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主に『[[機動戦士ガンダムF91]]』『[[機動戦士Vガンダム]]』に登場する世代。宇宙世紀0100年代以降、新規に開発された15m級の小型モビルスーツ群が第2期モビルスーツと呼ばれる{{Sfn|電撃データコレクションVガンダム|1999|p=66-67}}{{Sfn|週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第18号|2019|p=23}}。宇宙世紀0120年代から少なくとも0150年代までは、第2期モビルスーツが主力となったことが判明している。
主に『[[機動戦士ガンダムF91]]』『[[機動戦士Vガンダム]]』に登場する世代。宇宙世紀0100年代以降、新規に開発された15m級の小型モビルスーツ群が第2期モビルスーツと呼ばれる{{Sfn|電撃データコレクションVガンダム|1999|p=66-67}}{{Sfn|週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第18号|2019|p=23}}。宇宙世紀0120年代から少なくとも0150年代までは、第2期モビルスーツが主力となったことが判明している。


宇宙世紀0100年代、これまで大型・高機能・複雑化、それに伴うコスト高という進化を続けていたモビルスーツを、[[サナリィ]]の提言により原点に立ち返って見直す風潮が生まれる。これを受け[[アナハイム・エレクトロニクス]]は小型MS「[[ヘビーガン]]」を開発したが、その性能は満足のいくものではなかった。そしてこれまでモビルスーツ開発の主導権を握っていた[[アナハイム・エレクトロニクス]]に対抗して、サナリィが[[ガンダムF90 (架空の兵器)|F90]]という小型モビルスーツを製作し、アナハイムが製作したモビルスーツ([[機動戦士ガンダムF90|MSA-0120]])とのコンペティションにて、F90が次期主力モビルスーツに決定される。これ以降本格的な第2期モビルスーツの時代が到来した。全高は第4世代モビルスーツでは最大20mを超えていたのに対し、15m程度にまで小型化される。[[ミノフスキー粒子#ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉|ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉]]の高出力化、小型化が進み、ビームシールドの装備と単独での長時間飛行が標準的となる。また、このサイズでのIフィールド防御や大容量の携行武器も実装されている。
宇宙世紀0100年代、これまで大型・高機能・複雑化、それに伴うコスト高という進化を続けていたモビルスーツを、[[サナリィ]]の提言により原点に立ち返って見直す風潮が生まれる。これを受け[[アナハイム・エレクトロニクス]]は小型MS「[[ヘビーガン]]」を開発したが、その性能は満足のいくものではなかった。そしてこれまでモビルスーツ開発の主導権を握っていた[[アナハイム・エレクトロニクス]]に対抗して、サナリィが[[ガンダムF90 (架空の兵器)|F90]]という小型モビルスーツを製作し、アナハイムが製作したモビルスーツ([[機動戦士ガンダムF90|MSA-0120]])とのコンペティションにて、F90が次期主力モビルスーツに決定される。これ以降本格的な第2期モビルスーツの時代が到来した。全高は第4世代モビルスーツでは最大20mを超えていたのに対し、15m程度にまで小型化される。[[ミノフスキー粒子#ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉|ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉]]の高出力化、小型化が進み、ビームシールドの装備と単独での長時間飛行が標準的となる。また、このサイズでのIフィールド防御や大容量の携行武器も実装されている。


ただし150年代の連邦軍主力として作られたジェイブスは当時の平均的なMSよりも一回り大きく、さらにザンスカール帝国のMSにもアビゴルやザンネックなどの18〜20m級の機体が存在する。
ただし150年代の連邦軍主力として作られたジェイブスは当時の平均的なMSよりも一回り大きく、さらにザンスカール帝国のMSにもアビゴルやザンネックなどの18〜20m級の機体が存在する。

2020年11月7日 (土) 11:21時点における版

モビルスーツ (MOBILE SUIT: MS) は、アニメ機動戦士ガンダム』をはじめとする「ガンダムシリーズ」に登場する、架空の兵器の分類のひとつ。

ほとんどの場合人型をした有人機動兵器のことを指す。英題では「機動戦士」にあたる部分にこの語が使用される。

概要

劇中の大道具・小道具としてのモビルスーツ

実物大ガンダム立像、お台場(2009年)
実物大ガンダム立像、お台場(2009年)

1979年制作の『機動戦士ガンダム』において初登場したモビルスーツは、1972年の『マジンガーZ』以来のロボットアニメに登場するロボット達とは異なる描かれ方をしていた。それまでのロボットアニメに登場するロボットは、いわば特撮番組などにおけるヒーロー怪獣(しかも全高数十メートル)を、主役ロボットと敵役ロボットとに置き換えたものであった。これに対して、『ガンダム』はモビルスーツを現実の世界の戦闘機や戦車と同じような兵器の一種として描いた。

