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ゴミシ(五味子)の名は、果実が[[甘味]]、[[酸味]]、[[辛み]]、[[苦味]]、{{ルビ|鹹|かん}}([[塩味]])をもつことから名付けられた{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=242}}<ref name="勝山2000" /><ref name="日本薬学会">{{Cite web|和書|author=磯田進・鳥居塚和生|date=|url=https://www.pharm.or.jp/herb/lfx-index-YM-200901.htm|title=チョウセンゴミシ|website=|publisher=公益社団法人日本薬学会|accessdate=2023-02-03}}</ref>。[[江戸時代]]に[[生薬]]として[[朝鮮半島]]から輸入されていたため、'''チョウセンゴミシ'''とよばれるようになった<ref name="日本薬学会" />。日本には産しない植物であると考えられていたが、輸入された五味子から得られた種子を[[平賀源内]]がお薬園で栽培し、これと同じ植物が日本にも自生していることが明らかとなった{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=242}}<ref name="日本薬学会" />。 |
ゴミシ(五味子)の名は、果実が[[甘味]]、[[酸味]]、[[辛み]]、[[苦味]]、{{ルビ|鹹|かん}}([[塩味]])をもつことから名付けられた{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=242}}<ref name="勝山2000" /><ref name="日本薬学会">{{Cite web|和書|author=磯田進・鳥居塚和生|date=|url=https://www.pharm.or.jp/herb/lfx-index-YM-200901.htm|title=チョウセンゴミシ|website=|publisher=公益社団法人日本薬学会|accessdate=2023-02-03}}</ref>。[[江戸時代]]に[[生薬]]として[[朝鮮半島]]から輸入されていたため、'''チョウセンゴミシ'''とよばれるようになった<ref name="日本薬学会" />。日本には産しない植物であると考えられていたが、輸入された五味子から得られた種子を[[平賀源内]]がお薬園で栽培し、これと同じ植物が日本にも自生していることが明らかとなった{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=242}}<ref name="日本薬学会" />。陶穀の『清異録』には「六亭劑」の別名がある<ref>{{Cite book|和書 |title=清異録 江淮異人録 |year=2012 |publisher=上海古籍出版社}}</ref>。 |
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2024年3月16日 (土) 09:18時点における最新版
チョウセンゴミシ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Schisandra chinensis (Turcz.) Baill., 1868[1][2] | ||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||
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チョウセンゴミシ(朝鮮五味子、学名: Schisandra chinensis)は、マツブサ科のマツブサ属に属する植物の1種である。落葉性のつる性木本であり、雌雄異株、5–7月頃に黄白色の花をつける(図1上)。果実は赤い液果で房状につき(図1下)、
名称
[編集]ゴミシ(五味子)の名は、果実が甘味、酸味、辛み、苦味、
特徴
[編集]落葉性のつる性木本であり、つるは左巻き[7][4][8]。葉は互生し、長枝には互いに離れてつき、短枝にはまとまってつく[4][8] (下図2a, b)。葉身は倒卵形から楕円形、4–10 x 2–6 cm、先端は鋭尖頭、基部は広いくさび形、葉縁には5–16個の波状鋸歯がある[1][7][4][8]。葉脈の側脈は3–7対[1][8]。葉の表面は黄緑色で無毛、葉脈の部分がくぼんでおり、裏面は淡緑色で葉脈上に毛がある[7][4][8] (下図2c)。葉柄は長さ 1–4 cm (葉身の長さの半分以下) であり、平滑[7][4][8][9]。冬芽は長卵形、長さ 3–6 mm、葉痕は円形から半円形[4]。
雌雄異株[注 2] (雄花と雌花が別の個体につく)[4]。花期は5–7月、花は短枝から生じた長さ 1–3 cm の花柄 (雌花の花柄の方が長い) の先につき、直径約 1 cm、芳香がある[1][7][4][9] (上図2b, 下図3a, b)。花被片は5–9枚、長楕円形 (4.5–10 x 1.1–4.2 mm)、黄白色[1][7][4]。雄花は4–7個の雄しべをもち、花糸が太く、葯は外向する[1][4][9] (下図3a)。花粉は6溝粒[9]。雌花は、丸い花托上についた14–40個の離生した雌しべをもつ (下図3b)。花柱は白色、子房は淡緑色で2個の胚珠を含む[1][7][4]。訪花者は多様であり、甲虫、ハナバチ、ガなどが報告されている[10]。花托が花後に伸長するため、個々の果実は離れてブドウの房状の集合果になる[7][4] (上図1下)。果実は液果、8–9月頃に赤熟し、大きさは不揃いであり (5–7.5 x 4–5 mm)、それぞれ1–2個の腎臓形の種子を含む[1][7][4] (下図32c)。種子の表面は平滑[7][4]。染色体数は 2n = 24, 28[1][7][9]。
