ブラッドリー・クーパー
ブラッドリー・チャールズ・クーパー(Bradley Charles Cooper, 1975年1月5日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、映画監督、映画プロデューサー、歌手。
俳優業と映画プロデューサー、映画監督として成功をおさめ、9つのアカデミー賞やトニー賞を含む多くの賞にノミネートされており、グラミー賞とBAFTA賞を受賞している。
生い立ち
[編集]ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。父親のチャーリー・クーパーはアイルランド系でメリルリンチに勤務していた。母親のグロリアはイタリア系。ジョージタウン大学を優秀な成績で卒業後[1][2]、アクターズ・スタジオで演劇を学んだ[1][3]。学生の頃にフランスに留学した事もあり、フランス語が堪能[4][5][6]。
キャリア
[編集]1998年にテレビシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』でデビュー[7]。2001年に『Wet Hot American Summer』で映画デビュー。テレビシリーズを中心に活動しており、『エイリアス』や『キッチン・コンフィデンシャル』で知られるようになる。
2006年に舞台『Three Days of Rain』でジュリア・ロバーツ、ポール・ラッドと共にブロードウェイの舞台に立った[8][9]。2012年には舞台『エレファントマン』で主演のエレファントマンを演じた[10]。
2009年公開の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』でブレイクし、MTVムービー・アワード コメディ演技賞にノミネートされた。しかし、同年公開の『ウルトラ I LOVE YOU!』ではサンドラ・ブロックと共にゴールデンラズベリー賞最低スクリーンカップル賞を受賞。
2011年公開の『リミットレス』でも商業的な成功を収めた。ハングオーバー!シリーズ第2作にあたる『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』の演技でピープルズ・チョイス・アワードのコメディ映画男優賞にノミネートされた。
2011年11月、米『ピープル』誌の「最もセクシーな男性」に選ばれた[11]。
2012年公開のジェニファー・ローレンスと主演を務めた『世界にひとつのプレイブック』は商業的に大きな成功を収め、クーパーの演技も称賛され、MTVムービー・アワード2013で男性演技賞を受賞し、アカデミー賞やゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞で主演男優賞にノミネートされた。
2013年の『アメリカン・ハッスル』でも高い評価を受け、アカデミー賞やBAFTA賞、放送映画批評家協会賞、およびゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされた。
クリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』でも称賛を受け、MTVムービーアワード2015の最優秀男優賞を受賞した。3年連続でアカデミー賞にノミネートされたが、ここでも受賞はならなかった。
2014年にブロードウェイで公演された『エレファントマン』でジョン・メリックを演じて批評家から賛辞を受け、トニー賞 演劇主演男優賞にノミネートされた。
2015年公開の『二ツ星の料理人』の撮影のために、三ツ星シェフの下で研修を積み、またたく間にプロ並の料理技術を習得するなど、非常に器用でもある。
マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズにロケットの声優として出演し、『アベンジャーズ』シリーズにも出演。
2018年に『アリー/ スター誕生』で主演兼初監督を務めた。『スタア誕生』のリメイクにあたるこの映画は第75回ヴェネツィア国際映画祭で初上映され、その後世界中で公開された。この映画は批評家から絶賛され、ブラッドリー自身も監督として、俳優として称賛を受けた。また、主演のレディー・ガガと共同で作り上げたサウンドトラックも絶賛され、『アリー/ スター誕生 サウンドトラック』はBillboard 200を含む多くの国で1位を獲得し、『シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた』は第61回グラミー賞で最優秀レコード賞を含む3部門にノミネートされ、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンスをガガとクーパーは受賞した。映画は 第91回アカデミー賞に作品賞を含む7部門でノミネートされ、歌曲賞を受賞した[12]。第72回英国アカデミー賞では一回の式典での史上最多となる5部門にノミネートされたが、ここでも受賞は作曲賞だけに留まった[13]。映画及びブラッドリーは第76回ゴールデングローブ賞を含む他の多くの賞にノミネートされ、いくらか受賞した。
2023年、自身の監督作品2作目となる『マエストロ: その音楽と愛と』が公開された。本作は音楽家レナード・バーンスタインの伝記映画であり、クーパーは主演も兼任した。第96回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞など7部門にノミネートされたが、無冠に終わった。
プロデューサー業も務めており、『世界にひとつのプレイブック』や『アメリカン・ハッスル』では製作総指揮、『アメリカン・スナイパー』、『アリー/ スター誕生』では製作を務めている。
