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「常磐緩行線」の版間の差分

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常磐線の運転系統が複雑になっている一因に[[茨城県]][[石岡市]]柿岡の[[気象庁地磁気観測所]]の存在がある。取手駅以北の[[直流電化]]は現時点では課題が多く<!--ノート参照-->、中電・通勤電車の車両統合ができていない。このため民営化後になって、快速線に交直両用の[[通勤形電車|通勤形]]である[[JR東日本E501系電車|E501系電車]](上野口での運用終了)、後に[[JR東日本E531系電車|E531系電車]]を投入するなどの施策を打った。なお[[Suica]]と[[PASMO]]の相互利用開始に伴い西日暮里経由の割高運賃問題についても多少は解決される見込みである。
常磐線の運転系統が複雑になっている一因に[[茨城県]][[石岡市]]柿岡の[[気象庁地磁気観測所]]の存在がある。取手駅以北の[[直流電化]]は現時点では課題が多く<!--ノート参照-->、中電・通勤電車の車両統合ができていない。このため民営化後になって、快速線に交直両用の[[通勤形電車|通勤形]]である[[JR東日本E501系電車|E501系電車]](上野口での運用終了)、後に[[JR東日本E531系電車|E531系電車]]を投入するなどの施策を打った。なお[[Suica]]と[[PASMO]]の相互利用開始に伴い西日暮里経由の割高運賃問題についても多少は解決される見込みである。


