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「西武30000系電車」の版間の差分

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{{鉄道車両
{{注意|'''[[Wikipedia:検証可能性|検証可能性]]'''を満たさない配置情報・入籍情報の記入は'''絶対にお止めください'''。このような編集があった場合、'''[[Help:以前の版にページを戻す方法|差し戻し]]'''を行うことがあります。}}
| 車両名 = [[ファイル:SeibuRailway mark bw.svg|18px]] 西武30000系電車<div style="font-size:80%;">Smile Train</div>
{{現在進行}}
| 背景色 = #36C
{{利用者:MaximusM4/Template
| 文字色 = #FFF
|車両名=[[ファイル:SeibuRailway mark.svg|18px]] 西武30000系電車<div style="font-size:80%;">Smile Train</div>
| 画像 = Seibu-Shinjuku-line Series30006 38806.jpg
|社色=#225EA8
| 画像説明 = 西武30000系電車<br>(2022年7月23日 [[狭山市駅]] - [[新狭山駅]]間)
|画像= Seibu_Railway_30000.jpg
| 運用者 = [[西武鉄道]]
|画像説明= 西武30000系38103編成<br />([[東長崎駅|東長崎]] - [[椎名町駅|椎名町]]・2008年6月)
| 製造所 = [[日立製作所]][[日立製作所笠戸事業所|笠戸事業所]]
|編成= 8両・2両・6両(予定)<ref name=seibu20070427>{{Cite web |date=2007-04-27 |url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0427.1.pdf |title=新型通勤車両「30000系」2008年春デビュー |format=PDF |publisher=西武鉄道 |accessdate=2012-05-14}}</ref>
| 製造年 = 2008年 - 2016年
|起動加速度= 3.3
| 製造数 = 30編成216両(2両×6編成、8両×18編成、10両×6編成)
|営業最高速度= 105
| 運用開始 = 2008年4月26日
|設計最高速度= 120
| 編成 = 2・8・10両編成
|減速度(常用最大)= 3.5
| 軌間 = 1,067 [[ミリメートル|mm]]([[狭軌]])
|減速度(非常)= 4.5
| 電気方式 = [[直流電化|直流]]1,500[[ボルト (単位)|V]]<br />([[架空電車線方式]])
|編成定員= 8両:1,200(座席408)人<br />2両:283(座席93)人
| 最高運転速度 = 105 [[キロメートル毎時|km/h]]
|車両定員= ・8両編成<br />先頭車141(座席45)人<br />中間車153(座席54または51)人<br />・2両編成のクモハ32100形は前記、クハ32200形は142(座席48)人
| 設計最高速度 = 120 km/h
|全長= 20,000<!-- 本文も含めてカンマは消去しないこと -->
| 起動加速度 = 3.3&nbsp;[[キロメートル毎時毎秒|km/h/s]]
|全幅= 2,930
| 常用減速度 = 3.5&nbsp;km/h/s
|全高= 4,060
| 非常減速度 = 4.5&nbsp;km/h/s
|編成重量= 8両:238.8t<br />2両:64.0t
| 編成定員 = 2両:283人(座席93人)<br />8両:1,200人(座席408人)<br />10両:1506人(座席546人)
|車両重量= 25.0 - 34.4t<!-- 8両編成と2両編成共用です -->
| 車両定員 = 先頭車:141人(座席45人)<ref group="注釈">車椅子スペースのない車両は142人(座席48人)。</ref><br />中間車:153人(座席54人)<ref group="注釈">車椅子スペースのある車両は座席定員51人。</ref>
|軌間= 1,067([[狭軌]])
| 自重 = 24.7 - 34.1 [[トン|t]]
|電気方式= [[直流電化|直流]]1,500V([[架空電車線方式]])
| 編成重量 = 2両:64.0 t<br />8両:238.8 t<br />10両:295.0 t
|主電動機= [[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]]
| 全長 = 20,000 mm
|主電動機出力= 165kW
| 全幅 = 2,975 mm
|搭載数= 4
| 全高 = 4,060 mm<ref group="注釈">パンタグラフ折り畳み高さは4,172mm。</ref>
|歯車比=87:14 (6.21)
| 車体 = [[アルミニウム合金|アルミ合金]]([[A-train (日立製作所)|A-train]])
|駆動装置= [[WN駆動方式|WNドライブ]]
|台車= モノリンク式ボルスタレス台車<br />SS-175MSS-175T
| 台車 = モノリンク式ボルスタレス台車<br />1 - 6次車:SS175MSS175T<br />7次車以降:SS175MA・SS175TA
| 主電動機 = 1 - 6次車:[[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]] HS32534-15RB<br />7次車以降:全密閉形三相交流かご形誘導電動機 HS32532-04RB
|制御装置= [[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]-[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]
| 主電動機出力 = 165 [[ワット|kW]] × 4
|制動方式= [[回生ブレーキ|回生制動]]併用[[電気指令式ブレーキ|全電気指令式電磁直通ブレーキ]]・[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]
| 駆動方式 = [[WN駆動方式|WN継手式中実軸平行カルダン方式]]
|保安装置= [[自動列車停止装置#AF軌道回路方式(連続照査型)|西武形ATS]]
| 歯車比 = 6.21 (87:14)
|製造メーカー= [[日立製作所]]
| 編成出力 =
|備考=
| 制御方式 = [[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]][[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]
| 制御装置 = [[日立製作所]]製<br />・VFI-HR1820A または VFI-HR1420R<small>(1〜6次車)</small><br />・VFI-HR2820R(と VFI-HR1421B)<small>(7〜9次車)</small><br />・VFI-HR2820U<small>(10次車)</small>
| 制動装置 = [[回生ブレーキ|回生制動]]優先[[電気指令式ブレーキ|全電気指令式電磁直通ブレーキ]]([[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]付) HRDA-1
| 保安装置 = [[自動列車停止装置#AF軌道回路方式(連続照査型)|西武形ATS]]
| 備考 =
}}
}}
'''西武30000系電車'''(せいぶ30000けいでんしゃ)は、[[2008年]]([[平成]]20年)[[4月26日]]に営業運転を開始した[[西武鉄道]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]。
'''西武30000系電車'''(せいぶ30000けいでんしゃ)は、[[2008年]]([[平成]]20年)4月26日<ref name="DJ201102-kusui_1">「2011年西武電車最新ガイド」 (2011) p.7</ref>に営業運転を開始した[[西武鉄道]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤車]]である


以下、本項においては30000系電車を「本系列」と記述し、また編成単位の記述に際しては各編成の[[飯能駅|飯能]]・[[西武新宿駅|西武新宿]]方先頭車の[[鉄道の車両番号|車両番号]](以下「車番」)をもって編成呼称とする(例:38103編成・32101編成)<ref name="DJ201102-kusui_2">「2011年西武電車最新ガイド」 (2011) p.9</ref>。
==概要==
[[西武池袋線|池袋線]]や[[西武新宿線|新宿線]]などで運用されている[[西武101系電車|101系・301系]]の老朽化が進んだため、同系列の代替として[[2007年]](平成19年)度より新造が開始された<ref>なお、101系については以前にも[[1999年]](平成11年)度から[[2005年]](平成17年)度まで20000系によって旧101系を置き換えている。</ref>。


== 概要 ==
本系列の開発に当たっては、西武鉄道の女性社員を含んだプロジェクトチームが結成された。
[[西武池袋線|池袋線]]・[[西武新宿線|新宿線]]系統において運用される[[西武101系電車|101系・301系電車]]を代替する目的で<ref name="RF200806_1">「新車ガイド 平成20年4月26日から営業運転を開始 西武鉄道30000系」 (2008) pp.70 - 71</ref>、[[2007年]](平成19年)度より新製された<ref name="DJ201102-kusui_1" />、[[西武グループ]]における統一[[スローガン|コーポレートスローガン]]「''でかける人を、ほほえむ人へ''<ref name="holdings">[http://www.seibuholdings.co.jp/about/business/ 事業紹介] - [[西武ホールディングス]]公式Web 2012年6月1日閲覧</ref>」に沿った内外装の[[デザイン]]を特徴とする通勤形電車である<ref name="pdf_pamph">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/20080325_1.pdf|format=PDF|title=お客様や地球に優しい新型通勤車両 - 西武鉄道30000系|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年3月25日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120324133807/http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/20080325_1.pdf|archivedate=2012年3月24日}}</ref>。[[鉄道の車両愛称|愛称]]は“'''スマイルトレイン'''” (''Smile Train'') <ref name="DJ201102-kusui_1" />。


内外装のデザインについては「[[卵|たまご]]」を[[話題|モチーフ]]とし<ref name="pdf_pamph" />、外観は「生みたてのたまごのようなやさしく、やわらかなふくらみ<ref name="pdf_pamph" />」を、内装は「温かみのあるやさしい空間<ref name="pdf_pamph" />」をそれぞれイメージしたものである。また、各部の設計には[[#落成までの経緯|後述する]]本系列の設計開発プロジェクトに参加した女性社員の意見を反映し<ref name="RF200806_1" />、専門的な視点のみならず利用客視点からの意見・感性を取り入れたものとした<ref name="pdf_pamph" />。また、西武鉄道の通勤形電車としては初の拡幅車体を採用した他、[[車内案内表示装置]]として初めて[[液晶ディスプレイ]] (LCD) を採用するなど、数々の新機軸が導入されている<ref name="pdf_debut-pre">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0427.1.pdf|format=PDF|title=新型通勤車両「30000系」2008年春デビュー|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年4月27日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070930181302/http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0427.1.pdf|archivedate=2007年9月30日}}</ref>。
[[鉄道の車両愛称|愛称]]は“'''スマイルトレイン'''” (''Smile Train'') で、[[概念|製造コンセプト]]は「'''〜人にやさしく、みんなの笑顔をつくりだす車両〜'''」としている。


本系列の主にデザイン面における工夫が評価され<ref name="kids-award">[http://www.kidsdesignaward.jp/kda_award_2009/prize6/01/11/ 第3回キッズデザイン大賞 商品デザイン部門] - 受賞した94件の一つ。受賞番号091028。</ref>、[[2009年]](平成21年)7月に[[特定非営利活動法人|NPO法人]]キッズデザイン協議会<ref group="注釈">{{Cite web|和書|title=特定非営利活動法人キッズデザイン協議会 {{!}} キッズデザインとは、次世代を担う子どもたちの健やかな成長発達につながる社会環境の創出のために、デザインのチカラを役立てようとする考え方であり、活動です。 「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」。この3つのデザインミッションのもと、成り立っています。|url=https://kidsdesign.jp/|website=kidsdesign.jp|accessdate=2021-04-07}}</ref>より第3回[[キッズデザイン賞]]を、本系列の製造を担当した[[日立製作所]]とともに鉄道車両としては初めて受賞した<ref name="kids-award" /><ref group="注釈">その他、[[鉄道友の会]]が主催する[[ローレル賞]]において2009年(平成21年)度の受賞候補となったものの、最終選考において落選した。</ref>。
2009年7月に、[[特定非営利活動法人|NPO法人]][http://www.kidsdesign.jp/ キッズデザイン協議会]から、鉄道車両としては初となる[[キッズデザイン賞]]を、メーカーの[[日立製作所]]とともに受賞している<ref>[http://www.kidsdesignaward.jp/kda_award_2009/prize6/01/11/ 第3回キッズデザイン大賞 商品デザイン部門] - 受賞した94件の一つ。受賞番号091028。</ref>。


10両編成6本(60両)、8両編成18本(144両)、2両編成6本(12両)の計216両が在籍する。当初計画段階において8両編成12本(96両)・6両編成3本(18両)・2両編成3本(6両)の計120両を新製すると公表された<ref name="pdf_debut-pre">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0427.1.pdf|format=PDF|title=新型通勤車両「30000系」2008年春デビュー|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年4月27日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070930181302/http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0427.1.pdf|archivedate=2007年9月30日}}</ref><ref name="tsuchiya2008_1">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) p.41</ref>が、計画の変更で6両編成の製造は中止となり、代わりに10両編成を導入することとなった。
=== 車両番号について ===
本系列の[[鉄道の車両番号|車両番号]]の付番要領は[[西武6000系電車|6000系]] - [[西武20000系電車|20000系]]のものに準じているが、万位が系列の"3"、千位が編成両数 (2・<!--6・-->8) 、百位が編成中の号車 (1 - 8) 、下二桁で製造順位を表すものとなっている([[東武10000系電車#車両編成|東武の5桁系列通勤車の付番要領]]と類似しているが、千位・百位が逆である)。


== 導入の経緯 ==
なお、本項では編成について各編成の1号車の車両番号 + 「編成」で表す(例 - 38103編成、32101編成)。
[[1999年]](平成11年)度より新製が開始された[[西武20000系電車|20000系]]は、[[2005年]](平成17年)度をもって増備を完了し、同年より20000系に代わる次期新型通勤形電車の開発・設計に関する検討が開始された<ref name="tsuchiya2008_2">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) pp.37 - 39</ref>。


従来の西武鉄道における新型車両の開発・設計は、車両を専門に扱う部署の社員のみによって行われていた<ref name="RM200806_1">「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 (2008) p.103</ref>が、次期新型通勤形電車こと本系列の開発当時における西武グループは、[[2004年]](平成16年)の[[西武鉄道#証券取引法違反事件|証券取引法違反事件]]による株式上場廃止に端を発するグループ再編・経営再建の途上にあった<ref name="tsuchiya2008_2" />。そのような状況下において開発・設計が開始された本系列は西武グループにおける「新生・西武のシンボル」と位置付けられたことから<ref name="pdf_kiseki">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/20080325_2.pdf|format=PDF|title=30000系スマイルトレイン 誕生までの軌跡|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年3月25日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081230082750/http://www.seibu-group.co.jp:80/railways/unyu/zukan/30000/pdf/20080325_2.pdf|archivedate=2008年12月30日}}</ref>、専門部署以外の社員からの意見もくみ上げるべく様々な部署より社員を募り、男性社員20名で構成されたプロジェクトチームが2005年(平成17年)12月に発足<ref name="tsuchiya2008_2" />、本系列の[[概念#作品の概念・コンセプト|デザインコンセプト]]を「'''Smile Train〜人にやさしく、みんなの笑顔をつくりだす車両〜'''<ref name="pdf_debut-pre" />」と決定した。
== 外観 ==
車体構造は、[[西武20000系電車|20000系]]同様に組み立て工法に[[摩擦攪拌接合]] (FSW) を用いた[[ダブルスキン構造]]の[[アルミニウム合金|アルミ合金]]製車体である。車体材料には[[廃車 (鉄道)|廃車]]時の[[リサイクル]]性を考慮して同一合金を使用する「モノアロイ化」を実施しており、前頭部も含めてオールアルミ合金製としている。


もっとも、プロジェクトチーム発足当初の検討会議においては既成の鉄道車両の概念から離れることができず議論は停滞<ref name="tsuchiya2008_2" />、当時西武鉄道社長職にあった[[後藤高志]](現・取締役会長)より「女性の感性を取り入れてみたらどうか」との助言を受け<ref name="tsuchiya2008_2" />、第二回目の検討会議より11名の女性社員が加わった<ref name="tsuchiya2008_2" />。複数のメーカーが参加して実施された[[プレゼンテーション]]を経て<ref name="pdf_kiseki" />製造メーカーが日立製作所に決定したのち、内装デザインの素案作成については女性社員のみで担当することとなり<ref name="tsuchiya2008_3">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) pp.39 - 40</ref>、検討に際しての参考とするため他社の新型車両を試乗するなどして意見集約を進めた<ref name="pdf_kiseki" /><ref name="tsuchiya2008_3" />。
車体は万が一、[[列車衝突事故|衝突事故]]が発生した際の安全性についても十分に確保できるように設計されている。特に連結面においては対向列車が衝突(オフセット衝突)した場合に備えて妻面隅柱の強化と三角形断面化(Cカット)を実施している。車両前面においても正面衝突時に備えて[[乗務員]]・[[旅客|乗客]]への安全が確保できるように十分に強度が確保されている<!-- 鉄道ピクトリアル参照 -->。


実際に参考とされた他社の車両としては、共に[[東京地下鉄|東京メトロ]]の[[東京メトロ東西線|東西線]][[営団05系電車#第40_-_43編成(13次車)|05N系13次車]]を基にして設計された[[東京メトロ有楽町線|有楽町線]][[東京メトロ10000系電車|10000系]]及び[[東葉高速鉄道]][[東葉高速鉄道2000系電車|2000系]]<ref name="tsuchiya2008_3" />・[[東日本旅客鉄道|JR東日本]][[JR東日本E233系電車|E233系]]<ref name="tsuchiya2008_3" />などが挙げられている。特に[[鉄道車両の座席|座席]]部の構造および座席間に設置された握り棒([[スタンションポール]])の配置は[[中央線快速|JR中央線]]E233系0番台のものを<ref name="tsuchiya2008_3" />、車内天井部および車両間連結面の[[貫通扉]]部の構造は地下鉄有楽町線10000系のものをそれぞれ踏襲した<ref name="tsuchiya2008_3" />。
前面形状は、「生まれたての[[鶏卵|たまご]]のようなやさしく、やわらかなふくらみ」をイメージした[[デザイン]]である。正面と側面の外観には、[[コーポレートカラー]]であるブルーに加えてグリーンの[[グラデーション]]カラーをデザインすることで、「都市と自然あふれる街並みを結ぶ車両」を表現した<ref>本系列の塗装の青は20000系、6000系や[[西武4000系電車|4000系]]および[[西武グループ]]である[[伊豆箱根鉄道]]や[[近江鉄道]](一部)の車両で採用された[[ライオンズカラー|ライオンズブルー]]ではない。</ref>。正面中央左側と車両側面には[[2007年]][[4月1日]]から使用を開始した新[[シンボルマーク|コーポレートマーク]]が貼り付けされている<ref>2008年3月に本系列以外の車両全編成にも運転台用扉と乗降用扉間にのみ取り付けられたが、系列によっては若干の違いがある。</ref>。本系列は先頭車正面に[[貫通扉]]を設置しない構造であることなどから自社線内専用車両である。


== 構造 ==
;側面写真
<gallery>
ファイル:Seibu30000-38803.jpg|先頭車の車外側面(クハ38803号)
ファイル:Seibu30000-38709.jpg|中間車の車外側面(モハ38709号)。側面は下部にグラデーションカラーを巻く。
</gallery>


=== 車体 ===
車体長は20mのままであるが、西武鉄道の通勤形電車で初めて裾絞り車体を採用し<ref>西武における裾絞り車体初採用車は[[特急形車両]]の[[西武5000系電車|5000系]]である。</ref>、車体幅は従来車の2,800mmより130mm広い2,930mmに拡大されたため、1両あたりの定員が若干増加している。車両床面高さについては一世代前の20000系4次車の1,150mmよりも、さらに低い1,135mmとして[[プラットホーム]]と車両との段差を少なくしている。<!--貫通扉の基記述で地上線と記載済み -->製造メーカーは[[日立製作所]]([[A-train (日立製作所)|A-train]])であり、組み立て構造は同社標準の「[[モジュール]]工法」である。
[[摩擦攪拌接合]] (FSW) 工法によって組み立てられた<ref name="DJ201102-kusui_1" />[[ダブルスキン構造]]の[[アルミニウム合金|アルミ合金]]製構体<ref name="RM200806_1" />と、自立型([[モジュール]]構造)の内装を組み合わせた<ref name="hitachi-giho1">{{PDFlink|[http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2010/02/2010_02_02.pdf 日立評論2010年2月号:新しい価値を創造する先進車両技術と車両デザイン]}} - 日立製作所(2010年02月12日) 2012年6月1日閲覧</ref>、日立製作所が開発・提唱する鉄道車両「[[A-train (日立製作所)|A-train]]」としての標準的な仕様を有する<ref name="hitachi-giho2">{{cite news|url=http://www.hitachihyoron.com/2009/01/pdf/highlight03.pdf|title=日立評論2009年1月号:都市輸送を支える環境配慮型の車両システム「A-train」|newspaper=[[日立評論]]|publisher=日立製作所|date=2009年03月16日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20100216030505/http://www.hitachihyoron.com/2009/01/pdf/highlight03.pdf|archivedate=2010年2月16日|format=PDF}}</ref>。構体の主要部材については[[廃車 (鉄道)|廃車]]時の[[リサイクル]]性を考慮して単一合金種別 (6N01<ref name="NLM">[http://www.nikkeikin.co.jp/pages/products/products_p3/3d_12.html 事業・製品情報|代表的押出合金] - [[日本軽金属]] 2012年6月9日閲覧</ref><ref name="RP200807_1">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) p.146</ref>) で統一する「モノアロイ化」を推進し<ref name="RP200807_1" />、先頭車前頭部も含めて構体の全てがアルミ合金で構成される<ref name="RP200807_1" />。


