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「抱きしめたい (ビートルズの曲)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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{{Infobox Single
| Name = 抱きしめたい
| Artist = [[ビートルズ]]
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| B-side = {{Plainlist|
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| Released = {{Plainlist|
* {{flagicon|UK}} 1963年11月29日
* {{flagicon|USA}} 1963年12月26日
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* 1963年10月17日
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| Length = 2分24秒
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| Writer = [[レノン=マッカートニー]]
| Producer = [[ジョージ・マーティン]]
| Certification = [[#認定|後述]]を参照
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| Album = [[パスト・マスターズ#パスト・マスターズ Vol.1|パスト・マスターズ Vol.1]]
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| prev_track = アイル・ゲット・ユー
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{{External music video|{{YouTube|jenWdylTtzs|「I Want To Hold Your Hand (Performed Live On The Ed Sullivan Show 2/9/64)」}}
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{{After float}}
「'''抱きしめたい'''」(だきしめたい、原題 : {{Lang|en|''I Want To Hold Your Hand''}})は、[[ビートルズ]]の楽曲である。[[レノン=マッカートニー]]の作品で、1963年10月17日にレコーディングされた本作は、ビートルズの楽曲で初めて4トラック・レコーダーが使用された楽曲の1つとされている。1963年11月にシングル盤として発売され、イギリスでは100万枚を超える予約注文があったことにより、発売日にして[[全英シングルチャート]]で第1位を獲得した。以後5週連続で1位を獲得し、21週にわたって上位50位以内にチャートインした{{Sfn|Gambaccini|1991|p=27}}。アメリカでは、1964年1月18日付の[[Billboard Hot 100]]に初登場45位を獲得し、1964年2月1日にアメリカでは初となる1位を獲得した。以後7週連続で1位を獲得し、15週にわたってチャートインした{{Sfn|Harry|1985|p=66}}。

初期の代表作であり、1998年に{{仮リンク|グラミー殿堂賞|en|Grammy Hall of Fame}}を受賞<ref name="grammy1998">{{Cite web |title=GRAMMY Hall Of Fame |url=https://www.grammy.com/grammys/awards/hall-of-fame |website=GRAMMY.com |publisher=[[ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス|Recording Academy]] |accessdate=2021-09-09 }}</ref>。2018年に『[[ビルボード]]』誌が発表したオールタイム・チャートで第48位を獲得<ref name="Hot 100 turns 60">{{Cite web |title=Hot 100 turns 60 |url=https://www.billboard.com/charts/hot-100-60th-anniversary |work=[[ビルボード|Billboard]] |accessdate=2020-08-29 }}</ref>。[[ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500]](2021年版)では第15位にランクされている<ref name="RSTop500">{{Cite web|url=https://www.rollingstone.com/music/music-lists/best-songs-of-all-time-1224767/the-beatles-i-want-to-hold-your-hand-2-1225323|title=The 500 Greatest Songs of All Time|date=2021-09-15|access-date=2021-12-21|website=Rolling Stone|language=en-US}}</ref>。

== 背景・曲の構成 ==
ビートルズは、2作目のシングル『[[プリーズ・プリーズ・ミー (曲)|プリーズ・プリーズ・ミー]]』で『メロディー・メイカー』誌と『[[ニュー・ミュージカル・エクスプレス]]』誌で1位を獲得。しかし、アメリカでの発売権を与えられた[[キャピトル・レコード]]は、ビートルズのレコードの発売を拒否。しかし、『[[ライフ (雑誌)|ライフ]]』誌や『[[ニューズウィーク]]』誌がビートルズを記事にし、[[ラジオ]]の[[ディスクジョッキー#ラジオDJ|DJ]]がビートルズのレコードをかけ始めると、次第にアメリカでもビートルズが知られるようになり、キャピトルの方から「レコードを販売させて欲しい」と要請して来た{{Sfn|Beatles|2000|pp=114-115}}。

