「Fuchsia (オペレーティングシステム)」の版間の差分
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'''Fuchsia'''(フクシア、フクシャ、フューシャ)は、[[Capability-based security|ケーパビリティ]]のコンセプトに基づく[[Google]]が開発中の[[オペレーティングシステム]](OS)である。公式な告知も一切なく、[[2016年]]8月に突如として[[GitHub]]にプロジェクトが公開されたことで最初に世に知られることとなった。これまでGoogleが開発してきた[[Google Chrome OS|Chrome OS]]や[[Android]]などのOSでは[[Linuxカーネル]]を採用しているが、Fuchsiaでは新しい[[マイクロカーネル]]である'''Zircon'''を採用している。ZirconはLittle Kernel(LK)<ref>{{cite web|first=Gary|last=Sims|title=What we learned from running Fuchsia, the mysterious new OS from Google|url=http://www.androidauthority.com/we-compiled-fuchsia-os-710491/|website=Android Authority|date=August 17, 2016|accessdate=May 9, 2017}}</ref><ref>{{cite web|first=Shakeel|last=Mahate|title=Introduction|url=https://github.com/littlekernel/lk/wiki/Introduction|website=[[GitHub]]|date=October 24, 2016|accessdate=May 9, 2017}}</ref> から派生しており、このLittle Kernelは、[[Haiku (オペレーティングシステム)|Haiku OS]]が採用している[[NewOS|NewOSカーネル]]<ref>{{cite web |first= |last= |title=Travis Geiselbrecht (Projects section) |url=http://tkgeisel.com/ |date=October 24, 2016 |accessdate=Nov 21, 2017}}</ref>の作成者であるTravis Geiselbrecht<ref group="注釈">[[Be (企業)|Be]]社員として[[BeOS]]カーネルの開発を担当、その後[[:en:Danger Inc.|Danger]]で[[:en:Danger Hiptop|Hiptop]]、[[ヒューレット・パッカード|HP]]で[[webOS]]、GoogleでAndroidの開発に携わり、現在Fuchsiaのコア部分の開発を担当している。</ref>によって開発された、[[組み込みシステム]]が対象の小規模なOSである。GitHub上のソースコードを精査したメディアによると、Fuchsiaは組み込みシステムから[[スマートフォン]]、[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]や[[パーソナルコンピュータ|PC]]まで幅広いデバイスで稼働させることが可能とみられる。[[2017年]]5月の更新では[[ユーザインタフェース]](UI)が追加されるとともに、このプロジェクトが「残骸置き場ではない」と開発者が証言したことから、このOSがAndroidを置き換える可能性など、Googleの狙いについてメディアの憶測を呼び起こすこととなった。 |
'''Fuchsia'''(フクシア、フクシャ、フューシャ)は、[[Capability-based security|ケーパビリティ]]のコンセプトに基づく[[Google]]が開発中の[[オペレーティングシステム]](OS)である。公式な告知も一切なく、[[2016年]]8月に突如として[[GitHub]]にプロジェクトが公開されたことで最初に世に知られることとなった。これまでGoogleが開発してきた[[Google Chrome OS|Chrome OS]]や[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]などのOSでは[[Linuxカーネル]]を採用しているが、Fuchsiaでは新しい[[マイクロカーネル]]である'''Zircon'''を採用している。ZirconはLittle Kernel(LK)<ref>{{cite web|first=Gary|last=Sims|title=What we learned from running Fuchsia, the mysterious new OS from Google|url=http://www.androidauthority.com/we-compiled-fuchsia-os-710491/|website=Android Authority|date=August 17, 2016|accessdate=May 9, 2017}}</ref><ref>{{cite web|first=Shakeel|last=Mahate|title=Introduction|url=https://github.com/littlekernel/lk/wiki/Introduction|website=[[GitHub]]|date=October 24, 2016|accessdate=May 9, 2017}}</ref> から派生しており、このLittle Kernelは、[[Haiku (オペレーティングシステム)|Haiku OS]]が採用している[[NewOS|NewOSカーネル]]<ref>{{cite web |first= |last= |title=Travis Geiselbrecht (Projects section) |url=http://tkgeisel.com/ |date=October 24, 2016 |accessdate=Nov 21, 2017}}</ref>の作成者であるTravis Geiselbrecht<ref group="注釈">[[Be (企業)|Be]]社員として[[BeOS]]カーネルの開発を担当、その後[[:en:Danger Inc.|Danger]]で[[:en:Danger Hiptop|Hiptop]]、[[ヒューレット・パッカード|HP]]で[[webOS]]、GoogleでAndroidの開発に携わり、現在Fuchsiaのコア部分の開発を担当している。</ref>によって開発された、[[組み込みシステム]]が対象の小規模なOSである。GitHub上のソースコードを精査したメディアによると、Fuchsiaは組み込みシステムから[[スマートフォン]]、[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]や[[パーソナルコンピュータ|PC]]まで幅広いデバイスで稼働させることが可能とみられる。[[2017年]]5月の更新では[[ユーザインタフェース]](UI)が追加されるとともに、このプロジェクトが「残骸置き場ではない」と開発者が証言したことから、このOSがAndroidを置き換える可能性など、Googleの狙いについてメディアの憶測を呼び起こすこととなった。 |
