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イヌビユ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イヌビユ
Amaranthus blitum
Amaranthus blitum
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヒユ科 Amaranthaceae
亜科 : Amaranthoideae
: ヒユ属 Amaranthus blitum
: イヌビユ A. blitum
学名
Amaranthus blitum L. (1753)[1]
シノニム
英名
purple amaranth、Livid amaranth
亜種
  • A. b. subsp. blitum
  • A. b. subsp. emarginatus
  • A. b. subsp. oleraceus

イヌビユ(犬莧[6]学名: Amaranthus blitum)は、ヒユ科ヒユ属一年草果樹園空地道端などで、夏期に生育する雑草和名の由来は、ヒユに似るが、雑草というところから格下を表す「犬」の名がつけられたものである[7]。別名、ムラサキビユ[1]。地域によっては、オトコヒョウ[8]ノビユ[8]、ハビユ[8]、ヒューナ[8]と呼ばれる。中国名は、凹頭莧、野莧[1]

分布

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ヨーロッパ原産とされ、日本では帰化植物として野生化したものが北海道本州四国九州までの全国に広がっている[6][7]。平地の市街地から里山の人家近く、農耕地に自生し、特に日当たりのよい畑地、空き地、荒れ地、道端などを好んで生える[6][8]

形態・生態

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一年生草本[8]。草姿は直立もしくは横に広く伸び、草丈は20 - 40センチメートル (cm) に達する[6][7][9]は根元から分枝し[7]緑色または淡紫色で円柱状、無毛で平滑。

幼苗期のは先がへこんだ型で、表は濃緑色、裏は淡紅紫色。成植物の葉は互生で、長い葉柄をもち、丸みのある菱形状卵形で緑色が濃く、先端が浅くくぼむのが特徴[6][10]

花期は初夏から夏[6][8]。茎の先と葉の付け根に花穂をつけて、緑色の目立たない小花が多数咲く[6]。花後に実を結び、夏に種子が落ちるとすぐに発芽して、秋にまた花をつける[7]。増殖は種子により、一株の種子数は10,000から15,000程度。千粒重は300から500ミリグラム (mg) である。盛夏期では、発芽から約1か月で結実する。

人間との関わり

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若葉や果実は食べられ、青菜のように色々利用できる野草である[8][11]。採取時期は4 - 10月ごろとされ、摘み取った若芽や若葉、茎先を茹でて水にさらし、ごま和え・マヨネーズ和え・クルミ和え・辛子和えなどの和え物おひたしバター炒め、卵とじ、煮付けにする[6][7][8]。味にクセはなく、生のまま天ぷら、汁の実、油炒め煮びたしあんかけにもできる[6][7][8]。大きく育った葉でも、天ぷらにすれば食べられる[8]。採取が容易でたくさん収穫できるため、塩漬けや茹でたものを冷凍にして長期保存し、もどして利用することもできる[6]

近縁種

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脚注

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus blitum L. イヌビユ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. f. rubens (Moq.) Hatus., nom. nud. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus ascendens Loisel. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Amaranthus lividus L. var. ascendens (Loisel.) Thell. イヌビユ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月15日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j 高橋秀男監修 2003, p. 65.
  7. ^ a b c d e f g 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 107.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 金田初代 2010, p. 146.
  9. ^ 本山荻舟『飲食事典』平凡社、1958年。OCLC 10032783全国書誌番号:59001337 
  10. ^ 金田初代 2010, pp. 146–147.
  11. ^ 野に咲く花』 283頁。

参考文献

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  • 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 : handy & color illustrated book : 収録数550種超!』秀和システム、2006年。ISBN 4-7980-1485-0 
  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、146 - 147頁。ISBN 978-4-569-79145-6 
  • 高野昭人監修 世界文化社編『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社〈別冊家庭画報〉、2006年4月20日、107頁。ISBN 4-418-06111-8 
  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、65頁。ISBN 4-05-401881-5 
  • 平野隆久写真『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、282-283頁。ISBN 978-4-635-07019-5 
  • 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑 : Plant invader 600種』全国農村教育協会、2001年、73頁。ISBN 4-88137-085-5 

関連項目

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外部リンク

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