構体の設計に際しては、万一[[列車衝突事故|衝突事故]]が発生した際の安全性確保にも配慮された<ref name="RP200807_1" />。先頭車の前面部分については正面衝突時に備えて[[乗務員]]および[[旅客|乗客]]の生存空間確保に配慮した設計を採用し<ref name="RP200807_1" />、中間連結面については対向列車との衝突(オフセット衝突)時に備えて妻面隅柱部の強化および隅柱形状の三角形断面([[面取り|Cカット]]形状)化が実施されている<ref name="RP200807_1" />。{{Vertical_images_list
== 内装 ==
|幅= 200px
車内は全体を清潔感のある白色系の[[デコラ|化粧板]]を使用し、さらに配色を工夫して従来車よりも明るさを感じられるようにしている。天井は[[ドーム]]形として従来車両よりも150mm高い2,405mmとすることで開放感のある車内としている。また、[[蛍光灯]]を工夫して取り付けることにより光の加減によって奥行きを感じさせないようにしてさらに開放感を持たせている。
|枠幅= 200px
| 1= Model 30000 of Seibu Railway.jpg
| 2= 前頭部外観(クハ38103)
| 3= Seibu30000-38709.jpg
| 4= 側面外観(モハ38709)
}}
白く塗装された先頭車前頭部を除き<ref name="tsuchiya2008_4">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) p.36</ref>、アルミ合金の地肌色を生かした無塗装仕様である<ref name="tsuchiya2008_4" />。車体長は従来車と同様に先頭車・中間車とも19,500 [[ミリメートル|mm]]<ref name="RP200807_2">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) pp.146 - 147</ref>であるが、車体幅については2,930 mmと従来車の2,800 mmと比較して130 mm拡幅し<ref name="RM200806_1" />、車両限界抵触を回避するため台枠下端部(車体裾部)を2,800 mm幅とした裾絞り断面形状の構体を、西武鉄道の通勤形電車において初めて採用した<ref name="RM200806_1" /><ref group="注釈">西武鉄道が保有する鉄道車両における裾絞り車体の初採用例は[[1969年]](昭和44年)に新製された[[特急形車両]]の[[西武5000系電車|5000系(レッドアロー)]]である。</ref>。この結果、8連編成同士における編成[[定員]]の比較において、20000系の1,140人に対して60人増の1,200人とし、収容力増強が図られた<ref name="RM200806_1" />。また、[[軌条]](レール)面からの車両床面高さについては1,135 mmとして20000系4次車以降<ref group="注釈">20000系20102 - 20108編成および20157・20158編成。</ref>の1,150 mmと比較して15 mm縮小<ref name="RF200806_1" />、駅[[プラットホーム]](同1,100&nbsp;mm)と車両床面との段差を狭小化し[[バリアフリー]]対策とした<ref name="RF200806_1" />。


地下鉄乗り入れ運用を考慮しない自社線内専用車両であることから<ref name="RP_nenkan2008_1">「鉄道車両年鑑 2008年版」 (2008) p.159</ref>、正面形状は貫通扉(非常扉)のない非貫通構造とした<ref name="RP200807_1" />。前頭部は「生みたてのたまごのようなやさしく、やわらかなふくらみ<ref name="pdf_pamph" />」をデザインモチーフとして曲線を基調に構成され<ref name="DJ201102-kusui_4">「2011年西武電車最新ガイド」 (2011) p.8</ref>、「たまご」の丸みを帯びたイメージを強調するため前頭部の上端は実際の屋根高さより高く盛り上がった形状となっている<ref name="DJ201102-kusui_4" />。前面窓は異形ガラスによる1枚窓構成で<ref name="RP200807_1" />、前面窓内側中央部に[[発光ダイオード]] (LED) 式の[[方向幕|行先・種別表示器]]を設置し<ref name="RP200807_1" />、前面窓下左側には新たに制定された[[シンボルマーク|コーポレートロゴ]]が、同右側には車番がそれぞれ貼付され<ref name="RP200807_1" />、その直下に半円形状のブルーとグリーンの[[グラデーション]]帯が入る<ref name="RP200807_1" />。グラデーション帯に用いられたブルー・グリーンはいずれも西武鉄道における新たなブランドカラーであり<ref name="RF200806_1" /><ref name="100th-web_070401">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/100th/history/detail20.html|format=PDF|title=シンボルマーク及びブランドカラー制定 2007(平成19)年4月1日|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年3月27日|accessdate=2012年11月12日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070408074843/http://www.seibu-group.co.jp:80/railways/kouhou/news/2006/0327.pdf|archivedate=2007年4月8日}}</ref>、「都市と自然あふれる町並みを結ぶ車両」を表現した<ref name="RF200806_1" />。前照灯は西武の伝統<ref name="pdf_pamph" />である丸型の[[シールドビーム]]を前面左右腰部に配し<ref name="RP200807_1" />、前照灯上部に斜め配置された縦長形状のLED式[[尾灯|後部標識灯]]と<ref name="RP200807_1" />、前面裾部ならびに[[排障器|前面排障器]](スカート)部分における連結器部分の切り欠き形状とが相まって「顔(笑顔)」のような有機的な印象を与えるものとした<ref name="tsuchiya2008_5">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) p.35</ref>。
床材は滑りにくい材質で、グレー系2色の濃淡柄により通路と座席付近で塗り分けられている。<!-- フィードバックは多用しない -->出入口部は目立つように黄色としている。客用ドアは室内側にも化粧板が貼られており、ドアガラスには[[複層ガラス]]を使用している。車内・外の戸先には黄色のマーキングが入れられた。<!--車内側は化粧板に直接色付け-->ドアエンジンには[[西武鉄道]]の車両で初めて[[リニアモーター]]式戸閉装置が採用されている。リニアモーター式としたのは、戸挟み検知機能に優れ、またメンテナンスを省力化できるためである。メーカーは[[富士電機システムズ]]である<ref>{{PDFlink|[http://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2008/pdf/81-01/81-1-2.pdf 富士時報2008年1月号「電機プラント」]}}</ref>。


側面形状は1,300 mm幅の両開客用扉を1両当たり4箇所備える4扉構造である<ref name="RP200807_2" />。窓配置は従来車(4扉車)各系列と同様に先頭車がdD2D2D2D1・中間車が1D2D2D2D1(乗務員扉:d、客用扉:D、各数値は側窓の枚数)であるが<ref name="RP200807_2" />、扉間寸法ならびに側窓寸法は[[日本鉄道車輌工業会]]が定める[[通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン|標準仕様ガイドライン]]に従い<ref name="DJ201102-kusui_1" />、扉間寸法は3,520&nbsp;mm<ref name="RP200807_2" />、側窓寸法は扉間1,840&nbsp;mm(側窓1枚当たり890 mm、窓間柱60 mm)<ref name="RP200807_2" />・車端部650 mmとした<ref name="DJ201102-kusui_1" /><ref name="RP200807_2" /><ref group="注釈">20000系においては扉間寸法3,620 mm・扉間側窓1,890 mm(側窓1枚当たり915 mm、窓間柱60 mm)・車端部側窓625 mmとされていた。</ref>。側窓高さは1,009 mmとし<ref name="RP200807_2" />、扉間の側窓は窓間柱によって2分割され、車端部と[[車椅子スペース]]設置部分の側窓を除き開閉可能な構造となっている<ref name="RP200807_3">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) pp.147 - 148</ref>。側面腰部には前面同様にブルーとグリーンのグラデーション帯が入り<ref name="RM200806_2">「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 (2008) p.106</ref>、側面中央部の幕板部にはLED式の行先・種別表示器を備える<ref name="RP200807_2" />。
8両編成における[[車椅子スペース]]は先頭車とその隣の中間車に設置されている。2両編成ではクモハ32100形に車椅子スペースを持ち、クハ32200形には設置していない。このスペース部には西武鉄道の車両で初めて[[車椅子]]を固定するベルトと[[暖房|ヒーター]]が壁面に設置されている。
=== 内装 ===
壁部は清潔感のある白色系の[[デコラ|化粧板]]を採用<ref name="RM200806_1" />、天井部は左右に[[蛍光灯]]とラインフロー形状の冷房ダクトを配し<ref name="RM200806_1" />、中央部を[[ドーム]]形状とすることによって最大天井高を従来車よりも150 mm高い2,405 mmとし<ref name="RM200806_1" />、開放感のある車内としている<ref name="RM200806_1" />。補助送風機である[[送風機#横断流送風機(クロスフローファン)|ラインデリア]]は通常のレール方向(長手方向)ではなく[[枕木]]方向(横手方向)に設置され<ref name="RM200806_1" /><ref group="注釈">1両当たり先頭車に7基、中間車に8基搭載する。</ref>、両脇を鏡面仕上げの[[ステンレス鋼|ステンレス製]]塞ぎ板で覆っている<ref name="tsuchiya2008_6">「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 (2008) pp.40 - 41</ref>。その他、蛍光灯の取付角度を工夫してドーム形状部に照明の光が回り込むようにしたことに加え<ref name="tsuchiya2008_6" />、光を反射する明色系の壁面デコラの採用によって車内の奥行を感じさせない視覚的工夫を施すなど<ref name="RM200806_1" />、空間の広がりを感じさせる設計とした<ref name="tsuchiya2008_6" />。7次車からは蛍光灯に代わり、[[LED照明]]を採用することで、消費電力を約30[[パーセント|%]]削減した<ref name="RF201403_1" >鉄道ファン編集部「CAR INFO 西武鉄道30000系 7次車」2014年3月号(通巻635)号 pp.66 - 67</ref>。


座席は脚台を廃した片持ち式<ref name="RF200806_2">「新車ガイド 平成20年4月26日から営業運転を開始 西武鉄道30000系」 (2008) p.72</ref>の[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]仕様<ref name="RP200807_2" />で、座面高は420 mm、奥行は430 mmとし、1人当たりの掛け幅を460 mmとした[[バケットシート]]が採用された<ref name="RP200807_2" />。背ずりの上辺については緩い波型を描く形状とした点が特徴である<ref name="tsuchiya2008_3" />。この座席は西武鉄道では初の[[住江工業]]製である<ref>[https://web.archive.org/web/20170305085004/http://www.suminoekogyo.co.jp/pdf/suminoe1507.pdf 住江工業会社案内カタログ 2015年7月1日改訂版 P.5に「西武鉄道(株)殿 30000系ロングシート納入開始」とあることから検証できる]。なお、西武鉄道での本系列以前の車両での住江工業製の座席は採用されていない。</ref>。クッション素材には[[帝人フロンティア|帝人ファイバー]]製の高機能[[ポリウレタン|ウレタン樹脂]](製品名「エルク<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.teijinfiber.com/products/specifics/elk.html|title=elk&#xae;(エルク&#xae;):素材・製品情報|publisher=帝人ファイバー株式会社|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120516100711/http://www.teijinfiber.com/products/specifics/elk.html|archivedate=2012年5月16日}}</ref>」)および[[ばね|Sばね]]を併用し<ref name="RF200806_1" />、着座した瞬間の柔らかい掛け心地と長時間の利用でも疲れない硬さを両立させた<ref name="RF200806_1" />。座席表皮(モケット)部は肌触りにもこだわった仕様とし<ref name="RP200807_2" />、[[火災]]発生時の[[毒ガス|有毒ガス]]発生を抑制するため[[ポリアミド|アラミド]]配合の難燃[[ポリエステル]]材を用いた<ref name="RP200807_2" />。モケット色は一般席が座面を無地・背面をチェック模様とした青系モケットを<ref name="tsuchiya2008_4" />、[[優先席]]が[[ハート (シンボル)|ハート]]をモチーフとした<ref name="tsuchiya2008_4" />微笑んだ顔にも見える柄入りのオレンジ系モケットをそれぞれ採用した<ref name="tsuchiya2008_3" />。
[[鉄道車両の座席|座席]]は、1人分の掛け幅を460mmとした青色の片持ち式[[バケットシート]]である。車内イメージの統一のため、袖仕切は丸みを帯びた「たまご」形状とした。座席の硬さは、長時間座っても疲れない硬さとしていて、クッション素材にはSバネを使用している。[[火災]]発生時の[[毒|有毒]][[気体|ガス]]発生を抑えるため、座席素材には耐火素材を採用し、肌触りにもこだわっている。スタンションポールは7人掛け部に2本設置した。なお、[[優先席]]部はオレンジ色で、表地は[[ハート]]を[[モチーフ]]に、またほほえんだ顔にも見えるデザインにしてやさしさを感じさせるようにしており、スタンションポールもオレンジ色に着色したものを使用している。


座席袖仕切は丸みを帯びた「たまご」形状とし<ref name="RM200806_3">「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 (2008) p.104</ref>、座席間のスタンションポールは客用扉間の7人掛け部に2本・車端部の3人掛け部に1本それぞれ設置した<ref name="tsuchiya2008_3" />。優先席部に設置されたスタンションポールについてはオレンジ色の樹脂で覆い<ref name="RM200806_3" />、表面には凹凸を設けて視認性と握りやすさに配慮した<ref name="RM200806_3" />。[[つり革]]は「たまご」形デザインと[[銀|銀イオン]]による抗菌加工が施された<ref name="RM200806_3" />本系列専用に新規設計されたものであり<ref name="RM200806_3" />、一般席部には白色、優先席付近にはオレンジ色のものを設置した<ref name="tsuchiya2008_4" />。座席上部の[[網棚|荷棚]]については計画段階において強化ガラス製のものが検討されていたが<ref name="tsuchiya2008_6" />、清掃の容易性などを考慮してパイプ式のものが採用された<ref name="RP200807_1" />。荷棚部分のパイプは断面を楕円形状とし、着座位置からの見通しと荷物の保持性を両立させたものとした<ref name="tsuchiya2008_6" />。高さは一般席を1,750 mm、優先席部を1,700 mmとし、20000系比で一般部が50 mm低下している。7次車からは荷棚の材質をガラス製に変更、さらに一般部も高さを50 mm下げ<ref name="RF201403_1" />、1,700 mmで優先席部と統一された。これら車内のつり手棒・スタンションポール・手すりなどにはヘアライン加工を施し<ref name="RM200806_3" />、[[指紋]]や皮脂汚れが目立たないように配慮されたほか<ref name="RM200806_3" />、[[ユニバーサルデザイン]]の一環として従来車よりも設置位置が低くなっており<ref name="RP200807_1" /><ref group="注釈">吊り手高さは30mm低い1,600mm、荷棚高さは50mm低い1,750mmとした。</ref>、車端部の荷棚と優先席部のつり革は一般席部と比較してさらに低い位置に設置された<ref name="tsuchiya2008_3" />。
[[つり革]]は本系列のために新設計され、西武鉄道独自の「たまご」形デザインと抗菌加工が施されている。一般席部には白色、優先席付近にはオレンジ色のものを設置している。[[網棚|荷棚]]はパイプ式とした。これらは[[ユニバーサルデザイン]]の一環として従来車両よりも高さを低くしているほか、優先席を意識した車端部の荷棚とつり革(優先席部のみ)は一般席部よりもさらに低くしている。車内のつり手棒、スタンションポール、手すりなどにヘアライン加工を施し、[[指紋]]や皮脂汚れが目立たないように配慮している。


車椅子スペースは、8・10両編成は編成両端の4両に1両当たり1箇所<ref name="RF201403_1" /><ref name="RF200806_2" />、2両編成は飯能・西武新宿方先頭車であるクモハ32100形のみに1箇所<ref name="RF200902_1">「CAR INFO 8+2の10連運用にも対応 西武鉄道30000系 2両編成」 (2009) pp.76 - 77</ref>それぞれ設置された。同スペースの壁面には非常通報装置が通常よりも低い位置に設置されているほか<ref name="RP200807_2" />、西武鉄道に在籍する車両としては初の装備となる[[車椅子]]固定用ベルトと壁面[[暖房|ヒーター]]が設置されている<ref name="RP200807_2" />。20000系の一部で採用された収納座席<ref name="DJ201102-kusui_5">「2011年西武電車最新ガイド」 (2011) pp.10 - 12</ref>は本系列においては省略された<ref name="DJ201102-kusui_4" />。
車両側面窓には[[紫外線]]、[[赤外線]]<!--熱線は赤外線のこと-->をカットする薄いグリーンに着色されたガラスを使用しており、遮光用にロール式[[カーテン]]を設置している。車端部と先頭車の車椅子スペース部分は固定窓とし、ドア間の2連窓は下降窓である。


側面窓ガラスには[[紫外線]] (UV) および[[赤外線]](熱線)を遮断する薄いグリーンに着色されたガラスを採用し<ref name="pdf_ext-int">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/1205.pdf|format=PDF|title=お客さまや地球に優しい新型車両は“たまご”がモチーフ 30000系「スマイルトレイン」の内外装が決定しました!!|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年12月5日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081230082642/http://www.seibu-group.co.jp:80/railways/kouhou/news/2007/1205.pdf|archivedate=2008年12月30日}}</ref>、遮光目的ならびに空調効果向上目的でロール式[[カーテン]]を併設する<ref name="pdf_ext-int" />。
車両間の[[貫通扉]]は900mm幅の全面[[強化ガラス]]構成に、さらに両側200mmずつも強化ガラスとした。これにより見た目では幅が1,300mmのガラス構成となり、車両間の見通しが向上した。ガラス扉には「たまご」のイラストを描くことで乗客がぶつからないように配慮しているが、この「たまご」のイラストは1編成に数個の割合で「たまご」から「ひよこ」が生まれるシーンのイラストなどのバリエーションもある。なお、貫通扉の方式は傾斜式ではなく20000系と同じ[[ドアクローザ]]式であり、ドアストッパーは省略されている。


客用扉の室内側には化粧板が貼付されており、扉窓は[[複層ガラス]]仕様である<ref name="RM200806_3" />。車内外の扉先端部には黄色のマーキングが入るが<ref name="tsuchiya2008_2" />、同マーキングは注意喚起を目的としたユニバーサルデザインであるとともに<ref name="tsuchiya2008_2" />、従来の西武鉄道における標準車体塗装であった黄色を伝統として引き継ぐ意味合いを持たせたものである<ref name="tsuchiya2008_2" />。戸閉装置([[自動ドア#ドアエンジン|ドアエンジン]])には戸挟み検知機能に優れ、また従来の空気圧動作式戸閉装置と比較して空気配管が不要となることなどからメンテナンス省力化に寄与する電気式戸閉装置を西武鉄道の車両としては初めて採用し<ref name="RF200806_3">「新車ガイド 平成20年4月26日から営業運転を開始 西武鉄道30000系」 (2008) p.73</ref>、[[富士電機システムズ]]製<ref>{{PDFlink|[https://web.archive.org/web/20230426084827/https://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2008/pdf/81-01/81-1-2.pdf 富士時報2008年1月号「電機プラント」]}} - [[富士電機]]公式 2012年6月1日閲覧(インターネットアーカイブ)。</ref>の[[リニアモーター]]式戸閉装置を各客用扉の鴨居部に搭載した<ref name="RF200806_3" />。7次車からは[[東武60000系電車]]と同じ[[ナブテスコ]]社製の直接駆動モータ([[ダイレクトドライブ|DDM]])方式「Rack☆Star」型に変更されている<ref>{{PDFlink|[http://www.tetsushako.or.jp/page_file/20130422172834_FPBgvHpW3G.pdf 新製品と新技術 電気式戸閉め装置“Rack☆Star”テクニカルレポート]}} - 社団法人日本鉄道車輌工業会</ref>。また、一部のドアを締め切る[[ドアカット|3/4閉機能]]が備わっている<ref name="RF200806_3" />。
本系列の内装の採用にあたっては他社車両の見学なども実施したうえで検討が重ねられた。このため、天井と貫通扉は[[東京地下鉄10000系電車|東京地下鉄10000系]]に、客扉回り床面や客扉注意色、優先席手すりは[[JR東日本E233系電車|JR東日本E233系]]に類似したデザインとなっている。
{{wakumigi|
[[Image:Seibu30000-syanai.JPG|thumb|240px|none|30000系の内装]]
}}


車内床部には、雨天時などにも滑りにくく、かつ火災発生時においても有毒ガスを発生させない素材を採用した<ref name="pdf_pamph" />。車体中心部の通路部分を淡いグレー、通路左右の座席付近を濃いグレー、客用扉(出入口)付近を黄色と3色に区分し<ref name="pdf_pamph" />、それぞれの区画を視覚的に明示する仕様とした<ref name="pdf_pamph" />。なお、床材については運行開始後の[[2010年]](平成22年)11月に西武鉄道の内規による火災対策に関する車両構造実施基準を満たしていないことが判明したため<ref name="pdf_yukazai">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/11/15/20101115syaryou-yukazai.pdf|format=PDF|title=当社一部車両の床材の変更について|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2010年11月15日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20101121214333/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/11/15/20101115syaryou-yukazai.pdf|archivedate=2010年11月21日}}</ref>、安全性に万全を期すため[[2012年]](平成24年)度末までに本系列ならびに同様の床材を採用した各系列計140両について基準適合品へ交換することが発表された<ref name="pdf_yukazai" />。
=== 案内装置 ===
車外正面と側面に[[方向幕|行先表示器]]があるが、いずれも西武鉄道の新製車両として初の[[フルカラー]][[発光ダイオード|LED]]式を採用している。側面の表示器は[[東武50000系電車|東武50000系列]]や東京地下鉄10000系のように種別・行先([[ローマ字]]併記)と号車表示が交互に表示される。ただし、これらの車両とは異なり、[[書体]]は[[ゴシック体]]である。


