コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アゼリ (競走馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アゼリ
欧字表記 Azeri[1][2]
品種 サラブレッド[1][2]
性別 [1][2]
毛色 栗毛[1][2]
生誕 1998年5月6日[1][2]
ジェイドハンター[1][2]
Zodiac Miss[1][2]
母の父 Ahonoora[1][2]
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ケンタッキー州[1][2]
生産者 Allen E. Paulson[1][2]
馬主 Allen E. Paulson Living Trust[1]
調教師 Laura de Seroux(アメリカ
Darrell Wayne Lukas(アメリカ)
[1]
競走成績
タイトル アメリカ競馬殿堂(2010年選出)
エクリプス賞
年度代表馬(2002年)
最優秀古牝馬(2002、2003、2004年)
[1]
生涯成績 24戦17勝[1][2]
獲得賞金 407万9820ドル[1]
勝ち鞍
GI ブリーダーズカップ・ディスタフ 2002年
GI サンタマルガリータ招待ハンデキャップ 2002年
GI アップルブロッサムハンデキャップ 2002、2003、2004年
GI ミラディブリーダーズカップハンデキャップ 2002、2003年
GI ヴァニティハンデキャップ 2002、2003年
GI ゴーフォーワンドハンデキャップ 2004年
GI スピンスターステークス 2004年
GII クレメント・L・ハーシュハンデキャップ 2002、2003年
GII レディーズシークレットハンデキャップ 2002年
テンプレートを表示

アゼリ (Azeri) [2]とは、アメリカ合衆国生産の競走馬繁殖牝馬。主な勝ち鞍にブリーダーズカップ・ディスタフ2002年)、アップルブロッサムハンデキャップ(2002、20032004年)、ミラディブリーダーズカップハンデキャップ英語版(2002、2003年)、ヴァニティハンデキャップ(2002、2003年)、サンタマルガリータインビテーショナルハンデキャップ(2002年)、ゴーフォーワンドハンデキャップ(2004年)、スピンスターステークス(2004年)など。

シガーなどの馬主として知られるアラン・ポールソン英語版が自ら生産し、3歳秋の遅いデビューながらも4歳時から6歳時までG1競走を11勝積み重ね、エクリプス賞には2002年の年度代表馬、2002年から2004年の最優秀古牝馬に選出。2010年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たした。ポールソンは活躍を見ずに他界したが、ポールソンの「晩年の大傑作」とも呼ばれている[3]

略歴

[編集]
  • 特記事項なき場合、本節の出典はEQIBASE[1]

1998年5月6日、アラン・ポールソンがケンタッキー州ベルサイユに所有する、ブルックサイド・ファームで生まれる。航空チェックポイントからよく馬名を命名していたポールソンは、アゼルバイジャン共和国バクーにある航空チェックポイントの名称を生まれた仔馬に与えた[4]。1歳となった1999年のキーンランド・セプテンバー1歳馬セールに出品され、ポールソンが11万ドルで買い戻した[4]。翌2000年7月にポールソンは他界し、息子のマイケル・ポールソンが事実上のオーナーとして所有することとなった[3]

ローラ・デ・セルー厩舎に入るがデビューは遅れ、3歳時の2001年11月にサンタアニタ競馬場でのメイドン競走でデビューし、低評価を覆して2着に6馬身差をつけて1着となる[3]。続くアローワンス競走、4歳初戦のオプショナルクレーミング競走をも勝って3連勝とし、重賞初出走となるG2競走ラカナダステークス英語版はサマーコロニーの2着に終わるが、続くサンタマルガリータインビテーショナルハンデキャップで2000年のブリーダーズカップ・ディスタフ優勝馬スペイン英語版を破り、初重賞制覇をG1競走で飾る。ここから連勝が始まり、アップルブロッサムハンデキャップ、ミラディブリーダーズカップハンデキャップ、ヴァニティハンデキャップとG1競走を4連勝し、G2競走クレメント・L・ハーシュハンデキャップレディーズシークレットハンデキャップも制覇して6連勝で臨んだブリーダーズカップ・ディスタフでも逃げ切って優勝[3]1983年オールアロング1986年レディーズシークレット以来のエクリプス賞年度代表馬に選出された[3]

