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感性工学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

感性工学(かんせいこうがく、英語: Kansei Engineering/Affective Engineering)とは、人間の感性という主観的で論理的に説明しにくい反応を、科学的手法によって価値を発見し、活用することによって社会に資することを目的とした学問である。人の心地を知る感性計測技術などを用いて、人の心や体の反応をものづくりに活かす学問とも言える。理系と文系の融合領域[1]

概要

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ヒトの知性は、情緒的で感覚的な主観を重んじる側面と、論理的で分析的な客観を重んじる側面があり、前者は芸術やファッションデザインなどで発揮され、後者は科学や工学として展開した。それぞれの分野は専門化しているが、両者を結びつける分野が感性工学・感性科学といえる[2]

感性工学は個人または組織が提供する製品またはサービスにその有用性だけでなく、使用者の感性を予想して提供しようとするもので、広島大学長町三生教授が創始したといわれている[3][4][5]。 心地よい・楽しいといった人間の嗜好やフィーリングを分析・反映する手法として、ファジィ論理カオスフラクタル理論などがある[6]

日本で始まり世界へ伝わった比較的新しい技術工学で、日本では日本感性工学会が1998年より組織されている。 世界各国でも様々な大学研究所で研究が行われている。スウェーデンリンショーピング大学ではKansei Engineering Software(KESo)の開発も行われている[7]

明治時代の蚕糸専門学校がルーツの信州大学繊維学部(上田市)に世界初の「感性工学科」が創設された[1]

感性工学の手法を駆使することで、単なる未来ではなく、人々の暮らしをより良くかなえる「ミライ」を感性の力で実現したいと考え、この学問体系を、「感性『ミライ』デザイン学」とも定義できる。 ポストコロナのもの作りにおいては、感性を活用した商品の開発が一段と重要になってくると言える[8]

感性工学が関わっている製品の例として、消費者の好みに合わせた車のデザインや家具などが挙げられ、人々の生活に役立っている[9]

脚注

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  1. ^ a b “信州讃歩:上田発「感性工学」城島徹 /長野 毎日新聞”. (2005年3月7日) 
  2. ^ 椎塚 2013, pp. i–ii.
  3. ^ 長町三生著『感性工学のおはなし』(日本規格協会、1995)
  4. ^ 井川憲明著『感性の科学 -心理と技術の融合-』(朝倉書店、2006年)
  5. ^ 感性工学とは
  6. ^ 今井和也『カタチの歴史:建築とファッションのただならぬ関係』新曜社、2003年。ISBN 4-7885-0834-6 pp.183-187.
  7. ^ Kansei Engineering Software(KESo)
  8. ^ “静岡産業大学経営学部教授熊王康宏氏━コロナ後のもの作り、感性活用「外さない」開発を (静岡発私の提言) 日本経済新聞”. (2020年9月8日) 
  9. ^ “広島国際大の感性工学研修に香港から教員ら訪問 商品開発に活用=広島 読売新聞 ”. (2004年7月29日) 

参考文献

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  • 椎塚久雄、椎塚久雄(編)、2013、「まえがき」、『感性工学ハンドブック』、朝倉書店 ISBN 9784254201543

関連項目

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外部リンク

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