連結面の車両間貫通路は900 mm幅の貫通扉と、その左右200 mm幅を線入りの[[強化ガラス]]により構成している<ref name="RP200807_2" />。視覚的には1,300 mm幅の広幅貫通路となり、車両間の見通しが大きく向上した<ref name="tsuchiya2008_3" /><ref group="注釈">貫通幌内における最大寸法は1,480mmである。</ref>。
[[車内案内表示装置|旅客案内表示器]]は、西武鉄道の新製車両で初めて15インチの[[液晶ディスプレイ|LCD]]式表示器([[VIS (鉄道システム)|S-TVS]]=Seibu-Train Vision System 通称「[[西武スマイルビジョン]]」)を車内の乗降用ドア上部に2基設置しており、右側に種別・行先・停車駅・ドア開閉方向、自社および他社局の運行情報を、左側に動画[[広告]]などを表示している。


また貫通扉には乗客の衝突防止策として「たまご」イラストのステッカーを扉の横手方向に3列貼付した<ref name="tsuchiya2008_6" />。このイラストの中には1編成に数個の割合で「たまごから小鳥が顔を出すシーン」を混在させ<ref name="DJ201102-kusui_2" />、バリエーションを持たせている<ref name="DJ201102-kusui_2" />。
開閉に併せて[[ドアチャイム]]を鳴動させるとともに赤く点滅するドア開閉表示灯が新しく設置された。[[西武10000系電車|10000系]]レッドアロー、[[西武2000系電車|2000系]]の一部更新車や[[西武101系電車#新101系|新101系]]の更新車(ワンマン仕様)などにはドアが開いている時に[[視覚障害者]]にドアの位置を知らせるため約3秒おきにチャイムが鳴るが、30000系では鳴らない。


7次車ではイラストのデザインが見直され、歩き出す小鳥のイラストなどが追加される<ref name="RM2014-3">ネコ・パブリッシング「レイルマガジン」2014年3月号「西武鉄道30000系10両編成登場」80頁記事。</ref>などこれまでより一層バリエーション豊かなものとなり、同時にこのステッカーは透明のベースがついたものに変更された。これに加えてガラスもワイヤーのないものへ変更されている。
[[車内放送|車内放送装置]]には[[西武6000系電車|6000系]]以降の車両と同様に自動放送装置を搭載しているが、本系列では新たに[[英語]]放送が追加された<ref>なお、すでに自動放送装置を設置している他系列でも[[東京地下鉄副都心線]]の開業に合わせて[[2008年]][[6月14日]]より放送内容の変更や英語放送の追加を行っている。</ref>。また、この装置は走行中の騒音によって車内放送が聞こえづらくなることを防ぐため、速度が上がるとともに音量も自動で上がる機能が搭載されている。

'''車内の様子(1 - 6次車)'''
<gallery widths="180" style="font-size:90%;">
ファイル:Seibu-Series30000-38110 Inside.jpg|車内全景(クハ38110)
ファイル:Seibu 30000 series priority seat Mc32103 20241108-DSC 9701.jpg|車端部の優先席(クモハ32103)<br>荷棚・吊手の高さが低い。写真はモケット交換後。
ファイル:西武30000系(1次車)の優先座席(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-25.png|優先席は当初、モケットが黄色に近い色合いであったが、後に増備車にあわせて交換された。
ファイル:Seibu-Series38110 Free-space.jpg|先頭車の車椅子スペース<br>(クハ38110)
ファイル:西武30000系(1次車)8両編成第2号車にある車椅子スペース(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-27.png|中間車の車椅子スペース
ファイル:西武30000系(1次車)の天井部分(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-20.png|ドーム状の天井部<br>当初は室内灯に蛍光灯を用いていたが、LEDに交換済。
ファイル:西武30000系(1次車)の鴨居部案内表示器。プログラム更新後(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-43.png|車内案内表示器<br>15インチの画面が用いられていたが、17インチ2in1タイプへの置換えが進む。
</gallery>
'''車内の様子(7 - 10次車)'''
<gallery widths="180" style="font-size:90%;">
ファイル:Seibu-Series30000-38218 Inside.jpg|車内全景(モハ38218)<br>7次車より荷棚がガラス製に変更、さらに優先席部と同じ高さへ揃えられた。
ファイル:Seibu 30000 series priority seat M38218 20241129-DSC 0230.jpg|車端部の優先席(モハ38218)<br>7次車より貫通扉の意匠が変更されている。
ファイル:西武30000系(7次車)のガラス製荷棚(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-41.JPG|強化ガラス製の荷棚
ファイル:西武30000系(7次車)の天井部分(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-30.png|室内灯を変更した天井<br>LED照明が天井部に埋め込まれた。
ファイル:Seibu-Series30000-38218 LCD.jpg|車内案内表示器(モハ38218)<br>17インチのワイド画面を採用。
ファイル:西武30000系(7次車)の一般7人掛け用座席(2014-01-05撮影) 2014-01-21 21-34.png|7人掛けのロングシート<br>座席は背ずりの上辺が緩いカーブを描いている。
</gallery>

=== 案内装置 ===
前面および側面の車外行先・種別表示器については、いずれも西武鉄道の新製車両として初の[[フルカラー]]LED式表示器を採用した<ref name="RF200806_3" />。行先・種別とも[[ローマ字]]併記で表示し<ref name="RM200806_3" />、側面の表示器においては行先・種別および号車表記を交互に表示する<ref name="RM200806_3" />。

車内の旅客案内表示は、こちらも西武鉄道の新製車両としては初のLCD式表示器([[VIS (鉄道システム)|S-TVS]] ='''S'''eibu-'''T'''rain '''V'''ision '''S'''ystem<ref name="RM200806_4" />:通称「[[西武スマイルビジョン]]」)によるものとした<ref name="RM200806_3" />。客用扉の鴨居部に15[[インチ]]のディスプレイを2基設置し<ref name="RM200806_3" />、向かって右側のディスプレイにおいては行先・種別・停車駅・扉開閉方向・自社および他社局の運行情報などを表示し<ref name="RM200806_3" />、[[NTTドコモ]]が提供する[[FOMA]]回線を利用して随時最新情報を提供する<ref name="RM200806_3" />。向かって左側のディスプレイにおいては動画[[広告]]などを表示し<ref name="RF200806_3" />、主要駅に設置された[[ミリ波]]通信方式の高速無線設備によって配信される情報を提供する<ref name="RF200806_3" />。7次車からはディスプレイのサイズが17インチに拡大・変更された<ref name="RF201403_1" />。その他、客用扉の開閉と連動して鳴動する[[ドアチャイム]]を装備するほか<ref name="RP_nenkan2008_2">「鉄道車両年鑑 2008年版」 (2008) p.158</ref>、開閉に合わせて赤色LEDが明滅する扉開閉表示灯を客用扉鴨居部の下部に設置した<ref name="RP_nenkan2008_2" />。

案内放送装置は自動放送仕様で<ref name="RF200806_3" />、[[車内放送]]については自動音量調整機能を有するほか、客用扉の開扉時に運転台を有する車両(先頭車)同士の連結面において流れる転落防止放送装置を備える<ref name="RF200806_3" />。<!--英語放送の有無、また担当声優に関する記述は必ず出典明記の上で行うこと。-->


=== 乗務員室 ===
=== 乗務員室 ===
[[操縦席|乗務員室]]内は20000系と同じく灰色の配色である。運転時の広い視界を確保するため[[運転士]]の座を車体中やや寄せている。運転台の[[マスター・コントローラー]]は、新製車両とては[[西武8500系電車|8500系]]以来のT字型ワンハンドル式が採用された<ref>20000系では左手操作型のワンハンドル式主幹制御器が採用されている。</ref><ref>既存車では6000系も副都心線対応改造の際にT字型ワンハンドル式に改められた。</ref>。
[[操縦席|乗務員室]]内の配色は20000系と同様に灰色系とし<ref name="RM200806_4">「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 (2008) p.105</ref>、運転時の広い視界を確保するため[[運転士]]の位置若干車体中心寄り設定した<ref name="RP200807_3" />。


運転台の主幹制御器([[マスター・コントローラー]])は力行・制動操作を1つのハンドルで行うワンハンドル式で<ref name="RP200807_3" />、20000系において採用された左手操作型ではなく、[[西武8500系電車|8500系「レオライナー」]]ならびに[[西武6000系電車|6000系]]の[[東京メトロ副都心線|副都心線]]直通対応改造編成と同様<ref name="RM200806_4" />、両手操作型のT字ワンハンドルが採用された<ref name="RP200807_3" />。マスコンの指令段数は[[力行]]4[[ノッチ]]・[[ブレーキ|制動]]8ノッチ([[非常ブレーキ|非常制動]]段含む)仕様で<ref name="RP200807_4">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) p.148</ref>、ノッチ位置の検出方式をロータリーエンコーダによる無接点方式とし<ref name="RP200807_4" />、[[#列車情報管理装置|後述する]]列車情報管理装置「S-TIM」を介して加減速制御を行う<ref name="RP200807_4" />。
運転台の[[速度計]]などの計器類の表示は、西武鉄道の車両では初採用となる[[グラスコックピット]]方式となり、運転台パネルからアナログ計器が廃された。3台のLCD表示器のうち、通常は左側でATS状況、中央で速度計や圧力計などを表示し、右側をS-TIMの表示器として使用する。また、乗務員のバックアップ機能を持たせている。


[[速度計]]などの計器類の表示は、運転台パネルに内蔵されたLCD表示器による[[グラスコックピット]]方式を西武鉄道に在籍する車両として初めて採用し<ref name="RP200807_3" />、運転台パネルからアナログ計器が廃された<ref name="RP200807_3" />。計3台が搭載されたLCD表示器のうち、通常は左側で保安装置 (ATS) の動作状況ならびに架線[[電圧計]]・主回路[[電流計]]などを<ref name="RP200807_3" />、中央で速度計・[[圧力測定|圧力計]]およびマスコンノッチ位置をそれぞれ表示し<ref name="RP200807_3" />、右側を「S-TIM」の設定・表示器として使用する<ref name="RP200807_3" />。
乗務員室の仕切りは、客室から見て左から大窓・小窓・大窓(仕切り扉)の3枚の仕切り窓が並んでいる。いずれも[[遮光幕]]が設置してある。
{{-}}


乗務員室と客室を区分する仕切り壁部分に設けられた窓は、客室からの眺望を考慮して運転士着座位置を除いて極力大型化され<ref name="DJ201102-kusui_4" />、客室側より左から大型窓・小型窓・大型窓の3枚の仕切り窓が設置された<ref name="DJ201102-kusui_4" />。大型窓2枚については下端部を車内床面から1,000 mmに設定し<ref name="RP200807_3" />、幼児の前面展望を配慮した寸法とした<ref name="RP200807_3" />。客室側乗務員扉は右側に設置され<ref name="DJ201102-kusui_4" />、右側の仕切り壁窓は乗務員扉窓を兼ねた構造である<ref name="DJ201102-kusui_4" />。
== 走行機器など ==
制御装置は、日立製作所製の2レベル方式の[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]方式(1C4M2群制御)である。ベクトル制御を採用しており、[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]・[[定速運転|定速度制御機能]]<ref>8500系および20000系ではマスコンハンドル操作による方式であったものを、本系列では別途新設されたスイッチを操作する方式に変更された。</ref>を有する。[[スペクトラム拡散|スペクトル拡散方式]]を採用することで加・減速時の[[磁励音]]を低減させている。主電動機は定格出力165kW(端子電圧1,100V、電流113A、定格回転数1,825rpm)のPGセンサレス型[[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]]を使用している。


== 主要機器 ==
補助電源装置は[[三菱電機]]製の220kVA出力の[[静止形インバータ]]を採用した。このSIVは主回路素子に新形のIGBT素子「CSTBT」を使用し、[[スイッチング電源|スイッチング]]損失を低減させている。出力電圧は[[三相交流]]440Vとし、各相個別瞬時波形制御方式である。環境への配慮として素子の冷却には[[冷媒]]を廃し、冷却フィンによる自然空冷方式を採用した。
=== 列車情報管理装置 ===
[[三菱電機]]製の[[TIMS|S-TIM]]('''S'''eibu'''-T'''rain '''I'''ntegrated '''M'''anagement system<ref name="RP200807_4" />:西武列車情報制御装置<ref name="RP200807_4" />)と称する[[鉄道車両のモニタ装置|列車情報管理装置]]を採用した<ref name="RP200807_4" />。同装置は6000系の副都心線直通対応改造編成において採用された制御伝送装置 (TIS) を発展・改良したもので<ref name="RP200807_4" />、力行時および制動動作時に発生する加減速[[トルク]]を編成内ユニット単位ではなく編成一括で管理制御する「列車統括制御」を行うことで[[消費電力]]削減や乗り心地の向上を図った<ref name="RP200807_4" /><ref group="注釈" name="renketsu">同機能は他編成との連結運転時にも作用し、自編成・他編成を同一編成として全体で加速力および制動力を適正に配分する。</ref>。その他、マスコン操作による力行・制動指令などの制御伝送を行うほか<ref name="RP200807_4" />、搭載機器のモニタリング・サービス機器の操作・[[日本の鉄道車両検査|車両検修]]時の車上検査機能などを実装し<ref name="RP200807_4" />、主に検修作業の効率化や車体側の配線削減に寄与した<ref name="RP200807_4" />。


=== 制御装置 ===
[[鉄道車両の台車|台車]]は[[住友金属工業]]製のモノリンク式ボルスタレス台車を採用した。動力台車はSS175M形、付随台車はSS175T形と称する。20000系で使用する同方式の台車よりも曲線通過時の安全対策、また構造や製作工法の見直しを行うことで製造品質の向上を図っている。
日立製作所製、2レベル方式の[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]を採用。ユニットを組むM1・M5車(8・10両編成)には1C4M2群<ref group="注釈">1つの回路で4基の主電動機を制御する(1C4Mの)ユニットを装置内に2群収める。</ref>の装置を、単独M車であるMc1(2両編成)車、M3車(10両編成)には1C4Mの装置を、各1台搭載する<ref name=":0" />。形式は、6次車まではVFI-HR1820A(2群)・VFI-HR1420R(1群)、7次車から9次車はVFI-HR2820R(2群)・VFI-HR1421B(1群)となる<ref name=":0" />。


同制御装置は加減速制御にベクトル制御を採用し<ref name="RP200807_4" />、[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]ならびに[[定速運転|定速度制御]]([[抑速ブレーキ|抑速制動]])機能が実装されたほか<ref name="RP200807_4" />、[[#主電動機|後述する]]PGセンサレス型の主電動機の制御に対応した演算機能を有する<ref name="RP200807_4" />。また、[[スペクトラム拡散]]により周波数を調整することによって磁励音の静粛化を図った<ref name="RP200807_4" />。素子の冷却には従来の[[フロン類|フロン]]冷却方式に代わって[[純水]]によるヒートパイプ冷却方式を採用<ref name="RP200807_4" />、環境に配慮した設計とした<ref name="RP200807_4" />。7次車では新方式の制御装置を採用しており、それまでの車両よりも消費電力を約10 [[パーセント|%]]削減<ref name="RM2014-3" /><ref name="JNL2014-3">鉄道ジャーナル社「鉄道ジャーナル」2014年3月号「西武30000系7次車が営業運転開始」139頁記事。</ref>、また小型化され、外観も違いがみられる<ref name=":0" />。
[[圧縮機|空気圧縮機 (CP)]]は三菱電機製の周辺機器を一体箱に収納したスクロール式CPを編成で2台搭載した。このほか、両先頭車の床下側面は非常脱出用の折りたたみ式[[梯子|ハシゴ]]が設置されている。


なお、営業運転開始後の2009年(平成21年)1月に主回路ヒューズが劣化し断線したことによって起動不能となる車両故障が発生したため<ref name="pdf_jiko">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/company/hokoku/2009/individual/__icsFiles/afieldfile/2009/11/11/anzenkankyo2009_04.pdf|format=PDF|title=2008年度 事故・障害に関するご報告|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120405211447/http://www.seibu-group.co.jp/railways/company/hokoku/2009/individual/__icsFiles/afieldfile/2009/11/11/anzenkankyo2009_04.pdf|archivedate=2012年4月5日}}</ref>、本系列全車両を対象として主回路ヒューズの容量を従来の1,400Aから1,800Aに変更、過電流発生の抑制ならびに溶断防止対策を実施して再発防止を図った<ref name="pdf_jiko" />。
;床下機器の写真(写真は8両編成のものである。)
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ファイル:Seibu30000-VFI-HR1820A.jpg|日立製作所製VVVFインバータ装置(VFI-HR1820A形)
ファイル:Seibu30000-MELSIV-i.jpg|三菱電機製のSIV装置(MELSIV-i形)
ファイル:Seibu30000-MBU1600Y-3.jpg|三菱電機製の空気圧縮機(MBU1600Y-3形)
ファイル:Seibu30000-PT7116-B.jpg|PT7116-B形パンタグラフ
ファイル:Seibu30000-SS175M.jpg|SS175M形動力台車
ファイル:Seibu30000-SS175T.jpg|SS175T形付随台車
ファイル:Seibu30000-Ladder.jpg|床下側面に設置する非常用ハシゴ
ファイル:Seibu30000-S-TIMbox.jpg|S-TIM装置等を収めたS-TIM床下箱(写真は先頭車用)
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38118編成のみ、主回路蓄電池(SBL-L4208B)をT2に2台搭載、制御装置もVFI-HR2820Uとなる<ref name=":0" />。
なお、前記は8両編成におけるもので、2両編成での制御装置は1C4M1群に、静止形インバータは110kVA出力へ、空気圧縮機は吐出量を1600L/minから1000L/minに仕様が一部変更されている。非常脱出用のハシゴはクモハ32200形に設置されている。


=== 主電動機 ===
[[集電装置|パンタグラフ]]は20000系などに続いて東洋電機製のシングルアーム式(PT71形)を採用した。8両編成はモハ38200形とモハ38600形の西武新宿・飯能寄りに1基ずつ、2両編成はクモハ32100形に2基搭載されている。
1 - 6次車は日立製作所製の[[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]]EFO-K60(HS32534-15RB)<ref name=":0" />を、7次車は全密閉形のTFO-K60(HS32532-04RB)<ref name=":0" />を電動車1両当たり4基搭載する。誘導電動機そのものは6000系などにおいて既に数多くの導入実績を有するが、HS32534-15RB主電動機は電動機軸端に設置される速度センサ(Pulse Generator Sensor:PGセンサ)を省略し<ref name="RP200807_5">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) p.149</ref>、各[[巻線]]の[[電流]]の大きさと[[位相]]から回転トルクおよび回転数を推定するPGセンサレス型の主電動機であり、西武鉄道においては初の採用例となった<ref name="RP200807_5" />。本系列においては拡幅車体の採用に伴って編成重量が増加したことに加え<ref name="RP200807_5" />、[[運転曲線]]に対して性能上の余裕を確保する目的から<ref name="RP200807_5" />、定格出力は165 k[[ワット|W]](端子電圧1,100 [[ボルト (単位)|V]]、電流113 [[アンペア|A]]〈1 - 6次車〉/106 A〈7次車〉、定格回転数1,825 [[rpm (単位)|rpm]]〈1 - 6次車〉 / 1830 rpm〈7次車〉)とし<ref name="RF201403_1" /><ref name="RP200807_5" />、20000系において採用された誘導電動機HS32530-03RB(定格出力135kW・日立製作所製)と比較して約1.2倍の出力向上が図られ、西武鉄道における旅客用車両向け主電動機としては歴代最大の出力特性を有する<ref name="DJ201102-kusui_4" /><ref group="注釈">6000系において採用された定格出力155kWの誘導電動機HS-32534-03RBおよびHS-32534-06RB(ともに日立製作所製)が、本系列導入以前における西武鉄道の旅客用車両向け主電動機として最大出力を備える機種であった。なお、旅客用車両以外を含めた場合[[1996年]](平成8年)まで在籍した[[電気機関車]]である[[西武E851形電気機関車|E851形電機]]が搭載した[[直巻整流子電動機|直流直巻電動機]]MB-428-AVR(三菱電機製)の一時間定格出力425kWが最大出力となる。</ref>。駆動方式は[[WN駆動方式|WN駆動]]<ref name="RP200807_5" />、[[歯車比]]は6.21 (87:14) である<ref name="RP200807_5" />。


