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HD 164922

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HD 164922
星座 ヘルクレス座
見かけの等級 (mv) +7.01
変光星型 疑わしい
分類 恒星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  18h 02m 30.86s[1]
赤緯 (Dec, δ) +26° 18′ 46.81″[1]
視線速度 (Rv) +22.8 km/s
固有運動 (μ) 赤経: 389.772±0.013 ミリ秒/[2]
赤緯: -602.431±0.017 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 45.4954 ± 0.0167ミリ秒[2]
(誤差0%)
距離 71.69 ± 0.03 光年[注 1]
(21.98 ± 0.008 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 5.31
ヘルクレス座におけるHD 164922の位置
ヘルクレス座におけるHD 164922の位置
軌道要素と性質
惑星の数 4
物理的性質
半径 0.999 ± 0.017 R[3]
質量 0.874 ± 0.012 M[3]
表面重力 4.387 ± 0.014 cgs[3]
自転周期 ~58.7
スペクトル分類 G9V[3]
光度 0.703 ± 0.017 L[3]
表面温度 5293 ± 32 K[3]
金属量[Fe/H] 0.16 ± 0.05[3]
年齢 134億年
他のカタログでの名称
BD +26°3151, GJ 700.2, LFT 1388, SAO 85678, HIP 88348, 2MASS J18023085+2618471
Template (ノート 解説) ■Project

HD 164922とは、ヘルクレス座の7等星のG型主系列星である。暗すぎて肉眼での観測は不可能なため、双眼鏡望遠鏡が必要である。地球から72光年離れている[1]。年齢は134億年で、すぐに主系列星から進化し、赤色巨星になると予想される。HD 164922は、既知の恒星の中で最も古いものの1つであり、また天の川銀河の既知の多惑星系の中で最も古いものの1つである。

命名法

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惑星の名称bは、発見の順序に由来する。bの名称は、特定の恒星の周囲を公転する最初の惑星に与えられ、その後にアルファベットの他の小文字が続く[4]。HD 164922の場合、まずbと命名された1つの惑星が発見され、次にcと命名されたより内側を公転する惑星が発見された[3]。HD 164922という名称は、その恒星がヘンリー・ドレイパーカタログにリストされた164,922番目の恒星であることを示すものである。

特徴

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大きさの比較
太陽 HD 164922
太陽 Exoplanet

HD 164922は、太陽質量の約87%、半径の99%のG型主系列星である。温度は5293K、年齢は134億年である。それに比べて、太陽は5778K[5]、約46億年である[6]

恒星には金属が豊富に存在しており、金属量([Fe/H])は0.16、つまり太陽の144%である。これは、HD 164922と同じくらい古い恒星にとっては特に奇妙である。その光度は太陽光度L)の70%である[3]

惑星系

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2006年7月15日、HD 164922の周囲を公転する公転周期の長い土星質量の太陽系外惑星 HD 164922 b が発表された。この惑星は、0.05の低い軌道離心率で恒星から2.11天文単位離れた位置を公転している[7]

ほぼ10年後の2016年に、最初の惑星よりも質量は小さいものの、別の太陽系外惑星 HD 164922 c が公転していることが発見された。この惑星の最小質量は地球の約13倍である。つまり、海王星のような惑星である可能性がある。

3番目の太陽系外惑星である温度の高いスーパー・アース HD 164922 d2020年に発見され[8]、4番目の太陽系外惑星 HD 164922 e は海王星サイズで2021年に発見された[9]

HD 164922の惑星[7][3][8][9]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
d ≥4±1 M 0.103±0.001 12.458±0.003 0.12+0.13
−0.08
e ≥10.52+0.99
−0.97
 M
0.2293+0.0026
−0.0027
41.763±0.012 0.086+0.083
−0.060
c ≥12.9 ± 1.6 M 0.3351 ± 0.0015 75.765 0.07
b ≥0.360 ± 0.046 MJ 2.11 ± 0.13 1155 ± 23 0.08+0.06
−0.05

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ a b c van Leeuwen, F. (2007). “Validation of the new Hipparcos reduction”. Astronomy and Astrophysics 474 (2): 653–664. arXiv:0708.1752. Bibcode2007A&A...474..653V. doi:10.1051/0004-6361:20078357. Vizier catalog entry
  2. ^ a b c VizieR
  3. ^ a b c d e f g h i j Fulton, Benjamin J.; Howard, Andrew W.; Weiss, Lauren M.; Sinukoff, Evan; Petigura, Erik A.; Isaacson, Howard; Hirsch, Lea; Marcy, Geoffrey W. et al. (2016). “Three Temperate Neptunes Orbiting Nearby Stars”. The Astrophysical Journal 830 (1): 46. arXiv:1607.00007. Bibcode2016ApJ...830...46F. doi:10.3847/0004-637X/830/1/46. 
  4. ^ Hessman, F. V.; Dhillon, V. S.; Winget, D. E.; Schreiber, M. R.; Horne, K.; Marsh, T. R.; Guenther, E.; Schwope, A.; Heber, U. (2010). "On the naming convention used for multiple star systems and extrasolar planets". arXiv:1012.0707 [astro-ph.SR]。
  5. ^ Fraser Cain (15 September 2008). “Temperature of the Sun”. Universe Today. 19 February 2011閲覧。
  6. ^ Fraser Cain (16 September 2008). “How Old is the Sun?”. Universe Today. 19 February 2011閲覧。
  7. ^ a b Butler, R. P. et al. (2006). “Catalog of Nearby Exoplanets”. The Astrophysical Journal 646 (1): 505–522. arXiv:astro-ph/0607493. Bibcode2006ApJ...646..505B. doi:10.1086/504701. 
  8. ^ a b Benatti, S.; Damasso, M.; Desidera, S.; Marzari, F.; Biazzo, K.; Claudi, R.; Di Mauro, M. P.; Lanza, A. F. et al. (2020). “The GAPS programme at TNG”. Astronomy & Astrophysics 639: A50. arXiv:2005.03368. doi:10.1051/0004-6361/202037939. 
  9. ^ a b Rosenthal, Lee J.; Fulton, Benjamin J.; Hirsch, Lea A.; Isaacson, Howard T.; Howard, Andrew W.; Dedrick, Cayla M.; Sherstyuk, Ilya A.; Blunt, Sarah C. et al. (2021), The California Legacy Survey I. A Catalog of 177 Planets from Precision Radial Velocity Monitoring of 719 Nearby Stars over Three Decades, arXiv:2105.11583 

外部リンク

[編集]

座標: 星図 18h 02m 30.86s, +26° 18′ 46.81″