マッカートニーは、1963年初頭に[[ジェーン・アッシャー]]との交際を始め、{{仮リンク|ウィンポル・ストリート|en|Wimpole Street}}にある{{仮リンク|リチャード・アラン・ジョン・アッシャー|en|Richard Asher}}と{{仮リンク|マーガレット・アッシャー|en|Margaret Eliot}}の自宅を間借りしていた。この場所は、マッカートニーとレノンの新しい執筆拠点となり、本作は自宅の地下室にあるピアノを使用して書かれた。このことについて、レノンは1980年の『[[プレイボーイ (雑誌)|プレイボーイ]]』誌のインタビューで、「1対1で正面から向き合って、僕たちは一緒にたくさんの曲を書いた。『抱きしめたい』もそう。この曲のコードは僕らがジェーン・アッシャーの家にいたときに思いついたもので、ふたりで地下の倉庫でピアノを鳴らしながら"Oh you got that something..."って歌ってたらポールがコードを叩いたんだ。それで僕はポールに『今のをもう一度弾いて!』と言った。あの頃の僕らはそんな感じで曲を作っていた」と語っている<ref>{{Cite book |title=The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono - The Final |publisher=Berkley Books |date=January 1, 1982 |isbn=978-0425059890 }}</ref>。

1994年にマッカートニーは、前述のレノンのコメントについて「『正面から向き合って』というのは的を射た説明だ。まさにそんな感じ。『抱きしめたい』はまさに2人の共作なんだ」と語っている{{Sfn|Miles|1997|p=108}}。音楽評論家の{{仮リンク|イアン・マクドナルド (音楽評論家)|label=イアン・マクドナルド|en|Ian MacDonald}}は、本作の作詞の経緯について「抒情的で柔らかく、2人でランダムにフレーズを考え出し、サウンドに合っているものを繋ぎ合わせた可能性がある」としている{{Sfn|MacDonald|1998|p=91}}。

== レコーディング ==
「抱きしめたい」のレコーディングは、1963年10月17日に[[EMIレコーディング・スタジオ]]のスタジオ2で行なわれた。本作は「[[ジス・ボーイ]]」と同じく、ビートルズが初めて4トラック・レコーダーを使用してレコーディングを行った楽曲で、完成までに17回録り直されている{{Sfn|Lewisohn|1988|p=38}}。1963年10月21日に[[ジョージ・マーティン]]によって[[ステレオ|ステレオ・ミックス]]と[[ステレオ#モノラル再生|モノラル・ミックス]]が作成された{{Sfn|Lewisohn|1996|p=125}}。ちなみにステレオ・ミックスに関しては、1965年6月8日に新たに作成され{{Sfn|Lewisohn|1996|p=194}}、その後1966年11月7日にはオーストラリアやドイツで発売されたコンピレーション・アルバムのために再び作られている{{Sfn|Lewisohn|1996|p=23}}。

なお、1964年1月27日にはパリのパテ・マルコーニスタジオでドイツ語バージョンのレコーディングが行われた(詳細は[[#抱きしめたい(ドイツ語)|後述]]を参照)。

== リリース ==
「抱きしめたい」のシングル盤は、イギリスでは1963年11月29日に[[パーロフォン]]から発売され、B面には「[[ジス・ボーイ]]」が収録された。シングル盤は予約だけで100万枚を記録し<ref name="news1242-20181129">{{Cite web |title=1963年11月29日、ザ・ビートルズ「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」がイギリスで発売 |url=https://news.1242.com/article/162157 |website=ニッポン放送 NEWS ONLINE |publisher=[[ニッポン放送]] |date=2018-11-29 |accessdate=2020-08-29 }}</ref>、発売日の1963年11月29日時点で[[全英シングルチャート]]で1位を獲得<ref name="UKchart" /><ref>{{Cite web |title=ザ・ビートルズ、アメリカ征服までの長い軌跡:様々なレーベルからの発売といまだ破られない全米TOP5独占 |url=https://www.udiscovermusic.jp/stories/the-beatles-us-invasion |website=uDiscover |publisher=[[ユニバーサルミュージック (日本)|UNIVERSAL MUSIC JAPAN]] |date=2020-05-11 |accessdate=2020-08-29 }}</ref>。初登場1位獲得後、5週連続で1位を獲得し、21週にわたって上位50位以内にチャートインした{{Sfn|Gambaccini|1991|p=27}}。

