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「土木工学」の版間の差分

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'''土木工学'''(どぼくこうがく)とは、良質な生活空間の構築を目的として、[[自然災害]]から防御や社会経済的基盤整備のための技術(土木技術)について研究する[[工学]]である<ref>[[土木学会]].“[http://www.jsce.or.jp/outline/index.shtml 土木学会とは]”. 土木学会概要. 2008年3月19日閲覧。</ref>。
'''土木工学'''(どぼくこうがく、{{lang-en|civil engineering}})とは、[[自然災害]]の社会課題の解決および環境の創造維持発展を目として、[[社会基盤]]を整備する[[工学]]である<ref>[[土木学会]].“[http://www.jsce.or.jp/outline/index.shtml 土木学会とは]”. 土木学会概要. 2008年3月19日閲覧。</ref>。主な対象として、[[鉄道]]、[[道路]]、[[橋|橋梁]]、[[トンネル|トンネル、]][[港湾]]、[[空港]]、[[海岸]]、[[川|河川、]][[ダム|ダム、]][[廃棄物]]処理、[[水道]](上水道、工業用水道、下水道)、[[砂防]]、[[土木景観]]などがある。また、土木工学部分の[[発電|発電施設]]、[[通信|通信施設]]、[[環境]]保全、[[造成]]、[[交通]]、[[国土計画]]なども含まれ、対象は多岐にわたる。これらを取り巻く人工物は総称して「土木構造物」と呼ばれる。一般的に土木構造物は、公共事業として建設され、長期間に亘って社会・経済活動を支えている


== 研究対象と分野 ==
== 研究対象と分野 ==
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| 6=[[サンフランシスコ]]の道路計画
| 6=[[サンフランシスコ]]の道路計画
}}
}}
研究分野は以下に示すように多様な課題て更に細分化されている。したがって、その分野を専門とする技術者に分かれ実務を担う。各分野内でもさらに、[[計画]]や[[調査]]、[[測量]]、[[解析]]、[[設計]]、[[施工]]、[[維持管理]]、[[積算]]、[[災]]、[[環境]]などの各テーマごとに従事する者に分かれる。
土木工学で扱う主な対象は、[[川|河川]]、[[ダム]]、[[トンネル]]、[[道路]]、[[橋|橋梁]]、[[港湾]]、[[空港]]、[[鉄道]]、[[廃棄物]]処理、上中下[[水道]]などで、土木工学部分の[[発電|発電施設]]、[[通信|通信施設]]、[[環境]]保全、[[造成]]、[[交通]]、[[国土計画]]などもあり、多岐にわたる。これらを取り巻く人工物を総称して「土木構造物」と呼ぶ。


=== 地盤系 ===
大別した研究分野は以下に示すように、多様な課題に対して更に細分化されている。
* [[土質力学]]([[土構造物]]、[[斜面崩壊]])

* [[基礎工学]]
このため1人の技術者がこれら全て精通しているわけではなく、その分野を専門とする技術者に分かれ実務を担い、各分野内でもさらに、[[計画]]や[[調査]]、[[設計]]、[[施工]]、[[維持管理]]、[[積算]]、災害などの各分別ごとに従事する者に分かれる。
* [[振動工学]]([[土動力学]]、[[地震工学]])
* [[地質学]] [[岩盤工学]]([[岩|岩盤]]、[[トンネル]])
* [[土壌汚染]]学、[[地下水#地盤の沈下と地下水位の回復|地下水汚染]]


=== 構造・材料系 ===
=== 構造・材料系 ===
* [[構造力学]](構造設計)
* [[構造力学]](構造設計) - [[建設工学]]
* [[橋梁工学]]
* [[材料工学]]
* [[材料工学]]
* [[橋梁工学]]
* [[舗装]]工学
* [[舗装]]工学


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* [[河川工学]](河川)・[[水資源工学]](ダム)
* [[河川工学]](河川)・[[水資源工学]](ダム)
* [[海岸工学]]([[防波堤]]、防潮堤)
* [[海岸工学]]([[防波堤]]、防潮堤)

