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「JR東日本E257系電車」の版間の差分

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== 番台別概要 ==
== 番台別概要 ==
0番台と500番台は新造車、2000番台は0番台からの改造車、2500番台は500番台からの改造車となっている。
0番台と500番台は新造車、2000番台は0番台からの改造車、2500番台は500番台からの改造車となっている。なお、現在よく話題になる5000番台、5500番台については、全く検証できないためこの記事では一切触れない。5000番台、5500番台の記述が発見された場合は直ちに除去するように
=== 0番台 ===
=== 0番台 ===
[[File:JR East E257 series EMU 023.JPG|thumb|230px|特急「かいじ」<br />2017年6月5日]]
[[File:JR East E257 series EMU 023.JPG|thumb|230px|特急「かいじ」<br />2017年6月5日]]

2021年8月17日 (火) 13:16時点における版

JR東日本E257系電車
E257系0番台「かいじ
(2017年5月4日)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
近畿車輛
東急車輛製造
製造年 2001年 - 2005年
製造数 249両
運用開始 2001年12月1日
主要諸元
編成 0番台: 基本編成9両(5M4T
0番台: 付属編成2両(1M1T)
500番台: 5両(3M2T)
2000番台: 基本編成9両(5M4T)
2500番台: 付属編成5両(3M2T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
(0番台・500番台)[1][2]
減速度(常用) 5.2 km/h/s
(500番台)[2]
減速度(非常) 5.2 km/h/s
(500番台)[2]
編成定員 0番台:11両678名
普通車650名・グリーン車28名)
0番台:9両558名
(普通車530名・グリーン車28名)
500番台:5両306名
(全車普通車)
2000番台:基本編成9両546名(普通車498名・グリーン車48名)
2500番台:付属編成5両298名(全車普通車)
編成重量 0番台:11両 377.0 t
9両 306.1 t
500番台:5両 180.6 t
全長 先頭車 21,000 mm
中間車 20,500 mm
全幅 2,946 mm
全高 3,980 mm(パンタグラフ折り畳み高さ)
車体 アルミニウム合金A-train
主電動機 かご形三相誘導電動機
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 5.65(17:96)
編成出力 0番台:11両145kW×24=3,480kW
9両145kW×20=2,900kW
500番台:5両 145kW×12=1,740kW
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子
制動装置 回生発電併用電気指令式空気ブレーキ
抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ
保安装置 0番台:ATS-P,ATS-Ps
※クモハE257-0はATS-SNのみ装備
500番台:ATS-P,ATS-SN
第45回(2002年
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E257系電車(E257けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流特急形電車

概要

JR東日本が日本国有鉄道(国鉄)から引き継いだ直流用特急形電車(183系・189系)や、波動輸送用に転用されていた直流用急行形電車165系)の置き換えのために2001年より投入した「新世代の特急形電車[3]」である。

最初に登場した0番台の開発コンセプトは「シンプルさの中のくつろぎ」であり、車体傾斜などによる速達性の向上よりは特急列車に求められる基本的な快適性の向上に主眼が置かれている[4]

JRが独自に設計・製造した特急形車両では初めて製造両数が200両を越え246両に達し、2011年4月1日時点ではJR西日本683系電車に次ぐ製造数であり[5][6]、2015年度に683系2000番台のほとんどが289系への改造・2両の廃車が生じた後、2018年現在JRグループの特急型では単独の系列として最大のグループとなっている。車両デザインはGKインダストリアルデザインが担当した。

第45回(2002年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

構造

本稿では落成時点および共通部分を中心に記述し、各番台固有の構造については後述する。

外観・車体

車体はE653系E751系を基本としたアルミ合金ダブルスキン構造を採用している。0番台は大糸線での運転を、500番台は臨時列車での降雪線区の運転[注 1] をそれぞれ考慮して耐寒耐雪構造としている。

前面形状は高運転台非貫通構造のE653系やE751系とは異なり、E231系に似た切妻に近い形となった。衝撃吸収構造を有する。0番台には非貫通構造と貫通構造と簡易構造があり、付属編成の簡易運転台を装備したクモハE257形0番台にはワンタッチ装置が備えられている。500番台は分割・併合運転を行うため先頭車は貫通構造のみで、クハE257形500番台にはワンタッチ幌装置が備えられている。

