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「二酸化ケイ素」の版間の差分

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{{Otheruses|物質|その他}}
'''シリカ'''({{Lang-en-short|silica}}<ref>{{Cite book|和書
|author = [[文部省]]編
|title = [[学術用語集]] 海洋学編
|url = http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi
|year = 1981
|publisher = [[日本学術振興会]]
|isbn = 4-8181-8154-4
|pages =
}}</ref>)は、[[二酸化ケイ素]](SiO<sub>2</sub>)、もしくは二酸化ケイ素によって構成される[[物質]]の総称。シリカという呼び名のほかに'''無水ケイ酸'''、'''[[ケイ酸]]'''、'''酸化シリコン'''と呼ばれることもある。

純粋なシリカは[[無色]][[透明]]であるが、[[自然界]]には[[不純物]]を含む[[有色鉱物|有色]]のものも存在する。[[自然]]界では[[長石]]類に次いで産出量が多い。[[鉱物]]として存在するほか、生体内にも微量ながら含まれる。

== 性質 ==
=== 結晶性シリカと非結晶性シリカ ===
シリカは[[圧力]]や[[温度]]などの条件により、様々な形([[結晶]][[多形]])をとる。これによりシリカは[[石英]]などの結晶性シリカと、[[シリカゲル]]・未焼成の[[珪藻土]]や[[生物]]中に存在する非結晶性シリカの2つに大別される。

不溶性の結晶性シリカの一種である[[クリストバライト]]の[[粉塵]]に関しては、[[国際がん研究機関]](IARC)より[[発がん性]]があるとの指摘がされていたが<ref>[https://www.sanei.or.jp/images/contents/290/Silica_crystalline_carcinogenicity.pdf 発がん物質暫定物質(2001) の提案理由]日本産業衛生学会 許容濃度等に関する委員会(2001年4月6日)2018年1月13日閲覧</ref>、1997年および2012年よりヒトに対する[[発がん性]]が認められるグループ1に分類されている<ref name="IARC68"/><ref name="IARC100C">{{cite report|title=Silica Dust, Crystalline, in the form of Quartz or Cristobalite|work=IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans|volume=100C|year=2012|publisher=[[国際がん研究機関]](IARC)|url=http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol100C/index.php|accessdate=2018年2月17日}}</ref>。なお、[[食品添加物]]や[[顔料]]、[[健康食品]]、[[飲料水]]として使用されているシリカは非結晶性のものであり、ヒトに対する発がん性を分類できないグループ3に分類されている<ref name="IARC68">{{cite report|title=Silica, Some Silicates, Coal Dust and para-Aramid Fibrils|work=IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans|volume=68|year=1997|page=210-211|publisher=[[国際がん研究機関]](IARC)|url=http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol68/index.php|accessdate=2018年2月17日}}</ref>。

=== 自然界におけるシリカ ===
自然界では[[ケイ素]]は多くの場合、シリカの形をとっている。最も一般的な形状は石英である。また、[[砂]]の主成分であり、[[ガラス]]の原料となる[[珪砂]]もシリカからなる。[[地殻]]内にはシリカが大量に含まれており、[[地球]]の表層の約6割がシリカを含む鉱物によって構成されている。

=== 生物学上のシリカ ===
生物の中には、二酸化ケイ素の形でガラス質の[[骨格]]や[[殻]]を形成するものがあり、一部の[[シダ植物]]、[[イネ科]]の[[植物]]、[[コケ植物]]などの[[プラント・オパール]]や、[[ケイソウ]]類、[[放散虫]]などの骨格、[[枯草菌]]が作る[[芽胞]]などに利用されている。また、植物一般において成長促進や環境ストレスの低減、病害虫への耐性向上の効果がある。(''植物について詳しくは[[栄養素_(植物)#ケイ素]]参照'')

=== 人体中のシリカ ===
人体においてシリカはほとんど吸収されず、[[肝臓]]や[[腎臓]]への蓄積もほとんど行われない。水が付加したオルトケイ酸が血中に約1μg/mlの割合で吸収されるが、タンパク質とは反応せず、大部分が尿中に排泄される。<ref>{{cite report|title=食品添加物ケイ酸カルシウム|食品安全委員会|url=https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0809-5g.pdf|year=2007|accessdate=2021年11月25日}}</ref>