例えば『機動戦士ガンダム』で最も数多く登場したモビルスーツ・ザクは、『新造人間キャシャーン』のアンドロ軍団のように既にあったものの、それまでのロボットアニメの敵巨大ロボと根本的に異なり「同型機が同時に複数登場する」点で画期的であった。それまでの敵ロボットは外見及び行動が異なるものが毎回一機のみ登場していたのに対し、『機動戦士ガンダム』第1話から第11話までの間、敵側のモビルスーツはいわゆるザクII、旧ザク、そしてシャア専用ザクだけで通したのである。その後も、現実の歩兵や戦車・戦闘機などが複数編成で運用されるのと同様に、ザクは同じ機体が同時に複数登場するのが常とされた。またザクの武装はマシンガンバズーカといった実在の歩兵用火器をモビルスーツの大きさにしたものであり、怪獣のような火炎や怪光線で攻撃してきた従来の敵ロボットとはこの点でも一線を画していた。外観も、商品化が予定されていなかったこともあって、大戦中のドイツ軍兵士をイメージさせる兵器らしさを強調したデザイン、戦車などの緑系のカラーリングとなっていた。

主人公アムロ・レイが搭乗する主役機ガンダムは、ザクと比べて性能は多少は良いが桁外れに強かったわけではない。ビームライフルや頑丈な装甲、防楯といったアドバンテージはあったものの、敵のパイロットの腕前や戦術により、しばしば苦戦を強いられている。また、敵側にもグフドムといった新型モビルスーツが登場するにつれ、機体性能の差も縮まっていった。

こうした「巨大ロボットを現実の兵器と同じに扱う」という、従来のロボットアニメと一線を画したコンセプトは、多くの追随作を生み、一大ジャンルに発展していった。

こうした路線はその後の多くのロボットアニメで洗練され、主役メカが存在せず敵味方が同じ工業製品の量産機で戦うという内容の『装甲騎兵ボトムズ』でピークに達する。『リアルロボット』という呼び名を作ったのは『ボトムズ』の監督の高橋良輔であるとされる[注 1]

当初は宇宙を舞台にしたリアルな物語を作ろうとしていた『機動戦士ガンダム』の企画時に、本来は登場させるつもりはなかった巨大ロボットをスポンサーの意向により登場させざるを得なくなった際、スタジオぬえ高千穂遙が、ロバート・A・ハインラインSF小説宇宙の戦士』の一読を企画部長の山浦栄二に薦めた。「リアルな人型の兵器が存在してもおかしくない」と感じた総監督の富野喜幸(現・富野由悠季)をはじめとした制作スタッフは、当初はその「パワードスーツ」のアイディアを元に全高2m程度の強化装甲服を物語に使うつもりであったが(「モビルスーツ」という名称はその名残である)、スポンサーからどうしても巨大ロボットを出さなくては駄目だと要求されたため、戦闘機と同程度のサイズである身長18mのロボット、つまりマジンガーZと同じ大きさのロボットを出すこととなった。当然、現実的な兵器論としてはこのように巨大なものは役には立たないことは分かっていたが、当時のアニメロボットの主流は50m〜100m程度であったためこれでも十分にリアルな描写ができると判断され、しぶしぶ企画に登場させることにした。だが実際に企画を進めてみるとリアリティのある巨大ロボットは非常におもしろい演出ができることがわかり、結果的に『ガンダム』は『マジンガーZ』とも『宇宙の戦士』とも違った新天地を切り開くことになる。 当初は、物語の最後まで敵側のモビルスーツはザクのみで通す予定であった。しかし視聴率低下によるテコ入れから複数の目新しい敵キャラクターとして新型機を登場させざるを得なくなり、さらには非人間型の怪獣的なモビルアーマーまで登場させざるを得なくなった。これらの登場はリアルな世界観を破壊してしまうのではないかと懸念されたものの、現実の戦争でも戦況の変化と共に新型兵器が次々と戦線に投入されることは全くおかしな事ではなく、あくまでリアリティをそこなわない程度に抑えられて物語にうまく華を添えることになり、ビジネス的にもバラエティに溢れたキャラクタービジネスの成功へとつながった。

初代ガンダムはロボットアニメというジャンルに、『宇宙戦艦ヤマト』で見られたような戦場を舞台とした人間ドラマの要素を取り込んだ初の作品である。戦場で相対する人々の人間模様、特に成長途上の少年少女達が多く登場し彼らの成長が作品の柱になっており、また物語後半に登場する重要なテーマ「人類の革新『ニュータイプ』」という存在の意味や意義を描くことに主眼をおいており、モビルスーツの華々しい活躍は作品を彩っているものの、それら重厚な物語に水を差すようなことはない。

なお「モビルスーツ」以降、ロボットアニメでは登場する巨大ロボット兵器を単に「ロボット」と呼ばず、「重機動メカ」「ウォーカーマシン」「オーラバトラー」など、各作品が世界観に沿った固有の総称を設定する事が慣例となった。富野によれば、現場でもロボットではなくモビルスーツと呼ぶ事を徹底したという[1]