前照灯はシールドビームとプロジェクター式ディスチャージヘッドランプ(HID)を併用している。また上部に補助灯も装備している。尾灯LED式である。

前面にLED式の種別・愛称表示器を備えている。形状は非貫通構造の先頭車は横長、貫通先頭車ではほぼ正方形となる。側面行先表示器もLED式である。

乗降用のドアはクハE257形は片側2か所、サロハE257形のみ中央寄り1か所で、それ以外は片側1か所設置されている。客室側窓は座席2列分[注 2] で、E653系やE751系と共通である。窓ガラス紫外線カット機能付きの複層ガラスである。

低重心化のために空調装置はすべて床下に搭載し[3]、屋根上はパンタグラフ以外の重量物は搭載していないため、平坦である。

後に0番台の全編成と500番台ともに改良型のスカートの取り付けが実施されている[7]

走行装置・機器

制御伝送システムには、E231系で採用されたTIMSを特急型車両としては初めて搭載している。

0番台の主回路は日立製作所IGBT素子VVVFインバータ装置を搭載し、500番台はモハE257形1500番台が三菱電機IPMを、モハE257形500番台が日立製作所製IGBT素子VVVFインバータ装置をそれぞれ搭載して、磁励音の低減が図られている。モハE257形0・100・500番台はインバータ装置2群を搭載してモハE256形と合わせて8台の主電動機を、クモハE257形・モハE257形1000・1500番台はインバータ装置1群を搭載して自車のみ4台の主電動機を制御する。主電動機は出力145kWのかご形三相誘導電動機MT72A形(0番台)・MT72B形(500番台)を搭載する。起動加速度は0番台・500番台とも2.0km/h/sとなっている[1][2]

ブレーキシステムは回生発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを装備する。付随車の基礎ブレーキ装置はディスクブレーキを装備する。TIMSによって適切なブレーキ力を与える。なお、発電ブレーキを搭載した理由は、列車密度の低い路線では回生失効の頻度が高く、空気ブレーキの動作するケースが多いことに基づく。発電ブレーキシステムにはブレーキチョッパを搭載しており、環境への配慮が図られている。

台車ボルスタレスヨーダンパ・軸バネオイルダンパ付きで、車輪径は860mm。E653系やE751系と基本的には同じもの[3](電動台車DT64系・付随台車TR249系)である。

パンタグラフは低断面トンネル対応のシングルアーム式PS36形(0番台)・PS37形(500番台)を採用する。PS36形とPS37形は取り付け互換性を有している。

警笛はAW2形空気笛とミュージックホーン・電子ホーンを併用する。

車内

普通車の座席は前後間隔(シートピッチ)960mmの座面スライド機構付きリクライニングシートである。座席の回転は手動式。座席背面にテーブル、カップホルダー、網ポケットのマガジンラックを装備する。車椅子対応座席は車椅子から移乗しやすいように座席は通路側回転としている。

0番台にはグリーン車(グリーン室)が設定され、座席はシートピッチ1,160mm・横4列配置のリクライニングシートで、フットレスト、可動式枕、座席背面にテーブルを装備する。E351系で設置されていたシートヒーターは装備されていない。0番台基本編成の8号車であるサロハE257形の下り方の半室が充てられる。

車内はFRPやカラーパネルシートを多用している。デッキ・客室間の仕切り扉はタッチスイッチ式となっている。E351系にあった大型の荷物置き場は本系列では設置されていない。

LED式車内案内表示器を客室前後端部に備える。床材はゴム製のシートを挟むことで振動を軽減している[3]照明はグリーン車・普通車ともに間接式である。

トイレの処理方式は洋式・男性用小便器ともに真空式で臭気を軽減しており、前記したようにサハE257形・モハE257形1500番台は車椅子対応である。車椅子対応トイレは入口幅や室内寸法を拡大し、入口扉は押ボタン式の自動ドアとなっている。

活性炭方式の脱臭機能空気清浄機付き空調装置のエアダクトは荷物棚と一体化しており、荷物棚の先端と下から吹き出す仕組みである[3]

乗降用ドアは、徐々に強く閉まる方式を特急形で初めて採用し、手を挟んだ場合の安全性を向上している。また、視覚障害者対応として開閉時に女性の声で「ドアが開きます」「ドアが閉まります」とアナウンスするシステムを搭載する。