これを受けて、これまでビートルズのレコードの発売を拒否していた[[キャピトル・レコード]]も考えを改め、レコードの発売権の独占契約を締結<ref name="news1242-20181129" />。1963年12月26日にB面に「[[アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア]]」<ref group="注釈">オリジナル・シングルのなかで英パーロフォン盤と米キャピトル盤で、B面曲が変更されたのは『[[ア・ハード・デイズ・ナイト (曲)|ア・ハード・デイズ・ナイト]]』と『抱きしめたい』の2作品のみとなっている。</ref>を収録したシングル盤が発売された。1964年1月18日付の[[Billboard Hot 100]]で初登場45位を記録し<ref>{{Cite web |title=The Hot 100 Chart |url=https://www.billboard.com/charts/hot-100/1964-01-18 |publisher=Billboard |date=1964-01-18 |accessdate=2020-08-29 }}</ref>、2月1日付の同チャートでアメリカでは初となる第1位を獲得<ref name="Hot100">{{Cite web |title=The Hot 100 Chart |url=https://www.billboard.com/charts/hot-100/1964-02-01 |publisher=Billboard |date=1964-02-01 |accessdate=2020-08-29 }}</ref>。以降7週連続で第1位を獲得し、15週に渡ってチャートインを果たした{{Sfn|Harry|1985|p=66}}。また、同1964年度年間ランキングでも第1位<ref name="BillboardYearEnd" />。『[[キャッシュボックス]]』誌では、8週連続第1位を記録し、年間でも第1位となっている。アメリカだけでも500万枚以上、イギリスでも170万枚以上のセールスを記録し、『[[シー・ラヴズ・ユー]]』に続いてミリオン・セラーとなった。全世界で1,200万枚をセールス。世界歴代シングル売上第5位([[ギネス・ワールド・レコーズ]]認定による)。

アメリカでは、キャピトル・レコードからの1作目のアルバム『[[ミート・ザ・ビートルズ]]』にも収録された。イギリスでは、オリジナル・アルバムには未収録となっており、1966年に発売されたコンピレーション・アルバム『[[オールディーズ (アルバム)|オールディーズ]]』でアルバム初収録となった。このほか『[[ザ・ビートルズ・ビート]]』、『[[ザ・ビートルズ1962年〜1966年]]』、『[[ザ・ビートルズ/グレイテスト・ヒッツ]]』、『[[リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス]]』、『[[ビートルズ・イン・イタリー]]』、『[[20グレイテスト・ヒッツ]]』、『[[パスト・マスターズ#パスト・マスターズ Vol.1|パスト・マスターズ Vol.1]]』、『[[ザ・ビートルズ1]]』などのコンピレーション・アルバムに収録された。なお、2006年に発売された[[シルク・ドゥ・ソレイユ]]のショーのサウンドトラック・アルバム『[[LOVE (ビートルズのアルバム)|LOVE]]』には、[[ハリウッド・ボウル]]でのライブ音源とミックスされた音源が収録された<ref name="EntertainmentWeekly">{{cite web|title=Labor of ''LOVE'' |first=Chris |last=Willman |work=Entertainment Weekly |date=2006-11-29 |accessdate=2020-08-29 |url=http://www.ew.com/ew/report/0,6115,1562172_4_0_,00.html |archiveurl=https://web.archive.org/web/20091206083511/http://www.ew.com/ew/article/0%2C%2C1562172%2C00.html |archivedate=2009-12-06 |deadurl=yes |df= }}</ref><ref>{{Cite web |title=マーティン親子による楽曲解説 |url=http://www.toshiba-emi.co.jp/beatles/special/love_comment.htm |website=Sound Town :: ザ・ビートルズ 日本オフィシャルサイト |publisher=[[EMIミュージック・ジャパン|東芝EMI]] |accessdate=2020-08-29 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070222131110/http://www.toshiba-emi.co.jp/beatles/special/love_comment.htm |archivedate=2007-02-22 |deadlinkdate=2020年8月 }}</ref>。

