YMS-1級掃海艇
YMS-1級掃海艇 | |
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基本情報 | |
種別 |
補助内燃機掃海艇→沿岸掃海艇 (YMS)→AMS→MSC(O)→MSCO |
建造所 | 35ヶ所の造船所[1] |
運用者 | 運用国一覧を参照 |
就役期間 | 1942年 - 1957年 (アメリカ海軍) |
建造数 | 481隻[1] |
次級 | ブルーバード級掃海艇 |
要目 | |
排水量 | 270トン |
全長 | 136 ft (41 m) |
最大幅 | 24 ft 6 in (7.47 m) |
吃水 | 24 ft 6 in (7.47 m) |
主機 | ゼネラルモーターズ製GM8-268Aディーゼルエンジン×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 880馬力 |
速力 | 15ノット (28 km/h) |
乗員 | 32人 |
兵装 |
3インチ砲×1基 20ミリ機銃×2基 爆雷投射機×2基 掃海具 |
YMS-1級掃海艇(YMS-1きゅうそうかいてい、英語: YMS-1-class minesweeper)は、アメリカ海軍が運用していた補助内燃機掃海艇(YMS)の艦級である。
合計481隻が建造され、 アメリカ海軍のほか日本を含む西側諸国で運用された。複数のサブクラスが存在するほか、 レンドリース法によりイギリスに提供する目的で、本級を基にしたBYMS級掃海艇が建造されている。
1947年に現役だった艇は艦種記号をAMSに改められ、固有の名前が与えられた。この際、新たにAMS-1の記号が与えられた「アルバトロス」をネームシップと見做し、「アルバトロス級掃海艇」とも呼ばれる[1][2]。
概要
[編集]本級の基本設計は排水量270トン、全長136フィート (41 m)、全幅24 ft 6 in (7.47 m)、喫水8 ft (2.4 m)であった。機関はゼネラルモーターズ(クリーブランド)製8-268A 2気筒ディーゼルエンジン(440 shp (330 kW))を2基搭載し、2軸推進の構成で最大速力15ノット (28 km/h; 17 mph)を発揮した。艇体は木製を採用している。
乗員数は32名を標準とした。艇によって差異はあるものの、艇体に比べて武装は比較的強力で、一般的に3インチ砲×1基、20ミリ機銃×2基、爆雷投射機×2基を装備した。
YMS-1級は同時代のアメリカ海軍艦艇では比較的小型であった。そのため一部の乗員は、YMSは窮屈で、安定性に欠けているという印象を持った。明らかに誇張されてはいるものの、これらの問題点を指摘して、他の乗員がYMSに転属しないように警告する内容の詩が残されている。
人はYMSで生きているのではない
彼らはただ緊張とストレスにさらされながら
穏やかなる海に浮かんだ船の中で
豆の鞘のように振り回されているだけなのだ
各級
[編集]本級には、外観上の違いにより大きく分けて2つのサブクラスが存在しており、それぞれ独立した艦級として扱われることもある。
YMS-135級
[編集]基本的な構成は同一だが、煙突が2本ではなく1本しかない。「YMS-135」から「YMS-445」、「YMS-480」、「YMS-481」が該当する。
YMS-446級
[編集]基本的な構成は同一だが、煙突が廃止されて舷側排気に変更されている。「YMS-446」から「YMS-479」が該当する。
アメリカ海軍以外での運用
[編集]BYMS級掃海艇
[編集]レンドリース法の下でイギリスへ提供するため、YMS-1級と同型の掃海艇80隻が、BYMS級掃海艇として米国の造船所に発注された。これに加えて、アメリカ海軍向けに建造されたYMS-1級の一部である53隻(「YMS-137」から「YMS-284」)が、追加のBYMSとして移管された。後に17隻が追加納入されている。
その他国外での運用
[編集]フランスは、第二次世界大戦中に31隻のYMS級掃海艇を受領した。このうち、1944年に1隻(D202、旧YMS-77)を触雷により喪失している。フランス海軍は戦後もYMS級を使用し続け[3]、1962年時点でも7隻が就役していた。これらは掃海艇のほか、海軍兵学校の練習艦や試験艦としても使用された。3隻は1954年にフランスから南ベトナムに譲渡され、1961年には1隻がマダガスカルへ移管されている[4]。
1947年、ポーランド海軍は3隻のYMSを購入した[5]。「ORPデルフィン」(旧YMS-211、BYMS-2211)、「ORPフォカ」(旧YMS-257、BYMS-2257)、「ORPモルス」(旧YMS-282、BYMS-2282)の3隻はソ連製の85ミリ砲と12.7ミリ機銃4門で再武装され、1950年代半ばまで運用された。このうち「ORPデルフィン」はプツク湾で自沈処分され、ダイビングスポットになっている。さらに、ポーランドでは1隻のYMSが水路測量船として運用された。
「YMS-328」のように、軍を退役後、民間に払い下げられてヨットなどに改造された艇も存在する。海洋学者ジャック=イヴ・クストーの海洋調査船「カリプソ号」は、「BYMS-2026」を改造したものであった。
日本での運用
[編集]1955年(昭和30年)、日米艦艇貸与協定に基づき7隻が日本の海上自衛隊に貸与され、「うじしま型掃海艇」と称した。1959年(昭和34年)には、日米相互防衛援助協定に基づき2隻が追加供与された。この2隻は「にのしま型掃海艇」として区別されることもある[6]。