運転台の主幹制御器は左手操作のワンハンドル式を採用する。運転台には通常のTIMS用のモニタのほか、運転時刻表のみを表示する小型モニタも併設されている。E217系やE231系近郊タイプに準じて踏切事故対策として前後のスペースを広く確保したレイアウトとなっている。貫通・非貫通構造車ともに運転席とデッキはガラスで仕切られているため、デッキから前方の景色を楽しむことができる。それを考慮して、助士席部分の高さは運転席よりも若干低くしてある。また、子供でも景色を楽しむことができるように運転室背面に踏み台として使えるパイプを設置している[3]。運転室の背面仕切カーテンは電動式である。助士席側の小窓にはカーテンは設置されておらず、夜間・トンネル内でもデッキから前方が見通せる。

番台別概要

0番台と500番台は新造車、2000番台は0番台からの改造車、2500番台は500番台からの改造車となっている。なお、現在よく話題になる5000番台、5500番台については、全く検証できないためこの記事では一切触れない。5000番台、5500番台の記述が発見された場合は直ちに除去するように。

0番台

特急「かいじ」
2017年6月5日

中央本線で使われていた183・189系の老朽化による置き換えを目的として、日立製作所近畿車輛東急車輛製造の3社で製造された。2001年(平成13年)12月1日ダイヤ改正より基本・付属各3編成が中央本線の特急あずさ」3往復で運用を開始、翌2002年(平成14年)3月23日には基本編成5本が投入され新たに特急「かいじ」5往復を[8]7月1日には基本編成5本、付属編成1本が投入され、残る4往復を[9]、そして12月1日のダイヤ改正で基本編成3本、付属編成1本が投入され、残った特急「あずさ」を置き換え、1年間で183系・189系を置き換えた[注 3]。また、同年7月1日より「中央ライナー」「青梅ライナー」にも充当されるようになった。

2018年10月1日時点では、松本車両センターに基本編成9両編成16本(144両)と付属編成2両編成5本(10両)の計154両が在籍していた[10]指定保全以上の検査は、長野総合車両センターが担当していた。

E353系の増備に伴い徐々に運用を減らしていき、2019年3月15日をもって中央本線の定期特急列車運用から離脱した。その後余剰となった編成は、順次「踊り子」用2000番台へのリニューアル工事が行われ[11]、基本編成16本のうち13本(M105・M107・ M111編成以外)が2000番台へ改造され、大宮総合車両センター東大宮センターへ移籍、そこで特急「踊り子」などで使用されていた国鉄185系電車を置き換えた[12](詳細は後述)。

2021年4月1日現在、基本編成9両編成3本(27両)が松本車両センターに配置されている[13]。付属編成2両編成5本(10両)に関しては、定期運用離脱後も長野総合車両センターにて留置されていたが、2020年6月15日付で本系列初の廃車となり[14]、同年9月までに全編成が解体された。

構成

編成は基本編成がMT比5M4Tの9両編成、増結用の付属編成がMT比1M1Tの2両編成であった。松本駅における増・解結作業の関係上付属編成が新宿東京方に連結されており、号車番号は付属編成が1・2号車、基本編成が3 - 11号車となっていた。基本編成のみの9両編成で運転する場合でも号車番号の表示は変更されず、3 - 11号車の9両による運転として案内・表示された。これは編成両数にかかわらず自由席車両とグリーン車の号車番号を統一するための措置であった。グリーン車は基本編成の8号車に連結され、普通車との半室構造となっていた。

外観

「ふるさとのぬくもり」・「めぐりゆくふるさとの四季」をデザインコンセプトとしていた[4]。外観はアルプスの山々や林檎の花をイメージさせる白を基調としており、車体側面に四季の彩りを表す、武田菱を模した大きな菱形模様が描かれた[3]。菱形模様は桃色(春の花)、碧色(夏の木の葉)、黄色(秋の紅葉)、青紫(冬の山々)、銀色(八ヶ岳やアルプスの嶺)、からなり、その配色は似ているものもあるが号車ごとに異なっている(左右のサイドでは向きが逆転しているので8号車を除き全て東京、新宿側へ傾いている)。客用ドア横の号車番号表示には沿線の風物のイラストが号車ごとに描かれている。

室内

室内においてもデザインコンセプトに基づき、普通席・グリーン席共に座席の柄に武田菱を模したひし形のパターンが用いられていた。

普通車は明るく軽快なイメージで、「カジュアルで楽しい雰囲気」を指向していた。荷棚上の小天井部は奇数号車がピンク、偶数号車がエメラルドグリーンとされた[4]

グリーン車は木目調の内装材や、カーペットを用いることで、落ち着いた雰囲気が指向されていた[4]