私生活
[編集]2006年に女優のジェニファー・エスポジートと結婚した[14]が、2007年10月に離婚[15]。離婚前にはジェニファー・アニストンと、離婚後にはキャメロン・ディアスやレネー・ゼルウィガー[16]らとの交際が噂になった。2012年には女優のゾーイ・サルダナと交際していた[17]。イギリスのモデルであるスキ・ウォーターハウスとも交際し、ステディな関係になるが2015年春に破局。
2015年春からロシアのモデルのイリーナ・シェイクと交際し、2016年からイリーナの左手薬指には指輪が見られた。2017年3月にシェイクとの間に女児が誕生したが[18]、2019年6月、二人は結婚することなく破局を迎え、共同親権の方向で調整に入っているとの報道があった。[19]
出演作品
[編集]映画
[編集]公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
---|---|---|---|---|
2001 | ウェット・ホット・アメリカン・サマー Wet Hot American Summer |
ベン | ||
2002 | 処刑・ドット・コム My Little Eye |
トラヴィス | 中井和哉 | |
私が幸せになる恋のルール Bending All the Rules |
ジェフ・マクリーン | (吹き替え版なし) | ||
2005 | ウエディング・クラッシャーズ Wedding Crashers |
サック | 高瀬右光 | |
2006 | 恋するレシピ 〜理想のオトコの作り方〜 Failure to Launch |
デモ | 後藤敦 | |
2007 | 鉄板スポーツ伝説 The Comebacks |
カウボーイ | TBA | |
2008 | Older Than America |
ルーク | — | |
ROCKER☆40歳のロックデビュー The Rocker |
ヴェスヴィオス | |||
ミッドナイト・ミート・トレイン The Midnight Meat Train |
レオン | (吹き替え版なし) | ||
イエスマン “YES”は人生のパスワード Yes Man |
ピーター | 藤井啓輔 | ||
2009 | そんな彼なら捨てちゃえば? He's Just Not That into You |
ベン・ガンダース | 竹若拓磨 | |
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い The Hangover |
フィル・ウィネック | 桐本琢也 | ||
ケース39 Case 39 |
ダグラス・J・エームズ | 藤井啓輔 | ||
ウルトラ I LOVE YOU! All About Steve |
スティーブ・ミュラー | 東地宏樹 | ||
ニューヨーク、アイラブユー New York, I Love You |
ガス | (吹き替え版なし) | ||
2010 | バレンタインデー Valentine's Day |
ホールデン・ウィルソン | 宮内敦士 | |
特攻野郎Aチーム THE MOVIE The A-Team |
“フェイス” テンプルトン・ペック中尉 | 堀内賢雄 | ||
2011 | リミットレス Limitless |
エディ・モーラ | 浜田賢二 | |
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える The Hangover Part II |
フィル・ウィネック | 桐本琢也 | ||
2012 | ザ・ワーズ 盗まれた人生 The Words |
ロリー・ジャンセン | 兼製作総指揮 | TBA |
HIT&RUN Hit and Run |
アレックス・デミトリ | |||
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 The Place Beyond the Pines |
エイヴリー・クロス | 桐本琢也 | ||
世界にひとつのプレイブック Silver Linings Playbook |
パット・ソリータ | 兼製作総指揮 アカデミー賞主演男優賞ノミネート 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ノミネート 全米映画俳優組合賞主演男優賞ノミネート ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 男優賞受賞 | ||
2013 | ハングオーバー!!! 最後の反省会 The Hangover Part III |
フィル・ウィネック | ||
アメリカン・ハッスル American Hustle |
リッチー・ディマーソ | 兼製作総指揮 アカデミー賞助演男優賞ノミネート 英国アカデミー賞 助演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート | ||
2014 | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Guardians of the Galaxy |
ロケット | 声の出演 | 加藤浩次 |
セリーナ 炎の女 Serena |
ジョージ・ペンバートン | 桐本琢也(桐本拓哉) | ||
アメリカン・スナイパー American Sniper |
クリス・カイル | 兼製作 アカデミー賞主演男優賞ノミネート アカデミー作品賞ノミネート | ||
2015 | アロハ Aloha |