== 産業分野での利用 ==
=== 工業分野での利用 ===
[[工業]]生産されるシリカでも特に代表的なものはケイ酸を[[ゲル]]化した[[シリカゲル]](SiO<sub>2</sub>純度99.5%以上)であり、[[乾燥剤]]として食品や[[半導体]]の[[精密機器]]の保存から、[[消臭剤]]、[[農業]][[肥料]]、[[建築]]用[[調湿剤]]などに使われる。電子材料[[基板]]や[[シリコンウェハー]]などの[[研磨剤]]などに使用されるコロイダルシリカや、耐熱器具、[[実験器具]]や[[光ファイバー]]の原料として用いられる珪砂、[[珪石]]などを溶融した後冷却し、ガラス化させた[[石英ガラス]]の他、[[エナメル]]、[[シリカセメント]]、[[陶磁器]]、[[タイヤ]]の原料、液体[[クロマトグラフィー]]担体、[[電球]]や[[ブラウン管|CRTディスプレイ]]の表面などの[[表面処理]]剤、[[新聞紙]]の印刷インクの浸透防止など様々な分野において利用されている。また特殊な利用法として、戦車などの[[複合装甲]]として、セラミックの形で金属の間に挟んだものがある。

=== 化粧品・医薬品への添加 ===
微粒二酸化ケイ素としてのシリカは一般的な[[粉体]]と比べた場合、[[吸水性]]が低い。これを利用して、[[アイシャドー]]や[[ファンデーション (化粧品)|ファウンデーション]]といった[[化粧品]]において湿気による固形化を防ぐ役割として使用されるほか、安定化などの目的で[[クリーム (基礎化粧品)|クリーム]]や[[乳液]]に使用される。また[[硬度]]が高いことを利用し、[[歯磨き粉]]に研磨成分として用いられることもある。さらに[[医薬品]]においては、打錠用粉末の流動性を高めたり、錠剤の強度を高めるためのコーティング剤、軟膏・乳液の安定化のために使用されることもある。

=== 食品添加物としての利用 ===
シリカは、二酸化ケイ素ならびに微粒二酸化ケイ素の状態である。

食品添加物としてのシリカは、その吸着性を利用して、[[ビール]]や[[清酒]]、[[みりん]]といった[[醸造物]]や[[食用油]]、[[醤油]]、[[ソース (調味料)|ソース]]などの[[ろ過]]工程に使われるほか、[[砂糖]]、[[缶詰]]などの製造工程にも用いられている。微粒二酸化ケイ素は吸湿・乾燥材としても使用される。とくにふりかけ等の粉形食品には、湿気による“ダマ”を防ぐ目的で添加されることがある。ただし、[[厚生労働省]]の告示の中で「母乳代替食品及び離乳食に使用してはならない」と使用基準が示されている<ref name="MHW">{{Cite web|和書|title=厚生労働省行政情報、添加物使用基準リスト 2、『各添加物の使用基準及び保存基準』|page=二酸化ケイ素|date=2017年6月26日|url=http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/8aa11687a2aaf0c4492570650018d5ba|publisher=公益財団法人日本食品化学研究振興財団|accessdate=2018年2月17日}}</ref>。

食品添加物として利用される非結晶性のシリカは、体内で消化吸収されず、その大部分が便中に排出されるため身体に影響はない。人体には約1.8gの微量のケイ素が存在し、こうしたケイ素は[[ケイ酸]]など水溶性の化合物として食物から吸収される。

==== ろ過助剤 ====
シリカの持つ多孔質や吸着能力などを利用して、ろ過用の食品添加物として使用されている。ビールをはじめとした酒類の混濁防止や調味液などのオリ下げ、ビールの泡持ち改善として使用される。こうしたろ過助剤としてのシリカは不溶性であるためろ過過程で除去される。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{cite book
|authors = Kaufmann, Klaus, D.Sc.
|title=Silica: The Amazing Gel: An Essential Mineral for Radiant Health Recovery and Rejuvenation
|publisher= Alive Books, New York, NY
|year=1998
}}
* {{cite book/和書
|authors=
|translator=木村修一・小林修平 翻訳監修
|title=最新栄養学〔第9版〕―専門領域の最新情報―
|year=2007
|publisher=建帛社
}}
* {{cite journal
|authors = 篠原也寸志、神山宣彦
|title=シリカの物理化学的性質と作業環境測定方法
|work=特集「シリカの生体影響」
|journal=エアロゾル研究
|volume=16|number=4|page=269-274|year=2001
|doi=10.11203/jar.16.269
|ref="エアロゾル研究"
}}

== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|}} -->
* [[二酸化ケイ素]]
* [[ケイ酸]]
* [[ケイ酸塩]](シリケート)
* [[アルミノケイ酸塩]]
* [[メソポーラスシリカ]]
* [[シリカゲル]]
* [[ゼオライト]]
* [[石綿]](アスベスト)
* [[アエロジル]]
* [[鉱物]] - [[酸化鉱物]] - [[石英]]・[[鱗珪石]]・[[クリストバライト]]・[[コーサイト]]・[[スティショバイト]]
* [[富士シリシア化学]]

{{DEFAULTSORT:しりか}}
[[Category:二酸化ケイ素]]
[[Category:ケイ素の化合物]]
[[Category:食品添加物]]
[[Category:体質顔料]]

[[en:Silica]]

2023年12月24日 (日) 05:25時点における版

二酸化ケイ素
識別情報
CAS登録番号 7631-86-9 (シリカ), 14808-60-7 (石英)[1], 14464-46-1 (クリストバライト)[2], 15468-32-3 (鱗珪石)[2], 112926-00-8 (シリカゲル沈降シリカ)[2], 60676-86-0 (石英ガラス)[3]
日化辞番号 J43.598H
E番号 E551 (pH調整剤、固化防止剤)
KEGG C19572 (非晶質)
C16459 (石英)
D06521 (無水)
特性
化学式 SiO2
モル質量 60.1 g/mol
外観 白色の粉末
密度 2.196 g/cm3 (石英ガラス)[3]
結晶の密度は記事中の結晶構造の表を参照。
融点

1650 °C, 1923 K, 3002 °F (±75℃)

沸点

2230 °C, 2503 K, 4046 °F

への溶解度 0.012 g/100 mL ( °C)
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0808(石英)
ICSC 0809(クリストバライト)
ICSC 0807(鱗珪石)
結晶質シリカ(石英)
結晶質シリカ (クリストバライト)
結晶質シリカ (トリジマイト)
非晶質シリカ (シリカゲル、沈降シリカ)
非晶質シリカ (石英ガラス)
への危険性 場合によっては危険性がある。
NFPA 704
0
0
0
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

二酸化ケイ素(にさんかけいそ、:Silicon dioxide)は、化学式SiO2で表されるケイ素酸化物で、地殻を形成する物質の一つとして重要である。化学式SiO2シリカ: silica)、無水ケイ酸とも呼ばれる。圧力温度の条件により、石英: quartz、水晶)以外にもシリカ鉱物(SiO2)の多様な結晶相(結晶多形)が存在する。マグマの粘性を左右する物質でもある。