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Fuchsiaは[[FLOSS|フリーかつオープンソース]]のソフトウェアとして公開されており、[[BSDライセンス#修正BSDライセンス・三条項BSDライセンス|3条項BSDライセンス]]、[[MITライセンス]]、[[Apache License 2.0]]など複数の[[ソフトウェアライセンス]]を適用している。 |
Fuchsiaは[[FLOSS|フリーかつオープンソース]]のソフトウェアとして公開されており、[[BSDライセンス#修正BSDライセンス・三条項BSDライセンス|3条項BSDライセンス]]、[[MITライセンス]]、[[Apache License 2.0]]など複数の[[ソフトウェアライセンス]]を適用している。 |
2020年9月6日 (日) 09:40時点における版
開発者 | |
---|---|
プログラミング言語 | C言語、C++、Dart、Go、LLVM IR、Python、Rust、シェルスクリプト、Swift、TypeScript |
OSの系統 | Zircon[1] |
開発状況 | 開発中 |
ソースモデル | オープンソース |
初版 | 2016年8月15日 |
リポジトリ | |
使用できる言語 | 英語 |
プラットフォーム | ARM、x86-64 |
カーネル種別 | マイクロカーネル |
ライセンス | BSDライセンス、MITライセンス、Apache License 2.0 |
ウェブサイト |
fuchsia |
Fuchsia(フクシア、フクシャ、フューシャ)は、ケーパビリティのコンセプトに基づくGoogleが開発中のオペレーティングシステム(OS)である。公式な告知も一切なく、2016年8月に突如としてGitHubにプロジェクトが公開されたことで最初に世に知られることとなった。これまでGoogleが開発してきたChrome OSやAndroidなどのOSではLinuxカーネルを採用しているが、Fuchsiaでは新しいマイクロカーネルであるZirconを採用している。ZirconはLittle Kernel(LK)[2][3] から派生しており、このLittle Kernelは、Haiku OSが採用しているNewOSカーネル[4]の作成者であるTravis Geiselbrecht[注釈 1]によって開発された、組み込みシステムが対象の小規模なOSである。GitHub上のソースコードを精査したメディアによると、Fuchsiaは組み込みシステムからスマートフォン、タブレットやPCまで幅広いデバイスで稼働させることが可能とみられる。2017年5月の更新ではユーザインタフェース(UI)が追加されるとともに、このプロジェクトが「残骸置き場ではない」と開発者が証言したことから、このOSがAndroidを置き換える可能性など、Googleの狙いについてメディアの憶測を呼び起こすこととなった。
Fuchsiaはフリーかつオープンソースのソフトウェアとして公開されており、3条項BSDライセンス、MITライセンス、Apache License 2.0など複数のソフトウェアライセンスを適用している。
概要
Fuchsiaはコア部分 (カーネル) のZircon (旧称: Magenta) や、UIのArmadilloなどから構成されるリアルタイムオペレーティングシステムである。
特徴
FuchsiaのUIとアプリケーションは、Fuchsia以外にもAndroidとiOSを対象とするクロスプラットフォーム開発が可能な、Flutterと名付けられたソフトウェア開発キット(SDK)によって作成されている。FlutterではDartを用いて、120 fpsでの描画が可能な高性能のアプリケーションを作成できる。また、FlutterにはEscherと名付けられたVulkanベースのレンダリングエンジンも含まれ、これによって特に、Ars Technicaによると「陰影が多用される、Googleが規定したUIガイドラインのマテリアルデザインに向けた機能強化版とみられる」要素となる、ボリューメトリック・ソフトシャドウ(Volumetric soft shadows)と呼ばれる視覚効果の描画が支援される。
Flutterはクロスプラットフォーム開発に対応しているため、Fuchsiaの一部パーツをAndroidデバイスにインストールすることも可能である。もっとも、Ars TechnicaによるとFuchsiaのテストはできるものの全く「機能せず」、加えて「何の役にも立たないUIのプレースホルダーの寄せ集め」であり、最近使ったアプリ欄や設定メニュー、画面分割機能などの、FuchsiaのAndroidとの類似点が確認できる程度という状況だった[5]。
その後のArs Technicaによる検証は開発が順調なことを印象付けるものとなっており、何ひとつ機能しないということはなくなっていて、特ににハードウェアのサポートが拡充されている。複数マウスポインタ操作に対応したことは予想外の改善点だったと説明されている[6]。
歴史
- 2016年8月15日 - Googleは新たなプロジェクトとしてFuchsiaをGitHub上で発表した[7]。このさい公式な告知はなく、ソースコードをメディアが精査してみたところ、このOSが「車載インフォテインメント、信号機やデジタル時計などへの組み込みシステムから、スマートフォン、タブレットやPCまで」を含む幅広いデバイスで稼働できる能力があることを示唆していた。FuchsiaではLinuxカーネルではなくZircon (旧称: Magenta)[8] を採用する点がChrome OSやAndroidとは異なっていた[9][10]。
