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'''宇都宮ライトレール株式会社'''(うつのみやライトレール)は、[[栃木県]]の[[宇都宮市]]と[[芳賀郡]][[芳賀町]]を結ぶ[[ライトレール]]路線(LRT)を運行するために設立された[[第三セクター]]方式の[[軌道法|軌道事業者]]である。 |
'''宇都宮ライトレール株式会社'''(うつのみやライトレール)は、[[栃木県]]の[[宇都宮市]]と[[芳賀郡]][[芳賀町]]を結ぶ[[ライトレール]]路線(LRT)を運行するために設立された[[第三セクター]]方式の[[軌道法|軌道事業者]]である。 |
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既存路線の延伸、改良を伴わない全くの新線としてライトレールが建設されるのは日本初の事例であり、それまで[[路面電車]]が存在しなかった都市へ[[軌道法]]に基づいた路線が開通するのは[[1948年]]の[[富山地方鉄道]][[加越能鉄道伏木線|伏木線]](現:[[万葉線]][[万葉線高岡軌道線|高岡軌道線]])以来となる<ref name="toyo-keizai_20151022"/><ref>{{cite journal|author = LRTA|authorlink = ライト・レール・トランジット・アソシエーション|title = New tramway plan for Utsunomiya|journal = Tramways & Urban Transit No.948|volume = 79|date = 2016-12|publisher = [[ライト・レール・トランジット・アソシエーション|LRTA]]|pages = 456|url = http://www.bowe.cc/techlib/pdf/Tramways__amp__Urban_Transit_vol79_no948_1494290336.pdf|accessdate = 2020-5-20}}</ref><ref>{{cite web|url = https://www.city.takaoka.toyama.jp/kotsu/kurashi/kotsu/kokyo/manyosen/index.html |title = 路面電車「万葉線」 |publisher = [[高岡市]] |accessdate = 2020-5-20}}</ref>。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
2020年9月27日 (日) 09:22時点における版
本社のある宇都宮アクシスビル | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本店所在地 |
日本 〒320-0806 栃木県宇都宮市中央1丁目1番1号 宇都宮アクシスビル406号室座標: 北緯36度33分34秒 東経139度52分56秒 / 北緯36.559544度 東経139.882136度[1] |
設立 | 2015年11月6日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 1060001027696 |
事業内容 |
軌道法による運輸事業 車体・車内広告等の広告業 工芸品・食料品・日用雑貨・煙草・医薬品等の物品の販売 不動産の売買・交換・賃貸借及びその仲介並びに所有・管理及び運用 |
代表者 | 高井徹(元 宇都宮市副市長)[1] |
資本金 | 4億9,000万円[1] |
発行済株式総数 | 3,000株 |
従業員数 | 4名 |
主要株主 |
宇都宮市 40.80% とちぎライトレール支援持株会 22.80% 関東自動車 11.00% 芳賀町 10.20% 足利銀行 5.00% 栃木銀行 5.00% (2019年3月31日現在[2]) |
外部リンク | http://www.miyarail.co.jp/ |
特記事項:主要株主の出典:[3] |
宇都宮ライトレール株式会社(うつのみやライトレール)は、栃木県の宇都宮市と芳賀郡芳賀町を結ぶライトレール路線(LRT)を運行するために設立された第三セクター方式の軌道事業者である。
既存路線の延伸、改良を伴わない全くの新線としてライトレールが建設されるのは日本初の事例であり、それまで路面電車が存在しなかった都市へ軌道法に基づいた路線が開通するのは1948年の富山地方鉄道伏木線(現:万葉線高岡軌道線)以来となる[4][5][6]。
概要
新交通システム構想