各艇には仕様上の差異がいくつかあり、大半は煙突が1本のYMS-135級だったが、「ゆげしま」のみ煙突がないYMS-446級だった。また、最初に貸与された7隻はアメリカ海軍の現役艇を提供されたが、「にのしま型」の2隻はモスボール保管されていた艇を供与されている。兵装の面でも違いがあり、砲熕兵装は前者が艇首に40ミリ単装機銃、両舷に20ミリ連装機銃だったが、後者は40ミリ単装機銃を欠いており20ミリ連装機銃だけだった[2]。
1966年(昭和41)3月31日に7隻が支援船(特務船YAS)に区分変更され、「うじしま」は除籍されて部品取りとして使用。練習船(YTE)に区分された「やくしま」は海上自衛隊第1術科学校で教育訓練に使用された後、1969年(昭和44年)除籍された[6]。
アメリカ海軍 | 海上自衛隊 | ||||||
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旧名 | 建造所 | 竣工 | 艇番号 | 艦名 | 供与 | 区分変更 | 除籍 |
YMS-192 AMS-5 コンドル |
グリーンボート・ベースン建設 | 1943年 6月13日 |
MSC-655 | うじしま | 1955年 3月18日 |
N/A | 1966年 3月31日 |
YMS-231 AMS-10 ファイアクレスト |
フランク・L・サンプル・ジュニア社 | 1943年 8月6日 |
MSC-656 | えたじま | 1955年 3月15日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-37) |
1966年 11月30日 |
YMS-369 AMS-18 ヘロン |
ホイーラー造船 | 1943年 9月9日 |
MSC-657 | ぬわじま | 1955年 3月21日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-38) |
1967年 3月31日 |
YMS-422 AMS-28 オスプレイ |
アストリア海事建設 | 1944年 9月27日 |
MSC-658 | やくしま | 1955年 2月22日 |
1966年 3月31日 練習船(YTE-10) |
1969年 3月31日 |
YMS-441 AMS-32 ペリカン |
ロバート・ジェイコブ社 | 1945年 2月20日 |
MSC-659 | おぎしま | 1955年 4月16日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-39) |
1968年 3月31日 |
YMS-461 AMS-36 スワロー |
スタディアム・ヨット・ベースン社 | 1944年 6月21日 |
MSC-660 | ゆげしま | 1955年 4月16日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-40) |
1968年 3月31日 |
YMS-415 AMS-40 シャッタレア |
スタディアム・ヨット・ベースン社 | 1944年 10月1日 |
MSC-661 | ゆりしま | 1955年 4月16日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-41) |
1968年 3月31日 |
YMS-372 AMS-20 ハマー |
ウィーバー造船所 | 1944年 3月28日 |
MSC-662 | にのしま | 1959年 3月16日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-42) |
1968年 3月31日 |
YMS-376 AMS-23 ラーク |
グリーンボート・ベースン建設 | 1943年 8月9日 |
MSC-663 | もろしま | 1959年 3月16日 |
1966年 3月31日 特務船(YAS-43) |
1968年 3月31日 |
運用国一覧
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 梅野和夫 他「海上自衛隊艦艇シリーズ 機雷艦艇I」『丸スペシャル』第72号、潮書房、1983年2月、42-47頁。
- ^ Masson 1969, pp. 59, 61–53.
- ^ Blackman 1962, p. 94.
- ^ Twardowski, Marek (June 2001). “Trałowce typu BYMS w polskiej służbie [BYMS minesweepers in Polish service]” (Polish). Morza, Statki i Okręty VI (31). ISSN 1426-529X.
- ^ a b c 高田泰光 他「掃海艇 「うじしま」型」『世界の艦船 11月号増刊 『海上自衛隊全艦艇史』』第869号、海人社、2017年10月、45頁、ASIN B075YP4PHS。
参考文献
[編集]- この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。
- Blackman, Raymond V. B. (1962). Jane's Fighting Ships 1962–63. London: Sampson Low, Marston & Co. Ltd
- Le Masson, Henri (1969). Navies of the Second World War: The French Navy Volume Two. London: Macdonald & Co.
- Priolo, Gary P. (2006年). “Auxiliary Motor Minesweeper (YMS), British Motor Minesweeper (BYMS) Index”. NavSource Online. NavSource Naval History. 2024年12月25日閲覧。