== 他線との接続 ==
== 緩急接続 ==
=== 常磐快速線乗換 ===
{{独自研究}}
{{独自研究}}
線路別複々線であり、ダイヤも独立していることから、通勤ラッシュ時以外での接続についはよとはいえないが、2006年3月18日のダイヤ改正では、松戸駅・柏駅で各駅停車と[[特別快速]]との接続を図るダイヤに変更されている具体的に、松戸駅では下りは特別快速→各駅停車、上りは各駅停車→特別快速へ2 - 3分で接続する乗り換えが可能になっている。一方、上り特別快速→各駅停車、下り各駅停車→特別快速の乗り換えは9分ほどである。柏駅では下りが各駅停車→特別快速、上りは特別快速→各駅停車へ2 - 3分で接続する。一方、下り特別快速→各駅停車、上り各駅停車→上り特別快速へは9分ほどの接続となっている。
線路別複々線でダイヤも独立していることから、通勤ラッシュ時以外での接続はあまり考慮されていないが、2006年3月18日のダイヤ改正では、松戸駅・柏駅で各駅停車と[[特別快速]]との接続を図るダイヤに変更され。松戸駅では下りは特別快速→各駅停車、上りは各駅停車→特別快速へ2 - 3分で接続する乗り換えが可能になっている。柏駅では下りが各駅停車→特別快速、上りは特別快速→各駅停車へ2 - 3分で接続する。
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=== 武蔵野線乗換 ===
=== 武蔵野線乗換 ===
{{独自研究}}
{{独自研究}}
新松戸駅で接続する武蔵野線についても、接続の悪さが指摘され続けてきた。昼間は常磐線各駅停車・武蔵野線とも12分毎での運転だが、一方の到着とほぼ同時(厳密には、1分差があった)にもう一方が発車するというダイヤのために接続が全く図られていなかった。しかし、2006年3月18日の改正でこの点も若干改善された。具体的には常磐線側を上りを1分ずつ早く、下りを1分ずつ遅く(それぞれ12分毎に運転の時間帯のみ、全区間で同様の措置が取られた)して乗り継げるようになっている(常磐線各駅停車上り→武蔵野線下りと、武蔵野線下り→常磐線下りの乗り換えがこれに該当する。また、武蔵野線上り→常磐線上りも約2 - 3分の乗り換えとなっている)。ただし、これでも上記の逆の場合の乗り換えは最大10分を要するものがあり、根本的な解決には程遠い。なお、このダイヤ改正の効果は実質平日日中のみである(近年、土休日の武蔵野線は10分間隔での運転のため、現状のダイヤではどう動かしても必ずズレが生じる)ため、土休日やそれ以外の時間帯の接続は相変わらず非常に悪いままである。特に、平日夕方16時 - 17時台と夜間は、両線とも本数が少ない上に、同時発着や接続1 - 2分の電車が多いために、ドアが開くと同時に乗客は走っての乗り換えとなり、[[階段]]、[[エスカレータ]]付近は両線の乗り換え客が錯綜する。特に両線の乗り換え階段は上り、下りを分ける手すりがないため、両線が同時に到着した際には、階段を上る利用客(常磐線→武蔵野線)と階段を下りる利用客(武蔵野線→常磐線)で大混雑し、利用客同士が衝突したりなどのトラブルが発生しやすく危険な状態が続いている。また、同時発着の場合、両線は[[駆け込み乗車]]となりやすく、電車の停車時間増大に伴う遅延もしばしば発生している。なお、2008年2月時点では武蔵野線下り(西船橋方面)の常磐線乗り換え階段付近でエレベーターの設置工事を施工している関係で狭くなっている箇所がある。
新松戸駅で接続する武蔵野線についても、接続の悪さが指摘され続けてきた。昼間は常磐線各駅停車・武蔵野線とも12分毎での運転だが、一方の到着とほぼ同時(厳密には、1分差があった)にもう一方が発車するというダイヤのために接続が全く図られていなかった。しかし、2006年3月18日の改正でこの点も若干改善された。具体的には常磐線側を上りを1分ずつ早く、下りを1分ずつ遅く(それぞれ12分毎に運転の時間帯のみ、全区間で同様の措置が取られた)して乗り継げるようになっている(常磐線各駅停車上り→武蔵野線下りと、武蔵野線下り→常磐線下りの乗り換えがこれに該当する。また、武蔵野線上り→常磐線上りも約2 - 3分の乗り換えとなっている)。ただし、これでも上記の逆の場合の乗り換えは最大10分を要するものがあり、根本的な解決には程遠い。なお、このダイヤ改正の効果は実質平日日中のみである(近年、土休日の武蔵野線は10分間隔での運転のため、現状のダイヤではどう動かしても必ずズレが生じる)ため、土休日やそれ以外の時間帯の接続は相変わらず非常に悪いままである。特に、平日夕方16時 - 17時台と夜間は、両線とも本数が少ない上に、同時発着や接続1 - 2分の電車が多いために、ドアが開くと同時に乗客は走っての乗り換えとなり、[[階段]]、[[エスカレータ]]付近は両線の乗り換え客が錯綜する。特に両線の乗り換え階段は上り、下りを分ける手すりがないため、両線が同時に到着した際には、階段を上る利用客(常磐線→武蔵野線)と階段を下りる利用客(武蔵野線→常磐線)で大混雑し、利用客同士が衝突したりなどのトラブルが発生しやすく危険な状態が続いている。また、同時発着の場合、両線は[[駆け込み乗車]]となりやすく、電車の停車時間増大に伴う遅延もしばしば発生している。なお、2008年2月時点では武蔵野線下り(西船橋方面)の常磐線乗り換え階段付近でエレベーターの設置工事を施工している関係で狭くなっている箇所がある。
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=== 所要時間 ===
=== 所要時間 ===
取手 - 柏間が約12分(快速とほとんど変わらない)、柏 - 松戸間が約14分、松戸 - 北千住間が約12分(松戸 - 綾瀬間は約9分)であり、柏 - 松戸で約5分、松戸 - 北千住間で約4分快速より時間を要する(ただし、時間調整などによる停車は除外)
取手 - 柏間が約12分(快速とほとんど変わらない)、柏 - 松戸間が約14分、松戸 - 北千住間が約12分(松戸 - 綾瀬間は約9分)であり、柏 - 松戸で約5分、松戸 - 北千住間で約4分快速より時間を要することが多い