=== 地盤系 ===
* [[土質力学]]([[土構造物]]、[[斜面崩壊]])
* [[地質学]] [[岩盤工学]]([[岩|岩盤]]、[[トンネル]])
* [[基礎工学]]
* [[土壌汚染]]学、[[地下水#地下環境問題|地下水汚染]]
* [[振動工学]]([[土動力学]]、[[地震工学]])


=== 測量系 ===
=== 測量系 ===
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=== 交通系 ===
=== 交通系 ===
{{Main|交通工学|交通計画|鉄道工学}}
{{Main|交通工学|交通計画|鉄道工学}}
道路や鉄道、空港など人や物が移動に関する構造物の設計や計画方法についての学問である。<!--もともと[[モータリゼーション]]の進展にともなって必要となった学問である一面があるため、自動車中心であったが、90年代頃からは[[パークアンドライド]]など複数の交通機関の結節方法や、[[モーダルシフト]]といった交通のあり方に焦点が当たっている。  土木工学の記事内で交通工学の詳しい説明は不要。-->
道路や鉄道、空港など人や物が移動に関する構造物の設計や計画方法についての学問である。


=== 衛生系 ===
=== 衛生系 ===
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== 他分野との関わり ==
== 他分野との関わり ==
=== 抱合した他分野 ===
=== 抱合した他分野 ===
土木工学から見て抱合した学術分野には以下のようなものがある。しかし
土木工学から見て抱合した学術分野には以下のようなものがある。
その学際性を尊重しつつであるが、諸学諸説の完全説明学となっていない
その学際性を尊重しつつ、諸学諸説の完全説明学となっていないのも事実である。
のも事実である。


* 防災工学
* [[防災工学]]
:防災に関する幅広い工学分野を有するが、学術的に土木工学が抱合される。
:防災に関する幅広い工学分野を有するが、学術的に土木工学が抱合される。
* [[金属工学]]
* [[金属工学]]
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* [[地球工学]]
* [[地球工学]]
* [[地球情報学]]
* [[地球情報学]]
* [[水文学]] [[気象学]]
* [[エネルギー工学]]
* [[エネルギー工学]]
* [[発電工学]]


=== 隣接した分野 ===
=== 隣接した分野 ===
* [[都市地理学]]
* [[都市地理学]]
* [[事業体工学]]
* [[システム工学]]
* [[市民工学]]
* [[市民工学]]
* [[社会工学]]
* [[社会工学]]

* [[管理工学]] [[経営工学]] [[数理工学]] [[工業地理学]]
* [[経済学]] [[経済工学]](主に[[都市経済学]])- 交通量推計の方法でもある非集計モデルの推定では、[[ノーベル経済学賞]]を受賞した[[ダニエル・マクファデン]]も研究に携わっている。


=== 類似した他分野 ===
=== 類似した他分野 ===
* [[都市工学]] [[都市交通工学]]
* [[都市工学]] [[都市交通工学]] [[都市計画学]]
* [[建築学]] - 高等教育機関では同一学科としている場合もあり、基礎部分には共通点が多い。
* [[建築学]] - 高等教育機関では同一学科としている場合もあり、基礎部分には共通点が多い。
* [[農業工学]](農業土木学)
* [[経済学]] [[経済工学]](主に[[都市経済学]])- 交通量推計の方法でもある非集計モデルの推定では、[[アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞|ノーベル経済学賞]]を受賞した[[ダニエル・マクファデン]]も研究に携わっている。
* [[農業工学]]
* [[森林利用学]]
* [[水産工学]]


== 土木工学の教育 ==
== 土木工学の教育 ==
=== 中等教育 ===
=== 中等教育 ===
土木工学は[[中等教育]]では[[工業高校]]の[[土木科]]が担っている。
土木工学は[[中等教育]]では[[工業高校]]の[[土木科]]が担っている。土木工学の基礎課程では、測量学と、水理学、土質力学、構造力学の「[[三力|3力学]]」および[[土木施工]]([[土工]]・[[コンクリート工]]・基礎工・舗装工)、都市計画他を習う