宇都宮市では1990年代から公共交通ネットワークを検討する中で、新交通システムについての調査が行われており、1995年に発表した「宇都宮都市圏交通マスタープラン」に基づき、2001年から2002年にかけて「新交通システム導入基本計画策定調査」、2007年から2008年にかけて事業・運営手法および施設計画に関する調査が実施された[7]。宇都宮市が2008年3月に発表した「第5次宇都宮市総合計画」および2010年4月に策定した「第2次宇都宮市都市計画マスタープラン」では、人口減少、超高齢社会への対応と持続的な都市発展を目指すため、ネットワーク型コンパクトシティの形成が提唱されており、これを踏まえて2009年9月に策定された「宇都宮都市交通戦略」において、宇都宮駅を中心とした総合的な公共交通ネットワークの基軸となる東西基幹公共交通の導入が検討され、2013年3月「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」として、LRT導入の方針が示された[7]。
事業化
LRTの事業化に向けて詳細検討を行うため、有識者による検討組織である「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」が設置され、2013年11月21日に初会合が開催された。検討委員会は、有識者4名(大学教員および公認会計士)、行政委員2名(宇都宮市副市長、芳賀町副町長)、行政アドバイザー10名(国土交通省都市局・関東地方整備局、関東運輸局、栃木県県土整備部、栃木県警察本部など)、オブザーバーとして周辺自治体(鹿沼市、上三川町、益子町、茂木町、市貝町、壬生町、高根沢町)および公共交通事業者(東日本旅客鉄道大宮支社、東武鉄道、関東自動車、東野交通[8]、ジェイアールバス関東、栃木県タクシー協会)によって構成されている。
事業主体は、民間公共交通事業者が単独で運営、複数の民間事業者による新会社設立、官民連携による新会社設立の3つのケースが検討されていた。民間軌道事業者14社と地元公共交通事業者5社に対して行った事前の事業参画意向調査では、4社が事業参画へ関心を示していたが、2015年6月から7月にかけて行われた「宇都宮市・芳賀町LRT事業の運営を担う意向のある事業者募集」の結果、民間事業者による単独・連合での提案はなく、関東自動車が官民連携による新会社設立を提案したのみであった[9]。提案内容も人員確保、資金調達、リスク分担などの面で行政側に頼る内容であったことから、宇都宮市と芳賀町は方針を転換し、自治体が主体的な役割を担う第三セクター方式で新会社を設立することが決定した[9]。また、東京急行電鉄や富山地方鉄道、京福電気鉄道、岡山電気軌道、広島電鉄が運転士養成、技術研修など人材育成、技術提供での協力を表明している[4]。
設立時の出資比率は、宇都宮市と芳賀町が合わせて51%、民間が49%となるが、設立3〜4年目には増資により出資比率を逆転させる計画である[10]。民間からは、下野新聞社・とちぎテレビ・宇都宮ケーブルテレビ・栃木信用金庫・フタバ食品など地元企業26社により構成されるとちぎライトレール支援持株会、地域の公共交通事業者である関東自動車・東武鉄道・東野交通[8]、地方銀行である足利銀行・栃木銀行、商工会議所が出資する[11]。なお、今後の増資にあたっては、栃木県も出資する方針が示されている[12]。
設立前の仮称では、社名はとちぎ県央LRT株式会社とされていたが、出資者や知事の意見を踏まえ、分かりやすい名称として現在のものに変更された[13]。
沿革
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 3月 - 反対派市民団体による住民投票条例制定の請求を宇都宮市議会が反対多数で再否決[14]。
- 6月1日 - 第6回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 8月3日 - 第7回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 8月24日 - 第8回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 6月15日-7月6日 - 「宇都宮市・芳賀町LRT事業の運営を担う意向のある事業者募集」実施。
- 7月28日 - 事業者募集の結果を受け宇都宮市と芳賀町が主体的な役割を担う「官民連携による新会社」の設立を発表。
- 9月 - 宇都宮市議会、芳賀町議会で「官民連携による新会社」の設立に係る議案を議決[14]。
- 9月 - 反対派市民団体による住民投票条例制定の請求を宇都宮市議会が反対多数で再々否決[14]。
