クロワデュノール
この記事は現役競走馬を扱っています。 |
クロワデュノール | |||||||||
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第41回ホープフルステークス優勝時 (2024年12月28日) | |||||||||
欧字表記 | Croix du Nord[1] | ||||||||
品種 | サラブレッド[1] | ||||||||
性別 | 牡[1] | ||||||||
毛色 | 青鹿毛[1] | ||||||||
生誕 | 2022年3月21日(3歳)[1] | ||||||||
父 | キタサンブラック[1] | ||||||||
母 | ライジングクロス[1] | ||||||||
母の父 | Cape Cross[1] | ||||||||
生国 | 日本(北海道安平町)[1] | ||||||||
生産者 | ノーザンファーム[1] | ||||||||
馬主 | (有)サンデーレーシング[1] | ||||||||
調教師 | 斉藤崇史(栗東)[1] | ||||||||
競走成績 | |||||||||
タイトル | JRA賞最優秀2歳牡馬(2024年) | ||||||||
生涯成績 | 3戦3勝[1] | ||||||||
獲得賞金 |
1億1678万9000円[1] (2024年12月28日現在) | ||||||||
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クロワデュノール(欧字名:Croix du Nord、2022年3月21日 - )は、日本の競走馬[1]。主な勝ち鞍に2024年のホープフルステークス、東京スポーツ杯2歳ステークス。
経歴
[編集]デビュー前の背景
[編集]2003年に誕生したイギリスの競走馬であるライジングクロス(Rising Cross)は、繁殖牝馬のウッドライジングと種牡馬のケープクロスとの間から生産された。1歳時には、エージェントのデイヴィッド・ミントンに2万ユーロで購入され、馬主であるデイヴ・ネヴィソンの所有馬となり、調教師のジョン・ベスト厩舎に預託された[3]。体高14.3ハンドというポニー級の小柄な馬格で知られており[注 1]、3歳時の2006年にはオークスステークスでアレクサンドローヴァの2着に入った後、ゲイリー・タナカに所有権が移り、アイリッシュオークスで3着、パークヒルステークスを制するなど、実績を残した[3]。その牝系は中長距離の実績が目立つ[注 2]。同馬は2008年に日本へと輸入され、2012年に誕生したマンハッタンカフェ産駒のアースライズは、2015年のフラワーカップ(GIII)2着、2016年の愛知杯(GIII)、2017年のマーメイドステークス(GIII)3着などの成績を残した[5]。2022年、キタサンブラックとの間に本馬が誕生した[5]。
キタサンブラックにおいて本馬は代表産駒イクイノックスの効果が現れる前の第4世代産駒に当たる[6]。2021年の種付料は自己最安値の300万円まで下落しており、血統登録産駒頭数は前世代から16頭増の70頭であった[7]。
2歳(2024年)
[編集]2024年6月9日、東京競馬場第5レースの2歳新馬戦(芝1800m)で、北村友一を鞍上にデビュー[注 3][8]。パドックでは幼い仕草を見せたが、レースでは好スタートを決め、2番手に付けて追走[8]。直線に入ると、逃げた二冠牝馬であるチェルヴィニアの半弟アルレッキーノを含む後続を離し、サンデーレーシングの所有馬同士の競り合いになったが、直線で突き放して新馬勝ちを決めた[8]。勝ち時計の1分46秒7は2歳の6月の芝1800メートルで最速記録[8]。また3歳戦を含めた同コースの新馬戦最速タイムであった[9]。
陣営は次走に重賞初挑戦となる東京スポーツ杯2歳ステークスに参戦を表明[10]。11月16日、「出世レース[注 4]」である同競走はキャリア1戦馬が人気の中心となり、本馬に次ぐサートゥルナーリア産駒のレッドキングリーが2番人気、キズナ産駒のサトノシャイニングが3番人気に支持された[5]。+24kgと大幅に増加した馬体重に加え、調教の動きは本来の迫力を欠き、陣営によれば完調手前の状態であった[5][11]。レースではサトノシャイニングが主導権を取り、レッドキングリーが2番手追走、本馬は3番手に控えて追走[5]。3コーナーから位置を上げて先頭に並びかけ、直線半ばではサトノシャイニング、レッドキングリーとの激しい追い比べとなったが、最後は本馬が競り合いを制し重賞初制覇を飾った[5]。
