間の連続約26kmが複線となる)

全線複線化計画

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花蓮 - 台東及び南廻線知本までの全線複線化について、2017年2月に実現可能性調査案が政府国家発展委員会で承認され、前瞻基礎建設計画の対象事業となった[17]。環境アセスメントは初回審査が2020年4月23日に[18]、本審査は8月に通過した[19]。2021年4月8日、複線化事業の総合計画が行政院で承認された[16]

その後設計作業が進められ、工期約7年、総事業費約456.27億ニュー台湾ドルを予定し、完成後は区間車が現行より約45分の短縮となる[20]

使用車両

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運転状況

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駅一覧

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  • の駅は廃止された駅である(2018年7月10日現在)
  • 背景色がである部分は現在施設が供用されていない、または完成していないことを示す。
  • 線路 … ∥:複線区間、◇:単線区間(列車交換可能)、|:単線区間(列車交換不可)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
    • 一部の区間(橋梁やトンネルなど)は単線だが、複線化の用地が確保されている。
駅名 駅間
キロ
累計
キロ
等級 接続路線・備考 線路 所在地
日本語 繁体字中国語 英語
花蓮駅 花蓮車站 Hualien 0.0 0.0 特等 北廻線と接続 花蓮県 花蓮市
※花蓮旧駅 花蓮舊站 Hualien   0.0 廃止    
田浦駅 田浦車站 Tienpu 2.3 廃止    
吉安駅 吉安車站 Ji'an 3.4 3.4 三等   吉安郷
干城駅 干城車站 Gancheng   8.2 廃止    
志学駅 志學車站 Zhixue 9.0 12.4 三等   寿豊郷
平和駅 平和車站 Pinghe 2.9 15.3 招呼  
寿豊駅 壽豐車站 Shoufeng 1.9 17.2 三等  
豊田駅 豐田車站 Fengtian 2.7 19.9 三等  
渓口駅 溪口車站 Xikou   24.0 廃止 2013年11月14日廃止  
林栄新光駅 林榮新光車站 Linrong Shin Kong   26.1 簡易 旧称:平林・林栄
2018年7月10日再開業
早朝・夜間は全列車通過
鳳林鎮
南平駅 南平車站 Nanping 8.5 28.3 乙簡[22]  
鳳林駅 鳳林車站 Fenglin 4.1 32.5 三等  
萬栄駅 萬榮車站 Wanrong 4.8 37.3 三等  
光復駅 光復車站 Guangfu 5.6 42.9 三等   光復郷
大興駅 大興車站 Daxing     廃止    
大富駅 大富車站 Dafu 7.7 50.6 招呼  
富源駅 富源車站 Fuyuan 3.0 53.6 三等   瑞穂郷
瑞北駅 瑞北車站 Ruibei   59.8 廃止 2003年8月23日廃止  
瑞穂駅 瑞穗車站 Ruisui 9.3 62.9 三等  
舞鶴信号場 舞鶴號誌站 Wuhe Signal Station   67.3 號誌 2017年9月26日廃止
三民駅 三民車站 Sanmin 9.2 72.1 乙簡[22]   玉里鎮
大禹駅 大禹車站 Dayu   78.4 廃止    
泰昌駅 泰昌車站 Taichang   83.0 廃止    
玉里駅 玉里車站 Yuli 11.0 83.1 一等  
楽合駅 樂合車站 Lehe     廃止    
安通駅 安通車站 Antong   89.8 廃止 2007年3月30日廃止  
長良駅 長良車站 Changliang       計画駅  
東里駅 東里車站 Dongli 6.7 89.8 三等 2007年3月30日駅舎移転。 富里郷
萬寧駅 萬寧車站 Wanning     廃止    
東竹駅 東竹車站 Dongzhu 5.9 95.7 乙簡[22]  
富北駅 富北車站 Fubei     廃止    
富里駅 富里車站 Fuli 6.2 101.9 三等  
富南駅 富南車站 Funan     廃止    
三台駅 三台車站 Santai   110.9 廃止    
池上駅 池上車站 Chishang 6.9 108.8 三等   台東県 池上郷
海端駅 海端車站 Haiduan 5.6 114.4 乙簡   関山鎮
徳高駅 德高車站 Degao     廃止    
関山駅 關山車站 Guanshan 6.5 120.9 三等  
月美駅 月美車站 Yuemei   125.2 廃止 2013年6月27日廃止  
瑞和駅 瑞和車站 Ruihe 7.4 128.3 招呼   鹿野郷
瑞源駅 瑞源車站 Ruiyuan 2.8 131.1 三等  
鹿野駅 鹿野車站 Luye 5.5 136.6 三等  
山里駅 山里車站 Shanli 6.2 142.8 乙簡[22]   卑南郷
中興駅 中興車站 Zhongxing     廃止    
嘉豊駅 嘉豐車站 Jiafeng   150.2 廃止    
初鹿駅 初鹿車站 Chulu   155.6 廃止    
東成駅 東成車站 Dongcheng     廃止    
檳榔駅 檳榔車站 Binlang   162.1 廃止    
台東駅 臺東車站 Taitung 8.1 150.9 一等 南廻線と接続 台東市
馬蘭駅 馬蘭車站 Malan   168.3 廃止    
台東旧駅 台東舊站 Taitung   170.7 廃止    
台東海岸駅 臺東海岸車站 Taitung Hai'an   171.8 廃止    