- 10月6日 - 第9回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 10月23日 - 出資予定者による設立発起人会を開催[11]。
- 11月6日 - 創立総会、取締役会を宇都宮市役所で開催。宇都宮ライトレール株式会社設立[11]。
- 11月9日 - 登記申請[11]。
- 11月12日 - 第10回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 2016年(平成28年)
- 1月20日 - 第11回「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」を開催。
- 1月22日 - 軌道運送高度化実施計画を国土交通省関東運輸局へ申請(軌道法の特許申請)[15]。
- 7月26日 - 国土交通省運輸審議会が宇都宮ライトレールの軌道運送高度化実施計画について公聴会を開催[16]。
- 9月8日 - 国土交通省運輸審議会が国土交通大臣へ、宇都宮ライトレールの軌道運送高度化実施計画について認定することが適当であると答申書を提出[17]。
- 9月26日 - 国土交通大臣、宇都宮ライトレールの軌道運送高度化実施計画を認定[18]。
- 10月26日 - デザインコンセプトを発表[19]
- 11月22日 - 同日投開票の宇都宮市長選にて推進派の佐藤栄一が再選(4期目)。
- 同選ではLRT事業が大きな争点となり、得票差は約6200票と接戦となった[20]。
- 12月21日 - 宇都宮市が当初2019年度を見込んでいた開業を見送り、延期する方針を固めたことが報道される[21]。
- 2017年(平成29年)
- 1月1日 - 栃木県知事の福田富一がLRT事業への県の参画について表明[12]。
- 3月22日 - 同日開催の第15回芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会において、宇都宮市が清原工業団地トランジットセンター(清原管理センター前(仮称)停留場隣接)の整備用地について、デュポン日本法人が、宇都宮事業所の駐車場跡地を提供する方針であることが報道される[22]。
- 3月31日 - 社長の高井徹が宇都宮市副市長を辞任し、同社の経営に専念[23]。
- 7月11日 - 同日の宇都宮市議会議員協議会で、2017年度着工、2022年3月開業の整備スケジュールを発表。このほか、宇都宮駅東側のバス再編案の公表、駅西側のLRT整備区間・バス再編についてイメージを示す[24][25]。
- 8月9日 - 宇都宮市と芳賀町、宇都宮ライトレールの3者が工事施行認可を国(国土交通大臣)に申請[26]。
- 9月29日 - 宇都宮市議会9月定例会で工事施行認可申請に伴う市道へのLRT軌道敷設に同意する議案が可決[27]。
- 10月10日 - 栃木県議会9月通常会議の最終本会議で軌道敷設工事施行認可申請に同意する議案等が可決[28]。
- 2018年(平成30年)
- 2020年(令和2年)
- 2022年(令和4年)
鉄軌道事業
路線
宇都宮ライトレール | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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停留所名はいずれも仮称 |
全体整備区間として、宇都宮市区間の宇都宮市街地中心部西側の桜通り十文字交差点(宇都宮市桜2丁目[24])[北緯36.565214度0分0秒 東経139.867640度0分0秒]からJR宇都宮駅を経由して宇都宮テクノポリス[北緯36.567778度0分0秒 東経139.992517度0分0秒]までの延長約12kmと、芳賀町区間の芳賀・高根沢工業団地までの約3kmが計画されている。地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく上下分離方式を採用し、宇都宮市・芳賀町が設備を保有し、宇都宮ライトレールが運行を行う[7]。
なお、本路線の「専用軌道」は軌道建設規定および軌道運転規則における「新設軌道」ではなく、LRTのみが走行する道路扱いとなる[36]。これにより、(特認を受けない限り)最高速度が40km/hに制限される一方で、地方交付税交付金の算定基礎となる道路の面積および延長に含まれることとなる。本路線に関しては当事者が「専用軌道」という語句を用いているため、以下「専用軌道」に統一する。
優先着工区間
