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IPA拡張

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
IPA拡張
IPA Extensions
範囲 U+0250..U+02AF
(96 個の符号位置)
基本多言語面
用字 ラテン文字
主な言語・文字体系
割当済 96 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
1.0.0 89 (+89)
3.0 94 (+5)
4.0 96 (+2)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
テンプレートを表示

IPA拡張(IPAかくちょう、英語: IPA Extensions)は、Unicodeの5つ目のブロック。発音記号の一つである、国際音声記号(IPA)の文字を収録している。

本ブロックではIPAで使用されている字母のうち、基本ラテン文字ラテン1補助ラテン文字拡張A前進を伴う修飾文字合成可能なダイアクリティカルマーク、及びギリシア文字及びコプト文字ブロックに含まれる文字を除いたものが収録されている。また、廃止された文字や拡張IPAの文字の一部も含んでいる。

Unicodeのバージョン1.0では「標準音声記号(Standard Phonetic)」というブロック名で制定されていた。[1]

収録文字

[編集]

本節における日本語名称は特記がない限りWorld Wide Web Consortiumより[2]

背景が赤色のものは廃止されたIPA字母。青色のものはIPA以外の音声記号で用いられる字母。

コード 文字 文字名(英語) JIS名称 対応する大文字 用例・説明
IPA拡張
U+0250 ɐ LATIN SMALL LETTER TURNED A ターンドA小文字 Ɐ(U+2C6F) 中舌狭めの広母音
U+0251 ɑ LATIN SMALL LETTER ALPHA スクリプトA小文字 Ɑ(U+2C6D) 非円唇後舌広母音
U+0252 ɒ LATIN SMALL LETTER TURNED ALPHA ターンドALPHA小文字 Ɒ(U+2C70) 円唇後舌広母音
U+0253 ɓ LATIN SMALL LETTER B WITH HOOK フック付きB小文字 Ɓ(U+0181) 有声両唇入破音

ハウサ語フラニ語バサ語ショナ語(1931~1955)の正書法にも含まれる

U+0254 ɔ LATIN SMALL LETTER OPEN O オープンO小文字 Ɔ(U+0186) 円唇後舌半広母音

エウェ語トウィ語カビエ語リンガラ語ディンカ語バサ語メンデ語バンバラ語ダバニ語の正書法にも含まれる

セリフ体において通常はセリフ部分が下側に付くが、書体によっては上側に付くこともある。[3]

U+0255 ɕ LATIN SMALL LETTER C WITH CURL カール付きC小文字 - 無声歯茎硬口蓋摩擦音
U+0256 ɖ LATIN SMALL LETTER D WITH TAIL テール付きD小文字 Ɖ(U+0189) 有声反り舌破裂音

カビエ語の正書法にも含まれる

U+0257 ɗ LATIN SMALL LETTER D WITH HOOK フック付きD小文字 Ɗ(U+018A) 有声歯茎入破音

ハウサ語フラニ語ショナ語(1931~1955)の正書法にも含まれる

U+0258 ɘ LATIN SMALL LETTER REVERSED E リバースドE小文字 - 非円唇中舌半狭母音
U+0259 ə LATIN SMALL LETTER SCHWA SCHWA小文字 Ə(U+018F) 曖昧母音(シュワー)

アゼルバイジャン語カザフ語(1929~1940)、ウズベク語(1936~1940)、タタール語(1928 ~1940)の正書法にも含まれる

U+025A ɚ LATIN SMALL LETTER SCHWA WITH HOOK フック付きSCHWA - R音性を持つシュワー。アメリカ英語などで見られる。
U+025B ɛ LATIN SMALL LETTER OPEN E オープンE小文字 Ɛ(U+0190) 非円唇前舌半広母音

エウェ語トウィ語カビエ語リンガラ語ディンカ語バサ語メンデ語バンバラ語モシ語ダバニ語の正書法にも含まれる

U+025C ɜ LATIN SMALL LETTER REVERSED OPEN E リバースドオープンE小文字 Ɜ(U+A7AB) 非円唇中舌半広母音
U+025D ɝ LATIN SMALL LETTER REVERSED OPEN E WITH HOOK - R音性を持つ非円唇中舌半広母音。アメリカ英語などで見られる。
U+025E ɞ LATIN SMALL LETTER CLOSED REVERSED OPEN E クローズドリバースドオープンE小文字 - 円唇中舌半広母音
U+025F ɟ LATIN SMALL LETTER DOTLESS J WITH STROKE ストローク付きドットなしJ小文字 - 有声硬口蓋破裂音
U+0260 ɠ LATIN SMALL LETTER G WITH HOOK フック付きG小文字 Ɠ(U+0913) 有声軟口蓋入破音
U+0261 ɡ LATIN SMALL LETTER SCRIPT G スクリプトG小文字 Ɡ(U+A7AC) 有声軟口蓋破裂音