キャラクターとしてのモビルスーツ

モビルスーツはキャラクターの一種としても非常に成功した部類である。『機動戦士ガンダム』の本放送は、そのリアリティを重視した物語が従来のロボットアニメとあまりに異質であったこともあって当初は視聴率が今ひとつ振るわず、またメインスポンサーであったクローバーが発売していた玩具の売り上げが不振であったために終盤近くで打ち切りとなってしまった。その後1980年バンダイからガンダムをはじめとしたモビルスーツのプラモデルが発売され、価格の手ごろさなどから当時の子供達に絶大な人気を博した。やがて「ガンプラ」と呼ばれるようになったこれらのプラモデルの人気と、ドラマ性を重視した物語の評価とが相まって『機動戦士ガンダム』の再放送の視聴率は非常に高いものとなり、そして劇場版映画として再編・上映され大ヒットとなった。ガンプラは子供向けの簡便な低価格キットから高年齢層向けに凝った作りの高価格キットまで幅広く展開されている。四半世紀を経た現在でも続編作品の登場機体に加え、いまだに初代ガンダムやザクの新型キットが発売されるなどその人気は全く衰えていない。

ガンプラ以外にもフィギュアなどが発売され、またモビルスーツが登場するコンピューターゲームも、その操縦を楽しむアクションゲームやこれによる戦略を楽しむシミュレーションゲーム等多数が制作されている。子供向けやファン向け以外でも、一般の大人向けの商品のキャラクターとしてもモビルスーツは人気がある。

またモビルスーツを2〜3頭身程度にデフォルメした『SDガンダム』シリーズも高い人気を持つ。これらは本来のモビルスーツをコミカルに表現したもので、体型以外の設定はそのままにコンピュータゲームに登場したり、あるいは本来のガンダムシリーズを離れて全く新しいキャラクター・世界観を構築したものもある。

モビルスーツのデザイナー

『機動戦士ガンダム』においてモビルスーツをデザインしたのはメカデザイナーの草分けである大河原邦男である。実際の現場では監督の富野由悠季やキャラクターデザイナー作画監督安彦良和によってもデザインの提案や修正がおこなわれている(初期デザインのガンダムには鼻と口があったのだが、安彦が異議を唱え、現在のようにマスクを付けているかのようなデザインとなった。また、青をベースとしたカラーリングだったのを、白をベースとするよう提案したのも安彦である)。さらに、番組中期以降の登場メカの大半は富野によってラフデザインがおこされ、それに比較的忠実な大河原によるフィニッシュワークが行われているため、基本デザインは富野によるものと言っても過言ではない(『伝説巨神イデオン』でも同様のことが行われた)。ガンダムブーム・ガンプラブームによって「メカニックデザイナー(メカニカルデザイナー)」という職種が注目されるようになった。

以降のガンダムシリーズにおいても、永野護出渕裕カトキハジメなどといった多くのメカデザイナーが参加している。アメリカのインダストリアルデザイナーシド・ミードも『∀ガンダム』に参加したことがある。漫画家の鳥山明も自作品内でオリジナルのモビルスーツをデザインし登場させた。

モビルスーツの設定付け

『機動戦士ガンダム』がアニメファンの人気を獲得する中で、その世界観に関する考察や様々な後付け設定の創作が行われている。例えば制作スタッフとラポート社発行のアニメ雑誌「アニメック」編集部との交流により、モビルスーツには実在の兵器に似せた型式番号(かたしきばんごう)が割り当てられるようになった。例えばガンダムには「RX-78」、ザクには「MS-06」といった具合である。モビルスーツの型式番号や名称は、スタジオぬえが係わった、みのり書房発行の雑誌「月刊OUT」別冊『GUNDAM CENTURY』により、「RX-78-2 ガンダム(2号機)」「MS-06F ザクII F型」と、また旧ザクやシャア専用ザクも「MS-05 ザクI」「MS-06S 指揮官用ザクII」とより詳細に設定された。さらに最初の劇場版公開当時、講談社のムックで劇中には登場しなかったバリエーション機が創作され、これは後にGUNDAM CENTURYで生まれた設定を加えて拡大し、バンダイの『モビルスーツバリエーション』 (MSV) として商品展開、ガンプラなどで人気を博した。これらはアニメの制作スタッフによるものではなかったが、ずっと後に作られた作品の劇中に登場することで、公式的な設定となっていった。

また、当初モビルスーツによる白兵戦を必然のものとするために、レーダー等を使用不能にする粒子として創作されたミノフスキー粒子についても、『GUNDAM CENTURY』などにより設定が拡大し、劇中の様々な兵器などの設定付けがおこなわれた。例えばビームライフルなどを実現するメガ粒子、いわゆるバリアを実現するためのIフィールドジェネレーター、空中に大型の機器を浮かべるためのミノフスキークラフトなどである。これらは後にミノフスキー物理学という架空の科学体系としてまとめられている。モビルスーツが人型をしている理由についても、手足を動かす際の反作用で機体の向きを制御するAMBACという概念が創作されている。

こういった膨大かつ詳細な設定はそれ自体でファンを楽しませるものとなると同時に、後に作られたロボットアニメにも同様の設定付け、特に「人型有人兵器の名称とその存在理由」を考証する必要性を生み出し、ジャンル全体に良くも悪くも非常に大きな影響を残している。

この点については、監督である富野自身が、かつては「大型の人型汎用ロボットは、その人型ゆえに人間と同等の汎用性と実用性がある」という素朴な解釈を披露することが多かったが、最近のガンダムエース誌での対談においては「背景は人間の戦闘である、という事を表す記号として、あえて人型にこだわっているだけ」という主旨の発言が多い。かつて作中の人物にも「あんなの(足)飾りです」と言わせていた。