JR宇都宮駅東口(宇都宮市宮みらい[24])[北緯36.558681度0分0秒 東経139.899211度0分0秒]から本田技研北門(芳賀町下高根沢[24])[北緯36.579249度0分0秒 東経140.011732度0分0秒]までの14.6kmが優先整備区間として、先行整備される予定である。先行整備区間については、当初2019年12月の開業を目指していた[37]が、その後、宇都宮市は2017年7月11日の市議会議員協議会で、2017年度着工、2022年3月開業とする整備スケジュールを発表している[24]。
検討初期段階での優先開業区間の総事業費は260億円(全区間で383億円)を見込んでいたが、運行車両数の見直し、平出町付近のルート変更、快速運転のための設備追加などにより、約406億円へ上方修正された[4]。さらに軌道運送高度化事業の申請時点では458億円となり、うち246億3400万円は社会資本整備総合交付金の助成を受け、残りを一般公共事業債で調達する[37]。
将来延伸検討区間
JR宇都宮駅西口[北緯36.559155度0分0秒 東経139.897784度0分0秒]から桜通り十文字付近までの宇都宮駅西側区間約3kmについては、2017年に当初計画の終点である「桜通り十文字付近」から、自動車との乗り継ぎや観光振興の視点から、西側へ延伸を検討していることが示され[24]、2017年8月29日の『下野新聞』報道によれば、案として作新学院高校や宇都宮文星女子高校の通学需要が見込める栃木県護国神社以西を念頭に、その西の宇都宮環状道路(栃木県道3号宇都宮亀和田栃木線)との結節部、さらに西に計画されている東北自動車道・大谷スマートIC(仮称)付近などへの延伸が検討され、2017年度内にも計画をまとめる予定とされている[38]。
宇都宮駅交差区間については、駅北側を迂回し宇都宮線と東北新幹線の間をくぐる形で高架橋を建設することで、東側区間と西側区間を接続する計画である[39]。
このほか、芳賀工業団地から直進して芳賀町中心部方面、東武宇都宮駅付近から南側への延伸が構想されている[40]。
路線データ
軌間は宇都宮近郊に乗り入れる他路線との直通運転の可能性を考慮して、狭軌(1,067mm)が採用された。開業時点では全線の最高速度は40km/hであるが、将来的には軌道法上の特認を得て、併用軌道区間では50km/h、鬼怒川を渡る専用軌道区間では70km/hの高速運転を行う計画である。快速運転を行うため、途中駅に待避線が設けられる[41]。所要時間は宇都宮駅東口からベルモール前までが11分、終点の本田技研北門までは44分を見込んでいる[42]。
車両基地は、車両運用の効率性、延伸時の拡張性、本線からの出入庫の利便性、施設稼働時の周辺環境への影響などを考慮した結果、平出町停留場から分岐し、新4号国道付近へ設置される予定である。25編成程度を収容可能な留置線、全般検査に対応する車両検修・整備施設、保線部門、運行部門などの本社機能を収容する管理棟などが設置され、4ha程度の規模を予定している[43]。 変電所は国道4号付近、新4号国道付近、清原管理センター付近、芳賀工業団地管理センター付近の合計4箇所に設置される予定である[43]。
- 優先整備区間
- 路線距離(営業キロ):全長14.6km[37]
- 軌間:1067mm[37]
- 電圧:直流750V[37]
- 最急勾配:60‰(作新学院北停留場付近)[46]
- 最急曲線半径:25m(JR宇都宮駅東口停留場付近)[46]
- 駅数:19駅(起終点駅含む)[37]
- 複線区間:全線[37]
- 電化区間:全線[37]
- 待避設備:2駅[37](当初計画では4駅)
- 車両基地:1箇所[37](新4号国道付近)
- 変電所:4箇所[37]
停留場一覧
停留場名は全て仮称である。トランジットセンターは5箇所で、バスアンドライド(接続バス停留所)、パークアンドライド(駐車場)、タクシー乗り場、サイクルアンドライド(駐輪場)などが整備される[47][48][49]。
- 背景が橙色の停留場はトランジットセンター。
- 軌道…※:清原工業団地北 - テクノポリス西間に立体交差に伴う専用軌道あり
- 他交通との結節…●:その交通と結節がある、あるいは計画されていることを示す。このほか全停留場に駐輪場を整備[47]。
- 優先整備区間
軌道 | 停留場名 | 他交通との結節(自転車除く)[47] | 近隣主要施設・備考 | 行政域 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
バス | タクシー | P&R | 地域内 交通 |
鉄道 | ||||
併用軌道 | JR宇都宮駅東口 | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 東北新幹線 ■ 宇都宮線(東北本線) ■ 烏山線[* 1]■ 日光線 |
宇都宮市 | ||
宿郷町 | ||||||||