通常のラテン文字gは書体によっては下部(ディセンダ)がループ状の形状になっており、発音記号の種類によってはこれらの違いで発音を区別する場合があるため符号が分けられている。

U+0262 ɢ LATIN LETTER SMALL CAPITAL G - 有声口蓋垂破裂音
U+0263 ɣ LATIN SMALL LETTER GAMMA Ɣ(U+0914) 有声軟口蓋摩擦音

カビエ語ベルベル諸語ディンカ語ダバニ語の正書法にも含まれる

U+0264 ɤ LATIN SMALL LETTER RAMS HORN ベビーガンマ - [4][5] 非円唇後舌半狭母音
U+0265 ɥ LATIN SMALL LETTER TURNED H ターンドH小文字 Ɥ(U+A78D) 有声両唇硬口蓋接近音。フランス語に見られる。
U+0266 ɦ LATIN SMALL LETTER H WITH HOOK フック付きH小文字 Ɦ(U+A7AA)、

Ĥ(U+0124)[6]

有声声門摩擦音
U+0267 ɧ LATIN SMALL LETTER HENG WITH HOOK フック付きHENG小文字 - 無声軟口蓋後部歯茎摩擦音。スウェーデン語に見られる。
U+0268 ɨ LATIN SMALL LETTER I WITH STROKE ストローク付きI小文字 Ɨ(U+0197) 非円唇中舌狭母音
U+0269 ɩ LATIN SMALL LETTER IOTA Ɩ(U+0196) 非円唇前舌め広めの狭母音。1989年にɪ(U+026A)に置換され廃字となった。

カビエ語モシ語の正書法にも含まれる

U+026A ɪ LATIN LETTER SMALL CAPITAL I Ɪ(U+A7AE) 非円唇前舌め広めの狭母音
U+026B ɫ LATIN SMALL LETTER L WITH MIDDLE TILDE Ɫ(U+2C62) 有声歯茎側面接近音
U+026C ɬ LATIN SMALL LETTER L WITH BELT ベルト付きL小文字 Ɬ(U+A7AD) 無声歯茎側面摩擦音
U+026D ɭ LATIN SMALL LETTER L WITH RETROFLEXHOOK レトロフレックスフック付きL小文字 - 有声反り舌側面接近音
U+026E ɮ LATIN SMALL LETTER LEZH LEZH小文字 - 有声歯茎側面摩擦音
U+026F ɯ LATIN SMALL LETTER TURNED M ターンドM小文字 Ɯ(U+019C) 非円唇後舌狭母音
U+0270 ɰ LATIN SMALL LETTER TURNED M WITH LONGLEG ロングレッグ付きターンドM小文字 - 有声軟口蓋接近音
U+0271 ɱ LATIN SMALL LETTER M WITH HOOK フック付きM小文字 Ɱ(U+2C6E) 有声唇歯鼻音
U+0272 ɲ LATIN SMALL LETTER N WITH LEFT HOOK 左フック付きN小文字 Ɲ(U+019D) 有声硬口蓋鼻音

フラニ語セネガル以外で)、バンバラ語の正書法にも含まれる

U+0273 ɳ LATIN SMALL LETTER N WITH RETROFLEXHOOK レトロフレックスフック付きN小文字 - 有声反り舌鼻音
U+0274 ɴ LATIN LETTER SMALL CAPITAL N - 有声口蓋垂鼻音。日本語の語末の「」などに見られる。
U+0275 ɵ LATIN SMALL LETTER BARRED O バー付きO小文字 Ɵ(U+019F) 円唇中舌半狭母音

アゼルバイジャン語(1929~1939)、カザフ語(1929~1940)、キルギス語(1928~1938)、タタール語(1928 ~1940)の正書法にも含まれる

書体によっては真ん中の横棒がチルダ記号のように波打った形で書かれる。[3]

