池田町 (福井県)
いけだちょう 池田町 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 | 中部地方(北陸地方) | ||||
都道府県 | 福井県 | ||||
郡 | 今立郡 | ||||
市町村コード | 18382-2 | ||||
法人番号 | 2000020183822 | ||||
面積 |
194.65km2 | ||||
総人口 |
2,135人 [編集] (推計人口、2024年12月1日) | ||||
人口密度 | 11人/km2 | ||||
隣接自治体 |
福井県:福井市、大野市、越前市、鯖江市、南条郡南越前町 岐阜県:揖斐郡揖斐川町 | ||||
町の木 | スギ | ||||
町の花 | しゃくなげ | ||||
池田町役場 | |||||
町長 | 杉本博文 | ||||
所在地 |
〒910-2512 福井県今立郡池田町稲荷35号4番地 北緯35度53分25秒 東経136度20分39秒 / 北緯35.89028度 東経136.34414度座標: 北緯35度53分25秒 東経136度20分39秒 / 北緯35.89028度 東経136.34414度 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
池田町(いけだちょう)は、福井県嶺北地方にある町である。同町のみで今立郡を構成する。
内陸の山間部にあり、町域の約9割は森林で、福井県でも有数の豪雪地帯という山間僻地である[1][2]。
地理
[編集]主な居住域は、周囲を山で囲まれた海抜150〜250m程度の場所に若干広がっている谷間。日本有数の豪雪地帯であり、町全域が特別豪雪地帯の指定を受けている。
- 山: 冠山 (岐阜・福井県境)、部子山
- 河川:足羽川
隣接している自治体
[編集]以下の6市町と隣接している。
- 福井県
このうち、鯖江市と接しているのは福井市・越前市を含む4市町境となっている山頂1点のみ。また、南越前町・大野市と接続する道路はいずれも冬季閉鎖となる。
人口
[編集]池田町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 池田町の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 池田町
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
池田町(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
過疎地域自立促進特別措置法2条1項により過疎市町村に指定されている。2015年国勢調査において北陸地方3県(新潟県を含まず)では、唯一の村である富山県中新川郡舟橋村を下回り、人口最少の市町村となっている。
2024年、民間の有識者らで作る人口戦略会議は、各市町村における2020年から30年間の女性人口減少率を予想。池田町では、20歳から39歳の女性が72.0%減少する(福井県下で最大値)とし、将来的に消滅する可能性が高い「消滅可能性自治体」であることを発表した[3]。
健康
[編集]- 平均年齢 56.9歳(2020年国勢調査)
歴史
[編集]沿革
[編集]行政
[編集]- 町長:杉本博文
姉妹都市・提携都市
[編集]- 池田町(北海道十勝管内中川郡)
- 池田町(長野県北安曇郡)
- 池田町(岐阜県揖斐郡)
- 池田町(徳島県三好郡、現:三好市)
- 池田町(香川県小豆郡、現:小豆島町)
- 1986年4月に姉妹縁組締結。
- 池田市(大阪府)
- 1988年8月に姉妹縁組締結。
1985年(昭和60年)から2005年(平成17年)までの間、上記7市町の持ち回りで毎年1回の「全国池田サミット」が開かれていた。
町職員間の結婚に伴う退職慣行
