「芽」の版間の差分
m Botによる: {{Normdaten}}を追加 |
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集 |
||
(3人の利用者による、間の4版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{otheruses||数学における芽(が)|芽 (数学)}} |
{{otheruses||数学における芽(が)|芽 (数学)}} |
||
[[ファイル:Aesculus hippocastanum bud and its sticky cataphylls, Spiers Old School Grounds, Beith.jpg|thumb|right|250px|'''1'''. [[セイヨウトチノキ]]([[ムクロジ科]])の冬芽: 大きな頂芽と小さな側芽(腋芽)があり、いずれも芽鱗で覆われた鱗芽である。]] |
|||
{{出典の明記|date=2011年5月}} |
|||
'''芽'''(め、{{Lang-en-short|bud}})とは、[[維管束植物]]において、茎の[[頂端分裂組織]]とそれに由来する未熟な[[茎]]と[[葉]]からなる構造である(図1)。芽は、伸長して新たな[[シュート (植物)|シュート]](葉や[[花]]をつけた茎)となる。芽のうち、茎の先端にあるものを'''[[#頂芽と側芽|頂芽]]'''、茎の側方につくものを'''[[#頂芽と側芽|側芽]]'''といい、[[種子植物]]ではふつう側芽は葉の腋につくため'''[[#頂芽と側芽|腋芽]]'''ともよばれる(図1)。ふつうの芽は頂芽や腋芽であるため、これらの芽は'''[[#定芽と不定芽|定芽]]'''、葉や[[根]]などそれ以外につく芽は'''[[#定芽と不定芽|不定芽]]'''とよばれる。また、芽のうち、成長して葉のみをつけるものは'''[[#葉芽・混芽・花芽|葉芽]]'''、花のみをつけるものは'''[[#葉芽・混芽・花芽|花芽]]'''、葉と花をつけるものは'''[[#葉芽・混芽・花芽|混芽]]'''とよばれる。低温や乾燥など生育不適期に休眠状態にある芽は'''[[#休眠芽|休眠芽]]'''とよばれ、特に冬季にある休眠芽は'''[[#休眠芽|冬芽]]'''とよばれる。休眠芽はしばしば特殊化した葉である芽鱗に覆われており、このような芽は'''[[#鱗芽と裸芽|鱗芽]]'''(有鱗芽)とよばれ(図1)、一方で芽鱗をもたない休眠芽は'''[[#鱗芽と裸芽|裸芽]]'''とよばれる。切り離されて新たな個体となる芽は、'''[[#むかご|むかご]]'''(珠芽)とよばれる。専門用語ではないが、新たに生じて間もない芽は、新芽(しんめ)、若芽(わかめ)、嫩芽(どんが)とよばれる<ref name="コトバンク_新芽">{{Cite Kotobank|word=新芽|encyclopedia=|accessdate=2023-07-11}}</ref><ref name="コトバンク_若芽">{{Cite Kotobank|word=若芽|encyclopedia=|accessdate=2023-07-11}}</ref>。 |
|||
'''芽'''(め)とは、一般に新たに生じて成長しようとするものをいう。 |
|||
植物以外の生物においても「芽」という用語を用いることがある。[[ヒドラ (生物)|ヒドラ]]や[[酵母]]は、体の一部が突出して新個体を形成することがあり、このような無性生殖は[[出芽]]、新たに形成される個体は芽体とよばれる<ref name="生物学辞典2013出芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=出芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|pages=640–641}}</ref>。動物において、体の一部が再生される際に生じる未分化な細胞塊は、[[再生芽]]とよばれる<ref name="生物学辞典2013再生芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=再生芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=515}}</ref>。また、卵の黄身の上面にある[[胚盤]]のことを「芽」とよぶことがある<ref name="コトバンク_芽" />。 |
|||
== 植物学における芽 == |
|||
[[ファイル:Plant Buds clasification.svg|サムネイル|右|植物の芽の分類例]] |
|||
[[植物学]]においては、通常、未発達の枝のことをさし、茎の先端か、[[幹]]と[[葉]]の間に発生する。いったん形成されたのち、休眠状態に入る場合もあり、すぐに新しい枝を形成することもある。 |
|||
一般用語としては、「成長の芽」、「悪の芽」など、新たに生じ、これから成長しようとするものを「芽」にたとえていうことがある<ref name="コトバンク_芽">{{Cite Kotobank|word=芽|encyclopedia=|accessdate=2023-06-18}}</ref>。 |
|||
多くの[[樹木]]において、特に[[温帯]]および[[亜寒帯|冷帯]]においては、芽は、その繊細な部分が'''芽鱗'''(がりん)と呼ばれる[[葉]]の変形物によってきつく包まれている。多くの芽鱗は[[ゴム]]状の物質で覆われ、さらに保護されている。芽が成長すると、芽鱗は若干は大きく成長するが、最終的には脱落してなくなり、成長する幹の表面に、水平に伸びる痕跡を残す('''芽鱗痕'''と呼ばれる)。 |
|||
以下では、植物の芽について解説する。 |
|||
これらの痕跡により、枝の年齢を決定することができる。これは、各年の枝の成長が、その年の最後に芽が形成されることで終了し、その芽が新たな芽鱗の跡を形成することになるからである。芽鱗痕と次の芽鱗痕の間が、その枝が一年間に成長した区間で、芽鱗痕の数がその枝の年齢である。枝が成長を続ければ、数年後にはこれらの痕跡は消えるので、古い枝における全体の年齢は、この方法で決めることはできない。 |
|||
==構造== |
|||
多くの植物では、芽を覆う芽鱗は形成されず、そのようなものを'''裸芽'''(らが)と呼ばれる。このような芽における成長中の微小な葉は、往々にして多くの毛を持っている。このような芽は[[ウルシ]]や[[ガマズミ]]のような[[低木]]や[[草本]]に見られる。後者の大部分では、芽はさらに小さく、葉腋(葉と枝の間の分岐)における未分化の細胞から構成される程度である。[[キャベツ]]の頭部は、例外的なほどに大きな頂端の芽('''頂芽'''(ちょうが))であり、[[メキャベツ]]は巨大な側面の芽('''側芽'''(そくが))である。 |
|||
植物において'''芽'''とは、未展開の若い[[シュート (植物)|シュート]]([[茎]]と[[葉]])のことであり、[[シュート頂分裂組織]]と未熟な茎や葉からなる<ref name="生物学辞典2013芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷蛾, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1373}}</ref><ref name="清水2001">{{cite book|author=清水建美|year=2001|chapter=2. 芽|title=図説 植物用語事典|publisher=八坂書房|isbn=978-4896944792|pages=220–231}}</ref><ref name="原1972">{{Cite book|author=原襄|year=1972|chapter=5.1.1 芽|title=基礎生物学選書 3. 植物の形態|publisher=裳華房|isbn=978-4-7853-5103-8|pages=47–49}}</ref><ref name="原1994">{{cite book|author=原襄|year=1994|chapter=2.2.1 芽|editor=|title=植物形態学|publisher=朝倉書店|isbn=978-4254170863|pages=16–19}}</ref>(下図2)。先端には茎の先端成長を司るシュート頂分裂組織が存在し、その下に続く茎を形成し、また表層から、つまり外生的(exogenous)に新たな葉を形成していく<ref name="清水2001" />(下図2b)。このような新たに形成され葉へと成長する構造は、'''葉原基'''(ようげんき; leaf primodium{{efn2|name="葉原基"|複数形は leaf primodia<ref name="清水2001" />。}})とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" />。シュート頂分裂組織は、このような若い葉で包まれて保護されている。新たな葉の葉腋(基部の[[向軸側]])には、[[#頂芽と側芽|腋芽]]となる新たな頂端分裂組織が外生的に形成される<ref name="清水2001" />(下図2b)。このようなシュートの成長は、基部側から先端側へ向かって進む求頂的発生(acropetal development)である<ref name="清水2001" />。 |
|||
{{multiple image |
|||
芽は葉腋に形成されるため、幹における分布は葉と同じになる。幹の先端以外に、交互型、対称型、らせん型となる。多くの植物では、予期しない部分にも芽が現れる。そのようなものは'''不定芽'''(ふていが)と呼ばれ、これらは[[植物ホルモン]]の働きによって誘導されている。 |
|||
| total_width = 400 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Продольный разрез генеративной почки вишнёвого дерева 2.jpg |
|||
| caption1 = '''2a'''. [[サクラ]]([[バラ科]])の芽の縦断面 |
|||
| image2 = Coleus_stemtip_L.jpg |
|||
| caption2 = '''2b'''. [[コリウス|コリウス属]]([[シソ科]])の芽の縦断面: A = [[前形成層]]、B = [[基本分裂組織]]、C = [[葉隙]]、D = [[毛状突起]]、E = [[シュート頂端分裂組織]]、F, G = 葉原基、H = 腋芽、I = [[維管束]]. スケールバー = 0.2 mm |
|||
}} |
|||
また、芽は保護用の特殊化した葉(芽鱗)で覆われていることがある([[#鱗芽と裸芽|下記参照]])。芽が柄をもつ場合、この柄は芽柄(がへい)とよばれる<ref name="馬場1988" />。 |
|||
芽を観察すると、しばしば注目すべき芽鱗の連続的変化のある配列を見ることができる。例えば、[[トチノキ属]]のbuckeyeでは、小さな外側の茶色の芽鱗から、内側の緑色の、ほとんど葉のような芽鱗までの完全な配列を見ることができる。このような配列は、芽の芽鱗は実際は葉であり、植物にとって不利な時期に、繊細な部分を守るように変化したものであることを示している。 |
|||
== |
==芽の分類== |
||
芽は、つく位置や構成器官、活動状況などによって以下のように類別される。 |
|||
*花芽(かが、はなめ) - 花となる芽。 |
|||
*葉芽(ようが) - 茎・葉となる芽。一般に花芽より細い。 |
|||
*腋芽(えきが、わきめ) - 葉のつけ根にできる芽。 |
|||
*隠芽(いんが) - 葉痕の中に隠れた芽。ネムノキなどがこれを作り、春になると出てくる。 |
|||
*半隠芽(はんいんが) - 葉痕に半分だけ隠れた(先端だけ見えている)芽。 |
|||
*休眠芽(きゅうみんが) - [[休眠]]状態に入った芽。冬や乾期など、環境が悪化する期間は成長を止める。休眠したままずっと発芽しない芽もあり、これは発芽した芽に伐採などトラブルがあった時の保険という説がある。 |
|||
*冬芽(とうが、ふゆめ) - 冬前に作られる休眠芽。 |
|||
*副芽(ふくが) - 同じ場所に2つの芽を作る場合があり、メインではない方の芽を副芽という。メインの芽にトラブルがあると発芽するが、無ければ発芽しない。 |
|||
*潜伏芽(せんぷくが) - 休眠状態に入ったまま、発芽しなかった芽。幹の成長とともに、痕跡だけ残して埋もれてしまうが、何かあると幹を突き破って発芽する場合もある。 |
|||
===頂芽と側芽=== |
|||
== 動物学における芽 == |
|||