==== 始発・最終電車 ====
=== 始発・最終電車 ===
例外的に早朝・深夜に北千住駅発着の電車が1往復ずつ運行されているが、このうち早朝の上り1本と深夜の下り1本については、[[日本国有鉄道]](国鉄常磐線と営団地下鉄千代田線の相互直通運転開始前から運行されていた、松戸発上野行各駅停車の始発と上野発松戸行各駅停車の終電が直通運転開始により[[快速列車|快速]]化されることにより、通過駅となる綾瀬・亀有・金町3駅で[[始発]]時刻の繰り下げ・[[終電]]時刻の繰上げが発生するのを防ぐために設定された運用である<ref>営団地下鉄千代田線建設史</ref>。このため、いずれの電車も北千住駅で上野発着の快速電車に接続しており、[[車内放送]]でその旨のアナウンスもなされている。
例外的に早朝・深夜に北千住駅発着の電車が1往復ずつ運行されているが、このうち早朝の上り1本と深夜の下り1本については、[[日本国有鉄道|国鉄]]常磐線と営団地下鉄千代田線の相互直通運転開始前に確保されていた利便性が直通運転開始によって損なわれないよう配慮して設定されたものである。直通運転開始前の始発電車は松戸発上野行各駅停車で、終電は上野発松戸行各駅停車であった。しかし直通運転開始により上野発着列車は[[快速列車|快速]]化されるためそのままでは通過駅となる綾瀬・亀有・金町3駅で[[始発]]時刻の繰り下げ・[[終電]]時刻の繰上げが発生してしまう。これを防ぐために設定されたのが上記の列車である<ref>{{cite book
|和書
|title=営団地下鉄千代田線建設史
|publisher=帝都高速度交通営団
}}</ref>。このため、いずれの電車も北千住駅で上野発着の快速電車に接続しており、[[車内放送]]でその旨のアナウンスもなされている。


== 駅一覧 ==
== 駅一覧 ==

2009年2月15日 (日) 10:02時点における版

常磐緩行線(じょうばんかんこうせん)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)常磐線複々線区間(綾瀬駅北千住駅) - 取手駅)間における緩行線である。

常磐線各駅停車に運用される203系

概要

同区間の運転系統の案内上の呼称でもあるが、一般には「常磐線各駅停車」が使われている。

元々は上野駅 - 取手駅間を運転していたが、複々線化に際して帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現・東京地下鉄(東京メトロ))千代田線と直通運転を行う現在の形態となった(後述)。また、東京地下鉄所有の車両を使用した一部列車は千代田線を介して、小田急電鉄小田原線多摩線まで直通している。

東京都区内のJR線としては唯一都心(山手線)に至らない[1]ため、快速線の支線のような役割の路線であるが、直通先の千代田線が都心部まで直結していることや快速停車駅での連絡性の悪さもあって長区間利用する乗客も少なくない。また、千代田線の北千住 - 西日暮里を経由しJR線に乗り継ぐ場合に通過連絡運輸の特例も設定されている(後述)。

なお、小田急電鉄のダイヤ改正に伴ってJR東日本のダイヤ改正時以外に運行時刻の変更が行われることがままあるが、運用や行先の変更が主で、線内での時刻変更は基本的にない。

運行

早朝から朝方、夕方から夜と深夜に一部だけある線内のみ運用の列車を除き、すべての列車が東京地下鉄千代田線に、さらに一部の列車は小田急小田原線経由で小田急多摩線唐木田駅まで直通運転する。実態としては千代田線とほぼ一体化した運転系統を形成している。3社に跨る列車は、平日朝の小田急側からの2本が急行である以外はすべて多摩急行である。相模大野駅本厚木駅発着の列車は、2007年平成19年)3月現在は東京地下鉄綾瀬駅発着の運用のみで、JR線内発着の運用は2003年(平成15年)3月29日以降設定されていない。

我孫子駅 - 取手駅間は朝・夕の一部時間帯のみ運行されている。朝・夕にはこのほかに、松戸駅柏駅発着の電車もある。これ以外は、ほとんどが我孫子 - 綾瀬( - 千代田線代々木上原)の区間で運転されている。なお日中の運行がない我孫子 - 取手間は、新製車両の試運転や訓練などに供されることがある[2]

信号システムはATCで、東京地下鉄千代田線と同一のシステムを用いている(車内信号式。快速線はATS)。なおJR東日本保有車両は、小田急小田原線・多摩線と直通運転ができない。これはJR車は小田急のATS(OM-ATS)と列車無線を搭載していないためである。小田急保有車両も綾瀬以遠JR線と直通運転ができないため、3線にまたがっての直通運転ができるのは東京地下鉄保有車両のみである。

