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広尾線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
広尾線
広尾線で使用された9600形(愛国駅)
広尾線で使用された9600形愛国駅
概要
現況 廃止
起終点 起点:帯広駅
終点:広尾駅
駅数 17駅[1]
運営
開業 1929年11月2日 (1929-11-02)[2]
廃止 1987年2月2日 (1987-2-2)[2][1]
所有者 鉄道省運輸通信省運輸省
日本国有鉄道
路線諸元
路線総延長 84.0 km (52.2 mi)[1]
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)[1]
最小曲線半径 300 m (980 ft)
電化 全線非電化
最急勾配 20
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
STR
根室本線
eABZg+l
士幌線
ekABZg3
十勝鉄道戸蔦線
0.0 帯広駅
exKHSTe STR
帯広大通
exKRW+l eKRWgr
売買川橋梁 売買川(廃川)
WASSER+l exhKRZWae hKRZWae
左:第三札内川橋梁[3]
右:札内川橋梁
札内川
WASSER exSTR STRl
根室本線
WASSER exBHF
4.1 依田駅
WASSER exBHF
6.7 北愛国駅
WASSER exBHF
11.0 愛国駅
WABZgl exWBRÜCKE1
草森川橋梁 草森川
WASSER exSKRZ-G2BUE
道道62号
WASSER exBHF
16.7 大正
WASSER exBHF
22.0 幸福駅
WASSERr exBHF
28.1 中札内駅
exSKRZ-G2u
国道236号
exhKRZWae WABZq+l
更別川橋梁 サラベツ川
exBHF WASSER
35.4 更別駅
exWBRÜCKE1 WABZgr
サッチャルベツ川橋梁 サッチャルベツ川
exWBRÜCKE1 WABZgr
サッチャロベツ川橋梁 サッチャロベツ川
exhKRZWae WASSERr
猿別川橋梁 猿別川
exBHF
42.0 上更別駅
exWBRÜCKE1
サクウシュトープイ川橋梁 当縁川
exBHF
50.0 忠類
exBHF
54.4 十勝東和駅
exhKRZWae
日方川橋梁 歴舟川(日方川)
exSKRZ-G2BUE
国道236号
exBHF
60.6 大樹駅
exhKRZWae
第二振別川橋梁 振別川
exhKRZWae
竜川橋梁 リュウ川
exBHF
64.9 石坂駅
exhKRZWae
紋別川橋梁 紋別川
exhKRZWae
越川橋梁 インダタラ川
exSKRZ-G2BUE
国道336号
exBHF
71.2 豊似駅
exhKRZWae
豊似川橋梁 豊似川
exWBRÜCKE1
野塚川橋梁 野塚川
exBHF
76.3 野塚駅
exBHF
79.1 新生駅
exSKRZ-G2u
国道236号
exhKRZWae
楽古川橋梁 楽古川
exhKRZWae
福留川橋梁
exKBHFe
84.0 広尾駅

広尾線(ひろおせん)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線地方交通線)。北海道帯広市帯広駅で根室本線から分岐し、十勝平野を南下して広尾郡広尾町広尾駅に至る路線であった。

国鉄再建法の制定により1984年第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年2月2日に全線廃止となった。

路線データ

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  • 管轄:日本国有鉄道
  • 路線距離(営業キロ):帯広 - 広尾 84.0km[1][2]
  • 軌間:1067mm[1]
  • 駅数:17(起終点駅含む)[1]
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化[1]
  • 閉塞方式:タブレット閉塞式
    • 交換可能駅:5(大正、中札内、上更別、忠類、大樹)
1966年の十勝支庁地図。
1966年の十勝支庁地図。

運行形態

[編集]

廃止前年の1986年11月1日改正時点では、全線通しの普通列車のみが6往復設定されていた[4]