[[茎]]の頂端に存在し、この茎を伸長させる芽は、'''頂芽'''(ちょうが; terminal bud, apical bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="原1972" /><ref name="生物学辞典2013頂芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=頂芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=919}}</ref><ref name="広沢2010">{{cite book|author=広沢毅・林将之|year=2010|chapter=|editor=|title=冬芽ハンドブック|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829911747|page=7}}</ref><ref name="馬場1988">{{cite book|author=馬場多久男|year=1988|chapter=|editor=|title=冬芽でわかる落葉樹|publisher=信濃毎日新聞社|isbn=978-4784091058|pages=4}}</ref>(下図3a, b, d)。それに対して、側方に新たな[[シュート (植物)|シュート]]を伸長させる芽は、'''側芽'''(そくが; lateral bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="原1972" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" /><ref name="生物学辞典2013側芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=側芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=835}}</ref>(下図3a–e)。[[種子植物]]においては、側芽はふつう葉腋([[葉]]の付け根の[[向軸側]])に形成され、'''腋芽'''(えきが; axillary bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="原1972" />。腋芽を抱いている葉は、'''蓋葉'''(がいよう; 母葉、subtending leaf)とよばれる<ref name="清水2001" />(下図3c)。 |
|||
英語で芽を表す『Bud』は[[動物学]]でも同様に用いられ、[[個体]]から伸び出て新しい個体へと成長するものに対して用いられる。日本語ではこれを[[出芽]]と呼んでいる。 |
|||
<!-- |
|||
{{multiple image |
|||
それは単純な構造の動物や植物の[[無性生殖]]に限られた形である。この過程において、親[[細胞]]の壁の一部分が軟らかくなり、外へ押し出される。このような突起物が作られると同時に、親細胞の細胞[[核]]が分割される([[体細胞分裂]]、[[減数分裂]])。一つの核は芽となり、親細胞から切り離されてその過程が繰り返される。娘細胞はしばしば親細胞から分割される以前に芽の形成を始めることがあり、付着した[[コロニー]]の全体を形成する。結局は、細胞の壁は元の細胞から芽を切り離す。 |
|||
| total_width = 800 |
|||
--> |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Shoot.png |
|||
| caption1 = '''3a'''. [[シュート (植物)|シュート]]の模式図: 1 = '''頂芽'''、2 = 節、3 = [[葉]]、4 = 節間、 5 = '''腋芽'''、6 = [[茎]] |
|||
| image2 = 20140216Walnuss Reilingen5.jpg |
|||
| caption2 = '''3b'''. [[シナノグルミ]]([[クルミ科]])シュート: 頂端に頂芽があり、側芽(腋芽)が互生している。 |
|||
| image3 = Ulmus_pumila_(5107823814).jpg |
|||
| caption3 = '''3c'''. [[シベリアニレ]](ニレ科)のシュート: 葉腋に腋芽がある。 |
|||
| image4 = Quercus marilandica 19 (19766699963).jpg |
|||
| caption4 = '''3d'''. {{Snamei|Quercus marilandica}}([[ブナ科]])のシュート: 頂芽の周囲に頂生側芽がある。 |
|||
| image5 = Tilia platyphyllos buds.jpg |
|||
| caption5 = '''3e'''. [[ナツボダイジュ]]([[アオイ科]])シュート: 頂芽は喪失し、頂端には仮頂芽がある。 |
|||
}} |
|||
[[種子植物]]において、最初につくられた芽、すなわち[[種子]]内で[[子葉]]直上にできた芽は、'''幼芽'''(ようが; plumule)とよばれる<ref name="原1994" /><ref name="清水2001幼植物">{{cite book|author=清水建美|year=2001|chapter=1. 幼植物|title=図説 植物用語事典|publisher=八坂書房|isbn=978-4896944792|pages=213–220}}</ref><ref name="清水2001シュート">{{cite book|author=清水建美|year=2001|chapter=(1) シュート|title=図説 植物用語事典|publisher=八坂書房|isbn=978-4896944792|pages=167–168}}</ref><ref name="生物学辞典2013幼芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=幼芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1420}}</ref>。基本的には、幼芽が伸長して主軸(main axis)となり、その先端の幼芽は頂芽へと移行する<ref name="原1994" />。 |
|||
盛んに伸長している茎では、頂芽が活発に活動しているが、周辺の側芽はふつう活動が抑えられて休眠状態にある。このような現象は、[[頂芽優勢]](apical dominance; 側芽抑制 lateral bud inhibition)とよばれる<ref name="生物学辞典2013頂芽優勢">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=頂芽優勢|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=919}}</ref>。頂芽では[[植物ホルモン]]である[[オーキシン]]が合成され、これが茎を下降する際に腋芽での[[サイトカイニン]]合成を抑制し、腋芽の成長が抑制される<ref name="生物学辞典2013頂芽優勢" />。頂芽が損傷したり除去されると、オーキシン供給が止まり、腋芽でのサイトカイニン濃度が上昇するため、頂芽優勢が解けて側芽が伸長しはじめる<ref name="生物学辞典2013頂芽優勢" />。また、根からの距離によって抑制度合いが変化することが知られており、[[シロイヌナズナ]]では根で合成される[[ストリゴラクトン]]が頂芽優勢に関わることが知られている<ref name="生物学辞典2013頂芽優勢" />。 |
|||
<span id="頂生側芽"></span>側芽のうち、頂芽の周囲に集まって形成された側芽は、'''頂生側芽'''(ちょうせいそくが; terminal lateral bud)とよばれ、[[トドマツ]]([[マツ科]])、[[カツラ (植物)|カツラ]]([[カツラ科]])、[[コナラ]](ブナ科)などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" />(上図3d)。 |
|||
<span id="仮頂芽"></span>生育不適期に頂芽を含めて枝先が枯死し(その痕は枝痕 twig scar とよばれる)、最上位の側芽が頂芽のようにはたらくことがあるが、このような側芽は'''仮頂芽'''(かちょうが; pseudoterminal bud)とよばれ、[[コブシ]]([[モクレン科]])、[[カツラ (植物)|カツラ]]([[カツラ科]])、[[クリ]]([[ブナ科]])、[[ハンノキ]]([[カバノキ科]])、[[ハルニレ]]([[ニレ科]])、[[ヤマグワ]]([[クワ科]])、[[サクラ]]([[バラ科]])、[[シナノキ]]([[アオイ科]])などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" />(上図3e)。 |
|||
===主芽と副芽=== |
|||
1つの葉腋に複数の芽ができることがあり、この場合、最初にできた大きな芽は'''主芽'''(しゅが; main bud)、それ以外の芽は'''副芽'''(ふくが; accessory bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="原1994副芽">{{cite book|author=原襄|year=1994|chapter=解説2.2|editor=|title=植物形態学|publisher=朝倉書店|isbn=978-4254170863|pages=16–19}}</ref><ref name="熊沢1979副芽">{{cite book|author=熊沢正夫|year=1979|chapter=9.3 副芽|editor=|title=植物器官学|publisher=裳華房|isbn=978-4785358068|pages=99−101}}</ref><ref name="生物学辞典2013副芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=副芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1193}}</ref>(区別が判然としないこともある<ref name="熊沢1979副芽" />)。副芽のうち、主芽の上下にあるものは'''縦生副芽'''(じゅうせいふくが; 直立副芽、重生芽、serial accessory bud; 下図4a)、主芽の左右にあるものは'''並生副芽'''(へいせいふくが; 平行芽、collateral accessory bud; 下図4c)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994副芽" /><ref name="馬場1988" /><ref name="日本大学" />。一般的に、[[裸子植物]]や[[双子葉植物]]では縦生副芽を、[[単子葉植物]]では並生副芽をもつものが多い<ref name="清水2001" /><ref name="原1994副芽" /><ref name="熊沢1979副芽" /><ref name="生物学辞典2013副芽" />。縦生副芽は[[アブラチャン]]([[クスノキ科]])、[[オニグルミ]]([[クルミ科]])、[[ジャケツイバラ]]([[マメ科]])、[[ハクウンボク]]([[エゴノキ科]])などに、並生副芽は[[ヒヤシンス]]([[キジカクシ科]])、[[ラッキョウ]]([[ヒガンバナ科]])、[[メダケ]]([[イネ科]])、[[バナナ]]([[バショウ科]])、[[クマイチゴ]]([[バラ科]])、[[ヤマハギ]]([[マメ科]])などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="熊沢1979副芽" /><ref name="日本大学" />。副芽の有無や数は分類形質として重要視されることもある。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Biancaea decapetala (branch s4).jpg |
|||
| caption1 = '''4a'''. [[ジャケツイバラ]]([[マメ科]])の[[シュート (植物)|シュート]]: 中央に芽が並び、葉腋から最も離れているものが主芽、他は縦生副芽 |
|||
| image2 = Biancaea decapetala (branch s2).jpg |
|||
| caption2 = '''4b'''. ジャケツイバラの縦列した腋芽のうち葉腋から最も遠い芽(主芽)は栄養枝(葉をつける)となり、その内側の副芽が花序となる。 |
|||
| image3 = 莎勒竹 Schizostachyum diffusum 20210610164149 07.jpg |
|||
| caption3 = '''4c'''. {{Snamei|Bambusa diffusa}}([[イネ科]])のシュート: 節から並生副芽に由来する多数の枝が放射状に伸びている。 |
|||
}} |
|||
上記のように葉腋に複数の芽がある場合、その間で機能分化が見られることもある(上図4b)。[[ムラサキシキブ]]([[シソ科]])では、主芽が[[花序]](花をつけた茎)となり、副芽は栄養枝(葉をつけた茎)になる<ref name="原1994副芽" /><ref name="熊沢1979副芽" />。一方、[[ツルウメモドキ]]([[ニシキギ科]])では、主芽が栄養枝となり、副芽は花序となる<ref name="熊沢1979副芽" />。また、このような分化が見られないものでは、主芽が損傷した場合に副芽が代替することで役立つと考えられており、このような副芽は予備芽ともよばれる<ref name="広沢2010" /><ref name="原1994副芽" />。 |
|||
===定芽と不定芽=== |
|||
[[種子植物]]では、芽はふつう茎頂と葉腋に形成されるため、頂芽や腋芽はあわせて'''定芽'''(ていが; definite bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="原1994" />。一方、それ以外の場所にできる芽は、'''不定芽'''(ふていが; adventitious bud, adventive bud, indefinite bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="原1994" /><ref name="生物学辞典2013不定芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=不定芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1207}}</ref><ref name="熊沢1979">{{cite book|author=熊沢正夫|year=1979|chapter=16 不定芽|editor=|title=植物器官学|publisher=裳華房|isbn=978-4785358068|pages=172−184}}</ref>。 |
