黒薙温泉
黒薙温泉 | |
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温泉情報 | |
所在地 | 富山県黒部市宇奈月温泉 |
座標 | 北緯36度47分9秒 東経137度37分44秒 / 北緯36.78583度 東経137.62889度座標: 北緯36度47分9秒 東経137度37分44秒 / 北緯36.78583度 東経137.62889度 |
交通 |
空路 - 富山空港 鉄道 - 黒部峡谷鉄道 黒薙駅 |
泉質 | 単純温泉 |
泉温(摂氏) | 98.3[1] |
湧出量 | 479L/分[1] |
pH | 8.11[1] |
液性の分類 | 弱アルカリ性 |
浸透圧の分類 | 低張性[2] |
宿泊施設数 | 1 |
統計年 | 2020年度 |
出典 | 富山県『富山県の温泉の状況』、2022年、2.富山県の温泉の現況(1)源泉一覧表[3]。 |
外部リンク | 黒薙温泉 |
黒薙温泉(くろなぎおんせん)は、富山県黒部市宇奈月温泉(旧国越中国)にある温泉。
泉質
[編集]温泉宿の概要
[編集]黒部峡谷鉄道のトロッコ列車の運行期間のみの営業となる。黒薙温泉は現在黒部観光開発株式会社が経営している。この会社は富山地方鉄道グループで宇奈月温泉への送湯事業等を行う。 黒部川支流の黒薙川に面した木造二階建ての一軒宿である[5]。流れは激しく、川に面した部屋は川音が大きい。そのため、音に敏感な人は注意を要する(受付で耳栓の販売もある)。眺めがなく少し薄暗いものの、山側の部屋に案内してもらうこともできる。
部屋は、テレビなどの娯楽機器はない簡素な部屋である[4]。食堂も簡素であるが、食事は四季の山菜、岩魚の塩焼き、富山名産の昆布じめ刺身などが楽しめる。
もとは湯治場であったが、長年親しまれた自炊所は2008年度(平成20年度)いっぱいで営業を終了し、宿泊者向けのフリースペースとなった。なお、食堂入口には硬貨専用の公衆電話、缶ビール、清涼飲料水[6]などの自動販売機、アナログ衛星放送のみ放映可能な小型テレビ、新聞朝刊[7]が置かれる。
浴場は、旅館併設の男女別の内湯と、宿から3分ほど上流に歩いた混浴の露天風呂がある。また、近年吊橋を架けた向かいに女性専用屋根付き露天風呂「天女の湯」が新設された(双方ともに、夜間帯には女性専用・男性専用の入れ替え時間帯が設けられている)。露天風呂にはテントの更衣室が併設されている。
混浴露天風呂のすぐ手前に源泉がある。ここは黒薙温泉の源泉(1,5,7号井[1])であるとともに、黒部川の川下に位置する宇奈月温泉の全ての宿の源泉(3,4,6,9号井および自噴泉[1])でもあり、延々と黒部川沿いに引湯管が宇奈月まで設置されている。これはトロッコの車窓からも確認できる。
7月の下旬から8月の昼間は血を吸うアブ(清流にのみ生息するアブ、イヨシロオビアブ・方言でオロロ)の発生はもとより、大自然に囲まれた一軒宿であることもあり昆虫類の生息数が多く、対策として露天風呂には大型の蚊帳が張られる。それでも蚊帳をかいくぐって侵入してくる虫が多く、明るい時間帯の露天風呂入浴は注意が必要である。
なお、携帯電話(衛星携帯電話を除く)は2016年よりNTTドコモのエリアになった。また、日本郵便から交通困難地の指定を受けているため当地宛に郵便物を送付することも出来ないので、注意を要する[8]。
歴史
[編集]1645年(正保2年)、音沢村(現在の黒部川右岸、黒部市音沢村)の太郎左衛門が発見したという。(下新川郡史稿)しかし信越国境地帯であり国境防御のため加賀藩は開湯を許さなかった。この地は比較的入り込みやすく、音沢村から入浴するものがありしばしば藩により処分を受けた。
1849年(嘉永2年)に既に開湯していたが[5]、1868年(慶応4年)、加賀藩は黒薙温泉を西鐘釣温泉とともに開湯を許可する事とした。営業にあたったのは魚津の三賀屋(河上)善右衛門であった。
大正年間に至って近代の登山が盛んになり林道あるいは登山道が開通し地元民だけでなく登山者などが利用するようになった。
1924年(大正13年)に宇奈月温泉までの引湯管敷設が完成する。これはほぼ、旧愛本温泉の樋(とい)を置き換えたものであった。
なお、この引湯管は利用権を得ていない土地をほんの少し通過していたことから、これをめぐって土地を手に入れた者が起こした民事訴訟が、「権利の濫用」の判例として知られる「宇奈月温泉事件」である。
1995年(平成7年)の大水害(7.11水害)では、比較的低い場所に建っている浴場と露天風呂などが流失し、現在あるものは翌年再建されたものである。
アクセス
[編集]黒部峡谷鉄道本線黒薙駅下車。駅からは徒歩20分。展望は良いが起伏が激しい登山道である。
かつては所要徒歩10分足らずのトロッコ支線の軌道トンネル内を通るルートも選択できた。足腰に自信がない人や、悪天候時などでトンネル内ルートを歩きたい場合は、黒薙駅駅員の許可があれば使用できたが、現在は保安上の理由から、一般人は通行禁止となっている。
参考文献・出典
[編集]- 奥山淳爾 「黒部奥山と扇状地の歴史」桂書房、2000年
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i 『富山の日帰り湯 銭湯 サウナ 温泉 100』(2024年7月11日、北日本新聞社発行)139頁。
- ^ 泉質は[1]自遊人掲載の温泉分析書、平成18年8月25日付による。
- ^ “gennsennichirannhyou.pdf” (PDF). 富山県. 2023年8月2日閲覧。
- ^ a b 『一生に一度は行きたい温泉100選』(2022年10月28日、宝島社発行)51頁。
- ^ a b 『全国温泉大事典』(1997年12月18日、旅行読売出版社発行)466頁。
- ^ この宿で使用される物資、食料および廃棄物は、すべて黒部峡谷鉄道で運搬される
- ^ 到着するのは、下り始発工事列車の黒薙駅着後である
- ^ “1-7 別冊(内国郵便約款第79条及び第97条関係) - 1-7.pdf”. 日本郵便 (2022年2月21日). 2022年5月1日閲覧。