U+0276 ɶ LATIN LETTER SMALL CAPITAL OE - 円唇前舌広母音
U+0277 ɷ LATIN SMALL LETTER CLOSED OMEGA - 円唇後舌め広めの狭母音。1989年にʊ(U+028A)に置換され廃字となった。
U+0278 ɸ LATIN SMALL LETTER PHI - 無声両唇摩擦音。日本語の「」の頭子音や、エウェ語に見られる。
U+0279 ɹ LATIN SMALL LETTER TURNED R ターンドR小文字 - 有声歯茎接近音。英語Rなどに見られる。
U+027A ɺ LATIN SMALL LETTER TURNED R WITH LONGLEG ロングレッグ付きターンドR小文字 - 有声歯茎側面弾き音
U+027B ɻ LATIN SMALL LETTER TURNED R WITH HOOK フック付きターンドR小文字 - 有声反り舌接近音
U+027C ɼ LATIN SMALL LETTER R WITH LONG LEG - 有声歯擦舌尖歯茎震え音。チェコ語řの発音を表記するために用意されていたが1989年に廃字となった。現在は[r̝]と表記する。
U+027D ɽ LATIN SMALL LETTER R WITH TAIL テール付きR小文字 Ɽ(U+2C64) 有声反り舌弾き音
U+027E ɾ LATIN SMALL LETTER R WITH FISHHOOK フィッシュフック付きR小文字 - 有声歯茎弾き音
U+027F ɿ LATIN SMALL LETTER REVERSED R WITH FISHHOOK - IPAでは使用されない。中国語の音韻学において、非円唇歯舌先母音を表す。IPAでは[z̩]と表記される。
U+0280 ʀ LATIN LETTER SMALL CAPITAL R Ʀ(U+01A6) 有声口蓋垂震え音。ドイツ語のRなどに見られる。
U+0281 ʁ LATIN LETTER SMALL CAPITAL INVERTED R インバーテッドRスモールキャピタル - 有声口蓋垂摩擦音。フランス語ポルトガル語のRなどに見られる。
U+0282 ʂ LATIN SMALL LETTER S WITH HOOK フック付きS小文字 Ʂ(U+A7C5) 無声反り舌摩擦音
U+0283 ʃ LATIN SMALL LETTER ESH ESH小文字 Ʃ(U+01A9) 無声後部歯茎摩擦音。文字名をエッシュと呼ぶ。
U+0284 ʄ LATIN SMALL LETTER DOTLESS J WITH STROKEAND HOOK フックとストローク付きドットなしJ小文字 - 有声硬口蓋入破音
U+0285 ʅ LATIN SMALL LETTER SQUAT REVERSED ESH - IPAでは使用されない。中国語の音韻学において、非円唇反り舌舌先母音を表す。IPAでは[ʐ̩]と表記される。

文字名に反して実際にはU+027F ɿ から派生した文字である。

U+0286 ʆ LATIN SMALL LETTER ESH WITH CURL - 口蓋化した無声後部歯茎摩擦音。1989年に廃字となった。現在は[ʃʲ]と表記する。
U+0287 ʇ LATIN SMALL LETTER TURNED T Ʇ(U+A7B1) 歯吸着音。1989年にǀ(U+01C0)に置換され廃字となった。
U+0288 ʈ LATIN SMALL LETTER T WITH RETROFLEXHOOK レトロフレックスフック付きT小文字 Ʈ(U+01AE) 無声反り舌破裂音
U+0289 ʉ LATIN SMALL LETTER U BAR バー付きU小文字 Ʉ(U+0244) 円唇中舌狭母音

ツォウ語の正書法にも含まれる

U+028A ʊ LATIN SMALL LETTER UPSILON UPSILON小文字 Ʊ(U+01B1) 円唇後舌め広めの狭母音

カビエ語の正書法にも含まれる

U+028B ʋ LATIN SMALL LETTER V WITH HOOK フック付きV小文字 Ʋ(U+01B2) 有声唇歯接近音

エウェ語カビエ語モシ語ショナ語(1931~1955)の正書法にも含まれる

ギニアにおけるトマ語英語: Loma_languageでも用いられるが、下部が通常のvのように尖った別の字形で書かれる。[3]

U+028C ʌ LATIN SMALL LETTER TURNED V ターンドV小文字 Ʌ(U+0245) 非円唇後舌半広母音
U+028D ʍ LATIN SMALL LETTER TURNED W ターンドW小文字 - 無声両唇軟口蓋摩擦音。イギリス英語などに見られる。
U+028E ʎ LATIN SMALL LETTER TURNED Y ターンドY小文字 - 硬口蓋側面接近音
U+028F ʏ LATIN LETTER SMALL CAPITAL Y - 円唇前舌め広めの狭母音
U+0290 ʐ LATIN SMALL LETTER Z WITH RETROFLEXHOOK レトロフレックスフック付きZ小文字 Ᶎ(U+A7C6)[7] 有声反り舌摩擦音
U+0291 ʑ LATIN SMALL LETTER Z WITH CURL カール付きZ小文字 - 有声歯茎硬口蓋摩擦音
U+0292 ʒ LATIN SMALL LETTER EZH EZH小文字 Ʒ(U+01B7) 有声後部歯茎摩擦音。文字名をエッジュと言う。

