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'''ブロチゾラム'''({{lang-en|''Brotizolam''}})は、[[チエノトリアゾロジアゼピン系]]の[[睡眠導入剤]](短時間作用型)、[[麻酔前投与薬]]の一種。[[向精神薬に関する条約]]の[[向精神薬に関する条約#規制物質|スケジュールIV]]に指定され、日本では[[麻薬及び向精神薬取締法]]の[[向精神薬#日本の法律における向精神薬の一覧|第三種向精神薬]]に、[[薬機法]]の[[習慣性医薬品#ベンゾジアゼピン系|習慣性医薬品]]に指定されている。[[チエノベンゾジアゼピン]]系や[[チエノジアゼピン]]系とは異なる。

== 概要 ==
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'''ブロチゾラム''' (Brotizolam) は、[[チエノジアゼピン系]]の[[睡眠導入剤]]、[[麻酔前投与薬]]の一種。短時間作用型。分子式は C<sub>15</sub>H<sub>10</sub>BrClN<sub>4</sub>&bull;S 。[[酢酸]]、[[ジクロロメタン]]に溶けやすく、[[ジエチルエーテル]]、[[水]]に溶けにくい。


ブロチゾラムは、乱用症例から乱用リスクの高い薬剤に同定されている<ref name="乱用2013論文">{{Cite journal |和書|author=松本俊彦|date=2013-06-10|title=処方薬乱用・依存からみた今日の精神科薬物治療の課題:ベンゾジアゼピンを中心に|journal=臨床精神薬理|volume=16|issue=6|pages=803-812|naid=}}</ref>。
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=== 化学的特性 ===
麻薬及び向精神薬取締法における第三種向精神薬、薬事法における[[習慣性医薬品]]である。ブロチゾラムは、乱用症例から乱用リスクの高い薬剤に同定されている<ref name="乱用2013論文">{{Cite journal |和書|author=松本俊彦|date=2013-06-10|title=処方薬乱用・依存からみた今日の精神科薬物治療の課題:ベンゾジアゼピンを中心に|journal=臨床精神薬理|volume=16|issue=6|pages=803-812|naid=}}</ref>。
[[酢酸]]、[[ジクロロメタン]]に溶けやすく、[[ジエチルエーテル]]、[[水]]に溶けにくい。


== 適応 ==
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== 種類 ==
=== 歴史 ===
; 1976年
[[ベーリンガーインゲルハイム]]が'''レンドルミン(一般名:ブロチゾラム)'''を1985年に[[ドイツ]]で発売して以来、現在まで[[日本]]を含む世界約20カ国で販売されている。また、[[英国]]、[[米国]]、[[カナダ]]の3国については、ベーリンガーインゲルハイムから過去を含めてレンドルミンが発売されたことはなく、3国で発売をしない理由に安全性面の懸念があったとの情報は無い。
: [[武田薬品工業]]の''T.Nishiyama''が率いるチームによって開発された<ref>{{ cite patent | country=US | number=4017620 | status=patent | title=Thienodiazepine derivatives | pubdate=1975-08-05 | gdate=1977-12-04 | inventor=Yutaka Kuwada et al}}</ref>


; 1985年
[[ベーリンガーインゲルハイム|日本ベーリンガーインゲルハイム]]は日本で'''レンドルミン錠'''を1988年に発売を開始し、'''レンドルミンD錠'''については、2002年より販売している。
: [[ベーリンガーインゲルハイム]]が'''レンドルミン'''を[[ドイツ]]で発売して以来、世界約20カ国で販売されている。
: [[英国]]、[[米国]]、[[カナダ]]の3国については、ベーリンガーインゲルハイムから過去を含めてレンドルミンが発売されたことはなく、の理由に安全性面の懸念があったとの情報は無い。


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[[ジェネリック医薬品]]として、[[田辺三菱製薬]]や[[東和薬品]]等から'''グッドミン錠'''や'''ゼストロミン錠'''等の[[商標|製品名]]で販売されている。[[日本ジェネリック]]や[[ニプロファーマ]]、[[長生堂製薬]]、[[テバ製薬]]では、成分名のままの名称で発売されており、それぞれ、ブロチゾラム錠「JG」、ブロチゾラム錠「NP」、ブロチゾラム錠「CH」、ブロチゾラム錠「タイヨー」の名称となっている。
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=== 後発医薬品 ===
* [[ジェネリック]]として、[[田辺三菱製薬]]や[[東和薬品]]等から'''グッドミン錠'''や'''ゼストロミン錠'''等の[[商標|製品名]]で販売されている。
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=== 剤形 ===
* 錠剤:0.25mg
* 錠剤:0.25mg
* 錠剤:0.125mg
* 錠剤:0.125mg
* 口腔内崩壊錠(-D錠):0.25mg
* 口腔内崩壊錠(-D錠):0.25mg


== 副作用 ==
=== 適応 ===
* [[不眠症]]
主な副作用は、残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、だるさ、めまい、頭痛、倦怠感
* [[麻酔]]前投与薬

== 使用上の注意 ==
=== 副作用 ===
主な副作用は、残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、だるさ、めまい、頭痛、倦怠感などである


== 禁忌 ==
=== 禁忌 ===
* 急性狭隅角[[緑内障]]のある者
* 急性狭隅角[[緑内障]]のある者
* [[重症筋無力症]]の患者
* [[重症筋無力症]]の患者


== 原則禁忌 ==
=== 原則禁忌 ===
次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する
次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する
* 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期で呼吸機能が高度に低下している場合
* 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期で呼吸機能が高度に低下している場合