鉄道による観光輸送が全盛期であった1962年7月1日に、夏季(9月2日まで)運行の臨時準急「ひろお」1往復が全線で設定され、1965年まで毎年運行された(途中停車は大樹駅)。1966年は士幌線糠平駅と広尾駅の間を結ぶ形(広尾線内は「ひろお」、士幌線内は「しほろ」)で、8月の2週間運行された。1967年からは糠平・広尾間を臨時急行「大平原」として運行され、広尾ではこれに接続する国鉄バスも増発された。「大平原」はいずれも鉄道としては盲腸線であるローカル線を結んで走るという、珍しい運行形態であった。1975年の夏は広尾線内のみの運行となり、その年限りで廃止となっている。

臨時急行「大平原」停車駅(1969年9月時点)
広尾 - 大樹 - 帯広 - 士幌 - 上士幌 - 糠平

歴史

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改正鉄道敷設法別表第133号に規定する「膽振國苫小牧ヨリ鵡川、日高國浦河、十勝國廣尾ヲ經テ帶廣ニ至ル鐵道」の一部であり、1929年から1932年にかけて帯広 - 広尾間が開業した。西側の区間は、2つの軽便鉄道を買収して延長した日高本線として1935年に様似まで開業したが、様似 - 広尾間は未開業に終わり、国鉄バス襟裳線(現在はジェイ・アール北海道バス日勝線)がその間を結んでいた。1980年に国鉄再建法が成立すると、第2次特定地方交通線に指定され、国鉄分割民営化直前の1987年2月に廃止された。

国鉄広尾線時代に愛国駅 - 幸福駅間の切符が「愛の国から幸福へ」として人気となり、一連の縁起切符ブームの火付け役となった。1981年度の営業成績は、80%がこの切符の売り上げとなった。廃止後は、当路線の代行バスを運行している十勝バス(詳細後述)が引き続き硬券乗車券を発売している。なお当路線では「新生駅 - 大樹駅」の切符を求める人もいた。

  • 1929年(昭和4年)11月2日: 帯広 - 中札内間 (28.1km) を広尾線として新規開業[2][5]。愛国駅・幸震駅・中札内駅を新設[1]
  • 1930年(昭和5年)10月10日: 中札内 - 大樹間 (32.5km) を延伸開業[2][6]。更別駅・上更別駅・忠類駅・大樹駅を新設[1]
  • 1932年(昭和7年)11月5日: 大樹 - 広尾間 (23.4km) を延伸開業し[7]、全通[2]。石坂駅・豊似駅・野塚駅・広尾駅を新設[1]
  • 1944年(昭和19年)4月1日: 幸震駅を大正駅に改称[1]
  • 1953年(昭和28年)11月15日: 北愛国駅を新設[1]
  • 1955年(昭和30年)10月10日: 帯広駅 - 中札内駅間の旅客列車2往復に気動車を投入[8]
  • 1956年(昭和31年)
    • 6月1日:帯広駅 - 広尾駅間の旅客列車のうち、通学対策列車を除く3往復を気動車化[8]
    • 8月26日?: 幸福仮乗降場を新設。
    • 11月1日: 幸福仮乗降場を駅に改める[1]
  • 1957年(昭和32年)12月25日: 依田駅を新設[1]
  • 1958年(昭和33年)1月15日:旅客列車6往復を全面気動車化[8]
  • 1960年(昭和35年)4月15日: 十勝東和駅、新生駅を新設[1]
  • 1964年(昭和39年)3月10日 - 12月25日: 根室本線札内川橋梁の改修工事のため、根室本線の全列車が当路線を迂回する。
  • 1975年(昭和50年)5月3日: 帯広 - 広尾間でSLお別れ列車を運転[9]。19671+9654の9600形重連
  • 1982年(昭和57年)9月10日: 全線 (84.0km) の貨物営業を廃止[2]
  • 1984年(昭和59年)6月22日: 第2次特定地方交通線として廃止承認[10]
  • 1987年(昭和62年)2月2日: 全線 (84.0km) を廃止[2][1]し、十勝バスのバス路線に転換[11]