後の作品などへの影響

『機動戦士ガンダム』におけるモビルスーツの描写は、『超時空要塞マクロス』『装甲騎兵ボトムズ』『銀河漂流バイファム』『ファイブスター物語』『新世紀エヴァンゲリオン』など、後進のロボットアニメに多大な影響を与えている。これらの作品では、『機動戦士ガンダム』同様にあくまでロボットをドラマの大道具の一種として描いている。後に古今のロボットアニメのロボット達が一堂に会するシミュレーションゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』において、これらのロボットに対して「リアルロボット」という分類名が与えられた。一方で『マジンガーZ』以来のロボットをヒーローと同等の存在として描くものを「スーパーロボット」と称し、リアルロボットとスーパーロボットはお互いに影響を与えつつ今日に至っている。

劇中におけるモビルスーツの概要

モビルスーツは平均的に人間の約10倍の大きさ(身長180cmならば18m、6階建てのビル相当。ただし作品や機体によって大きさはまちまちである)をした人間型有人機動兵器で、胴体や頭部に設けられた操縦席に直接人間が乗り込み操縦をする。地球上や宇宙空間で主に活動するが、海洋や砂漠等の局地ではそれ専用に製作もしくは改修されたモビルスーツであれば行動できる。また、以上に挙げたどの環境でも行動可能なモビルスーツも存在する。

その行動はほとんどの場合、敵対勢力との戦闘を目的としており、ビームライフルを始め複数の武器を携帯するのが常である。また、モビルスーツそれ自体が移動するための燃料類(推進剤等)の搭載量が限られているため、稼動のためには補給や修理、整備を行える施設及びモビルスーツ単体の輸送も可能な宇宙戦艦などの、バックアップ体制が欠かせない(例外として∀ガンダムは自己修復機能を持ち単機での運用が可能であるが、本来は戦術システムの一部としての運用を前提にしていたとみられる)。

また、モビルスーツはその外形を人型を拡大したものにすることで、人間に似た多用途性や汎用性を獲得したが、逆に人型にとらわれない外形で、モビルスーツにはない高加速能力や火力の増加などを取得している「モビルアーマー」という種類も存在する。例外的に機動戦士ガンダムSEEDに登場する四足獣型のバクゥ及びその派生機・後継機は人形ではないがモビルスーツに分類されている他、機動戦士ガンダムAGEにおいてはモビルアーマーという概念そのものが存在せず、特にヴェイガン側においては他作品ではほぼ確実にモビルアーマーに定義されるであろう人型を大きく逸脱した異形な機体もモビルスーツとして定義されていた。

なお、モビルスーツとの区別のため、人間が直接着用する従来のパイロットスーツや宇宙服は「ノーマルスーツ」と呼称されている。

ガンダムシリーズは以下に述べるように複数の世界観で展開され、モビルスーツの設定は各々の世界観で多少異なっている。

各作品シリーズにおけるモビルスーツ

以下の設定には、アニメ作品中で表現されたものの他、先に述べたような雑誌上の企画で創作されたものや漫画・小説などの派生作品で創作されたものも含まれている。そうして作られた設定は後にサンライズの監修を受けて設定集などの形にまとめられたものが多いが、中には他の作品と矛盾を起こすものや後に顧みられなくなったもの、サンライズによって後に取り消されたものもある。

『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀)シリーズ

『機動戦士ガンダム』をはじめとする作品群の舞台となる「宇宙世紀」におけるモビルスーツ(Mobile Suit)は、"Mobile Space Utility Instrument Tactical" の略とされ、「戦術汎用宇宙機器」の意味である[2][注 2]

この世界観におけるモビルスーツ(MS)は一年戦争時にジオン公国が開発した機動兵器に端を発する。ミノフスキー粒子を戦闘空域で散布する事により、高性能レーダーによる遠距離索敵や遠距離砲撃、ミサイルを封鎖し、その環境下で活躍する有視界戦闘用の機動兵器としてMSは生まれた。ジオン公国では各兵器メーカーに対し、ミノフスキー粒子の散布内で戦う機動兵器の開発を依頼。その中で要求性能を満たした機体として、ジオニック社のZI-XA3MIP社のMIP-X1が提出される。このうちZI-XA3は、宇宙空間での戦闘力においてはMIP-X1に劣ったものの、AMBACシステムによる姿勢制御能力、アステロイド要塞やコロニー、月面の何れにおいても高性能を発揮し、総合性能では従来型の宇宙戦闘機、陸戦兵器を凌駕。この案ではジオニック社のものが採用され、ZI-XA3はMS-01として表向きは非戦闘用の作業服として、実戦タイプの開発がスタートする[3][注 3]

宇宙世紀0075年になると、ジオン公国軍当局からの依頼により、ジオニック社では汎用作業用機械の延長となるYMS-05A ザクIを、ツイマッド社はEMS-04(ヅダ)を提出。EMS-04は宇宙空間での高い機動力を発揮しながらも試験中に爆発事故をおこし、結局安定した性能を示したYMS-05が採用され、「MS-05 ザク」(後にザクI)と命名された[5]。MS-05 ザクIは宇宙世紀0076年5月の教導機動大隊への配備を皮切りに各部隊が編成され、実戦参加も行ったものの、MS-06 ザクIIのロールアウト後はそちらに生産が回され、ルウム戦役以降は主力としてはザクIIが主力として転換されていった[6]