出典

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  1. ^ 台湾総督府 (1910-12-14). “台湾総督府告示第157・158号”. 官報. 1910年12月21日 (第8251号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 521. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2951604/4  国立国会図書館
  2. ^ 台湾総督府 (1617-10-28). “台湾総督府告示第134号”. 官報. 1917年11月15日 (第1587号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 339. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2953701/4. "花蓮港廳奉鄕三笠村外二箇所ニ停車場ヲ設置シ大正六年十一月一日ヨリ鐵道運輸營業ヲ開始ス 其ノ位置及哩程左ノ通"  国立国会図書館
  3. ^ 片倉佳史 (9 2018). “台湾東部の鉄道建設史”. 『交流』 (日本台湾交流協会) (930): 頁14. ISSN 0289-9191. https://www.koryu.or.jp/Portals/0/images/publications/magazine/2018/9/all.pdf. 
  4. ^ 台湾総督府 (1919-03-07). “台湾総督府告示第17号”. 官報 (第1976号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 107. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954090/2 2019年2月9日閲覧. "臺東製糖株式會社鐵道卑南、新開園間ノ内卑南北絲鬮間運輸營業開始許可"  国立国会図書館
  5. ^ 台湾総督府 (1922-04-18). “台湾総督府告示第69号”. 官報. 1922年08月09日 (第3007号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 222. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2955125/4. "臺東開拓株式會社鐵道臺東池上間ヲ官ニ買収シ大正十一年四月二十日ヨリ臺東里壠運輸營業ヲ開始ス 其ノ停車場名竝哩程左ノ通"  国立国会図書館
  6. ^ 台湾総督府 (1926-03-23). “台湾総督府告示第135号”. 官報. 1926年05月01日 (第4104号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 3. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2956255/2. "大正十五年三月二十五日ヨリ臺東線鐵道公埔池上間運輸營業ヲ開始ス" 
  7. ^ 台湾総督府 (1926-03-27). “台湾総督府告示第41号”. 官報. 1926年05月04日 (第4106号 ed.). 大蔵省印刷局. p. 69. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2956257/3. "玉里郵便局臺灣鐵道臺東線全通式式場内臨時出張所設置" 
  8. ^ 鄭仁崇 (2000). 臺灣後山鐵道風華. 花蓮縣文化局. ISBN 9570243422. https://tm.ncl.edu.tw/article?u=022_001_00000673  國家圖書館 臺灣記憶
  9. ^ “東線鐵路創舉昨行雙層臥車”. 商工日報 (國立公共資訊圖書館 數位典藏服務網). (1956年2月11日) 
  10. ^ a b c d e 壽俊仁, ed (1987). 臺灣鐵路百週年紀念. 臺灣鐵路管理局. https://tm.ncl.edu.tw/article?u=022_109_000062  國家圖書館 臺灣記憶
  11. ^ “台東線電化で時間短縮・輸送力アップ”. 中央社 フォーカス台湾. (2014年6月28日). https://japan.cna.com.tw/news/atra/201406280004.aspx 
  12. ^ “為台灣默默貢獻心力48年 光華號最後的畢業巡禮”. ETtoday新聞雲. (2014年7月5日). https://travel.ettoday.net/article/375255.htm 
  13. ^ “新自強隧道切換新線完成 花東鐵路雙軌瓶頸路段貫通”. 聯合報. (2017-09-26日). オリジナルの2017年9月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170926143930/https://udn.com/news/story/7328/2723020 
  14. ^ “花東鐵路歷史的一刻!新自強隧道切換新線完成”. 自由時報. (2017年9月26日). https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/2204527 
  15. ^ “台鐵最時尚「簡易站」 花蓮林榮新光站啟用”. 大紀元. (2018年7月10日). http://www.epochtimes.com/b5/18/7/10/n10551425.htm 
  16. ^ a b 王錦義 (2021年4月22日). “花東鐵路南平至萬榮 5月軌道切換施工”. 自由時報. https://news.ltn.com.tw/news/life/paper/1444388 
  17. ^ . 中央社 フォーカス台湾. (2017年2月22日). http://japan.cna.com.tw/news/atra/201702220006.aspx 国家発展委員会、台東線の完全複線化計画を可決 輸送力増大に期待/台湾 
  18. ^ “花東鐵路雙軌電氣化 環評初審通過”. 更生日報. (2020年4月24日). http://www.ksnews.com.tw/index.php/news/contents_page/0001367157 
  19. ^ “花東通勤時間將縮短 花東鐵路雙軌電氣化環評通過”. 中国時報. (2020年8月12日). https://www.chinatimes.com/realtimenews/20200812005698-260405?chdtv 
  20. ^ “花東鐵路雙軌化預計2027年完工 花蓮-台東區間車可省45分鐘”. 中国時報. (2021年12月21日). https://www.chinatimes.com/realtimenews/20211221004005-260405?chdtv 
  21. ^ “EMU3000型城際列車今上路 初期每天6班”. 更生日報. (2021年12月29日). http://www.ksnews.com.tw/index.php/news/contents_page/0001558499 
  22. ^ a b c d “改善血汗 台鐵將增2860人”. 台灣蘋果日報. (2017年9月22日). https://tw.appledaily.com/headline/20170922/ZCDPBOSVMNJ2QMVFFPNTFPFJKU/ 

関連項目

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外部リンク

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