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* 長谷川光広(特撮)
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『'''地震列島'''』(じしんれっとう)は、[[1980年]]([[昭和]]55年)公開の日本の映画作品。[[大森健次郎]]監督。[[東宝映画 (企業)|東宝映画]]製作、東宝配給{{R|東宝特撮映画大全集200}}。カラー、ビスタビジョン{{R|映画資料室|全史550|東宝特撮映画大全集200}}。
『'''地震列島'''』(じしんれっとう)は、[[1980年]]([[昭和]]55年)公開の日本の映画作品。[[大森健次郎]]監督。[[TOHOスタジオ|東宝映画]]製作、東宝配給{{R|東宝特撮映画大全集200}}。カラー、ビスタビジョン{{R|映画資料室|全史550|東宝特撮映画大全集200}}。


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[[首都直下型地震]]を題材とした[[パニック映画]]である{{R|全史408}}。

2022年3月27日 (日) 22:11時点における版

地震列島
  • DEATHQUAKE[1]
  • MAGNITUDE 7.9[2]
監督 大森健次郎
脚本 新藤兼人
製作 田中友幸
出演者
音楽 津島利章
主題歌 しばたはつみ「アメジスト・サンレイ」
撮影
  • 西垣六郎(本編)
  • 山本武(特撮)
  • 長谷川光広(特撮)
製作会社 東宝映画[4][5]
配給 東宝[4][5]
公開 日本の旗 1980年8月30日[4][5]
上映時間 127分[5][1][2]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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地震列島』(じしんれっとう)は、1980年昭和55年)公開の日本の映画作品。大森健次郎監督。東宝映画製作、東宝配給[2]。カラー、ビスタビジョン[4][5][2]

首都直下型地震を題材としたパニック映画である[6]

キャッチコピーは「これだけは神ですら止められない」「いつか来るとは知っていたが 今日、来るとは知らなかった!」。

解説

本作の製作当時、大規模地震対策特別措置法の施行による地震防災対策強化地域の指定や、同法による警戒宣言時措置の発表などにより、東海地震の発生が現実味を帯びていた[7]。これらの世論の動きに加え、1970年代の『日本沈没』、『ノストラダムスの大予言』など東宝特撮におけるパニック映画の路線を継承し、かつ『大地震』や『ポセイドン・アドベンチャー』などのアメリカのパニック映画に見られる男女の恋愛を加味した作品として製作された[3][8][注釈 1]。準備稿では、登場人物はいずれも背徳的に描かれており、被災するのは神罰というニュアンスが込められていた[10]

本作のスタッフは、よみうりテレビ東宝映像が制作したテレビ映画東京大地震マグニチュード8.1』(主演:千葉真一、監督:西村潔1980年4月17日放送)[11][12]を参考に試写していた[13][7]。なお、同作品の参考資料『大地震』の著者である小板橋二郎真鍋繁樹千葉仁志は、本作にも協力している。

ライター会社とCMタイアップが行われたが、新藤兼人の脚本はこれを逆手に取ってライターをドラマのキーに用いた大胆なものであり、パニック映画とは畑違いの監督である大森健次郎が恋愛描写の方に繊細な味を発揮した結果、ユニークな作品となった。

あらすじ

1981年5月14日、地震学者の川津陽一は、現代の東京を関東大震災級の大地震が再び襲う可能性が高いと察知して学会や政府に訴えるが、相手にされなかった。そんな折、各地に設置してある観測機器(傾斜計)の異常が次々と発覚し、いつ地震が来てもおかしくない状態にあることが判明する。翌日に地震予知会議の招集を決めるも時すでに遅く、マグニチュード7.9(相模トラフ震源)の大地震が東京を襲った。

羽田空港では着陸直後の航空機が地割れで盛り上がった滑走路に乗り上げ、爆発する。都心部も建物が崩壊し、コンビナートや高速道路上の車が爆発し、地上は火の海と化した。一方、地下鉄や地下街は隅田川などが陥没して東京湾からの水が流入し、水責めの様相となる。そのため、警視庁や東京消防庁、自衛隊の救出部隊は被災地となった都心部への救助・消火活動を行おうにも身動きが取れず、またそれに対応する体制を持っていなかった。そして、爆発火災による黒煙や熱風で遮られ、救助のヘリコプターが墜落するという二次災害も起きてしまう。政府も次第に打つ手がなくなり、総理大臣や官房長官は川津の警告に耳を貸さなかったことを後悔する。