=== 台車 ===
ブレーキ制御はON/OFF制御弁からの各軸個別制御方式を採用している。これは次に述べるS-TIMと連携した編成全体のブレーキ力制御により、[[回生ブレーキ]]の有効活用を行っている。ブレーキ制御装置は各台車ごとに用意され、ブレーキ応答性の向上、さらには台車ごとにブレーキ力の演算を行うことで適切なブレーキ力を確保できるなど保安性の向上が図れるものとなっている。
[[住友金属工業]]製の[[鉄道車両の台車#軸箱守のないもの|モノリンク型軸箱支持方式]]<ref name="RP200807_3" />の[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]SS175M(動力台車)・SS175T(付随台車)を採用し<ref name="RP200807_3" />、前者は制御電動車・電動車が、後者は制御車・付随車が装着する<ref name="RP200807_3" /><ref name="Hobidas-DaishaKinei">[https://web.archive.org/web/20201130165014/https://rail.hobidas.com/bogie/archives/2008/06/ss175mss175t_30000.html SS175M SS175T / 西武鉄道30000系](鉄道ホビダス台車近影・インターネットアーカイブ)。</ref>。基本的な仕様は20000系が装着するSS150A・SS050A台車と同様であるが、台車枠強度の強化ならびに製造工程におけるロボット溶接率の向上によって製造品質の向上が図られた<ref name="RP200807_3" />。その他、曲線走行時における安定性向上目的で、台車枠左右に設置される高さ自動調整弁 (Leveling Valve : LV) の取付位置変更が実施されたほか<ref name="RP200807_3" />、[[枕ばね]]である[[空気ばね]]の特性を従来の等方向特性から<ref name="RP200807_3" />前後方向の剛性を柔化した異方向特性に改良した<ref name="RP200807_3" />。7次車からは輪重調整機構が付いた[[新日鐵住金]]製<ref name="RM2014-3"/>のSS175MA(動力台車)・SS175TA(付随台車)に変更されている<ref name="RF201403_1" />。各台車とも[[ホイールベース|固定軸間距離]]は2,100mm<ref name="RP200807_2" />、車輪径860mm<ref name="RP200807_2" />、[[軸受]]部の構造は鞍型[[転がり軸受|コロ軸受]]仕様である<ref name="DJ201102-kusui_4" />。


=== 制動装置 ===
[[鉄道車両のモニタ装置|列車情報管理装置]]には[[西武鉄道]]の車両で初めてS-TIM ('''S'''eibu'''-T'''rain '''I'''ntegrated '''M'''anagement system・西武列車情報制御装置) が採用された。システムは三菱電機製であり、[[西武6000系電車|6000系]]改造車で採用されたTISをさらに進化させたものである<ref>[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の'''[[TIMS]]''' (Train Information Management System) など<!-- TIPやTVOSはモニタ装置ではなく案内表示器 -->とは全くの別物である</ref>。これは[[力行]]とブレーキトルクを編成一括で管理制御する「列車統括制御」を行うことで[[消費電力]]削減や乗り心地の向上を図っている。また、マスコンやブレーキ指令などの制御伝送や搭載機器のモニタリング、サービス機器の操作、[[鉄道車両の検査|検修]]時の車上検査機能などにより、作業の効率化や車体配線の削減などに貢献している。
[[ナブテスコ]]製の[[回生ブレーキ|回生制動]]優先[[電気指令式ブレーキ|全電気指令式電磁直通ブレーキ]]HRDA-1である<ref name="RF200806_2" />。ブレーキ制御はON/OFF制御弁からの各軸個別制御方式を採用し<ref name="RF200806_2" />、前述したS-TIMと連携して編成全体の制動力を総括して制御することによって回生制動の有効活用を行う<ref name="RF200806_2" /><ref group="注釈" name="renketsu" />。ブレーキ制御装置は1両当たり2基、各台車ごとに用意され<ref name="RF200806_2" />、従来の1両当たり1基搭載と比較して空気配管が短縮されたことによる制動応答性の向上ならびに制動操作時における空走時間の短縮<ref name="RF200806_2" />、さらに台車ごとに制動力の演算を行うことで適切な制動力を確保可能とするなど保安性の向上が図られた<ref name="RF200806_2" />。


=== 集電装置 ===
[[エアー・コンディショナー|冷房装置]]は三菱電機製の[[集中式冷房装置|集中式]]CU723形で、能力58.1kW (50,000kcal/h) の装置を採用した。車内はダクト方式で冷気拡散を行い、補助送風機であるラインデリアは、[[枕木]]方向に先頭車は7台・中間車は8台設置している。
[[東洋電機製造]]製の[[集電装置#Z型・シングルアーム型|シングルアーム式パンタグラフ]]PT7116-Bを採用した<ref name="RP200807_5" />。8・10両編成ではM1・M3・M5車に各1基搭載<ref name=":0" />、編成内のパンタグラフは母線引き通しによって電気的に接続される。2両編成ではMc1車に2基搭載となる<ref name=":0" />。


=== 補助機器類 ===
両先頭車の[[密着連結器|自動密着連結器]]下には[[電気連結器|自動電気連結器]]が設置されている。これは、他編成同士の連結・解放(併結運用)と各編成での運用を柔軟かつ速やかに行うためである。
補助電源装置は三菱電機製の[[静止形インバータ]] (SIV) をM2・M6(8・10両編成)、Tc2‘(2両編成)に各1台搭載する<ref name=":0" />。8両編成は220kVAのNC-IAT220A、10両編成は250kVAのNC-IAT250Aがそれぞれ編成あたり2台、2両編成では110kVAのNC-IAT110Aが編成あたり1台となる。主回路素子に新形の3レベル式IGBT素子「CSTBT」を採用し<ref name="RP200807_6">「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 (2008) pp.149 - 150</ref>、[[スイッチング電源|スイッチング]]損失の低減を図った<ref name="RP200807_6" />。素子の冷却には冷却フィンによる自然空冷方式を採用<ref name="RP200807_6" />、代替フロンなどの[[冷媒]]を廃し、環境へ配慮するとともに事故発生時などにおける破損対策を施した設計となっている<ref name="RP200807_6" />。出力電圧は[[三相交流]]440 V。


[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) は三菱電機製の装置をM2・M6・Tc2‘に各1台搭載する<ref name=":0" />。8・10両編成では1600 L/minのMBU1600Y-3A<ref group="注釈">当初はサフィックス"A"なし</ref>が編成で2台、2両編成では1000 L/minのMBU1100Y-3A<ref group="注釈">当初はサフィックス"A"なし</ref>が編成で1台となる。圧縮機構はスクロール式で、圧縮機のほか起動回路・除湿装置・アフタークーラーを一体箱に収納した構造となっている点が特徴である<ref name="RP200807_6" />。また、1基のCPの内部は3台の圧縮ユニットで構成され<ref name="RP200807_6" />、うち1ユニットが故障した際にも運転継続を可能とするよう冗長性を担保した<ref name="RP200807_6" />。
=== 車両故障に伴う変更点 ===
2009年1月11日[[高田馬場駅]]構内で車両不具合が発生。自走が不可能となったため、後続の救援車両によって[[中井駅]]構内待避線まで回送された。その後の調べにより主回路ヒューズが劣化のため断線していることが判明。その後同形式全車に対して主回路ヒューズの容量を1400Aから1800Aに変更し、過電流の発生を抑え、溶断防止を図っている。


[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は三菱電機製の[[集中式冷房装置|集中式]]CU723<ref name="RP200807_5" />を1両当たり1基、屋根上に搭載する<ref name="RP200807_5" />。同冷房装置はS-TIMによる全自動空調モードで運転することを前提に設計され<ref name="RP200807_6" />、各車車内の[[室温]]・[[湿度]]や[[定員#混雑率・乗車率|乗車率]]ならびにS-TIMに実装される[[カレンダー]]情報によって季節状況も加味し<ref name="RP200807_6" />、暖房・冷房・除湿・ラインデリアによる送風のうち最適な運転モードが自動的に選択される<ref name="RP200807_6" />。[[冷凍能力|冷房能力]]は58.1&nbsp;kW (50,000 kcal/h) と従来車の42,000 kcal/hと比較して1.2倍に増強し<ref name="RP200807_6" />、混雑時における冷房性能を向上させた<ref name="RP200807_6" />。また同冷房装置は外気導入機能を備え<ref name="RP200807_6" />、優等列車運用時において長時間扉の開閉がない状態であっても車内が[[酸素]]不足に陥らないよう配慮された<ref name="RP200807_6" />。
== 編成表 ==

{{注意|section=1|編成表は、特定日の組成が記載された資料に基づいて編集して下さい。個別の編成が落成する毎に表に反映させることは[[Wikipedia:検証可能性|検証可能性]]を満たさないのでお止め下さい。}}
連結器は、先頭車の前頭部寄りのみ[[連結器#密着連結器|回り子式密着連結器]]を採用し<ref name="RF200806_3" />、中間連結部分は[[ボルト (部品)|ボルト]]固定による[[連結器#棒連結器(永久連結器)・半永久連結器|半永久連結器]]が採用された<ref name="RF200806_3" />。各先頭車の連結器直下には、編成同士の連結・解放を速やかに行う目的で自動連結・解放機能付の[[電気連結器]]が設置されている<ref name="RP200807_1" />。なお、10両編成では電気連結器は省略されている<ref name="RM2014-3"/>。
;2011年12月31日現在<ref name=rp201010>交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2012年4月号「私鉄車両のうごき」参照。</ref>

{|
その他、Tc1・Tc2・T1(8・10両編成)およびT2(10両編成)、Mc1(2両編成)の床下には非常[[梯子|ハシゴ]]が搭載されている。

{{Gallery
|title= 主要機器 画像一覧
|width=165
|height=125
|File:Seibu30000-S-TIMbox.jpg|S-TIM箱(先頭車)
|File:Seibu30000-VFI-HR1820A.jpg|VFI-HR1820A VVVFインバータ装置
|File:seibu_30000series_VFI-HR2820R.jpg|VFI-HR2820R VVVFインバータ装置
|File:Hitachi-HS32534-15RB.jpg|HS32534-15RB 主電動機
|File:Seibu30000-SS175M.jpg|SS175M 電動台車
|File:Seibu30000-SS175T.jpg|SS175T 付随台車
|File:Seibu30000-PT7116-B.jpg|PT7116-B パンタグラフ
|File:Seibu30000-MELSIV-i.jpg|SIV装置
|File:Seibu30000-MBU1600Y-3.jpg|MBU1600Y-3A 空気圧縮装置
|File:Seibu30000-Ladder.jpg|非常ハシゴ
}}

== 運用 ==
{{Vertical_images_list
|幅= 200px
|枠幅= 200px
| 1=Seibu38105.jpg
| 2=「西武・電車フェスタ2009 in 武蔵丘検修場」において臨時電車として運用された38105編成。<br />(武蔵丘車両検修場・2009年6月)
| 3=
| 5=Seibu30103.JPG
| 6=2014年度増備車の10両固定編成(30103編成)前面のロゴマークが省略されている。<br />([[武蔵藤沢駅|武蔵藤沢]]・2014年11月)
}}

'''導入まで'''

本系列の落成・運用開始に先立って数々のイベントが実施され、2007年(平成19年)6月10日<ref name="pdf_festa2007">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2007/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/070427-1.pdf|format=PDF|title=西武・電車フェスタ2007 in 武蔵丘車両検修場|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年4月27日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20151007000638/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2007/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/070427-1.pdf|archivedate=2015年10月7日}}</ref>に開催された「西武・電車フェスタ2007 in [[西武鉄道武蔵丘車両検修場|武蔵丘車両検修場]]」において本系列の概要が一般公開されたほか<ref name="pdf_festa2007" />、吊り下げ型の立体模型の展示が実施された。さらに同年9月1日から同月15日にかけて<ref name="pdf_nurie">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2007/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/070829-1.pdf|format=PDF|title=こどもたちそれぞれの“想い”をのせて、ヘッドマーク付きぬり絵号が走ります!|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2007年8月29日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20151007000642/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2007/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/070829-1.pdf|archivedate=2015年10月7日}}</ref>、前述「西武・電車フェスタ2007 in 武蔵丘車両検修場」など各種イベントにおいて子供を対象として募集した「30000系:スマイルトレイン[[塗り絵|ぬり絵]]」のうち約500枚を、池袋線および新宿線を走行する電車のうち10両編成各1編成ずつ<ref name="pdf_nurie" /><ref group="注釈">6000系6155編成(池袋線)ならびに6101編成(新宿線)。</ref>の車内中吊り広告スペースに展示し、「30000系ぬり絵号」として運行した<ref name="pdf_nurie" />。

2007年度(平成19年度)に8両編成3本が落成し、2008年1月から3月にかけて日立製作所笠戸事業所から順次[[車両輸送#甲種輸送|甲種輸送]]された<ref>[http://railf.jp/news/2008/01/28/115900.html 西武鉄道30000系第1編成,甲種輸送] - railf.jp(2008年1月28日) 2012年6月1日閲覧</ref><ref>[http://railf.jp/news/2008/02/25/142300.html 西武30000系第2編成甲種輸送] - railf.jp(2008年2月25日) 2012年6月1日閲覧</ref>。3編成とも2008年3月21日付で入籍、38101・38102編成は新宿線、38103編成は池袋線へ配属された<ref name=":6">「鉄道ファン」2008年9月号(通巻569号)付録「大手私鉄車両ファイル」※2007年度分の車両のうごき</ref>。

新宿線は2008年4月26日<ref name="pdf_debut">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0324.pdf|format=PDF|title=新型通勤車両30000系(スマイルトレイン)が4月26日(土)より新宿線にて営業運転を開始します|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年3月24日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081230081900/http://www.seibu-group.co.jp:80/railways/kouhou/news/2007/0324.pdf|archivedate=2008年12月30日}}</ref>、池袋線では同年5月27日<ref name="RP806_ike-debut">「西武鉄道の話題 30000系が池袋線でも営業運転開始」 (2008) p.87</ref>に営業運転を開始した。4月26日には西武新宿駅において出発式が開催され、10時36分発の急行[[本川越駅|本川越]]行が初の営業列車となった<ref name="tsuchiya2008_5" />。また、同駅においては記念乗車券や各種グッズが限定発売された<ref name="tsuchiya2008_5" />。

営業運転開始に先立ち、2008年3月27日には[[株主]]向けの試乗会が新宿線で実施され<ref name="yanai2008">「西武鉄道の話題」 (2008) p.158</ref>、38101編成が充当された<ref>[http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2008/03/30000.html 2008年3月27日【西武】30000系株主向け試乗会実施] - RM News 2012年6月1日閲覧</ref>ほか、同月29日には[[小手指車両基地]]においてデビュー記念イベントが開催され<ref name="pdf_debut-event">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0319.2.pdf|format=PDF|title=3月29日(土)「新型車両30000系デビューイベント」を開催|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年3月19日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081230081852/http://www.seibu-group.co.jp:80/railways/kouhou/news/2007/0319.2.pdf|archivedate=2008年12月30日}}</ref>、38101 - 38103編成が車両展示・車内内覧・床下見学に各1編成ずつ充当、その他本系列の完成までの歩みを掲載したポスターが展示された<ref name="pdf_debut-event" />。営業運転開始後も、2008年5月11日の[[母の日]]にあわせて運行された特別列車<ref>{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0417.pdf|format=PDF|title=一回限りの特別電車 〜5月11日(日)「母の日に母娘の二人で行く庭の湯」〜 お花で彩ったスマイルトレインがお連れします。|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年4月17日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120324110304/http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/-/__icsFiles/afieldfile/2009/11/17/0417.pdf|archivedate=2012年3月24日}}</ref>や、同年の武蔵丘車両検修場<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/080428-2.pdf 6月8日(日)開催 「西武・電車フェスタ2008 in 武蔵丘車両検修場」]}} - 西武鉄道公式Web 2012年6月1日閲覧{{リンク切れ|date=2017年7月}}</ref>、[[南入曽車両基地]]<ref>{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/080807.pdf|format=PDF|title=8月30日(土)、車両基地を一般公開します。「南入曽車両基地 電車夏まつり」を開催|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年8月7日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160309074842/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/080807.pdf|archivedate=2016年3月9日}}</ref>、[[横瀬車両基地]]<ref>{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/080924-2.pdf|format=PDF|title=10月5日(日) 「西武トレインフェスティバル2008 in 横瀬」を開催|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年9月24日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160308082802/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/080924-2.pdf|archivedate=2016年3月8日}}</ref>の公開イベント来場者向け臨時列車、同年11月23日の[[埼玉西武ライオンズ]]ファン感謝イベントにあわせて運行された特別列車<ref>{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/081120.pdf|format=PDF|title=「埼玉西武ライオンズ ファン感謝の集い」にあわせ、ヘッドマーク付き電車(30000系スマイルトレイン)が走ります!|newspaper=西武鉄道公式Web|publisher=西武鉄道|date=2008年11月20日|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160309185840/http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2008/__icsFiles/afieldfile/2009/11/18/081120.pdf|archivedate=2016年3月9日}}</ref>など、各種臨時列車にも優先的に充当された。