また、小田急線へ直通する上り列車は代々木上原から多摩急行となり、千代田線内で種別表示も行うが、常磐線内は各駅停車であり、綾瀬までは種別の表示もない。他方、小田急線から千代田線・常磐緩行線へ直通する電車(多摩急行、急行、綾瀬行準急)は、千代田線・常磐線内は各駅停車のため、下北沢駅を発車すると種別を無表示に変えて終点まで運転する。なお、最近ではJRの駅ホーム改札口発車案内表示器で小田急線の障害情報が表示されるようになっている[3]

女性専用車両

2006年(平成18年)5月15日より女性専用車両を導入した。平日7時10分から9時30分までに綾瀬駅を発車する電車で、代々木上原寄りの一番前の車両(1号車)に設定されている。千代田線内代々木上原駅まで実施、9時30分をもって一斉に終了となる。

JR東日本では埼京線中央線快速に次ぐ3例目の導入であった。また、1号車に設定されているのは、前年5月より導入していた小田急線に合わせたものと見られる(千代田線内では両方向で導入している)。ただ、千代田線内の19駅中13駅が、この1号車付近に出入り口や乗換口への通路があることから反発も見られる。

運行頻度・状況

運転間隔

  • 上りは平日朝は約3分間隔、土休日朝は約6分間隔、日中は平日・土休日とも約12分間隔、夕方は平日は約5分間隔、土休日は約7分間隔、夜は平日が約6 - 8分間隔、土休日が10 - 20分間隔で運行されている。
  • 下りは平日朝は約5分間隔、土休日は約6分間隔、日中は平日・土休日とも約12分間隔、夕方は平日は約4分間隔、土休日は約6分間隔、夜は平日が6 - 8分間隔、土休日が10 - 15分間隔で運行されている。
    • ただし、区間列車の影響などにより、それを含まない区間での間隔は多少前後がある(上記の間隔は、最も運転頻度の高い区間のもの)。特に、我孫子 - 柏間は朝や夕方の時間帯でも昼間以上に間隔が空くことがある。
    • 時間帯によっては、平日と土休日では形態が大きく異なる。平日朝8時台の下りは約12分間隔の運転が続く。9時台には本数が落ち着くのに対し土休日は10時台まで6分間隔での運転がある。また、夕方以降のピークは平日が18 - 19時台であるのに対し、土休日は16 - 17時台である。夜間に至っては土休日の本数は平日の半分程度である。

複々線化の沿革と問題

複々線化以前

元々常磐線は上野 - 取手間の各駅に停車する「国電」(近距離電車)と主要駅のみ停車の中距離列車急行・特急などが同じ線路を走行していた。当時は中・長距離輸送を担う列車に対して地域輸送を担う電車(国電)は停車駅も異なり棲み分けが明確であった。

一方、高度成長期を迎えると共に沿線のベッドタウン化が進んで人口が急増し、常磐線の混雑率も非常に高くなったものの、各種列車が同一線路上を走行している事によってさらなる増発が困難になった為、いわゆる「通勤五方面作戦」の一環として複々線化を実施することになった。

当時都市交通審議会の答申では、北千住 - 松戸間について東京9号線が計画されていたため、国鉄はこの路線の終点を我孫子まで延長する形で北千住から我孫子までを複々線化し、緩行線を地下鉄千代田線と直通運転させることで複々線化事業を解決しようとした。さらに当時、北千住 - 綾瀬間は国鉄の路線であったが、複々線化・千代田線との乗り入れに際して建設費用を抑えたい国鉄と、足立区内に設置する車庫(現:綾瀬検車区)への回送ルートを確保したい営団の思惑が一致し、北千住駅 - 綾瀬駅間の緩行線を営団保有にして、複々線化と千代田線との直通運転が同時に行われることとなった。ただし、運賃計算上は北千住駅 - 綾瀬駅間は従来どおり国鉄線運賃として計算される特例が設けられた[4]。また複々線化に際し、従来の「国電」(近距離電車)を「各駅停車」と「快速」の2種別化し、各駅停車を緩行線に、「快速」を日暮里・上野方面へと向かう快速線に振り分けることとした。