東宿郷 | ||||||||
今泉町 | ||||||||
陽東 | ||||||||
ベルモール前 | ● | ● | ● | ベルモール 宇都宮大学陽東キャンパス | ||||
専用軌道 | 平出町 | ● | ● | ● | 車両基地隣接[48] | |||
下平出 | ● | 市立平石中央小学校 | ||||||
下竹下 | ● | |||||||
作新学院北 | 作新学院大学 県立宇都宮清陵高校 | |||||||
併用 | 清原管理センター前 | ● | ● | ● | ● | 宇都宮清原体育館[北緯36.545749度0分0秒 東経139.983078度0分0秒] 宇都宮清原球場 | ||
清原工業団地北 | 栃木県グリーンスタジアム | |||||||
※ | ||||||||
テクノポリス西 | ● | |||||||
併用軌道 | ||||||||
テクノポリス中央 | ||||||||
テクノポリス東 | ||||||||
芳賀台 | 芳賀郡 | |||||||
芳賀工業団地管理センター前 | ● | ● | ● | ● | 芳賀町バスターミナル (ジェイアールバス関東宇都宮支店) | |||
かしの森公園 | かしの森公園 | |||||||
本田技研北門 | 本田技術研究所 (四輪R&Dセンターなど) |
- JR宇都宮駅西側
- JR宇都宮駅西口 - 上河原 - 宮島町十文字 - 馬場町 - 県庁前 - 東武宇都宮駅前 - 裁判所前 - 新川 - 桜通り十文字 - 美術館前 - 護国神社前 - 教育会館前 - 駒生町 - 中丸公園前 - 郵便局前 - 大谷SIC - 城山 - 大谷[50]
導入空間
優先整備区間については導入空間が公表されている。
- JR宇都宮駅東口〜国道4号交差部
- 鬼怒通り(県道64号)を6車線から4車線に減少させ、道路中央部に導入[44]
- 国道4号交差部
- 国道4号〜新国道4号手前(平出町停留所)
- 鬼怒通りを4車線から東行2車線、西行1車線の3車線に減少させ道路中央部に導入[44]
- 新4号国道手前(平出町停留所)〜清原工業団地西端
- 清原工業団地西端〜清原工業団地管理センター
- 4車線から2車線に減少させて道路中央部に導入、既存2車線区間は道路拡幅で対応[44]
- 清原工業団地管理センター〜清原工業団地北端
- 道路東側の緑地帯へ導入、車線数は4車線を維持[44]
- 清原工業団地北端〜野高谷交差点
- 高架専用軌道による立体交差[44]
- 野高谷交差点〜管理センター前交差点
- 県道69号宇都宮茂木線の道路中央部に導入、車線数は維持[44][45]
- 管理センター前交差点〜本田技研北門
- 道路中央部に導入、車線数は維持[45]
車両
低床LRT車両の導入が検討されており[51]、需要予測は福井鉄道F1000形電車と同規模の全長30m級の車両を想定して行われた[41]。その後、発表された基本仕様はF1000形の要目に準じている[37][52]。優先開業区間の開業時に約59億円で17編成が導入される(当初計画では18編成[53])[37]。車両の設計事業者には新潟トランシスが選定された[54]。
- 基本仕様(案)[52]
項目 | 基本仕様(案) | 設定理由・備考 | |
---|---|---|---|
軌間 | 1067mm | 将来的な既存鉄道への乗り入れを考慮 | |
電圧 | 直流750V | 直流600Vより電気的損失等が少なく有利であるため[* 2]。 | |
定員 | 155人程度 | 輸送需要への対応 | |
寸法 | 車両長 | 30m以内 | 軌道法(軌道運転規則)により併用軌道では列車の長さが30mに制限されるため。 ただし、車両長は拡張性を有することを求めている[* 3]。 |
車両幅 | 2650mm以下 | 車内空間を広く確保し、より多くの輸送力を確保するため | |
車両高 | 3625mm以下 | JR宇都宮駅西側への延伸を考慮 | |
軸重 | 10.5t以下 | 峰町立体など既存施設活用のため | |
最小曲線半径 | 25m以下 | ||
最小縦曲線半径 | 900mm以下 | 急勾配区間の存在 | |
最急勾配 | 67‰以上 | 空車車両を牽引・推進可 | |
運転最高速度 | 70km/h以上 | 将来的な速度向上を目指すため | |
加速度 | 3.5km/h/s程度 | 衝突事故の防止、速達性の向上 | |
常用減速度 | 4.4km/h/s程度 | ||
非常用減速度 | 5.0km/h/s以上 | ||
その他 | ワンマン運転対応(ICカード主体)、全扉での乗降・運賃収受に対応 | ||
電磁吸着ブレーキを搭載、保安ブレーキ搭載 | |||
