コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

滋賀県道16号大津信楽線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
滋賀県道16号から転送)
主要地方道
滋賀県道16号標識
滋賀県道16号 大津信楽線
主要地方道 大津信楽線
総延長 24.6 km
制定年 1972年
起点 大津市神領3丁目
神領交点【北緯34度58分22.3秒 東経135度54分36.9秒 / 北緯34.972861度 東経135.910250度 / 34.972861; 135.910250 (県道16号起点)
終点 甲賀市信楽町
牧交点【北緯34度54分44.5秒 東経136度4分45.8秒 / 北緯34.912361度 東経136.079389度 / 34.912361; 136.079389 (県道16号終点)
接続する
主な道路
記法
国道1号
都道府県道43号標識
滋賀県道43号平野草津線
都道府県道12号標識
滋賀県道12号栗東信楽線
国道307号
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

滋賀県道16号大津信楽線(しがけんどう16ごう おおつしがらきせん)は、滋賀県大津市から甲賀市信楽町に至る主要地方道滋賀県道)である。

概要

[編集]

大津市から堂・平野を経て、大戸川の河谷に沿って信楽山地へ入り、甲賀市信楽町牧で国道307号へ接続する路線である[1]。大津市と甲賀市(水口町)の間、国道1号は草津市栗東市を経由する一方で、田上山地の谷間を抜けて信楽経由でショートカットするルートとなっている[2]。通称「信楽道」とも呼ばれる[1]

大戸川ダム建設に伴う付替道路

[編集]

大津市牧から甲賀市信楽町黄瀬の区間は約 5,000 台/日の交通量があり、大型の路線バスも走る一方で、幅員が狭隘である[3]。この区間に大戸川ダムの建設に伴う付替道路が設置された[4]

この付替工事は大津市平野町から3,350 mの区間は道路単独整備区間として滋賀県が施工者となり、その先の甲賀市信楽町黄瀬までの7,086 mが国土交通省が施工者となる[5]

大戸川ダムの建設見送りに伴い付替道路の建設も予算削減が検討されたが、コストを削減することを条件に継続することとなった[6]。大津市平野町から新名神の高架橋に沿って山間部に至るルートが2019年度に開通[2]。その先で大戸川の南岸に渡り、新3号橋で北岸に渡った後に標高を上げ、山の中腹を縫う形で甲賀市信楽町黄瀬に至るルートの建設が行われた[2]。結局ダムは、激甚化する豪雨災害を背景に治水目的に規模を縮小して建設されることとなった。

国道422号のバイパス整備とあわせて、大津市から甲賀市信楽地域や三重県方面との間で災害に強い道路ネットワークの形成に貢献した[7]

路線データ

[編集]
全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML

歴史

[編集]
撮影地点が大津信楽線、中央の橋脚は付替工事中の大津信楽線、上部の橋梁は新名神高速道路近江大鳥橋
  • 1958年昭和33年)7月26日 : 滋賀県道110号牧大津線として県道認定[8]
  • 1972年(昭和47年)3月21日 : 主要地方道になり[9]、路線名称を「牧大津線」から現行の「大津信楽線」に、路線番号を「110」から「345」に改番する[10]
  • 1988年(昭和63年)3月30日 : 大津市桐生町で法面崩落による死亡事故が発生[11](後述)。
  • 1990年平成2年)9月17日 : 路線番号を「345」から現行の「16」に改番[12]
  • 1990年(平成2年)10月22日 : 大津市上田上芝原町から同市平野町まで1,170 メートル (m) の区間が萱尾川河川改修工事に伴い新道が供用開始[13]
  • 1999年(平成11年)6月 : 大戸川ダム建設による県道の付け替え工事が着手される[14]
  • 2000年(平成12年)3月21日 : 大津市上田上大鳥居町から信楽町黄瀬(当時)まで五本松橋(橋長 72 m)を含む1,860 m のダム付け替え道路が完成[15]
  • 2004年(平成16年)3月28日 : 大津市上田上大鳥居町の1,875 m がダム建設工事に伴い供用開始された[16]
  • 2019年令和元年)8月1日 : 大津市上田上牧町焼野地先から牧町焼野トンネル(364 m)を経て県道桐生草津線に至る2.1 kmの付け替え県道が供用開始。
  • 2023年(令和5年)3月25日 : 大津市牧から甲賀市信楽町黄瀬に至る8 kmの付け替え県道が供用開始[17]

1988年3月の法面崩落による死亡事故

[編集]

1988年(昭和63年)3月30日に法面崩落により、通行中の自動車が巻き込まれ2人死亡する事故が発生した[18]。約190 m3の土石が崩落し、そのうち約90 m3が高さ3 mの防護壁の上に設置されていた高さ3 mの落石除けフェンスを押し倒して道路上に落下し、通りかかった自動車1台を押しつぶした[19]