|||
[[茎]]ではあるが頂端や葉腋ではない場所から生じる不定芽は、'''茎上不定芽'''(けいじょうふていが; cauline bud)とよばれる<ref name="清水2001" />。[[シダ植物]]では、側芽が腋芽ではないのが普通である<ref name="清水2001" /><ref name="熊沢1979" />。被子植物ではまれであるが<ref name="清水2001" />、[[胚軸]]に不定芽(胚軸不定芽)を生じる例は少なくなく、[[アマ (植物)|アマ]]([[アマ科]])、[[チャボタイゲキ]]([[トウダイグサ科]])、[[ムラサキウンラン]]([[オオバコ科]])などに見られる<ref name="熊沢1979" />。胚軸不定芽は、ふつう外生的に生じる<ref name="熊沢1979" />。 |
|||
葉から生じる不定芽は、'''葉上不定芽'''(ようじょうふていが; 葉上芽、epiphyllous bud)とよばれ、[[コモチシダ]]([[シシガシラ科]])、[[クモノスシダ]]([[チャセンシダ科]])、[[カラスビシャク]]([[サトイモ科]])、[[ショウジョウバカマ]]([[シュロソウ科]])、[[タネツケバナ]]([[アブラナ科]])、[[セイロンベンケイ]]([[ベンケイソウ科]])などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013不定芽" /><ref name="熊沢1979" />(下図5a, b)。[[ユリ]]([[ユリ科]])の[[鱗茎]]では、肉質の葉(鱗茎葉)が瓦状に重なっているが、この鱗茎葉から不定芽が生じて栄養繁殖を行う<ref name="熊沢1979" />。葉上不定芽は、ふつう外生的に生じる<ref name="熊沢1979" />。 |
|||
根から生じる不定芽は、'''根上不定芽'''(こんじょうふていが; 根出芽、根生不定芽、根生芽、radical bud)とよばれ、身近な例として[[サツマイモ]]([[ヒルガオ科]])があり、その他にも[[コウヨウザン]]([[ヒノキ科]])、[[ヒメスイバ]]([[タデ科]])、[[ヤナギ]]([[ヤナギ科]])、[[ハシバミ]]([[カバノキ科]])、[[キイチゴ]]([[バラ科]])、[[ニセアカシア]]([[マメ科]])、[[ヤナギラン]]([[アカバナ科]])、[[ガガイモ]]([[キョウチクトウ科]])、[[ヒメジョオン]]([[キク科]])などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013不定芽" /><ref name="原1994" /><ref name="熊沢1979" />(下図5c, d)。根上不定芽は、ふつう内生的に生じる<ref name="熊沢1979" />。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = 東方狗脊蕨20190524171020.jpg |
|||
| caption1 = '''5a'''. [[コモチシダ]]([[シシガシラ科]])の葉上不定芽 |
|||
| image2 = KIDS (7043603113).jpg |
|||
| caption2 = '''5b'''. [[セイロンベンケイ]]([[ベンケイソウ科]])の葉上不定芽 |
|||
| image3 = 20110216PatateDouceGermee.JPG |
|||
| caption3 = '''5c'''. [[サツマイモ]]([[ヒルガオ科]])の根上不定芽から伸びた[[シュート (植物)|シュート]] |
|||
| image4 = Ruhland, Grenzstr. 3, Essigbaum, Wurzelaustrieb, Frühsommer, 01.jpg |
|||
| caption4 = '''5d'''. {{Snamei||Rhus typhina}}([[ウルシ科]])の根上不定芽から伸びたシュート |
|||
}} |
|||
定芽に由来するが、見かけ上、不定芽に由来したように見える構造も存在する。[[ハナノキ]]([[ムクロジ科]])などでは[[幹]]から直接[[葉]]が生じ、[[カカオ]]([[アオイ科]])などでは幹から直接[[花]]が生じる(このような花は[[幹生花]]とよばれる)ことがある<ref name="清水2001" /><ref name="熊沢1979" />。このような構造は茎上不定芽に由来するように見えるが、長期にわたって休眠状態であった定芽が茎の二次肥大成長によって材([[二次木部]])の中に埋没してしまったもの([[潜伏芽]])に由来する<ref name="清水2001" /><ref name="熊沢1979" />(下図8d)。ただし、[[ホウガンノキ]]([[サガリバナ科]])などの茎生花は、幹の皮層から内生的に生じた茎生不定芽に由来することが報告されている<ref name="熊沢1979" />(下図6a)。また、腋芽の柄が伸びて茎と合着したものは[[タマミクリ]]([[ガマ科]])や[[ハナイバナ]]([[ムラサキ科]])、[[コムラサキ]]([[シソ科]])の[[花序]]に見られ、茎上不定芽に由来するように見える<ref name="清水2001" />(下図6b)。同様に、腋芽の柄が伸びて腋芽基部の葉(蓋葉)と合着したものは[[シナノキ]](アオイ科)や[[ハナイカダ]]([[ハナイカダ科]])に見られ、葉上不定芽に由来するように見える<ref name="清水2001" />(下図6c)。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Couroupita guianensis Aubl. (346567948).jpg |
|||
| caption1 = '''6a'''. [[ホウガンノキ]]([[サガリバナ科]])の幹から生じた花序は、茎上不定芽に由来することが報告されている。 |
|||
| image2 = Bothriospermum tenellum 2.JPG |
|||
| caption2 = '''6b'''. [[ハナイバナ]]([[ムラサキ科]])の花序(右側)は葉腋から離れており、茎上不定芽に由来するように見える。 |
|||
| image3 = Helwingia japonica m.jpg |
|||
| caption3 = '''6c'''. [[ハナイカダ]]([[ハナイカダ科]])の花は葉の上につき、葉上不定芽に由来するように見える。 |
|||
}} |
|||
===葉芽・混芽・花芽=== |
|||
芽のうち、展開した際に[[普通葉]]をつけ、[[花]]をつけないものは'''葉芽'''(ようが、はめ; leaf bud, foliar bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" /><ref name="生物学辞典2013葉芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=葉芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1420}}</ref>(下図7)。一方、展開した際に花または[[花序]]をつけ、普通葉をつけない芽は'''花芽'''(かが、はなめ; flower bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" /><ref name="生物学辞典2013花芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=花芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1207}}</ref>(下図7a, b)。一般的に、花芽は葉芽よりも太く丸いことが多い<ref name="生物学辞典2013花芽" />(下図7b)。開花間近の花芽は、'''[[蕾]]'''('''つぼみ''')とよばれる<ref name="生物学辞典2013蕾">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=蕾|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=936}}</ref>。また、展開した際に普通葉と花を両方ともつける芽は'''混芽'''(こんが; mixed bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1972" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" /><ref name="生物学辞典2013混芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=混芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=500}}</ref>(下図7c)。混芽から展開した[[シュート (植物)|シュート]]は、先端に花または花序をつける場合([[リンゴ]]、[[ナシ]]、[[ブドウ]]など)と、葉をつけてその葉腋に花または花序がつく場合([[カシ]]、[[イチジク]]、[[クワ]]など)がある<ref name="生物学辞典2013混芽" />。ただし、混芽も花芽に含め、芽を葉芽と花芽に大別することもある<ref name="原1994" />。[[裸子植物]]の生殖器官は生物学的には「花」とよばれないことが多いが<ref name="長谷部2020">{{cite book|author=長谷部光泰|year=2020|chapter=15.1.1 苞鱗種鱗複合体をもつ複合雌性胞子嚢穂の進化|editor=|title=陸上植物の形態と進化|publisher=裳華房|isbn=978-4785358716|pages=200–205}}</ref>、このような生殖器官をつける芽を花芽、混芽とよぶことがある<ref name="清水2001" />。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 600 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = And now the Magnolia is waiting for Spring (8206006562).jpg |
|||
| caption1 = '''7a'''. [[シデコブシ]]([[モクレン科]])の葉芽(小)と花芽(大) |
|||
| image2 = Camellia japonica 'Murage' L.- Sp. Pl. 2- 698 (1753). 20230115 005857.jpg |
|||
| caption2 = '''7b'''. [[ヤブツバキ]]([[ツバキ科]])の葉芽(小)と花芽(大) |
|||
| image3 = Sambucus racemosa20100403 20.jpg |
|||
| caption3 = '''7c'''. [[セイヨウアカミニワトコ]]([[ガマズミ科]])の展開した混芽と葉芽(右下) |
|||
}} |
|||
これら芽の種類やそのつく位置には多様性があり、分類形質ともされる。例えば[[モクレン属]]([[モクレン科]])、[[クロモジ属]]([[クスノキ科]])、[[ツバキ属]]([[ツバキ科]])は混芽をもたないが、[[タブノキ属]]([[クスノキ科]])、[[エノキ属]]([[アサ科]])、[[ブナ属]]([[ブナ科]])は混芽をもつ<ref name="清水2001" />。[[カエデ属]]([[ムクロジ科]])の中では、[[カジカエデ]]や[[ハナノキ]]は混芽をもたないが、[[イロハモミジ]]や[[ウリカエデ]]は混芽をもつ<ref name="清水2001" />。[[ツツジ属]]([[ツツジ科]])の中では、[[シャクナゲ]]や[[レンゲツツジ]]は混芽をもたないが、[[サツキ]]や[[モチツツジ]]は混芽をもつ<ref name="清水2001" />。 |
|||
===休眠芽=== |
|||
休眠状態にある芽は、'''休眠芽'''(きゅうみんが; 休芽、抵抗芽、dormant bud, resistant bud, resting bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="生物学辞典2013芽" /><ref name="生物学辞典2013休眠芽">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=休眠芽|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=314}}</ref>。これに対して、活発に成長している芽は、伸芽とよばれる<ref name="生物学辞典2013芽" />。上記の[[頂芽優勢]]の状態にある場合、側芽が休眠芽となっている<ref name="生物学辞典2013休眠芽" />。 |
|||