[編集]1993年から、町職員同士が結婚した場合、夫婦どちらかに退職を促す慣習があり、憲法違反のおそれがあると指摘された[5][6][7]。この慣習は、採用時に説明されない「暗黙のルール」であり、2020年までに3組ほどの夫婦が対象になったが[8]、いずれも女性職員が辞めたとされている[9][10]。一方、2020年以降は退職勧奨が1度あったが、実際には退職しなかったという[11]。2020年8月の町議会で問題が取り上げられ、町の職員組合も撤廃の要望書を出しているが、町側は「職員の高い給与水準を批判する町民感情」「人事ローテーションの制約」「過去に退職した人がいるので、今更やめたら不公平」などを理由に「撤廃する予定はない」と回答している[8][12]。2024年3月の町議会で質問が挙がった際、副町長の溝口淳は「人事配置上の制約がある」などと述べ、今後も継続することが改めて示されている[11][9][10]。
移住希望者向け「七か条」
[編集]2023年初時点の人口は約2300人で30年でほぼ半減し、高齢化率は45%と全国平均(29%)を上回る[1]。多くの自治体と同様に移住者を誘致しており、年20~30人程度が町外からやって来る[1][13]。雪かきや草刈りなどの共同作業に移住者が参加したがらないといった声が元からの住民にあり、33集落の区長会が『池田暮らしの七か条』を定め、2023年1月の町広報誌やウェブページに掲載した[1][14][15]。集落の一員という自覚が望まれること、地域行事が多く都市にはなかった面倒さ、プライバシーが無いと感じるほどのお節介さがあることを説明し、移住当初はどんな人で、なぜ池田町へ来たかなど「品定めされることは自然」であり、「都会風を吹かさないよう心掛けてください」などと注意喚起する内容である[13]。これが報じられるとインターネット上では、「排他性の極み」「上から目線」といった批判が相次ぎ、移住してきた町民でも不快感や恐怖を覚えたという意見が出た[16][1][13][17]。
これに対して町役場は、「意図が伝わるようにすべきだった」としつつ、景観や伝統文化は濃いコミュニティーの努力で守られてきたことを知ってもらい、移住後に「知らない」「聞いていない」となる事態を避けるための心得として作成したもので、文面は変えず[17]、さらに集落ごとの慣習をまとめた冊子を作成してよく説明していくと取材に答えている[1][13]。農村研究や移住支援の専門家からも、表現に工夫の余地があるとしつつ、ミスマッチやトラブルを避けるために、一見マイナス面に思える情報も率直に発信することは意義があるという評価・コメントが出ている[1][13]。
町内の各地区は移住者を含めた相互扶助の役割も担っているほか、町議会選挙においては「組織票」として機能する面もあり、立候補に際しては地区内で事前に了解を得ることが有利とされる[18]。
経済
[編集]産業
[編集]農業
[編集]町全体で有機栽培への取り組みが進んでおり、日本農林規格(JAS)の有機認証ではなく、池田町独自の認証制度「ゆうきげんき正直農業」を作り、化学肥料なし、農薬も可能な限り使わない米や野菜づくりを行っている[19][20]。主体は米作りで、除草剤の量を制限した米は「うららの米」の名でブランド化され、家庭から出る生ゴミと池田牛の糞で作った堆肥は「土魂壌(どこんじょう)」の名で一般販売もされている[21]。毎朝収穫されたものの一部が福井市の大型商業施設に開いた同町のアンテナショップへ運ばれ直売、都市部の消費者の人気を呼んでいる。
商業
[編集]2011年(平成23年)4月に唯一の観光物産店「こってコテいけだ」がオープンした[22]。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアは平成時代末期まで1軒もなかった[23][24]。2018年(平成30年)8月、町役場の西面向かいに福井県内資本のドラッグストアであるゲンキー池田稲荷店(現・池田町店)が開業した。