性質

結晶共有結合結晶であり、ケイ素原子を中心とする正四面体構造が酸素原子を介して無数に連なる構造をしている。

結晶多形

二酸化ケイ素は温度や圧力をかけると結晶構造が変化する(相変態を起こす)。結晶構造などは次の一覧項で説明する。

  • 温度を上昇させた時の相変化
常温常圧下ではα石英が安定だが、二酸化ケイ素は温度変化によって相変化を起こす。
以下に示す温度は常圧での温度であり、溶剤や圧力等により変化する[4][5]
α-石英― 573℃→β-石英― 870℃→ β‐トリディマイト― 1470℃→ β‐クリストバライト― 1705℃→ 溶解
しかし、β‐トリディマイトは不純物の無いβ-石英からは転移せず、この形態を経由するには添加物を加える必要がある。そうしない場合、1050℃でβ-石英からβ‐クリストバライトに直接相変化する[6]
上記の様に説明したが、大抵はβ-石英から1550℃で直接溶融する。これはそれぞれの結晶を構成するSiO4正四面体が、頂点の酸素を共有して結合して3次元的なネットワークを形成しているが、その結合の仕方が各結晶構造で異なるため簡単に相変化が起きない為である[7]
  • 温度を下げた時の相変化
β-トリディマイトを急速に冷却すると、114℃でα-トリディマイトとなる。
β-クリストバライトを急速に冷却すると、270℃でα-クリストバライトとなる。
  • 圧力による相変化
500 ℃から800 ℃、2~3 GPa以上になるとコーサイト[8][9]、1200 ℃10 GPa以上でスティショバイトに転移する[10]
ともに常温・常圧下では準安定状態で、隕石クレーターから発見されている[11][12]
コーサイトの生成条件は地球の深度70 km以下に相当し深部まで潜った岩石が上昇してきた超高圧変成岩で見つかっている[13][14]
マントル遷移層から下部マントル程度の高圧条件下ではスティショバイト構造をとると考えられている[15][16][17]
ザイフェルト石は、既知の多形の中で最も高い圧力40 GPaで発見されている。
実験室以外では、月隕石火星隕石でのみ見つかっている(地球への隕石では大気による減速で、ほとんど40 GPaに至らない)[18][19]

結晶構造

SiO2の結晶構造[20]
結晶対称性
ピアソン記号, group No.
密度, ρ
g/cm3
注釈 構造
α-石英
α-quartz
三方晶系
hP9, P3121 No.152[21]
2.648 鏡像異性体があり、それぞれ左右方向への3回らせん軸対称
573℃でβ-石英に変態
β-石英
β-quartz
六方晶系
hP18, P6222, No. 180[22]
2.533 鏡像異性体があり、それぞれ左右方向への6回らせん軸対称
α-トリディマイト
α-tridymite
直方晶系単斜晶系[7]
oS24, C2221, No.20[23]
2.265 常圧下で準安定状態
β-トリディマイト
β-tridymite
六方晶系
hP12, P63/mmc, No. 194[23]
α-トリディマイトと相互に速やかに変態する
β-トリディマイトは2010Kでβ-クリストバライトに変態する
α-クリストバライト
α-cristobalite
正方晶系
tP12, P41212, No. 92[24]
2.334 常圧下で準安定状態
β-クリストバライト
β-cristobalite
立方晶系
cF104, Fd3m, No.227[25]
α-クリストバライトと相互に速やかに変態する
1978 Kで溶融する
キータイト英語版 正方晶系
tP36, P41212, No. 92[26]
3.011 Si5O10, Si4O14, Si8O16
ガラス状シリカとアルカリから600-900Kおよび40-400MPaで合成
モガン石 単斜晶系
mS46, C2/c, No.15[27]
Si4O8Si6O12の環
コーサイト 単斜晶系
mS48, C2/c, No.15[28]
2.911 Si4O8Si8O16
900 K と3–3.5 GPaで合成
スティショバイト 正方晶系
tP6, P42/mnm, No.136[29]
4.287 シリカの多形体のうち最も密度の高いものの一つ
ルチル型構造
7.5–8.5 GPa
ザイフェルト石英語版 直方晶系
oP, Pbcn[30]
4.294 シリカの多形体のうち最も密度の高いものの一つ
40 GPaで得られる[31]
メラノフログ石英語版 立方晶系
(cP*, P4232, No.208)[32]
または 正方晶系
(P42/nbc)[33]
2.04 Si5O10, Si6O12
包摂化合物[34](青色はキセノン
高温相のβ-メラノフログ石がある
fibrous
W-silica[35]
直方晶系
oI12, Ibam, No.72[36]
1.97 硫化ケイ素の様な鎖状
: 2D silica[37] 六方晶系 シート状の2次元構造

利用

シリカ電球
電球の内側に、眩しさを防ぎ光を拡散させる目的で塗料として塗られる[38]
ガラス
無機ガラスの主成分である。
医薬品・化粧品
「無水ケイ酸」などと呼ばれ食品添加物化粧品などに用いられる。これについてはシリカ#食品添加物としての利用およびシリカ#化粧品・医薬品への添加を参照のこと。
加工品
その他
  • 陶器などの製造で石英が原材料として使用される[40]
  • シリコンを作る際の原料(炭素還元法:[41][42]

反応

二酸化ケイ素はフッ化水素ガス(HF)やフッ化水素酸(HF (aq))と反応し、それぞれ四フッ化ケイ素(SiF4)、ヘキサフルオロケイ酸 (H2SiF6)を生ずる。