日本においては、1964年2月5日にデビューシングルとして発売された([[EMIミュージック・ジャパン|東芝音楽工業]]オデオン・レーベル・OR-1041)。東芝音楽工業では当初、「[[プリーズ・プリーズ・ミー (曲)|プリーズ・プリーズ・ミー]]」を日本でのビートルズのデビュー曲に決めていたが、アメリカでの熱狂ぶりを考慮して急遽発売が前倒しされた。そのため1964年発売当時のレコード番号は『プリーズ・プリーズ・ミー』の方が若い(OR-1024)。また既にジャケット等の印刷が始まった後でリリース順が変更されたことから、初期ロットの一部にはジャケットの差し替えが間に合わず『プリーズ・プリーズ・ミー』を第1弾シングルとして掲載しているものがある<ref>{{Cite news |title=[[高嶋弘之]] ビートルズとカレッジポップス |newspaper=[[東京スポーツ]] |publisher=東京スポーツ新聞社 |date=2010-12-15 }}</ref>。 ただし1964年当時における東芝音楽工業の発売日記録はなく、当時の新聞記事(2月5日『プリーズ・プリーズ・ミー』発売、2月10日『抱きしめたい』発売)から判断して、実質的な発売も前倒しが間に合わなかった可能性がある<ref>{{Cite book |和書 |author=大村亨|authorlink=大村亨 |title=ビートルズと日本 熱狂の記録 |publisher=[[シンコーミュージック・エンタテイメント]] |date=2016年4月20日 |pages=44-47 }}</ref>。その後、日本での1作目のアルバムとして発売された編集盤『[[ビートルズ!]]』に収録された。

== 抱きしめたい(ドイツ語) ==
{{Infobox Single
| Name = 抱きしめたい(ドイツ語)
| Artist = [[ビートルズ]]
| B-side = [[シー・ラヴズ・ユー#シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)|シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)]]
| Released = {{flagicon|ドイツ}} 1964年3月5日
| Format = [[シングル#シングル・レコード|7インチシングル]]
| Recorded = {{Plainlist|
* 1963年10月17日
* [[EMIレコーディング・スタジオ]]
* 1964年1月29日
* EMI パテ・マルコーニスタジオ
}}
| Genre = [[ロックンロール]]
| Length = 2分25秒
| Label = {{flagicon|ドイツ}} [[オデオンレコード]]
| Writer = [[レノン=マッカートニー]]={{仮リンク|キャミロ・フェルゲン|label=ニコラス=ヘルマー|en|Camillo Felgen}}
| Producer = [[ジョージ・マーティン]]
| Chart position =
| Misc = {{Extra track listing
| Album = [[パスト・マスターズ#パスト・マスターズ Vol.1|パスト・マスターズ Vol.1]]
| Type = Compilation
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}}
}}
{{After float}}
1964年にドイツ語版「'''抱きしめたい(ドイツ語)'''」(原題 : {{Lang|de|''Komm, Gib Mir Deine Hand''}})が発表された。タイトルの"{{Lang|de|''Komm, Gib Mir Deine Hand''}}"を邦訳すると、「来て、あなたの手を取りたい」という意味になり、オリジナルの「あなたの手を握りたい」と似たようなものになっているが、歌詞はオリジナルをドイツ語訳したものではなく、自由に詩作されている。

EMIの西ドイツ支部のプロデューサー、オット・デムラーの要請により、[[ルクセンブルク]]出身のタレントである{{仮リンク|キャミロ・フェルゲン|en|Camillo Felgen}}{{Refnest|group="注釈"|ジャン・ニコラス({{Lang|en|''Jean Nicolas''}})とハインツ・ヘルマー({{Lang|en|''Heinz Hellmer''}})は同一人物で、フェルゲンのペンネーム。}}によってドイツ語の詞が書き下ろされた<ref name="About">{{Cite web |title=German Songs: The Beatles in German - Camillo Felgen |url=http://german.about.com/library/blmus_beatles.htm |archiveurl=https://web.archive.org/web/20040715001622/http://german.about.com/library/blmus_beatles.htm |archivedate=2004-07-15 |url-status=live |newspaper=About.com |publisher=A PRIMEDIA |accessdate=2020-08-29 |location=New York City, NY |df=dmy-all }}</ref>。レコーディングは1964年1月29日にパリのパテ・マルコーニ・スタジオで行われており、同じ日に「[[シー・ラヴズ・ユー#シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)|シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)]]」も録音されている<ref group="注釈">なお、このドイツ語版2曲のレコーディングは予定より早く終了したため、残り時間を使って「[[キャント・バイ・ミー・ラヴ]]」が録音された。</ref>。この2曲をカップリングしたシングルは1964年に[[西ドイツ]]と[[オーストラリア]]で発売された。ただしビートルズはこれら録音に気乗りせずレコーディング当日に予約していたスタジオに出向かず、滞在していたホテルに立てこもった。事態の収拾をつけるべくプロデューサーの[[ジョージ・マーティン]]がホテルに出向いてビートルズを説得してスタジオに向かわせたという。彼らがマーティンに反抗したのは、この時が初めてだった<ref>{{Cite book |和書 |author=マーク・ルーイスン |title=ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版 |year=2009 |publisher=[[シンコーミュージック・エンタテイメント]] |page=61 |isbn=978-4401632947 }}</ref>。

