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日本の地名の略表記一覧

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

日本の地名の略表記一覧（にほんのちめいのりゃくひょうきいちらん）は、日本の地名を省略して表記した主なものの一覧である。

一覧の手引き

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当項目における地名の略表記とは、元の地名の一部を省略して、主として漢字一字で象徴的に表現され、それが軸字[注 1]あるいは形態素となって他の漢字と結びついて、二字以上から成る熟語をつくることのある地名の表記、また、その軸字をいう。例として、東名高速道路、甲信越地方などが挙げられる。

当一覧の収載基準は原則として、軸字について、旧国名（令制国名）、都道府県名、市区町村名のいずれかを由来とするもの、及び日本の地域の項目にて言及されている、日本列島を構成する主要四島および各広域地方区分の名称に由来するものに限る。また、適切な用例が見当たらないものは掲載しないこととする。

以下の表では、用例から軸字と読みを抽出して、それらを元となった地名とともに示した。出典は、軸字と元となった地名との関係を補足説明する典拠となるものである。

旧国名に由来するもの

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以下は、軸字が旧国名（令制国名）に由来する略表記。

軸字 読み 元となった地名 用例 出典 備考
渡 [読み疑問点] 渡島国 渡州
後 [読み疑問点] 後志国 後州
胆 たん 胆振国 胆州、日胆
石 せき 石狩国 石州、石勝線
狩 かり 石狩国 狩勝峠
天 てん 天塩国 天州、天北線
北 ほく 北見国 北州、石北本線、天北線
日 にち 日高国 日州、日胆
高 [読み疑問点] 日高国 高州
十 [読み疑問点] 十勝国 十州
勝 しょう
かち		 十勝国 石勝線
狩勝峠
釧 せん 釧路国 釧州、根釧台地
根 こん 根室国 根州、根釧台地
千 [読み疑問点] 千島国 千州
奥 おう 陸奥国 奥州、奥羽山脈 [1]
陸 りく
ろく		 陸奥国 陸州 [2]
陸 りく 陸奥国 三陸海岸 [2]
陸 りく 陸前国 三陸海岸、陸羽東線 [2]
陸 りく 陸中国 三陸海岸 [2]
磐 ばん 磐城国 磐州、磐越道、常磐線 [3]
岩 がん 岩代国 岩州
羽 う 出羽国 羽州、奥羽山脈、羽越本線 [4]
羽 う 羽前国 羽州、陸羽東線 [4]
羽 う 羽後国 羽州 [4]
野 や 下野国 野州 [5]
上 じょう 上野国 上州、上信越道、上信電鉄 [6]
房 ぼう 安房国 房州、内房線、外房線 [7]
安 あん 安房国 安州
総 そう 上総国 総州、総武本線 [8]
総 そう 下総国 総州、総武本線、常総線 [8]
常 じょう 常陸国 常州、常磐線、常総線 [9]
武 ぶ 武蔵国 武州、総武本線、西武鉄道、東武鉄道 [10]
相 そう 相模国 相州、相鉄 [11]
豆 ず 伊豆国 豆州、駿豆線 [12]
駿 すん 駿河国 駿州、駿豆線 [13]
遠 えん 遠江国 遠州、三遠南信 [14]
三 さん 三河国 三州 [15]
参 さん 三河国 参州 [16]
尾 び 尾張国 尾州、濃尾平野 [17]
甲 こう 甲斐国 甲州、甲信越地方 [18]
美 み 美濃国 越美南線 [19]
濃 のう 美濃国 濃州、濃尾平野、濃飛横断自動車道、江濃地震 [20]
飛 ひ 飛騨国 飛州、飛越地震、濃飛横断自動車道 [21]
信 しん 信濃国 信州、甲信越地方、三遠南信 [22]
佐 さ 佐渡国 佐州 [23]
渡 と 佐渡国 渡州
越 えつ 越後国 越州、甲信越地方、上越新幹線、羽越本線、関越道、磐越道 [24]
越 えつ 越中国 越州、能越道、飛越地震 [24]
加 か 加賀国 加州、加越台地 [25]
能 のう 能登国 能州、能越道 [26]
越 えつ 越前国 越州、越山若水、加越台地、越美北線 [24]
若 じゃく
わか		 若狭国 若州、越山若水、江若鉄道
舞若道		 [27]
江 ごう
こう		 近江国 江州
江若鉄道、江濃地震		 [28]
山 さん 山城国 山州
城 じょう 山城国 城州 [29]
丹 たん 丹後国 丹州 [30]
丹 たん 丹波国 丹州 [30]
但 たん 但馬国 但州、播但線 [31]
播 ばん 播磨国 播州、播但線
淡 たん 淡路国 淡州、紀淡海峡 [32]
摂 せつ 摂津国 摂州 [33]
泉 せん 和泉国 泉州 [34]
河 か 河内国 河州 [35]
和 わ 大和国 和州
紀 き 紀伊国 紀州、紀淡海峡、紀勢道 [36]
勢 せい 伊勢国 勢州、紀勢道 [37]
伊 い 伊賀国 伊州 [38]
志 し 志摩国 志州 [39]
阿 あ 阿波国 阿州 [40]
土 ど 土佐国 土州、薩長土肥、土讃線、予土線 [41]
予 よ 伊予国 予州、予讃線、予土線、芸予諸島、豊予海峡 [42]
讃 さん 讃岐国 讃州、土讃線、本四備讃線、予讃線
美 び 美作国 因美線
作 さく 美作国 作州 [43]
備 び 備前国 備州、本四備讃線 [44]
備 び 備中国 備州、伯備線、芸備線、本四備讃線 [44]
備 び 備後国 備州 [44]
芸 げい 安芸国 芸州、芸備線、芸予諸島 [45]
防 ぼう 周防国 防州 [46]
周 しゅう 周防国 周州
長 ちょう 長門国 長州、薩長土肥 [47]
石 せき 石見国 石州
雲 うん 出雲国 雲州、雲伯方言 [48]
隠 いん
おん		 隠岐国 隠州 [49]
伯 はく 伯耆国 伯州、伯備線、雲伯方言 [50]
因 いん 因幡国 因州、因美線 [51]
筑 ちく 筑前国 筑州、筑豊炭田、筑肥線、肥筑方言
筑 ちく 筑後国 筑州、肥筑方言
豊 ほう 豊前国 豊州、豊日方言、筑豊炭田、日豊本線 [52]
豊 ほう 豊後国 豊州、豊日方言、豊予海峡、日豊本線、豊肥本線 [52]
肥 ひ 肥前国 肥州、肥筑方言、薩長土肥、筑肥線 [53]
肥 ひ 肥後国 肥州、肥筑方言、肥薩線、豊肥本線 [53]
壱 いち 壱岐国 壱州 [54]
対 たい 対馬国 対州 [55]
日 にち 日向国 日州、日豊本線、豊日方言 [56]
向 こう 日向国 向州
隅 ぐう 大隅国 隅州、薩隅方言 [57]
薩 さつ 薩摩国 薩州、薩隅方言、薩長土肥、肥薩線