健康
[編集]- 平均年齢 51.9歳(2005年国勢調査)
- 福井県の現行市町、調査当時の市町村いずれにおいても最も高い。
- 町内の医療機関は診療所2か所(内科・小児科)、歯科1か所がある。
教育
[編集]中学校
[編集]小学校
[編集]図書館
[編集]交通
[編集]池田町を鉄道路線は通っていない。公共交通機関のみを利用する場合は、北陸新幹線 福井駅や、ハピラインふくい線 武生駅など。鉄道駅からタクシーやレンタカー利用の場合は、北陸新幹線 越前たけふ駅がそれら常駐駅からの最短(町役場まで約18 km)となる。
バス・乗合タクシー路線
[編集]いずれも本数は少ない。町内区間はバス停留所標識のない経路上でも乗降可能としている。
- 福井鉄道(福鉄バス) - 池田線
- 池田町 町民協働バス「マイバス」(2019年4月に京福バス池田線から転換)
- 池田町 町民バスなかま号
- 町役場を拠点に町内常住集落を網羅するコミュニティバス。小人50円、大人100円。土休日運休。
- 福井市 美山地域バス(味見ルート) - 大野観光自動車に運行委託(市所有自家用マイクロバス車両使用)
道路
[編集]福井県の市町では唯一、高速道路や地域高規格道路の供用および整備計画がない。高速道路の最寄はE8北陸自動車道 武生IC(町役場まで約17 km)または 福井IC(同約26 km)である。
一般国道
[編集]- 町内を走る一般国道
都道府県道
[編集]- 町内を走る県道
- 福井県道2号武生美山線
- 福井県道34号松ケ谷宝慶寺大野線
- 福井県道117号今立池田線
- 福井県道175号熊河池田線
- 福井県道201号菅生武生線
- 福井県道203号池田南条線
- 福井県道248号武生池田線 - 町内区間全線で国道と重複。
- 岐阜県へ抜ける代替道路
- 林道冠山線 - 例年11月頃から5月頃まで冬季閉鎖となる。
通信・郵便
[編集]電話
[編集]町内の固定電話市外局番は、武生MA(単位料金区域)と同一の範囲を持つ0778で統一されており、以下の区域への通話は市外局番不要かつ市内通話料金が適用される。
なおNTT西日本による級局区分は、2級局である。
郵便番号
[編集]- 池田郵便局 〒910-25xx(町内全域)
名所・旧跡・観光スポット
[編集]- 龍双ケ滝 - 日本の滝百選。
- オウ穴群
- かずら橋 - 1989年架橋。全長44メートル、幅1.8メートル、川からの高さ12メートル[30]。
- 能面美術館
- 須波阿湏疑神社 - 本殿・天神の能面が国の重要文化財。
- 日野宮神社
- 鵜甘神社
- 志津原キャンプ場
- 新保ファミリースキー場
- まちの市場「こってコテいけだ」
- 堀口家住宅(国の重要文化財)
- 岡家薬医門(町の重要文化財)
- ツリーピクニックアドベンチャーいけだ
- 池田町立クライミングウォール
祭事・催事
[編集]- 水海の田楽・能舞(2月15日:鵜甘神社、国の重要無形民俗文化財)
- 能面祭(2月6日、須波阿須疑神社)[31]
- 池田大祭(6月9日-11日、須波阿湏疑神社)[32]
- 池田追分け(6月9日および盆、須波阿湏疑神社、県無形民俗文化財)[33]
- さかずき取り(9月、清水谷八幡神社)
- 能楽の里池田マラソン(10月)
出身有名人
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 正直すぎる移住案内 ダメなの?福井県池田町 広報誌が物議「都会風NG」「品定めされることは自然」『東京新聞』朝刊2023年2月11日(特報面)2023年2月15日閲覧
- ^ 『過疎地域自立促進計画(平成28年度~32年度)』(福井県池田町)p.20
- ^ “「消滅可能性自治体」の一覧 関東・甲信越・北陸・東海の地域”. 毎日新聞 (2024年4月24日). 2024年4月26日閲覧。
- ^ a b 福井県池田町 町勢要覧 資料編 2017Ver.