ATS設置可能 | |||
制限速度の超過を防止する機能 |
運賃
総延長が長いため、運賃は市民の利便性を確保する一方で採算性を確保する必要から、対距離制を採用し[48]、2016年12月に初乗り運賃が150円、以降3 - 7 kmは1kmごとに50円ずつ、7km以上は3kmごとに50円ずつを目安に加算するという計画案が示された[42]。この運賃案では、宇都宮駅東口 - 本田技研北門間の運賃は400円となる。
ICカード(乗車カード)を基本とした運賃収受方式が導入され[48][42]、乗降時間短縮のため全ての扉から乗降が可能となる信用乗車方式の導入も検討されている[42]。主要停留所には自動改札機の導入が予定されており、JR宇都宮駅東口・ベルモール前・清原工業団地北・本田技研北門の4停留場への設置で旅客全体の95%、清原管理センター前を加えた5停留場で96%、今泉町を含めた6停留場で97%が自動改札機を通過するとしている[51]。ICカードは、JR東日本とSONYが開発を行っている「地域連携ICカード」の導入が関東自動車・ジェイアールバス関東と共通のICカードとして予定され[35]、2020年8月26日までに、名称が「totra(トトラ)」に決定。同時にデザインも決定した[34]。totraは「総合的(total)」「輸送(transportation)」の頭文字からtotraとなった。カードデザインは、澄み切った空の色を表現したライトミントの車窓をイメージしたデザイン。三つの曲線で描いた「o」の文字には、バス、次世代型路面電車(LRT)、鉄道をつなぐ意味が込められている[34]。Suica、PASMOの利用が可能となる予定である。また、現行の運賃体系のままの場合、バスとLRTを乗り継ぐと現在より高価になる区間があることから、乗継割引の実施も検討されている[42]。
トータルデザイン
「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」の「LRTデザイン部会」にて2016年8月から検討が進められ、2016年10月に、トータルデザインにおけるデザインコンセプト「『雷都を未来へ』LRTによる未来のモビリティ都市の創造」が公表された[19][55]。
これは、古来より宇都宮周辺は夏に雷が多い気候であり、別名「雷都(らいと)」と呼ばれてきたこと、雷による夕立の恵みが豊作をもたらし、「らいさま」と呼ばれてきたこと、に由来する。雷を選んだ理由としては、「永続性を持ち 廃れないものとする『普遍性』」「他になく、本市と芳賀町の固有性を示す『独自性』」「多様な施設等のデザインに反映できる要素を持つ『展開性』」を有することが挙げられている[19][55]。
今後、これをもとに、住民参加を得ながら車両・停留場などの各種施設のデザインが検討されることとなっている[19][55]。
新・交通系ICカード「totra(トトラ)」
名称は2020年2月、「Totra(トトラ)」「Lococa(ロコカ)」「Nexca(ネクスカ)」の3案から公募し、応募総数約3,100件のうち約4割を占め、最多だったトトラを選び、頭文字を小文字にした[56][57]。
「totra(トトラ)」は「総合的(total)」「輸送(transportation)」の頭文字からネーミング。カードは、澄み切った空の色を表現したライトミントの車窓をイメージしたデザイン[56][57]。三つの曲線で描いた「o」の文字には、バス、次世代型路面電車(LRT)、鉄道をつなぐ意味が込められている[56][57]。「totra」は、JR東日本のSuica(スイカ)の乗車券・電子マネー機能を備える[56][57]。
既存公共交通の再編
開業に当たってLRTを基幹交通とし、バス網を再編する予定である。再編に当たってはルートと重複する既存の関東自動車やジェイアールバス関東によるバス路線および企業によるシャトルバスは他路線に振り向け、本数を増やすほか、路線新設などが検討されている[24][58]。なお、都市拠点と地域・観光拠点を結ぶ幹線バスについては一日当たり60本の運行・時間帯の拡充・郊外の人口集積地をカバーする路線の整備が検討されている[24]。
JR宇都宮駅東側区間
2017年7月11日に示された再編案では以下のようになっている[24][58]。これにより、郊外からJR宇都宮駅までの所要時間をおおむね15~30分短縮する見込みである[58]。なお、バス路線については2021年3月までに各社と協議の上取りまとめる方針とされている[25]。
- トランジットセンターとなるベルモール停留場から平出工業団地方面(岡本駅終着)および宇都宮大学峰キャンパス方面(国道123号経由・JR宇都宮駅終着)へのバス路線新設[24][58]。