また、固体の水酸化ナトリウム(NaOH)と熱することによりケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)が生成する。ケイ酸ナトリウムに水を加えて熱すると水ガラスとなる。

埋蔵量

二酸化ケイ素(シリカ)は石英、珪砂、珪石などの形で産出する。天然の石英の資源量には限りがあるが、工業的には代わりに人工石英がもちいられる[43]。珪砂や珪石の資源量は非常に潤沢であり、工業用の純度の高いものも世界中に広く分布する[44]

成熟した砂漠の砂にも多く含まれる。

危険性

粉体状のものを多量に吸入すると、塵肺の一種である珪肺の原因となる[45]ホークス・ネストトンネル災害などが発生し、鉱石採掘現場での労働災害が課題となった。シリカ結晶の粉体は、国際がん研究機関によりグループ1の「ヒトに対する発癌性が認められる」物質に指定されている。微粉末の吸入が問題なのであり、吸入しなければ問題は認められない。例えばある程度大きな結晶を素手で触れたとしても、それ自体は何ら問題ではない。

脚注

  1. ^ 国際化学物質安全性カード 二酸化ケイ素 ICSC番号:0808 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, https://chemicalsafety.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=0808&p_version=2&p_lang=ja 
  2. ^ a b c シリカ(結晶質、非晶質を包含した二酸化ケイ素)”. 職場の安全サイト. 厚生労働省 (2016年3月). 2018年2月20日閲覧。
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  4. ^ 熱とエネルギーを科学する 171p ISBN 4501419008
  5. ^ 鈴木隆夫、荒堀忠久、「ケイ石耐火物におけるトリジマイトからクリストバライトへの転移に及ぼすAl2O3の影響」『窯業協會誌』 89巻 (1981) 1036号 p.637-642, doi:10.2109/jcersj1950.89.1036_637
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参考文献

関連項目

外部リンク

シリカ: silica[1])は、二酸化ケイ素(SiO2)、もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称。シリカという呼び名のほかに無水ケイ酸ケイ酸酸化シリコンと呼ばれることもある。

純粋なシリカは無色透明であるが、自然界には不純物を含む有色のものも存在する。自然界では長石類に次いで産出量が多い。鉱物として存在するほか、生体内にも微量ながら含まれる。

性質

結晶性シリカと非結晶性シリカ

シリカは圧力温度などの条件により、様々な形(結晶多形)をとる。これによりシリカは石英などの結晶性シリカと、シリカゲル・未焼成の珪藻土生物中に存在する非結晶性シリカの2つに大別される。

不溶性の結晶性シリカの一種であるクリストバライト粉塵に関しては、国際がん研究機関(IARC)より発がん性があるとの指摘がされていたが[2]、1997年および2012年よりヒトに対する発がん性が認められるグループ1に分類されている[3][4]。なお、食品添加物顔料健康食品飲料水として使用されているシリカは非結晶性のものであり、ヒトに対する発がん性を分類できないグループ3に分類されている[3]

自然界におけるシリカ

自然界ではケイ素は多くの場合、シリカの形をとっている。最も一般的な形状は石英である。また、の主成分であり、ガラスの原料となる珪砂もシリカからなる。地殻内にはシリカが大量に含まれており、地球の表層の約6割がシリカを含む鉱物によって構成されている。

生物学上のシリカ

生物の中には、二酸化ケイ素の形でガラス質の骨格を形成するものがあり、一部のシダ植物イネ科植物コケ植物などのプラント・オパールや、ケイソウ類、放散虫などの骨格、枯草菌が作る芽胞などに利用されている。また、植物一般において成長促進や環境ストレスの低減、病害虫への耐性向上の効果がある。(植物について詳しくは栄養素_(植物)#ケイ素参照

人体中のシリカ

人体においてシリカはほとんど吸収されず、肝臓腎臓への蓄積もほとんど行われない。水が付加したオルトケイ酸が血中に約1μg/mlの割合で吸収されるが、タンパク質とは反応せず、大部分が尿中に排泄される。[5]