都道府県・市区町村名に由来するもの

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以下は、軸字が都道府県や市区町村の名に由来する略表記。

軸字 読み 元となった地名 用例 出典 備考
道 どう 北海道 道央
札 さつ 札幌市 札樽道
函 かん 北海道函館市 青函トンネル [58]
樽 そん 北海道小樽市 札樽道
釧 せん 北海道釧路市 釧網本線
網 もう 北海道網走市 釧網本線
青 せい 青森県、青森市 青函トンネル
五 ご 青森県五所川原市 五能線
仙 せん 仙台市 仙山線、仙石線
石 せき 宮城県石巻市 仙石線
能 のう 秋田県能代市 五能線
山 ざん 山形県、山形市 仙山線
米 よね 山形県米沢市 米坂線
高 こう 群馬県高崎市 八高線
埼 さい 埼玉県 埼京線
葉 よう 千葉県、千葉市 京葉線
成 せい 千葉県成田市 京成電鉄
東 とう 東京都 東名高速道路、東横線 [59]
京 けい
きょう		 東京都 京浜工業地帯、京葉線
埼京線		 [60]
都 と 東京都 都庁
八 はち 東京都八王子市 八高線
王 おう 東京都八王子市 京王線
横 よこ 横浜市 東横線
浜 ひん 横浜市 京浜工業地帯、京浜東北線 [61]
糸 いと 新潟県糸魚川市 大糸線、糸静線
福 ふく 福井県、福井市 福武線、京福電鉄
武 ぶ 福井県旧武生市 福武線
多 た 岐阜県多治見市 太多線
静 せい
しず		 静岡県、静岡市 静清バイパス
糸静線
清 しん 静岡市清水区 静清バイパス
名 めい 名古屋市 東名高速道路、名神高速道路、名鉄
松 しょう 三重県松阪市 名松線
滋 じ 滋賀県 京滋バイパス
津 しん 滋賀県大津市 京津線
京 けい 京都府、京都市 京阪神、京阪式アクセント、京阪電車 [60]
福 ふく 京都府福知山市 宮福線
舞 まい 京都府舞鶴市 舞若道
宮 みや 京都府宮津市 宮福線
阪 はん 大阪府、大阪市 京阪神、阪神工業地帯、阪和線、阪急電鉄、京阪電車 [46]
堺 かい 大阪府堺市 阪堺線
神 しん 神戸市 京阪神、名神高速道路、第二神明道路 [62]
宝 ほう 宝塚市 尼宝線
尼 あま
に		 尼崎市 尼宝線
明 めい 兵庫県明石市 第二神明道路、明姫幹線
姫 き 兵庫県姫路市 姫新線、明姫幹線
奈 な 奈良県、奈良市 阪奈トンネル
和 わ 和歌山県、和歌山市 阪和線
江 こう 島根県江津市 三江線
新 しん 岡山県新見市 姫新線
福 ふく 広島県福山市 福塩線
三 さん 広島県三次市 三江線
関 かん 山口県下関市 関門海峡
岩 がん 山口県岩国市 岩徳線
徳 とく 山口県旧徳山市 岩徳線
徳 とく 徳島県徳島市 高徳線
高 こう 香川県高松市 高徳線
久 きゅう 福岡県久留米市 久大本線
門 もん 北九州市門司区 関門海峡
大 だい 大分県、大分市 久大本線
都 と 宮崎県都城市 吉都線