分布・生態
[編集]日本を含むアジア北東部に分布する[3]。北海道、本州 (中部地方以北)、朝鮮半島、中国北部、シベリア東部、沿海州、アムール、ウスリー、サハリンに見られる[2][7]。
冷温帯に自生し[3]、落葉広葉樹林の林縁に生育する[4][8]。
人間との関わり
[編集]果実は五味子 (ゴミシ、朝鮮語:オミジャ、満州語:misu hūsiha) とよばれ[注 1]、生食用やジュース、五味子茶、五味子酒として利用される[12] (図4a, b)。
五味子は日本薬局方に生薬として収録され、鎮咳去痰作用、強壮作用などがあるとされる[12][13]。精油成分としてシトラール、セスキテルペン類としてα-chamigreneなど、リグナン類としてschizandrinやgomisin Aなどを含み[14]、小青竜湯、清肺湯、人参養栄湯、苓甘姜味辛夏仁湯、杏蘇散などの漢方方剤に配合される[12][13]。
長野県阿智村や喬木村では、健康増進のためにチョウセンゴミシのつるを風呂に入れ、入浴する伝統の民間療法がある[15]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Saunders, R. M. (2000). Systematic Botany Monographs vol. 58. Monograph of Schisandra (Schisandraceae). The American Society of Plant Taxonomists. pp. 94–99. ISBN 0-912861-58-4
- ^ a b c d e “Schisandra chinensis”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年6月24日閲覧。
- ^ a b c d 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 242.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 勝山輝男 (2000). “チョウセンゴミシ”. 樹に咲く花 離弁花1. 山と渓谷社. p. 389. ISBN 4-635-07003-4
- ^ a b c 磯田進・鳥居塚和生. “チョウセンゴミシ”. 公益社団法人日本薬学会. 2023年2月3日閲覧。
- ^ 『清異録 江淮異人録』上海古籍出版社、2012年。
- ^ a b c d e f g h i j k l 大橋広好 (2015). “マツブサ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 50–51. ISBN 978-4582535310
- ^ a b c d e f g 馬場多久男 (1999). “チョウセンゴミシ”. 葉でわかる樹木 625種の検索. 信濃毎日新聞社. p. 172. ISBN 978-4784098507
- ^ a b c d e Flora of China Editorial Committee (2008年). “Schisandra chinensis”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年7月16日閲覧。
- ^ Saunders, R. M. (2000). Systematic Botany Monographs vol. 58. Monograph of Schisandra (Schisandraceae). The American Society of Plant Taxonomists. pp. 30–32. ISBN 0-912861-58-4
- ^ 「五味子」『精選版 日本国語大辞典』 。コトバンクより2021年7月16日閲覧。
- ^ a b c “チョウセンゴミシ”. 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース. 2021年7月16日閲覧。
- ^ a b “ゴミシ”. 新常用和漢薬集. 公益社団法人東京生薬協会 (2017年3月1日). 2021年7月16日閲覧。
- ^ 竹谷孝一・木内文之・小松かつ子 (2017). パートナー生薬学 (改訂第3版). 南江堂. ISBN 978-4-524-40342-4
- ^ 『信州の民間薬』全212頁中83頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集
参考文献
[編集]- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、242頁。ISBN 4-522-21557-6。
外部リンク
[編集]- “ゴミシ”. 新常用和漢薬集. 公益社団法人東京生薬協会 (2017年3月1日). 2021年7月16日閲覧。
- 磯田進・鳥居塚和生. “チョウセンゴミシ”. 公益社団法人日本薬学会. 2021年7月16日閲覧。
- “チョウセンゴミシ”. イー薬草・ドット・コム. 一般社団法人 和ハーブ協会. 2021年7月16日閲覧。
- “チョウセンゴミシ”. 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース. 2021年7月16日閲覧。
- “チョウセンゴミシ”. 東邦大学薬学部付属薬用植物園. 2021年7月16日閲覧。
- “チョウセンゴミシ”. 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園. 2021年7月16日閲覧。
- “ゴミシ”. ユンケル. 佐藤製薬株式会社. 2021年7月16日閲覧。
- “Schisandra chinensis”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年6月24日閲覧。 (英語)