「セルシウス度」の版間の差分
華氏について |
m cewbot: ウィキ文法修正 38: HTMLの<i>タグの使用 |
||
102行目: | 102行目: | ||
W.E.Middletonの1966年の論文では[[カール・フォン・リンネ]]らによって1752年までに氷点を0度、[[沸点]]を100度とする方式に改められたとしている<ref name="takata" />。一方、ウプサラ天文台の解説によると、セルシウスの死の直後の1744年に、[[凝固点]](氷点)を0度、沸点を100度とする現在の方式に改められたという<ref>[http://www.astro.uu.se/history/Celsius_eng.html Anders Celsius 1701-1744] [[ウプサラ天文台]]による解説、第6段落目</ref>。この改善については、誰か一人の功績によるものではなく、セルシウス、セルシウスの後任の[[:sv:Mårten Strömer]]、計器制作者の[[:sv:Daniel Ekström]]の3人の貢献によるものであるとしている<ref>[http://www.astro.uu.se/history/celsius_scale.html History of the Celsius temperature scale] ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、Pehr Wargentin(Secretary of the Academy of Sciences、Royal Swedish Academy of Sciences)の1749年の論文による</ref>。また、セルシウス度に最初期に注目し、実際に温度計を[[:sv:Daniel Ekström]]に製作させたカール・フォン・リンネの功績によるものではないとしている<ref>[http://www.astro.uu.se/history/celsius_scale.html History of the Celsius temperature scale] ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、「Linné is not mentioned at all.」 </ref>。 |
W.E.Middletonの1966年の論文では[[カール・フォン・リンネ]]らによって1752年までに氷点を0度、[[沸点]]を100度とする方式に改められたとしている<ref name="takata" />。一方、ウプサラ天文台の解説によると、セルシウスの死の直後の1744年に、[[凝固点]](氷点)を0度、沸点を100度とする現在の方式に改められたという<ref>[http://www.astro.uu.se/history/Celsius_eng.html Anders Celsius 1701-1744] [[ウプサラ天文台]]による解説、第6段落目</ref>。この改善については、誰か一人の功績によるものではなく、セルシウス、セルシウスの後任の[[:sv:Mårten Strömer]]、計器制作者の[[:sv:Daniel Ekström]]の3人の貢献によるものであるとしている<ref>[http://www.astro.uu.se/history/celsius_scale.html History of the Celsius temperature scale] ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、Pehr Wargentin(Secretary of the Academy of Sciences、Royal Swedish Academy of Sciences)の1749年の論文による</ref>。また、セルシウス度に最初期に注目し、実際に温度計を[[:sv:Daniel Ekström]]に製作させたカール・フォン・リンネの功績によるものではないとしている<ref>[http://www.astro.uu.se/history/celsius_scale.html History of the Celsius temperature scale] ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、「Linné is not mentioned at all.」 </ref>。 |
||
水の[[氷点]]と[[沸点]]との間を100分割したことから、この体系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であった<ref>The American Heritage Dictionary, Second College Edition,"centigrade Fr. Lat. |
水の[[氷点]]と[[沸点]]との間を100分割したことから、この体系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であった<ref>The American Heritage Dictionary, Second College Edition,"centigrade Fr. Lat. ''centum-'', hundred + Lat. ''gradus'', degree.",p.252, Houghton Mifflin, 1982, ISBN 0-395-32943-4 |
||
</ref>。しかし[[1948年]]の第9回[[国際度量衡総会]]において、名称が正式にセルシウスへと変更になった<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際文書 国際単位系(SI)第8版 日本語版] 付録1、p.57、 第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948 年(PV, 21, 88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択) 温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した 、産業技術総合研究所 計量標準総合センター</ref>。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためと[[国際単位系|SI]]接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。 |