本系列は西武鉄道におけるイメージリーダーとして<ref name="tsuchiya2008_1" />各種宣伝媒体および公式コンテンツに数多く登用されているほか<ref group="注釈">子供向けコンテンツ「[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kids/index.html Go!Go!スマイルトレイン]」など。</ref>、[[2012年]](平成24年)には西武鉄道が創立100周年を迎えるにあたって制定された100周年記念ロゴのモチーフにも用いられた<ref name="100th_logo">{{Cite news|url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/100th/message/index.html|title=西武鉄道100年への思い|newspaper=西武鉄道100年アニバーサリー特別サイト|publisher=西武鉄道|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120513162517/http://www.seibu-group.co.jp/railways/100th/message/index.html|archivedate=2012年5月13日}}</ref>。また同記念企画の一環として、西武鉄道が保有する[[日本プロ野球|プロ野球]]チーム・[[埼玉西武ライオンズ]]が中学生以下を対象に一般公募した100周年記念ユニフォームデザイン案<ref name="100th_base">">{{Cite news|url=http://www.seibulions.jp/100th_uniform/|title=西武鉄道はおかげさまで100年!ライオンズユニフォームデザイン大募集!|publisher=埼玉西武ライオンズ公式|accessdate=2012年6月1日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120521093537/http://www.seibulions.jp/100th_uniform/|archivedate=2012年5月21日}}</ref>のうち、選考の結果本系列の外装色を模したデザイン案が採用された<ref name="100th_base" /><ref name="100th_base_rtn">[http://www.seibulions.jp/news/detail/6703.html あの感動と興奮を再び!9/25〜27 西武鉄道創立100周年記念ユニフォームを再着用!] - 埼玉西武ライオンズ公式 2012年9月20日閲覧</ref><ref group="注釈">「[[西武4000系電車|4000系]]とスマイルトレインユニフォーム」と題された同ユニフォームは、同年8月および9月の[[西武ドーム]]における埼玉西武ライオンズ主催公式戦・計8試合において着用された。</ref>。
; 車両の年次別分類<ref name=":0">「とれいん」2017年1月号(通巻705号)MODELERS FILE 西武鉄道30000系電車 p.36 - p.45</ref>
{| class="wikitable" summary="年次別分類 " style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|-style="border-bottom:solid 3px #666;"
!colspan="2" style="background-color:#ccc;"|&nbsp;
!style="width:12em; background-color:#bef;"|10両編成
!style="width:12em; background-color:#bef;"|8両編成
!style="width:12em; background-color:#bef;"|6両編成
!style="width:12em; background-color:#bef;"|2両編成
!主な仕様変更
|-
|-
!rowspan="10" style="background-color:#ddd;"|製造年次
|colspan="2"|
|style="width:12em; background-color:#cfc;" |'''1次車''' (2007年度製)
;8両編成
| &nbsp; || 38101 - 38103編成<br />3本・計24両 || &nbsp; || &nbsp;
{| class="wikitable" summary="西武30000系8両編成" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|&nbsp;
|-
|-
|style="background-color:#ccc; width:9em;"|&nbsp;
|style="background-color:#cfc;"|'''2次車''' (2008年度製)
| &nbsp; || 38104・38105編成<br />2本・計16両 || &nbsp; || 32101 - 32103編成<br />3本・計6両
|colspan="8"|{{TrainDirection| [[飯能駅|飯能]]・[[西武球場前駅|西武球場前]]・[[豊島園駅|豊島園]] | [[池袋駅|池袋]]・[[西武秩父駅|西武秩父]] }}<br />{{TrainDirection| [[西武新宿駅|西武新宿]] | [[本川越駅|本川越]]・[[拝島駅|拝島]]・[[西武遊園地駅|西武遊園地]]・[[西武園駅|西武園]] }}
|前面グラデーション変更<ref name="RM200902">「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系2輌編成登場」 (2009) pp.118 - 119</ref>
|-style="border-top:solid 4px #9fc;"
!号車<small>(単独運用時)</small>
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''3次車''' (2009年度製)
!形式
| &nbsp; || 38106・38107編成<br />2本・計16両 || &nbsp; || &nbsp;
|'''クハ38100'''<br />(Tc1)
|&nbsp;
|'''モハ38200'''<br />(M1)
|'''モハ38300'''<br />(M2)
|'''サハ38400'''<br />(T1)
|'''サハ38500'''<br />(T3)
|'''モハ38600'''<br />(M5)
|'''モハ38700'''<br />(M6)
|'''クハ38800'''<br />(Tc2)
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''4次車''' (2010年度製)
!機器配置
| &nbsp; || VVVF2 || SIV,CP || BT || &nbsp; || VVVF2 || SIV,CP || BT
| &nbsp; || 38108・38109編成<br />2本・計16両|| &nbsp; || &nbsp;
|側面帯の「SEIBU」ロゴ廃止
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''5次車''' (2011年度製)
!車両重量
| &nbsp; || 38110・38111編成<br />2本・計16両|| &nbsp; || &nbsp;
| 26.5t || 33.9t || 33.5t || 25.9t || 25.0t || 33.8t || 33.3t || 26.9t
|&nbsp;
|-style="border-top:solid 3px #666;"
!車両番号
|38101<br />:<br />38111
|38201<br />:<br />38211
|38301<br />:<br />38311
|38401<br />:<br />38411
|38501<br />:<br />38511
|38601<br />:<br />38611
|38701<br />:<br />38711
|38801<br />:<br />38811
|}
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''6次車''' (2012年度製)
|rowspan="2" style="vertical-align:top;"|
| &nbsp; || 38112 - 38114編成<br />3本・計24両|| &nbsp; || 32104 - 32106編成<br />3本・計6両
;2両編成
|&nbsp;
{| class="wikitable" summary="西武30000系2両編成" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|-
|-
| style="background-color:#ccc; width:9em;"|&nbsp;
|style="background-color:#cfc;"|'''7次車''' (2013年度製)
| 30101 - 30102編成<br />2本・計20両|| 38115編成<br />1本・計8両 || &nbsp; || &nbsp;
|colspan="2" |{{TrainDirection| 飯能・西武球場前 | 池袋<!--・[[西武秩父駅|西武秩父]]--> }}<!--<br />{{TrainDirection|西武新宿|本川越・拝島・西武遊園地・西武園}}-->
|室内灯LED化,荷棚のガラス化,走行機器変更
|-style="border-top:solid 4px #9fc;"
!号車
| 1 || 2
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''8次車''' (2014年度製)|| 30103 - 30104編成<br />2本・計20両 || 38116編成<br />1本・計8両 ||&nbsp;
!形式
|&nbsp;
|'''クモハ32100'''<br/>(Mc)
|前面コーポレートロゴ廃止<br />側面コーポレートロゴの社名表記を「西武鉄道」へ<ref group="注釈">のちに7次車以前の車両でも順次前面コーポレートロゴが撤去されたほか、側面社名表記も「SEIBU」から「西武鉄道」に貼り替えられた。</ref>
|'''クハ32200'''<br/>(Tc)
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''9次車''' (2015年度製)|| 30105 - 30106編成<br />2本・計20両 || 38117編成<br />1本・計8両 ||&nbsp;
!機器配置
|&nbsp;
| VVVF1,BT || SIV,CP
|
|-
|-
|style="background-color:#cfc;"|'''10次車''' (2016年度製) ||&nbsp;
!車両重量
| 38118編成<br />1本・計8両 ||&nbsp;
| 34.4t || 29.6t
|&nbsp;
|-style="border-top:solid 3px #666;"
|&nbsp;
!車両番号
| 32101<br />:<br />32103 || 32201<br />:<br />32203
|}
|style="padding-left:3em;"|
;凡例
* VVVF2:主制御器(1C4M2群)
* VVVF1:主制御器(1C4M1群)
* SIV:補助電源装置(静止形インバータ)
* CP:空気圧縮機
* BT:蓄電池
|-
|-
! colspan="2" |当初計画時の導入予定本数<ref name="pdf_debut-pre" />
|style="padding-left:3em;"|
| 0本
;所属
| 12本
* 池袋線
| 3本
**8両編成 - 6本・48両(38103 - 38105・38107・38109・38110編成)<ref name=rp201010 />
| 3本
**2両編成 - 3本・6両(32101 - 32103編成)
|&nbsp;
* 新宿線
|-
**8両編成 - 5本・40両(38101・38102・38106・38108・38111編成)<ref name=rp201010 />
! colspan="2" |2017年4月現在の導入本数
| 6本
| 18本
| 0本
| 6本
|&nbsp;
|}
|}
{{-}}


== 増備の推移 ==
== 改造工事 ==
* 前照灯の白色LED化(2019年度)
2007年度に8両編成3本(24両)が落成し、[[西武新宿線|新宿線]]([[南入曽車両基地]]配属)に2本と[[西武池袋線|池袋線]]([[小手指車両基地]]配属、後に一部は[[武蔵丘車両基地]]配属)に1本が配置され、前者は2008年4月26日に営業運転を開始、後者も同年5月27日に営業運転を開始した。最初の編成は同年1月25日から27日に、後の2本も同年3月までに[[小手指車両基地]]まで[[車両輸送|甲種車両輸送]]された<ref>最初の甲種車両輸送時には最後部車両(クハ38801)の運転台に[[埼玉西武ライオンズ]]の[[マスコット]]である[[レオ (埼玉西武ライオンズ)|レオ]]と[[埼玉県]]のマスコットである[[コバトン]]の[[ぬいぐるみ]]が置かれた。</ref>。
** コイト電工の多灯式タイプで、2019年6月に30103・30101・38118編成に施工した後、12月から1月にかけて残る全編成に施工された。20000系と並行して実施。
** なお、これより前に一部編成で別形態のLED前照灯が試験的に使用されていた。
*** コイト2灯式(白色):30101・30102編成(2014年7月 - 2016年9月)
*** コイト多灯式(電球色):30101編成(2016年9月 - 2019年6月)
*** 森尾16粒小型(白色):30104編成(2016年4月 - 2017年4月)


<div style="float: left;">
2008年度分は、設備投資計画で発表されていた8両編成2本(16両)と2両編成3本(6両)が落成し、すべて池袋線に配置された。2両編成は8両編成の増結用として同年12月23日より営業運転を開始している<ref>[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0522.pdf 2008年度鉄道事業投資計画]</ref>。
{{Double image aside|left|Seibu 30001 LED lowbeam.jpg|120|Seibu 30101 LED unlit.jpg|120|コイト2灯式タイプ<br>ロービームでは外側が点灯する。40000系0番台に採用された。}}
</div><div style="float: left;">
{{Double image aside|left|Seibu 30004 LED lowbeam.jpg|120|Seibu 30104 LED unlit.jpg|120|森尾16粒タイプ<br>ロービームでは上半分が点灯する。東急5050系等と類似する。}}
</div><div style="float: left;">
{{Double image aside|left|SBU30000ライト灯.jpg|120|SBU30000ライト消.jpg|120|コイト多灯式タイプ(電球色)<br>ロービームでは中央の1列が点灯する。本採用された白色と同一形状。}}
</div>
{{-}}
* 室内灯LED化(2016年度頃)
** それまで蛍光灯を使用していた6次車以前の車両において実施された。蛍光灯と互換性のある直管式が用いられており、当初からLEDを採用する7次車とは外観が異なる。
{{Vertical_images_list
|幅= 200px
|枠幅= 200px
| 1=Seibu-Series30000-38110 LCD.jpg
| 2=2in1タイプ17インチワイドLCD(40000系同等品)
}}


* スマイルビジョン更新(2018年 - )
2009年度分は、計画通り8両編成2本(16両)が落成し、新宿線と池袋線に各1本ずつ配置された。<ref>交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2010年4月号「私鉄車両のうごき」を参照。</ref>。2010年度も前年に引き続き8両編成2本の導入が計画され<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/05/17/2010_setusubitousi.pdf 2010年度 鉄道事業設備投資計画 2010年5月17日]}}</ref>、計画通り8両編成2本が落成し、新宿線と池袋線に各1本ずつ配置されている<ref name=rp201010 />。
** それまで15インチLCDを使用していた6次車以前の車両において、17インチワイドLCDへの交換が実施されている。40000系と同等の2in1タイプが採用された。
* 列車無線装置の更新<ref group="注釈" name=":0">西武全体で実施。</ref>(2018 - 2019年度)
* 車内防犯カメラの設置<ref name=":0" group="注釈" />(2024年度)
** ドア直前の千鳥配置。1-6次車と7次車以降で取り付け方法が異なる。
{{-}}


== 編成表 ==
2011年度初時点では8両編成3本(24両)と6両編成3本(18両)の合計42両を投入して現存する101系・301系を置き換える予定であった<ref>なお、2007年度首の101系・301系の在籍車両数は156両で、そのうち[[西武多摩湖線|多摩湖線]]と[[西武多摩川線|多摩川線]]で運用されている[[ワンマン運転]]対応車は32両である。多摩湖線で運用されていた旧101系1本は2008年[[2月3日]]で運用を終了している。<!--、30000系120両が導入されても、差し引きででる36両前後が支線区用として残る可能性がある-->同じく3ドア車両である[[西武3000系電車|3000系]]は本系列投入完了後も継続使用される。</ref>が、2011年度分の計画は前2年に続いて8両編成2本(16両)の導入となり<ref name=seibu20110825>{{Cite web |date=2011-08-25 |url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/08/25/20110825tetsudou-setsubitousi.pdf |title=2011年度 鉄道事業設備投資計画 |format=PDF |publisher=西武鉄道 |accessdate=2012-05-16}}</ref><!--実績については検証可能性を満たさない限り記述しない-->、2011年12月31日時点では8両編成11本(88両)と2両編成3本(6両)の計14本94両が在籍している<ref name=rp201010 />。
* 車両番号は2021年4月1日現在<ref name=":1">交友社『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2021年8月号(通巻724号)付録「大手私鉄車両ファイル」</ref><!-- 横並びはCSSのfloatを使用、主回路蓄電池の表記のためtable使用 -->


<div style="float: left;">
2012年度分は8両編成3本(24両)と2両編成3本(6両)の合計30両の導入が予定されている<ref name=seibu20120515>{{Cite web |date=2012-05-15 |url=http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2012/__icsFiles/afieldfile/2012/05/15/20120515setsutou2012.pdf |title=2012年度 鉄道事業設備投資計画 |format=PDF |publisher=西武鉄道 |accessdate=2012-05-16}}</ref>。2012年度の計画通り落成した場合、全在籍両数は当初予定の120両を上回る124両(8両編成14本、2両編成6本)となる。
{|
|
; 2両編成<ref name=":0" />
{| class="wikitable" summary="西武30000系 2両編成" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|- style="border-bottom:solid 3px #33cc66;"
| style="background-color:#ccc; width:9em;" |&nbsp;
| colspan="2" |{{TrainDirection|1=[[飯能駅|飯能]]・[[西武球場前駅|西武球場前]]}}<br />{{TrainDirection|2=[[池袋駅|池袋]]}}
|-
!号車<small>(基本組成時)</small>
| 1 || 2
|- style="border-bottom:solid 3px #66ccff;"
!形式
|< ><br />'''クモハ32100'''<br />(Mc1)
|&nbsp;<br />'''クハ32200'''<br />(Tc2‘)
|-
!搭載機器
| VVVF1,BT || SIV,CP
|-
!車内設備
|♿︎,<small>[[女性専用車]]</small>
|&nbsp;
|-
!自重(~6次車)
|34.4t
|29.6t
|- style="border-top:solid 3px #3366cc;"
!車両番号
| 32101<br />:<br />32106
| 32201<br />:<br />32206
|}
|}
</div>


{|
;車両の年次別分類
|
{| class="wikitable" summary="年次別分類 " style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
; 8両編成<ref name=":0" />
|-style="border-bottom:solid 3px #666;"
{| class="wikitable" summary="西武30000系 8両編成" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
!colspan="2" style="background-color:#ccc;"|&nbsp;
|- style="border-bottom:solid 3px #33cc66;"
!style="width:12em; background-color:#dff;"|8両編成
!style="width:12em; background-color:#dff;"|6両編成<ref name=seibu20070427 />
| style="background-color:#ccc; width:9em;" |&nbsp;
| colspan="8" |{{TrainDirection| [[飯能駅|飯能]]・[[西武球場前駅|西武球場前]]・[[豊島園駅|豊島園]] | [[池袋駅|池袋]] ・[[西武秩父駅|西武秩父]] }}<br />{{TrainDirection| [[西武新宿駅|西武新宿]] | [[本川越駅|本川越]]・[[拝島駅|拝島]]・[[多摩湖駅|多摩湖]]・[[西武園駅|西武園]] }}
!style="width:12em; background-color:#dff;"|2両編成
|-
|-
!号車<small>(単独運用時)</small>
!rowspan="6" style="background-color:#ddd;"|投入年次
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8
|style="width:12em; background-color:#cfc;" |'''1次車''' (2007年度製)
|- style="border-bottom:solid 3px #66ccff;"
|38101 - 38103編成<br />3本・計24両 || &nbsp; || &nbsp;
!形式
|&nbsp;<br />'''クハ38100'''<br />(Tc1)
|<  <br />'''モハ38200'''<br />(M1)
|&nbsp;<br />'''モハ38300'''<br />(M2)
|&nbsp;<br />'''サハ38400'''<br />(T1)
|&nbsp;<br />'''サハ38500'''<br />(T3)
|<  <br />'''モハ38600'''<br />(M5)
|&nbsp;<br />'''モハ38700'''<br />(M6)
|&nbsp;<br />'''クハ38800'''<br />(Tc2)
|-
|-
!搭載機器
|style="background-color:#cfc;"|'''2次車''' (2008年度製)
| &nbsp; || VVVF2 || SIV,CP || BT || &nbsp; || VVVF2 || SIV,CP || BT
|38104・38105編成<br />2本・計16両 || &nbsp; || 32101 - 32103編成<br />3本・計6両
|-
|-
!車内設備
|style="background-color:#cfc;"|'''3次車''' (2009年度製)
|♿︎
|38106・38107編成<br />2本・計16両 || &nbsp; || &nbsp;
|♿︎,<small>[[弱冷房車]]</small>
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|♿︎
|♿︎
|-
|-
!自重(~6次車)
|style="background-color:#cfc;"|'''4次車''' (2010年度製)
|26.5t
|38108・38109編成<ref name=rp201010 /><br />2本・計16両|| &nbsp; || &nbsp;
|33.9t
|-style="border-top:solid 3px #666;"
|33.5t
|25.9t
|25.0t
|33.8t
|33.3t
|26.9t
|-
|-
! 自重(7次車~)
|style="background-color:#cfc;"|'''5次車''' (2011年度製)
|26.1t
|38110・38111編成<br />2本・計16両<ref name=seibu20110825 />|| &nbsp; || &nbsp;
|34.1t
|-style="border-top:solid 3px #666;"
|33.5t
|25.4t
|24.5t
|34.3t
|33.4t
|26.6t
|- style="border-top:solid 3px #3366cc;"
!車両番号
|38101<br />:<br />38118
|38201<br />:<br />38218
|38301<br />:<br />38318
|38401<br />:<br />38418
|38501<br />:<br />38518
|38601<br />:<br />38618
|38701<br />:<br />38718
|38801<br />:<br />38818
|}
* サハ38418は主回路蓄電池搭載<ref name=":0" />(現在は撤去済)
|}

; 10両編成<ref name=":0" />
{| class="wikitable" summary="西武30000系 10両編成" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;"
|- style="border-bottom:solid 3px #33cc66;"
| style="background-color:#ccc; width:9em;" |&nbsp;
| colspan="10" |{{TrainDirection| [[飯能駅|飯能]]・[[西武球場前駅|西武球場前]] | [[池袋駅|池袋]] }}<br />{{TrainDirection| [[西武新宿駅|西武新宿]] | [[本川越駅|本川越]]・[[拝島駅|拝島]] }}
|-
|-
!号車
|style="background-color:#cfc;"|'''6次車''' (2012年度製)
| 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10
|<!--38112 - 38114編成?<br />-->3本・計24両<ref name=seibu20120515 /><br />(予定)|| &nbsp; || <!--32104 - 32106編成<br />-->3本・計6両<ref name=seibu20120515 /><br />(予定)
|-style="border-top:solid 3px #666;"
|- style="border-bottom:solid 3px #66ccff;"
!形式
!colspan="2"|当初計画時の導入予定本数<ref name=seibu20070427 />
|&nbsp;<br />'''クハ30100'''<br />(Tc1)
| 12本 || 3本 || 3本
|<  <br />'''モハ30200'''<br />(M1)
|&nbsp;<br />'''モハ30300'''<br />(M2)
|&nbsp;<br />'''サハ30400'''<br />(T1)
|<  <br />'''モハ30500'''<br />(M3)
|&nbsp;<br />'''サハ30600'''<br />(T2)
|&nbsp;<br />'''サハ30700'''<br />(T3)
|<  <br />'''モハ30800'''<br />(M5)
|&nbsp;<br />'''モハ30900'''<br />(M6)
|&nbsp;<br />'''クハ30000'''<br />(Tc2)
|-
|-
!搭載機器
!colspan="2"|2011年末現在の導入本数
| &nbsp;|| VVVF2 || SIV,CP || BT || VVVF1 || &nbsp; || &nbsp; || VVVF2 || SIV,CP || BT
| 11本 || 0本 || 3本
|-
|-
!車内設備
!colspan="2"|2012年度末時点の導入予定本数
|♿︎,<small>女性専用車</small>
| 14本 || 0本 || 6本
|♿︎,<small>弱冷房車</small>
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|&nbsp;
|♿︎
|♿︎
|-
!自重(7次車~)
|26.0t
|34.1t
|33.6t
|25.4t
|32.7t
|24.7t
|24.5t
|34.3t
|33.4t
|26.6t
|- style="border-top:solid 3px #3366cc;"
!車両番号
|30101<br />:<br />30106
|30201<br />:<br />30206
|30301<br />:<br />30306
|30401<br />:<br />30406
|30501<br />:<br />30506
|30601<br />:<br />30606
|30701<br />:<br />30706
|30801<br />:<br />30806
|30901<br />:<br />30906
|30001<br />:<br />30006
|}
|}


;凡例
1次車 - 5次車と分けられているが、製造時期が異なるだけで設備面の大きな変更はない。
* VVVF2:[[主制御器]]([[VVVFインバータ]]/1C4M2群)
* VVVF1:主制御器(VVVFインバータ/1C4M1群)
* SIV:補助電源装置(静止形インバータ)
* CP:電動[[空気圧縮機]]
* BT:[[蓄電池]]
* <:[[集電装置]](シングルアームパンタグラフ)
* ♿︎:[[車椅子スペース]]


== その他 ==
=== 所属 ===
2023年4月1日時点<ref>交友社『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2023年8月号(通巻748号)付録「大手私鉄車両ファイル」</ref><!-- 特殊な事情がない限り出典は節全体で揃えてください。 -->
{{wakumigi|
[[Image:Seibu38105.jpg|thumb|240px|none|「西武・電車フェスタ2009in武蔵丘検修場」にて、臨時電車待機の様子<br />(2009年6月7日、武蔵丘車両検修場)]]
}}