一方で、地球連邦軍でも一年戦争開戦直後からMSの開発をスタートし、以前から存在した汎用技術である歩行メカや、その経済力、ジオンからの技術者引き抜きを背景に8か月で実用化に成功[7]RTX-44を原機として連邦軍初のMSであるRX-75ガンタンクを完成させる[8]。続いてRX-78 ガンダム、RX-77 ガンキャノンを同時に開発[9]。連邦軍は、これらの中でガンダムの簡易量産型であるジムを大量に生産し、実戦投入した[10]

モビルスーツの世代別分類

モビルスーツが登場して以降、その時代背景や技術水準によって様々なタイプのモビルスーツが開発されている。モビルスーツは次のように大別される。

第1期モビルスーツ
第1世代モビルスーツ

主に『機動戦士ガンダム』とその外伝群、および『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する世代。

第2世代以前に開発されたモビルスーツがこれに位置付けられる[11]。ジオン公国軍が開発したザクIを始めとし、モノコック構造(ジオン公国製)あるいはセミ・モノコック構造(地球連邦製)を基本としている。一年戦争終結までに開発されたモビルスーツのほぼ全てと、デラーズ紛争期のモビルスーツがこれに含まれる。以後のモビルスーツの基礎を築いた。

モビルスーツという兵器が登場したばかりのため、様々なタイプのものが製作され運用された。運用されるものの中には後方支援タイプのキャノン搭載タイプや、水中で行動可能なものなどもみられた。しかし、世代が進みモビルスーツの性能が上がるにしたがい、こういった専用のタイプというものは製作されなくなる傾向があり、多岐にわたったMSの進化の道は次第に絞られて洗練されていった。

第2世代モビルスーツ

主に『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する世代。

第2世代モビルスーツの条件は全天周囲モニター・リニアシート・イジェクションポッドの採用、ムーバブルフレームの導入とされている[11]。一方で、全天周モニターとムーバブルフレーム、装甲材としてガンダリウムγを使用している機体を第2世代モビルスーツとした資料も存在する[12](ただし、装甲についてはチタン複合材を使用する『第1.5世代』ともいうべき機体も複数存在する)。また、ジェネレーターの小型軽量化と高出力化によりビーム兵器の携行が一般的となった。装甲もビームの直撃を避けるため運動性重視のものとなり、それを対ビームコーティング仕様のシールドで補っている。さらにAMBAC機能強化のために四肢とは別にテールスタビレーターやフレキシブルバインダーなどの可動肢を設けた機体も多い。一年戦争終結後に開発され、グリプス戦役から第二次ネオ・ジオン抗争に掛けてのほとんどの量産機がこれにあたる。

第3世代モビルスーツ

第2世代モビルスーツに可変機構を加えた可変モビルスーツがこれにあたる[11]。一方で、可変MAの設計思想を導入したTMS(可変MS)を第3世代とする資料も存在する[13]。開発の難しさとコスト高から、多くは作られなかったとされている[11]

第4世代モビルスーツ

第一次ネオ・ジオン抗争時に台頭した、大火力を備えるニュータイプパイロット対応モビルスーツの総称。基本的な条件としてはモビルアーマークラスの高出力ジェネレータの搭載、並びにジェネレータ直結式の高出力メガ粒子砲を固定武装として有すること、さらに、サイコミュの安全性が高く、高度なニュータイプ能力を持たないパイロットにも操縦可能な点が挙げられる[14]インコムバイオセンサーといった簡易サイコミュもこの範疇に含まれる)。また、多機能化を追求した結果、総じて大型化する傾向にあり、頭頂高20mを超える機体が多い。変形機構の有無は条件には含まれず、スラスター・デバイスの推力自体は然程向上していない。しかし、ジェネレータの出力そのものが大きいため、モビルスーツとしての機動力は旧世代機を上回る例も少なくない。また、MSZ-010 ΖΖガンダムのような第3・第4世代双方の機能を有する機体も極一部には存在するが、このような超々高級機は例外とされている。

第4世代モビルスーツは、その攻撃能力面において極めて高い性能(雑誌『ガンダム・ファクトファイル』を始め、ガンダム関連の書籍では「恐竜的進化を遂げた」と形容される事が多い)を発揮したものの、兵器としては末端肥大化した感も否めず、また、コストや運用性の問題から大量生産には向かず、一部のエース・パイロット向けに少数が配備されるに留まっている。また、モビルスーツの技術的限界が見え始めた時期でもあり、第二次ネオ・ジオン抗争以降は再びシンプルな機体コンセプトへと回帰していく事となる。ただし、攻撃力の側面としてはオプション装備として受け継がれていく。

第5世代モビルスーツ

ミノフスキー・クラフト発振器を搭載し、非変形での大気圏内巡航航行を実現した機体を第5世代モビルスーツと呼ぶ[15]。 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』時点で、想定される第5世代モビルスーツの機能は、ミノフスキー・クラフトの搭載、宇宙空間との往復能力であった[16]