モハE257形100番台(9号車)の新宿方車端部には喫煙用フリースペースを設けていた[3]が、JR東日本の特急列車完全禁煙化により、2007年3月18日からは禁煙のフリースペースとして開放されていた。

形式

基本編成(M101 - M116編成)
クハE256形(1 - 16)
基本編成の11号車に連結。CPを搭載する非貫通型制御車。定員64名。号車表示のイラストは「白馬村スキー場」。
クハE257形100番台(101 - 116)
基本編成の3号車に連結。CPを搭載する貫通型制御車。定員52名。松本方車端部にトイレと洗面所を備える。号車表示のイラストは「富士山」。
モハE256形(1 - 16)
基本編成の5号車に連結。補助電源用210kVA静止形インバータ(SIV)を搭載する中間電動車。定員64名。松本方車端部にトイレ洗面所カード公衆電話清涼飲料水自動販売機を備える[注 5]。モハE257形0番台とユニットを構成し、号車表示のイラストは「甲府市」。
モハE257形(1 - 16)
基本編成の4号車に連結。VVVFインバータ装置とパンタグラフを搭載する中間電動車。定員72名。モハE256形0番台とユニットを構成し、号車表示のイラストは「甲州市ぶどう」。
モハE256形100番台(101 - 116)
基本編成の10号車に連結。基本的にはモハE256形0番台と同様。モハE257形100番台とユニットを構成し、号車表示のイラストは「道祖神」。
モハE257形100番台(101 - 116)
基本編成の9号車に連結。VVVFインバータ装置とパンタグラフを搭載する中間電動車。定員64名。新宿方にフリースペースを備える。モハE256形100番台とユニットを構成し、号車表示のイラストは「信州りんご」。
モハE257形1000番台(1001 - 1016)
基本編成の6号車に連結。基本的にはモハE257形0番台と同様。本形式とクモハE257形は1C4M方式の単独電動車である。号車表示のイラストは「諏訪湖祭湖上花火大会」。
サハE257形(1 - 16)
基本編成の7号車に連結。CPを搭載する付随車。定員54名。出入台側に車椅子対応座席2席と松本方車端部に車椅子対応トイレと洗面所、車販準備室、多目的室を備える。号車表示のイラストはなく、その部分に車椅子マークを表示している。
サロハE257形(1 - 16)
基本編成の8号車に連結。グリーン車・普通車合造の付随車で、定員はグリーン室28名・普通室24名。出入台に車掌室と業務用室、松本方車端部にトイレと洗面所を備える。号車表示ステッカーは2箇所あり、東京寄り(普通車側)のイラストは「松本城」、松本寄り(グリーン車側)はイラストの代わりにグリーン車マークを表示されている。
付属編成(M201 - M205編成)
クハE257形(1 - 5)
付属編成の1号車に連結。補助電源用110kVA SIVとスクリュー式電動空気圧縮機(CP)を搭載する非貫通型制御車。定員52名。松本方車端部にトイレと洗面所を備える。号車表示のイラストは「新宿高層ビル」。
クモハE257形(1 - 5)
付属編成の2号車に連結。VVVFインバータ装置とパンタグラフを搭載する制御電動車定員68名。松本方に簡易運転台を備える[3]。また連結時のワンタッチ幌装置を備えている。長距離の運転は想定していないが、スイッチと計器類は本設運転台とほぼ同じものが取り付けられ、電気笛を搭載している。号車表示のイラストは「高尾山紅葉」。
編成
 
← 甲府・松本・南小谷
新宿・東京・千葉 →
基本編成 付属編成
号車 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
形式 クハ
E256
-0
モハ
E256
-100
モハ
E257
-100
サロハ
E257
-0
サハ
E257
-0
モハ
E257
-1000
モハ
E256
-0
モハ
E257
-0
クハ
E257
-100
クモハ
E257
-0
クハ
E257
-0

編成一覧表

基本編成名 付属編成名 落成日 製造会社 2000番台化改造 備考
M-101 M-201 2001年5月29日 日立製作所 NA-01
M-102 M-202 2001年6月6日 近畿車輛 NA-02
M-103 M-203 2001年6月22日 東急車輛 NA-03
M-104 2001年12月5日 日立製作所 NA-04
M-105 2002年1月10日 日立製作所
M-106 2001年12月26日 近畿車輛 NA-05
M-107 2001年12月7日 東急車輛
M-108 2002年2月6日 近畿車輛 NA-06
M-109 M-204 2002年4月8日 日立製作所 NA-07
M-110 2002年4月9日 東急車輛 NA-08
M-111 2002年5月10日 東急車輛
M-112 2002年5月30日 日立製作所 NA-09
M-113 2002年6月10日 東急車輛 NA-10
M-114 M-205 2002年7月18日 日立製作所 NA-11
M-115 2002年8月7日 近畿車輛 NA-12
M-116 2002年9月4日 近畿車輛 NA-13
  • 前述のとおり、付属編成は新宿・東京方に連結される。号車番号は付属編成が1・2号車、基本編成が3 - 11号車となっていた。基本編成のみの9両編成で運転する場合でも、号車番号の表示は変更されず、3 - 11号車の9両による運転として案内・表示されていた。

