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田中貴也

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
田中 貴也
東北楽天ゴールデンイーグルス #44
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 京都府南丹市
生年月日 (1992-08-27) 1992年8月27日(32歳)
身長
体重
178 cm
85 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 捕手
プロ入り 2014年 育成選手ドラフト3位
初出場 2018年9月1日
年俸 800万円(2025年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

田中 貴也(たなか たかや、1992年8月27日 - )は、京都府南丹市出身のプロ野球選手捕手)。右投左打。東北楽天ゴールデンイーグルス所属。

経歴

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プロ入り前

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京都・南丹市立園部中学校時代に甲子園での大嶺祐太らの活躍に触発され、伊志嶺吉盛監督の指導を受けるため沖縄県石垣市八重山商工に進学[2]。初めての寮生活や伊志嶺の厳しい指導で「もう毎日辞めたかったです」と当時を振り返っている。2年時は1学年先輩の大嶺翔太とバッテリーを組み夏の県大会では唯一2年でベンチ入りしたが、エンドランで空振りするなど自身のミスもあり準決勝で興南に4-5で敗退。監督から全部員と父兄がいる中で「おまえのせいで負けたんだ。おまえのせいで3年の高校野球が終わったんだ」と厳しく叱責され、それを見ていた母が自ら寮母となり京都から石垣島へ移り住むことを決意。ちょうど当時の寮母が辞めるタイミングだったこともあり、監督の自宅を改装して作られた寮に引っ越し寝食を共にした[3]。3年夏は県大会3回戦で宮国椋丞を擁する糸満高校に敗れた。甲子園出場はなし[4]

石垣島まで直々に訪れた山梨学院大学硬式野球部監督の高橋一三とコーチの伊藤彰から勧誘され山梨学院大学に進学し、1年春の開幕戦からリーグ戦に出場。主将となった4年春にはチームを創部以来初の全国大会(第63回全日本大学野球選手権大会)出場に導いた。4年春・秋にベストナインを獲得。1年上に高梨裕稔がいる。

2014年10月23日に行われたドラフト会議では、読売ジャイアンツから育成3位指名を受け、育成選手として入団した。背番号は005

巨人時代

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2017年は、WBCでチームを離れた小林誠司に代わって、育成選手ながらプロ入り初の一軍のキャンプに参加した[5]。オープン戦には6試合に出場[6]、イースタン・リーグ公式戦には7月31日までに二軍の捕手陣では最高の40試合に出場し、打率.253を記録した。これが評価され登録期限日の7月31日に支配下登録を勝ち取り、背番号を63に変更した[7]。11月25日から台湾で開催されるアジアウインターベースボールリーグに、NPBイースタン選抜として出場した[8]。オフには、ドラフト5位で指名された田中俊太が背番号63を着用することになったため、自身の背番号は69に変更となった。

2018年8月31日に初めて一軍に登録され、翌9月1日の対中日ドラゴンズ戦(ナゴヤドーム)で延長12回表に中川皓太の代打として一軍初出場。ただし、相手投手が右の木下雄介から左の岩瀬仁紀に代わったことで打席に立つ前に代打の代打として吉川大幾が送られたため、守備も打撃も走塁も行わない珍しい初出場となった[9]。その後は出場機会がなく、9月11日に登録抹消された。二軍では64試合に出場し打率.308を記録。10月6日のファーム日本選手権・阪神戦でも先発マスクを任されたが4-8で敗れた[10]

2019年は8月29日に一軍に登録され[11]、同日の対広島東洋カープ戦(東京ドーム)で大量リードの9回表に大城卓三に代わってマスクをかぶり、これが実質的な一軍初出場となった[12]。なお、9月1日に登録を抹消され[13]、初打席は未体験のままこの1試合のみでシーズンを終えた。二軍での出場試合数は前年の半数以下に減り、契約更改時に「悔しさしか残っていない1年」と振り返った[14]。シーズン終了後の11月23日からは、アジアウインターベースボールリーグへ2年ぶりに参加した[15]

2020年には、捕手登録の選手から、小林、炭谷銀仁朗大城卓三と共にレギュラーシーズンの開幕一軍メンバーに名を連ねた。しかし、実際には公式戦へ出場することなく、開幕4日後の6月21日に出場選手登録を抹消された。抹消後は捕手出身の阿部慎之助二軍監督から「打つポイントを(抹消前より)もっと前に想定しながらバットを振れば、もっと強い打球を放てる」との金言を受けたが、一軍への復帰までには至らなかった[16]

楽天時代

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2020年9月28日[注 1]に、巨人から金銭トレードで東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍することが発表された。背番号は55[18][19]で、チームには2017年から田中和基が、2021年から田中将大がそれぞれ在籍しているため、報道やスコアボードでは「田中貴」という表記を用いることになった。