また複々線化区間から外れた中電通過駅の三河島駅南千住駅天王台駅(複々線化と同時に開業)には東京近郊輸送を担う快速のみが停車し、快速線のホームは複々線区間の両端の北千住駅・我孫子駅と車両基地のある松戸駅にのみ設けられることになった。この結果快速通過駅の利用客は乗り換えなしで日暮里駅や上野駅まで行けなくなるため、不便を解消するために営団・国鉄の双方に乗換駅として西日暮里駅を新設するとともに、同駅を経由する通過連絡運輸の特例が設けられることとなった。

工事予算と地下鉄千代田線への旅客の転嫁見込み、ならびに貨物列車の運行や当時建設中であった国鉄武蔵野線との接続方法等について検討された結果、緩急乗り換え利便性の高い方向別複々線での建設が見送られ、他の首都圏国鉄主要路線と同様の線路別複々線となった[5]。このため我孫子駅・松戸駅・北千住駅での各駅停車と快速等の乗り換えでは階段を使用してホーム間を移動することになった。

複々線化の前後では、運転種別や停車駅が以下の表のように変遷している。

停車駅の変遷
普通列車 × × ×
各駅停車(国電) × × ×

複々線化以前
第一期複々線化直後
上野 日暮里 三河島 南千住 北千住 綾瀬 亀有 金町 松戸 北松戸 馬橋 新松戸 北小金 南柏 北柏 我孫子 天王台 取手
普通列車
国電 快速電車
各駅停車
●○:停車(○は厳密には千代田線) ▲:一部停車 ―:通過 ×:駅開業前 =:経由せず
※:柏駅の快速停車は1972年(昭和47年)10月から。当初の停車は快速電車のみで、普通列車は一部停車。新松戸駅は1973年(昭和48年)開業。

複々線化後

常磐線複々線化当初の各停用車両103系1000番台

1971年(昭和46年)4月20日に複々線化と緩行線の千代田線乗り入れが開始された。国鉄は、当時まだ旧形電車が多く運行されていた京浜東北線向けに103系を捻出する必要性から、10両編成で運行されていたエメラルドグリーンの103系電車を快速電車に転用する際、2両減車して8両編成とした[6]。これは、複々線化により輸送力が上がっていることと、快速通過駅利用客が地下鉄への直通運転によりそのまま都心へ向かうことを念頭に置いたものである。しかし当時は国鉄の運賃の方が安く、北千住 - 西日暮里間を千代田線経由で乗車して山手線等に乗り換える場合や、地下鉄経由で都心へ向かう場合の合算運賃が割高となるケースが多かったため、利用者の多くは松戸駅や北千住駅での乗換を選んだことで快速電車は大混雑した。このため、この直通運転・複々線化は新聞などで「迷惑乗り入れ」と糾弾される事態に発展した。これに対し国鉄は、千代田線乗り入れ開始とともに常磐線での営業運転を終了するはずであった旧形の72系電車を使用して臨時の快速電車を設定して輸送力を増強し、その置換用の103系が増備されるまでの約1年間をしのいだ。また、1972年10月には快速用103系が再び10両編成に増結され、松戸駅乗り換えによる混雑の要因の一つでもあった、快速通過駅とされた柏駅についても、利用客からの強い要望によって快速線にホームが新設された。

1970年代後半に入ると、藤代駅 - 土浦駅間の交流電化区間までベッドタウン化が進行したことから、輸送力増強のため近郊形電車としては初のオールロングシート車となる415系500番台が投入された。中距離電車はデータイム1時間に1本、夕ラッシュ時でも2本程度だったのが国際科学技術博覧会(つくば科学万博)開催直前の1985年(昭和60年)3月の改正で大増発され、編成も最長15両となった。1987年12月には、103系の快速電車も通勤形電車としては初めて15両編成化された。

一方、複々線化と相互乗り入れによる影響は営団の労働組合私鉄総連)によるストライキ時にも顕著にあらわれた。ストライキが発生すると、綾瀬駅 - 北千住駅間は営団の路線であることから電車の運行ができなくなるため、やむを得ず綾瀬駅 - 松戸駅間各駅の乗客は松戸駅まで一旦戻って上野方面へ向かうようにできる特例を設けて対処した[7]。しかし、前述のように松戸駅自体が元々混雑していたため、同駅はパニック状態に陥り、長蛇の列が駅の外にまでできる事態に発展した。