== その他 ==
=== その他 ===
なお、高齢者の投与については、少量から投与を開始するなど慎重に投与する
なお、高齢者の投与については、少量から投与を開始するなど慎重に投与する


==乱用==
== 乱用 ==
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*[[ベンゾジアゼピン離脱症候群]]
*[[ベンゾジアゼピン離脱症候群]]
*[[ベンゾジアゼピンの長期的影響]]
*[[ベンゾジアゼピンの長期的影響]]
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==

2016年9月25日 (日) 01:00時点における版

ブロチゾラム
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能48〜95%
代謝肝臓
半減期4.4時間(2.6〜6.9時間)
排泄腎臓
識別
CAS番号
57801-81-7
ATCコード N05CD09 (WHO)
PubChem CID: 2451
DrugBank DB09017 ×
ChemSpider 2357 チェック
UNII 5XZM1R3DKF チェック
KEGG D01744  チェック
ChEMBL CHEMBL32479 チェック
化学的データ
化学式C15H10BrClN4S
分子量393.69
テンプレートを表示

ブロチゾラム英語: Brotizolam)は、チエノトリアゾロジアゼピン系睡眠導入剤(短時間作用型)、麻酔前投与薬の一種。向精神薬に関する条約スケジュールIVに指定され、日本では麻薬及び向精神薬取締法第三種向精神薬に、薬機法習慣性医薬品に指定されている。チエノベンゾジアゼピン系やチエノジアゼピン系とは異なる。

概要

ブロチゾラム0.25mg錠「サワイ」

ブロチゾラムは、乱用症例から乱用リスクの高い薬剤に同定されている[1]

化学的特性

酢酸ジクロロメタンに溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。

基準値

一日摂取許容量(ADI)[2]
0.013 µg/kg/日

歴史

1976年
武田薬品工業T.Nishiyamaが率いるチームによって開発された[3]
1985年
ベーリンガーインゲルハイムレンドルミンドイツで発売して以来、世界約20カ国で販売されている。
英国米国カナダの3国については、ベーリンガーインゲルハイムから過去を含めてレンドルミンが発売されたことはなく、その理由に安全性面の懸念があったとの情報は無い。
1988年、2002年
日本ベーリンガーインゲルハイムレンドルミン錠を日本で発売を開始。レンドルミンD錠は、2002年より販売している。

後発医薬品

剤形

  • 錠剤:0.25mg
  • 錠剤:0.125mg
  • 口腔内崩壊錠(-D錠):0.25mg

適応

使用上の注意

副作用

主な副作用は、残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、だるさ、めまい、頭痛、倦怠感などである。

禁忌

原則禁忌

次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する。

  • 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期で呼吸機能が高度に低下している場合

その他

なお、高齢者の投与については、少量から投与を開始するなど慎重に投与する。

乱用

ブロチゾラムは乱用の可能性がある。薬物乱用とは高揚感を得るために薬物を摂取したり、医師の指示に反して長期間摂取を続けることである。[4]

広くは広がらなかったが、ブロチゾラムの乱用は香港で1980~1990年に問題になった。香港でのベンゾジアゼピン乱用を防ぐため、政府の薬物毒物委員会はベンゾジアゼピンを危険な薬物として1990年10月に指定した。通常の処方箋とは別に、供給と流通について詳細な記録をつけることが求められる。これらの規制は、初めは主に乱用されていたベンゾジアゼピンのブロチゾラムトリアゾラムフルニトラゼパムのみに適用された。このベンゾジアゼピン使用に関する規制変更による影響は、1990年から1993年までのベンゾジアゼピンの販売パターンを分析することによって研究されている。1991年にはトリアゾラムとフルニトラゼパムの売り上げは落下したが、規制外の5つのベンゾジアゼピンについては増加した。[5]とりわけニメタゼパムを用いた人身売買や乱用、テマゼパムの乱用が同じ年の1991年に問題になっていた。当初はブロチゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパムのみに適用された規制について、1992年1月現在は全てのベンゾジアゼピンを対象として拡張された。ベンゾジアゼピンの適切な処方と供給調剤の詳細記録を必要とする規制は、香港では少なくとも部分的に乱用を改善しているように見える。テマゼパム、ニメタゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラムにはまだ問題があるが、主要なものではない。

関連項目

参考文献

  1. ^ 松本俊彦「処方薬乱用・依存からみた今日の精神科薬物治療の課題:ベンゾジアゼピンを中心に」『臨床精神薬理』第16巻第6号、2013年6月10日、803-812頁。 
  2. ^ ブロチゾラム(案)” (pdf). www.mhlw.go.jp. 厚生労働省食品安全委員会. 2016年9月25日閲覧。
  3. ^ US patent 4017620, Yutaka Kuwada et al, "Thienodiazepine derivatives", published 1975-08-05, issued 1977-12-04 
  4. ^ Griffiths, RR; Johnson, MW (2005). “Relative abuse liability of hypnotic drugs: a conceptual framework and algorithm for differentiating among compounds”. The Journal of clinical psychiatry 66 (Suppl 9): 31?41. PMID 16336040. 
  5. ^ Lee, KK; Chan, TY; Chan, AW; Lau, GS; Critchley, JA (1995). “Use and abuse of benzodiazepines in Hong Kong 1990-1993--the impact of regulatory changes”. Journal of toxicology. Clinical toxicology 33 (6): 597?602. doi:10.3109/15563659509010615. PMID 8523479.