産業分野での利用

工業分野での利用

工業生産されるシリカでも特に代表的なものはケイ酸をゲル化したシリカゲル(SiO2純度99.5%以上)であり、乾燥剤として食品や半導体精密機器の保存から、消臭剤農業肥料建築調湿剤などに使われる。電子材料基板シリコンウェハーなどの研磨剤などに使用されるコロイダルシリカや、耐熱器具、実験器具光ファイバーの原料として用いられる珪砂、珪石などを溶融した後冷却し、ガラス化させた石英ガラスの他、エナメルシリカセメント陶磁器タイヤの原料、液体クロマトグラフィー担体、電球CRTディスプレイの表面などの表面処理剤、新聞紙の印刷インクの浸透防止など様々な分野において利用されている。また特殊な利用法として、戦車などの複合装甲として、セラミックの形で金属の間に挟んだものがある。

化粧品・医薬品への添加

微粒二酸化ケイ素としてのシリカは一般的な粉体と比べた場合、吸水性が低い。これを利用して、アイシャドーファウンデーションといった化粧品において湿気による固形化を防ぐ役割として使用されるほか、安定化などの目的でクリーム乳液に使用される。また硬度が高いことを利用し、歯磨き粉に研磨成分として用いられることもある。さらに医薬品においては、打錠用粉末の流動性を高めたり、錠剤の強度を高めるためのコーティング剤、軟膏・乳液の安定化のために使用されることもある。

食品添加物としての利用

シリカは、二酸化ケイ素ならびに微粒二酸化ケイ素の状態である。

食品添加物としてのシリカは、その吸着性を利用して、ビール清酒みりんといった醸造物食用油醤油ソースなどのろ過工程に使われるほか、砂糖缶詰などの製造工程にも用いられている。微粒二酸化ケイ素は吸湿・乾燥材としても使用される。とくにふりかけ等の粉形食品には、湿気による“ダマ”を防ぐ目的で添加されることがある。ただし、厚生労働省の告示の中で「母乳代替食品及び離乳食に使用してはならない」と使用基準が示されている[6]

食品添加物として利用される非結晶性のシリカは、体内で消化吸収されず、その大部分が便中に排出されるため身体に影響はない。人体には約1.8gの微量のケイ素が存在し、こうしたケイ素はケイ酸など水溶性の化合物として食物から吸収される。

ろ過助剤

シリカの持つ多孔質や吸着能力などを利用して、ろ過用の食品添加物として使用されている。ビールをはじめとした酒類の混濁防止や調味液などのオリ下げ、ビールの泡持ち改善として使用される。こうしたろ過助剤としてのシリカは不溶性であるためろ過過程で除去される。

脚注

  1. ^ 文部省編『学術用語集 海洋学編』日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8154-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ 発がん物質暫定物質(2001) の提案理由日本産業衛生学会 許容濃度等に関する委員会(2001年4月6日)2018年1月13日閲覧
  3. ^ a b Silica, Some Silicates, Coal Dust and para-Aramid Fibrils. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans (Report). Vol. 68. 国際がん研究機関(IARC). 1997. p. 210-211. 2018年2月17日閲覧
  4. ^ Silica Dust, Crystalline, in the form of Quartz or Cristobalite. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans (Report). Vol. 100C. 国際がん研究機関(IARC). 2012. 2018年2月17日閲覧
  5. ^ 食品添加物ケイ酸カルシウム|食品安全委員会 (PDF) (Report). 2007. 2021年11月25日閲覧
  6. ^ 厚生労働省行政情報、添加物使用基準リスト 2、『各添加物の使用基準及び保存基準』”. 公益財団法人日本食品化学研究振興財団. p. 二酸化ケイ素 (2017年6月26日). 2018年2月17日閲覧。

参考文献

  • Kaufmann, Klaus, D.Sc. (1998). Silica: The Amazing Gel: An Essential Mineral for Radiant Health Recovery and Rejuvenation. Alive Books, New York, NY 
  • 『最新栄養学〔第9版〕―専門領域の最新情報―』木村修一・小林修平 翻訳監修訳、建帛社、2007年。
  • 篠原也寸志、神山宣彦 (2001). “シリカの物理化学的性質と作業環境測定方法”. エアロゾル研究 16 (4): 269-274. doi:10.11203/jar.16.269. 

関連項目

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