また、相互乗り入れに使用されている車両も運行に影響を与えていた。営団地下鉄は、千代田線用開業当初は抵抗制御の5000系を投入したものの、1971年(昭和46年)4月20日に国鉄との相互乗り入れ開始から世界初の電力回生ブレーキ電機子チョッパ制御車となる6000系を投入し、トンネル内の発熱抑制と省電力化を図っていた。しかし、国鉄は車両製造費抑制のため、既存の通勤路線向けに大量増備していた103系の仕様を一部変えた1000番台を投入、抵抗制御の国鉄車は発電ブレーキのため大量の熱をトンネルや駅構内に排出することになった。地下区間で高速走行をする千代田線では、特にシールドトンネル内において空気の流動が少なく抵抗器の冷却が充分にできなかったため、103系は故障が多発し運行ダイヤにまで影響を及ぼした[8]。省電力の観点でも、相互乗り入れの車両使用料の精算は通常乗り入れ距離で相殺するのが慣例であったが、営団車と国鉄車とでは電力消費量が異なるとの会計検査院からの指摘を受け、営団は電気代の分を加算して請求することになった。1978年(昭和53年)の千代田線代々木上原全通時に、反対側から小田急車(界磁チョッパ制御9000形)も乗り入れることになったが、同様に小田急に対しても電気代分を加算して請求していた[9]。1981年、営団は千代田線用5000系を北綾瀬支線を除く地下線から一掃し、6000系に統一した。国鉄は営団からの要望もあって[10]、翌1982年(昭和57年)から電機子チョッパ制御の203系を投入開始し、1986年までに置き換えが完了し、国鉄車に関しては問題が解決することになった。

1982年に我孫子駅 - 取手駅間の複々線化が完成した際には、当初は途中の天王台駅を快速通過駅に変更する予定であった。しかし北柏・南柏といった快速通過駅の不便さから[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。地元から通過反対の声が強くなった。また、1982年にNEC我孫子事業場が開設されることが決定し、朝夕を中心に大量の通勤客の発生する事が予想された[11][12]。快速停車駅として残ることになり、朝夕の混雑時間帯のみ緩行線電車を運行することにした。

以上のように、常磐線関係の輸送改善計画は失敗することが多かったので、方角から「常磐線は国鉄の鬼門」とまで揶揄されることがあった。

常磐線の運転系統が複雑になっている一因に茨城県石岡市柿岡の気象庁地磁気観測所の存在がある。取手駅以北の直流電化は現時点では課題が多く、中電・通勤電車の車両統合ができていない。このため民営化後になって、快速線に交直両用の通勤形であるE501系電車(上野口での運用終了)、後にE531系電車を投入するなどの施策を打った。なおSuicaPASMOの相互利用開始に伴い西日暮里経由の割高運賃問題についても多少は解決される見込みである。

緩急接続

線路別複々線でダイヤも独立していることから、通勤ラッシュ時以外での接続はあまり考慮されていないが、2006年3月18日のダイヤ改正では、松戸駅・柏駅で各駅停車と特別快速との接続を図るダイヤに変更された。松戸駅では下りは特別快速→各駅停車、上りは各駅停車→特別快速へ2 - 3分で接続する乗り換えが可能になっている。柏駅では下りが各駅停車→特別快速、上りは特別快速→各駅停車へ2 - 3分で接続する。

所要時間

取手 - 柏間が約12分(快速とほとんど変わらない)、柏 - 松戸間が約14分、松戸 - 北千住間が約12分(松戸 - 綾瀬間は約9分)であり、柏 - 松戸で約5分、松戸 - 北千住間で約4分快速より時間を要することが多い。

始発・最終電車

例外的に早朝・深夜に北千住駅発着の電車が1往復ずつ運行されているが、このうち早朝の上り1本と深夜の下り1本については、国鉄常磐線と営団地下鉄千代田線の相互直通運転開始前に確保されていた利便性が、直通運転開始によって損なわれないよう配慮して設定されたものである。直通運転開始前の始発電車は松戸発上野行各駅停車で、終電は上野発松戸行各駅停車であった。しかし直通運転開始により上野発着列車は快速化されるため、そのままでは通過駅となる綾瀬・亀有・金町3駅で始発時刻の繰り下げ・終電時刻の繰上げが発生してしまう。これを防ぐために設定されたのが上記の列車である[13]。このため、いずれの電車も北千住駅で上野発着の快速電車に接続しており、車内放送でその旨のアナウンスもなされている。