- トランジットセンターとなる清原管理センター停留場から、清原工業団地および周辺住宅団地を一体的に運行する循環ルートバスの新設[24]。
- 芳賀町・茂木町方面へのバス路線のルートを白楊高通り・泉が丘通り・平出工業団地経由へ変更。トランジットセンターとなる芳賀工業団地管理センター前でLRTと結節[24]。急行区間の設置[25]。
- 真岡市方面へのバス路線に急行路線新設[25]。
- 宇都宮駅西口発着路線の一部を東口へ分散[25]。
- 地域内交通(乗り合いタクシー)とバスとの乗り継ぎポイント新設[58]。
- 他事業者間で重複する路線の一本化[58]。
JR宇都宮駅西側区間
2017年7月11日に示された整備・再編イメージでは以下のようになっている。
LRT導入に対する地元の動きや市民運動
この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。 (2016年4月) |
推進・賛成派
2004年に設立された市民団体「雷都レールとちぎ」が、対話集会、アンケート調査、署名活動、有識者による講演会、冊子・パンフレットによる広報活動などを継続的に実施している。2017年2月には、同会と「県LRT研究会」により、整備推進に関する要望書が宇都宮市議会議長宛で提出されている[59]。
2017年11月には、LRT整備を機に栃木県央の地域づくりを考えるため、企業主体の一般社団法人「県央まちづくり協議会」が設立された[60]。
反対派
反対派は、LRT導入による自動車交通の阻害、バス路線再編による乗り換えの増加、膨大な建設費用と採算問題、などを理由にLRTの導入に反対しており、基幹公共交通は従来型バスシステムの充実、利便性向上で対応するべきであるとしている[61]。
2013年7月には民主党(→民進党)や社民党によって運営されている[62][63]反対派市民団体「民意なきLRT導入を阻止する会」が発足、LRT導入の賛否を問う住民投票実施を求める署名活動を展開した。住民投票条例案は2014年1月の市議会で反対多数で否決され、その後、2015年3月、2015年9月にも同様に否決されている[14]。団体は2014年7月に「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会」と改名して、引き続き計画の根本的な見直しを主張している[61]。
2016年には、同会と民進党・社民党・日本共産党の県組織が「LRT計画の中止を求める会」を発足させている。
宇都宮市長選挙における論争
2016年11月に実施された宇都宮市長選挙においては、賛成派の現職佐藤栄一と、LRT計画中止を公約とし、争点をLRT反対に絞った新人候補[64]が争った。この中で「LRT事業の中止を求める会」は反対派候補を支援し、選挙期間中に、まだ具体化していないJR宇都宮駅西側のルートの整備も合わせると、1000億円以上の税金が使われる旨を記載したチラシを配布した[20]。
しかし、「雷都レールとちぎ」によれば、JR宇都宮駅東側区間の整備費(見込)412億円のうち宇都宮市・栃木県が負担する金額は106億円であり、仮に全額を宇都宮市の2016年度一般会計予算に組み入れたとしても0.3%に過ぎず、同団体は「民意と事実を無視したウソ」と反論している[65]。
これを受け「雷都レールとちぎ」は、反対派候補及び「LRTの中止を求める会」に対し、「両者の主張は歪曲や事実誤認が見受けられ、市民を混乱に陥れる内容である」とし、根拠を示すよう11月7日付で公開質問状を送付したが[66]、同月15日、回答期限の11日を過ぎても両者からの回答は無かったと公表した[67]。
一方、反対派の政党・団体も当選した佐藤と、反対派候補との票差が僅差だったことを踏まえ、2017年1月13日までに市側へ7項目への回答を要請し、期限日には20人で市役所へ訪れている。その際、副市長は回答を拒否し、「双方向で建設的な議論をしたい」「回答を頂けないなら出さない」と反対派側へ7項目の質問を出したが、反対派の一人である衆議院議員福田昭夫(当時民進党所属)は「説明責任のある行政が逆に質問するのはおかしい」と述べ質問への回答を拒否。最終的に市長の佐藤に急きょ直接抗議し、市長が回答書を手渡しするなどの混乱が生じている[68]。
脚注
注釈
- ^ 烏山線の正式な起点は宝積寺駅だが、一部を除き宇都宮駅を始発・終着とする。
- ^ なお、直流1500Vは電気設備技術基準により専用の敷地が必要になるため用いない。
- ^ 京阪京津線(全長最大66m)のように、特認によって全長30m以上の車両が走行する併用軌道線区も存在する。
出典
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