500番台

特急「わかしお」に運用される500番台
(2021年3月 新習志野駅

房総地区各線の特急列車に運用されていた183系・189系の老朽化による置き換えを目的として、幕張電車区(現・幕張車両センター)に配置され、2004年10月16日のダイヤ改正から営業運転を開始した。「Boso Express」の愛称がある。0番台と同様に日立製作所・近畿車輛・東急車輛製造の3社で製造された。

車両の構造は0番台を基本としているが、一部の車内設備と搭載機器に相違があるために車両番号500番台として区分している。MT比は地下トンネル内の勾配区間の走行を考慮して3M2Tとしている。分割・併合での運転を考慮して、東京方および銚子安房鴨川方の先頭車の双方とも前面貫通構造を採用している。

車内は普通車のみの5両編成であり、グリーン車は連結されていない。また、インテリアも座席の柄が青を基調としたものとなっている。

0番台とはVVVFインバータ装置の差異から磁励音が異なるが、純電気ブレーキ(全電気ブレーキ)は採用していない。

車体色は、255系と同様の房総特急のイメージカラーであるホワイト□(ビーチ)をベースに、側下にブルー(深みのある太平洋)・客用ドアと正面にイエロー(明るい陽光と房総に咲く菜の花)を基調にデザインされている。また、客用扉横に「boso」の「b」と、幕張新都心の直線的で近代的な建築物を模したデザインのロゴマークを配置した。

2004年(平成16年)10月16日のダイヤ改正より「さざなみ」「わかしお」に投入され、さらに翌2005年(平成17年)12月10日のダイヤ改正からは「しおさい」「あやめ」にも投入され、房総地区で運用されていた183系・189系をすべて置き換えた。

2015年(平成27年)3月14日ダイヤ改正で千葉、房総地区の特急列車が削減された[15]ことに伴い、9編成(45両)の余剰車が発生している[15]。余剰車のうち2編成はホームライナーに使用され、3編成は富士急直通快速に使用されることになり、後者は幕張車両センター所属のまま豊田車両センター常駐となった。残りの4編成については、今後の活用は未定とされた[15]。しかし2019年3月16日のダイヤ改正で「ホームライナー千葉」が廃止されたため、同列車に使われていた2編成が余剰となり、余剰車は計6編成となった。このうち4編成は「踊り子」「湘南」へ転用されることが発表され、2021年3月で全て2500番台への改造が完了した[16]

2021年4月1日現在、幕張車両センターに5両編成15本(NB01 - 05,08 - 12,15 - 19,75両)が配置されている[17]

形式(500番台)

クハE256形500番台(501 - 519)
補助電源用210kVA SIVとCPを搭載する制御車。定員64名。1(6)号車に連結する。
クハE257形500番台(501 - 519)
CPを搭載する制御車。定員52名。東京方車端部にトイレと洗面所を備える。1次車(501 - 510)は当初喫煙車で天井に空気清浄機オゾン脱臭装置を備えていた[3] が、2005年12月10日のダイヤ改正で禁煙車となったため撤去された。2次車は当初から禁煙車のため準備工事のみとなっている。また連結時のワンタッチ幌装置を備えている。5 (10) 号車に連結する。
モハE257形1500番台(1501 - 1519)
VVVFインバータ装置とパンタグラフを搭載する中間電動車。定員54名。客室端に車椅子対応座席2席と東京側車端部に車椅子対応トイレと洗面所、車内販売準備室、多目的室を備える。2(7)号車に連結する。
モハE256形500番台(501 - 519)
補助電源用210kVA SIVを搭載する中間電動車。定員64名。東京方車端部にトイレ・洗面所、カード式公衆電話を備える。モハE257形500番台とユニットを構成し、3(8)号車に連結する。
モハE257形500番台(501 - 519)
VVVFインバータ装置とパンタグラフを搭載する中間電動車。定員72名。モハE256形500番台とユニットを構成し、4(9)号車に連結する。