イギリスではビートルズ解散の8年半後の1978年12月2日に発売されたアルバム『[[レアリティーズ (ビートルズのアルバム)|レアリティーズ]]』で初収録となり、アメリカでは1964年7月20日に発売された[[キャピトル・レコード|キャピトル]]編集盤『[[サムシング・ニュー (ビートルズのアルバム)|サムシング・ニュー]]』、日本では1965年5月5日に発売された編集盤『[[ビートルズ No.5!]]』に収録された。CD作品では、1988年3月にリリースされたコンピレーション・アルバム『[[パスト・マスターズ#パスト・マスターズ Vol.1|パスト・マスターズ Vol.1]]』で初収録となった。

2019年に公開された映画『[[クリス・コルファー]]』のオープニング・テーマとして使用された<ref>{{Cite web |title=映画『ジョジョ・ラビット』、ビートルズとドイツの関係、そしてデビッド・ボウイが起用された意味 |url=https://www.udiscovermusic.jp/columns/jojo-rabbit-and-the-beatles-in-germany-david-bowie |website=uDiscover |publisher=UNIVERSAL MUSIC JAPAN |date=2020-02-13 |accessdate=2020-08-29 }}</ref>。

== 評価・文化的影響 ==
[[AP通信]]のシンシア・ローリーは、[[ビートルマニア]]への苛立ちを露わにし、本作について「もうじゅうぶんに聴いただろう。ラジオの天気予報を聞いていても、時報を聞いていても『抱きしめたい』が流れてこないことはありえない」と述べている<ref>{{Cite web |title=The Beatles invade America, what the press was saying 50 years ago |url=https://www.fox8live.com/story/24675777/the-beatles-invade-america-what-the-press-was-saying-50-years-ago/ |website=Fox8Live |publisher=A Gray Media Group |date=2014-02-10 |accessdate=2021-09-09 }}</ref>。

音楽評論家の{{仮リンク|イアン・マクドナルド (音楽評論家)|label=イアン・マクドナルド|en|Ian MacDonald}}は、本作が「アメリカン・ポップスに衝撃を与えた」とし、「黒人であろうと白人であろうと、『抱きしめたい』について聞かれたアメリカのアーティストはみな、ほとんど同じことを言っている。この曲があらゆるものを変化させ、新しい時代を到来を告げたと同時に、自分たちの人生を変えたと」と述べている{{Sfn|MacDonald|1998|p=89}}。[[ボブ・ディラン]]は「彼らは誰もやったことがないことをやっていた。彼らのコードはとにかく無茶苦茶だけど、ハーモニーがすべてを成立させていた」と語っている。ディランは、一時期本作の一節「{{Lang|en|I can't hide}}」を「{{Lang|en|I get high}}」と歌っていると勘違い<ref group="注釈">後に発表された「[[イッツ・オンリー・ラヴ (ビートルズの曲)|イッツ・オンリー・ラヴ]]」や「[[ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ]]」では、実際に「{{Lang|en|I get high}}」と歌っている。</ref>していて、ビートルズと実際に対面した際に誰もマリファナを吸ったことがないことを知って驚いたことを明かしている<ref>{{cite news| last=Segal| first=David| title=The Rock Journalist at a High Point in Music History| date=2005-08-03| newspaper=The Washington Post| url=https://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/08/02/AR2005080201920.html|accessdate=2019-01-03}}</ref>。[[ザ・ビーチ・ボーイズ]]の[[ブライアン・ウィルソン]]は、本作を初めて聴いた時「体中に衝撃が走ったような気がした」と語っている{{sfn|Mojo Special Limited Edition|2002|p=4}}。