- 2017年
- 5月 - 初期バージョンではコマンドラインシェルのみを備えていたが、新たにArmadilloと名付けられたカード型のGUIがFuchsiaに追加された[5]。このさいArs Technicaは「これは玩具でもなく、20%ルール[注釈 2]によるプロジェクトでもなく、誰にも顧みられることのない残骸置き場でもない」と開発者が証言した、との記事も掲載した。多くのメディアによって、このプロジェクトがAndroidと密接に関連しているように見受けられると指摘され、さらにAndroidプラットフォームにおける課題を解決する手段として[5]、FuchsiaがAndroidの「仕切り直し」[11]もしくは置き換え[12][13][14]を狙った取り組みなのかも知れない、などと憶測が巡らされた。
- 9月 - それまでMagentaと呼ばれていたOSのコア部分をZirconに改名した[1]。
- 11月 - Swiftプログラミング言語の初期サポートが導入された[15]。
- 2018年1月 - GoogleはFuchsiaをPixelbookで動作させる手順のガイドを発表した[16][17]。Ars Technicaはこの手順の追試に成功した[6]。
- 2019年6月28日 (現地時間) - GoogleはFuchsia開発者向け公式Webサイト https://fuchsia.dev/ を公開したと報道された。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “Google,IoT向けOS「Fuchsia OS」のコアを「Zircon」にリネーム”. gihyo.jp. (2017年9月14日) 2018年5月5日閲覧。
- ^ Sims, Gary (August 17, 2016). “What we learned from running Fuchsia, the mysterious new OS from Google”. Android Authority. May 9, 2017閲覧。
- ^ Mahate, Shakeel (October 24, 2016). “Introduction”. GitHub. May 9, 2017閲覧。
- ^ “Travis Geiselbrecht (Projects section)” (October 24, 2016). Nov 21, 2017閲覧。
- ^ a b c Amadeo, Ron (May 8, 2017). “Google’s “Fuchsia” smartphone OS dumps Linux, has a wild new UI”. Ars Technica. Condé Nast. May 9, 2017閲覧。
- ^ a b Amadeo, Ron (8 January 2018). “Google’s Fuchsia OS on the Pixelbook: It works! It actually works!”. Ars Technica. Condé Nast. 22 January 2018閲覧。 “Right now, Google's built-from-scratch kernel and operating system will actually boot on the Pixelbook, and some things even work. The touchscreen, trackpad, and keyboard work and so do the USB ports. You can even plug in a mouse and get a second mouse cursor.”
- ^ “Google,ナゾの新OSプロジェクト「Fuchsia」をローンチ”. gihyo.jp. (2016年8月17日) 2018年5月5日閲覧。
- ^ “[zx] Magenta -> Zircon”. zircon - Git at Google (12 September 2017). 19 September 2017閲覧。
- ^ Etherington, Darrell (August 15, 2016). “Google’s mysterious new Fuchsia operating system could run on almost anything”. TechCrunch. AOL. October 5, 2016閲覧。
- ^ Fingas, Jon (August 13, 2016). “Google's Fuchsia operating system runs on virtually anything”. Engadget. AOL. October 5, 2016閲覧。
- ^ Fingas, Jon (May 8, 2017). “Google's mysterious Fuchsia OS looks like an Android re-do”. Engadget. AOL. May 9, 2017閲覧。
- ^ Gartenberg, Chaim (May 8, 2017). “Google’s mysterious new Fuchsia OS has a UI now”. The Verge. Vox Media. May 9, 2017閲覧。
- ^ Davenport, Corbin (May 8, 2017). “Google's "Fuchsia" operating system is taking shape with a new design”. Android Police. May 9, 2017閲覧。
- ^ “First Look at all new Fuchsia OS from Google”. IB Computing. IB Computing (January 18, 2018). January 18, 2018閲覧。
- ^ Add Fuchsia OS support. GitHub PR for Swift (2017年11月15日).
- ^ “Yes, Google Is Running Fuchsia On The Pixelbook: Calm Down” (英語). Chrome Unboxed - The Latest Chrome OS News. (2018年1月1日) 2018年1月3日閲覧。
- ^ Contribute to docs development by creating an account on GitHub, Fuchsia, (2018-01-03) 2018年1月3日閲覧。