移籍後は、イースタン・リーグ10試合で通算打率.450を記録したことなどを評価され、10月24日の対北海道日本ハムファイターズ戦(楽天生命パーク)から一軍公式戦9試合に出場。この試合では、「9番・捕手」としてプロ入り後初めて一軍公式戦のスタメンに起用されたほか、4回裏の第2打席で一軍公式戦初安打・初打点を河野竜生からの適時打でマーク。次にスタメンで起用された同月29日の対埼玉西武ライオンズ戦(メットライフドーム)では、3回表の打席でセーフティスクイズを成功させたほか、7回表の打席で一軍公式戦での初本塁打を放つなど、3安打3打点という活躍でチームの勝利に貢献した[16]。一軍公式戦全体では、打席数がわずか18ながらも、打率.400(15打数6安打)、出塁率.438、長打率.600を記録。オフに、50万円増となる推定年俸650万円で契約を更改し、「プロに入ってから最も充実した年」と述懐した[20]

2021年には、正捕手候補の1人として、春季キャンプのスタートからシーズン終了まで1年を通して一軍に帯同。指名打者としても出場するなど、シーズンではキャリアハイとなる31試合に出場した[21]。オフに、150万円増となる推定年俸800万円で契約を更改した[21]。また、ドラフト2位ルーキーの安田悠馬が背番号55を背負うこともあり、背番号が44に変更された[22]

2022年は、春季キャンプで右ふくらはぎの負傷により出遅れて、開幕を二軍で迎えたものの、6月11日の古巣巨人戦で一軍昇格し、シーズン終盤まで第3捕手として一軍に帯同した。オフには30万円増となる推定年俸830万円で契約を更改した[23]

2023年は、二軍で打率.202と振るわず、6年ぶりに一軍出場が0に終わった。

2024年は3年ぶりに開幕一軍入りを果たし第3捕手としてチームに貢献した。

選手としての特徴・人物

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二塁送球1.9秒の強肩を誇り、スローイング能力が高い[24]

沈み込むような個性的な打撃フォームから「潜水艦打法」とファンから名付けられた[25]

ポジティブ思考であり、どんな時でも元気を失わない[24]。また、研究熱心で人思いで優しい性格[24][25]

巨人時代は菅野智之と初めて試合でバッテリーを組んだ際、菅野に「4回まで首を振らなかったのはプロに入って初めて。面白い捕手だなと思った」と言わせた[25]

詳細情報

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年度別打撃成績

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O
P
S
2018 巨人 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- ---- ---- ----
2019 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- ---- ---- ----
2020 楽天 9 18 15 5 6 0 0 1 9 4 0 0 2 0 1 0 0 7 0 .400 .438 .600 1.038
2021 31 43 38 2 10 2 0 2 18 3 0 0 2 0 3 0 0 9 0 .263 .317 .474 .791
2022 18 19 17 2 2 0 0 0 2 1 0 0 0 0 1 0 1 7 0 .118 .211 .118 .328
2024 17 12 10 9 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 2 0 0 4 1 .100 .250 .100 .350
通算:6年 77 92 80 9 19 2 0 3 30 8 0 0 4 0 7 0 1 27 1 .238 .307 .375 .682
  • 2024年度シーズン終了時

年度別守備成績

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捕手






















2019 巨人 1 0 0 0 0 ---- 0 0 0 0 ----
2020 楽天 9 41 2 0 0 1.000 0 11 10 1 .091
2021 22 56 11 1 1 .985 0 8 6 2 .250
2022 16 30 9 1 1 .975 0 4 3 1 .250
2024 17 28 3 0 1 1.000 1 0 0 0 ----
通算 65 155 25 2 3 .989 1 23 19 4 .174
  • 2024年度シーズン終了時[注 2]

記録

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初記録

背番号

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  • 005(2015年 - 2017年7月30日)
  • 63(2017年7月31日 - 同年終了)
  • 69(2018年 - 2020年9月28日)
  • 55(2020年9月29日 - 2021年)
  • 44(2022年 - )

登場曲

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  • 「24/7」BIG BEAR(2016年)
  • 平和島B-DASH(2017年8月 - )
  • 「りんどう」WANIMA(2020年途中 - )

脚注

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注釈

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  1. ^ NPBでは例年(トレードを含む)シーズン中の新規支配下登録の期限を7月31日に定めているが、2020年には、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公式戦の開幕がおよそ3か月延期されたことに伴う特例措置として、期限を9月30日まで延長していた[17]
  2. ^ 2021年以降の企図数・許盗塁・盗塁刺・阻止率については参考文献参照。