冬や乾季など定期的に生育不適期がある環境に生育する[[樹木]]や[[多年草]]は、ふつう定期的に休眠芽を形成する。低温期である冬に休眠状態にある芽は、'''冬芽'''(とうが、ふゆめ; 越冬芽、winter bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="コトバンク_冬芽" />(下図8a)。一方、夏に休眠状態にある芽は、'''夏芽'''(かが、なつめ; summer bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="コトバンク_夏芽">{{Cite Kotobank|word=夏芽|encyclopedia=|accessdate=2023-07-07}}</ref>。夏芽は、夏が乾燥期である地域の植物に見られるが、他にも[[夏緑樹林]]帯に生育する植物に見られることもある<ref name="清水2001" />。[[ヒガンバナ]]([[ヒガンバナ科]])の芽は地中の[[鱗茎]]内に形成され、夏に休眠する夏芽であり、秋になってから花、その後に葉が展開する<ref name="清水2001" />。[[カタクリ]]([[ユリ科]])や[[フクジュソウ]]([[キンポウゲ科]])などは[[地下茎]]に芽を形成し、早春から初夏にかけての短い期間だけ地上に葉や花を展開する<ref name="清水2001" />。このような植物は[[スプリングエフェメラル]](春植物<ref name="多田2002">{{cite book|author=多田多恵子|year=2002|chapter=フクジュソウの焦燥|editor=|title=したたかな植物たち ―あの手この手のマル秘大作戦|publisher=エスシーシー|isbn=978-4886479228|pages=156–161}}</ref>、早春期植物、spring ephemeral)とよばれ、その芽は冬芽であり、かつ夏芽でもある<ref name="清水2001" />。 |
|||
休眠芽は芽鱗や最外部の葉、毛、樹脂などに覆われ、寒さや乾燥に耐え、また病虫害から[[シュート (植物)|シュート]]頂を保護している<ref name="広沢2010機能">{{cite book|author=広沢毅・林将之|year=2010|chapter=|editor=|title=冬芽ハンドブック|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829911747|page=8}}</ref><ref name="コトバンク_冬芽">{{Cite Kotobank|word=冬芽|encyclopedia=|accessdate=2023-07-07}}</ref><ref name="植物QA冬芽">{{Cite web|author=庄野邦彦|date=2020-12-31|url=https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=4949|title=冬芽について|website=植物Q&A|publisher=日本植物生理学会|accessdate=2023-07-07}}</ref>。また、[[アジサイ]]([[アジサイ科]])のように、冬芽が不凍活性をもつ物質を含んでいる例もある<ref name="広沢2010機能" /><ref name="植物QA冬芽" />。 |
|||
休眠芽は、他の組織に覆われて外観では見えないことがある。[[茎]]の組織に覆われて隠された芽は、'''隠芽'''(いんが; concealed bud)とよばれ、[[ニセアカシア]]([[マメ科]])や[[サルナシ]](マタタビ科)に見られる<ref name="清水2001" />(下図8b)。茎の組織に完全に覆われるのではなく、先端部のみが露出している芽は'''半隠芽'''(はんいんが; semiconcealed bud)とよばれ、[[マタタビ]](マタタビ科)などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" />。また、茎ではなく[[葉柄]]の鞘部に包まれて隠された芽は、'''葉柄内芽'''(ようへいないが; intrapetiola bud)とよばれ、[[ユリノキ]]([[モクレン科]])、[[キンポウゲ属]]([[キンポウゲ科]])、[[ヌルデ]]([[ウルシ科]])、[[キハダ (植物)|キハダ]]([[ミカン科]])、[[シシウド属]]([[セリ科]])、[[タラノキ]]([[ウコギ科]])などに見られる<ref name="清水2001" /><ref name="馬場1988" /><ref name="日本大学">{{Cite web|author=|date=|url=https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~uf/minakami_diary_32.html|title=水上演習林観察日誌32|website=|publisher=日本大学 演習林|accessdate=2023-07-01}}</ref>(下図8c)。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Buk edit2.jpg |
|||
| caption1 = '''8a'''. [[ヨーロッパブナ]]([[ブナ科]])の休眠芽(冬芽) |
|||
| image2 = Robinia pseudoacacia spines bud MüBe.jpg |
|||
| caption2 = '''8b'''. [[ニセアカシア]]([[マメ科]])の隠芽(葉痕下に埋没) |
|||
| image3 = Phellodendron amurense 1-02.19.jpg |
|||
| caption3 = '''8c'''. [[キハダ (植物)|キハダ]]([[ミカン科]])の葉柄内芽(葉柄を除去したもの) |
|||
| image4 = Theobroma cacao - Denver Botanic Gardens - DSC00898.JPG |
|||
| caption4 = '''8d'''. [[カカオ]]([[アオイ科]])の花([[幹生花]])は、茎上不定芽に由来するように見えるが、幹に埋もれrた潜伏芽に由来する。 |
|||
}} |
|||
休眠芽は、ふつう1年の中で不適期を過ごした後には展開して新しい[[シュート (植物)|シュート]]を伸ばすが、2シーズン以上にわたって休眠状態が続いて痕跡的になることがあり、このような休眠芽は'''潜伏芽'''(せんぷくが; latent bud)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="原1994" /><ref name="原1972" /><ref name="生物学辞典2013芽" /><ref name="生物学辞典2013休眠芽" />。樹木では、[[茎]]の二次[[肥大成長]]によって潜伏芽は[[材]]の中に埋没してしまう。このような潜伏芽は、多くの場合そのまま消失するが、[[イチョウ]]([[イチョウ科]])や[[ハンノキ]]([[カバノキ科]])、[[カカオ]]([[アオイ科]])のように数年後に活動を再開して葉や花をつけることがあり、上記のように茎上不定芽に由来したように見える<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013休眠芽" />(上図8d)。 |
|||
===鱗芽と裸芽=== |
|||
休眠芽は、特殊な[[鱗片葉]]で覆われていることがあり、このような鱗片葉は'''芽麟'''(がりん; bud scale)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="馬場1988" />。芽鱗をもつ休眠芽は'''鱗芽'''(りんが; '''有鱗芽'''、scaled bud; 下図9a, b)、芽麟を欠く休眠芽は'''裸芽'''(らが; 裸出芽、無鱗芽、naked bud; 下図9c, d)とよばれる<ref name="清水2001" /><ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" />。[[むかご]]の一型である鱗芽([[#むかご|下記参照]])と区別するため、芽麟で包まれた休眠芽は有鱗芽とよばれることもある<ref name="清水2001" />。[[サワグルミ]]([[クルミ科]])のように最初は芽鱗で覆われているが、芽鱗がすぐに脱落するものも裸芽として扱われることが多い<ref name="広沢2010サワグルミ">{{cite book|author=広沢毅・林将之|year=2010|chapter=サワグルミ|editor=|title=冬芽ハンドブック|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829911747|page=10}}</ref>。 |
|||
鱗芽における芽鱗の数や形、配列様式は多様であり、有用な分類形質となる。例えば[[ヤナギ属]]([[ヤナギ科]])では1枚、[[カツラ (植物)|カツラ]]([[カツラ科]])、[[シナノキ]]([[アオイ科]])、[[キハダ (植物)|キハダ]]([[ミカン科]])では2枚、[[ハンノキ]]([[カバノキ科]])では3枚、[[ヤマグワ]]([[クワ科]])や[[ガマズミ]]([[ガマズミ科]])では4枚、[[ミズナラ]]([[ブナ科]])や[[サワシバ]](カバノキ科)では20枚以上の芽鱗をもつ<ref name="清水2001" />。[[モクレン科]]の植物は、2枚の[[托葉]]が[[葉柄]]に合着した特殊な芽鱗をもつ<ref name="広沢2010モクレン">{{cite book|author=広沢毅・林将之|year=2010|chapter=ホオノキ|editor=|title=冬芽ハンドブック|publisher=文一総合出版|isbn=978-4829911747|page=24}}</ref>。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Sticky bud (25150251621).jpg |
|||
| caption1 = '''9a'''. [[トチノキ]]([[ムクロジ科]])の鱗芽 |
|||
| image2 = Tilia platyphallos bud.jpg |
|||
| caption2 = '''9b'''. [[ナツボダイジュ]]([[アオイ科]])の鱗芽 |
|||
| image3 = Pterocarya_stenoptera_kz2.JPG |
|||
| caption3 = '''9c'''. [[シナサワグルミ]]([[クルミ科]])の裸芽(葉芽と雄花序の芽) |
|||
| image4 = Viburnum furcatum (bud).jpg |
|||
| caption4 = '''9d'''. [[オオカメノキ]]([[ガマズミ科]])の裸芽 |
|||
| image5 = Scale_scars_of_Fagus_sylvatica_on_old_stem_junction_growth,_Chapeltoun,_North_Ayrshire.jpg |
|||
| caption5 = '''9e'''. [[ヨーロッパブナ]]([[ブナ科]])の芽鱗痕 |
|||
}} |
|||
鱗芽が展開すると芽鱗は脱落し、伸長した茎(枝)にその痕が輪状に残されることがあるが、このような芽鱗がついていた痕は'''芽鱗痕'''(がりんこん; bud scale scar)とよばれる<ref name="広沢2010" /><ref name="馬場1988" />(上図9e)。最も先端側の芽鱗痕から枝の先端までが、その年に伸びた茎(今年枝)である。 |
|||
裸芽では、最も外側の葉が芽鱗と同様に内部を保護していたり、蓋葉の葉柄に芽が保護されていたりする<ref name="清水2001" />。裸芽は[[クルミ属]]([[クルミ科]])、[[ツタウルシ]]([[ウルシ科]])、[[クサギ属]]([[シソ科]])、[[オオカメノキ]]([[ガマズミ科]])などにみられ、また[[ロゼット]]を形成する[[草本]]にも見られる<ref name="清水2001" />。 |
|||
==むかご== |
|||
{{main|むかご}} |
|||
地上部の腋芽が肥大化したものであり、分離して新たな植物体となる機能([[栄養繁殖]])をもつものは、'''[[むかご]]'''(珠芽、propagule)とよばれる<ref name="清水2001" />。むかごのうち、葉原基が肉質化して幼茎を包んでいるものは'''鱗芽'''(りんが; bulbil; 下図10a)、幼茎が肥大化して球形になったものは'''肉芽'''(にくが; brood, brood bud; 下図10b)とよばれる(後者のみを狭義の「むかご」とすることもある)<ref name="清水2001" />。鱗芽は[[オニユリ]]([[ユリ科]])や[[コモチマンネングサ]]([[ベンケイソウ科]])などに、肉芽は[[ヤマノイモ]]([[ヤマノイモ科]])や[[ムカゴイラクサ]]([[イラクサ科]])などに見られる<ref name="清水2001" />。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 400 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Bulbils in Lilium.jpg |
|||
| caption1 = '''10a'''. [[ユリ属]]([[ユリ科]])の鱗芽 |
|||
| image2 = Dioscorea bulbifera at Kadavoor.jpg |
|||
| caption2 = '''10b'''. [[ヤマノイモ属]]([[ヤマノイモ科]])の肉芽 |
|||
}} |
|||
==芽内形態== |
|||
