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ファステストラップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ファステストラップ (Fastest Lap、FL) とは、モータースポーツにおいて、決勝レースでの全ドライバー中、コース一周回が最も速かった選手、及びそのタイムを指す[1]。ここではフォーミュラ1を代表例に記述する。

概要

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通常各サーキットのコースレコードは予選のポールポジションタイムではなく、このファステストラップの記録が採用されている。その理由は過去のレギュレーションにあり、かつてのF1ではそれぞれ予選専用のエンジンにタイヤ(Qタイヤ)、燃料が許可されていた時代があり、また1994年から2009年までのF1においては予選中にレースで使用する燃料を積んで走るため、予選でのタイムだと歴史を通してそのコースで最も速いタイムを比較するのには適さないためである[2]

F1では1950年-1959年及び2019年-2024年に、ファステストラップ記録者にも1ポイントが与えられていた。1950年-1959年は記録者が複数人いた場合、記録した人数で等分された(1954年イギリスグランプリの決勝はタイム計測が秒単位だったため記録者が7人に及び、7人に17ポイントが与えられた)。2019年からファステストラップ記録者が10位以内に入賞した場合に限り、ドライバーとコンストラクターに対して1ポイントが与えられることになった。ただし記録者が入賞圏外(11位以下)またはリタイアの場合はポイントの対象外となるが、ファステストラップの記録は残る[3]。この再導入はレースを興奮させる要素の増加が目的だったが、入賞圏内で後方に大きな差を付けていたドライバーが追加のポイントを獲得するため、フレッシュなタイヤに交換してファステストラップを記録するケースが多く、2024年シンガポールグランプリでは入賞圏外を走るダニエル・リカルドRB)がレース終盤にタイヤを交換し、ランド・ノリスマクラーレン)のファステストラップを塗り替えた。これによりノリスはファステストラップの1点を失い、マックス・フェルスタッペン及びRBの姉妹チームであるレッドブルとのタイトル争いにも影響が及んだことでマクラーレンから非難の声が上がり、レース終了後の10月17日に行われた世界モータースポーツ評議会の会合で、ファステストラップのポイント付与を2025年から廃止することを決定した[4]

2007年からはシーズン中最も多くのファステストラップを記録したドライバーに贈られるDHLファステストラップアワードが設けられている[1]

F1におけるファステストラップ記録

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  • 2024年終了時点。
  • 太字は現役。
  • 1950年 - 1960年までF1世界選手権の一戦に組み込まれていたインディ500のみに参戦したドライバーは除く。

通算獲得数

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順位 回数 ドライバー
1 77 ドイツの旗 ミハエル・シューマッハ
2 68 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン
3 46 フィンランドの旗 キミ・ライコネン
4 41 フランスの旗 アラン・プロスト
5 38 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル
6 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン
7 30 イギリスの旗 ナイジェル・マンセル
8 28 イギリスの旗 ジム・クラーク
9 26 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ
10 25 フィンランドの旗 ミカ・ハッキネン
出典: [5]

1シーズンでの獲得回数は、ミハエル・シューマッハ(2004年)とキミ・ライコネン(2005年2008年)の年間10回が最高である[6]

なお日本人では中嶋悟1989年オーストラリアグランプリ小林可夢偉2012年中国グランプリ角田裕毅2023年アメリカグランプリで記録している[7]。また、長谷見昌弘1976年F1世界選手権イン・ジャパンで記録したことになっているが、数日後に計測ミスであることが判明した。ウェットコンディションの中、長谷見は24周目終わりにピットインし、別のウェットタイヤに交換して25周目に向かっており、ピットインのロスタイムを含めて1分18秒台で走行できる状況ではなかった。国内メディア関係者へは訂正のリリースが配布され、ファステストラップはジャック・ラフィットが70周目にドライタイヤで記録した1分19秒97であるとされた。F1の公式記録を管理するFormula One World Championship Limitedのサイトでは長らく長谷見の名が明記されていたが[8]、現在はラフィットに変更されている[9]

デビュー戦でファステストラップ

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ドライバー レース 備考
イタリアの旗 ジュゼッペ・ファリーナ 1950年イギリスグランプリ F1世界選手権最初のレース
カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ 1996年オーストラリアグランプリ
ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ 2006年バーレーングランプリ
出典: [10]