2003年はアップルブロッサムハンデキャップから始動して連覇を達成し、前年と同じローテーションで勝ち進んでいたが、9月のレディーズシークレットハンデキャップで繰り上がりによる2着に終わったうえ、レース後に屈腱炎を発症して一時は引退が発表された[3]。しかし、マイケル・ポールソンら馬主サイドが幾人かの獣医に意見を求めて現役続行を模索し、回復の見込みがあると判断されたためウェイン・ルーカス厩舎に移籍の上、現役を続行することになった[3]。療養ののち2004年4月のアップルブロッサムハンデキャップで復帰して3連覇を達成。2003年とは違って4歳初戦以来の短距離戦や牡馬との対戦が主となったため[3]、7ハロン戦のヒューマナディスタフハンデキャップは2着、メトロポリタンハンデキャップ8着、オグデンフィップスハンデキャップ4着と勝てない競馬が3戦続いたが、8月のゴーフォーワンドハンデキャップで新しくG1競走タイトルを奪取し、パーソナルエンスンハンデキャップ2着を経て出走のスピンスターステークスでG1競走11勝目を挙げた。その後、牝馬3頭目の出走となったブリーダーズカップクラシックゴーストザッパーの5着に終わり、12月に引退した[5]。獲得賞金407万9820ドルはゼニヤッタに抜かれるまで北米牝馬新記録であった。

競走成績

[編集]

以下の内容は、EQIBASE[1]の情報および記載法に基づく。

出走日 競馬場 競走名 距離 頭数 枠番
(PP)
馬番
(Pgm)
着順 騎手 斤量(lb./kg換算) タイム 着差 勝ち馬/(2着)馬
2001.11.01 サンタアニタ メイドン ダ6f 9 4 4 1着 M. スミス 120/54.5 1:08.82 6馬身 (Southern Oasis)
0000.12.17 ハリウッドパーク アローワンス ダ6.5f 7 2 2 1着 M. スミス 118/53.5 1:15.51 3馬身 (Burming Breeze)
2002.01.12 サンタアニタ オプショナルクレーミング ダ8f 6 4 4 1着 M. スミス 117/53 1:35.88 3馬身 (Elaine's Angel)
0000.02.09 サンタアニタ ラカナダS G2 ダ8.5f 6 4 4 2着 M. スミス 115/52 (1馬身) Summer Colony
0000.03.10 サンタアニタ サンタマルガリータ招待H G1 ダ9f 7 1 2 1着 M. スミス 115/52 1:49.61 3馬身 (Spain)
0000.04.06 オークローンパーク アップルブロッサムH G1 ダ8.5f 5 1 1 1着 M. スミス 117/53 1:42.75 1馬身3/4 (Affluent)
0000.05.25 ハリウッドパーク ミラディブリーダーズカップH G1 ダ8.5f 6 2 2 1着 M. スミス 122/55.5 1:42.02 3馬身1/2 (Affluent)
0000.06.22 ハリウッドパーク ヴァニティH G1 ダ10f 5 2 2 1着 M. スミス 125/56.5 1:48.88 3馬身 (Affluent)
0000.08.11 デルマー クレメント・L・ハーシュH G2 ダ8.5f 5 3 3 1着 M. スミス 126/57 1:42.66 2馬身 (Angel Gift)
0000.10.02 サンタアニタ レディーズシークレットH G2 ダ7f 7 5 5 1着 M. スミス 127/57.5 1:41.10 3馬身1/2 (Starrer)
0000.10.26 アーリントンパーク ブリーダーズカップ・ディスタフ G1 ダ9f 8 4 4 1着 M. スミス 123/55.5 1:48.64 5馬身 (Farda Amiga)
2003.04.05 オークローンパーク アップルブロッサムH G1 ダ8.5f 7 6 6 1着 M. スミス 123/55.5 1:43.00 アタマ (Take Charge Lady)
0000.05.24 ハリウッドパーク ミラディブリーダーズカップH G1 ダ8.5f 6 4 4 1着 M. スミス 125/56 1:41.87 3馬身 (Enjoy)
0000.06.21 ハリウッドパーク ヴァニティH G1 ダ9f 7 6 5 1着 M. スミス 127/57.5 1:48.48 2馬身 (Sister Girl Blues)
0000.08.10 デルマー クレメント・L・ハーシュH G1 ダ8.5f 5 1 1 1着 M. スミス 127/57.5 1:42.12 3馬身1/4 (Got Koko)
0000.09.28 サンタアニタ レディーズシークレットH G2 ダ8.5f 6 5 5 2着 M. スミス 128/58 (2馬身1/4) Got Koko
2004.04.03 オークローンパーク アップルブロッサムH G1 ダ8.5f 6 1 1 1着 M. スミス 123/55.5 1:41.24 1馬身1/2 (Star Parade)
0000.05.01 チャーチルダウンズ ヒューマナディスタフH G1 ダ7f 4 2 2 2着 M. スミス 125/56 (アタマ) Mayo On the Side
0000.05.31 ベルモントパーク メトロポリタンH G1 ダ8f 9 3 3 8着 P. デイ 117/53 (6馬身3/4) Pico Central
0000.06.19 ベルモントパーク オグデンフィップスH G1 ダ8.5f 4 1 1 4着 P. デイ 123/55.5 (11馬身3/4) Sightseek
0000.08.01 サラトガ ゴーフォーワンドH G1 ダ8.5f 5 5 6 1着 P. デイ 120/54.5 1:47.86 1馬身3/4 (Sightseek)
0000.08.27 サラトガ パーソナルエンスンH G1 ダ10f 5 2 2 2着 P. デイ 122/55.5 (1馬身1/4) Storm Flag Flying
0000.10.10 キーンランド スピンスターS G1 ダ9f 7 1 1 1着 P. デイ 123/55.5 1:49.74 3馬身 (Tamweel)
0000.10.30 ローンスターパーク ブリーダーズカップ・クラシック G1 ダ10f 13 3 3 5着 P. デイ 123/55.5 (9馬身3/4) Ghostzapper