* 池袋線(武蔵丘車両基地)
* [[2007年]][[6月10日]]に開催された「西武・電車フェスタ2007 in [[西武鉄道武蔵丘車両検修場|武蔵丘車両検修場]]」では、30000系についての展示ブースが開設された。また、立体模型も吊り下ろされた<ref>この後、池袋駅と西武新宿駅のコンコースにも展示された。</ref>。
** 8両編成 - 9本・72両(38103・38105・38107・38108・38109・38111 - 38114編成)
* 2007年[[9月1日]]から[[9月15日]]まで、6000系の6001編成と6055編成が30000系のイラストをあしらったヘッドマークを装着した「スマイルトレイン[[塗り絵|ぬり絵]]」号として運転された。これは「西武・電車フェスタ2007 in 武蔵丘車両検修場」内で製作し、その後[[複写機#カラーコピーの仕組み|カラーコピー]]を施した本系列のぬり絵約500枚を広告枠いっぱいに展示するもので、30000系導入後も展示されている。
** 2両編成 - 6本・12両(32101 - 32106編成)
* [[2008年]][[3月27日]]に新宿線内で[[株主]]向けの試乗会を開催した。使用車両は38102編成であった。
* 新宿線
* 2008年[[3月29日]]に小手指車両基地でデビューイベントが開催された<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0319.2.pdf 「3月29日(土)「新型車両30000系デビューイベント」を開催」]}}</ref>。ここでは2007年度に製造された3編成がそれぞれ車両展示会(38103編成)・車内内覧会(38101編成)・床下見学会(38102編成)に使用され、車内内覧会に使われた38101編成は天井に30000系の完成までの歩みを掲載したポスターが掲出された。他に「スマイルトレインぬり絵」の展示や本系列の完成までの歩みのビデオ上映も行われた。
** 10両編成(玉川上水車両基地) - 6本・60両(30101 - 30106編成)
* 出発式は2008年[[4月26日]]に[[西武新宿駅]]で開催され、その後10時36分発急行[[本川越駅|本川越]]行として営業運転を開始した。ここではテープカットの他に記念グッズやパンフレットの配布などが行われた<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0324.pdf 新型通勤車両30000系(スマイルトレイン)が4月26日(土)より新宿線にて営業運転を開始いたします。]}}</ref>。また、同駅ではデビュー記念切符(硬紙タイプ・磁気タイプ)が限定発売された。
** 8両編成(南入曽車両基地) - 9本・72両(38101・38102・38104・38106・38110・38115 - 38118編成)
* 2008年[[5月4日]]に[[西武ドーム]]で開催された「[[こども夢の王国]] ファミリーわくわくスタジアム」では、38101編成が[[所沢駅|所沢]] - [[西武球場前駅|西武球場前]]間の臨時列車に充当された他、西武球場前駅での車両展示会では[[西武101系電車|101系]]243編成と共に出展された。

* 2008年[[5月11日]]([[母の日]])には「母の日に母娘の二人で行く庭の湯」というイベントを開催した。ここでは38103編成が[[池袋駅|池袋]]から[[豊島園駅|豊島園]]まで特別列車を運行し、同駅到着後、車内の公開や本系列の告知が行われた。車内には2千本の[[カーネーション]]の装飾やぬり絵の展示が行われた<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0417.pdf 一回限りの特別電車 ~5月11日(日)「母の日に母娘の二人で行く庭の湯」~ お花で彩ったスマイルトレインがお連れします。]}}</ref>。
本系列の車番付番基準は6000系以降において採用されたものに準じているが<ref name="DJ201102-kusui_2" />、新たに千位において編成両数を表すものとし、万位が系列称号の"3"、千位が編成両数(2両編成は"2"、8両編成は"8"、10両編成は"0")、百位が編成内連結順序(飯能・西武球場前・西武新宿方から何両目かを表す。10両目の場合は"0")、下二桁で製造順序を表している<ref name="DJ201102-kusui_2" /><ref group="注釈">[[東武鉄道]]における[[東武10000系電車#車両編成|5桁系列通勤車の付番基準]]と類似しているが、本系列においては千位・百位の位置付けが東武の付番基準とは逆転している。</ref>。
* 2008年[[6月8日]]に開催された「西武・電車フェスタ2008 in 武蔵丘車両検修場」では、復路で武蔵丘車両検修場から[[飯能駅]]までの臨時列車に充当された。使用車両は38103編成であった。<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0428.2.pdf 6月8日(日)開催 「西武・電車フェスタ2008 in 武蔵丘車両検修場」]}}</ref>。また、同編成は車両展示会にも出展されるとともに38101・38102編成も含めてデビュー告知のヘッドマークが先頭車前面下部に装着された。また、翌2009年[[6月7日]]に開催された同イベントでは32103編成+38105編成が西武新宿から武蔵丘車両検修場までの臨時直通列車に充当された他、飯能⇔武蔵丘車両検修場間の臨時直通列車に2.5往復充当された。

* 2008年[[7月8日]]から[[9月30日]]まで実施された「Save the earthキャンペーン」のポスターや映像撮影の舞台になった。イメージキャラクターとして、実際に[[西武狭山線|狭山線]]で通勤する埼玉西武ライオンズに当時在籍していた内野手・[[クレイグ・ブラゼル]](現・[[阪神タイガース]])を起用した。30000系で出勤途中のブラゼルに色紙を持った一人のライオンズファンの少年がサインを求めに来たのを見て「'''電車でECO'''」と日本語でサインをプレゼントするという設定だった。この車両の走行映像を盛り込んだCM映像は、車内の客用ドア上のスマイルビジョンの他、[[西武ドーム]]のL Vision(エルビジョン)でも放映された。
== 特別装飾編成 ==
* 2008年[[8月30日]]に開催された「[[南入曽車両基地]] 電車夏まつり」では、38102編成が車両展示会に使用された他、池袋線属の38103編成も貸し出され、[[新所沢駅|新所沢]]⇔会場間を38101編成と交代で[[無料]]の臨時送迎電車として運行した。また、当該イベント内で2008年[[グッドデザイン賞]]にノミネートされたポスターも展示された<ref>2008年10月8日に落選となった。</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0807.pdf 8月30日(土)、車両基地を一般公開します。「南入曽車両基地 電車夏まつり」を開催]}}</ref>。
;ワタナベナオミトレイン
* 2008年[[10月5日]]に[[横瀬車両基地]]で開催された「西武トレインフェスティバル2008 in 横瀬」では、38103編成が池袋 - [[横瀬駅|横瀬]]間の臨時快速急行に充当された。会場内では展示車両に抜擢されたほか、30000系[[チョロQ]]や30000系くるくるトレインの先行販売も行われた<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0924-2.pdf 10月5日(日) 「西武トレインフェスティバル2008 in 横瀬」を開催]}}</ref>。
:「SEIBU [[ハロウィン|HALLOWEEN]] 2016」の一環として、2016年10月11日から31日まで運行。カボチャ、魔女、ウサギ、および本系列に変身した[[渡辺直美]]のラッピングが施された<ref>[https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2016/20161011SEIBUHALLOWEEN2016ver2.pdf 2016年10月11日(火)〜10月31日(月) 世界を股にかけた渡辺直美が、西武鉄道のハロウィンをにぎやかす! 本日10月11日(火)より、「SEIBU HALLOWEEN 2016」スタート!] 西武鉄道(ニュースリリース) 2016年10月11日</ref>。
* 2008年11月上旬には、埼玉西武ライオンズが[[日本選手権シリーズ|日本シリーズ]]に出場するのに併せて、38103編成が6000系6114編成や20000系20108編成とともに「日本シリーズ応援号」として運転された。
<gallery widths="200" style="font-size:90%;">
* 2008年[[11月23日]]には、西武ドームで「ライオンズファン感謝の集い」が開催されるのに併せ、38102編成が「[[渡辺久信|ナベ急]]電車」として狭山線内を運転した。
Seibu 30001 Akitsu 20161020.jpg|30101編成<br>ワタナベナオミトレイン
{{wakumigi|[[Image:Seibu30000_32103F+38105F_hokushin.jpg|thumb|180px|none|2両編成と8両編成を併結した10両編成での運用(2011年1月20日、[[富士見台駅]])]]}}
</gallery>
* 池袋線では2008年[[12月23日]]に8両編成と2両編成を併結した10両での運用が開始され、特急以外のすべての列車種別において運用されている。また、西武で2両編成と6両編成が導入されるのは2000系以来となる。
;ぐでたまスマイルトレイン
* [[2009年]][[2月11日]]に小手指車両基地で開催された「Valentine 小手指車両基地Day」では、38104+32102編成が車両展示会および運転台見学に使用された<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2008/0123-1.pdf 2月11日(水・祝) 「Valentine 小手指車両基地Day」を開催]}}</ref>。
:2018年3月5日から12月末まで、池袋線の38105編成で運行。本系列の就役10周年と[[ぐでたま]]誕生5周年を記念して実施された<ref>[https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/20180227gudetama.pdf 「スマイルトレイン10th×ぐでたま5th記念キャンペーン 〜レールの上にも10年、白身の上にも5年〜」を実施します] 西武鉄道・サンリオ連名(西武鉄道側のニュースリリース) 2018年2月27日</ref><ref>[https://www.sanrio.co.jp/news/gu-seibu-smiletrain-wrap-20180226/ オリジナルデザイン電車運行!西武鉄道スマイルトレインとぐでたまがコラボ!] 西武鉄道・サンリオ連名(サンリオ側のニュースリリース) 2018年2月27日</ref>。側面は黄色地の全面ラッピングに銀色のドアという「黄色い電車」を彷彿とさせるデザイン。中央2つのドアはグラデーションの帯が入っていたが、灰色のラッピングで隠されている。前面のデザインは前後で異なり、飯能方に「ぎゅでちゃま」、池袋方に「ぐでたま」が描かれた。池袋線では10両編成で運転されることもあり、その際は「ぎゅでちゃま」が隠れる格好となっていた。
* 2009年の[[ローレル賞]]には30000系は最終選考まで残ったが落選となり、最終的な受賞は[[京阪3000系電車 (2代)|京阪3000系(2代)]]と[[豊橋鉄道T1000形電車|豊橋鉄道T1000形]]であった。
<gallery widths="200" style="font-size:90%;">
* 2010年11月に床材の品質について自社で検査をした結果、火災対策において同社の定める車両構造実施基準を満たしていないことが判明したため、安全性に万全を期すため2012年度末までに30000系および同様の床材を採用している2000系と101系、合計140両の床材を取り替えることを発表している<ref>{{PDFlink|[http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/11/15/20101115syaryou-yukazai.pdf 当社一部車両の床材の変更について 2010年11月15日 西武鉄道]}}</ref>。
Seibu 30000 series gudetama smail train 2 20180505.jpg|38105編成 クハ38105<br>「ぎゅでちゃま」デザインの飯能方面先頭車
Seibu 30000 series gudetama smail train 20180505.jpg|38105編成 クハ38805<br>「ぐでたま」デザインの池袋方面先頭車
</gallery>
;[[コウペンちゃん]]はなまるトレイン
:2020年3月23日から2021年2月末まで、池袋線の38113編成で運行。2019年3月まで40000系で運転されていたものと異なり、薄緑色の全面ラッピングとされている。ドア部分は銀色で、前述の「ぐでたまスマイルトレイン」と同様の処理がなされた。こちらも前面のデザインが前後で異なっている。前述の40000系のラッピングでも同様のHMが装着されていたが、これとは前後の配置が逆転している。
<gallery widths="200" style="font-size:90%;">
Seibu_30000series_38113_koupenchan_tokorozawa.jpg|38113編成 クハ38113<br>飯能方先頭車
西武30000系 コウペンちゃん(池袋方).JPG|38113編成 クハ38813<br>池袋方先頭車
</gallery>
;DORAEMON-GO!([[ドラえもん]]号)
:2020年10月8日から2024年9月20日まで、新宿線の38101編成で運行<ref>[https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2020/20200929_doraemon-go.pdf 未来に向かって出発進行!〜ドラえもん50周年記念〜「DORAEMON-GO!」運行開始!!](西武鉄道)</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.seiburailway.jp/file.jsp?id=22703 |title=ラッピング電車「DORAEMON ー GO!」運行終了のお知らせ |access-date=2024年11月20日}}</ref>。ドアを含めて水色の全面ラッピングが行われた。無地のドアと「[[ドラえもん (キャラクター)|ドラえもん]]」に見立てたドアが交互に並ぶ<ref group="注釈">ただし8号車は配置が逆転しており、7 - 8号車間では「ドラえもん」のドアが並ぶ形となる。</ref>。2021年と2022年、いずれも10月から12月の間、期間限定で池袋線で運行された。
<gallery widths="200" style="font-size:90%;">
Seibu-Series30000-38801F-DORAEMON.jpg|38101編成<br>DORAEMON-GO!
Seibu-Series30000-DORAEMON Inside.jpg|38101編成の車内
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}

=== 出典 ===
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{{Reflist|2}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* 『[[鉄道ダイヤ情報]]』 [[交通新聞社]]
*西武鉄道発行パンフレット「お客さまや地球に優しい新型通勤車両 - 西武鉄道30000系」
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2008年1月1日 - 3月31日」 2008年7月(通巻291)号 pp.124 - 126

** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2008年10月1日 - 12月31日」 2009年4月(通巻300)号 pp.131 - 133
*[[交友社]]「[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]」
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2009年10月1日 - 12月31日」 2010年4月(通巻312)号 pp.126 - 128
**2008年6月号 新車ガイド「西武鉄道30000系」
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2010年4月1日 - 6月30日」 2010年10月(通巻318)号 pp.122 - 124
**2009年2月号 CAR INFO「西武鉄道30000系2輌編成」
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2010年7月1日 - 9月30日」 2011年1月(通巻321)号 pp.125 - 127

** 楠居利彦 「2011年西武電車最新ガイド」 2011年2月(通巻322)号 pp.7 - 35・54 - 57
*鉄道ジャーナル社「[[鉄道ジャーナル]]」
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2011年10月1日 - 12月31日」 2012年4月(通巻336)号 pp.126 - 128
**2008年7月号 心なごむ西武のまーるい電車SMILE TRAIN
** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2012年7月1日 - 9月30日」 2013年1月(通巻345)号 pp.125 - 127

** 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2012年10月1日 - 12月31日」 2013年4月(通巻348)号 pp.126 - 128
*[[電気車研究会|鉄道図書刊行会]]「[[鉄道ピクトリアル]]」
* 『[[レイルマガジン|Rail Magazine]]』 [[ネコ・パブリッシング]]
**2008年7月号 New model「西武鉄道30000系」
**2008年10月号増刊 鉄道車両年鑑2008年版「西武鉄道30000系」
** 小川克弘 NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 2008年6月(通巻298)号 pp.103 - 107
** 箭内忠幸 「西武鉄道の話題」 2008年6月(通巻298)号 p.156

** RM編集部 「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系2輌編成登場」 2009年2月(通巻305)号 pp.118 - 119
*[[ネコ・パブリッシング]]「[[レイルマガジン|Rail Magazine]]」
* 『[[鉄道ピクトリアル]]』 [[電気車研究会|鉄道図書刊行会]]
**2008年6月号 NEW COMER GUIDE「西武鉄道30000系」
** 小川克弘 「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 2008年7月(通巻805)号 pp.145 - 150
**2009年2月号 NEW COMER GUIDE「西武鉄道30000系2輌編成登場」
** 石田敦巳 「西武鉄道の話題 30000系が池袋線でも営業運転開始」 2008年8月(通巻806)号 p.87
** 藤江幸太郎 「西武30000系『スマイルトレイン』ヘッドマーク」 2008年9月(通巻808)号 p.87
** 「鉄道車両年鑑 2008年版」 2008年10月臨時増刊(通巻810)号
* 『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』 [[交友社]]
** 小川克弘 「新車ガイド 平成20年4月26日から営業運転を開始 西武鉄道30000系」 2008年6月(通巻566)号 pp.70 - 73
** 鉄道ファン編集部 「CAR INFO 8+2の10連運用にも対応 西武鉄道30000系 2両編成」 2009年2月(通巻574)号 pp.76 - 77
** 鉄道ファン編集部「CAR INFO 西武鉄道30000系 7次車」2014年3月号(通巻635)号 pp.66 - 67
* 『[[鉄道ジャーナル]]』 鉄道ジャーナル社
** 土屋武之 「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 2008年7月(通巻501)号 pp.32 - 41


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[A-train (日立製作所)]]
{{commonscat|Seibu 30000 series}}
* [[西武スマイルビジョン]]
* [[西武スマイルビジョン]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat|Seibu 30000 series}}
* [http://www.seibu-group.co.jp/railways/smile/zukan/30000/index.html 新型車両30000系「スマイルトレイン」総合リンク](西武鉄道HP)
* [https://www.seiburailway.jp/railway/encyclopedia/30000/ 30000系(スマイルトレイン) :西武鉄道Webサイト]
* [http://www.seibu-group.co.jp/kawara/tetsudo/index.html お客さまに愛される西武鉄道のシンボル 新型通勤車両「30000系」2008年春デビュー](西武鉄道インターネットかわら版)
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/04/30000-1.html 編集長敬白西武鉄道30000系まもなく営業開始。](鉄道ホビダス
* [https://web.archive.org/web/20200616021703/http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/04/30000_1.html 編集長敬白:西武鉄道30000系まもなく営業開始。 - 鉄道ホビダス]
*[http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/12/30000-2.html 編集長敬白スマイルトレインに2編成登場。](鉄道ホビダス
* [https://web.archive.org/web/20200616021704/http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/12/30000_2.html 編集長敬白:「スマイルトレインに2編成登場。 - 鉄道ホビダス]


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2025年1月1日 (水) 15:23時点における最新版

西武30000系電車
Smile Train
西武30000系電車
(2022年7月23日 狭山市駅 - 新狭山駅間)
基本情報
運用者 西武鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
製造年 2008年 - 2016年
製造数 30編成216両(2両×6編成、8両×18編成、10両×6編成)
運用開始 2008年4月26日
主要諸元
編成 2・8・10両編成
軌間 1,067 mm狭軌
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 105 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 2両:283人(座席93人)
8両:1,200人(座席408人)
10両:1506人(座席546人)
車両定員 先頭車:141人(座席45人)[注釈 1]
中間車:153人(座席54人)[注釈 2]
自重 24.7 - 34.1 t
編成重量 2両:64.0 t
8両:238.8 t
10両:295.0 t
全長 20,000 mm
全幅 2,975 mm
全高 4,060 mm[注釈 3]
車体 アルミ合金(A-train)
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
1 - 6次車:SS175M・SS175T
7次車以降:SS175MA・SS175TA
主電動機 1 - 6次車:三相交流かご形誘導電動機 HS32534-15RB
7次車以降:全密閉形三相交流かご形誘導電動機 HS32532-04RB
主電動機出力 165 kW × 4
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
歯車比 6.21 (87:14)
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 日立製作所
・VFI-HR1820A または VFI-HR1420R(1〜6次車)
・VFI-HR2820R(と VFI-HR1421B)(7〜9次車)
・VFI-HR2820U(10次車)
制動装置 回生制動優先全電気指令式電磁直通ブレーキ全電気ブレーキ付) HRDA-1
保安装置 西武形ATS
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西武30000系電車(せいぶ30000けいでんしゃ)は、2008年平成20年)4月26日[1]に営業運転を開始した西武鉄道通勤車両である。

以下、本項においては30000系電車を「本系列」と記述し、また編成単位の記述に際しては各編成の飯能西武新宿方先頭車の車両番号(以下「車番」)をもって編成呼称とする(例:38103編成・32101編成)[2]

概要

[編集]

池袋線新宿線系統において運用される101系・301系電車を代替する目的で[3]2007年(平成19年)度より新製された[1]西武グループにおける統一コーポレートスローガンでかける人を、ほほえむ人へ[4]」に沿った内外装のデザインを特徴とする通勤形電車である[5]愛称は“スマイルトレイン” (Smile Train) [1]

内外装のデザインについては「たまご」をモチーフとし[5]、外観は「生みたてのたまごのようなやさしく、やわらかなふくらみ[5]」を、内装は「温かみのあるやさしい空間[5]」をそれぞれイメージしたものである。また、各部の設計には後述する本系列の設計開発プロジェクトに参加した女性社員の意見を反映し[3]、専門的な視点のみならず利用客視点からの意見・感性を取り入れたものとした[5]。また、西武鉄道の通勤形電車としては初の拡幅車体を採用した他、車内案内表示装置として初めて液晶ディスプレイ (LCD) を採用するなど、数々の新機軸が導入されている[6]

本系列の主にデザイン面における工夫が評価され[7]2009年(平成21年)7月にNPO法人キッズデザイン協議会[注釈 4]より第3回キッズデザイン賞を、本系列の製造を担当した日立製作所とともに鉄道車両としては初めて受賞した[7][注釈 5]

10両編成6本(60両)、8両編成18本(144両)、2両編成6本(12両)の計216両が在籍する。当初計画段階において8両編成12本(96両)・6両編成3本(18両)・2両編成3本(6両)の計120両を新製すると公表された[6][8]が、計画の変更で6両編成の製造は中止となり、代わりに10両編成を導入することとなった。

導入の経緯

[編集]

1999年(平成11年)度より新製が開始された20000系は、2005年(平成17年)度をもって増備を完了し、同年より20000系に代わる次期新型通勤形電車の開発・設計に関する検討が開始された[9]

