氷見市藤子不二雄Aまんがワールド
氷見市藤子不二雄Ⓐまんがワールド(ひみしふじこふじおエーまんがワールド)は、富山県氷見市の比美町商店街(潮風通り)を中心に整備が進められている観光地区である[1]。
氷見市役所では漫画家・藤子不二雄Ⓐ(1934年 - 2022年)の出身地として「忍者ハットリくんや怪物くんに会えるまち」をPRし、氷見駅から上庄川、氷見漁港(中央町・氷見漁港一帯)に至る地域にかけて各種のスポットを整備している。
概要
[編集]藤子不二雄Ⓐ(本名・安孫子素雄)は氷見市の光禅寺を生家とし、11歳の時に高岡市へ転居するまでを当地で過ごした[注 1]。1992年(平成4年)に市内を流れる湊川に代表作『忍者ハットリくん』のからくり時計を設置したことを契機として、光禅寺の最寄りに当たる比美町商店街では同作のキャラクター像が飾られ「ハットリくんロード」と命名された。
以降、オリジナルキャラクター「氷見のサカナ紳士録」や氷見フィッシャーマンズワーフ海鮮館のマスコット「ひみぼうずくん」の提供[注 2]、2002年(平成14年)に氷見市と氷見青年会議所が新設した「ひみキトキトまんが道大賞」の審査委員長就任[注 3]、旧北陸銀行氷見北支店の店舗を転用した「氷見市潮風ギャラリー」での常設展示実施を機に「ハットリくんロード」を藤子Ⓐの作品全般をテーマとする「まんがロード」へリニューアルすることになった。
2011年(平成23年)からはハットリくんの誕生日にちなんで毎年5月5日に「まんがワールドまつり」が開催されるようになり、潮風ギャラリーの常設展示も2015年(平成27年)に「藤子不二雄Ⓐアートコレクション」として全体をマンガ・アニメミュージアムへ改装した。2017年(平成29年)3月の『プロゴルファー猿ポケットパーク』設置に合わせて「藤子不二雄Ⓐまんがワールド」としての公式サイトを開設[2]。
藤子Ⓐは2022年4月7日に88歳で逝去したが、市では同年度に国道415号線の伊勢大町交差点から本町交差点にかけての区間で同年8月27日に『ビリ犬』『ウルトラB』および『パラソルヘンべえ』の像が[3]、2023年(令和5年)3月14日には『黒ベエ』の像が設置され、全長2キロ弱に63体のキャラクター像が居並ぶ「まんがロード」の整備を完了した[4]。
スポット
[編集]JR氷見駅 - 本町交差点
[編集]- 氷見駅
- JR西日本氷見線の終着駅。駅前に「氷見のサカナ紳士録」の紹介パネルを設置。氷見線および高岡駅で接続する城端線では「忍者ハットリくん列車」が運行され[5]、氷見線の車内アナウンスではハットリくん(声 - 堀絢子)による観光案内が流される。
- また、当駅前は加越能バスの氷見市民病院線(氷見市街地周遊バス)の発着点でもあり、同路線はラッピングを施した「怪物くんバス」として走行している。
- 怪物くんストリート
- 2020年(令和2年)10月31日(ハロウィン)に除幕[6]。氷見駅前ロータリーから伊勢大町交差点までの区間に『怪物くん』の怪物太郎、フランケン、ドラキュラ、オオカミ男の像を設置。
- 黒ベエのシャドウ・サプライズ
- 2023年(令和5年)3月12日に本町交差点南側で設置[8]。漫画『黒ベエ』の主人公・黒ベエが他人の影と同化して操る特技の「影移し」をしているイメージで鉄筋コンクリートの壁にFRP製の像がはめ込まれており、像から伸びた1本の影をバックに立つことで黒ベエに体を乗っ取られたシチュエーションの写真撮影が推奨されている[8]。
- 従来のモニュメントはアニメ化された作品か藤子Ⓐが生前に描き起こしたご当地キャラクターのどちらかであったが、いずれにも該当しない漫画作品の像設置は『黒ベエ』が初めてとなる[注 4]。この像の設置により全長2キロ弱の「まんがロード」は全区間の整備を完了し、1本に接続された[4][8]。
比美町商店街(潮風通り)一帯
[編集]- 忍者ハットリくんカラクリ時計