引退後

[編集]

引退後はケンタッキー州に戻り繁殖牝馬となった。アメリカで3頭の出産ののち、2009年11月10日に、ノーザンファームの代表者である吉田勝己によって落札され、以降は日本で繁殖生活を送る。2009年産のワインプリンセス(Wine Princess)が重賞ウイナーとなっている。2013年産のロイカバードは同年のセレクトセール寺田寿男に2億5200万円で落札され、近似額で落札されたサトノダイヤモンドとの対戦が「5億円対決」として一時話題となり、引退後は種牡馬となったが[6]、間もなく乗馬に転じてノーザンホースパークで繋養されている[7]。 2020年に繁殖牝馬を引退し、リードホースとして引き続きノーザンファームで繋養される[8]

3連覇を果たしたアップルブロッサムハンデキャップを施行するオークローンパーク競馬場では、重賞オークローンブリーダーズカップハンデキャップを2005年からアゼリブリーダーズカップハンデキャップ英語版に改名して施行。2010年アメリカ競馬殿堂入りを果たした。

産駒一覧

[編集]
生年 馬名 毛色 馬主 厩舎 戦績 主な勝利競走 供用 出典
初仔 2007年 Take Control 栗毛 A.P. Indy Kaleem Shah, Inc. Bob Baffert 4戦2勝 [9][10]
2番仔 2008年 Arienza 栗毛 Giant's Causeway Lawana L. Low & Robert E. Low Daniel C. Peitz 6戦2勝 [11][12]
3番仔 2009年 Wine Princess 栗毛 Ghostzapper Becky Winemiller Steve Margolis 13戦5勝 2012年モンマスオークス(G3)
2013年フォールズシティハンデキャップ(G2)
[13][14]
4番仔 2010年 アメリ 栗毛 Distorted Humor (有)サンデーレーシング 栗東池江泰寿 24戦3勝 (繁殖牝馬) [15]
5番仔 2011年 (アゼリの2011) 栗毛 ゼンノロブロイ 森田謙一 美浦矢野英一(予定) (不出走) [16][17][18]
6番仔 2013年 ロイカバード 黒鹿毛 ディープインパクト 寺田寿男 栗東・松永幹夫 18戦4勝 (種牡馬→乗馬) [19]
7番仔 2014年 アドマイヤアゼリ 鹿毛 近藤利一
→近藤旬子
栗東・須貝尚介

