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エースインパクト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エースインパクト
第102回凱旋門賞優勝時(2023年10月1日)
欧字表記 Ace Impact
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 2020年2月13日
Cracksman
Absolutly Me
母の父 Anabaa Blue
生国 アイルランドの旗 アイルランド
生産者 Mrs Waltraut Spanner
馬主 Ecuries Serge Stempniak
調教師 ジャン=クロード・ルジェ(仏国)
競走成績
タイトル カルティエ賞年度代表馬(2023年)
カルティエ賞最優秀3歳牡馬(2023年)
生涯成績 6戦6勝
WBRR L128 - I125 / 2023年[1]
勝ち鞍
G1 ジョッケクルブ賞 2023年
G1 凱旋門賞 2023年
G2 ギヨームドルナノ賞 2023年
Listed シュレンヌ賞 2023年
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エースインパクトAce Impact2020年2月13日 - )はアイルランド生産・フランス調教の競走馬。主な勝ち鞍は2023年ジョッケクルブ賞凱旋門賞

戦績

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2023年1月25日カーニュシュルメール競馬場の条件戦でクリスチャン・デムーロを鞍上に迎えてデビューし初勝利。4月2日ボルドールブスカ競馬場の条件戦もジーン・ケイエム鞍上で勝利して連勝。再びデムーロに戻って5月2日のシュレンヌ賞(L)に出走して3連勝を挙げた[2]

ジョッケクルブ賞

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6月4日のジョッケクルブ賞(G1)は3番人気で出走[3]。後方2番手に控えてマルハバヤサナフィの真後ろで待機。直線に入ると大外に持ち出して早めに追い出しを始める。単騎の逃げから粘り込みを図った1番人気馬ビッグロックを残り100mを過ぎたところで捉えて3馬身半差の圧勝。豪快な追い込みでG1初制覇を果たした[4]

管理するジャン=クロード・ルジェ調教師にとってはこれが6頭目[注 1]のジョッケクルブ賞優勝となり[5]、これはパスカル・バリー調教師とアラン・ド・ロワイエ=デュプレ調教師の記録に並ぶものである。ルジェ師は毎回人気薄の馬で勝利していることから感激も一入であることを語り、「毎回、大本命を破ってきました。ステップレースで多くのことを期待せず、本番で100%の力を発揮できるようにしてきました。次に必要なのは馬の状態が上向いていることであり、エースインパクトは確かに進化していました。いや、それ以上といえるでしょうね。誰もが大本命と見なしていたビッグロックを追跡してとらえ、3・2分の1馬身差で勝利したのですから」とエースインパクトと走りを称えた[6]

ギヨームドルナノ賞

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約2か月ぶりの実戦となった8月15日のギヨームドルナノ賞(G2)は単勝オッズ1.4倍の圧倒的な支持を集めての出走となった[7]

レースは僚馬のカンブロンヌが先頭に立って、エースインパクトは8馬身ほど離れた後方2番手に付けた。序盤には久々の競馬で少し行きたがるところを見せるも、ペースが流れると落ち着きを取り戻した。前を走るアルリファーに併せるように大外から直線に入ると、残り100mで抜け出してアルリファーに3/4差を付けて優勝。鞍上のデムーロが大きく拳を突き上げる余裕を見せるほど余力十分の勝利であった[7]

凱旋門賞

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10月1日の凱旋門賞(G1)に出走[8]。当日のパリロンシャン競馬場は太陽が照り付けており、多くの出走馬が汗だくとなっていた。また、レース前のエースインパクトは少し入れ込んでいた[9]。オッズはPMUでは2.5倍、JRAでも2.8倍の1番人気の支持を受けた[8]

明確な逃げ馬がいない中で先手を奪ったのはミスターハリウッドで、エースインパクトは後方3・4番手あたりをスルーセブンシーズと並んで追走。フォルスストレートの後半から前を捕らえる態勢に入り大外へと持ち出す。向かえた直線ではオープンストレッチの部分から各馬一斉に追い出しを開始。大外から順調に加速し一気に突き抜けて、2着のウエストオーバーに1馬身3/4差を付ける快勝。デビューから無傷の6連勝で世界の頂点とも言えるこの競走を制した[10][11]。勝ち時計は2分25秒50の好時計、最後の3ハロンは上がり最速タイである33秒06という瞬発力勝負の決着であった[注 2][12]

その後はチャンピオンステークスジャパンカップなどへの参戦案が浮上[9]。特にジャパンカップはイクイノックス打倒のために参戦を検討されたが、日本までは長旅になることから断念[13]。10月12日、現役を引退することが複数の報道機関により伝えられた[13][14]

11月9日、2023年度カルティエ賞の年度代表馬及び最優秀3歳牡馬に選出[注 3]。フランス調教馬の年度代表馬は2013年のトレヴ以来であった[15][16]。また、最優秀3歳牡馬は父クラックスマンとの親子制覇となった[15]

競走成績

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以下の内容はJRA-VAN Ver.World[2]、優駿達の蹄跡[17]を参考。