ブライアン・ギルクレスト | 阪口周平 | |
二ツ星の料理人 Burnt |
アダム・ジョーンズ | 東地宏樹(ソフト版) TBA(機内上映版) | ||
ジョイ Joy |
ニール・ウォーカー | 桐本拓哉 | ||
2016 | 10 クローバーフィールド・レーン 10 Cloverfield Lane |
ベン | 声の出演(カメオ出演) | 松川央樹 |
ウォー・ドッグス War Dogs |
ヘンリー・ジラード | 兼製作 | 桐本拓哉 | |
2017 | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス Guardians of the Galaxy Vol. 2 |
ロケット | 声の出演 | 加藤浩次 |
2018 | アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー Avengers: Infinity War | |||
アリー/ スター誕生 A Star Is Born |
ジャクソン・メイン | 兼監督・脚本・製作 アカデミー作品賞ノミネート アカデミー主演男優賞ノミネート アカデミー脚色賞ノミネート ゴールデングローブ賞 監督賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)ノミネート 英国アカデミー賞 作品賞ノミネート 英国アカデミー賞 監督賞ノミネート 英国アカデミー賞 脚色賞ノミネート 英国アカデミー賞 主演男優賞ノミネート 英国アカデミー賞 作曲賞受賞 |
桐本拓哉 | |
運び屋 The Mule |
コリン・ベイツ捜査官 | 桐本拓哉(ソフト版) 田村真(BSテレ東版) | ||
2019 | アベンジャーズ/エンドゲーム Avengers: Endgame |
ロケット | 声の出演 | 加藤浩次 |
ジョーカー Joker |
— | 製作 アカデミー作品賞ノミネート |
— | |
2021 | リコリス・ピザ Licorice Pizza |
ジョン・ピーターズ | (吹き替え版なし) | |
ナイトメア・アリー Nightmare Alley |
スタントン・“スタン”・カーライル | 兼製作 アカデミー作品賞ノミネート |
東地宏樹 | |
2022 | ソー:ラブ&サンダー Thor: Love and Thunder |
ロケット | 声の出演 | 加藤浩次 |
2023 | ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves |
マーラミン | カメオ出演 | 桐本拓哉 |
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 Guardians of the Galaxy Vol. 3 |
ロケット | 声の出演 | 加藤浩次 | |
マエストロ: その音楽と愛と Maestro |
レナード・バーンスタイン | 兼監督・脚本・製作 | 桐本拓哉 | |
2024 | ブルー きみは大丈夫 IF |
アイス | 声の出演 | |
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ Joker: Folie à Deux |
— | 製作 ポストプロダクション |
— | |
TBA | Bullitt |
フランク・ブリット |
テレビ
[編集]放映年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
---|---|---|---|---|
1999 | セックス・アンド・ザ・シティ Sex and the City |
ジェイク | 第2シーズン第4話「すばらしき独身貴族?」 | |
2000-2001 | The $treet |
クレイ・ハモンド | 計5話出演 | — |
2001-2006 | エイリアス Alias |
ウィル・ティッピン | 計46話出演 | 村治学 |
2004 | タッチング・イーブル〜闇を追う捜査官〜 Touching Evil |
マーク・リヴァース | 計6話出演 | 大西健晴 |
2004-2005 | Jack & Bobby |
トム | 計14話出演 | — |
2005 | LAW & ORDER:性犯罪特捜班 Law & Order: Special Victims Unit |
ジェイソン・ウィテカー | 第6シーズン第20話「沈黙が招く悲劇」 | |
LAW & ORDER:陪審評決 Law & Order: Trial by Jury |
第11話「決着」 | |||
2005-2006 | キッチン・コンフィデンシャル Kitchen Confidential |
ジャック・ボーデイン | 計13話出演 | |
2007-2009 | NIP/TUCK マイアミ整形外科医 Nip/Tuck |
エイダン・ストーン | 計6話出演 | |
2009, 2013, 2015 | サタデー・ナイト・ライブ Saturday Night Live |
ホスト / 本人 / クレイグ | 「Bradley Cooper/TV on the Radio」 「Zach Galifianakis/Of Monsters and Men」 「Saturday Night Live 40th Anniversary Special」 |
|
2015 | ウェット・ホット・アメリカン・サマー: キャンプ1日目 Wet Hot American Summer: First Day of Camp |
ベン | 計7話出演 | 矢野正明 |
