ロック・フェスティバル
ロック・フェスティバル(英: rock festival)は、ロックバンドが多数出演する大規模な音楽コンサートである。俗にロックフェス(rock fes.)と略され、さらに縮めてフェス(fes.)とも呼ばれる。ロックに特化していないフェスティバルにも総称としてロック・フェスティバルの言葉が使われることが多く、本項ではポピュラー音楽を扱う音楽フェスティバル全般について記述する。
1960年代後半にアメリカで始まったロック・フェスティバルは、多くの場合、開放的な農村地域や野外のスポーツアリーナ、公園などの野外で2日以上に渡って開催される。複数のステージと多数の出演者を特徴とし、多くの観客を集め、時には数十万人規模になることもある。このような新しい形態の音楽祭をロック・フェスティバルと呼ぶようになり、現代ではロックだけでなくポピュラー音楽全般へと対象ジャンルを広げたイベントもロック・フェスティバルと呼んでいる。
日本では開催される時期・季節によって春フェス、夏フェス、秋フェス、冬フェスと称される。
歴史[編集]
世界[編集]
1960年代後半にアメリカ合衆国で開催されたモントレー・ポップ・フェスティバルやウッドストック・フェスティバルがロック・フェスティバルの始まりである[1]。他にワイト島音楽祭[2]、ザ・ストーンズ・イン・ザ・パーク(複数バンド参加)、バングラディシュ救済コンサート、ワトキンス・グレン[注 1]、SNACKコンサート、ザ・バンド・ラスト・ワルツ、ノー・ニュークス・コンサート[注 2]など60年代後半から70年代にかけては、歴史的で価値のあるロック・フェスが開催された時代だった。
1980年代の社会的なコンサートとしては、ニール・ヤングらによる「ファーム・エイド」があげられる。これ以降は集客に力点が置かれた、文字通りのフェスティバルが多くなる傾向が見られた。
80年代にはヘヴィメタル・フェスのモンスターズ・オブ・ロック、1990年代初頭にはオルタナティブ・ロックの隆盛に伴ってアメリカ合衆国のロラパルーザやイギリスのグラストンベリー・フェスティバルなどの野外ロック・フェスティバルが開催された[3]。2000年代に入るとコーチェラやボナルーといった新世代のフェスティバルが人気を博し、2010年代はロックからEDM、ポップ、ヒップホップへとフェスティバルの主流が移り変わっていった[4]。
日本[編集]
日本では1969年に第1回「日本ロック・フェスティバル」が厚生年金ホールで行われ、その後、日比谷野外音楽堂において「日比谷ロック・フェスティバル」が開催されるようになった。74年に大規模な「ワン・ステップ・フェスティバル」[注 3]、75~76年には「ワールド・ロック・フェスティバル・イーストランド」[注 4]が開催された。現在のような郊外の野外で大規模に毎年開催されるようになった例としては、1981年から始まったロックンロールオリンピックがある[5]。
バブル景気期の1980年代末になると、大型スポンサーを後ろ盾に外国のジャズやロックの著名なアーティストを呼んだ大規模な野外コンサートが行われるようになったが、バブル崩壊でスポンサーを失うと下火になっていった。
しかし欧米での野外ロック・フェスティバルの隆盛を受け、1997年に開催されたFUJI ROCK FESTIVALを皮切りに、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、ROCK IN JAPAN FESTIVALが開催され、現在これらは日本4大ロックフェスと呼ばれている[6]。4大ロックフェスを含む多くのロックフェスが夏に開催される一方、春フェスの代表としてARABAKI ROCK FEST.、VIVA LA ROCK、JAPAN JAM、METROCKなどがある。
なお、日本では1つのステージに数組のバンドが出演する、通常のコンサートと変わらない形態のイベントがロックフェスティバルを自称する場合がある。
特徴[編集]
通常のコンサートは、ステージが1つで出演するアーティストのラインナップが少ないのに対し、ロック・フェスティバルでは広大なエリアに複数のステージと多数の出演者が用意されていることが多い。
観客はスケジュール表(タイムテーブル、set times)で出演者のステージと時間を確認し、自由に会場内を移動することができる。
多くのフェスティバルではキャンプエリアを提供している。これは開催地の宿泊施設ではすべての観客をサポートできないためか、会場への交通アクセスが混雑しないようにするためとされる。
多数の観客が集まるロック・フェスティバルはトラブルも多く、1999年のウッドストックのように水などのリソースが観客に十分に提供されず失敗に終わった例もある[7]。
日本の音楽フェスティバル一覧[編集]
毎年開催のフェスティバル[編集]
北海道・東北地方[編集]
山形県
- 岩壁音楽祭
関東地方[編集]