駅一覧

北千住駅 - )綾瀬駅 - 亀有駅 - 金町駅 - 松戸駅 - 北松戸駅 - 馬橋駅 - 新松戸駅 - 北小金駅 - 南柏駅 - 柏駅 - 北柏駅 - 我孫子駅 - 天王台駅 - 取手駅

車両

自社車両

すべて松戸車両センターに所属。

JRの車両(3系列とも)にある路線駅案内は、長らく快速電車( - 成田線我孫子支線)のものと全く同じものが使用されており、千代田線内については駅名のみが列挙されているだけで接続路線が全く記載されていなかった。2004年秋頃より独自のものになり、千代田線内の接続路線や駅番号まで記載されたものに変更された。さらに2006年には、簡素ながら運賃計算に関する注記も加えられている。

なお、行先表示器には各系列とも運用開始時点で既に終着運用のなかった「上野」「代々木公園」などの表示が用意されている。

今後、203系・207系900番台の置き換え用としてE233系2000番台が新規投入される予定である。

乗り入れ車両

東京地下鉄

過去の車両

運賃計算の特例

北千住 - 綾瀬間の特例

千代田線北千住 - 西日暮里間を経由する場合の特例

亀有駅 - 取手駅までの各駅と、山手線内各駅および近傍の駅との間を、千代田線の北千住 - 西日暮里間を経由して乗車する場合には、特例が適用される。連絡乗車券を購入する場合とIC乗車券を使用する場合では、計算方法や適用範囲が異なる上、どちらの方法が安いかについても駅によって異なるので注意が必要である。

連絡乗車券

連絡乗車券の場合は、東京地下鉄千代田線をはさんだ前後のJR線区間の営業キロを通算する通過連絡運輸の特例が適用される。券売機でICカードを使用することも可能である。

【例】南柏から池袋まで(経由:北千住・東京地下鉄千代田線・西日暮里・巣鴨)

  • JR線運賃:南柏 - 北千住の営業キロ 19.3km と、西日暮里 - 池袋の営業キロ 6.0km を通算。
    →合計キロ数 25.3km を運賃表に当てはめ、450円。
  • 東京地下鉄線運賃:北千住 - 西日暮里の営業キロ4.3km160円。
    両者を合計して、乗車券(普通旅客運賃)は610円となる。

乗車券の発売範囲

IC乗車券

2007年3月18日の首都圏ICカード相互利用サービス開始に伴い、PASMOSuicaで利用の際は、北千住までのJR運賃と西日暮里以遠のJR運賃の個別の合算額から100円を差引く方式を採用している。なお、運賃は西日暮里の改札を通った時点で西日暮里までの運賃が差し引かれ、乗り継いだJR線の特例適用範囲内で下車した場合に西日暮里から下車駅までの運賃から100円引いた額を差し引く。なお、この特例が適用される場合は、金町駅・亀有駅 - 西日暮里間相互発着に適用される乗り継ぎ割引が適用されない(割引の重複になるため)。

上記連絡乗車券の場合と同様の経路で考えると、

  • 南柏 - 北千住(19.3km、290円)
  • 北千住 - 西日暮里(4.3km、160円)
  • 西日暮里 - 池袋(6.0km、150円)

となり、合計額600円から100円を引いた500円がIC乗車券使用時の運賃となる。

特例の適用範囲
  • 北千住口 常磐線(亀有 - 取手)
  • 西日暮里口 東北本線(東京 - ・日暮里 - 尾久 - 赤羽)、東海道本線(東京 - 品川)、山手線(品川 - 田端間/全線全駅)、赤羽線(池袋 - 赤羽/全線全駅)、中央本線(神田 - 代々木)、総武本線(御茶ノ水 - 秋葉原)