『ローリング・ストーン・アルバム・ガイド』(2004年版)で、{{仮リンク|ロブ・シェフィールド|en|Rob Sheffield}}は、「ビートルズは誰もが一生かけても処理しきれないほどの素晴らしい音楽を残した。スピーカーから炸裂する『抱きしめたい』の情熱的な歌声、ドラム、歌詞、ギター、そして女の子の熱狂的な悲鳴…ビートルズはこの曲を超えることはなかったと言っても侮辱にはならない。誰もこの曲を越えることが出来なかったのだから。人間の騒音の歴史の中で最も喜びに満ちた3分間だ」と評している<ref>{{cite book |editor-last1=Brackett |editor-first1=Nathan |editor-last2=Hoard |editor-first2=Christian |year=2004 |title=The New Rolling Stone Album Guide |edition=4th |location=New York City |publisher=Fireside/Simon & Schuster |isbn=0-7432-0169-8 |page=[https://archive.org/details/newrollingstonea00brac/page/51 51] |url-access=registration |url=https://archive.org/details/newrollingstonea00brac/page/51 }}</ref>。

本作は1964年の[[グラミー賞]]で最優秀レコード賞にノミネートされた<ref>{{Cite web |title=The Beatles {{!}} Artist |url=https://www.grammy.com/grammys/artists/beatles/16293 |website=GRAMMY.com |publisher=Recording Academy |accessdate=2021-09-09 }}</ref>。その後、1998年に{{仮リンク|グラミー殿堂賞|en|Grammy Hall of Fame}}を受賞した<ref name="grammy1998" />。2010年に『[[ローリング・ストーン]]』誌が発表した「{{Lang|en|100 Greatest Beatles Songs}}」では「[[ア・デイ・イン・ザ・ライフ (代表的なトピック)|ア・デイ・イン・ザ・ライフ]]<!-- 「WP:CARMEN」に基づく内部リンクの設定ですので、変更しないでください。 -->」に次ぐ第2位にランクイン<ref>{{Cite web |title=2: I Want to Hold Your Hand |url=https://www.rollingstone.com/music/lists/100-greatest-beatles-songs-20110919/i-want-to-hold-your-hand-19691231|work=100 Greatest Beatles Songs|publisher=Rolling Stone|accessdate=2021-09-09}}</ref>。『[[モジョ (雑誌)|モジョ]]』誌が発表した「100 Records That Changed the World」では、[[リトル・リチャード]]の「{{仮リンク|トゥッティ・フルッティ (曲)|label=トゥッティ・フルッティ|en|Tutti Frutti (song)}}」次ぐ第2位にランクインした<ref>{{Cite web |title=Big Bangs: 100 Records That Changed the World |date=June 2007 |work=MOJO |publisher=Rocklist.net |url=http://www.rocklistmusic.co.uk/mojo.html#100%20Records%20That%20Changed%20the%20World|accessdate=2021-09-09}}</ref>。なお、2018年12月時点で「抱きしめたい」は、イギリスで18番目の売上枚数が多いシングルとなっている<ref>{{Cite web|url=https://www.officialcharts.com/chart-news/the-best-selling-singles-of-all-time-on-the-official-uk-chart__21298/ |last=Myers|first=Justin|date=14 December 2018|title=The best-selling singles of all time on the Official UK Chart|publisher=[[:en:Official Charts Company|Official Charts Company]]|accessdate=2021-09-09}}</ref>。「[[ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500]]」(2021年版)では第15位に選ばれている<ref name="RSTop500" />。

== クレジット ==
== クレジット ==
※出典{{Sfn|MacDonald|1998|p=87}}
※出典{{Sfn|MacDonald|1998|p=87}}

2023年1月11日 (水) 13:34時点における版

ビートルズ > 作品リスト > 抱きしめたい (ビートルズの曲)
ビートルズ > 曲名リスト > 抱きしめたい (ビートルズの曲)

クレジット

※出典[1]

チャート成績

週間チャート

チャート (1963年 - 1964年) 最高位
オーストラリア (Kent Music Report)[2] 1
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[3] 3
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[4] 6
オランダ (Single Top 100)[5] 1
アイルランド (IRMA)[6]
2
ニュージーランド (Lever Hit Parade)[7] 1
ノルウェー (VG-lista)[8] 1
スウェーデン (Kvällstoppen Chart)[9] 1
UK シングルス (OCC)[10] 1
US Billboard Hot 100[11] 1
US Cash Box Top 100[12] 1
西ドイツ (Media Control Singles Chart)[13] 1