→栗東・畑端省吾

28戦4勝 (乗馬) [20]
8番仔 2015年 シルヴァンシャー 鹿毛 (有)サンデーレーシング 栗東・池江泰寿 12戦4勝 (引退) [21]
9番仔 2016年 ゲンティアナ 鹿毛 吉田勝己 栗東・松永幹夫 24戦2勝 (引退) [22]
10番仔 2017年 アウサンガテ 鹿毛 金子真人ホールディングス 栗東・中内田充正 24戦1勝 (引退) [23]
11番仔 2018年 フレイムタワー 黒鹿毛 ハーツクライ キャロットファーム 美浦・古賀慎明 (未出走) (繁殖牝馬) [24][25]
12番仔 2020年 メイデンタワー 栗毛 ドレフォン (有)サンデーレーシング 美浦・稲垣幸雄 12戦2勝 (現役競走馬)
  • 2024年10月11日現在

血統表

[編集]
アゼリ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ミスタープロスペクター系
[§ 2]

*ジェイドハンター
1984 栗毛
父の父
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母
Jadana
1979 鹿毛
Pharly Lyphard
Comely
Janina Match
Jennifer

Zodiac Miss
1989 栗毛
Ahonoora
1975 栗毛
Lorenzaccio Klaoron
Phoenissa
Helen Nichos Martial
Quaker Girl
母の母
Capricornia
1983 鹿毛
*トライマイベスト Northern Dancer
Sex Appeal
Franconia *ラインゴールド
Miss Glasso
母系(F-No.) Miss Glasso系(FN:1-l) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 5 × 4 = 9.38% [§ 4]
出典
  1. ^ [26]
  2. ^ [27]
  3. ^ [26][27][28]
  4. ^ [26][27]


脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Azeri (KY)”. EQUIBASE Horse Profile. Equibase Company LLC.. 2020年5月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l アゼリ(USA)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h アゼリ”. JRA-VAN Ver. World - 競馬データ. JRA-VAN. 2020年5月11日閲覧。
  4. ^ a b Azeri: A Standard of Excellence”. America's Best Racing. TJC Media Ventures. (2018年6月25日). 2020年5月11日閲覧。
  5. ^ Leading Female Earner, Horse of the Year Azeri Retired”. BloodHorse.com. Blood-Horse LLC. (2004年12月23日). 2020年5月11日閲覧。
  6. ^ ロイカバードが種牡馬入り、セレクトセールで2億5200万円の高額馬”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2019年1月14日). 2020年5月11日閲覧。
  7. ^ ノーザンホースパーク”. 競走馬のふるさと案内所. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  8. ^ Azeri Retired From Breeding in Japan”. bloodhorse.com (2021年1月4日). 2021年1月9日閲覧。
  9. ^ Take Control”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  10. ^ Take Control (KY)”. EQUIBASE Horse Profile. Equibase Company LLC.. 2020年5月11日閲覧。
  11. ^ Arienza”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  12. ^ Arienza (KY)”. EQUIBASE Horse Profile. Equibase Company LLC.. 2020年5月11日閲覧。
  13. ^ Wine Princess”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  14. ^ Wine Princess (KY)”. EQUIBASE Horse Profile. Equibase Company LLC.. 2020年5月11日閲覧。
  15. ^ アメリ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  16. ^ _”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  17. ^ 2012年度 セレクトセール サラブレッド 1歳”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  18. ^ セレクトセール2012・アゼリの11は森田氏が落札”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2011年7月24日). 2020年5月11日閲覧。
  19. ^ ロイカバード”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  20. ^ アドマイヤアゼリ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  21. ^ シルヴァンシャー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  22. ^ ゲンティアナ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  23. ^ アウサンガテ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  24. ^ _”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月11日閲覧。
  25. ^ フレイムタワー”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年5月11日閲覧。
  26. ^ a b c 血統情報:5代血統表|アゼリ(USA)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年4月17日閲覧。
  27. ^ a b c アゼリの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年4月17日閲覧。
  28. ^ 平出貴昭 (2019年9月18日). “『覚えておきたい世界の牝系100』掲載牝系一覧”. 競馬“血統”人生/平出貴昭. 2020年4月17日閲覧。

外部リンク

[編集]