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利用者:小石川人晃/sandbox3

ムラサキタデ
ムラサキタデ Persicaria hydropiper f. purpurascens
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: タデ科 Polygonaceae
亜科 : ミチヤナギ亜科 Polygonoideae
: Persicarieae
亜連 : Persicariinae
: イヌタデ属 Persicaria
: ヤナギタデ P. hydropiper
品種 : ムラサキタデ f. purpurascens
学名
Persicaria hydropiper (L.) Delarbre f. purpurascens (Makino) Nemoto[1]
シノニム
  • Polygonum hydropiper L. f. purpurascens Makino[2]
  • Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. latifolia Araki[3]
和名
ムラサキタデ

ムラサキタデ(紫蓼、学名Persicaria hydropiper f. purpurascens)は、ナデシコ目タデ科イヌタデ属一年生草本。別名でベニタデともよばれていて、日本では若芽を香辛料にし、刺身などの薬味として利用される。

名称

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和名の由来は、芽生えや茎が紅紫色であることから「ムラサキ」、漢名の蓼(リョウ)を訓読みにして「タデ」としている[4]。別名で、ベニタデ[4]、アカタデ(紅蓼)とも呼ばれる。

特徴

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日本全土のほか、北半球の温帯から熱帯地域にかけて広く分布する。川縁など、多少湿り気の多い場所に野生し、日本では栽培化もされている[4]

ヤナギタデ (Polygonum hydropiper) の品種(変種)で[5][6]、茎や葉の色が赤紫がかっているのが特徴である[4]。ふつう一年草であるが、ときには田の中で越年草になることもある[4]。草丈は40センチメートル (cm) ほどになる[4]は赤紫色で無毛。一株から多数の茎が生えて、やや斜めに立ち上がっていく。茎断面は真円ではなく1箇所に凹みがあり、中空である。葉は互生し、短い葉柄あり、基部は托葉梢になって茎の節に筒状につく。葉身は披針形から長卵形で、先端は尖り、葉縁は全縁で、葉質は薄く赤紫色を帯びる。

花期は秋ころ(9月 - 10月)[4]。茎の先や葉腋から総状花序を出し、紅紫色に白が混ざった、紅白の小花を穂状に咲かせて目立つ[4]。花序は細長く、長さ4 - 10 cm、先は下垂して弧を描くような形になり、ややまばらに花がつく。花被片は5枚つく。果実痩果で、長さ約3ミリメートル (mm) の卵形。

茎葉には、特有の香味と辛味がある[4]。よく似た近縁種に通称アカノマンマで知られるイヌタデがあるが、イヌタデは葉に辛味がないため区別はつく[4]

利用

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めたで 芽生え 生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 180 kJ (43 kcal)
8.8 g
食物繊維 6.3 g
0.5 g
飽和脂肪酸 - g
多価不飽和 - g
3.0 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(51%)
410 µg
(45%)
4900 µg
チアミン (B1)
(13%)
0.15 mg
リボフラビン (B2)
(18%)
0.21 mg
ナイアシン (B3)
(7%)
1.1 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.29 mg
ビタミンB6
(21%)
0.27 mg
葉酸 (B9)
(19%)
77 µg
ビタミンC
(81%)
67 mg
ビタミンE
(32%)
4.8 mg
ビタミンK
(343%)
360 µg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
9 mg
カリウム
(3%)
140 mg
カルシウム
(5%)
49 mg
マグネシウム
(20%)
70 mg
リン
(16%)
110 mg
鉄分
(18%)
2.3 mg
亜鉛
(9%)
0.9 mg
(5%)
0.09 mg
他の成分
水分 87.0 g
水溶性食物繊維 0.6 g
不溶性食物繊維 5.7 g
灰分 0.7 g
マンガン 7.66 mg

紅たで。硝酸イオン0 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

タデは日本中の川辺や湿地に自生しており、古くから紅色の幼葉を香辛料として、魚毒と生臭さを取るものとして利用されてきた[7]。現代では、刺身つまや、冷や奴サラダなどの料理の薬味として、紅色をしたヤナギタデ(ムラサキタデ)の細かい双葉の芽生えが添えられているもので、スーパーマーケットなどでは、このスプラウトを「紅タデ」または「芽タデ」(芽蓼)という名で売られている[4][7]。周年生産が行われており、種子を発芽させて、子葉のときに収穫して利用する[7]

有効成分として、葉にはポリゴン酸メリシ酸リンゴ酸蟻酸タンニン精油と、イソラムネチンペルシカリンクエルセチンなどのフラボノイドを含んでいる[4]。辛味成分のタデオナールポリゴディアール(ポリゴジアール)は、を軽く刺激して胃液の分泌を高め、消化を促進すると言われている[4]。また殺菌作用・抗菌作用があるとされ、このため、生魚などを食べる料理の薬味として添えられている[4]

食べ過ぎで食あたりしたときに、生の茎葉をすり潰して、同量のおろし生姜と混ぜて茶さじ1杯を水で飲むと良いと言われる[4]。また、生葉をすり下ろして酢に混ぜたのがタデ酢で、塩焼きに欠かせないものとして添えられている[4][7]

民間で薬用としての利用は、虫刺されに生葉を揉んでつけておくと良いと言われている[4]

慣用句

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  • 蓼食う虫も好き好き(たでくうむしも すきずき)
    辛い蓼(タデ)を食べる虫もあるように、人の好みもさまざまであるという意味。ここに出てくる蓼とは、香辛料に使われるヤナギタデ(ムラサキタデ)を指している。

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria hydropiper (L.) Delarbre f. purpurascens (Makino) Nemoto”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月19日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Polygonum hydropiper L. f. purpurascens Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月19日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria hydropiper (L.) Delarbre var. latifolia Araki”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月19日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 田中孝治 1995, p. 112.
  5. ^ 牧野富太郎『牧野新日本植物圖鑑』北隆館、1961年6月30日、115頁。「やなぎたで」 
  6. ^ 牧野富太郎 著、邑田仁米倉浩司 編『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年6月20日、854頁。「ヤナギタデ」 
  7. ^ a b c d 女子栄養大学出版部編 2006, p. 204.

参考文献

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  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、112頁。ISBN 4-06-195372-9 
  • 女子栄養大学出版部編『食品図鑑』女子栄養大学出版部、2006年1月。ISBN 4-7895-5430-9 

関連項目

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