</ref>。しかし[[1948年]]の第9回[[国際度量衡総会]]において、名称が正式にセルシウスへと変更になった<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際文書 国際単位系(SI)第8版 日本語版] 付録1、p.57、 第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948 年(PV, 21, 88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択) 温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した 、産業技術総合研究所 計量標準総合センター</ref>。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためと[[国際単位系|SI]]接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。 |
||
2020年2月11日 (火) 01:10時点における版
セルシウス度(または単に「度」、セ氏度、摂氏度) 仏 degré Celsius 英 degree Celsius | |
---|---|
記号 | ℃ |
系 | 国際単位系 (SI) |
種類 | 固有の名称と記号で表される一貫性のある SI 組立単位 |
量 | 温度 |
定義 | ボルツマン定数を 1.380649×10−23 J/K とすることによって定まる温度(ケルビンと同一) |
由来 | 水の凝固点を0度、沸点を100度とする温度 |
語源 | アンデルス・セルシウス |
セルシウス度(セルシウスど、英語: degree Celsius、記号: °C)は、セルシウス温度の単位である。その大きさはケルビン(記号: K)に等しい(℃=K)。温度の差または間隔はケルビンまたはセルシウス度のどちらによっても表すことができ(第13回 CGPM、1967-1968年、決議3)、その数値は同じとなる。
現在では、セルシウス度(およびセルシウス温度)は世界的に使用されるようになっている。イギリスやアイルランドの放送メディアにおいても、かつて使われた「センチグレード」を用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。ただし、アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然として単独でカ氏度(およびカ氏温度)を用いるか、若しくは「カ氏度」と「センチグレード」を併記しているのが実態である。
セルシウス度とセルシウス温度
「セルシウス温度(Celsius temperature)」は参照温度 T0 = 273.15 K(氷点)からの温度差 t = T − T0 で定義される量の名称であり[1]、「セルシウス度(degree Celsius)」はセルシウス温度を表す単位の名称である。温度の単位と言う場合は、他の物理単位と同様に、温度の1単位(即ち温度間隔)を言う。国際単位系(SI)や日本の計量法での「温度の単位」は、ケルビンまたはセルシウス度(又は単に、度)である。
例えば、人体の体温が36.5 ℃というとき、この36.5 ℃は温度の高さを表す「セルシウス温度」(Celsius temperature)であって、「セルシウス度」ではない。セルシウス温度(36.5 ℃など)の表現のために用いられる温度の単位(1度分の温度間隔)が「セルシウス度」(degree Celsius)である。英語では temperature と degree とで区別が分かりやすいが、日本語では字面上、区別が分かりにくいが異なった概念である。そして、1セルシウス度 = 1 K(ケルビン) である。
しかし、一般にはこの違いが意識されず、「セルシウス度」と「セルシウス温度」とがしばしば混同され、混乱を招くことが多い(この混同は、カ氏度とカ氏温度にも見られる)。
ケルビン | セルシウス系 | カ氏系 | ||
---|---|---|---|---|
量 | 名称 | 熱力学温度 | セルシウス温度 | カ氏温度 |
英語名 | thermodynamic temperature | Celsius temperature | Fahrenheit temperature | |
対応(体温の例) | 309.65 K | 36.5 ℃ | 97.7 °F | |
単位 | 名称 | ケルビン | セルシウス度 | カ氏度 |
英語名 | kelvin | degree Celsius | degree Fahrenheit | |
換算 | ℃ = K | °F = 5/9 K |
定義
セルシウス温度の単位であるセルシウス度は、熱力学温度の単位であるケルビンと等しく定義される[1]。
なお、日本の計量法での定義は次のようになっている[2]。
計量単位令にあるとおり、単に「度」と表記した場合は、セルシウス度を意味する。
その単位記号は、「℃」 と定められている[3]。
元々の定義は水の凝固点を0度、沸点を100度とするものであった。
用法
セルシウス度は、国際単位系(SI)における取り扱いが、他の単位と異なる点がある。
その定義は、温度のSI基本単位の一つである、熱力学温度ケルビンの項でなされている。
一方で、セルシウス度は、「固有の名称と記号で表される一貫性のある SI 組立単位」であるとされ、つぎのように掲げられている[4]。
組立量 | 名称 | 記号 | 他の SI 単位による表し方 | SI 基本単位による表し方 |
---|---|---|---|---|
セルシウス温度 | セルシウス度(注e) | °C | K | |
(注e) セルシウス度はケルビンの特別な名称で,セルシウス温度を表すために使用される.セルシウス度とケルビンの単位の大きさは同一である.したがって,温度差や温度間隔を表す数値はどちらの単位で表しても同じである. |
「単位の名称」では次のようになっている[5]。
「量の値の書式」では次のようになっている[6]。
数値は常に単位の前に置き,数値と単位を分割するために空白(space)を用いる.この原則は,セルシウス度(degree Celsius)についても適用され,セルシウス温度 t の値を表現するときには,その単位記号である °C の前に空白を挿入する.