- 1992年(平成4年)8月設置[10]。湊川に架橋された中の橋と復興橋の中間にあるNTTの通信ケーブル用橋梁「虹の橋」にあり、定時にハットリくんとライバルのケムマキの忍法対決を題材にした約4分間のショーが再生される[6]。冬期は降雪による凍結防止のため休止。
- 中の橋 - 中央町交差点
- 「潮風通り」の愛称が付けられた比美町商店街の南北約600メートルの区間には『忍者ハットリくん』のキャラクター像や壁画・シャッターアートおよび「氷見のサカナ紳士録」のオリジナルキャラクター8体の像や地元有志「ブリンス会」が制作したCGアニメのスチルが設置されている。
- 氷見伏木信用金庫本店
- 商店街に本店を置く信用金庫で、現金封筒に「サカナ紳士録」のキャラクターを印刷している。
- 光禅寺
- 1327年(嘉暦元年)に開山した曹洞宗の古刹で、藤子Ⓐの生家。境内には2009年(平成21年)に比美町商店街振興組合が建造した『忍者ハットリくん』『怪物くん』『プロゴルファー猿』『笑ゥせぇるすまん』の4大主人公を象った石像がある。
- 庫裏には藤子Ⓐ直筆の仏画やトキワ荘へ入居した時に手塚治虫から譲り受けた仕事机が保管されており、一般公開は行っていないが「まんがワールドまつり」開催時に特別公開される場合がある。
- 旧北陸銀行氷見北支店の建物を市が購入し、2007年(平成19年)にオープンした。開業時はギャラリーの一角に1年間の予定で「まんが展」を設けて藤子Ⓐ関連の展示を行っていたが好評のため常設化された後、2015年(平成27年)8月に「まんがワールド」の中核施設として藤子スタジオや小学館、小学館集英社プロダクションの協力で全面リニューアルが行われ「藤子不二雄Ⓐアートコレクション」の副館名が設定された。2018年(平成30年)にアニメツーリズム協会から「アニメ聖地」の認定を受ける。
- プロゴルファー猿ポケットパーク
- 正式名称「中央町ポケットパーク」。園内には2009年(平成21年)から富山湾特産のブリに乗るハットリくんの銅像が設置されていたが[12]、2017年(平成29年)3月23日に『プロゴルファー猿』の主人公・猿谷猿丸が自作ドライバーでスイングを決める立像が新たに設置された[13]。隣接する一般商店の壁面には、立山連峰を背景に富山湾沖の唐島を模した架空のコースで猿が放った打球がグリーン目がけて飛んで行く様子が描かれている。
中央町・氷見漁港一帯
[編集]- 忍者ハットリくん巨大壁画
- 2009年(平成21年)より、氷見漁港の製氷施設に「ハットリくんとその仲間たちに会える街 氷見」のキャッチコピーを冠した壁画を公開している[12]。2022年(令和4年)12月に「まんがロード」伊勢大町 - 本町区間整備と合わせてデザインがリニューアルされた[15]
- 氷見市漁業文化交流センター(ひみの海探検館)
- センター自体は「まんがワールド」の構成施設ではないが、近接する公園にハットリくんや旧「氷見フィッシャーマンズワーフ海鮮館」のマスコットとして作成された「ひみぼうずくん」を象ったすべり台などの遊具がある。
- また、道路を挟んで向かいにある交流施設「ブリンス館」は「サカナ紳士録」のキャラクターから命名された。
今後の構想
[編集]「まんがロード」は2023年(令和5年)3月の「黒ベエのシャドウ・サプライズ」設置により全区間の整備を完了したが、2018年(平成30年)には旧富山県立有磯高校の校舎を再利用した現在地に移転するまで市役所が立地していた光禅寺前駐車場に屋外展示型の「まんが広場」を整備する計画が発表されている[16]。
まんがワールドまつり
[編集]2008年(平成20年)8月にJR氷見駅で「忍者ハットリくん ニンニン元気まつりin氷見」が行われ、ハットリくんが一日駅長に任命された。その後、2011年(平成23年)から毎年5月5日(ハットリくんの誕生日)に市内各所で「まんがワールドまつり」の名称でイベントが定期開催されるようになり現在に至っている。同年10月1日には「潮風フェスタ2011」、2012年(平成24年)から2015年(平成27年)にかけては「まんがロードフェスタ」の名称で秋にもイベントを開催していたが、2016年(平成28年)以降は5月の「まんがワールドまつり」に一本化された。