11月20日、ホープフルステークスへの参戦を表明[12]。12月28日、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、44.2パーセントという高い単勝支持率を記録した[注 5][13]。競走では、ジュンアサヒソラが落ち着いた流れで先導し、3番人気のピコチャンブラックや2番人気のマジックサンズが先行する中、本馬は馬群の外を確保しながら中団を追走[13]。向こう正面半ばで17番人気のファウストラーゼンが捲って行くとこれを追って3番手まで進出しながら直線に入り、息の長い末脚でファウストラーゼンを交わすと最後は追い込んだ2着馬ジョバンニに対して2馬身差を付けて優勝した[13]。2馬身差は2017年のGI昇格以後の同競走最大着差となった[14]。無敗の3連勝はいずれも自ら動いて前を捕まえる内容で、『優駿』誌の横手礼一は「横綱相撲」の安定感と評した[14]。北村は同じ斉藤厩舎のクロノジェネシスの有馬記念以来、落馬事故による重傷を乗り越えて4年振りのGI競走優勝となり、スタンド前のインタビューでは感激の涙を見せた[15]。
2024年度のJRA賞では、最優秀2歳牡馬部門で256票中249票を得票し、同7票のアドマイヤズームを抑えてこれに選出された[16][14]。また同年度JPNサラブレッドランキング2歳部門では、ホープフルステークス1着を対象に公式レーティング117ポンドの評価を与えられ、同2位のアドマイヤズームに対して1ポンド差を付けて2歳トップに格付けされた[17]。この117ポンドは2017年のダノンプレミアムと並ぶ2歳部門史上最高評価であった[17]。
この年キタサンブラックは種牡馬としてJRA2歳リーディングでは自己最高の4位を記録し、本馬の貢献によって重賞獲得賞金の1億4111万4000円は同1位となった[6]。
競走成績
[編集]以下の内容は、netkeiba.com[18]およびJBISサーチ[19]の情報に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
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2024. 6. 9 | 東京 | 2歳新馬 | 芝1800m(良) | 11 | 6 | 6 | 6.1 (3人) | 1着 | 1:46.7(33.8) | -0.4 | 北村友一 | 55 | (アルレッキーノ) | 480 | |
11.16 | 東京 | 東スポ杯2歳S | GII | 芝1800m(良) | 9 | 4 | 4 | 2.2 (1人) | 1着 | 1:46.8(33.3) | -0.1 | 北村友一 | 56 | (サトノシャイニング) | 504 |
12.28 | 中山 | ホープフルS | GI | 芝2000m(良) | 18 | 3 | 6 | 1.8 (1人) | 1着 | 2:00.5(34.9) | -0.3 | 北村友一 | 56 | (ジョバンニ) | 496 |
- 競走成績は2024年12月28日現在
血統表
[編集]クロワデュノールの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サンデーサイレンス系(ヘイロー系) |
[§ 2] | ||
父 キタサンブラック 2012 鹿毛 |
父の父 ブラックタイド2001 黒鹿毛 |
サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | ||||
ウインドインハーヘア | Alzao | |||
Burghclere | ||||
父の母 シュガーハート2005 鹿毛 |
サクラバクシンオー | サクラユタカオー | ||
サクラハゴロモ | ||||
オトメゴコロ | ジャッジアンジェルーチ | |||
テイズリー | ||||
母 ライジングクロス 2003 黒鹿毛 |
Cape Cross 1994 黒鹿毛 |
Green Desert | Danzig | |
Foreign Courier | ||||
Park Appeal | アホヌーラ | |||
Balidaress | ||||
母の母 Woodrising1992 鹿毛 |
Nomination | Dominion | ||
Rivers Maid | ||||
Bodham | Bustino | |||
Cley | ||||
母系(F-No.) | ライジングクロス(GB)系(FN:20-c) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Busted 5×5 Lyphard 5×5 |
[§ 4] | ||
出典 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 厩舎に到着したとき、ネヴィソンは「地元の乗馬学校と送り先を間違えたのではないか」と疑った[3]。タイムフォーム誌は、馬混みをさばいて抜け出したパークヒルステークスではその体格が活かされたと評した[3]。