- ^ “役場内結婚、どちらかに退職促す慣習 池田町、高い給与への住民感情理由”. 福井新聞. (2020年8月10日)
- ^ “町役場の職員同士結婚、夫婦どちらかに退職求める…「婚姻の自由」の侵害?”. 弁護士ドットコム (2017年12月17日). 2023年2月8日閲覧。
- ^ “職員同士結婚はどちらか退職の慣例”. 毎日新聞 (2017年12月13日). 2023年2月8日閲覧。
- ^ a b “今どき?「職員同士の結婚、どちらか退職」 福井・池田町の暗黙ルール、弁護士「ハラスメントだし違法」とバッサリ”. J-CASTニュース (2020年8月12日). 2023年2月8日閲覧。
- ^ a b “町職員同士の結婚に「退職勧奨」 福井・池田の内規が物議、離職も”. 朝日新聞 (2024年3月14日). 2024年3月17日閲覧。
- ^ a b “職員同士が結婚したら「退職勧奨」、福井県・池田町の"謎ルール"が物議…さすがに違法じゃないの?”. 弁護士ドットコム (2024年3月25日). 2024年4月18日閲覧。
- ^ a b 「町職員同士で結婚したらどちらか退職を…勧奨内規を継続 福井県池田町会で副町長「人事配置上の制約ある」」『福井新聞』2024年3月14日。2024年3月14日閲覧。
- ^ “役場内結婚、どちらかに退職促す慣習 池田町、高い給与への住民感情理由”. 福井新聞. (2020年8月10日)
- ^ a b c d e 移住者に「都会風吹かすな」福井・池田町が七か条「品定めされる」表現物議『毎日新聞』夕刊2023年2月15日(社会面)同日閲覧
- ^ “「池田暮らしの七か条」「池田暮らしのテキスト」について”. 池田町 (2023年1月27日). 2023年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月8日閲覧。
- ^ “『広報いけだ』2023年1月号” (PDF). 池田町. 2023年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月8日閲覧。
- ^ “移住者に「都会風やめて」広報誌に提言、福井・池田”. 共同通信 (2023年2月8日). 2023年2月8日閲覧。
- ^ a b “「都会風吹かすな」移住者七か条 波紋広げてもルール必要な事情”. 毎日新聞 (2023年5月28日). 2024年4月18日閲覧。
- ^ 「七か条」の町 移住者が立候補したら/福井・池田町議会「出ること地区に報告した?」住民と協力 町盛り上げたい『朝日新聞』夕刊2023年4月22日(社会面)2023年4月27日閲覧
- ^ “ゆうきげんき正直農業認証事業”. 池田町農業公社. 2023年2月8日閲覧。
- ^ “オーガニックとはどういう意味?基準や目的、有機との違いなどを解説”. UMM. 2023年2月8日閲覧。
- ^ 岡島慎二、土屋幸仁『日本の特別地域 特別編集65 これでいいのか 福井県』p.93(マイクロマガジン社 2014年)
- ^ まちの市場「こってコテいけだ」公式サイト
- ^ いけだ暮LASSEL(池田町役場内). “池田に住んではいけない10の理由”. 2019年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。 Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
- ^ 池田町に住むとしあわせな理由 いけだ暮LASSEL(池田町役場内)
- ^ 池田町立図書館再整備基本構想 池田町、2018年3月
- ^ 『福井鉄道とヤマト運輸が路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始』(プレスリリース)ヤマト運輸・福井鉄道、2018年8月8日 。2019年8月13日閲覧。
- ^ “福井鉄道とヤマト 路線バスで「貨客混載」”. 日本経済新聞. (2018年8月8日) 2019年8月13日閲覧。
- ^ “国道417号 冠山峠道路 令和5年11月19日(日)に開通します 〜県境を結ぶ冬期の安定的な交通が確保されます〜” (PDF). 国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所 (2023年9月29日). 2023年11月19日閲覧。
- ^ 『国道417号「板垣坂バイパス」の開通について』(PDF)(プレスリリース)福井県土木部道路建設課、2024年11月5日 。2024年11月24日閲覧。
- ^ 本家・徳島直伝、スリル満点 かずら橋(福井県)朝日新聞(2010年7月23日)
- ^ “貴重な能面を公開する伝統の「能面祭」 池田町”. NHK (2023年2月6日). 2023年2月8日閲覧。
- ^ 須波阿須疑神社・稲荷の大杉 いけだ農村観光協会(2016年3月20日)
- ^ 池田追分け 福井の文化財