芽の中における[[葉]]の畳まれ方や相互の配置関係のことを、'''芽内形態'''(vernation, praefoliation)という<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020">{{cite book|author=藤重宣昭|year=2020|chapter=芽内形態(芽型)|title=農業用語の基礎知識|publisher=誠文堂新光社|isbn=978-4416520796|pages=106–107}}</ref><ref name="生物学辞典2013芽内形態">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=芽内形態|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|pages=232–233}}</ref>。また、花葉(特に[[花被片]])の畳まれ方や相互の配置関係は、特に'''花芽内形態'''(aestivation{{efn2|name="aestivation"}}, estivation, praefloration)というこちが多い<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013芽内形態" />。 |
|||
芽内形態において、個々の[[葉]]の形・畳まれ方を、'''芽中姿勢'''(芽型、折り畳み、葉畳み、芽襞、ptyxis)という<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型">{{cite book|author=熊沢正夫|year=1979|chapter=23 芽型|editor=|title=植物器官学|publisher=裳華房|isbn=978-4785358068|pages=299−303}}</ref>。主な芽中姿勢には、以下のものがある。 |
|||
;単純型<span style="font-weight:400;">(扁平状、planate, plane)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" />(下図11a)</span> |
|||
::折り畳まれることなく、多少湾曲する程度である状態のこと。普遍的であり、[[ヤナギ属]]([[ヤナギ科]])、[[コナラ属]]([[ブナ科]])、[[ツバキ属]]([[ツバキ科]])などの葉に見られる。 |
|||
;二つ折り型<span style="font-weight:400;">(二折型、摺合状、conduplicate)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=芽中形態|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|pages=232–233}}</ref>(下図11b)</span> |
|||
::中軸に沿って内側([[向軸側]])に二つ折りになっている状態。[[モクレン属]]([[モクレン科]])、[[サクラ属]]([[バラ科]])などの葉に見られる。[[チドリソウ]]([[キンポウゲ科]])や[[ヒイラギナンテン]]([[メギ科]])などの[[複葉]]も全体として二つ折りになる。 |
|||
;<span style="font-weight:400;">reduplicate<ref name="PlantSystematics">{{cite book|author=Simpson, M. G.|year=2006|chapter=Glossary of terms|editor=|title=Plant Systematics|publisher=Academic Press|isbn=9780126444605|pages=547–578}}</ref>(下図11c)</span> |
|||
::中軸に沿って外側([[背軸側]])に二つ折りになっている状態。[[ショウガ科]]の葉などに見られる。 |
|||
;扇型<span style="font-weight:400;">(扇だたみ、摺襞状、plicate, plaited)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" />(下図11d, 12a)</span> |
|||
::いくつかの縦軸に沿って扇のように畳まれている状態。[[シュロ]]([[ヤシ科]])、[[スグリ属]]([[スグリ科]])、[[ヤマブキ]]、[[イチゴ]]([[バラ科]])、[[ブナ]]([[ブナ科]])、[[カエデ属]]([[ムクロジ科]])などの葉に見られる。 |
|||
;しわ寄り<span style="font-weight:400;">(corrugate)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" /></span> |
|||
::明瞭な規則性がなく、しわくちゃに畳まれている状態。[[ケシ属]]([[ケシ科]])の[[花弁]]などに見られる。 |
|||
;片巻き型<span style="font-weight:400;">(渦巻型{{efn2|name="渦巻型"|下記の渦巻き型 (circinate, circinal) は全く異なる。}}、supervolute, convolute)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" /><ref name="PlantSystematics" />(下図11e, 12b)</span> |
|||
::一方の側縁から反対側へ巻き込んでいる状態。[[サトイモ科]]、[[イネ科]]、[[オダマキ属]]([[キンポウゲ科]])などの葉に見られる。 |
|||
;内巻き型<span style="font-weight:400;">(内旋状、involute)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" />(下図11f, 12c)</span> |
|||
::両縁が内側(向軸側)に巻き込んでいる状態。[[イチョウ]]([[イチョウ科]])、[[スイレン属]]([[スイレン科]])、[[ハコヤナギ属]]([[ヤナギ科]])、[[スミレ属]]([[スミレ科]])、[[ナシ]]([[バラ科]])などの葉に見られる。 |
|||
;外巻き型<span style="font-weight:400;">(外旋状、revolute)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="熊沢1979芽型" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" />(下図11g)</span> |
|||
::両縁が外側(背軸側)に巻き込んでいる状態。[[スズカケノキ]]([[スズカケノキ科]])、[[イタドリ]]([[タデ科]])、[[ツツジ属]]([[ツツジ科]])、[[サクラソウ]]([[サクラソウ科]])、[[ローズマリー]]([[シソ科]])などの葉に見られる。 |
|||
;渦巻き型<span style="font-weight:400;">(磐旋状、circinate, circinal)<ref name="清水2001" /><ref name="藤重2020" /><ref name="生物学辞典2013芽中形態" />(下図11h, 12d)</span> |
|||
::先端側から基部側に向かって巻き込んでいる状態。[[ワラビ巻き]](蕨巻き、[[フィドルヘッド]])ともよばれる<ref name="長谷部2020ワラビ">{{cite book|author=長谷部光泰|year=2020|chapter=|editor=|title=陸上植物の形態と進化|publisher=裳華房|isbn=978-4785358716|page=172}}</ref>。[[シダ類]]([[薄嚢シダ類]]と[[リュウビンタイ類]])の葉に一般的であるが、[[モウセンゴケ属]]の葉にも見られる。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Leaf morphology vernation cup-shaped.png |
|||
| caption1 = '''11a'''. 単純型 |
|||
| image2 = Leaf morphology vernation conduplicada.png |
|||
| caption2 = '''11b'''. 二つ折り型 |
|||
| image3 = Leaf morphology vernation reduplicada.png |
|||
| caption3 = '''11c'''. reduplicate |
|||
| image4 = Leaf morphology vernation replegada.png |
|||
| caption4 = '''11d'''. 扇型 |
|||
| image5 = Leaf morphology vernation convoluta.png |
|||
| caption5 = '''11e'''. 片巻き型 |
|||
| image6 = Leaf morphology vernation involuta.png |
|||
| caption6 = '''11f'''. 内巻き型 |
|||
| image7 = Leaf morphology vernation revoluta.png |
|||
| caption7 = '''11g'''. 外巻き型 |
|||
| image8 = Leaf morphology vernation circinada.png |
|||
| caption8 = '''11h'''. 渦巻き型 |
|||
}} |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 600 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = AlchemillaVulgaris(Blatt).jpg |
|||
| caption1 = '''12a'''. 扇型の幼葉([[ハゴロモグサ属]]) |
|||
| image2 = Convolute vernation.jpg |
|||
| caption2 = '''12b'''. 片巻き型の幼葉([[ギボウシ]]) |
|||
| image3 = Involute vernation.jpg |
|||
| caption3 = '''12c'''. 内巻き型の幼葉([[ソテツ類]]) |
|||
| image4 = Circinate vernation.jpg |
|||
| caption4 = '''12d'''. 渦巻き型(わらび巻き)の幼葉 |
|||
}} |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 300 |
|||
| align = right |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Prefloration.svg |
|||
| caption1 = '''13'''. 芽中包覆: A–D. 瓦重ね状 (A: decussate-trimerous, B: quincuncial, C: cochleate, D: decussate-dimerous)、E. 片巻状、F. 敷石状、G. apert. |
|||
}} |
|||
<span id="芽中包覆"></span>芽内形態において、[[葉]]([[花葉]]や[[芽鱗]]を含む)の相互の位置関係を、'''芽中包覆'''('''芽層'''、aestivation{{efn2|name="aestivation"|aestivation は、広義には花芽内形態を意味するが、狭義にはそのうち芽中包覆を意味する<ref name="清水2001" />。}})という<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013芽内形態" />。芽中包覆は、以下のものに類別される。 |
|||
;瓦重ね状<span style="font-weight:400;">(かわらがさねじょう; 覆瓦状、瓦状、imbricate, imbricative)<ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013芽内形態" /><ref name="生物学辞典2013覆瓦状">{{cite book|author=巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編)|year=2013|chapter=覆瓦状|editor=|title=岩波 生物学辞典 第5版|publisher=岩波書店|isbn=978-4000803144|page=1193}}</ref>(図13A–D)</span> |
|||
::互いに重なりあい、かつ互いに上下 (内外) 関係がある配置様式。[[バラ属]]([[バラ科]])や[[フウロソウ属]]([[フウロソウ科]])の[[花弁]]、[[アザミ属]]や[[キク属]]([[キク科]])の[[総苞片]]、[[コナラ属]]([[ブナ科]])、[[トチノキ属]]([[ムクロジ科]])の[[芽麟]]などに見られる。 |
|||
;片巻き状<span style="font-weight:400;">(かたまきじょう; 回旋状、包旋状、convolute, obvolute, contorted, twisted)<ref name="清水2001" />(図13E)</span> |
|||