デビューから遅く達成

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レース数は決勝に出走したもののみ対象。

順位 レース数 ドライバー レース
1 203 イタリアの旗 ヤルノ・トゥルーリ 2009年バーレーングランプリ
2 155 イギリスの旗 ジェンソン・バトン 2009年マレーシアグランプリ
3 152 フランスの旗 エステバン・オコン 2024年アメリカグランプリ
4 134 ドイツの旗 ニック・ハイドフェルド 2008年マレーシアグランプリ
5 131 オーストラリアの旗 マーク・ウェバー 2009年ハンガリーグランプリ
6 114 ベルギーの旗 ティエリー・ブーツェン 1990年ドイツグランプリ
ブラジルの旗 ルーベンス・バリチェロ 2000年オーストラリアグランプリ
8 104 スペインの旗 カルロス・サインツ 2020年シュタイアーマルクグランプリ
9 92 フィンランドの旗 ミカ・ハッキネン 1997年イタリアグランプリ
10 89 フィンランドの旗 ケケ・ロズベルグ 1985年フランスグランプリ
出典: [10]

最年少記録

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順位 年齢 ドライバー レース
1 19歳44日 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン 2016年ブラジルグランプリ
2 20歳235日 イギリスの旗 ランド・ノリス 2020年オーストリアグランプリ
3 20歳258日 ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ 2006年バーレーングランプリ
4 21歳166日 モナコの旗 シャルル・ルクレール 2019年バーレーングランプリ
5 21歳280日 メキシコの旗 エステバン・グティエレス 2013年スペイングランプリ
6 21歳321日 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ 2003年カナダグランプリ
7 21歳322日 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン 1959年イギリスグランプリ
8 21歳353日 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル 2009年イギリスグランプリ
9 22歳19日 ロシアの旗 ダニール・クビアト 2016年スペイングランプリ
10 22歳91日 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン 2007年マレーシアグランプリ
出典: [11]

最年長記録

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順位 年齢 ドライバー レース
1 46歳209日 アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ 1958年アルゼンチングランプリ
2 45歳219日 イタリアの旗 ピエロ・タルッフィ 1952年スイスグランプリ
3 44歳321日 イタリアの旗 ジュゼッペ・ファリーナ 1951年イタリアグランプリ
4 44歳107日 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム 1970年イギリスグランプリ
5 44歳22日 イタリアの旗 ルイジ・ヴィッロレージ英語版 1953年オランダグランプリ
6 43歳319日 西ドイツの旗 カール・クリング 1954年ドイツグランプリ
7 43歳201日 ドイツの旗 ミハエル・シューマッハ 2012年ドイツグランプリ
8 42歳337日 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ 2024年オーストリアグランプリ
9 42歳43日 Template:Country alias FRA1958の旗 モーリス・トランティニアン 1959年アメリカグランプリ
10 41歳319日 フランスの旗 ジャック・ラフィット 1985年ヨーロッパグランプリ
出典: [11]

MotoGPにおけるファステストラップ記録

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2018年シーズン終了時点

順位 回数 ライダー
1 117 イタリアの旗 ジャコモ・アゴスチーニ
2 95 イタリアの旗 ヴァレンティーノ・ロッシ
3 81 スペインの旗 アンヘル・ニエト
4 79 イギリスの旗 マイク・ヘイルウッド
5 64 スペインの旗 ダニ・ペドロサ
6 60 スペインの旗 マルク・マルケス
7 46 オーストラリアの旗 ミック・ドゥーハン
8 42 イタリアの旗 マックス・ビアッジ
9 37 スペインの旗 ホルヘ・ロレンソ
10 36 イギリスの旗 フィル・リード

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脚注

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  1. ^ a b ファステストラップ”. portf.co (2018年10月10日). 2018年11月8日閲覧。
  2. ^ ラップレコード”. formula1-data.com (2018年4月13日). 2018年11月8日閲覧。
  3. ^ F1、ファステストラップポイント導入を正式決定…開幕オーストラリアGPから施行”. Formula1-Data (2019年3月12日). 2019年3月12日閲覧。
  4. ^ 2025年は最速ラップポイントが廃止。F1規則の変更でルーキーのFP1起用は4回に倍増に”. autosport web (2024年10月18日). 2024年10月18日閲覧。
  5. ^ Statistics Drivers - Fastests laps - By number” (英語). STATS F1. 2024年12月29日閲覧。
  6. ^ Statistics Drivers - Fastests laps - In a year” (英語). STATS F1. 2024年12月29日閲覧。
  7. ^ Japan - Fastests laps” (英語). STATS F1. 2024年12月29日閲覧。
  8. ^ 1976 Japanese Grand Prix” (英語). The Official F1 Website. 2014年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月29日閲覧。
  9. ^ 1976 JAPANESE GRAND PRIX - FASTEST LAPS” (英語). Formula One World Championship Limited. 2024年12月29日閲覧。
  10. ^ a b Statistics Drivers - Fastests laps - Grand Prix before” (英語). STATS F1. 2024年12月29日閲覧。
  11. ^ a b Statistics Drivers - Fastests laps - By age” (英語). STATS F1. 2024年12月29日閲覧。
  12. ^ Statistics”. motogp.com. 2018年12月17日閲覧。

関連項目

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