- 例:t = 30.2 °C
- 不適例:t = 30.2°C
- 不適例:t = 30.2° C
歴史
セルシウス度はスウェーデンの天文学者でウプサラ天文台の創始者であるアンデルス・セルシウスが1742年に考案したものに基づいている。ただし、彼は現在のセルシウス温度の目盛付けとは逆の目盛り付けを行った[7]。すなわち、1気圧下における水の凝固点(氷点)を100度、沸点を0度として、その間を100等分する目盛りを考案した。そして氷点以下の温度を、温度が下がるにしたがって101度、102度、103度・・・とした。地球上の気温を現今の温度目盛りでマイナス90 ℃~プラス60 ℃(気温#気温の記録)とすると、セルシウス考案の温度目盛りでは、プラス190度~プラス40度となって、気温が負数で表現されることはないという利点があるからである。
W.E.Middletonの1966年の論文ではカール・フォン・リンネらによって1752年までに氷点を0度、沸点を100度とする方式に改められたとしている[7]。一方、ウプサラ天文台の解説によると、セルシウスの死の直後の1744年に、凝固点(氷点)を0度、沸点を100度とする現在の方式に改められたという[8]。この改善については、誰か一人の功績によるものではなく、セルシウス、セルシウスの後任のsv:Mårten Strömer、計器制作者のsv:Daniel Ekströmの3人の貢献によるものであるとしている[9]。また、セルシウス度に最初期に注目し、実際に温度計をsv:Daniel Ekströmに製作させたカール・フォン・リンネの功績によるものではないとしている[10]。
水の氷点と沸点との間を100分割したことから、この体系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であった[11]。しかし1948年の第9回国際度量衡総会において、名称が正式にセルシウスへと変更になった[12]。これには、考案者である「セルシウス」の認知のためとSI接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。
日本や中国では、摂氏度(せっしど)、日本ではセ氏度(セしど)と呼ばれることがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂爾修斯」(繁体字: 攝爾修斯; 簡体字: 摄尔修斯; 繁体字: 攝爾修斯; 拼音: Shè'ěrxiūsī)から「摂」+人名に付ける接尾辞「氏」で、「摂氏」「温度」になった。
その後の物理的な計測方法の進歩と熱力学温度の採用により、セルシウス温度の現在の定義は「ケルビン(K)で表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」となっている。つまり水の三重点を0.01 ℃とし、水の三重点と絶対零度の温度差の273.16分の1を1 ℃としている。「273.16分の1」という数字は、セルシウス温度における1度の温度差をそのまま熱力学温度で1ケルビンの温度差として使用するためのものである。すなわち、セルシウス度とケルビンの目盛の幅(単位の大きさ)は等しい。
なお、現在の国際温度目盛(ITS-90)では、水の融点と沸点は厳密には 0℃、100 ℃ ではなく、それぞれ 0.002 519 ℃ 、99.9743 ℃ である(水の性質#融点、水の性質#沸点を参照)。
単位の換算
- セルシウス温度からカ氏温度への換算
- カ氏温度からセルシウス温度への換算
- −40°Cと−40°Fは等しく、上の式は次のようにも表せる。
セルシウス度から | セルシウス度へ | |
---|---|---|
ファーレンハイト度 | [°F] = [°C] × 9⁄5 + 32 | [°C] = ([°F] − 32) × 5⁄9 |
ケルビン | [K] = [°C] + 273.15 | [°C] = [K] − 273.15 |
ランキン度 | [°R] = ([°C] + 273.15) × 9⁄5 | [°C] = ([°R] − 491.67) × 5⁄9 |
温度の間隔は以下のようになっている。 1 °C = 1 K = 9⁄5 °F = 9⁄5 °R 他の温度の単位への換算 |
ケルビン | セルシウス度 | ファーレンハイト度 | ランキン度 | ドリール度 | ニュートン度 | レオミュール度 | レーマー度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
絶対零度 | 0 | −273.15 | −459.67 | 0 | 559.725 | −90.14 | −218.52 | −135.90 |
地球表面の最低気温(※1) | 183.95 | −89.2 | −128.56 | 331.11 | 283.8 | −29.436 | −71.36 | −39.33 |