月間チャート

チャート (1964年) 最高位
日本 (ミュージック・マンスリー)[14] 3

年間チャート

チャート (1963年) 順位
オーストラリア 1
チャート (1964年) 順位
US Billboard Hot 100[15] 1
US Cash Box[16] 1

オールタイム・チャート

チャート (1958年 - 2018年) 順位
US Billboard Hot 100[17] 48

認定

国/地域 認定 認定/売上数
イギリス (BPI)[18] Silver 200,000double-dagger
アメリカ合衆国 (RIAA)[19] Gold 1,000,000^

^ 認定のみに基づく出荷枚数
double-dagger 認定のみに基づく売上数と再生回数

カバー・バージョン

本作はカバー・バージョンが多数発表されており、以下のようなものがある。

脚注

注釈

  1. ^ タイトルは「Dame tu mano y ven」

出典

  1. ^ MacDonald 1998, p. 87.
  2. ^ Kent, David (2005). Australian Chart Book (1940-1969). Turramurra: Australian Chart Book. ISBN 0-646-44439-5 
  3. ^ "Ultratop.be – The Beatles – I Want to Hold Your Hand" (in French). Ultratop 50. 2020年9月29日閲覧。
  4. ^ "Ultratop.be – The Beatles – I Want to Hold Your Hand" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年8月29日閲覧。
  5. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – I Want to Hold Your Hand" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月29日閲覧。
  6. ^ The Irish Charts - Search Results - I Wanna Hold Your Hand”. Irish Singles Chart. 2022年3月27日閲覧。
  7. ^ charts.nz”. charts.nz. 2020年8月29日閲覧。
  8. ^ "Norwegiancharts.com – The Beatles – I Want to Hold Your Hand". VG-lista. 2020年8月29日閲覧。
  9. ^ Swedish Charts 1962 - March 1966/Kvällstoppen - Listresultaten vecka för vecka > Januari 1964” (Swedish). hitsallertijden.nl. 2020年8月29日閲覧。
  10. ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月29日閲覧。
  11. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「Hot100」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  12. ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950-1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32-34 
  13. ^ Offizielle Deutsche Charts” (Enter "Beatles" in the search box) (German). GfK Entertainment Charts. 2020年8月29日閲覧。
  14. ^ 『日経BPムック 大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 世界制覇50年』日経BP、2015年、97頁。ISBN 978-4-8222-7834-2 
  15. ^ “Top Records of 1964”. Billboard: 6. (January 2, 1965). http://www.americanradiohistory.com/Archive-Billboard/60s/1965/Billboard%201965-01-02.pdf. 
  16. ^ Cash Box YE Pop Singles - 1964”. Music Outfitters. 2020年8月29日閲覧。
  17. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「Hot 100 turns 60」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  18. ^ "British single certifications – The Beatles – I Want to Hold Your Hand". British Phonographic Industry. 2020年8月29日閲覧 Select singles in the Format field. Select Silver in the Certification field. Type I Want to Hold Your Hand in the "Search BPI Awards" field and then press Enter.
  19. ^ "American single certifications – The Beatles – I Want to Hold Your Hand". Recording Industry Association of America. 2020年8月29日閲覧
  20. ^ Boston Pops Orchestra Arthur Fiedler”. Billboard. 2020年8月29日閲覧。
  21. ^ Official Singles Chart Top 75 (20 January 1980 - 26 January 1980)”. Official Charts Company (1980年1月20日). 2020年8月29日閲覧。
  22. ^ Lakeside - I Want To Hold Your Hand(Hot R&B/Hip-Hop Songs Chart)”. Billboard. 2020年8月29日閲覧。
  23. ^ Yesterday [Original Motion Picture Soundtrack] - Original Motion Picture Soundtrack | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月29日閲覧。

参考文献

外部リンク

先代
Billboard Hot 100 第1位
1965年5月22日
次代
先代
  • ビートルズ
  • 「シー・ラヴズ・ユー」
全英シングルチャート 第1位
1963年12月12日 - 1964年1月15日(3週)
次代