従来の西武鉄道における新型車両の開発・設計は、車両を専門に扱う部署の社員のみによって行われていた[10]が、次期新型通勤形電車こと本系列の開発当時における西武グループは、2004年(平成16年)の証券取引法違反事件による株式上場廃止に端を発するグループ再編・経営再建の途上にあった[9]。そのような状況下において開発・設計が開始された本系列は西武グループにおける「新生・西武のシンボル」と位置付けられたことから[11]、専門部署以外の社員からの意見もくみ上げるべく様々な部署より社員を募り、男性社員20名で構成されたプロジェクトチームが2005年(平成17年)12月に発足[9]、本系列のデザインコンセプトを「Smile Train〜人にやさしく、みんなの笑顔をつくりだす車両〜[6]」と決定した。

もっとも、プロジェクトチーム発足当初の検討会議においては既成の鉄道車両の概念から離れることができず議論は停滞[9]、当時西武鉄道社長職にあった後藤高志(現・取締役会長)より「女性の感性を取り入れてみたらどうか」との助言を受け[9]、第二回目の検討会議より11名の女性社員が加わった[9]。複数のメーカーが参加して実施されたプレゼンテーションを経て[11]製造メーカーが日立製作所に決定したのち、内装デザインの素案作成については女性社員のみで担当することとなり[12]、検討に際しての参考とするため他社の新型車両を試乗するなどして意見集約を進めた[11][12]

実際に参考とされた他社の車両としては、共に東京メトロ東西線05N系13次車を基にして設計された有楽町線10000系及び東葉高速鉄道2000系[12]JR東日本E233系[12]などが挙げられている。特に座席部の構造および座席間に設置された握り棒(スタンションポール)の配置はJR中央線E233系0番台のものを[12]、車内天井部および車両間連結面の貫通扉部の構造は地下鉄有楽町線10000系のものをそれぞれ踏襲した[12]

構造

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車体

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摩擦攪拌接合 (FSW) 工法によって組み立てられた[1]ダブルスキン構造アルミ合金製構体[10]と、自立型(モジュール構造)の内装を組み合わせた[13]、日立製作所が開発・提唱する鉄道車両「A-train」としての標準的な仕様を有する[14]。構体の主要部材については廃車時のリサイクル性を考慮して単一合金種別 (6N01[15][16]) で統一する「モノアロイ化」を推進し[16]、先頭車前頭部も含めて構体の全てがアルミ合金で構成される[16]

構体の設計に際しては、万一衝突事故が発生した際の安全性確保にも配慮された[16]。先頭車の前面部分については正面衝突時に備えて乗務員および乗客の生存空間確保に配慮した設計を採用し[16]、中間連結面については対向列車との衝突(オフセット衝突)時に備えて妻面隅柱部の強化および隅柱形状の三角形断面(Cカット形状)化が実施されている[16]

前頭部外観(クハ38103)
前頭部外観(クハ38103)
側面外観(モハ38709)
側面外観(モハ38709)

白く塗装された先頭車前頭部を除き[17]、アルミ合金の地肌色を生かした無塗装仕様である[17]。車体長は従来車と同様に先頭車・中間車とも19,500 mm[18]であるが、車体幅については2,930 mmと従来車の2,800 mmと比較して130 mm拡幅し[10]、車両限界抵触を回避するため台枠下端部(車体裾部)を2,800 mm幅とした裾絞り断面形状の構体を、西武鉄道の通勤形電車において初めて採用した[10][注釈 6]。この結果、8連編成同士における編成定員の比較において、20000系の1,140人に対して60人増の1,200人とし、収容力増強が図られた[10]。また、軌条(レール)面からの車両床面高さについては1,135 mmとして20000系4次車以降[注釈 7]の1,150 mmと比較して15 mm縮小[3]、駅プラットホーム(同1,100 mm)と車両床面との段差を狭小化しバリアフリー対策とした[3]

地下鉄乗り入れ運用を考慮しない自社線内専用車両であることから[19]、正面形状は貫通扉(非常扉)のない非貫通構造とした[16]。前頭部は「生みたてのたまごのようなやさしく、やわらかなふくらみ[5]」をデザインモチーフとして曲線を基調に構成され[20]、「たまご」の丸みを帯びたイメージを強調するため前頭部の上端は実際の屋根高さより高く盛り上がった形状となっている[20]。前面窓は異形ガラスによる1枚窓構成で[16]、前面窓内側中央部に発光ダイオード (LED) 式の行先・種別表示器を設置し[16]、前面窓下左側には新たに制定されたコーポレートロゴが、同右側には車番がそれぞれ貼付され[16]、その直下に半円形状のブルーとグリーンのグラデーション帯が入る[16]。グラデーション帯に用いられたブルー・グリーンはいずれも西武鉄道における新たなブランドカラーであり[3][21]、「都市と自然あふれる町並みを結ぶ車両」を表現した[3]。前照灯は西武の伝統[5]である丸型のシールドビームを前面左右腰部に配し[16]、前照灯上部に斜め配置された縦長形状のLED式後部標識灯[16]、前面裾部ならびに前面排障器(スカート)部分における連結器部分の切り欠き形状とが相まって「顔(笑顔)」のような有機的な印象を与えるものとした[22]

側面形状は1,300 mm幅の両開客用扉を1両当たり4箇所備える4扉構造である[18]。窓配置は従来車(4扉車)各系列と同様に先頭車がdD2D2D2D1・中間車が1D2D2D2D1(乗務員扉:d、客用扉:D、各数値は側窓の枚数)であるが[18]、扉間寸法ならびに側窓寸法は日本鉄道車輌工業会が定める標準仕様ガイドラインに従い[1]、扉間寸法は3,520 mm[18]、側窓寸法は扉間1,840 mm(側窓1枚当たり890 mm、窓間柱60 mm)[18]・車端部650 mmとした[1][18][注釈 8]。側窓高さは1,009 mmとし[18]、扉間の側窓は窓間柱によって2分割され、車端部と車椅子スペース設置部分の側窓を除き開閉可能な構造となっている[23]。側面腰部には前面同様にブルーとグリーンのグラデーション帯が入り[24]、側面中央部の幕板部にはLED式の行先・種別表示器を備える[18]

内装

[編集]

壁部は清潔感のある白色系の化粧板を採用[10]、天井部は左右に蛍光灯とラインフロー形状の冷房ダクトを配し[10]、中央部をドーム形状とすることによって最大天井高を従来車よりも150 mm高い2,405 mmとし[10]、開放感のある車内としている[10]。補助送風機であるラインデリアは通常のレール方向(長手方向)ではなく枕木方向(横手方向)に設置され[10][注釈 9]、両脇を鏡面仕上げのステンレス製塞ぎ板で覆っている[25]。その他、蛍光灯の取付角度を工夫してドーム形状部に照明の光が回り込むようにしたことに加え[25]、光を反射する明色系の壁面デコラの採用によって車内の奥行を感じさせない視覚的工夫を施すなど[10]、空間の広がりを感じさせる設計とした[25]。7次車からは蛍光灯に代わり、LED照明を採用することで、消費電力を約30%削減した[26]

座席は脚台を廃した片持ち式[27]ロングシート仕様[18]で、座面高は420 mm、奥行は430 mmとし、1人当たりの掛け幅を460 mmとしたバケットシートが採用された[18]。背ずりの上辺については緩い波型を描く形状とした点が特徴である[12]。この座席は西武鉄道では初の住江工業製である[28]。クッション素材には帝人ファイバー製の高機能ウレタン樹脂(製品名「エルク[29]」)およびSばねを併用し[3]、着座した瞬間の柔らかい掛け心地と長時間の利用でも疲れない硬さを両立させた[3]。座席表皮(モケット)部は肌触りにもこだわった仕様とし[18]火災発生時の有毒ガス発生を抑制するためアラミド配合の難燃ポリエステル材を用いた[18]。モケット色は一般席が座面を無地・背面をチェック模様とした青系モケットを[17]優先席ハートをモチーフとした[17]微笑んだ顔にも見える柄入りのオレンジ系モケットをそれぞれ採用した[12]

座席袖仕切は丸みを帯びた「たまご」形状とし[30]、座席間のスタンションポールは客用扉間の7人掛け部に2本・車端部の3人掛け部に1本それぞれ設置した[12]。優先席部に設置されたスタンションポールについてはオレンジ色の樹脂で覆い[30]、表面には凹凸を設けて視認性と握りやすさに配慮した[30]つり革は「たまご」形デザインと銀イオンによる抗菌加工が施された[30]本系列専用に新規設計されたものであり[30]、一般席部には白色、優先席付近にはオレンジ色のものを設置した[17]。座席上部の荷棚については計画段階において強化ガラス製のものが検討されていたが[25]、清掃の容易性などを考慮してパイプ式のものが採用された[16]。荷棚部分のパイプは断面を楕円形状とし、着座位置からの見通しと荷物の保持性を両立させたものとした[25]。高さは一般席を1,750 mm、優先席部を1,700 mmとし、20000系比で一般部が50 mm低下している。7次車からは荷棚の材質をガラス製に変更、さらに一般部も高さを50 mm下げ[26]、1,700 mmで優先席部と統一された。これら車内のつり手棒・スタンションポール・手すりなどにはヘアライン加工を施し[30]指紋や皮脂汚れが目立たないように配慮されたほか[30]ユニバーサルデザインの一環として従来車よりも設置位置が低くなっており[16][注釈 10]、車端部の荷棚と優先席部のつり革は一般席部と比較してさらに低い位置に設置された[12]

車椅子スペースは、8・10両編成は編成両端の4両に1両当たり1箇所[26][27]、2両編成は飯能・西武新宿方先頭車であるクモハ32100形のみに1箇所[31]それぞれ設置された。同スペースの壁面には非常通報装置が通常よりも低い位置に設置されているほか[18]、西武鉄道に在籍する車両としては初の装備となる車椅子固定用ベルトと壁面ヒーターが設置されている[18]。20000系の一部で採用された収納座席[32]は本系列においては省略された[20]

側面窓ガラスには紫外線 (UV) および赤外線(熱線)を遮断する薄いグリーンに着色されたガラスを採用し[33]、遮光目的ならびに空調効果向上目的でロール式カーテンを併設する[33]

客用扉の室内側には化粧板が貼付されており、扉窓は複層ガラス仕様である[30]。車内外の扉先端部には黄色のマーキングが入るが[9]、同マーキングは注意喚起を目的としたユニバーサルデザインであるとともに[9]、従来の西武鉄道における標準車体塗装であった黄色を伝統として引き継ぐ意味合いを持たせたものである[9]。戸閉装置(ドアエンジン)には戸挟み検知機能に優れ、また従来の空気圧動作式戸閉装置と比較して空気配管が不要となることなどからメンテナンス省力化に寄与する電気式戸閉装置を西武鉄道の車両としては初めて採用し[34]富士電機システムズ[35]リニアモーター式戸閉装置を各客用扉の鴨居部に搭載した[34]。7次車からは東武60000系電車と同じナブテスコ社製の直接駆動モータ(DDM)方式「Rack☆Star」型に変更されている[36]。また、一部のドアを締め切る3/4閉機能が備わっている[34]

車内床部には、雨天時などにも滑りにくく、かつ火災発生時においても有毒ガスを発生させない素材を採用した[5]。車体中心部の通路部分を淡いグレー、通路左右の座席付近を濃いグレー、客用扉(出入口)付近を黄色と3色に区分し[5]、それぞれの区画を視覚的に明示する仕様とした[5]。なお、床材については運行開始後の2010年(平成22年)11月に西武鉄道の内規による火災対策に関する車両構造実施基準を満たしていないことが判明したため[37]、安全性に万全を期すため2012年(平成24年)度末までに本系列ならびに同様の床材を採用した各系列計140両について基準適合品へ交換することが発表された[37]

連結面の車両間貫通路は900 mm幅の貫通扉と、その左右200 mm幅を線入りの強化ガラスにより構成している[18]。視覚的には1,300 mm幅の広幅貫通路となり、車両間の見通しが大きく向上した[12][注釈 11]

また貫通扉には乗客の衝突防止策として「たまご」イラストのステッカーを扉の横手方向に3列貼付した[25]。このイラストの中には1編成に数個の割合で「たまごから小鳥が顔を出すシーン」を混在させ[2]、バリエーションを持たせている[2]

7次車ではイラストのデザインが見直され、歩き出す小鳥のイラストなどが追加される[38]などこれまでより一層バリエーション豊かなものとなり、同時にこのステッカーは透明のベースがついたものに変更された。これに加えてガラスもワイヤーのないものへ変更されている。

車内の様子(1 - 6次車)

車内の様子(7 - 10次車)

案内装置

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前面および側面の車外行先・種別表示器については、いずれも西武鉄道の新製車両として初のフルカラーLED式表示器を採用した[34]。行先・種別ともローマ字併記で表示し[30]、側面の表示器においては行先・種別および号車表記を交互に表示する[30]

車内の旅客案内表示は、こちらも西武鉄道の新製車両としては初のLCD式表示器(S-TVS =Seibu-Train Vision System[39]:通称「西武スマイルビジョン」)によるものとした[30]。客用扉の鴨居部に15インチのディスプレイを2基設置し[30]、向かって右側のディスプレイにおいては行先・種別・停車駅・扉開閉方向・自社および他社局の運行情報などを表示し[30]NTTドコモが提供するFOMA回線を利用して随時最新情報を提供する[30]。向かって左側のディスプレイにおいては動画広告などを表示し[34]、主要駅に設置されたミリ波通信方式の高速無線設備によって配信される情報を提供する[34]。7次車からはディスプレイのサイズが17インチに拡大・変更された[26]。その他、客用扉の開閉と連動して鳴動するドアチャイムを装備するほか[40]、開閉に合わせて赤色LEDが明滅する扉開閉表示灯を客用扉鴨居部の下部に設置した[40]

案内放送装置は自動放送仕様で[34]車内放送については自動音量調整機能を有するほか、客用扉の開扉時に運転台を有する車両(先頭車)同士の連結面において流れる転落防止放送装置を備える[34]

乗務員室

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乗務員室内の配色は20000系と同様に灰色系とし[39]、運転時の広い視界を確保するため運転士の着座位置を若干車体中心寄りに設定した[23]

運転台の主幹制御器(マスター・コントローラー)は力行・制動操作を1つのハンドルで行うワンハンドル式で[23]、20000系において採用された左手操作型ではなく、8500系「レオライナー」ならびに6000系副都心線直通対応改造編成と同様[39]、両手操作型のT字ワンハンドルが採用された[23]。マスコンの指令段数は力行4ノッチ制動8ノッチ(非常制動段含む)仕様で[41]、ノッチ位置の検出方式をロータリーエンコーダによる無接点方式とし[41]後述する列車情報管理装置「S-TIM」を介して加減速制御を行う[41]

速度計などの計器類の表示は、運転台パネルに内蔵されたLCD表示器によるグラスコックピット方式を西武鉄道に在籍する車両として初めて採用し[23]、運転台パネルからアナログ計器が廃された[23]。計3台が搭載されたLCD表示器のうち、通常は左側で保安装置 (ATS) の動作状況ならびに架線電圧計・主回路電流計などを[23]、中央で速度計・圧力計およびマスコンノッチ位置をそれぞれ表示し[23]、右側を「S-TIM」の設定・表示器として使用する[23]

乗務員室と客室を区分する仕切り壁部分に設けられた窓は、客室からの眺望を考慮して運転士着座位置を除いて極力大型化され[20]、客室側より左から大型窓・小型窓・大型窓の3枚の仕切り窓が設置された[20]。大型窓2枚については下端部を車内床面から1,000 mmに設定し[23]、幼児の前面展望を配慮した寸法とした[23]。客室側乗務員扉は右側に設置され[20]、右側の仕切り壁窓は乗務員扉窓を兼ねた構造である[20]

主要機器

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列車情報管理装置

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三菱電機製のS-TIMSeibu-Train Integrated Management system[41]:西武列車情報制御装置[41])と称する列車情報管理装置を採用した[41]。同装置は6000系の副都心線直通対応改造編成において採用された制御伝送装置 (TIS) を発展・改良したもので[41]、力行時および制動動作時に発生する加減速トルクを編成内ユニット単位ではなく編成一括で管理制御する「列車統括制御」を行うことで消費電力削減や乗り心地の向上を図った[41][注釈 12]。その他、マスコン操作による力行・制動指令などの制御伝送を行うほか[41]、搭載機器のモニタリング・サービス機器の操作・車両検修時の車上検査機能などを実装し[41]、主に検修作業の効率化や車体側の配線削減に寄与した[41]

制御装置

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日立製作所製、2レベル方式のIGBT素子によるVVVFインバータ制御を採用。ユニットを組むM1・M5車(8・10両編成)には1C4M2群[注釈 13]の装置を、単独M車であるMc1(2両編成)車、M3車(10両編成)には1C4Mの装置を、各1台搭載する[42]。形式は、6次車まではVFI-HR1820A(2群)・VFI-HR1420R(1群)、7次車から9次車はVFI-HR2820R(2群)・VFI-HR1421B(1群)となる[42]

同制御装置は加減速制御にベクトル制御を採用し[41]全電気ブレーキならびに定速度制御抑速制動)機能が実装されたほか[41]後述するPGセンサレス型の主電動機の制御に対応した演算機能を有する[41]。また、スペクトラム拡散により周波数を調整することによって磁励音の静粛化を図った[41]。素子の冷却には従来のフロン冷却方式に代わって純水によるヒートパイプ冷却方式を採用[41]、環境に配慮した設計とした[41]。7次車では新方式の制御装置を採用しており、それまでの車両よりも消費電力を約10 %削減[38][43]、また小型化され、外観も違いがみられる[42]

なお、営業運転開始後の2009年(平成21年)1月に主回路ヒューズが劣化し断線したことによって起動不能となる車両故障が発生したため[44]、本系列全車両を対象として主回路ヒューズの容量を従来の1,400Aから1,800Aに変更、過電流発生の抑制ならびに溶断防止対策を実施して再発防止を図った[44]

38118編成のみ、主回路蓄電池(SBL-L4208B)をT2に2台搭載、制御装置もVFI-HR2820Uとなる[42]

主電動機

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1 - 6次車は日立製作所製の三相交流かご形誘導電動機EFO-K60(HS32534-15RB)[42]を、7次車は全密閉形のTFO-K60(HS32532-04RB)[42]を電動車1両当たり4基搭載する。誘導電動機そのものは6000系などにおいて既に数多くの導入実績を有するが、HS32534-15RB主電動機は電動機軸端に設置される速度センサ(Pulse Generator Sensor:PGセンサ)を省略し[45]、各巻線電流の大きさと位相から回転トルクおよび回転数を推定するPGセンサレス型の主電動機であり、西武鉄道においては初の採用例となった[45]。本系列においては拡幅車体の採用に伴って編成重量が増加したことに加え[45]運転曲線に対して性能上の余裕を確保する目的から[45]、定格出力は165 kW(端子電圧1,100 V、電流113 A〈1 - 6次車〉/106 A〈7次車〉、定格回転数1,825 rpm〈1 - 6次車〉 / 1830 rpm〈7次車〉)とし[26][45]、20000系において採用された誘導電動機HS32530-03RB(定格出力135kW・日立製作所製)と比較して約1.2倍の出力向上が図られ、西武鉄道における旅客用車両向け主電動機としては歴代最大の出力特性を有する[20][注釈 14]。駆動方式はWN駆動[45]歯車比は6.21 (87:14) である[45]

台車

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住友金属工業製のモノリンク型軸箱支持方式[23]ボルスタレス台車SS175M(動力台車)・SS175T(付随台車)を採用し[23]、前者は制御電動車・電動車が、後者は制御車・付随車が装着する[23][46]。基本的な仕様は20000系が装着するSS150A・SS050A台車と同様であるが、台車枠強度の強化ならびに製造工程におけるロボット溶接率の向上によって製造品質の向上が図られた[23]。その他、曲線走行時における安定性向上目的で、台車枠左右に設置される高さ自動調整弁 (Leveling Valve : LV) の取付位置変更が実施されたほか[23]枕ばねである空気ばねの特性を従来の等方向特性から[23]前後方向の剛性を柔化した異方向特性に改良した[23]。7次車からは輪重調整機構が付いた新日鐵住金[38]のSS175MA(動力台車)・SS175TA(付随台車)に変更されている[26]。各台車とも固定軸間距離は2,100mm[18]、車輪径860mm[18]軸受部の構造は鞍型コロ軸受仕様である[20]

制動装置

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ナブテスコ製の回生制動優先全電気指令式電磁直通ブレーキHRDA-1である[27]。ブレーキ制御はON/OFF制御弁からの各軸個別制御方式を採用し[27]、前述したS-TIMと連携して編成全体の制動力を総括して制御することによって回生制動の有効活用を行う[27][注釈 12]。ブレーキ制御装置は1両当たり2基、各台車ごとに用意され[27]、従来の1両当たり1基搭載と比較して空気配管が短縮されたことによる制動応答性の向上ならびに制動操作時における空走時間の短縮[27]、さらに台車ごとに制動力の演算を行うことで適切な制動力を確保可能とするなど保安性の向上が図られた[27]