事故現場の斜面は比較的風化が進んでいない岩石が主体であり、尾根が河岸に張り出す急傾斜の地形となり、土石崩落が起こりやすい場所だったと考えられる[20]。また、真砂土と風化が進んでいない花崗岩が混在していることから凍結と融解の繰り返しで土粒子の結合が緩くなることで脆弱な斜面となっていたとも考えられる[20]。そして、大戸川に沿って車両の通行できる幅員で道路を建設するときに山側斜面の切り取りで斜面の不安定化が進んだとみられる[20]。崩落した斜面からコケが生えており、既に岩盤が緩んで亀裂ができていたことが推察できる[20]

2021年8月の大雨による通行止め

[編集]

2021年8月に連続して続く大雨の影響で、18日の朝に大津市上田上牧町付近で土砂崩れが発生し、大津市上田上牧町 - 上田上大鳥居町の区間が通行止めとなった[21]。周辺に迂回路がないことから、代替路として並行する新名神高速道路草津田上インターチェンジ - 信楽インターチェンジ間の利用に限り無料とする措置が9月4日よりとられていたが[22]12月4日0時に通行止めが解除されたことから同時に新名神高速道路の代替路無料措置も終了した[23]

路線状況

[編集]

バイパス

[編集]
  • 大津市平野町 - 大津市牧3丁目[要出典]
  • 大津市牧3丁目 - 甲賀市信楽町黄瀬([要出典]

重複区間

[編集]

地理

[編集]

通過する自治体

[編集]

交差する道路

[編集]
滋賀県道16号大津信楽線、大津市上田上桐生町にて

沿線にある施設など

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 25滋賀県』角川書店、1979年4月8日、173頁。 
  2. ^ a b c “「大津~信楽」の"抜け道"が工事進行中 大戸川ダム工事で付け替え 隘路解消へ”. 乗り物ニュース. (2022年8月20日). https://trafficnews.jp/post/121501 2023年12月10日閲覧。 
  3. ^ 大戸川ダム建設事務所 2016, p. 4.
  4. ^ 大戸川ダム建設事務所 2016, p. 3.
  5. ^ 大戸川ダム建設事務所 2016, pp. 6–7.
  6. ^ “大戸川ダム、国交省凍結 知事の反対意見を反映 代替道路は整備継続”. 朝日新聞. (2009年3月31日). 2009-03-31 
  7. ^ 滋賀県土木交通部道路整備課 2024, p. 6.
  8. ^ 昭和33年7月26日滋賀県告示第291号
  9. ^ “道路法第五十六条の規定に基づく主要な都道府県道及び市道(昭和46年6月26日建設省告示第1069号)”, 官報 (国立印刷局) 号外第82号: pp. 2-34, (1971年6月26日) 
  10. ^ 昭和47年3月21日滋賀県告示第104号
  11. ^ 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会 2013, p. 37.
  12. ^ 平成2年9月17日滋賀県告示第391号
  13. ^ 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会 2013, p. 44.
  14. ^ 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会 2013, p. 69.
  15. ^ 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会 2013, p. 71.
  16. ^ 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会 2013, p. 79.
  17. ^ 大戸川ダム建設に伴う付替県道大津信楽線が3月に完成 〜地域が望んだ県道が完成します〜” (PDF). 国土交通省近畿地方整備局 大戸川ダム工事事務所 (2023年2月15日). 2023年3月25日閲覧。
  18. ^ 奥西一夫・諏訪浩 1992, p. 27.
  19. ^ 奥西一夫・諏訪浩 1988, p. 30.
  20. ^ a b c d 奥西一夫・諏訪浩 1992, p. 34.
  21. ^ 大津の県道で土砂崩れ、7キロ通行止め 斜面50メートル崩落”. 京都新聞 (2021年8月18日). 2021年10月21日閲覧。
  22. ^ 県道大津信楽線の通行止めに伴うE1A 新名神高速道路(信楽IC⇔草津田上IC)の代替路(無料)措置について”. 西日本高速道路 (2021年9月3日). 2021年10月21日閲覧。
  23. ^ 県道大津信楽線の通行止め解除 E1A新名神高速道路(信楽⇔草津田上)の代替路(無料)措置終了について”. 滋賀県・西日本高速道路株式会社 (2021年11月24日). 2021年12月4日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会, [全日本建設技術協会滋賀県支部] 滋賀県特別会員支会 編『滋賀県土木百年表 続編 (昭和47年度-平成24年度)』全日本建設技術協会滋賀県支部滋賀県建設技術協会、2013年3月。全国書誌番号:22226621 
  • 近畿地方整備局大戸川ダム工事事務所 (2016年8月2日). “淀川水系ダム事業費等監理委員会資料 -大戸川ダム建設事業-” (PDF). 近畿地方整備局. 2017年12月6日閲覧。
  • 奥西一夫・諏訪浩「滋賀県道大津信楽線の土石崩落事故(1988年)の原因解析と防止策の考察」『自然災害科学』第11巻第1号、1992年、27-37頁。 
  • 滋賀県土木交通部道路整備課 (2024年3月). “Shiga ROAD CONSTRUCTION ~新しい豊かさを支える~ 滋賀県の道づくり” (PDF). 滋賀県. 2024年5月26日閲覧。

関連項目

[編集]