出典

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  1. ^ 楽天 - 契約更改 - プロ野球」日刊スポーツ。2024年11月23日閲覧
  2. ^ 巨人の育成ドラフト3位に田中貴也選手-石垣・八重山商工育ての親に聞く」石垣経済新聞、2018年9月1日。2023年8月13日閲覧
  3. ^ 育成選手から目指す「ポスト阿部慎之助」田中貴也 人生最大のピンチを救ってくれた母のために」ベースボールチャンネル、2014年12月28日。2021年12月31日閲覧
  4. ^ 育成3位・山梨学院大の田中「本当にうれしい」」スポーツ報知、2014年10月23日。2014年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月24日閲覧
  5. ^ 【巨人】田中貴也、球団史上初の育成捕手で1軍キャンプ合流!」スポーツ報知、2017年2月21日。2017年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月22日閲覧
  6. ^ 2017年度 読売ジャイアンツ 個人打撃成績(オープン戦) 日本野球機構
  7. ^ 巨人・田中貴が育成から支配下選手に「1軍で活躍して恩返し」 デイリースポーツ 2017年7月31日
  8. ^ 2017アジアウインターベースボールリーグ(AWB)NPBメンバー一覧」日本野球機構、2017年11月17日。2017年11月19日閲覧
  9. ^ 【巨人】4年目・田中貴”珍”プロ初出場」スポーツ報知、2018年9月1日。2018年9月3日閲覧
  10. ^ 試合結果
  11. ^ 巨人沢村が右脇腹痛め登録抹消、田中貴也が昇格」『日刊スポーツ』2019年8月29日。2020年2月13日閲覧
  12. ^ 巨人 vs 広島 (2019年8月29日) - イニング速報 - 日程・結果 - プロ野球」『dメニュースポーツ』。2020年2月13日閲覧
  13. ^ 巨人、今村を登録 田中貴を抹消」『SANSPO.COM』2019年9月1日。2020年2月13日閲覧
  14. ^ 巨人田中貴也60万円増も出場1試合「悔しさしか」」『日刊スポーツ』2019年11月18日。2020年2月13日閲覧
  15. ^ アジアWリーグ開幕 中日根尾ら参加/メンバー一覧」『日刊スポーツ』2019年11月23日。2020年2月13日閲覧
  16. ^ a b 楽天・田中貴 先発起用に応えたプロ1号だ猛打賞だ!連敗止めパCS争い残った」『スポーツニッポン』2020年10月30日。2020年10月30日閲覧
  17. ^ 今季は延長十回まで、トレード期限は9月30日で合意」『サンケイスポーツ』2020年6月10日。2020年9月30日閲覧
  18. ^ 【楽天】田中貴也を巨人から金銭トレードで獲得 今季両球団間で3件目」『スポーツ報知』報知新聞社、2020年9月30日。2020年9月30日閲覧
  19. ^ トレード(2020年度)」『NPB.jp』日本野球機構。2020年9月30日閲覧
  20. ^ 楽天・田中貴、巨人から移籍で「一番充実した1年」 増額更改で正捕手獲り誓う」『Full-Count』2020年12月9日。2021年3月7日閲覧
  21. ^ a b 楽天田中貴也150万円増「すべてにおいてレベルアップしないといけない」」日刊スポーツ、2021年11月21日。2021年12月31日閲覧
  22. ^ 楽天田中貴也55→44 5選手の背番号変更と新任コーチの背番号発表」『日刊スポーツ』2021年11月18日。2023年2月21日閲覧
  23. ^ 【楽天】田中貴也30万円増の830万円 1軍18試合出場も「成績とか野球以外のことも評価」」『日刊スポーツ』2022年11月12日。2024年4月6日閲覧
  24. ^ a b c 巨人から楽天移籍の田中貴は「穴埋めではない」 石井一GMは二塁送球1.9秒を高評価」『Full-Count』2020年9月30日。2021年2月17日閲覧
  25. ^ a b c 巨人田中貴也、菅野も感心した研究熱心さと驚異の声」『日刊スポーツ』2020年9月29日。2021年2月17日閲覧

参考文献

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  • ベースボール・マガジン社 編『ベースボール・レコード・ブック』 2022日本プロ野球記録年鑑、ベースボール・マガジン社、2021年、296頁。ISBN 978-4-583-11429-3 
  • ベースボール・マガジン社 編『ベースボール・レコード・ブック』 2023日本プロ野球記録年鑑、ベースボール・マガジン社、2022年、52頁。ISBN 978-4-583-11546-7 
  • ベースボール・マガジン社 編『週刊ベースボール別冊新春号』 2024プロ野球総決算号、ベースボール・マガジン社、2024年12月17日、91頁。ASIN B00OR75QSS 

関連項目

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外部リンク

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