- ベリテンライブ
- ULTRA JAPAN
- SYNCHRONICITY
- SOUL CAMP
- TOKYO BIG RUMBLE
- WORLD HAPPINESS
- 未確認フェスティバル
- BAYCAMP
- DEAD POP FESTiVAL
中部地方[編集]
- 音楽と髭達 FESTIVAL
- Jin Rock Festival
- FUJI ROCK FESTIVAL
- POP HILL
- 百万石音楽祭〜ミリオンロックフェスティバル〜
- 白山一里野音楽祭
- 朝霧JAM
- 頂 -ITADAKI-
- マグロック
- フジソニック
近畿地方[編集]
中国地方[編集]
四国地方[編集]
九州・沖縄地方[編集]
- GOTTON JAM
- CIRCLE
- Sunset Live
- NUMBER SHOT
- PEACEFUL LOVE Rock Festival
- MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL
複数都市同時開催型[編集]
同時に複数の都市で開催し、日によって出演者を入れ替えるフェスティバル
都市巡回型[編集]
各地の都市を巡回するトラベリング・フェスティバル
開催地不定[編集]
不定期で行われるフェスティバル[編集]
単発開催のフェスティバル[編集]
- 三里塚幻野祭 (1971年)
- ワン・ステップ・フェスティバル (1974年) ←翌年に第2回に相当する「空飛ぶカーニバル」が、2001年に当時(1974年)を振り返る音楽フェスがそれぞれ開催されており、「単発開催」と言えるかは微妙なところ。要修正?
- ワールド・ロック・フェスティバル・イーストランド(1975年) ←5都市を巡演する形で行われ、翌年も開催されたので「単発開催」ではない。要修正!
- 国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW (1985年)
- BEAT CHILD (1987年)
- さんピンCAMP (1996年)
- KOIWAI ROCK FESTIVAL (2003年)
- THE ROCK ODYSSEY (2004年)
- UDO MUSIC FESTIVAL (2006年)
- THE 夢人島 Fes. (2006年)
- hide memorial summit (2008年)
- VISUAL JAPAN SUMMIT (2016年)
終了したフェスティバル[編集]
北海道・東北地方
青森県
- ハマロック (1994年-2003年)
- Rock'n Roll Olympic (1981年-1994年)
- Tororo Rock FESTIVAL (2005年-2008年)
関東地方
埼玉県
- EDC Japan (2017年-2019年)
- V-ROCK FESTIVAL (2009年-2012年)
- Electraglide (2000年-2013年)
- エレクトロックス (2014年-2017年)
- 湘南音祭 (2005年-2013年)
- 閃光ライオット (2008年-2014年)
- B BOY PARK (1997年-2017年)
- 日本語のろっくとふぉーくのコンサート (日比谷野音) (1970年-1972年)
- 日比谷ロック・フェスティバル (1971年)
- ROCKS TOKYO (2010年-2012年)
中部地方
長野県
- TAICOCLUB (2006年-2018年)
- 全日本フォークジャンボリー (1969年-1971年)
- YAMAHA Popular Contest (1969年-1986年)
- METAMORPHOSE (2000年-2012年)
- Rock on the Rock (2004年-2012年)
近畿地方
三重県
- TOKAI SUMMIT (2007年-2016年)
中国地方
鳥取県
- Daisen Music Resort (2000年-2006年)
- 蒜山サマーミュージックフェスティバル (1982年-1991年)
- 蒜山ロックフェスティバル (1993年-1998年)
- SETSTOCK (1999年-2012年)
九州・沖縄地方
福岡県
- HIGHER GROUND (2003年-2012年)
- 別府国際ジャズフェスティバル 城島ジャズイン (1972年-1997年)
複数都市同時開催型
- 同時に複数の都市で開催し、日によって出演者を入れ替えるフェスティバル
- SPRINGROOVE (2006年-2015年)
- POPSPRING (2016年-2018年)
都市巡回型
- 各地の都市を巡回するトラベリング・フェスティバル
- YOUNG FLAG (2007年-2009年)
開催地不定
- Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ (2001年-2013年)