=== 高等教育 ===
=== 高等教育 ===
[[高等専門校|高専]]では[[環境都市工学|環境都市工学科]]という名称の学科が担っている。[[短期大学]]や[[専修]](専門学校)では[[土木工学科]]や[[建設学科]]、[[社会環境工学科]]という名称の学科が担っているが、[[大学]]では[[工学部]]や[[理工学部]]で、大半は旧来の土木工学科から名称変更し、カタカナ用語や二字熟語を組み合わせた名称の学科が[[高等教育]]を担っている。
[[学]]では[[工学]]や[[理工]]で、大半は[[土木工学科#学科名の改と研究範囲変化|旧来の土木工学科から名称変更]]し、[[土木工学科#土木のつく学科をもつ学校|カタカナ用語や二字熟語を組み合わせた名称の学科]]が[[高等教育]]を担っている。
[[高等専門学校|高専]]では、[[環境都市工学|環境都市工学科]]という名称の[[学科 (学校)|学科]]が担っている。[[短期大学]]や[[専修学校]](専門学校)では[[土木工学科]]や[[建設学科]]、[[社会環境工学科]]という名称の学科が担っている。
また[[大学院]]では[[工学研究科]]や[[理工学研究科]]などに土木工学[[専攻]](学科と同じように名称が異なる場合が多い)を設置している。


上記土木工学の基礎課程に加え、各々の専門領域に応じてさらに専門科目を習う場合が多い。
1990年代から土木工学科の改称が多くの大学で見られた原因は、他の工学系学科に比べて土木分野の業務内容([[土工]]、[[3K]]など)と土木という単語に悪いイメージ([[汚職]]、[[談合]]など)が目立っていたことによるものである。生活が豊かになるにつれて公共事業が減少して、建設業界が斜陽化していたなど、進学しにくいイメージという解釈もあって受験者数が減少し、優秀な学生を社会に輩出できなくなっていた。

2000年代に入ると[[環境問題]]や[[都市再開発]]など、これまでとは違う観点に関心が集まるようになり、土木と建築が共同で執行する事業も増えた。これを受けて、学科の改組で[[建築学科]]などと統合され、コース別にする大学も増加傾向にある。<!--{{要出典2011年の[[東日本大震災]]では土木工学、とりわけ[[防災]]の重要性が世間に認知されたこともあり、近年の受験者は増加傾向にある。}}-->
また[[大学院]]では[[工学研究科]]や理工学研究科などに土木工学専攻(学科と同じように名称が異なる場合が多い)を設置している。


== 資格 ==
== 資格 ==
{{Main|日本の建設に関する資格一覧}}
{{Main|日本の建設に関する資格一覧}}
分野が多岐にわたるため、関連資格も多い。そのため、[[技術士]]試験においても土木技術分野にあたる[[技術士 (建設部門)]]で選択科目が多い。また、[[技術士 (衛生工学部門)]]と[[技術士 (上下水道部門)]]といった建設部門から独立した部門も設置されている。
分野が多岐にわたるため、関連資格も多い。そのため、[[技術士]]試験においても土木技術分野にあたる[[技術士 (建設部門)]]で選択科目が多い。また、[[技術士 (衛生工学部門)]]と[[技術士 (上下水道部門)]]といった建設部門から独立した部門も設置されている。