編成(500番台)

← 安房鴨川・君津・銚子
東京・新宿 →
号車 5
(10)
4
(9)
3
(8)
2
(7)
1
(6)
形式 クハE257
-500
モハE257
-500
モハE256
-500
モハE257
-1500
クハE256
-500

編成一覧表

編成名 落成日 製造会社 2500番台化改造 備考
NB-01 NB-02 2004年7月16日 日立製作所
NB-03 NB-04 2004年8月5日 日立製作所
NB-05 NB-06 2004年8月26日 日立製作所 NB-06 → NC-31
NB-07 NB-08 2004年9月8日 近畿車輛 NB-07 → NC-32
NB-09 NB-10 2004年9月16日 日立製作所 NB-10編成は豊田常駐(赤塗装)
NB-11 NB-12 2005年7月22日 東急車輛 豊田常駐(NB-11:灰塗装 NB-12:緑塗装)
NB-13 NB-14 2005年8月26日 東急車輛 NB-13 → NC-33
NB-14 → NC-34
NB-15 NB-16 2005年9月2日 日立製作所
NB-17 NB-18 2005年10月7日 日立製作所
NB-19 2005年10月28日 日立製作所

2000番台・2500番台

2000番台による特急「踊り子」
新子安駅 2021年4月)
2500番台による特急「踊り子」
三島駅、2021年3月14日撮影)

東海道線の特急列車に使用されていた185系の老朽化による置き換えとして、0番台及び500番台に転用改造及び機器更新が施されて誕生した番台区分[16]。0番台のM112編成が長野総合車両センターにおいて改造され、2019年2月27日付で2000番台NA-09編成として大宮総合車両センターに配置された。その後、同センターに加えて秋田総合車両センターおよび総合車両製作所横浜事業所において順次改造が実施されている。また、500番台NB-07編成が秋田総合車両センターにおいて改造され、2020年7月に2500番台NC-32編成として出場した。

2021年4月1日現在、基本編成2000番台(NA-01 - 13編成)9両編成13本(117両)と付属編成2500番台(NC-31 - 34編成)5両編成4本(20両)の合計137両が大宮総合車両センターに配置されている[12]

0番台では普通席との半室構造となっていた半室グリーン車は、2000番台では全室グリーン車となっている。

リニューアルにあたり、車体塗装は伊豆の空と海の色をイメージしたペニンシュラブルーを基調としたものに変更され、窓側座席には電源コンセント、各座席上方にはE657系と同様の指定席発売状況確認ランプが設置され、NA編成は1・9号車、NC編成は10・14号車へ荷物置き場が設置された[18]

9両編成(基本編成2000番台)

← 伊豆急下田
東京 →
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9
形式 クハ
E256
-2000
モハ
E256
-2100
モハ
E257
-2100
サロ
E257
-2000
サハ
E257
-2000
モハ
E257
-3000
モハ
E256
-2000
モハ
E257
-2000
クハ
E257
-2100

編成一覧表

基本編成名 竣工 改造施工 旧編成 備考
NA-01 2020年7月28日 長野総合車両センター M-101
NA-02 2021年1月22日 M-102
NA-03 2019年4月4日 秋田総合車両センター M-103
NA-04 2019年10月1日 長野総合車両センター M-104
NA-05 2020年4月24日 秋田総合車両センター M-106
NA-06 2019年10月15日 内装:総合車両製作所横浜事業所
外装:秋田総合車両センター
M-108
NA-07 2019年12月6日 秋田総合車両センター M-109
NA-08 2019年8月28日 M-110
NA-09 2019年2月27日 長野総合車両センター M-112
NA-10 2019年6月25日 M-113
NA-11 2020年4月14日 M-114
NA-12 2020年10月26日 M-115
NA-13 2020年1月10日 M-116

5両編成(付属編成2500番台)

← 修善寺
東京 →
号車 10 11 12 13 14
形式 クハ
E256
-2500
モハ
E257
-3500
モハ
E256
-2500
モハ
E257
-2500
クハ
E257
-2500

編成一覧表

付属編成名 落成日 改造施工 旧編成 備考
NC-31 2020年9月29日 秋田総合車両センター NB-06
NC-32 2020年7月6日 NB-07
NC-33 2021年1月25日 NB-13
NC-34 2021年3月4日 NB-14
  • 前述のとおり、付属編成は東京方に連結される。号車番号は基本編成が1 - 9号車、付属編成が10 - 14号車となっている。基本編成のみの9両編成で運転する場合でも、号車番号の表示は変更されず、1 - 9号車の9両による運転として案内・表示される。