スコルト・サーミ語ダバニ語の正書法にも含まれる。 アメリカの音声記号では有声歯茎破擦音(IPA:[d͡z])を表す。

U+0293 ʓ LATIN SMALL LETTER EZH WITH CURL - 口蓋化した有声後部歯茎摩擦音。1989年に廃字となった。現在は[ʒʲ]と表記する。
U+0294 ʔ LATIN LETTER GLOTTAL STOP グロッタルストップ - 声門破裂音。ハワイ語など多くのマレー・ポリネシア諸語に見られる。
U+0295 ʕ LATIN LETTER PHARYNGEAL VOICED FRICATIVE リバースドグロッタルストップ - 有声咽頭摩擦音。アラビア語ヘブライ語などに見られる。
U+0296 ʖ LATIN LETTER INVERTED GLOTTAL STOP - 歯茎側面吸着音。1989年にǁ(U+01C1)に置換され廃字となった。
U+0297 ʗ LATIN LETTER STRETCHED C - 歯茎吸着音。1989年にǃ(U+01C3)に置換され廃字となった。
U+0298 ʘ LATIN LETTER BILABIAL CLICK 両唇吸着音 - 両唇吸着音。ボツワナなどで話されるコン語などに見られる。
U+0299 ʙ LATIN LETTER SMALL CAPITAL B - 有声両唇震え音
U+029A ʚ LATIN SMALL LETTER CLOSED OPEN E - 円唇前舌半広母音。1996年にœ(U+0153)に置換され廃字となった。
U+029B ʛ LATIN LETTER SMALL CAPITAL G WITH HOOK - 有声口蓋垂入破音
U+029C ʜ LATIN LETTER SMALL CAPITAL H - 無声喉頭蓋摩擦音
U+029D ʝ LATIN SMALL LETTER J WITH CROSSED-TAIL クロスドテール付きJ小文字 Ʝ(U+A7B2) 有声硬口蓋摩擦音
U+029E ʞ LATIN SMALL LETTER TURNED K Ʞ(U+A7B0) 軟口蓋吸着音として用意されていたが、音声学上そのような発音を行う事は不可能であったため1979年に廃字となった。

拡張IPAではこの文字が舌背軟口蓋音という別の音を表すのに用いられている。

U+029F ʟ LATIN LETTER SMALL CAPITAL L - 有声軟口蓋側面接近音
U+02A0 ʠ LATIN SMALL LETTER Q WITH HOOK - 無声口蓋垂入破音。1993年に廃字となった。現在は[ʛ̥]と表記する。
U+02A1 ʡ LATIN LETTER GLOTTAL STOP WITH STROKE ストローク付きグロッタルストップ - 有声喉頭蓋破裂音
U+02A2 ʢ LATIN LETTER REVERSED GLOTTAL STOP WITHSTROKE ストローク付きリバースドグロッタルストップ - 有声喉頭蓋摩擦音
U+02A3 ʣ LATIN SMALL LETTER DZ DIGRAPH - 有声歯茎破擦音。廃字であり、現在は[d͡z]と表記する。
U+02A4 ʤ LATIN SMALL LETTER DEZH DIGRAPH - 有声後部歯茎破擦音。廃字であり、現在は[d͡ʒ]と表記する。
U+02A5 ʥ LATIN SMALL LETTER DZ DIGRAPH WITH CURL - 有声歯茎硬口蓋破擦音。廃字であり、現在は[d͡ʑ]と表記する。
U+02A6 ʦ LATIN SMALL LETTER TS DIGRAPH - 無声歯茎破擦音。廃字であり、現在は[t͡s]と表記する。
U+02A7 ʧ LATIN SMALL LETTER TESH DIGRAPH - 無声後部歯茎破擦音。廃字であり、現在は[t͡ʃ]と表記する。
U+02A8 ʨ LATIN SMALL LETTER TC DIGRAPH WITH CURL - 無声歯茎硬口蓋破擦音。廃字であり、現在は[t͡ɕ]と表記する。
発話障害における音声表記用の拡張IPA文字
U+02A9 ʩ LATIN SMALL LETTER FENG DIGRAPH - 口蓋帆咽頭摩擦音
U+02AA ʪ LATIN SMALL LETTER LS DIGRAPH - 無声側面摩擦舌縺れ音
U+02AB ʫ LATIN SMALL LETTER LZ DIGRAPH - 有声声側面摩擦舌縺れ音
U+02AC ʬ LATIN LETTER BILABIAL PERCUSSIVE - 両唇打楽音
U+02AD ʭ LATIN LETTER BIDENTAL PERCUSSIVE - 両歯打楽音
中国語音韻論のための追加
U+02AE ʮ LATIN SMALL LETTER TURNED H WITH FISHHOOK - IPAでは使用されない。中国語の音韻学において、円唇歯舌先母音を表す。
U+02AF ʯ LATIN SMALL LETTER TURNED H WITH FISHHOOK AND TAIL - IPAでは使用されない。中国語の音韻学において、円唇反り舌舌先母音を表す。