小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場するΞガンダムペーネロペーがこの区分に分類される。

大気圏内でのモビルスーツの運用を一変させると考えられていたが[15]、破格の高コスト、機体そのものの著しい大型化のせいで普及しなかった[15]

小説『ガイアギア』に登場するゾーリン・ソールは、『月刊ニュータイプ』誌上で機体の概要が公開された際はモビルスーツという設定だったが[17]、文庫化の際にマン・マシーンへ変更となった[18]。『月刊ホビージャパン』によれば、第5世代モビルスーツの発展型とされる[19]

後述の第2期モビルスーツを第5世代モビルスーツに分類する資料もある[20]

第2期モビルスーツ

主に『機動戦士ガンダムF91』『機動戦士Vガンダム』に登場する世代。宇宙世紀0100年代以降、新規に開発された15m級の小型モビルスーツ群が第2期モビルスーツと呼ばれる[21][22]。宇宙世紀0120年代から少なくとも0150年代までは、第2期モビルスーツが主力となったことが判明している。

宇宙世紀0100年代、これまで大型・高機能・複雑化、それに伴うコスト高という進化を続けていたモビルスーツを、サナリィの提言により原点に立ち返って見直す風潮が生まれる。これを受けアナハイム・エレクトロニクスは小型MS「ヘビーガン」を開発したが、その性能は満足のいくものではなかった。そしてこれまでモビルスーツ開発の主導権を握っていたアナハイム・エレクトロニクスに対抗して、サナリィがF90という小型モビルスーツを製作し、アナハイムが製作したモビルスーツ(MSA-0120)とのコンペティションにて、F90が次期主力モビルスーツに決定される。これ以降本格的な第2期モビルスーツの時代が到来した。全高は第4世代モビルスーツでは最大20mを超えていたのに対し、15m程度にまで小型化される。ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の高出力化、小型化が進み、ビームシールドの装備と単独での長時間飛行が標準的となる。また、このサイズでのIフィールド防御や大容量の携行武器も実装されている。

ただし150年代の連邦軍主力として作られたジェイブスは当時の平均的なMSよりも一回り大きく、さらにザンスカール帝国のMSにもアビゴルやザンネックなどの18〜20m級の機体が存在する。

モビルスーツ(G-SAVIOUR)

宇宙世紀0223年を描いた実写作品『G-SAVIOUR』でもモビルスーツの運用が続けられており、性能の向上(特に主推進器推力)と共に全高は0150年代と比較してやや大型の16〜18m程度となっている。

かつてのMSには活動領域や運用にも大きな制限があった。まず活動領域だが無重力下での運用が先に立っていたとはいえ、重力下での機体運動は主に2次元移動に頼らざるを得なかったという。資料や記録によれば初期のMSは(軍事用にもかかわらず)1Gでの飛行は不可能であり、ロケットのアシストによるジャンプが関の山だったとされている。事実、過去の戦争では多くのMSが一方的に航空機からの攻撃で撃破されたこともあるとこの時代では伝わっていて、飛行性能を持つMSに見慣れているこの時代の人間から見ればなんとも奇異だという感想を持たれていた[23]

この時代のMSは主推進器推力(スラスター推力)の性能が以前のMSより性能が格段に上昇しており、特殊なシステムを用いずとも単独での長時間飛行が可能とされる。また、セイバーチームが設計を担当した議会軍の主力MSであるブグには腰部のフロントアーマーに外装式推進機を装備するためのジョイントが設置されており[24]、それによって宇宙における高速移動や地上における飛行時間の延長、ホバリング動作を行うことが可能となっている。

MSの他にはモビルウェポン(MW)と呼ばれる無人機動兵器の運用が試みられている。実写作品『G-SAVIOUR』の後を描いたゲーム作品『G-SAVIOUR』に登場するレイブンはほぼ完全な自律行動を行える無人機である。

マン・マシーン

宇宙世紀0200年代を書いた小説『ガイア・ギア』では、モビルスーツに代わって、マン・マシーンという機体群が主流となっている。


『機動武闘伝Gガンダム』シリーズ

機動武闘伝Gガンダム』の「未来世紀」世界におけるモビルスーツ (Mobile-suit) は、元々作業機械として開発されたが、コロニー浮上時の戦乱において武装されるようになり、第一次カオス戦争にて急速に発展した[25]

ガンダムファイトの開始後は主にコロニーの防衛などの役目を担うが、量産機であるため、国を代表するべく作られたモビルファイターと比べると能力はかなり劣る[25]

モビルファイターはこの世界観独特の種別で、国家間戦争に代わってコロニー国家の覇権を賭けて行われるイベント「ガンダムファイト」のために作られた機種であり、モビルトレースシステムなど通常のモビルスーツとは異なった部分がある[25]。他に「DG細胞」という一種のナノマシンによって形作られたデビルガンダムやこれによって作り出されたデスアーミーなど、未来世紀独特の機種が存在する。