集電装置

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東洋電機製造製のシングルアーム式パンタグラフPT7116-Bを採用した[45]。8・10両編成ではM1・M3・M5車に各1基搭載[42]、編成内のパンタグラフは母線引き通しによって電気的に接続される。2両編成ではMc1車に2基搭載となる[42]

補助機器類

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補助電源装置は三菱電機製の静止形インバータ (SIV) をM2・M6(8・10両編成)、Tc2‘(2両編成)に各1台搭載する[42]。8両編成は220kVAのNC-IAT220A、10両編成は250kVAのNC-IAT250Aがそれぞれ編成あたり2台、2両編成では110kVAのNC-IAT110Aが編成あたり1台となる。主回路素子に新形の3レベル式IGBT素子「CSTBT」を採用し[47]スイッチング損失の低減を図った[47]。素子の冷却には冷却フィンによる自然空冷方式を採用[47]、代替フロンなどの冷媒を廃し、環境へ配慮するとともに事故発生時などにおける破損対策を施した設計となっている[47]。出力電圧は三相交流440 V。

電動空気圧縮機 (CP) は三菱電機製の装置をM2・M6・Tc2‘に各1台搭載する[42]。8・10両編成では1600 L/minのMBU1600Y-3A[注釈 15]が編成で2台、2両編成では1000 L/minのMBU1100Y-3A[注釈 16]が編成で1台となる。圧縮機構はスクロール式で、圧縮機のほか起動回路・除湿装置・アフタークーラーを一体箱に収納した構造となっている点が特徴である[47]。また、1基のCPの内部は3台の圧縮ユニットで構成され[47]、うち1ユニットが故障した際にも運転継続を可能とするよう冗長性を担保した[47]

冷房装置は三菱電機製の集中式CU723[45]を1両当たり1基、屋根上に搭載する[45]。同冷房装置はS-TIMによる全自動空調モードで運転することを前提に設計され[47]、各車車内の室温湿度乗車率ならびにS-TIMに実装されるカレンダー情報によって季節状況も加味し[47]、暖房・冷房・除湿・ラインデリアによる送風のうち最適な運転モードが自動的に選択される[47]冷房能力は58.1 kW (50,000 kcal/h) と従来車の42,000 kcal/hと比較して1.2倍に増強し[47]、混雑時における冷房性能を向上させた[47]。また同冷房装置は外気導入機能を備え[47]、優等列車運用時において長時間扉の開閉がない状態であっても車内が酸素不足に陥らないよう配慮された[47]

連結器は、先頭車の前頭部寄りのみ回り子式密着連結器を採用し[34]、中間連結部分はボルト固定による半永久連結器が採用された[34]。各先頭車の連結器直下には、編成同士の連結・解放を速やかに行う目的で自動連結・解放機能付の電気連結器が設置されている[16]。なお、10両編成では電気連結器は省略されている[38]

その他、Tc1・Tc2・T1(8・10両編成)およびT2(10両編成)、Mc1(2両編成)の床下には非常ハシゴが搭載されている。

運用

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「西武・電車フェスタ2009 in 武蔵丘検修場」において臨時電車として運用された38105編成。 (武蔵丘車両検修場・2009年6月)
「西武・電車フェスタ2009 in 武蔵丘検修場」において臨時電車として運用された38105編成。
(武蔵丘車両検修場・2009年6月)
2014年度増備車の10両固定編成(30103編成)前面のロゴマークが省略されている。 (武蔵藤沢・2014年11月)
2014年度増備車の10両固定編成(30103編成)前面のロゴマークが省略されている。
武蔵藤沢・2014年11月)

導入まで

本系列の落成・運用開始に先立って数々のイベントが実施され、2007年(平成19年)6月10日[48]に開催された「西武・電車フェスタ2007 in 武蔵丘車両検修場」において本系列の概要が一般公開されたほか[48]、吊り下げ型の立体模型の展示が実施された。さらに同年9月1日から同月15日にかけて[49]、前述「西武・電車フェスタ2007 in 武蔵丘車両検修場」など各種イベントにおいて子供を対象として募集した「30000系:スマイルトレインぬり絵」のうち約500枚を、池袋線および新宿線を走行する電車のうち10両編成各1編成ずつ[49][注釈 17]の車内中吊り広告スペースに展示し、「30000系ぬり絵号」として運行した[49]

2007年度(平成19年度)に8両編成3本が落成し、2008年1月から3月にかけて日立製作所笠戸事業所から順次甲種輸送された[50][51]。3編成とも2008年3月21日付で入籍、38101・38102編成は新宿線、38103編成は池袋線へ配属された[52]

新宿線は2008年4月26日[53]、池袋線では同年5月27日[54]に営業運転を開始した。4月26日には西武新宿駅において出発式が開催され、10時36分発の急行本川越行が初の営業列車となった[22]。また、同駅においては記念乗車券や各種グッズが限定発売された[22]

営業運転開始に先立ち、2008年3月27日には株主向けの試乗会が新宿線で実施され[55]、38101編成が充当された[56]ほか、同月29日には小手指車両基地においてデビュー記念イベントが開催され[57]、38101 - 38103編成が車両展示・車内内覧・床下見学に各1編成ずつ充当、その他本系列の完成までの歩みを掲載したポスターが展示された[57]。営業運転開始後も、2008年5月11日の母の日にあわせて運行された特別列車[58]や、同年の武蔵丘車両検修場[59]南入曽車両基地[60]横瀬車両基地[61]の公開イベント来場者向け臨時列車、同年11月23日の埼玉西武ライオンズファン感謝イベントにあわせて運行された特別列車[62]など、各種臨時列車にも優先的に充当された。

本系列は西武鉄道におけるイメージリーダーとして[8]各種宣伝媒体および公式コンテンツに数多く登用されているほか[注釈 18]2012年(平成24年)には西武鉄道が創立100周年を迎えるにあたって制定された100周年記念ロゴのモチーフにも用いられた[63]。また同記念企画の一環として、西武鉄道が保有するプロ野球チーム・埼玉西武ライオンズが中学生以下を対象に一般公募した100周年記念ユニフォームデザイン案[64]のうち、選考の結果本系列の外装色を模したデザイン案が採用された[64][65][注釈 19]

車両の年次別分類[42]
  10両編成 8両編成 6両編成 2両編成 主な仕様変更
製造年次 1次車 (2007年度製)   38101 - 38103編成
3本・計24両
     
2次車 (2008年度製)   38104・38105編成
2本・計16両
  32101 - 32103編成
3本・計6両
前面グラデーション変更[66]
3次車 (2009年度製)   38106・38107編成
2本・計16両
     
4次車 (2010年度製)   38108・38109編成
2本・計16両
    側面帯の「SEIBU」ロゴ廃止
5次車 (2011年度製)   38110・38111編成
2本・計16両
     
6次車 (2012年度製)   38112 - 38114編成
3本・計24両
  32104 - 32106編成
3本・計6両
 
7次車 (2013年度製) 30101 - 30102編成
2本・計20両
38115編成
1本・計8両
    室内灯LED化,荷棚のガラス化,走行機器変更
8次車 (2014年度製) 30103 - 30104編成
2本・計20両
38116編成
1本・計8両
    前面コーポレートロゴ廃止
側面コーポレートロゴの社名表記を「西武鉄道」へ[注釈 20]
9次車 (2015年度製) 30105 - 30106編成
2本・計20両
38117編成
1本・計8両
   
10次車 (2016年度製)   38118編成
1本・計8両
     
当初計画時の導入予定本数[6] 0本 12本 3本 3本  
2017年4月現在の導入本数 6本 18本 0本 6本  

改造工事

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  • 前照灯の白色LED化(2019年度)
    • コイト電工の多灯式タイプで、2019年6月に30103・30101・38118編成に施工した後、12月から1月にかけて残る全編成に施工された。20000系と並行して実施。
    • なお、これより前に一部編成で別形態のLED前照灯が試験的に使用されていた。
      • コイト2灯式(白色):30101・30102編成(2014年7月 - 2016年9月)
      • コイト多灯式(電球色):30101編成(2016年9月 - 2019年6月)
      • 森尾16粒小型(白色):30104編成(2016年4月 - 2017年4月)
コイト2灯式タイプ ロービームでは外側が点灯する。40000系0番台に採用された。 コイト2灯式タイプ ロービームでは外側が点灯する。40000系0番台に採用された。
コイト2灯式タイプ
ロービームでは外側が点灯する。40000系0番台に採用された。
森尾16粒タイプ ロービームでは上半分が点灯する。東急5050系等と類似する。 森尾16粒タイプ ロービームでは上半分が点灯する。東急5050系等と類似する。
森尾16粒タイプ
ロービームでは上半分が点灯する。東急5050系等と類似する。
コイト多灯式タイプ(電球色) ロービームでは中央の1列が点灯する。本採用された白色と同一形状。 コイト多灯式タイプ(電球色) ロービームでは中央の1列が点灯する。本採用された白色と同一形状。
コイト多灯式タイプ(電球色)
ロービームでは中央の1列が点灯する。本採用された白色と同一形状。
  • 室内灯LED化(2016年度頃)
    • それまで蛍光灯を使用していた6次車以前の車両において実施された。蛍光灯と互換性のある直管式が用いられており、当初からLEDを採用する7次車とは外観が異なる。
2in1タイプ17インチワイドLCD(40000系同等品)
2in1タイプ17インチワイドLCD(40000系同等品)
  • スマイルビジョン更新(2018年 - )
    • それまで15インチLCDを使用していた6次車以前の車両において、17インチワイドLCDへの交換が実施されている。40000系と同等の2in1タイプが採用された。
  • 列車無線装置の更新[注釈 21](2018 - 2019年度)
  • 車内防犯カメラの設置[注釈 21](2024年度)
    • ドア直前の千鳥配置。1-6次車と7次車以降で取り付け方法が異なる。

編成表

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  • 車両番号は2021年4月1日現在[67]
 2両編成[42]
 

池袋
号車(基本組成時) 1 2
形式 < >
クモハ32100
(Mc1)
 
クハ32200
(Tc2‘)
搭載機器 VVVF1,BT SIV,CP
車内設備 ♿︎,女性専用車  
自重(~6次車) 34.4t 29.6t
車両番号 32101

32106
32201

32206
 8両編成[42]
 

号車(単独運用時) 1 2 3 4 5 6 7 8
形式  
クハ38100
(Tc1)
<  
モハ38200
(M1)
 
モハ38300
(M2)
 
サハ38400
(T1)
 
サハ38500
(T3)
<  
モハ38600
(M5)
 
モハ38700
(M6)
 
クハ38800
(Tc2)
搭載機器   VVVF2 SIV,CP BT   VVVF2 SIV,CP BT
車内設備 ♿︎ ♿︎,弱冷房車         ♿︎ ♿︎
自重(~6次車) 26.5t 33.9t 33.5t 25.9t 25.0t 33.8t 33.3t 26.9t
自重(7次車~) 26.1t 34.1t 33.5t 25.4t 24.5t 34.3t 33.4t 26.6t
車両番号 38101

38118
38201

38218
38301

38318
38401

38418
38501

38518
38601

38618
38701

38718
38801

38818
  • サハ38418は主回路蓄電池搭載[42](現在は撤去済)
 10両編成[42]
 
池袋

号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式  
クハ30100
(Tc1)
<  
モハ30200
(M1)
 
モハ30300
(M2)
 
サハ30400
(T1)
<  
モハ30500
(M3)
 
サハ30600
(T2)
 
サハ30700
(T3)
<  
モハ30800
(M5)
 
モハ30900
(M6)
 
クハ30000
(Tc2)
搭載機器   VVVF2 SIV,CP BT VVVF1     VVVF2 SIV,CP BT
車内設備 ♿︎,女性専用車 ♿︎,弱冷房車             ♿︎ ♿︎
自重(7次車~) 26.0t 34.1t 33.6t 25.4t 32.7t 24.7t 24.5t 34.3t 33.4t 26.6t
車両番号 30101

30106
30201

30206
30301

30306
30401

30406
30501

30506
30601

30606
30701

30706
30801

30806
30901

30906
30001

30006
凡例

所属

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2023年4月1日時点[68]

  • 池袋線(武蔵丘車両基地)
    • 8両編成 - 9本・72両(38103・38105・38107・38108・38109・38111 - 38114編成)
    • 2両編成 - 6本・12両(32101 - 32106編成)
  • 新宿線
    • 10両編成(玉川上水車両基地) - 6本・60両(30101 - 30106編成)
    • 8両編成(南入曽車両基地) - 9本・72両(38101・38102・38104・38106・38110・38115 - 38118編成)

本系列の車番付番基準は6000系以降において採用されたものに準じているが[2]、新たに千位において編成両数を表すものとし、万位が系列称号の"3"、千位が編成両数(2両編成は"2"、8両編成は"8"、10両編成は"0")、百位が編成内連結順序(飯能・西武球場前・西武新宿方から何両目かを表す。10両目の場合は"0")、下二桁で製造順序を表している[2][注釈 22]

特別装飾編成

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ワタナベナオミトレイン
「SEIBU HALLOWEEN 2016」の一環として、2016年10月11日から31日まで運行。カボチャ、魔女、ウサギ、および本系列に変身した渡辺直美のラッピングが施された[69]
ぐでたまスマイルトレイン
2018年3月5日から12月末まで、池袋線の38105編成で運行。本系列の就役10周年とぐでたま誕生5周年を記念して実施された[70][71]。側面は黄色地の全面ラッピングに銀色のドアという「黄色い電車」を彷彿とさせるデザイン。中央2つのドアはグラデーションの帯が入っていたが、灰色のラッピングで隠されている。前面のデザインは前後で異なり、飯能方に「ぎゅでちゃま」、池袋方に「ぐでたま」が描かれた。池袋線では10両編成で運転されることもあり、その際は「ぎゅでちゃま」が隠れる格好となっていた。
コウペンちゃんはなまるトレイン
2020年3月23日から2021年2月末まで、池袋線の38113編成で運行。2019年3月まで40000系で運転されていたものと異なり、薄緑色の全面ラッピングとされている。ドア部分は銀色で、前述の「ぐでたまスマイルトレイン」と同様の処理がなされた。こちらも前面のデザインが前後で異なっている。前述の40000系のラッピングでも同様のHMが装着されていたが、これとは前後の配置が逆転している。
DORAEMON-GO!(ドラえもん号)
2020年10月8日から2024年9月20日まで、新宿線の38101編成で運行[72][73]。ドアを含めて水色の全面ラッピングが行われた。無地のドアと「ドラえもん」に見立てたドアが交互に並ぶ[注釈 23]。2021年と2022年、いずれも10月から12月の間、期間限定で池袋線で運行された。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 車椅子スペースのない車両は142人(座席48人)。
  2. ^ 車椅子スペースのある車両は座席定員51人。
  3. ^ パンタグラフ折り畳み高さは4,172mm。
  4. ^ 特定非営利活動法人キッズデザイン協議会 | キッズデザインとは、次世代を担う子どもたちの健やかな成長発達につながる社会環境の創出のために、デザインのチカラを役立てようとする考え方であり、活動です。 「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」。この3つのデザインミッションのもと、成り立っています。”. kidsdesign.jp. 2021年4月7日閲覧。
  5. ^ その他、鉄道友の会が主催するローレル賞において2009年(平成21年)度の受賞候補となったものの、最終選考において落選した。
  6. ^ 西武鉄道が保有する鉄道車両における裾絞り車体の初採用例は1969年(昭和44年)に新製された特急形車両5000系(レッドアロー)である。
  7. ^ 20000系20102 - 20108編成および20157・20158編成。
  8. ^ 20000系においては扉間寸法3,620 mm・扉間側窓1,890 mm(側窓1枚当たり915 mm、窓間柱60 mm)・車端部側窓625 mmとされていた。
  9. ^ 1両当たり先頭車に7基、中間車に8基搭載する。
  10. ^ 吊り手高さは30mm低い1,600mm、荷棚高さは50mm低い1,750mmとした。
  11. ^ 貫通幌内における最大寸法は1,480mmである。
  12. ^ a b 同機能は他編成との連結運転時にも作用し、自編成・他編成を同一編成として全体で加速力および制動力を適正に配分する。
  13. ^ 1つの回路で4基の主電動機を制御する(1C4Mの)ユニットを装置内に2群収める。
  14. ^ 6000系において採用された定格出力155kWの誘導電動機HS-32534-03RBおよびHS-32534-06RB(ともに日立製作所製)が、本系列導入以前における西武鉄道の旅客用車両向け主電動機として最大出力を備える機種であった。なお、旅客用車両以外を含めた場合1996年(平成8年)まで在籍した電気機関車であるE851形電機が搭載した直流直巻電動機MB-428-AVR(三菱電機製)の一時間定格出力425kWが最大出力となる。
  15. ^ 当初はサフィックス"A"なし
  16. ^ 当初はサフィックス"A"なし
  17. ^ 6000系6155編成(池袋線)ならびに6101編成(新宿線)。
  18. ^ 子供向けコンテンツ「Go!Go!スマイルトレイン」など。
  19. ^ 4000系とスマイルトレインユニフォーム」と題された同ユニフォームは、同年8月および9月の西武ドームにおける埼玉西武ライオンズ主催公式戦・計8試合において着用された。
  20. ^ のちに7次車以前の車両でも順次前面コーポレートロゴが撤去されたほか、側面社名表記も「SEIBU」から「西武鉄道」に貼り替えられた。
  21. ^ a b 西武全体で実施。
  22. ^ 東武鉄道における5桁系列通勤車の付番基準と類似しているが、本系列においては千位・百位の位置付けが東武の付番基準とは逆転している。
  23. ^ ただし8号車は配置が逆転しており、7 - 8号車間では「ドラえもん」のドアが並ぶ形となる。

出典

[編集]
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  72. ^ 未来に向かって出発進行!〜ドラえもん50周年記念〜「DORAEMON-GO!」運行開始!!(西武鉄道)
  73. ^ ラッピング電車「DORAEMON ー GO!」運行終了のお知らせ”. 2024年11月20日閲覧。

参考文献

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  • 鉄道ダイヤ情報交通新聞社
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2008年1月1日 - 3月31日」 2008年7月(通巻291)号 pp.124 - 126
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2008年10月1日 - 12月31日」 2009年4月(通巻300)号 pp.131 - 133
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2009年10月1日 - 12月31日」 2010年4月(通巻312)号 pp.126 - 128
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2010年4月1日 - 6月30日」 2010年10月(通巻318)号 pp.122 - 124
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2010年7月1日 - 9月30日」 2011年1月(通巻321)号 pp.125 - 127
    • 楠居利彦 「2011年西武電車最新ガイド」 2011年2月(通巻322)号 pp.7 - 35・54 - 57
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2011年10月1日 - 12月31日」 2012年4月(通巻336)号 pp.126 - 128
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2012年7月1日 - 9月30日」 2013年1月(通巻345)号 pp.125 - 127
    • 「私鉄DATAFILE 私鉄車両のうごき 2012年10月1日 - 12月31日」 2013年4月(通巻348)号 pp.126 - 128
  • Rail Magazineネコ・パブリッシング
    • 小川克弘 「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系」 2008年6月(通巻298)号 pp.103 - 107
    • 箭内忠幸 「西武鉄道の話題」 2008年6月(通巻298)号 p.156
    • RM編集部 「NEW COMER GUIDE 西武鉄道30000系2輌編成登場」 2009年2月(通巻305)号 pp.118 - 119
  • 鉄道ピクトリアル鉄道図書刊行会
    • 小川克弘 「New model -女性の意見も取り入れた新生西武の象徴"スマイルトレイン"- 西武鉄道30000系」 2008年7月(通巻805)号 pp.145 - 150
    • 石田敦巳 「西武鉄道の話題 30000系が池袋線でも営業運転開始」 2008年8月(通巻806)号 p.87
    • 藤江幸太郎 「西武30000系『スマイルトレイン』ヘッドマーク」 2008年9月(通巻808)号 p.87
    • 「鉄道車両年鑑 2008年版」 2008年10月臨時増刊(通巻810)号
  • 鉄道ファン交友社
    • 小川克弘 「新車ガイド 平成20年4月26日から営業運転を開始 西武鉄道30000系」 2008年6月(通巻566)号 pp.70 - 73
    • 鉄道ファン編集部 「CAR INFO 8+2の10連運用にも対応 西武鉄道30000系 2両編成」 2009年2月(通巻574)号 pp.76 - 77
    • 鉄道ファン編集部「CAR INFO 西武鉄道30000系 7次車」2014年3月号(通巻635)号 pp.66 - 67
  • 鉄道ジャーナル』 鉄道ジャーナル社
    • 土屋武之 「心なごむ 西武のまーるい電車 SMILE TRAIN」 2008年7月(通巻501)号 pp.32 - 41

関連項目

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外部リンク

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