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美しい国へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
美しい国へ
著者 安倍晋三
発行日 2006年7月21日
発行元 文藝春秋文春新書
ジャンル 政治社会学
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 新書
ページ数 232
コード ISBN 978-4166605248
ウィキポータル 書物
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美しい国へ』(うつくしいくにへ)は、安倍晋三が2006年に発表した著書。

概要

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2006年5月24日、安倍晋三は講演で「官房長官の職責をしっかりと務めていくことによって、おのずと道が決まってくる」と述べ、同年9月実施予定の自民党総裁選挙出馬への意欲を示した[1]。党総裁選の準備運動として、本書を同年7月21日に文藝春秋文春新書から出版した[2][注 1]。担当編集者は新谷学[6]

改憲を訴える安倍は本書において、日本国憲法前文の一文「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」を、「連合国に対する“詫び証文”のような宣言」と評した[7][8]。また、靖国神社A級戦犯が合祀されていることについて「それは国内法で、かれらを犯罪者とは扱わない、と国民の総意で決めたからである」と持論を展開し、戦争責任者の復権を訴えた[9]

安倍は出版から約2か月後の9月20日に行われた自民党総裁選で初当選。9月26日に内閣総理大臣に就任した。

2006年のトーハンの総合ベストセラーで17位を記録した[10]

2007年9月の安倍の退陣、2009年9月の自由民主党の下野を経て、安倍が政権復帰した直後の2013年1月21日には、同新書より、本書の増補版である『新しい国へ 美しい国へ 完全版』が発売された[11]

反響など

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  • 2006年8月、参議院議員の山本一太は『なぜいま安倍晋三なのか』(リヨン社)を出版[12]総裁選に向け安倍の当選を後押しした[要出典]
  • 2006年9月27日、参議院議員の喜納昌吉は「安倍内閣総理大臣の歴史認識に関する質問主意書」を議長に提出。「安倍晋三内閣総理大臣は、さきに政策方針とも受け取れる著書『美しい国へ』を出版したが、その中では祖父・岸信介元内閣総理大臣と太平洋戦争の重要な関係が触れられていない」「太平洋戦争及びそれ以前の日本軍のアジアにおける行為は、侵略として内外で広く認められてきた。しかし、安倍内閣総理大臣は、太平洋戦争など日本の近現代史部分について、『歴史認識は歴史家に任せるべきだ』と繰り返すものの、ドイツのナチスが始めた戦争については『侵略』と明言している。他国の侵略行為は認め、自国の侵略行為をめぐる判断は『歴史家に委ねよう』と主張する理由を明らか」にしてもらいたい、と述べた[13]。同年10月6日、安倍は「国際法上の侵略の定義については様々な議論が行われているものの確立された定義があるとは承知していない。その上で、一般的に、歴史的な事象に関する評価については、専門家等により議論されるべきものと考える」と回答した[14]

書誌情報

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  • 安倍晋三『美しい国へ』文藝春秋〈文春新書〉、2006年7月21日。ISBN 978-4166605248 
    • 安倍晋三『新しい国へ 美しい国へ 完全版』文藝春秋〈文春新書〉、2013年1月21日。ISBN 978-4166609031 

脚注

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注釈

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  1. ^ 国土交通省が2003年7月に発表した「美しい国づくり政策大綱」が構想の元ともされる[3][4]。当該大綱は景観の保全や水辺の再生に取り組む基本法制の制定など15の具体的な政策が盛り込まれている[5]

出典

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  1. ^ 山村敬一 (2006年7月22日). “福田氏が不出馬、安倍氏優位、自民総裁選-麻生、谷垣氏らの対応焦点”. ブルームバーグ. 2022年10月28日閲覧。
  2. ^ 文春新書『美しい国へ』安倍晋三”. 文藝春秋. 2022年6月13日閲覧。
  3. ^ 美しい国づくり政策大綱” (PDF). 国土交通省 (2003年7月). 2014年3月26日閲覧。
  4. ^ 養老孟司『読まない力』PHP研究所PHP新書〉、2009年2月13日。ISBN 978-4569705743 
  5. ^ 『中日新聞』2003年7月11日付夕刊、2面、「看板規制や水辺再生 国交省『美しい国』へ15施策」。
  6. ^ ポスト安倍から橋下徹“再登板”まで…政治記者「“新聞・テレビは書けない!!”オフレコ座談会」”. 日刊大衆. 双葉社 (2016年9月30日). 2022年10月28日閲覧。
  7. ^ 安倍晋三 2006, p. 122.
  8. ^ 第165回国会 衆議院 総務委員会 第7号 平成18年11月28日”. 国会会議録検索システム. 2022年11月23日閲覧。
  9. ^ 『東京新聞』2006年7月25日付朝刊、2面、「スコープ 2006政局 自民党総意戦 安倍氏 見え始めた『政権構想』 『脱小泉』布石? 独自色も」。
  10. ^ 2006年 年間ベストセラー”. トーハン. 2022年10月28日閲覧。
  11. ^ 新しい国へ 美しい国へ 完全版”. 文藝春秋BOOKS. 2022年7月31日閲覧。
  12. ^ なぜいま安倍晋三なのか”. 国会図書館. 2022年10月28日閲覧。
  13. ^ 喜納昌吉 (2006年9月27日). “安倍内閣総理大臣の歴史認識に関する質問主意書”. 参議院. 2022年11月23日閲覧。
  14. ^ 安倍晋三 (2006年10月6日). “安倍内閣総理大臣の歴史認識に関する質問に対する答弁書”. 参議院. 2022年11月23日閲覧。

参考文献

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関連項目

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