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オーストラリア諸語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Aus (ISO 639)から転送)

オーストラリア諸語(オーストラリアしょご、:Australian Aboriginal languages)は、オーストラリア大陸及びその周辺のメルヴィル島グルートアイランド島ウェルズリー諸島トレス海峡諸島などの島々で、先住民アボリジニ)によって話されてきた、約200の言語の総称。一つの語族を形成するのではなく、数十の互いに関係性が見出しがたい語族からなる。

すでに消滅したタスマニア諸語は資料が乏しく、オーストラリア諸語との関係は明らかでない。音韻的な類型などから、タスマニア諸語、パプア諸語大アンダマン語族と合わせてインド・太平洋大語族を形成するという説がある。

かつては600~750程度の言語の存在が知られていたが、現在話されているのは北部準州内陸部を中心に分布する、200程度[1]の言語である。17万人ほどのアボリジニ人口のうち、これらを母語として話せるのは47,000人[1]程度である。話者数が1,000人に達する言語は、パマ・ニュンガン語族に属するアリャワラ語英語版 (Alyawarr、1,500人)、アランダ語英語版 (Arrernte、3,175人)、カラ・ラガウ・ヤ語英語版 (Kala Lagaw Ya、3,000-4,000)、ンガーニャチャラ語英語版 (Ngaanyatjarra、1,200人)、ピチャンチャチャラ語 (Pitjantjatjara、2,500人)、ワルマジャリ語英語版 (Walmajarri、1,000人)、およびワルピリ語 (Warlpiri、3,000人)、孤立言語ティウィ語英語版 (Tiwi、1,500人)、ならびに、グンウィングアン (Gunwingguan) 語族英語版に属するエニンディリャグワ語英語版 (Anindilyakwa、1,000人)、グンウィング語英語版 (Gunwinggu、1,511人) が知られている。この他いくつかの数百程度の話者を持つ言語を除いた多くの言語は、すでに数名程度の高齢の話者しか残されていない。 パマ・ニュンガン語族に属する言語の話者数が多いのは、北部準州以外の地域で話者数の減少が著しかったためである[要説明]

多くの言語が膠着語的で、能格言語であることが知られている。また、2進数ないし3進数数詞を持つ言語が多く、このため「アボリジニは3より多い数を数えられない」と言われることがある[要出典]が、これは誤りである。

言語の分類

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オーストラリア諸語の語族
  Mirndi英語版
  デイリー語族英語版(4語族からなる)
  Wagiman語英語版
  Wardaman語英語版
  Darwin Region英語版
  Giimbiyu語†
  Arnhem(グンウィングアン語族を含む)英語版
  Garawan英語版 および Tangkic英語版

言語の分類は次のようになされる。上位分類から順に語族語派、語群となる。† は死語を表す。

  • Jarrakan 語族(ジェラガン語族、Djeragan)英語版
  • Mirndi 語族 (Mindi)英語版
    • West Barkly英語版(Jingulu, Wambaya)
    • Yirram(ジャミンジュンガン、Djamindjungan)英語版
パマ・ニュンガン語族の主要な語派である アランディック諸語(黄緑)
トレス海峡諸島に分布するパマ・ニュンガン語族のカラ・ラガウ・ヤ語英語版(橙色)
パマ・ニュンガン語族の主要な語派である Paman英語版 (黄緑)
パマ・ニュンガン語族は大陸の北東(Paman)から南西(Nyungar)まで広域に分布する
パマ・ニュンガン語族の主要な語群であるワティ諸語英語版(黄緑)

参考文献

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  • 角田太作 (1988)「オーストラリア原住民語」『言語学大辞典』第1巻世界言語編上:. 三省堂.
  • ディクソン, R・M・W英語版 (2001)『言語の興亡』大角翠訳. 岩波書店. (The rise and fall of languages. Cambridge: Cambridge University Press. 1997).
  • Bowern, Claire and Harold J. Koch (eds.) (2004) Australian languages: classification and the comparative method. Amsterdam: John Benjamins.
  • Dixon, R. M. W. (1980) The languages of Australia. Cambridge: Cambridge University Press.
  • –––– (2001) The Australian linguistic area. In: Alexandra Y. Aikhenvald and R. M. W. Dixon (eds.) Areal diffusion and genetic inheritance: problems in comparative linguistics. Oxford: Oxford University Press.
  • –––– (2002) Australian languages: Their nature and development. Cambridge: Cambridge University Press.

脚注

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  1. ^ a b c 『世界の言語と国のハンドブック』 下宮忠雄(大学書林)
  2. ^ パマ・ニュンガン語族マラ語派英語版(Mara) と混同注意。また、シナ・チベット語族クキ・チン諸語にもマラ語英語版がある。
  3. ^ グヌィングアン語族の Marra語英語版 と混同注意。また、シナ・チベット語族クキ・チン諸語にもマラ語英語版がある。

関連項目

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外部リンク

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