- NANO-MUGEN FES. (2003年-2014年)
- BEAST FEAST (2001年-2002年)
- British Anthems (2006年-2010年)
- BOYZ OF SUMMER (2004年-2009年)
- マグマ (2007年-2009年)
- 夕焼けまつり (石川・東京) (1973年-1979年、1993年、1996年、2003年-2008年)
- RAINBOW2000 (石川・静岡) (1996年-1999年)
- レゲエ・サンスプラッシュ (1985年-1997年)
- レゲエ・ジャパン・スプラッシュ (1984年-2003年)
- WIRE (1999年 - 2013年)
世界の音楽フェスティバル一覧[編集]
毎年開催のフェスティバル[編集]
北アメリカ[編集]
- ヴードゥー・エクスピリエンス
- ウルトラ・ミュージック・フェスティバル
- エレクトリック・デイジー・カーニバル
- オースティン・シティ・リミッツ
- ガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル
- コーチェラ・フェスティバル
- サウス・バイ・サウスウエスト
- ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル
- バンバーシュート
- ファーム・エイド
- ボナルー・フェスティバル
- ロラパルーザ
南アメリカ[編集]
ヨーロッパ[編集]
- ワイト島フェスティバル
- グラストンベリー・フェスティバル
- ダウンロード・フェスティバル
- ラヴボックス・フェスティバル
- リーズ・フェスティバル
- レディング・フェスティバル
- ワイヤレス・フェスティバル
- モンスターズ・オブ・ロック (終了1980年-1996年)
- T in the Park (終了1994年-2016年)
- ヴァッケン・オープン・エア
- サウスサイド・フェスティバル
- ハリケーン・フェスティバル
- メルト・フェスティバル
- ロック・アム・リング
- ロック・イム・パルク
- ロラパルーザ ベルリン
- ラブパレード (終了1989年-2010年)
中東[編集]
アフリカ[編集]
オセアニア[編集]
- ビッグ・デイ・アウト (終了1992年-2014年)
アジア[編集]
都市巡回型[編集]
各地の都市を巡回するトラベリング・フェスティバル
不定期で行われたフェスティバル[編集]
- ウッドストック・フェスティバル (1969年, 1994年, 1999年)
単発開催のフェスティバル[編集]
- モンタレー・ポップ・フェスティバル (1967年)
- ザ・ストーンズ・イン・ザ・パーク(1969年)
- アトランタ・インターナショナル・ポップ・フェスティバル(1970年)
- バングラディシュ救済コンサート(1971年)
- ワトキンス・グレン(1973年)
- SNACKコンサート (1975年)
- ザ・バンド・ラスト・ワルツ(1976年)映画公開1978年
- ノー・ニュークス・コンサート (1979年)
- LIVE 8 (2005年)
- LIVE EARTH (2007年)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “We Can All Join In: How Rock Festivals Helped Change America” (英語). LikeTheDew.com (2012年3月5日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ UKロックフェス1969 2021年9月4日閲覧
- ^ “Rolling Stone Australia — Flashback: You Am I "Time is on Our Side"”. web.archive.org (2015年11月20日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “Coachella Valley Music and Arts Festival”. www.coachella.com. 2020年4月7日閲覧。
- ^ https://www.kobe-yamate.ac.jp/library/journal/pdf/univ/kiyo11/11nagai.pdf
- ^ “この20年でフェスはいかにして「国民的娯楽」に変貌したのか(レジー) @gendai_biz”. 現代ビジネス. 2020年4月7日閲覧。
- ^ “Woodstock '99: What the hell happened?”. web.archive.org (2000年10月12日). 2020年4月7日閲覧。