駅一覧

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  • 駅・事業者・所在地などの名称は、広尾線廃止時点のもの。
  • 全駅北海道に所在。
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
帯広駅 - 0.0 日本国有鉄道根室本線士幌線[12] 帯広市
依田駅 4.1 4.1   中川郡幕別町
北愛国駅 2.6 6.7   帯広市
愛国駅 4.3 11.0  
大正駅 5.7 16.7  
幸福駅 5.3 22.0  
中札内駅 6.1 28.1   河西郡 中札内村
更別駅 7.3 35.4   更別村
上更別駅 6.6 42.0  
忠類駅 8.0 50.0   広尾郡 忠類村
十勝東和駅 4.4 54.4   大樹町
大樹駅 6.2 60.6  
石坂駅 4.3 64.9  
豊似駅 6.3 71.2   広尾町
野塚駅 5.1 76.3  
新生駅 2.8 79.1  
広尾駅 4.9 84.0  

廃線後

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代替バス

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広尾線廃止後は、十勝バスが代替バスの運行を開始した[11]。廃止前から十勝バスは並行する路線を運行していたが[11]、拡充する形で早朝・深夜の増発、快速便や区間便、道路事情の関係でルートから外れる依田・北愛国経由などの系統も設定されたり、転換交付金による新車も投入された[11]。その後は中型車の運行や、系統の統合(依田・北愛国経由は廃止)や減便を実施しているが、モータリゼーションの更なる進行や、沿線の過疎化の影響で、乗車率は低迷しており、2006年に国土交通省北海道運輸局が公表した「高額補助金交付路線」に名を連ねた。

2017年11月4日現在、帯広駅バスターミナル - 広尾間に平日14往復、休日10往復が運行されている。このほか、沿線の通学客用に下りは帯広市バスターミナル→大正小学校前間の区間便が1本、上りは更別南3線・中札内小学校前・大正→三条高校開西病院前・大谷高校前・緑陽高校前間の区間便が、それぞれ1本運行されている(区間便は、学校登校日のみ運行)[13]

遺構

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2018年現在、廃線から四半世紀以上経過するが、待合室のみの駅を含む旧駅舎が4駅(愛国、幸福、忠類、大樹)残存しており、記念公園(愛国、幸福、忠類)になっているものや、他目的に転用されたもの(大樹)などがあるが、営業当時の面影を残している。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳』1号 北海道、新潮社、2008年、p.40
  2. ^ a b c d e f g h 宮脇俊三編著『鉄道廃線跡を歩く』IV、JTB、1997年、p.201
  3. ^ 元は第一、第二札内川橋梁があった。
  4. ^ 『交通公社の時刻表』1986年12月号、日本交通公社、p.518
  5. ^ 「鉄道省告示第216・217号」『官報』1929年10月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「鉄道省告示第253・254号」『官報』1930年10月3日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「鉄道省告示第428・429号」『官報』1932年10月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ a b c 大樹町史編さん委員会 編『大樹町史』大樹町、1969年3月30日、464頁。doi:10.11501/9539029https://dl.ndl.go.jp/pid/95390292023年6月4日閲覧 
  9. ^ 池田光雅『鉄道総合年表1972-93』中央書院、1993年、p.34
  10. ^ 池田光雅『鉄道総合年表1972-93』中央書院、1993年、pp.84,98
  11. ^ a b c d 鉄道ジャーナル』第21巻第7号、鉄道ジャーナル社、1987年6月、98頁。 
  12. ^ 『日本鉄道旅行地図帳』 1号 北海道、今尾恵介(監修)、新潮社、2008年5月、16、40頁。ISBN 9784107900197 
  13. ^ 北海道・十勝・帯広 平成28年11月26日改正 十勝バス時刻表No.6 (PDF) - 十勝バス

関連項目

[編集]
  • 中札内美術村 - 旧広尾線の枕木が遊歩道に使用されている。
  • 芹洋子 - 『愛の国から幸福へ』という曲を歌った歌手
  • やまがたすみこ - 『幸福駅』という曲を作詞・作曲し歌唱したシンガーソングライター

外部リンク

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