== 土木の語源 ==
== 土木の語源 ==
=== 日本語 ===
=== 日本語 ===
名前の由来は中国の前漢時代の古典「[[淮南子]](えなんじ)」にでてくる築土構木という言葉から来ているといわれているが、実際のところははっきりしない。<!--土を築き・木を組んで構造物を造ることなどといわれているが、その後の研究で淮南子のこの言葉はネガティブな言い回しらしい。築土と構木という熟語は熟語としてほとんど使用されていない言葉である。--><!--同じ春秋時代の古典書物で「今土木勝」という一説がある-->
名前の由来は中国の前漢時代の古典「[[淮南子]](えなんじ)」にでてくる築土構木という言葉から来ているといわれているが、実際のところははっきりしない。<!--土を築き・木を組んで構造物を造ることなどといわれているが、その後の研究で淮南子のこの言葉はネガティブな言い回しらしい。築土と構木という熟語は熟語としてほとんど使用されていない言葉である。--><!--同じ春秋時代の古典書物で「今土木勝」という一説がある-->

古代では漢詩や漢文等で使用された「土木」であったが、明治新政府で官職として初めてその名称が使われるようになる。1869年(明治2年)5月に[[民部官]]のもとに「[[土木局|土木司]]」が置かれ、事務分掌は「道路橋梁堤防等営作ノ事ヲ専管スルヲ掌ル」とされた<ref>https://www.jstage.jst.go.jp/article/suirikagaku/40/3/40_1/_pdf/-char/ja</ref><ref>https://committees.jsce.or.jp/publicity/system/files/03-20140910-JSCE-PR-Komatsu.pdf</ref>。一方で公共建築物は「[[営繕]]司」が担当することになり、ここで土木と建築の事務は分離されたのである。1877年(明治10年)に[[土木局]]が置かれ、これは現在における[[国土交通省]]の源流にもあたる。すなわち、明治以降の[[政治体制]]から日本語の「土木」として用語が定着したのである。

2019年(令和元年)9月に刊行された[[大辞林]]第四版では、「あらゆる産業・経済・社会等人間生活の基盤となる[[インフラ]]を造り、維持・整備してゆく活動」とされた。[[建設工事]]の総称に留まらず、[[社会資本#社会資本整備|社会資本整備そのもの]]を意味する言葉であることを表している。


=== 英語 ===
=== 英語 ===
日本で取り扱っている建築の技術部門や環境に関する部門も外国では土木として扱われることがあり、日本の土木工学/建築学とは対象分野の境界が少し異なっている。<!--また明治6年発行の「百科全書土木術」(訳者は大島貞益)ではCivil engineeringを建築学の義とされていた。また軍事技術自体は武器など土木技術ではないエンジニアリングである。-->
日本で取り扱っている建築の技術部門や環境に関する部門も外国では土木として扱われることがあり、日本の土木工学/建築学とは対象分野の境界が少し異なっている。外国ではなど土木構造物のデザインもarchitectureが担うことがある。
これに対し、日本では構造物の種類や目的によって土木工学/建築学が分かれているため<!--なお行政手続の世界になると2項道路など道路は種類によってそれぞれで扱われるものもある-->、建築家も[[構造計算]]を行い、[[生活環境]]に関する研究を建築学者も行う一方、構造を扱う土木技術者もデザインを学習し行うこともある。
<!--明治6年発行の「百科全書土木術」(訳者は大島貞益)ではCivil engineeringを建築学の義とされていた。-->