そんな窮地に際し、崩壊したマンションに閉じ込められた橋詰や芦田と地下鉄に閉じ込められた川津夫妻など、乗客たちは脱出を試みる。

キャスト

参照[4][14][8]

※以上は映画クレジット順。以下はクレジット表記なし。

スタッフ

参照[4][5][8]

撮影

劇中で芦田富子が暮らしていたとされるマンションは、東京都世田谷区内の首都高速道路沿線に実在するものである[7][注釈 4]。これについて、特技監督の中野昭慶は「実在の建物が被害を受ける様子を見せた方が、よりリアリティを持って見てもらえるであろうと考えた」と語っている[16]。ミニチュアセットにおけるマンション以外の建造物は、基本的にストーリーに沿って架空の建造物が配置されていた(首都高速の線形も実在のものと異なる)。また、首都高速の爆発や勝鬨橋の倒壊シーンなどは、過去の東宝特撮作品(『日本沈没』など)から流用されている。

富子の部屋のセットでは、地震動シミュレーターのようにセット下にスプリングを設置しており、50人のスタッフでセットを揺らして地震を再現した[7]

地下鉄のトンネル崩壊と水の流入による構内水没シーンは地下鉄銀座線丸ノ内線赤坂見附駅周辺が舞台として使われ、撮影には製作費1000万円の実物大車輌と2000万円の駅構内セットが特撮大プールに設けられた[7][注釈 5][注釈 6]この描写に対して営団地下鉄(現・東京メトロ)からは「耐震構造は基準を充足しており、あのような事態は起こり得ない」とクレームがついた。[要出典]トンネルに水を流す撮影では、水落としが途中で故障し、スクリプターが流されていたという[17]

備考

  • 建築基準法耐震基準が厳格化されたのは本作の公開翌年の1981年からであったため、公開当時ほとんどの建物は厳格化前に建てられたものである。そのため、公開当時本当に発生した場合、この作品のようなことまでは行かないまでも木造建築を中心に倒壊の恐れは十分考えられた。事実、公開から15年後の1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災兵庫県南部地震)で崩壊した建物の大半はその厳格化以前に建てられ、かつ耐震補強されていないものである。また、本作でも描写されている高速道路の橋脚・橋げたも実際に倒壊している(阪神高速道路神戸線)。
  • 地震発生後の官邸地下の対策室で救助活動が進行していないことに総理大臣が「消防庁は何をしている?」と自治大臣[注釈 7]を問い質し、自治大臣が「レスキューにしても消防庁の消防車・救急車にしても、これだけの大災害に対応する力は元々持っておりません」と弁明する会話がある。『日本沈没』以降、大災害を描いた作品が何度も製作されているにもかかわらず、現実には何ら対策が施されていないことを批判するシーンだが、大災害・大事故に対応する東京消防庁消防救助機動部隊(通称:ハイパーレスキュー隊)が実際に発足したのは、阪神・淡路大震災発生後の1996年12月である。
  • 川津陽一がテレビの情報番組に出演するためにテレビ局を訪れるシーンでは、当時新宿区市谷河田町に所在したフジテレビ社屋および周辺がロケ地として使われた。
  • ららぽーとTOKYO-BAYに所在していた「地震館」では、震度MAXになると目の前のスクリーンに本作のクライマックス、都市崩壊の特撮場面が映し出された。
  • 予告編では、サウンドトラックとしてエクトル・ベルリオーズ作曲の幻想交響曲第5楽章「魔女の夜宴の夢」が使用されている。

テレビ放映 

映像ソフト

  • VHS 品番 TG4545S[22]
  • LD 品番 TLL2207[22]
  • DVD
    • 『地震列島』(2003年9月25日、東宝
    • 『地震列島』期間限定プライス版(2014年2月7日、東宝)
    • 『地震列島』東宝DVD名作セレクション第4弾(2015年8月19日、東宝)