その他の広域地名に由来するもの

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以下は、軸字が旧国名、都道府県、市町村以外で、主要な地理的名称に由来する略表記。

軸字 読み 元となった地名 用例 出典 備考
本 ほん 本州 本四備讃線
四 し 四国 本四備讃線
関 かん 関東地方 関越道
北 ほく 北陸地方 北信越地方
近 きん 近畿地方 近鉄

参考文献

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  • 藤堂明保、松本昭、竹田晃、加納喜光『漢字源』（改訂第五版）学習研究社、2011年。ISBN 978-4-05-303101-3。 

脚注

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  1. ^ 言語学者の鈴木英夫により設定された概念で、「二字漢語において、一定の位置を占め、同じような意味内容で他の漢字（付加字）と結び付いて、一群の漢語を構成する漢字」を指す。

出典

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  1. ^ 『漢字源』改訂第五版、375頁。
  2. ^ a b c d 『漢字源』改訂第五版、1706頁。
  3. ^ 『漢字源』改訂第五版、1130頁。
  4. ^ a b c 『漢字源』改訂第五版、1272頁。
  5. ^ 『漢字源』改訂第五版、1632頁。
  6. ^ 『漢字源』改訂第五版、13頁。
  7. ^ 『漢字源』改訂第五版、608頁。
  8. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、1240頁。
  9. ^ 『漢字源』改訂第五版、487頁。
  10. ^ 『漢字源』改訂第五版、851頁。
  11. ^ 『漢字源』改訂第五版、1099頁。
  12. ^ 『漢字源』改訂第五版、1500頁。
  13. ^ 『漢字源』改訂第五版、1795頁。
  14. ^ 『漢字源』改訂第五版、1597頁。
  15. ^ 『漢字源』改訂第五版、9頁。
  16. ^ 『漢字源』改訂第五版、225頁。
  17. ^ 『漢字源』改訂第五版、452頁。
  18. ^ 『漢字源』改訂第五版、1053頁。
  19. ^ 『漢字源』改訂第五版、1267頁。
  20. ^ 『漢字源』改訂第五版、953頁。
  21. ^ 『漢字源』改訂第五版、1773頁。
  22. ^ 『漢字源』改訂第五版、91頁。
  23. ^ 『漢字源』改訂第五版、74頁。
  24. ^ a b c 『漢字源』改訂第五版、1529頁。
  25. ^ 『漢字源』改訂第五版、183頁。
  26. ^ 『漢字源』改訂第五版、748頁。
  27. ^ 『漢字源』改訂第五版、1322頁。
  28. ^ 『漢字源』改訂第五版、878頁。
  29. ^ 『漢字源』改訂第五版、323頁。
  30. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、29頁。
  31. ^ 『漢字源』改訂第五版、77頁。
  32. ^ 『漢字源』改訂第五版、923頁。
  33. ^ 『漢字源』改訂第五版、653頁。
  34. ^ 『漢字源』改訂第五版、875頁。
  35. ^ 『漢字源』改訂第五版、888頁。
  36. ^ 『漢字源』改訂第五版、1215頁。
  37. ^ 『漢字源』改訂第五版、192頁。
  38. ^ 『漢字源』改訂第五版、65頁。
  39. ^ 『漢字源』改訂第五版、548頁。
  40. ^ 『漢字源』改訂第五版、1695頁。
  41. ^ 『漢字源』改訂第五版、311頁。
  42. ^ 『漢字源』改訂第五版、41頁。
  43. ^ 『漢字源』改訂第五版、75頁。
  44. ^ a b c 『漢字源』改訂第五版、112頁。
  45. ^ 『漢字源』改訂第五版、1316頁。
  46. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、1694頁。
  47. ^ 『漢字源』改訂第五版、1676頁。
  48. ^ 『漢字源』改訂第五版、1727頁。
  49. ^ 『漢字源』改訂第五版、1713頁。
  50. ^ 『漢字源』改訂第五版、79頁。
  51. ^ 『漢字源』改訂第五版、303頁。
  52. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、1501頁。
  53. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、739頁。
  54. ^ 『漢字源』改訂第五版、345頁。
  55. ^ 『漢字源』改訂第五版、437頁。
  56. ^ 『漢字源』改訂第五版、699頁。
  57. ^ 『漢字源』改訂第五版、1709頁。
  58. ^ 『漢字源』改訂第五版、159頁。
  59. ^ 『漢字源』改訂第五版、781頁。
  60. ^ a b 『漢字源』改訂第五版、52頁。
  61. ^ 『漢字源』改訂第五版、909頁。
  62. ^ 『漢字源』改訂第五版、1139頁。

関連項目

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その他の国における地名の略表記の例
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