クライム・クラブ
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クライム・クラブ(Crime Club)は、東京創元社が1958年から1959年にかけて刊行した翻訳推理小説の叢書。
函入りペーパーバック、新書版。全29巻。
同じ東京創元社から刊行されている日本の推理小説叢書「創元クライム・クラブ」(1991 - )とは異なる。
植草甚一が収録作品の選定を担当し、フランス、イギリス、アメリカの新進作家の作品を選択したことによりミステリー愛好家の間で後々まで伝説的な叢書となった。 作品選択のコンセプトは「各国における推理作家の新人発掘[1]」であったとされ、叙述トリックを用いた作品も多く含まれ、いわゆる「本格ミステリー」の範囲を広げたと評価されている。また植草が全巻の巻末解説を執筆し、これは後に『クライム・クラブへようこそ』 (晶文社、植草甚一スクラップブック18 (2005))にまとめられている。
第一期20巻、第二期20巻の計40巻が予定されていた[2]が29巻で終了した。
一覧
[編集]- 『赤毛の男の妻』(The Wife of the Red-Haired Man (1957)、ビル・S・バリンジャー(Bill S. Ballinger)、大久保康雄訳) 1958、のち文庫化
- 『警官殺し』(Cop Killer (1956)、ジョージ・バグビイ(George Bagby)、斎藤数衛訳) 1958
- 『殿方パーティ』(The Stag Party (1957) 、ウイリアム・クラスナー(William Krasner)、山西英一訳) 1958
- 『狙った椅子』(The Narrowing Circle (1954)、ジュリアン・シモンズ、大西尹明訳) 1958、のち改題文庫化『ねらった椅子』
- 『リトモア少年誘拐』(The Litmore Snatch (1957)、ヘンリー・ウェイド(Henry Wade)、中村保男訳) 1958、のち文庫化
- 『非常線』(All Through the Night (1955)、ホイット・マスタスン(Whit Masterson)、鷺村達也訳) 1958、のち文庫化
- 『ギデオンの夜』(Gideon's Night (1957)、J・J・マリック、清水千代太訳) 1958
- 『夢を喰う女』(Alibi for Murder (1955)、シャーロット・アームストロング(Charlotte Armstrong)、林房雄訳) 1958
- 『名探偵ナポレオン』(Murder Must Wait (1953)、アーサー・アップフィールド(Arthur Upfield)、中川龍一訳) 1958
- 『死刑台のエレベーター』(Ascenseur pour l'echafaud (1956)、ノエル・カレフ(Noel Calef)、宮崎嶺雄訳) 1958、のち文庫化、映画化「死刑台のエレベーター」(ルイ・マル監督、1958)、「死刑台のエレベーター」(小川明監督、2010)
- 『遠い山彦』(The Long Echo (1957)、ダグラス・ラザフォード(Douglas Rutherford)、龍口直太郎訳) 1958
- 『日時計』(The Shadow of Time (1957)、クリストファー・ランドン、丸谷才一訳) 1958、のち文庫化
- 『十二人の少女像』(Twelve Girls in the Garden (1957)、シェーン・マーティン(Shane Martin)、高城ちゑ訳) 1958
- 『乙女の祈り』(Maiden's Prayer (1957)、ジョーン・フレミング(Joan Fleming)、山本恭子訳) 1958
- 『パリを見て死ね!』(Far Better Dead! (1957)、マーテン・カンバランド(Marten Cumberland)、菅泰男訳) 1958
- 『藁の女』(La Femme de paille (1956)、カトリーヌ・アルレー、安堂信也訳) 1958、のち文庫化、映画化「わらの女」(ベイジル・ディアデン監督、1964)、テレビドラマ化「銀河テレビ小説 わらの女」(大空眞弓主演、1977)
- 『チャーリー退場』(Eait Charie (1955)、アレックス・アトキンスン(Alea Atkinson)、堀田善衛訳) 1959、のち文庫化
- 『暗殺計画』(Intent to Kill (1956)、マイケル・ブライアン(Michael Bryan)、井上一夫訳) 1959、のち改題文庫化『大統領を暗殺せよ!』(創元推理文庫)
- 『死の逢びき』(Blind Date (1955)、リー・ハワード(Leigh Howard)、清水千代太訳) 1959、のち映画化「狙われた男」(ジョゼフ・ロージー監督、1959)
- 『殺人の朝』(Murder in the Morning (1957)、コリン・ロバートスン(Colin Robertson)、斎藤数衛訳) 1959
- 『彼の名は死』(His Name Was Death (1954)、フレドリック・ブラウン、高見沢潤子訳) 1959、のち文庫化
- 『殺人交叉点』(Nocture Pour Assassin (1957)、フレッド・カサック、岡田真吉訳) 1959、のち文庫化
- 『ハマースミスのうじ虫』(The Hammersmith Maggot (1955)、ウィリアム・モール(William Mole)、井上勇訳) 1959、のち文庫化
- 『のぞかれた窓』(A Corpse of the Old School (1955)、ジャック・アイムズ(Jack Iams)、河野一郎訳) 1959
- 『さよならの値打ちもない』(Goodby is Not Worthwhile (1956)、ウイリアム・モール、河野一郎訳) 1959
- 『歯と爪』(The Tooth and the Nail (1955)、ビル・S・バリンジャー、森本清水訳) 1959、のち文庫化
- 『消えた犠牲』(The Missing Scapegoat (1958)、ベルトン・コッブ(Belton Cobb)、池田健太郎訳) 1959
- 『悪の仮面』(The Albatross (1957)、シャーロット・アームストロング、高城ちゑ訳) 1959 - 日本オリジナル編集の短篇集
- 『盲目の悪漢』(The Blind Villain (1957)、イヴリン・バークマン(Evelyn Berckman)、山本恭子訳) 1959
脚注
[編集]- ^ 『クライム・クラブへようこそ』新装版 (植草甚一、晶文社、植草甚一スクラップブック18) 2005 P.11
- ^ 『飛ばなかった男』 (マーゴット・ベネット、東京創元社、現代推理小説全集7、植草甚一による解説) 1957.12