黒歴史によれば、モビルスーツ関連の科学技術が最も高水準まで発達したのはこの時代である。後の時代において、モビルトレースシステムやナノマシン技術は廃れてしまい、未来世紀当時に開発された技術や機体は、後の時代においてはダウングレードして使用されているとされているという説もある[要出典]


『新機動戦記ガンダムW』シリーズ

新機動戦記ガンダムW』の「コロニー歴(アフターコロニー)」世界におけるモビルスーツ (Mobile Suit) は、 "Manipulative Order Build and Industrial Labors Extended Suit" の略で、「建設および工業労働用有腕式拡充型(宇宙)服」の意味である[26]。レーダー技術の発達が進み、従来の誘導兵器を用いた近代戦が衰退する中で[27]これを軍事転用し、開発された新たな機動兵器となる[28]。一方で、世界観で大きな力を持つロームフェラ財団が人型ゆえの憧憬や恐怖、人間臭さを考慮し導入したとする媒体もみられる[29]

なお、自動で敵味方識別及び攻撃等、一切の操作を行えるモビルスーツはモビルドール(MOBILE DOLL, MOBILE Direct Opertional Leaded Laborの略)と呼ばれている。


『機動新世紀ガンダムX』シリーズ

機動新世紀ガンダムX』の「アフターウォー」世界においてはモビルスーツの登場要因や特別な意味づけはなされていない。旧連邦軍は主力機としてドートレスシリーズに一本化し、フラッグシップとしてガンダムタイプを投入。一方革命軍は多種多様な局地戦用のモビルスーツ、モビルアーマーを随時投入していった[注 4]


第7次宇宙戦争における大規模なコロニー落としによって地球が壊滅した後の「アフターウォー」世界において、地球上には旧連邦軍・宇宙革命軍双方のモビルスーツ等が数多く残され、物資として取引される一方、これを武器とする「モビルスーツ乗り」と呼ばれる人々が現れた。彼らは傭兵として活動したり、バルチャーとして両勢力の残したモビルスーツ等の機器を漁ったり、中には盗賊の類となるものもいた。そのためモビルスーツ乗りの評価は非常に低かったようである。これらモビルスーツ乗りが主に搭乗している機種はほとんどが第七次大戦時に開発された量産型モビルスーツがほとんどで、多種多様なカスタムモビルスーツを生み出している。

大戦後革命軍は開発機種をクラウダに一本化し、質と量の両立を図ったのに対し、新連邦はガンダムタイプを再生させたが、ドートレスの後継機開発はやや遅れており、その過程で数多くのユニークな試作機が相次いで開発、投入された。最終的に主力機は大気圏飛行能力を有すバリエントとドートレス・ネオに帰結していったが、戦前と戦後では連邦と革命軍の開発コンセプトが逆転してしまう結果となった。


『∀ガンダム』シリーズ

∀ガンダム』の「正暦」世界においてMSは、「マウンテンサイクル」という場所から黒歴史の遺産として発掘されるケースが多々あり、地球に住む人々はモビルスーツを「機械人形」と称する[31]。この時代では月の環境保全を優先した事からムーンレィスにおいても軍事技術の停滞・低下は発生しており、独自開発した機体はスモーとマヒローのみである[31]


『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ

機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の舞台となる「コズミック・イラ」の世界において、モビルスーツの元となった起源は人類初のコーディネイターであるジョージ・グレンが木星探査船「ツィオルコフスキー」に搭載した外骨格補助動力装備の宇宙服とされている[32]

それ以前にはやはり人間に装着するパワードスーツが戦場で活躍していたが[33]C.E.65年になるとザフトは史上初のMS試作1号機「ザフト[注 5]を完成させる。C.E.70年2月14日の血のバレンタイン事件によって地球軍の核の脅威を認識したザフトがNJを実戦投入したことにより、以降(NJの電波妨害効果によって)有視界での戦闘が主体となり、有視界接近戦用兵器MSが戦闘の主力となることが想定され、MSの研究開発が進められていった[35]

第1次連合・プラント大戦におけるプラント地球連合との対立激化の中で、プラントの軍事組織ザフトは新兵器としてモビルスーツ「ジン」を実戦投入した。その後の両者の衝突においてモビルスーツ1機でモビルアーマー3機ないし5機の戦力に匹敵するとされている[36]。またザフトは、四足獣型モビルスーツであるバクゥラゴゥや水陸両用型モビルスーツグーンゾノを開発しており、それらのモビルスーツは局地での戦闘で大きな戦果をあげている。

これに対抗し地球連合軍もモビルスーツ「G兵器」の開発を行い、それをもとに開発された「GAT-X」シリーズやその量産機種であるストライクダガー等により、両者はほぼ対等のモビルスーツを実戦配備するに至った[37]

大半の機種はバッテリーの電力で稼働しているが、一部の高性能機は核分裂エネルギーによる核動力(原子力)を動力源としている[38]


『機動戦士ガンダム00』シリーズ

『00』の主な舞台である24世紀初頭(テレビシリーズでは西暦2307年と西暦2312年)におけるモビルスーツは、21世紀後半、軌道エレベーター建設に際し、その作業に用いる有人機器をイオリア・シュヘンベルグ博士が考案、これが本シリーズにおける後世のモビルスーツの原型となった[39]。イオリアのいた300年前の時代にMSは存在しなかったが、人型汎用兵器の出現を予見し[40]、武力介入に向けて「機動兵器」の開発に着手する。