::互いに回旋状に重なりあい、互いに上下 (内外) が同等である配置様式。互いに重なっているという意味で瓦重ね状に含めることもある<ref name="生物学辞典2013芽内形態" /><ref name="生物学辞典2013覆瓦状" />。[[スモモ]]([[バラ科]])の[[葉]]、[[ナデシコ属]]([[ナデシコ科]])や[[アカバナ属]]([[アカバナ科]])、[[ヒルガオ科]]の[[花弁]]などに見られる。 |
|||
;敷石状<span style="font-weight:400;"> (しきいしじょう; 扉状、valvate) <ref name="清水2001" /><ref name="生物学辞典2013芽内形態" />(図13F)</span> |
|||
::互いに縁で接して重ならない配置様式。[[フタバアオイ]]([[ウマノスズクサ科]])、[[アブラナ科]]、[[キキョウ]]([[キキョウ科]])の[[花被片]]、[[ニガナ属]]や[[キオン属]]([[キク科]])の[[総苞片]]、[[イロハモミジ]]([[ムクロジ科]])の[[芽鱗]]などに見られる。 |
|||
{{-}} |
|||
== 人間との関わり == |
|||
芽を構成する[[細胞]]は若いため、[[細胞壁]]が硬化しておらず、食用とされることがある<ref name="植物QA新芽">{{Cite web|author=佐藤公行|date=2021-09-18|url=https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5214|title=若芽・新芽が美味しいわけ|website=植物Q&A|publisher=日本植物生理学会|accessdate=2023-07-07}}</ref>。[[ミョウガ]]([[ショウガ科]])や[[ブロッコリー]]、[[カリフラワー]]([[アブラナ科]])は花芽を食用とする[[野菜]]である<ref name="野菜のひみつ">{{Cite web|author=|date=|url=https://vegetable.alic.go.jp/yasainohimitu/bubun/bubun.htm|title=食べているのはどの部分?|website=[https://vegetable.alic.go.jp/yasainohimitu/index.htm 野菜のひみつ]|publisher=農畜産業振興機構|accessdate=2023-07-07}}</ref>(下図14a, b)。また、食用とする[[タケノコ]]は、[[タケ|タケ類]]や[[ササ|ササ類]]([[イネ科]])の[[地下茎]]から生じた芽であり、これが伸長して地上茎となる<ref name="JA">{{Cite web|author=|date=|url=https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=43|title=タケノコ(筍)|website=とれたて大百科|publisher=JAグループ|accessdate=2023-07-07}}</ref>(下図14c)。[[山菜]]とよばれるものの中には芽を利用するものが多く、[[ゼンマイ]]([[ゼンマイ科]])、[[ワラビ]]([[イノモトソウ科]])、[[クサソテツ]]([[コウヤワラビ科]])、[[カタクリ]]、[[ウバユリ]]([[ユリ科]])、[[ミツバアケビ]]([[アケビ科]])、[[イタドリ]]([[タデ科]])、[[タラノキ]]、[[ウド]]、[[コシアブラ]]([[ウコギ科]])、[[フキ]]([[キク科]])などの芽や幼葉が食用とされる<ref name="あきた">{{Cite web|author=|date=|url=http://www.forest-akita.jp/data/sansai/sansai.html|title=森と水の恵み・山菜図鑑|website=|publisher=あきた森づくり活動サポートセンター|accessdate=2023-07-07}}</ref>(下図14d, e)。 |
|||
{{multiple image |
|||
| total_width = 800 |
|||
| align = center |
|||
| caption_align = left |
|||
| image1 = Mioga.jpg |
|||
| caption1 = '''14a'''. [[ミョウガ]]([[ショウガ科]])の花芽 |
|||
| image2 = Brassica oleracea var. italica 15-p.bot-brassi.oler-06.jpg |
|||
| caption2 = '''14b'''. [[ブロッコリー]]([[アブラナ科]])の花芽の集まり |
|||
| image3 = Big Bamboo Shoot (Joi Ito).jpg |
|||
| caption3 = '''14c'''. [[タケノコ]]([[イネ科]]) |
|||
| image4 = Osmunda japonica 002.jpg |
|||
| caption4 = '''14d'''. [[ゼンマイ]]([[ゼンマイ科]])の幼葉 |
|||
| image5 = タラの芽(食べ頃).JPG |
|||
| caption5 = '''14e'''. [[タラノキ]]([[ウコギ科]])の芽 |
|||
}} |
|||
芽はときに動物が忌避する物質を含んでおり、[[ジャガイモ]]([[ナス科]])の[[塊茎]]から生じた芽に含まれる[[ソラニン]]は人間にとって極めて有毒である<ref name="植物QA新芽" />。 |
|||
==ギャラリー== |
|||
<gallery style="font-size:80%;"> |
|||
File:20140227Euonymus europaeus6.jpg|[[セイヨウマユミ]]([[ニシキギ科]])の芽 |
|||
File:Quercus robur kz03.jpg|[[ヨーロッパナラ]]([[ブナ科]])の芽 |
|||
File:Cornus mas Blattknospen.jpg|[[セイヨウサンシュユ]]([[ミズキ科]])の芽 |
|||
File:Box Elder (Acer negundo) Buds - Guelph, Ontario 01.jpg|[[トネリコバノカエデ]]([[ムクロジ科]])のシュート: 頂芽と、対生した側芽(腋芽)がある。 |
|||
File:Sambucus racemosa20100329 27.jpg|[[セイヨウアカミニワトコ]]([[ガマズミ科]])の芽 |
|||
File:Carpinus betulus bud.jpg|[[セイヨウシデ]]([[ブナ科]])の芽 |
|||
File:Salix sp. 15-p.bot-salix.sp-04.jpg|[[ヤナギ属]]([[ヤナギ科]])の芽 |
|||
File:2021-03-23 13 08 26 Star Magnolia bud starting to expand in early spring along Tranquility Court in the Franklin Farm section of Oak Hill, Fairfax County, Virginia.jpg|[[シデコブシ]]([[モクレン科]])の花芽(托葉由来の鱗芽が割れている) |
|||
File:Prunus domestica s. lat. sl6.jpg|[[セイヨウスモモ]]([[バラ科]])の芽鱗痕 |
|||
File:'Boom-Fagus sylvatica-Beuk-01.jpg|[[ヨーロッパブナ]]([[ブナ科]])の葉芽の展開 |
|||
</gallery> |
|||
==脚注== |
|||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
=== 注釈 === |
|||
{{Notelist2}} |
|||
=== 出典 === |
|||
{{Reflist}} |
|||
==関連項目== |
==関連項目== |
||
*[[分裂組織]]、[[茎]]、[[葉]]、[[花]] |
|||
{{wiktionary}} |
|||
{{commonscat|Buds|植物の芽}} |
|||
*[[発芽]] |
*[[発芽]] |
||
==外部リンク== |
|||
{{commonscat|Buds}} |
|||
{{wiktionary}} |
|||
* {{Cite web|author=|date=|url=http://midori.eco.coocan.jp/index.html|title=冬芽と葉痕|website=気ままに自然観察|publisher=|accessdate=2023-07-01}} |
|||
* {{Cite web|author=|date=|url=https://matsue-hana.com/jumoku/huyume-ka-a.html|title=樹木の冬芽と葉痕 科別 ア|website=[https://matsue-hana.com/ 松江の花図鑑]|publisher=|accessdate=2023-07-07}} |
|||
* {{Cite web|author=|date=|url=https://after-green.com/huyumezukan.html|title=冬芽・葉痕図鑑|website=公園の雑学植物図鑑|publisher=|accessdate=2023-07-07}} |
|||
* {{Cite web|author=|date=|url=https://www.jugemusha.com/jumoku-n-MEindx.htm|title=冬芽の分類一覧|website=木のぬくもり・森のぬくもり|publisher=|accessdate=2023-07-01}} |
|||
* {{Cite web|author=山中史江|date=2009-01|url=https://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp/column/200901column.html|title=冬こそ落葉樹の観察に出かけよう!|website=|publisher=筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所|accessdate=2023-07-07}} |
|||
* {{Cite web|author=永井昭三|date=|url=http://www2.jsf.or.jp/mailmaga/photo/sss4/|title=冬に見られる木の芽のいろいろ|website=自然と友だち|publisher=科学技術館|accessdate=2023-07-07}} |
|||
{{Normdaten}} |
{{Normdaten}} |
||
{{DEFAULTSORT:め}} |
{{DEFAULTSORT:め}} |
||
[[Category:植物学]] |
|||
[[Category:植物形態学]] |
[[Category:植物形態学]] |
2023年7月16日 (日) 23:00時点における版
芽(め、英: bud)とは、維管束植物において、茎の頂端分裂組織とそれに由来する未熟な茎と葉からなる構造である(図1)。芽は、伸長して新たなシュート(葉や花をつけた茎)となる。芽のうち、茎の先端にあるものを頂芽、茎の側方につくものを側芽といい、種子植物ではふつう側芽は葉の腋につくため腋芽ともよばれる(図1)。ふつうの芽は頂芽や腋芽であるため、これらの芽は定芽、葉や根などそれ以外につく芽は不定芽とよばれる。また、芽のうち、成長して葉のみをつけるものは葉芽、花のみをつけるものは花芽、葉と花をつけるものは混芽とよばれる。低温や乾燥など生育不適期に休眠状態にある芽は休眠芽とよばれ、特に冬季にある休眠芽は冬芽とよばれる。休眠芽はしばしば特殊化した葉である芽鱗に覆われており、このような芽は鱗芽(有鱗芽)とよばれ(図1)、一方で芽鱗をもたない休眠芽は裸芽とよばれる。切り離されて新たな個体となる芽は、むかご(珠芽)とよばれる。専門用語ではないが、新たに生じて間もない芽は、新芽(しんめ)、若芽(わかめ)、嫩芽(どんが)とよばれる[1][2]。
植物以外の生物においても「芽」という用語を用いることがある。ヒドラや酵母は、体の一部が突出して新個体を形成することがあり、このような無性生殖は出芽、新たに形成される個体は芽体とよばれる[3]。動物において、体の一部が再生される際に生じる未分化な細胞塊は、再生芽とよばれる[4]。また、卵の黄身の上面にある胚盤のことを「芽」とよぶことがある[5]。
一般用語としては、「成長の芽」、「悪の芽」など、新たに生じ、これから成長しようとするものを「芽」にたとえていうことがある[5]。
以下では、植物の芽について解説する。
構造
植物において芽とは、未展開の若いシュート(茎と葉)のことであり、シュート頂分裂組織と未熟な茎や葉からなる[6][7][8][9](下図2)。先端には茎の先端成長を司るシュート頂分裂組織が存在し、その下に続く茎を形成し、また表層から、つまり外生的(exogenous)に新たな葉を形成していく[7](下図2b)。このような新たに形成され葉へと成長する構造は、葉原基(ようげんき; leaf primodium[注 1])とよばれる[7][8]。シュート頂分裂組織は、このような若い葉で包まれて保護されている。新たな葉の葉腋(基部の向軸側)には、腋芽となる新たな頂端分裂組織が外生的に形成される[7](下図2b)。このようなシュートの成長は、基部側から先端側へ向かって進む求頂的発生(acropetal development)である[7]。
また、芽は保護用の特殊化した葉(芽鱗)で覆われていることがある(下記参照)。芽が柄をもつ場合、この柄は芽柄(がへい)とよばれる[10]。