サウンドトラック

脚注

注釈

  1. ^ 書籍『ゴジラ大全集』では、特撮と愛憎劇がアンバランスであり、スペクタクルとパニックを取り違えていると評している[9]
  2. ^ KENアクションクラブがスタントを担当[7]
  3. ^ a b c クレジット表記なし。
  4. ^ このマンションは、2020年2月現在も現存している。
  5. ^ 車両を沈めた穴は、1973年にアメリカ映画『MARCO』の撮影で掘られたものを用いている[7]
  6. ^ 作品のごく一部に実際の赤坂見附駅構内でゲリラ撮影を行ったという指摘が、一部マニア誌において当時なされたという[要文献特定詳細情報]
  7. ^ 公開当時の消防庁の所管大臣、2001年総務大臣に移管。

出典

  1. ^ a b ゴジラ画報 1999, p. 198, 「地震列島」
  2. ^ a b c d 東宝特撮映画大全集 2012, p. 200, 「『地震列島』」
  3. ^ a b c 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p38
  4. ^ a b c d e f g h 映画資料室”. viewer.kintoneapp.com. 2022年2月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 東宝特撮映画全史 1983, p. 550, 「東宝特撮映画作品リスト」
  6. ^ 東宝特撮映画全史 1983, pp. 408–409, 「東宝特撮映画作品史 地震列島」
  7. ^ a b c d e f g h 東宝特撮映画大全集 2012, p. 203, 「『地震列島』撮影秘話/川北監督に訊く」
  8. ^ a b c d e f g h i 東宝特撮映画大全集 2012, p. 201, 「『地震列島』作品解説/俳優名鑑」
  9. ^ ゴジラ大全集 1994, pp. 72–73, 「東宝特撮映画史 ゴジラ誕生 特撮復権にむけて」
  10. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 202, 「『地震列島』資料館/撮影秘話-特別編-」
  11. ^ 壬生智裕 (2013年8月4日). “幻のテレビ映画が33年ぶりにスクリーンで上映!千葉真一主演の「東京大地震マグニチュード8.1」”. シネマトゥデイ. http://www.cinematoday.jp/page/N0055192 2014年12月28日閲覧。 
  12. ^ “秋葉原で「燃えよ特撮!祭」開催へ-「東京大地震マグニチュード 8.1」上映”. アキバ経済新聞. (2013年7月23日). http://akiba.keizai.biz/headline/3077/ 2014年12月28日閲覧。 
  13. ^ 川北紘一『特撮魂 ~東宝特撮奮戦記~』、洋泉社、2010年1月22日、137頁。 
  14. ^ 東宝特撮映画全史 1983, p. 538, 「主要特撮作品配役リスト」
  15. ^ 著名人が紹介する銀座 映画フォトグラファー 石月美徳
  16. ^ DVD特典映像での発言[要文献特定詳細情報]
  17. ^ 東宝特撮映画全史 1983, pp. 410–411, 「東宝特撮映画作品史 地震列島」
  18. ^ 朝日新聞朝日新聞社。1982年11月1日、同日付の朝刊・テレビ欄より。
  19. ^ 『朝日新聞』朝日新聞社。1984年9月3日、同日付の朝刊・テレビ欄より。
  20. ^ 『朝日新聞』朝日新聞社。1991年8月2日、同日付の朝刊・テレビ欄より。
  21. ^ 『朝日新聞』朝日新聞社。1993年9月11日、同日付の朝刊・テレビ欄より。
  22. ^ a b 日本特撮映画図鑑 1999, p. 143, 「東宝特撮作品 ビデオLDラインナップ 特撮シリーズ」
  23. ^ 地震列島オリジナルサウンドトラック”. Toshiaki Tsushima Discography. 2021年9月17日閲覧。
  24. ^ 東宝映画「地震列島」”. 国立国会図書館サーチ. 2021年9月17日閲覧。

参考文献

  • 『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5 
  • テレビマガジン特別編集 誕生40周年記念 ゴジラ大全集』構成・執筆:岩畠寿明(エープロダクション)、赤井政尚、講談社、1994年9月1日。ISBN 4-06-178417-X 
  • 『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日。ISBN 4-415-09405-8 
  • 『ゴジラ画報 東宝幻想映画半世紀の歩み』(第3版)竹書房、1999年12月24日(原著1993年12月21日)。ISBN 4-8124-0581-5 
  • 『東宝特撮映画大全集』執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし、ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 978-4-86491-013-2 

外部リンク