今日の英語圏においてはフレーズ civil engineering が日本語圏における土木工学にほぼ相当するが、由来(歴史)的には単純にそのように対応しているわけではない。engineer という語は、今日では軍民の区別に関係なくニュートラルに使われているが、古くは「[[工兵]]」の意があり、その派生語として軍と関係ないが同様の土木工学を指す句として、1771年にイギリスの機械技術者[[ジョン・スミートン]]が、軍事以外の部門を意味する civil を付けたのが由来とされる。<!--たしかに17世紀頃のフランスで軍事に関連する土木の技術者の集団を「軍事土木技術者集団」と名付け、それ以外の土木の技術者にはCivilという単語を冠した「(市民)土木技術者集団」としたとされていたことがあるし、コア・オブ・エンジニアたる[[アメリカ]][[工兵隊]]は現在でも直轄で河川管理を行い、フランスとの関係も大きいが、-->なお現代ではそのような由来にもとづく意識はほぼ残っておらず、"mechanical engineering"(機械工学)や "electrical engineering"(電気工学)といった句と同様に使われており「非軍事の」という特段の意味はない。<!--非軍事の技術的問題のすべてが対象となる分野とされていて、軍事で建設される公共施設に土木技術は適用されるので軍事or非軍事と言う区分、つまり厳密には民間技術ということでCivil engineeringとはいわない。こうした区分は『古市公威とその時代』(土木学会土木図書館委員会, 土木学会土木史研究委員会編)にも指摘あるとおり、フランスの場合でグランド・ゼコール「エコール・デ・ポリテクニーク」を出て、さらに土木最高の学校「ポン・ゼ・ショッセー」を出た技術者が過去官庁や軍工兵部隊へ奉職し、「エコール・デ・サントラル」出身者がおもに民間企業へという流れから来ていることがあげられ、明治時代には諸芸学と称されていた。-->
今日の英語圏においてはフレーズ civil engineering が日本語圏における土木工学にほぼ相当するが、由来(歴史)的には単純にそのように対応しているわけではない。「[[wikt:engineer|engineer]]」という語は、今日では軍民の区別に関係なくニュートラルに使われているが、古くは「[[工兵]]」の意があり、その派生語として軍と関係ないが同様の土木工学を指す句として、1771年にイギリスの機械技術者[[ジョン・スミートン]]が、軍事以外の部門を意味する [[wikt:civil|civil]] を付けたのが由来とされる。
<!--たしかに17世紀頃のフランスで軍事に関連する土木の技術者の集団を「軍事土木技術者集団」と名付け、それ以外の土木の技術者にはCivilという単語を冠した「(市民)土木技術者集団」としたとされていたことがあるし、フランスとの関係も大きいコア・オブ・エンジニアたる[[アメリカ]][[工兵隊]]は現在でも直轄で河川管理を行-->
なお現代ではそのような由来にもとづく意識はほぼ残っておらず、"mechanical engineering"(機械工学)や "electrical engineering"(電気工学)といった句と同様に使われており「非軍事の」という特段の意味はない。非軍事の技術的問題のすべてが対象となる分野とされていて、軍事で建設される公共施設に土木技術は適用されるので軍事or非軍事と言う区分、つまり厳密には民間技術ということでCivil engineeringである、とはいわない。


こうした区分は『古市公威とその時代』(土木学会土木図書館委員会, 土木学会土木史研究委員会編)にも指摘あるとおり、フランスの場合で[[グランド・ゼコール]]「[[エコール・ポリテクニーク|エコール・デ・ポリテクニーク]]」を出て、さらに土木最高の学校「[[国立土木学校|ポン・ゼ・ショッセー]]」を出た技術者が過去官庁や軍工兵部隊へ奉職し、「[[エコール・サントラル|エコール・デ・サントラル]]」出身者がおもに民間企業へという流れから来ていることがあげられ、明治時代には諸芸学と称されていた。
== 脚注 ==

== 出典 ==
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{{Reflist}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* [http://library.jsce.or.jp/Image_DB/s_book/jsce100/htm/058.htm 土木デジタルアーカイブス 土木工学ポケットブック編集会編 『土木工学ポケットブック 上・下巻』 山海堂 昭和11年発行]
* [http://library.jsce.or.jp/Image_DB/s_book/jsce100/htm/058.htm 土木デジタルアーカイブス 土木工学ポケットブック編集会編 『土木工学ポケットブック 上・下巻』 山海堂 昭和11年発行]