芽の分類
芽は、つく位置や構成器官、活動状況などによって以下のように類別される。
頂芽と側芽
茎の頂端に存在し、この茎を伸長させる芽は、頂芽(ちょうが; terminal bud, apical bud)とよばれる[7][9][8][11][12][10](下図3a, b, d)。それに対して、側方に新たなシュートを伸長させる芽は、側芽(そくが; lateral bud)とよばれる[7][9][8][12][10][13](下図3a–e)。種子植物においては、側芽はふつう葉腋(葉の付け根の向軸側)に形成され、腋芽(えきが; axillary bud)とよばれる[7][9][8]。腋芽を抱いている葉は、蓋葉(がいよう; 母葉、subtending leaf)とよばれる[7](下図3c)。
種子植物において、最初につくられた芽、すなわち種子内で子葉直上にできた芽は、幼芽(ようが; plumule)とよばれる[9][14][15][16]。基本的には、幼芽が伸長して主軸(main axis)となり、その先端の幼芽は頂芽へと移行する[9]。
盛んに伸長している茎では、頂芽が活発に活動しているが、周辺の側芽はふつう活動が抑えられて休眠状態にある。このような現象は、頂芽優勢(apical dominance; 側芽抑制 lateral bud inhibition)とよばれる[17]。頂芽では植物ホルモンであるオーキシンが合成され、これが茎を下降する際に腋芽でのサイトカイニン合成を抑制し、腋芽の成長が抑制される[17]。頂芽が損傷したり除去されると、オーキシン供給が止まり、腋芽でのサイトカイニン濃度が上昇するため、頂芽優勢が解けて側芽が伸長しはじめる[17]。また、根からの距離によって抑制度合いが変化することが知られており、シロイヌナズナでは根で合成されるストリゴラクトンが頂芽優勢に関わることが知られている[17]。
側芽のうち、頂芽の周囲に集まって形成された側芽は、頂生側芽(ちょうせいそくが; terminal lateral bud)とよばれ、トドマツ(マツ科)、カツラ(カツラ科)、コナラ(ブナ科)などに見られる[7][12][10](上図3d)。
生育不適期に頂芽を含めて枝先が枯死し(その痕は枝痕 twig scar とよばれる)、最上位の側芽が頂芽のようにはたらくことがあるが、このような側芽は仮頂芽(かちょうが; pseudoterminal bud)とよばれ、コブシ(モクレン科)、カツラ(カツラ科)、クリ(ブナ科)、ハンノキ(カバノキ科)、ハルニレ(ニレ科)、ヤマグワ(クワ科)、サクラ(バラ科)、シナノキ(アオイ科)などに見られる[7][12][10](上図3e)。
主芽と副芽
1つの葉腋に複数の芽ができることがあり、この場合、最初にできた大きな芽は主芽(しゅが; main bud)、それ以外の芽は副芽(ふくが; accessory bud)とよばれる[7][8][18][19][20](区別が判然としないこともある[19])。副芽のうち、主芽の上下にあるものは縦生副芽(じゅうせいふくが; 直立副芽、重生芽、serial accessory bud; 下図4a)、主芽の左右にあるものは並生副芽(へいせいふくが; 平行芽、collateral accessory bud; 下図4c)とよばれる[7][18][10][21]。一般的に、裸子植物や双子葉植物では縦生副芽を、単子葉植物では並生副芽をもつものが多い[7][18][19][20]。縦生副芽はアブラチャン(クスノキ科)、オニグルミ(クルミ科)、ジャケツイバラ(マメ科)、ハクウンボク(エゴノキ科)などに、並生副芽はヒヤシンス(キジカクシ科)、ラッキョウ(ヒガンバナ科)、メダケ(イネ科)、バナナ(バショウ科)、クマイチゴ(バラ科)、ヤマハギ(マメ科)などに見られる[7][19][21]。副芽の有無や数は分類形質として重要視されることもある。
上記のように葉腋に複数の芽がある場合、その間で機能分化が見られることもある(上図4b)。ムラサキシキブ(シソ科)では、主芽が花序(花をつけた茎)となり、副芽は栄養枝(葉をつけた茎)になる[18][19]。一方、ツルウメモドキ(ニシキギ科)では、主芽が栄養枝となり、副芽は花序となる[19]。また、このような分化が見られないものでは、主芽が損傷した場合に副芽が代替することで役立つと考えられており、このような副芽は予備芽ともよばれる[12][18]。
定芽と不定芽
種子植物では、芽はふつう茎頂と葉腋に形成されるため、頂芽や腋芽はあわせて定芽(ていが; definite bud)とよばれる[7][8][9]。一方、それ以外の場所にできる芽は、不定芽(ふていが; adventitious bud, adventive bud, indefinite bud)とよばれる[7][8][9][22][23]。
茎ではあるが頂端や葉腋ではない場所から生じる不定芽は、茎上不定芽(けいじょうふていが; cauline bud)とよばれる[7]。シダ植物では、側芽が腋芽ではないのが普通である[7][23]。被子植物ではまれであるが[7]、胚軸に不定芽(胚軸不定芽)を生じる例は少なくなく、アマ(アマ科)、チャボタイゲキ(トウダイグサ科)、ムラサキウンラン(オオバコ科)などに見られる[23]。胚軸不定芽は、ふつう外生的に生じる[23]。
葉から生じる不定芽は、葉上不定芽(ようじょうふていが; 葉上芽、epiphyllous bud)とよばれ、コモチシダ(シシガシラ科)、クモノスシダ(チャセンシダ科)、カラスビシャク(サトイモ科)、ショウジョウバカマ(シュロソウ科)、タネツケバナ(アブラナ科)、セイロンベンケイ(ベンケイソウ科)などに見られる[7][22][23](下図5a, b)。ユリ(ユリ科)の鱗茎では、肉質の葉(鱗茎葉)が瓦状に重なっているが、この鱗茎葉から不定芽が生じて栄養繁殖を行う[23]。葉上不定芽は、ふつう外生的に生じる[23]。
根から生じる不定芽は、根上不定芽(こんじょうふていが; 根出芽、根生不定芽、根生芽、radical bud)とよばれ、身近な例としてサツマイモ(ヒルガオ科)があり、その他にもコウヨウザン(ヒノキ科)、ヒメスイバ(タデ科)、ヤナギ(ヤナギ科)、ハシバミ(カバノキ科)、キイチゴ(バラ科)、ニセアカシア(マメ科)、ヤナギラン(アカバナ科)、ガガイモ(キョウチクトウ科)、ヒメジョオン(キク科)などに見られる[7][22][9][23](下図5c, d)。根上不定芽は、ふつう内生的に生じる[23]。
定芽に由来するが、見かけ上、不定芽に由来したように見える構造も存在する。ハナノキ(ムクロジ科)などでは幹から直接葉が生じ、カカオ(アオイ科)などでは幹から直接花が生じる(このような花は幹生花とよばれる)ことがある[7][23]。このような構造は茎上不定芽に由来するように見えるが、長期にわたって休眠状態であった定芽が茎の二次肥大成長によって材(二次木部)の中に埋没してしまったもの(潜伏芽)に由来する[7][23](下図8d)。ただし、ホウガンノキ(サガリバナ科)などの茎生花は、幹の皮層から内生的に生じた茎生不定芽に由来することが報告されている[23](下図6a)。また、腋芽の柄が伸びて茎と合着したものはタマミクリ(ガマ科)やハナイバナ(ムラサキ科)、コムラサキ(シソ科)の花序に見られ、茎上不定芽に由来するように見える[7](下図6b)。同様に、腋芽の柄が伸びて腋芽基部の葉(蓋葉)と合着したものはシナノキ(アオイ科)やハナイカダ(ハナイカダ科)に見られ、葉上不定芽に由来するように見える[7](下図6c)。
葉芽・混芽・花芽
芽のうち、展開した際に普通葉をつけ、花をつけないものは葉芽(ようが、はめ; leaf bud, foliar bud)とよばれる[7][8][12][10][24](下図7)。一方、展開した際に花または花序をつけ、普通葉をつけない芽は花芽(かが、はなめ; flower bud)とよばれる[7][8][12][10][25](下図7a, b)。一般的に、花芽は葉芽よりも太く丸いことが多い[25](下図7b)。開花間近の花芽は、蕾(つぼみ)とよばれる[26]。また、展開した際に普通葉と花を両方ともつける芽は混芽(こんが; mixed bud)とよばれる[7][8][12][10][27](下図7c)。混芽から展開したシュートは、先端に花または花序をつける場合(リンゴ、ナシ、ブドウなど)と、葉をつけてその葉腋に花または花序がつく場合(カシ、イチジク、クワなど)がある[27]。ただし、混芽も花芽に含め、芽を葉芽と花芽に大別することもある[9]。裸子植物の生殖器官は生物学的には「花」とよばれないことが多いが[28]、このような生殖器官をつける芽を花芽、混芽とよぶことがある[7]。
これら芽の種類やそのつく位置には多様性があり、分類形質ともされる。例えばモクレン属(モクレン科)、クロモジ属(クスノキ科)、ツバキ属(ツバキ科)は混芽をもたないが、タブノキ属(クスノキ科)、エノキ属(アサ科)、ブナ属(ブナ科)は混芽をもつ[7]。カエデ属(ムクロジ科)の中では、カジカエデやハナノキは混芽をもたないが、イロハモミジやウリカエデは混芽をもつ[7]。ツツジ属(ツツジ科)の中では、シャクナゲやレンゲツツジは混芽をもたないが、サツキやモチツツジは混芽をもつ[7]。
休眠芽
休眠状態にある芽は、休眠芽(きゅうみんが; 休芽、抵抗芽、dormant bud, resistant bud, resting bud)とよばれる[7][9][6][29]。これに対して、活発に成長している芽は、伸芽とよばれる[6]。上記の頂芽優勢の状態にある場合、側芽が休眠芽となっている[29]。
冬や乾季など定期的に生育不適期がある環境に生育する樹木や多年草は、ふつう定期的に休眠芽を形成する。低温期である冬に休眠状態にある芽は、冬芽(とうが、ふゆめ; 越冬芽、winter bud)とよばれる[7][9][30](下図8a)。一方、夏に休眠状態にある芽は、夏芽(かが、なつめ; summer bud)とよばれる[7][31]。夏芽は、夏が乾燥期である地域の植物に見られるが、他にも夏緑樹林帯に生育する植物に見られることもある[7]。ヒガンバナ(ヒガンバナ科)の芽は地中の鱗茎内に形成され、夏に休眠する夏芽であり、秋になってから花、その後に葉が展開する[7]。カタクリ(ユリ科)やフクジュソウ(キンポウゲ科)などは地下茎に芽を形成し、早春から初夏にかけての短い期間だけ地上に葉や花を展開する[7]。このような植物はスプリングエフェメラル(春植物[32]、早春期植物、spring ephemeral)とよばれ、その芽は冬芽であり、かつ夏芽でもある[7]。
休眠芽は芽鱗や最外部の葉、毛、樹脂などに覆われ、寒さや乾燥に耐え、また病虫害からシュート頂を保護している[33][30][34]。また、アジサイ(アジサイ科)のように、冬芽が不凍活性をもつ物質を含んでいる例もある[33][34]。
休眠芽は、他の組織に覆われて外観では見えないことがある。茎の組織に覆われて隠された芽は、隠芽(いんが; concealed bud)とよばれ、ニセアカシア(マメ科)やサルナシ(マタタビ科)に見られる[7](下図8b)。茎の組織に完全に覆われるのではなく、先端部のみが露出している芽は半隠芽(はんいんが; semiconcealed bud)とよばれ、マタタビ(マタタビ科)などに見られる[7][12][10]。また、茎ではなく葉柄の鞘部に包まれて隠された芽は、葉柄内芽(ようへいないが; intrapetiola bud)とよばれ、ユリノキ(モクレン科)、キンポウゲ属(キンポウゲ科)、ヌルデ(ウルシ科)、キハダ(ミカン科)、シシウド属(セリ科)、タラノキ(ウコギ科)などに見られる[7][10][21](下図8c)。
休眠芽は、ふつう1年の中で不適期を過ごした後には展開して新しいシュートを伸ばすが、2シーズン以上にわたって休眠状態が続いて痕跡的になることがあり、このような休眠芽は潜伏芽(せんぷくが; latent bud)とよばれる[7][9][8][6][29]。樹木では、茎の二次肥大成長によって潜伏芽は材の中に埋没してしまう。このような潜伏芽は、多くの場合そのまま消失するが、イチョウ(イチョウ科)やハンノキ(カバノキ科)、カカオ(アオイ科)のように数年後に活動を再開して葉や花をつけることがあり、上記のように茎上不定芽に由来したように見える[7][29](上図8d)。
鱗芽と裸芽
休眠芽は、特殊な鱗片葉で覆われていることがあり、このような鱗片葉は芽麟(がりん; bud scale)とよばれる[7][10]。芽鱗をもつ休眠芽は鱗芽(りんが; 有鱗芽、scaled bud; 下図9a, b)、芽麟を欠く休眠芽は裸芽(らが; 裸出芽、無鱗芽、naked bud; 下図9c, d)とよばれる[7][12][10]。むかごの一型である鱗芽(下記参照)と区別するため、芽麟で包まれた休眠芽は有鱗芽とよばれることもある[7]。サワグルミ(クルミ科)のように最初は芽鱗で覆われているが、芽鱗がすぐに脱落するものも裸芽として扱われることが多い[35]。
鱗芽における芽鱗の数や形、配列様式は多様であり、有用な分類形質となる。例えばヤナギ属(ヤナギ科)では1枚、カツラ(カツラ科)、シナノキ(アオイ科)、キハダ(ミカン科)では2枚、ハンノキ(カバノキ科)では3枚、ヤマグワ(クワ科)やガマズミ(ガマズミ科)では4枚、ミズナラ(ブナ科)やサワシバ(カバノキ科)では20枚以上の芽鱗をもつ[7]。モクレン科の植物は、2枚の托葉が葉柄に合着した特殊な芽鱗をもつ[36]。
鱗芽が展開すると芽鱗は脱落し、伸長した茎(枝)にその痕が輪状に残されることがあるが、このような芽鱗がついていた痕は芽鱗痕(がりんこん; bud scale scar)とよばれる[12][10](上図9e)。最も先端側の芽鱗痕から枝の先端までが、その年に伸びた茎(今年枝)である。
裸芽では、最も外側の葉が芽鱗と同様に内部を保護していたり、蓋葉の葉柄に芽が保護されていたりする[7]。裸芽はクルミ属(クルミ科)、ツタウルシ(ウルシ科)、クサギ属(シソ科)、オオカメノキ(ガマズミ科)などにみられ、またロゼットを形成する草本にも見られる[7]。