ファーレンハイトの寒剤 | 255.37 | −17.78 | 0 | 459.67 | 176.67 | −5.87 | −14.22 | −1.83 |
水の融点(標準状態下) | 273.15 | 0 | 32 | 491.67 | 150 | 0 | 0 | 7.5 |
地球表面の平均気温 | 288 | 15 | 59 | 518.67 | 127.5 | 4.95 | 12 | 15.375 |
人間の平均体温 | 309.95 | 36.8 | 98.24 | 557.91 | 94.8 | 12.144 | 29.44 | 26.82 |
地球表面の最高気温(※2) | 329.85 | 56.7 | 134.06 | 593.73 | 64.95 | 18.711 | 45.36 | 37.268 |
水の沸点(標準状態下) | 373.15 | 100 | 212 | 671.67 | 0 | 33 | 80 | 60 |
チタンの融点 | 1941 | 1668 | 3034 | 3494 | −2352 | 550 | 1334 | 883 |
太陽の表面温度 | 5800 | 5526 | 9980 | 10440 | −8140 | 1823 | 4421 | 2909 |
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
℃ | U+2103 |
1-1-78 |
℃ ℃ |
セ氏度記号 |
Unicodeのセルシウス度の記号は、既存の文字コードとの互換性のために用意されている互換文字である。Unicode標準では、セルシウス度の記号はU+00B0 ° degree sign(度)とU+0043 C capital letter c(大文字のC)を組み合わせて使用し、検索の際はこれと一文字の「℃」を同一視することを推奨している[13]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 『国際単位系(SI)』2.1.1.5 熱力学温度の単位(ケルビン)、pp.24-25
- ^ 計量単位令 別表第一 項番5、温度の欄
- ^ 計量単位規則 別表第2 温度・「セルシウス度又は度」の欄
- ^ 『国際単位系(SI)』表3 固有の名称と記号で表される一貫性のある SI 組立単位、p.29
- ^ 『国際単位系(SI)』 5.2 単位の名称、p.43
- ^ 『国際単位系(SI)』 5.3.3 量の値の書式、p.45
- ^ a b 高田誠二. “温度概念と温度計の歴史”. 日本熱測定学会. 2019年11月22日閲覧。
- ^ Anders Celsius 1701-1744 ウプサラ天文台による解説、第6段落目
- ^ History of the Celsius temperature scale ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、Pehr Wargentin(Secretary of the Academy of Sciences、Royal Swedish Academy of Sciences)の1749年の論文による
- ^ History of the Celsius temperature scale ウプサラ天文台による解説、第5段落の後半部分、「Linné is not mentioned at all.」
- ^ The American Heritage Dictionary, Second College Edition,"centigrade Fr. Lat. centum-, hundred + Lat. gradus, degree.",p.252, Houghton Mifflin, 1982, ISBN 0-395-32943-4
- ^ 国際文書 国際単位系(SI)第8版 日本語版 付録1、p.57、 第9回 CGPM,1948年(CIPM, 1948 年(PV, 21, 88)及び第9回CGPM,1948年(CR,64):「セルシウス度」の採択) 温度を表すために用いる「度」(degree)を示すために提案されている三つの名称(“degré centigrade”,“degré centésimal”,“degré Celsius”)の中から,国際度量衡委員会は「セルシウス度,“degré Celsius”」を選択した 、産業技術総合研究所 計量標準総合センター
- ^ “22.2”. The Unicode Standard, Version 8.0. Mountain View, CA, USA: The Unicode Consortium. (August 2015). ISBN 978-1-936213-10-8 6 September 2015閲覧。
関連項目
外部リンク
- “国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版” (PDF). 産業技術総合研究所 計量標準総合センター. 2015年8月3日閲覧。