== 用語 ==
* {{ill2|ソイルネイリング|en|Soil nailing}} ‐ 地盤に釘を打ち込み補強する工法。
* {{ill2|ジオシンセティックス|en|Geosynthetics}} - 土木用途の高分子材料を使ったものの総称。
** {{ill2|ジオテキスタイル|en|Geotextile|redirect=1}} ‐ 高分子で作られた布状の物。
** {{ill2|ジオフォーム|en|Geofoam}} ‐ 発泡スチロールやポリスチレンなどを用いたブロック。[[軽量盛土]]などで使う。
** {{ill2|ジオメンブレン|en|Geomembrane}} ‐ 膜状のシート。廃棄物場・貯水地などで地面を覆う遮水シートなどに用いられる。
** {{ill2|ジオコンポジット|en|Geocomposite}} ‐ 二つ以上のジオシンセティックス製品から作られた製品。遮水シートと透過(ろ過)するシートの組み合わせなど。
** {{ill2|ジオセル|en|Cellular confinement}} ‐ 土砂を入れるボックスを備えたプラスチック製容器。川などの水流による侵食・土砂崩れ対策などに用いられる。

== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Wikibooks|土木工学}}
{{Wikibooks|土木工学}}
{{Wikiversity|Topic:土木工学}}
{{Wikiversity|Topic:土木工学}}
{{Wikiquotelang|en|Civil engineering}}
{{Wikiquotelang|en|Civil engineering}}
* [[土木学会]]([[土木学会田中賞]]、[[土木学会選奨土木遺産]])
* [[土木学会]]
* [[土木事業]]
* [[国土交通省]]([[国土技術政策総合研究所]]、[[土木研究所]])・[[防衛省]]・[[環境省]]
* [[土木工事]]
* [[建設コンサルタント]]・[[ゼネコン]]・[[下請け]]・[[土工]]
* [[汚職]]・[[公共事業]]・[[土木費]]
* [[産業廃棄物]]・[[土木機械]]
* [[土木事業]]・[[土木工事]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.jsce.or.jp/ 社団法人 土木学会]
* [https://www.jsce.or.jp/ 公益社団法人 土木学会]
* [http://www.mlit.go.jp/ 国土交通省]
* [https://www.mlit.go.jp/ 国土交通省]
* {{Kotobank}}


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{{テクノロジー}}
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{{DEFAULTSORT:とほくこうかく}}

2024年9月22日 (日) 04:40時点における最新版

兵庫県にある明石海峡大橋

土木工学(どぼくこうがく、英語: civil engineering)とは、自然災害等の社会課題の解決および環境の創造・維持発展を目的として、社会基盤を整備する工学である[1]。主な対象として、鉄道道路橋梁トンネル、港湾空港海岸河川、ダム、廃棄物処理、水道(上水道、工業用水道、下水道)、砂防土木景観などがある。また、土木工学部分の発電施設通信施設環境保全、造成交通国土計画なども含まれ、対象は多岐にわたる。これらを取り巻く人工物は総称して「土木構造物」と呼ばれる。一般的に土木構造物は、公共事業として建設され、長期間に亘って社会・経済活動を支えている。

研究対象と分野

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研究分野は以下に示すように、多様な課題に対して更に細分化されている。したがって、その分野を専門とする技術者に分かれて実務を担う。各分野内でもさらに、計画調査測量解析設計施工維持管理積算防災環境などの各テーマごとに従事する者に分かれる。

地盤系

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構造・材料系

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水工系

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測量系

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計画系

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交通系

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道路や鉄道、空港など人や物が移動に関する構造物の設計や計画方法についての学問である。

衛生系

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他分野との関わり

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抱合した他分野

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土木工学から見て抱合した学術分野には以下のようなものがある。 その学際性を尊重しつつ、諸学諸説の完全説明学となっていないのも事実である。

防災に関する幅広い工学分野を有するが、学術的に土木工学が抱合される。
この分野も幅広い工学分野を有するが、土木工学も一部抱合される。

派生した他分野

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土木工学とともに派生した学術分野には以下のようなものがある。

  • 機械工学
工部大学校の当初から、同一の学科としてコース制で教育している。

近接した他分野

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隣接した分野

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類似した他分野

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土木工学の教育

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中等教育

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土木工学は中等教育では工業高校土木科が担っている。土木工学の基礎課程では、測量学と、水理学、土質力学、構造力学の「3力学」および土木施工土工コンクリート工・基礎工・舗装工)、都市計画他を習う。