2015-2016 | リミットレス Limitless |
エドワード・“エディ”・モーラ | 兼製作総指揮 計4話出演 |
桐本拓哉 |
2022 | アイ・アム・グルート I Am Groot |
ロケット | 声の出演 第5話「大傑作」 Disney+シリーズ |
加藤浩次 |
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル The Guardians of the Galaxy Holiday Special |
声の出演 テレビスペシャル | |||
2023 | FDR |
— | 製作総指揮 | — |
日本語吹き替え
[編集]『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』以降、大半の作品で桐本拓哉が担当している。
この他には、複数回、藤井啓輔や東地宏樹、宮内敦士、堀内賢雄なども担当している。
また、『マーベル・シネマティック・ユニバース』のロケット役に限っては加藤浩次が担当した。
出典
[編集]- ^ a b Murray, Rebecca. “Bradley Cooper Biography”. About.com. 2009年5月25日閲覧。
- ^ “Bradley Cooper Comes Back to Georgetown”. Georgetown University (2010年9月3日). 2014年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月9日閲覧。
- ^ “The Office of Alumni Relations”. The New School. 2011年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月28日閲覧。
- ^ Smith, Lori (2010年9月14日). “People: Taylor and Burton's Brangelina romance to be a film”. The Denver Post. 2011年6月15日閲覧。
- ^ Zuckerman, Esther (2009年6月22日). “Five Things You Need to Know About Bradley Cooper – Movie News, Bradley Cooper”. People. 2011年6月15日閲覧。
- ^ “Le journal de 20h” (2011年5月30日). 2013年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月30日閲覧。
- ^ Stated on Inside the Actors Studio, 2011
- ^ Brantley, Ben (2006年4月20日). “It's Her! It's Her! And, Oh Yeah, There's a Play”. The New York Times
- ^ “Paul Rudd and Bradley Cooper Round out Three Days of Rain Cast with Julia Roberts, Show Begins March 28”. Broadway World.com (2005年11月29日). 2010年7月16日閲覧。
- ^ “Bradley Cooper Joins ‘The Elephant Man’”. The New York Times. (2012年4月15日) 2013年1月5日閲覧。
- ^ "Bradley Cooper Named Sexiest Man Alive", Access Hollywood, November 16, 2011
- ^ “レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーの濃密すぎるデュエットが物議…ガガがコメント:第91回アカデミー賞”. シネマトゥデイ. 2019年6月17日閲覧。
- ^ “アカデミー賞、まさかの落選も…ブラッドリー・クーパーが得た“それ以上””. Yahoo!ニュース. 2019年6月17日閲覧。
- ^ Jordan, Julie (2007年1月4日). “Bradley Cooper and Jennifer Esposito Marry”. People. 2010年7月16日閲覧。
- ^ Fromm, Emily (2007年5月2日). “Jennifer Esposito, Bradley Cooper Split”. People. 2010年7月16日閲覧。
- ^ “Bradley Cooper on Renee Zellweger: "I Just Love Her"”. Us Weekly (2010年9月29日). 2011年1月16日閲覧。
- ^ “ブラッドリー・クーパーとゾーイ・サルダナがクリスマス前に破局”. シネマトゥデイ. (2013年1月4日) 2013年1月5日閲覧。
- ^ “Bradley Cooper and Irina Shayk's First Child's Name and Sex Revealed | E! News”. E! (April 10, 2017). April 13, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。April 15, 2017閲覧。
- ^ “ブラッドリー・クーパーとイリーナ・シェイクが破局。”. VOGUE JAPAN (2019年6月7日). 2019年6月10日閲覧。