小分類

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このブロックの小分類は「IPA拡張」(IPA extensions)と「発話障害における音声表記用の拡張IPA文字」(IPA characters for disordered speech)と「中国語音韻論のための追加」(Additions for Sinology)の3つとなっている[8]

IPA拡張

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この小分類にはIPA拡張のうち、7文字を除く全ての文字が含まれている。IPAで用いられる字母のうち、基本ラテン文字ラテン1補助ラテン文字拡張Aブロックに含まれていないものを収録している。廃字や、IPAではないが中国語などのシナ・チベット語族の言語や南琉球諸語に現れる舌先母音の発音表記においてIPAと共に慣習的に使用されているɿ(U+027F)、ʅ(U+0285)の2文字を含んでいる。

発話障害における音声表記用の拡張IPA文字

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この小分類には発話障害者の発音分析を行うために用いられる拡張IPA用の文字の一部(5文字)を収録している。Unicode3.0で追加された。

中国語音韻論のための追加

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ɿ(U+027F)、ʅ(U+0285)と共に舌先母音の発音表記においてIPAと共に慣習的に使用されている2文字を収録している。Unicode4.0で追加された。

文字コード

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IPA拡張(Template:IPA Extensions)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+025x ɐ ɑ ɒ ɓ ɔ ɕ ɖ ɗ ɘ ə ɚ ɛ ɜ ɝ ɞ ɟ
U+026x ɠ ɡ ɢ ɣ ɤ ɥ ɦ ɧ ɨ ɩ ɪ ɫ ɬ ɭ ɮ ɯ
U+027x ɰ ɱ ɲ ɳ ɴ ɵ ɶ ɷ ɸ ɹ ɺ ɻ ɼ ɽ ɾ ɿ
U+028x ʀ ʁ ʂ ʃ ʄ ʅ ʆ ʇ ʈ ʉ ʊ ʋ ʌ ʍ ʎ ʏ
U+029x ʐ ʑ ʒ ʓ ʔ ʕ ʖ ʗ ʘ ʙ ʚ ʛ ʜ ʝ ʞ ʟ
U+02Ax ʠ ʡ ʢ ʣ ʤ ʥ ʦ ʧ ʨ ʩ ʪ ʫ ʬ ʭ ʮ ʯ
注釈
1.^Unicode バージョン 15.0 現在

履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
1.0.0 U+0250..02A8 89 (to be determined)
3.0 U+02A9..02AD 5 L2/98-299 Everson, Michael (8 September 1998), Additional IPA "disturbed speech" characters for the UCS (英語)
4.0 U+02AE..02AF 2 L2/01-272 Richard S. Cook, Jr.; Everson, Michael (20 September 2001), Additional Proposal to add six phonetic characters to the UCS (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ 3.8: Block-by-Block Charts”. The Unicode Standard. Unicode Consortium. 12 June 2023閲覧。
  2. ^ "附属書A.27:欧文用文字(cl-27)", 日本語組版処理の要件, World Wide Web Consortium, 12 June 2023, 2020年5月9日閲覧
  3. ^ a b c Karl Pentzlin (2011年2月7日). “Proposal to add Variation Sequences for Latin and Cyrillic letters (replaces L2/10-280)”. Uniocode. 2024年2月1日閲覧。
  4. ^ 2023年6月27日現在、UTCによって将来のバージョンであるUnicode16.0ではɤの大文字がU+A7CB Ɤに収録が予定されている。
  5. ^ Michel Suignard (26 June 2023), "Additional draft repertoire for 10646:2020 Amendment 2 and Unicode 16.0 (WG2 N5235)" (PDF), 2023年6月27日閲覧
  6. ^ トーゴなどで話されるNawdm語の正書法における大文字
  7. ^ The Unicode Standard, Version 15.0 - UA720.pdf”. The Unicode Standard. 12 June 2023閲覧。
  8. ^ "The Unicode Standard, Version 15.0 - U0250.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2023年6月12日閲覧

関連項目

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