高等教育

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大学では工学部理工学部で、大半は旧来の土木工学科から名称変更し、カタカナ用語や二字熟語を組み合わせた名称の学科高等教育を担っている。 高専では、環境都市工学科という名称の学科が担っている。短期大学専修学校(専門学校)では土木工学科建設学科社会環境工学科という名称の学科が担っている。 また大学院では工学研究科理工学研究科などに土木工学専攻(学科と同じように名称が異なる場合が多い)を設置している。

上記土木工学の基礎課程に加え、各々の専門領域に応じてさらに専門科目を習う場合が多い。

資格

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分野が多岐にわたるため、関連資格も多い。そのため、技術士試験においても土木技術分野にあたる技術士 (建設部門)で選択科目が多い。また、技術士 (衛生工学部門)技術士 (上下水道部門)といった建設部門から独立した部門も設置されている。

土木の語源

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日本語

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名前の由来は中国の前漢時代の古典「淮南子(えなんじ)」にでてくる築土構木という言葉から来ているといわれているが、実際のところははっきりしない。

古代では漢詩や漢文等で使用された「土木」であったが、明治新政府で官職として初めてその名称が使われるようになる。1869年(明治2年)5月に民部官のもとに「土木司」が置かれ、事務分掌は「道路橋梁堤防等営作ノ事ヲ専管スルヲ掌ル」とされた[2][3]。一方で公共建築物は「営繕司」が担当することになり、ここで土木と建築の事務は分離されたのである。1877年(明治10年)に土木局が置かれ、これは現在における国土交通省の源流にもあたる。すなわち、明治以降の政治体制から日本語の「土木」として用語が定着したのである。

2019年(令和元年)9月に刊行された大辞林第四版では、「あらゆる産業・経済・社会等人間生活の基盤となるインフラを造り、維持・整備してゆく活動」とされた。建設工事の総称に留まらず、社会資本整備そのものを意味する言葉であることを表している。

英語

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日本で取り扱っている建築の技術部門や環境に関する部門も外国では土木として扱われることがあり、日本の土木工学/建築学とは対象分野の境界が少し異なっている。外国では橋などの土木構造物のデザインもarchitectureが担うことがある。 これに対し、日本では構造物の種類や目的によって土木工学/建築学が分かれているため、建築家も構造計算を行い、生活環境に関する研究を建築学者も行う一方、構造を扱う土木技術者もデザインを学習し行うこともある。

今日の英語圏においてはフレーズ civil engineering が日本語圏における土木工学にほぼ相当するが、由来(歴史)的には単純にそのように対応しているわけではない。「engineer」という語は、今日では軍民の区別に関係なくニュートラルに使われているが、古くは「工兵」の意があり、その派生語として軍と関係ないが同様の土木工学を指す句として、1771年にイギリスの機械技術者ジョン・スミートンが、軍事以外の部門を意味する civil を付けたのが由来とされる。 なお現代ではそのような由来にもとづく意識はほぼ残っておらず、"mechanical engineering"(機械工学)や "electrical engineering"(電気工学)といった句と同様に使われており「非軍事の」という特段の意味はない。非軍事の技術的問題のすべてが対象となる分野とされていて、軍事で建設される公共施設に土木技術は適用されるので軍事or非軍事と言う区分、つまり厳密には民間技術ということでCivil engineeringである、とはいわない。

こうした区分は『古市公威とその時代』(土木学会土木図書館委員会, 土木学会土木史研究委員会編)にも指摘あるとおり、フランスの場合でグランド・ゼコールエコール・デ・ポリテクニーク」を出て、さらに土木最高の学校「ポン・ゼ・ショッセー」を出た技術者が過去官庁や軍工兵部隊へ奉職し、「エコール・デ・サントラル」出身者がおもに民間企業へという流れから来ていることがあげられ、明治時代には諸芸学と称されていた。

出典

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参考文献

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用語

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関連項目

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外部リンク

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