競走日 競馬場 競走名 馬場・距離
馬場状態
頭数 着順 タイム 着差 騎手 斤量 1着馬(2着馬)
2023年01月26日 カーニュシュルメール 未勝利戦 AW2000m (良) 10 1着 2:05.52 3+12馬身 C.デムーロ 58 (Axiome)
2023年04月02日 ボルドールブスカ 条件戦 芝1900m (重) 7 1着 2:10.80 2馬身 J.エイケム 57 (Perama)
2023年05月04日 シャンティイ シュレンヌ賞 L 芝2000m (稍重) 8 1着 2:03.72 1+34馬身 C.デムーロ 58 (Maniatic)
2023年06月04日 シャンティイ ジョッケクルブ賞 G1 芝2100m (良) 11 1着 2:02.63 3+12馬身 C.デムーロ 58 (Big Rock)
2023年08月15日 ドーヴィル ギヨームドルナノ賞 G2 芝2000m (稍重) 8 1着 2:07.59 +34馬身 C.デムーロ 58 (Al Riffa)
2023年10月01日 パリロンシャン 凱旋門賞 G1 芝2400m (稍重) 15 1着 2:25.50 1+34馬身 C.デムーロ 56.5 (Westover)

種牡馬時代

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2024年からフランス・ノルマンディーのボーモン牧場で種牡馬として繋養される[13][14]。種付け料はフランスの初年度種牡馬としては史上最高額となる4万ユーロ(約630万円)に設定された[18][19]。ボーモン牧場のアレックスは「彼がフランスのボーモン牧場で種牡馬としてのキャリアをスタートすることは、我が国にとって非常に明るいニュースだ」と語った[18]

血統表

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エースインパクト血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サドラーズウェルズ系
[§ 2]

Cracksman
鹿毛 2014
父の父
Frankel
鹿毛 2008
Galileo Sadler's Wells
Urban Sea
Kind *デインヒル
Rainbow Lake
父の母
Rhadegunda
鹿毛 2005
Pivotal Polar Falcon
Fearless Revival
St Radegund Green Desert
On The House

Absolutly Me
鹿毛 2009
Anabaa Blue
鹿毛 1998
Anabaa Danzig
Balbonella
Allez Les Trois Riverman
Allegretta
母の母
Tadawul
鹿毛 2001
Diesis Sharpen Up
Doubly Sure
Barakat Bustino
Rosia Bay
母系(F-No.) Diana(FN:12-b) [§ 3]
5代内の近親交配 Allegretta:S5×M4, Danzig:S5×S5×M4, Northern Dancer:S5×M5 [§ 4]
出典
  1. ^ [20]
  2. ^ [21]
  3. ^ [20]
  4. ^ [20]


脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 2009年のルアーヴル、2016年のアルマンゾル、2017年のブラムト、2019年のソットサス、2022年のヴァデニ、そして今回のエースインパクト。
  2. ^ 3着のオネストも同様の上がり3ハロンであった。
  3. ^ 年度代表馬の候補にはパディントンオーギュストロダンモスターダフが挙がっていた。

出典

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  1. ^ The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2023”. 国際競馬統括機関連盟. 2024年1月20日閲覧。
  2. ^ a b エースインパクト(Ace Impact) | 競馬データベース | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年6月5日閲覧。
  3. ^ 仏ダービー(G1) 2023/6/4(日) | 日程・結果 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年6月5日閲覧。
  4. ^ 仏ダービーはエースインパクトが豪快な追い込み勝ち、ハーツクライ産駒コンティニュアスは8着 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年6月5日閲覧。
  5. ^ 木南友輔. “ソットサス、エースインパクトで凱旋門賞制覇ルジェ師が若手調教師と共同名義の厩舎運営へ - 海外 | 競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年11月20日閲覧。
  6. ^ エースインパクト、ビッグロックを破って仏ダービー制覇(フランス)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年8月16日閲覧。
  7. ^ a b エースインパクトが仏G2ギヨームドルナノ賞で無敗継続、凱旋門賞へ一歩前進 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年8月16日閲覧。
  8. ^ a b 出馬表 | 2023凱旋門賞 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World. 2023年10月1日閲覧。
  9. ^ a b 無傷のエースインパクト、世界驚愕の末脚で凱旋門賞を制覇(フランス)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年10月13日閲覧。
  10. ^ 競馬 凱旋門賞 日本から出走のスルーセブンシーズは4着”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (NHK) (2023年10月2日). 2024年2月15日閲覧。
  11. ^ 【凱旋門賞】エースインパクトが無傷6連勝で頂点に! スルーセブンシーズは小差の4着に善戦 | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年10月1日閲覧。
  12. ^ 木南友輔. “【凱旋門賞】エースインパクトの上がりは33秒06!フランケルの血を持つ3頭が上位独占 - 海外競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年10月20日閲覧。
  13. ^ a b c 松田直樹. “凱旋門賞馬エースインパクト電撃引退 6戦無敗で来年から種牡馬入りへ - 海外競馬 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年10月20日閲覧。
  14. ^ a b 無敗の凱旋門賞馬エースインパクトが引退、フランスで種牡馬入り | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年10月13日閲覧。
  15. ^ a b 欧州年度代表馬はエースインパクト、オーギュストロダンの受賞ならず | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年11月10日閲覧。
  16. ^ 凱旋門賞馬エースインパクト、ヨーロッパ年度代表馬に選出(欧州)[その他]”. 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年11月16日閲覧。
  17. ^ Ace Impact”. ahonoora.com. 2023年10月2日閲覧。
  18. ^ a b 無敗の凱旋門賞馬エースインパクト、初年度種付け料は4万ユーロ | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト”. JRA-VAN Ver.World - 海外競馬. 2023年11月5日閲覧。
  19. ^ 木南友輔. “無敗の凱旋門賞馬エースインパクト、種付け料はフランスの初年度最高額4万ユーロに設定 - 海外”. nikkansports.com. 日刊スポーツ. 2023年10月26日閲覧。
  20. ^ a b c 血統情報:5代血統表|Ace Impact(IRE)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2023年7月5日閲覧。
  21. ^ Ace Impactの血統表 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2023年7月5日閲覧。

外部リンク

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