運用

0番台

篠ノ井線の快速として運用に就く0番台
(2019年1月30日)

「あずさ」「かいじ」「中央ライナー」「青梅ライナー」のほか、篠ノ井線松本 - 信越本線長野間を結ぶ快速列車にも1日1往復充当されていた。

過去には、ダイヤの乱れや車両故障などの理由によりE351系の代走として「スーパーあずさ」の運用に入ったほか、東海道線「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」に充当されていた[注 6]。また修学旅行等の団体専用列車として運用されることもあり、日光線や信越本線黒姫駅まで入線した実績があった。

2017年(平成29年)12月23日からE353系が「スーパーあずさ」で営業運転を開始[19]、2018年(平成30年)3月17日のダイヤ改正より、臨時列車を含む「スーパーあずさ」が全てE353系に置き換えられ、同年7月1日から「あずさ」「かいじ」の一部(あずさ10往復中3往復、かいじ12往復中9往復)にも9両編成のE353系7本(63両)が投入され、2019年3月16日のダイヤ改正で中央東線の特急(「あずさ」「かいじ」および新設の「富士回遊」「はちおうじ」「おうめ」)用車両は、一部の臨時列車を除き全てE353系に統一(一方「スーパーあずさ」は廃止)され[20]、定期運用を終了した。

定期運用終了後は、臨時列車として定期運用時代と同じ「あずさ」「かいじ」などの中央線特急、「新宿さざなみ」等に使用されており、団体臨時列車として大宮総合車両センターの185系の置き換えにも使われている[21]

500番台

NB-10編成(2021年)
アクセントカラーは赤
NB-11編成(2020年)
アクセントカラーはグレー
NB-12編成(2020年)
アクセントカラーは緑

房総地区の特急列車のほか、以前は間合い運用で早朝の鹿島線の一部普通列車や横須賀線の「おはようライナー逗子」「ホームライナー逗子」「ホームライナー千葉」にも使用されていた。

房総特急の運用が少なくなったことに伴い、関東地方を中心とした多くの臨時列車で使用されるようになり、2018年(平成30年)3月17日のダイヤ改正以降は、全廃された豊田車両センターの波動用特急車に代わり、5両編成のまま「あずさ」「かいじ」の臨時列車や、富士急行線に直通する「ホリデー快速富士山」(後に「富士回遊」に変更)などにも運用されるようになった。

なお、豊田車両センターに常駐している富士急行線直通列車用の3編成は車体デザインが小変更されており、側窓周りに黒塗装が追加されたほか、客用扉横と正面のロゴが「SERIES E257」に変更され、NB-10編成が赤、NB-11編成がグレー、NB-12編成が緑のアクセントカラーがそれぞれ入れられている。

2000・2500番台

2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正で、2000番台(基本編成)が185系で運用される特急「踊り子」のうち、東京 - 伊豆急下田間1.5往復と伊豆急下田→池袋間1本、土休日はそれに加え、新宿→伊豆急下田間1本と伊豆急下田→東京間1本に投入された。なお、本系列の東海道線での運用は前述した0番台時代の「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」以来12年ぶりとなる。

2021年(令和3年)3月13日ダイヤ改正では2500番台(付属編成)が修善寺駅発着の「踊り子」に投入され、JR東海管内及び伊豆箱根鉄道線への乗り入れを開始した。これにより「踊り子」運用を当系列で統一するのに加え、「湘南ライナー」に代わって新たに運転される特急「湘南」にも投入された[22][23]

車体装飾

  • NHK大河ドラマ風林火山
    • 2007年に放映された『風林火山』に合わせて一部編成(M116編成)の正面と側面に風林火山をイメージしたイラストのラッピングが施されており、臨時特急列車「風林火山」号に優先的に運用していた。
  • デスティネーションキャンペーン「未知を歩こう。信州」
    • 2010年10月から12月まで長野県内で実施されていたデスティネーションキャンペーン「未知を歩こう。信州」のキャラクター・アルクマなどのラッピングを施した9両編成2本(M-101・111編成)が同年9月9日から12月中旬まで運行されていた[24]
  • あずさ号運行開始50周年
    • 2016年10月15日から12月31日頃まで、9両1編成(M-102編成)に50周年を記念したエンブレムとロゴをラッピングし運転された[25]
    • このほか、0番台の全車の車内の座席テーブルにもエンブレムとロゴを施している。