- ^ ウッドライジングは平地競馬では10ハロン競走の優勝馬[4]。ウッドライジングの母ボッドハムは12ハロンおよび13ハロン競走の勝ち鞍、祖母クレイは12ハロン競走の勝ち鞍がある[4]。また、クレイはダービーステークスを制したブレイクニーおよびモーストンの半姉妹である[4]。
- ^ クラシック競走を見据え、東京の新馬を使う関西馬は多数おり、11頭立ての同競走には本馬を含めて4頭の関西馬が出走していた[8]。
- ^ 2024年の施行時点で、歴代28頭の同競走優勝馬のうち、半数である14頭がその後JRAの平地GI競走に優勝していた[5]。GII昇格初年度の2021年には同じキタサンブラック産駒のイクイノックスが優勝している[11]。
- ^ 同競走では2018年のサートゥルナーリアが46.1パーセント、2019年のコントレイルが40.6パーセントの単勝支持率を記録している[13]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “クロワデュノール”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “競走馬情報 クロワデュノール”. 日本中央競馬会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c d Timeform 2007, p. 891.
- ^ a b c Timeform 2007, p. 892.
- ^ a b c d e f g 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.11、20頁。
- ^ a b 藤井2025、113頁。
- ^ 藤井2024、113頁。
- ^ a b c d e 横手2024a、86頁。
- ^ 「東京芝千八の新馬戦レコード!キタサンブラック産駒クロワデュノールが快勝/新馬戦」『日刊スポーツ』。2024年11月16日閲覧。
- ^ 「クロワデュノールは東京スポーツ杯2歳Sを視野 初戦は東京芝1800メートルの新馬戦最速タイムで圧勝」『サンスポZBAT!』。2024年11月16日閲覧。
- ^ a b 横手2024b、82頁。
- ^ 「【注目馬動向】2戦2勝のクロワデュノール ホープフルSの鞍上は引き続き北村友一騎手を予定」『スポーツ報知』。2024年12月9日閲覧。
- ^ a b c d 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.12、24頁。
- ^ a b c 横手2025、28頁。
- ^ 横手2025、29頁。
- ^ 『優駿』2025年2月号、15頁。
- ^ a b “JPNサラブレッドランキング(2024年度) JRA”. 日本中央競馬会. 2025年1月24日閲覧。
- ^ “クロワデュノールの競走成績”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “クロワデュノール 競走成績”. JBISサーチ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|クロワデュノール”. JBISサーチ. 日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
- ^ a b c “クロワデュノールの血統表|競走馬データ”. netkeiba.com. ネットドリーマーズ. 2024年11月16日閲覧。
- ^ “ライジングクロス(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年11月16日閲覧。
参考文献
[編集]- 藤井正弘『優駿』2024年9月号、中央競馬ピーアール・センター、2024年、113頁。
- 藤井正弘『優駿』2025年2月号、中央競馬ピーアール・センター、2025年、113頁。
- 横手礼一『優駿』2024年8月号、中央競馬ピーアール・センター、2024年、86-87頁。
- 横手礼一『優駿』2025年1月号、中央競馬ピーアール・センター、2024年、82-83頁。
- 横手礼一『優駿』2025年2月号、中央競馬ピーアール・センター、2025年、28-29頁。
- 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.11、『優駿』2025年1月号付録、中央競馬ピーアール・センター、2024年。
- 『優駿 Book in Book 重賞プレイバック』2024 vol.12、『優駿』2025年2月号付録、中央競馬ピーアール・センター、2025年。
- Timeform (2007) (英語). Racehorses of 2006. Portway Press Ltd. ISBN 978-1901570632