2020年(令和2年)と2021年(令和3年)の「まんがワールドまつり」は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、2022年(令和4年)には氷見市の市制70周年記念事業として3年ぶりに開催され、前月に逝去した藤子Ⓐを偲んで多くの市民や観光客が参加した[17]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “地域再生計画”. 氷見市役所. 2022年8月9日閲覧。
- ^ “「氷見市 藤子不二雄(A)まんがワールド」のホットな情報を発信!”. 氷見市役所 (2020年3月7日). 2022年8月9日閲覧。
- ^ “藤子Ⓐキャラ新顔参上 パラソルヘンべえ・ウルトラB・ビリ犬 氷見市潮風ギャラリー”. 富山新聞 (北國新聞富山本社). (2022年3月20日) 2022年8月9日閲覧。
- ^ a b 小畑一成 (2023年3月14日). “63体目 黒ベエで完成 氷見市のまんがロード整備”. 北陸中日新聞 (中日新聞北陸本社) 2023年3月14日閲覧。
- ^ “ハットリくん列車、ピカピカでござる 氷見の園児が清掃奉仕”. 富山新聞 (北國新聞富山本社). (2022年12月10日) 2023年3月14日閲覧。
- ^ a b c “ハットリくんに怪物くん! 氷見「まんがワールド」は大人も楽しい!”. オリコンニュース. (2021年9月29日) 2022年8月9日閲覧。
- ^ “氷見まんがロード、モニュメント62体に 藤子Ⓐキャラ披露「かわいい」”. 富山新聞 (北國新聞富山本社). (2022年8月28日) 2022年8月28日閲覧。
- ^ a b c “氷見に「黒ベエ」像現る! 63体目、まんがロード整備完成”. 北日本新聞. (2023年3月14日) 2023年3月14日閲覧。
- ^ “あなたのココロのスキマにそっと…喪黒福造のベンチ、氷見にドーン!”. 読売新聞富山版. (2020年12月6日) 2022年8月9日閲覧。
- ^ ブリンスに出会えるまち HIMI(未来観光戦略会議)
- ^ “風景印 氷見郵便局”. 日本郵便. 2022年8月11日閲覧。
- ^ a b 氷見市産業部商工観光課. “能越・東海北陸自動車道が氷見市の観光産業に与えた影響と今後の課題”. 富山県庁. 2022年8月9日閲覧。
- ^ 氷見市 (2017年3月15日). “全国初! プロゴルファー猿のフォトスポットが富山県氷見市に誕生!”. PR Wire. 共同通信社. 2022年8月9日閲覧。
- ^ 富山新聞、2012年9月16日付15面「広がれ『まんがロード』氷見、比美町、中央町商店街フェスタ 喪黒福造『ドーン』と除幕」。
- ^ 大谷秀幸 (2022年12月20日). “富山 氷見漁港の忍者ハットリくん巨大壁画がリニューアル”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社) 2023年3月14日閲覧。
- ^ 「氷見まんが広場」の提案(氷見市役所『広報ひみ』平成30年2月号, p6)
- ^ “人気キャラ、笑顔招く 富山県氷見市・藤子Ⓐまんがワールド コロナ後最多、潮風ギャラリー513人来館”. 富山新聞 (北國新聞富山本社). (2022年5月6日) 2022年8月9日閲覧。
関連項目
[編集]- 高岡おとぎの森公園 - 高岡市にある都市公園。1987年(昭和62年)まで藤子Ⓐと「藤子不二雄」の共有筆名を使用していた藤子・F・不二雄(藤本弘)の代表作『ドラえもん』の登場キャラクター像が設置されている。
- 高岡市美術館 - 2015年(平成27年)に「高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」を開設。
- 富山県の観光地