イヌビユ
イヌビユ | |||||||||||||||||||||||||||
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Amaranthus blitum
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Amaranthus blitum L. (1753)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
purple amaranth、Livid amaranth | |||||||||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||||||||
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イヌビユ(犬莧[6]、学名: Amaranthus blitum)は、ヒユ科ヒユ属の一年草。畑、果樹園、空地、道端などで、夏期に生育する雑草。和名の由来は、ヒユに似るが、雑草というところから格下を表す「犬」の名がつけられたものである[7]。別名、ムラサキビユ[1]。地域によっては、オトコヒョウ[8]、ノビユ[8]、ハビユ[8]、ヒューナ[8]と呼ばれる。中国名は、凹頭莧、野莧[1]。
分布
[編集]ヨーロッパ原産とされ、日本では帰化植物として野生化したものが北海道、本州、四国、九州までの全国に広がっている[6][7]。平地の市街地から里山の人家近く、農耕地に自生し、特に日当たりのよい畑地、空き地、荒れ地、道端などを好んで生える[6][8]。
形態・生態
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
一年生の草本[8]。草姿は直立もしくは横に広く伸び、草丈は20 - 40センチメートル (cm) に達する[6][7][9]。茎は根元から分枝し[7]、緑色または淡紫色で円柱状、無毛で平滑。
幼苗期の葉は先がへこんだ卵型で、表は濃緑色、裏は淡紅紫色。成植物の葉は互生で、長い葉柄をもち、丸みのある菱形状卵形で緑色が濃く、先端が浅くくぼむのが特徴[6][10]。
花期は初夏から夏[6][8]。茎の先と葉の付け根に花穂をつけて、緑色の目立たない小花が多数咲く[6]。花後に実を結び、夏に種子が落ちるとすぐに発芽して、秋にまた花をつける[7]。増殖は種子により、一株の種子数は10,000から15,000程度。千粒重は300から500ミリグラム (mg) である。盛夏期では、発芽から約1か月で結実する。
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幼苗
人間との関わり
[編集]若葉や果実は食べられ、青菜のように色々利用できる野草である[8][11]。採取時期は4 - 10月ごろとされ、摘み取った若芽や若葉、茎先を茹でて水にさらし、ごま和え・マヨネーズ和え・クルミ和え・辛子和えなどの和え物、おひたし、バター炒め、卵とじ、煮付けにする[6][7][8]。味にクセはなく、生のまま天ぷら、汁の実、油炒め、煮びたし、あんかけにもできる[6][7][8]。大きく育った葉でも、天ぷらにすれば食べられる[8]。採取が容易でたくさん収穫できるため、塩漬けや茹でたものを冷凍にして長期保存し、もどして利用することもできる[6]。
近縁種
[編集]- アオゲイトウ Amaranthus retroflexus - 葉がゴワゴワしてまずくて食べられない[8]。
- ホナガイヌビユ(アオビユ) Amaranthus viridis
- ハリビユ Amaranthus spinosus
脚注
[編集]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus blitum L. イヌビユ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. f. rubens (Moq.) Hatus., nom. nud. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus ascendens Loisel. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. var. ascendens (Loisel.) Thell. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 高橋秀男監修 2003, p. 65.
- ^ a b c d e f g 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 107.
- ^ a b c d e f g h i j k l 金田初代 2010, p. 146.
- ^ 本山荻舟『飲食事典』平凡社、1958年。OCLC 10032783。全国書誌番号:59001337。
- ^ 金田初代 2010, pp. 146–147.
- ^ 『野に咲く花』 283頁。
参考文献
[編集]- 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 : handy & color illustrated book : 収録数550種超!』秀和システム、2006年。ISBN 4-7980-1485-0。
- 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、146 - 147頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
- 高野昭人監修 世界文化社編『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社〈別冊家庭画報〉、2006年4月20日、107頁。ISBN 4-418-06111-8。
- 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、65頁。ISBN 4-05-401881-5。
- 平野隆久写真『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、282-283頁。ISBN 978-4-635-07019-5。
- 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑 : Plant invader 600種』全国農村教育協会、2001年、73頁。ISBN 4-88137-085-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Amaranthus blitum L." Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2013年10月31日閲覧。
- "Amaranthus blitum L." (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2013年10月31日閲覧。
- "Amaranthus blitum". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Amaranthus blitum" - Encyclopedia of Life