脚注

注釈

  1. ^ 置き換え対象となった幕張車両センターの183・189系車両が、かつて冬場に上越線方面のスキー列車(新雪シュプール号など)に使われたことがあった。
  2. ^ 183系グレードアップ改造車より上下寸法を90mm拡大している。
  3. ^ 捻出された183系・189系の一部は団体・臨時用として使用されていた165系の置き換えに転用されている。
  4. ^ 2007年3月17日までは喫煙スペースとして使用。
  5. ^ 自動販売機は2008年4月1日から使用停止となっている。
  6. ^ 2003年(平成15年)春から2008年3月改正まで充当。

出典

  1. ^ a b 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第38回(2001年)「JR東日本E257系電車用主回路システム」論文番号504。
  2. ^ a b c d 日本鉄道車両工業会「車両技術」229号「JR東日本 E257系500代特急形直流電車の概要」記事。
  3. ^ a b c d e f g h i j 吉田行廣(東日本旅客鉄道 鉄道事業本部運輸車両部車両課副課長基本計画グループリーダー)「新車訪問【65】東日本旅客鉄道 E257系電車」『RAIL FAN』第49巻第2号、鉄道友の会、2002年2月1日、2-5頁。 
  4. ^ a b c d 東日本旅客鉄道(株)運輸車両部企画課車両開発プロジェクト (2001-08-01). “E257系特急型直流電車”. 鉄道ファン (交友社) Vol.41 (通巻484号): pp129-136. 
  5. ^ ジェー・アール・アール 編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、402頁。ISBN 9784330212111 
  6. ^ ジェー・アール・アール 編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、405頁。ISBN 9784330212111 
  7. ^ 交通新聞社「JR電車編成表2015夏」記事。
  8. ^ 『RAIL FAN』第49巻第5号、鉄道友の会、2002年5月1日、19頁。 
  9. ^ 「鉄道記録帳」『RAIL FAN』第49巻第10号、鉄道友の会、2002年10月号、22頁。 
  10. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2019冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2018年、p.101。ISBN 9784330932187
  11. ^ 中央線特急列車「あずさ」「かいじ」E353系置き換えについて - JR東日本長野支社 2018年5月16日
  12. ^ a b ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2021年、p.59。ISBN 9784330025216
  13. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2021年、p.100。ISBN 9784330025216
  14. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2020年、p.358。ISBN 9784330082202
  15. ^ a b c 交友社「鉄道ファン」2015年5月号「平成27年3月14日ダイヤ改正にともなうJR東日本車両の動き」記事。
  16. ^ a b "特急「踊り子」にリニューアル車両を順次投入します" (PDF) (Press release). 東日本旅客鉄道. 28 November 2019. 2019年11月28日閲覧
  17. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2021年、p.50。ISBN 9784330025216
  18. ^ 東海道線特急「湘南」「踊り子」のご案内 - JR東日本
  19. ^ "中央線新型特急車両 E353系の営業運転開始について ~12月23日(土)デビュー~" (PDF) (Press release). 東日本旅客鉄道. 26 October 2017. 2017年10月26日閲覧
  20. ^ 2019年3月ダイヤ改正について (PDF)  : 東日本旅客鉄道プレスリリース、2018年12月14日付、2018年12月19日閲覧。
  21. ^ 羽賀元彦「トピック・フォト 関東 JR東日本 特急「新宿さざなみ1・4号」E257系0番代で運転」『鉄道ピクトリアル2021年9月号 【特集】房総地区の鉄道の興味』第71巻第9号(通巻989号)、電気車研究会、2021年9月1日、100頁。 
  22. ^ 東海道線特急が新しく生まれ変わります”. 東日本旅客鉄道. 2020年11月13日閲覧。
  23. ^ 東海道線特急「湘南」「踊り子」のご案内”. 東日本旅客鉄道. 2020年12月19日閲覧。
  24. ^ 長野新幹線あさま号・中央東線特急あずさ号「信州デスティネーションキャンペーン」ラッピング車両を運転します! (PDF) - 東日本旅客鉄道長野支社プレスリリース 2010年9月7日
  25. ^ 特急「あずさ」号運行開始 50 周年を記念したイベントの実施と旅行商品の発売について” (PDF) (2016年10月13日). 2016年10月17日閲覧。

外部リンク