むかご
地上部の腋芽が肥大化したものであり、分離して新たな植物体となる機能(栄養繁殖)をもつものは、むかご(珠芽、propagule)とよばれる[7]。むかごのうち、葉原基が肉質化して幼茎を包んでいるものは鱗芽(りんが; bulbil; 下図10a)、幼茎が肥大化して球形になったものは肉芽(にくが; brood, brood bud; 下図10b)とよばれる(後者のみを狭義の「むかご」とすることもある)[7]。鱗芽はオニユリ(ユリ科)やコモチマンネングサ(ベンケイソウ科)などに、肉芽はヤマノイモ(ヤマノイモ科)やムカゴイラクサ(イラクサ科)などに見られる[7]。
芽内形態
芽の中における葉の畳まれ方や相互の配置関係のことを、芽内形態(vernation, praefoliation)という[7][37][38]。また、花葉(特に花被片)の畳まれ方や相互の配置関係は、特に花芽内形態(aestivation[注 2], estivation, praefloration)というこちが多い[7][38]。
芽内形態において、個々の葉の形・畳まれ方を、芽中姿勢(芽型、折り畳み、葉畳み、芽襞、ptyxis)という[7][37][39]。主な芽中姿勢には、以下のものがある。
芽内形態において、葉(花葉や芽鱗を含む)の相互の位置関係を、芽中包覆(芽層、aestivation[注 2])という[7][38]。芽中包覆は、以下のものに類別される。
- 片巻き状(かたまきじょう; 回旋状、包旋状、convolute, obvolute, contorted, twisted)[7](図13E)
人間との関わり
芽を構成する細胞は若いため、細胞壁が硬化しておらず、食用とされることがある[44]。ミョウガ(ショウガ科)やブロッコリー、カリフラワー(アブラナ科)は花芽を食用とする野菜である[45](下図14a, b)。また、食用とするタケノコは、タケ類やササ類(イネ科)の地下茎から生じた芽であり、これが伸長して地上茎となる[46](下図14c)。山菜とよばれるものの中には芽を利用するものが多く、ゼンマイ(ゼンマイ科)、ワラビ(イノモトソウ科)、クサソテツ(コウヤワラビ科)、カタクリ、ウバユリ(ユリ科)、ミツバアケビ(アケビ科)、イタドリ(タデ科)、タラノキ、ウド、コシアブラ(ウコギ科)、フキ(キク科)などの芽や幼葉が食用とされる[47](下図14d, e)。
芽はときに動物が忌避する物質を含んでおり、ジャガイモ(ナス科)の塊茎から生じた芽に含まれるソラニンは人間にとって極めて有毒である[44]。
ギャラリー
-
セイヨウアカミニワトコ(ガマズミ科)の芽
脚注
注釈
出典
- ^ 「新芽」 。コトバンクより2023年7月11日閲覧。
- ^ 「若芽」 。コトバンクより2023年7月11日閲覧。
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “出芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. pp. 640–641. ISBN 978-4000803144
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “再生芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 515. ISBN 978-4000803144
- ^ a b 「芽」 。コトバンクより2023年6月18日閲覧。
- ^ a b c d 巌佐庸, 倉谷蛾, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1373. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs 清水建美 (2001). “2. 芽”. 図説 植物用語事典. 八坂書房. pp. 220–231. ISBN 978-4896944792
- ^ a b c d e f g h i j k l 原襄 (1972). “5.1.1 芽”. 基礎生物学選書 3. 植物の形態. 裳華房. pp. 47–49. ISBN 978-4-7853-5103-8
- ^ a b c d e f g h i j k l m 原襄 (1994). “2.2.1 芽”. 植物形態学. 朝倉書店. pp. 16–19. ISBN 978-4254170863
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 馬場多久男 (1988). 冬芽でわかる落葉樹. 信濃毎日新聞社. pp. 4. ISBN 978-4784091058
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “頂芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 919. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d e f g h i j k 広沢毅・林将之 (2010). 冬芽ハンドブック. 文一総合出版. p. 7. ISBN 978-4829911747
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “側芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 835. ISBN 978-4000803144
- ^ 清水建美 (2001). “1. 幼植物”. 図説 植物用語事典. 八坂書房. pp. 213–220. ISBN 978-4896944792
- ^ 清水建美 (2001). “(1) シュート”. 図説 植物用語事典. 八坂書房. pp. 167–168. ISBN 978-4896944792
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “幼芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1420. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “頂芽優勢”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 919. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d e 原襄 (1994). “解説2.2”. 植物形態学. 朝倉書店. pp. 16–19. ISBN 978-4254170863
- ^ a b c d e f 熊沢正夫 (1979). “9.3 副芽”. 植物器官学. 裳華房. pp. 99−101. ISBN 978-4785358068
- ^ a b 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “副芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1193. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c “水上演習林観察日誌32”. 日本大学 演習林. 2023年7月1日閲覧。
- ^ a b c 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “不定芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1207. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d e f g h i j k l 熊沢正夫 (1979). “16 不定芽”. 植物器官学. 裳華房. pp. 172−184. ISBN 978-4785358068
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “葉芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1420. ISBN 978-4000803144
- ^ a b 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “花芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1207. ISBN 978-4000803144
- ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “蕾”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 936. ISBN 978-4000803144
- ^ a b 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “混芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 500. ISBN 978-4000803144
- ^ 長谷部光泰 (2020). “15.1.1 苞鱗種鱗複合体をもつ複合雌性胞子嚢穂の進化”. 陸上植物の形態と進化. 裳華房. pp. 200–205. ISBN 978-4785358716
- ^ a b c d 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “休眠芽”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 314. ISBN 978-4000803144
- ^ a b 「冬芽」 。コトバンクより2023年7月7日閲覧。
- ^ 「夏芽」 。コトバンクより2023年7月7日閲覧。
- ^ 多田多恵子 (2002). “フクジュソウの焦燥”. したたかな植物たち ―あの手この手のマル秘大作戦. エスシーシー. pp. 156–161. ISBN 978-4886479228
- ^ a b 広沢毅・林将之 (2010). 冬芽ハンドブック. 文一総合出版. p. 8. ISBN 978-4829911747
- ^ a b 庄野邦彦 (2020年12月31日). “冬芽について”. 植物Q&A. 日本植物生理学会. 2023年7月7日閲覧。
- ^ 広沢毅・林将之 (2010). “サワグルミ”. 冬芽ハンドブック. 文一総合出版. p. 10. ISBN 978-4829911747
- ^ 広沢毅・林将之 (2010). “ホオノキ”. 冬芽ハンドブック. 文一総合出版. p. 24. ISBN 978-4829911747
- ^ a b c d e f g h i j 藤重宣昭 (2020). “芽内形態(芽型)”. 農業用語の基礎知識. 誠文堂新光社. pp. 106–107. ISBN 978-4416520796
- ^ a b c d e f 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “芽内形態”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. pp. 232–233. ISBN 978-4000803144
- ^ a b c d e f g 熊沢正夫 (1979). “23 芽型”. 植物器官学. 裳華房. pp. 299−303. ISBN 978-4785358068
- ^ a b c d e f g 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “芽中形態”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. pp. 232–233. ISBN 978-4000803144
- ^ a b Simpson, M. G. (2006). “Glossary of terms”. Plant Systematics. Academic Press. pp. 547–578. ISBN 9780126444605
- ^ 長谷部光泰 (2020). 陸上植物の形態と進化. 裳華房. p. 172. ISBN 978-4785358716
- ^ a b 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “覆瓦状”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1193. ISBN 978-4000803144
- ^ a b 佐藤公行 (2021年9月18日). “若芽・新芽が美味しいわけ”. 植物Q&A. 日本植物生理学会. 2023年7月7日閲覧。
- ^ “食べているのはどの部分?”. 野菜のひみつ. 農畜産業振興機構. 2023年7月7日閲覧。
- ^ “タケノコ(筍)”. とれたて大百科. JAグループ. 2023年7月7日閲覧。
- ^ “森と水の恵み・山菜図鑑”. あきた森づくり活動サポートセンター. 2023年7月7日閲覧。
関連項目
外部リンク
- “冬芽と葉痕”. 気ままに自然観察. 2023年7月1日閲覧。
- “樹木の冬芽と葉痕 科別 ア”. 松江の花図鑑. 2023年7月7日閲覧。
- “冬芽・葉痕図鑑”. 公園の雑学植物図鑑. 2023年7月7日閲覧。
- “冬芽の分類一覧”. 木のぬくもり・森のぬくもり. 2023年7月1日閲覧。
- 山中史江 (2009年1月). “冬こそ落葉樹の観察に出かけよう!”. 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所. 2023年7月7日閲覧。
- 永井昭三. “冬に見られる木の芽のいろいろ”. 自然と友だち. 科学技術館. 2023年7月7日閲覧。