その他

  • ICカードを利用して、南千住以遠(三河島方面)・亀有以遠(金町方面)から東中野以遠(大久保方面)・高円寺以遠(阿佐ケ谷方面)あるいは船橋以遠(東船橋方面)・下総中山以遠(本八幡方面)・船橋法典以遠(市川大野方面)・南船橋以遠(二俣新町方面、新習志野方面)・市川塩浜以遠(新浦安方面、二俣新町方面)など、他社線を経由してJR線(共用駅を除く)の駅間を途中改札を通らずに乗車する場合、千代田線・東西線経由の方が低廉である場合であっても全線JR線乗車と扱われるので注意が必要である。
    • なお、西船橋駅にはJR線と東京地下鉄・東葉高速鉄道の連絡通路に自動改札機が設置されたものの、経路の判別方法についてはほとんど変更されていない。したがって、西船橋経由の方が安い経路を乗車する場合には、同駅の改札通過に関わらず西船橋駅経由の運賃が適用される。

ラインカラー

本系統のラインカラーは、基本的には車体の帯と同じエメラルドグリーンであるが、快速電車と同一であるため区別のために異なる色を使うことがある。また、相互乗り入れを行う千代田線はほぼ近い緑であるが、本系統の方がやや青みがかっている。

  • 東京近郊路線図では快速電車がエメラルドグリーン、各駅停車が地下鉄千代田線、東西線など地下鉄直通に使用している、グレーであり、これは快速線のE231系に掲出している停車駅案内と同じである(E531系はこの配色ではない)が、緩行線の車両(203系・207系900番台・209系1000番台)ではこれが逆になっている。
  • 複々線区間の緩急併設駅(松戸・柏・我孫子・天王台・取手)のサインは、緩行線ホームのサインがエメラルドグリーンであるのに対し、快速線ホームのサインはブルーである(ただし、両色併記のものもある)。

呼称について

常磐線各駅停車は地下鉄千代田線と直通運転していて、またかつては常磐線の電車特定区間内において「普通列車」と「各駅停車」が並立していたために、各駅停車は地下鉄区間とあわせて国鉄/JR線区間も俗に「千代田線」と呼ばれる場合があり、市販されている地図にも千代田線と表記したものがある[14]。なお、2004年(平成16年)10月16日のダイヤ改正より、中距離の普通列車は上野 - 取手間に限り「快速」と案内されるようになった。今でも利便性をアピールする等の目的で、広告などに「千代田線北松戸駅」「地下鉄千代田線北柏駅」などの標記が見られる。中には「東京メトロ(過去には営団地下鉄)千代田線」とまで記述しているものもある。同様の例としては「日比谷線」と呼ばれることがある東武伊勢崎線各駅停車がある。

脚注

  1. ^ 京葉線も1988年12月1日から1990年3月10日の新木場東京開業までは該当した。
  2. ^ 過去には、901系やE231系の試運転が実施されたこともある。
  3. ^ 他事業者の障害情報の発信については、JRや小田急に限らず近年拡大傾向にある
  4. ^ なお、この工事完成時は綾瀬駅は国鉄・営団の共同管理駅であったが、北綾瀬駅開業に際して営団へ管理を移管している。
  5. ^ 『鉄道土木』1946年 月号
  6. ^ 鉄道ファン2006年6月号
  7. ^ この特例は、その後も千代田線区間が運転見合わせになった時にも使用されている
  8. ^ なお既に301系が乗り入れていた東西線では、当時の営団車(5000系)も抵抗制御車であったことと、主たる走行区間が開削工法による複線トンネルであり、地下区間での駅間距離も短く平均速度も千代田線より低かったため、抵抗器の発熱についてはさほど問題にならなかった。
  9. ^ 『鉄道ピクトリアル』2008年7月号
  10. ^ 『鉄道ファン』1982年11月号
  11. ^ 周囲に関連下請企業の事業所も点在し、この為朝7~8時台はこの規模の駅としては驚異的な混雑となる。
  12. ^ 天王台駅北口から無料シャトルバスが発着する。ただし本数が少ない為タクシーを利用する利用者も多い。
  13. ^ 『営団地下鉄千代田線建設史』帝都高速度交通営団。 
  14. ^ 昭文社・千葉県松戸市ほか

関連項目

外部リンク