直接的な源流となったのは作業用機械のワークローダーで、Eカーボンによる防御力の向上により、巨大化した在来兵器よりも高い機動性を持っていたために、主力兵器に置き換わった[39]

西暦2307年時点ではユニオン・AEU・人類革新連盟といった三勢力が独自の設計思想でMSを運用していたが、いずれもバッテリー駆動方式が一般的[41][注 6]。その後、私設武装組織「ソレスタルビーイング」(以下CB)が保有する半永久機関「太陽炉(GNドライヴ)」を搭載したモビルスーツ“ガンダム”が登場すると従来兵器を圧倒[39]。後にCBからの内通者によってその技術も各陣営へと技術が流出し、GNドライヴ搭載機は世界各国に普及していく[39][注 7]。西暦2364年においては戦争が根絶された事から元の作業用機械であるワークローダーが再び導入されている[44]


『機動戦士ガンダムAGE』

機動戦士ガンダムAGE』の「Advanced Generation」世界におけるモビルスーツ(MS)は、物語開始前に地球圏で起った「コロニー国家戦争」を契機に開発された機動兵器。
本作では、この1作品で宇宙世紀作品群で描かれた年月に匹敵する、約100年間の物語を3人の主人公を通して描く構想になっており、MSなどの兵器類も年月の経過に伴い進化を遂げる事になる。以下、各主人公の物語(=編)におけるMSの特徴を記載する。なお、MS登場後は、戦闘用を「モビルスーツ」、作業用を「モビルスタンダード」と分類され、共にMSと略されている。

物語開始前(〜A.G.101)

「コロニー国家戦争」終結時に各国家間で「銀の杯条約」が締結され、MSをはじめとする兵器、及び軍事技術に関わるデータは全て破棄、もしくは封印され当時の先端軍事技術の大半がロストテクノロジー化した。この影響で軍事用MSの開発系譜は長らく断絶する。以後、モビルスーツはその能力を用途別に厳しく制限され、民生用の3種の「MS」=作業重機「モビルスタンダード」、競走機器「モビルスポーツ」、警備用機器「モビルセキュリティ」としてのみ存続することとなる。

民間では省力型MSに相当する工事作業用MS重機「モビルスタンダード」の開発や「MSグランプリ」なるモータースポーツ的な競技用にMSのカスタムチューンを行う「MS鍛冶」と呼ばれる技術者たちがMSの根幹技術を継承。このほか、一部のMS鍛冶は独自に軍事に転用可能な技術の研究を密かに行っていた。 「コロニー国家間戦争」に投入されたMSなどの詳細は明らかになっていないが、「自己修復」「自己進化」を行える大型機動兵器が存在していた事が確認されており、A.G.年代の技術水準を大幅に上回っていたと見られる。

A.G.101〜A.G.115(フリット編)

A.G.101年、突如出現し人類を襲い始めた謎の敵性兵器「UE(Unknown Enemy)」に対抗するべく、開発が継続されていた「モビルスタンダード」が戦闘用に改修され連邦軍の機動兵器として採用されるも、地球連邦の技術力は総じてUEに大きく劣っている。その後、多少の改良が施され主力モビルスーツ・ジェノアスとして配備されるが、UEには相変わらず全く歯が立たなかった。
A.G.115年、一人目の主人公フリット・アスノが彼の家に代々伝わるコアユニット・AGEデバイスを解析、協力者たちと共同で造り上げたMS・ガンダムAGE-1がロールアウト。優秀なMS鍛冶であるアスノ家の叡智を結晶化したAGEデバイスと、AGE-1を戦闘経験の積み重ねで自己進化させる武装製作メカ・AGEビルダーとを連携させた、進化する兵器システム「AGEシステム」により、AGE-1は初期時にはUEを通常の方法で倒せる唯一のMSとなった。
その後、AGEシステムで生まれた対UE戦闘用の武器はUEの地球侵略拠点・宇宙要塞アンバット攻略に協力した一部のコロニー戦闘勢力が使用したほか、一部パイロットが個人的にAGE-1のデータを基にした専用MSを作ったりするなど、ガンダムのテクノロジーは小規模ではあるが多少ほかのMSにフィードバックされた。

A.G.140〜A.G.142(アセム編)

この時代、UEは真の名であるヴェイガンと呼ばれ、彼らが駆るMSも火星移住計画が失敗し連邦から見捨てられた移民団の末裔たち(つまり、普通の人類)が独自に開発・発展させた兵器である事が明らかになっている。連邦軍MSは初期時から多少進化してはいたが、未だに、「コウモリ戦役」時のMSが主力であり、最新鋭機であるアデルも、AGE-1の生産仕様であり、基本設計は四半世紀前の機種である。そのため技術的格差は縮まっているものの、ヴェイガンを掃討出来るだけの軍事力を得るには至っていない。一方、AGEデバイスはフリットから息子のアセム・アスノに受け継がれ、ガンダムAGE-1で蓄積されたデータから新型機・ガンダムAGE-2が開発された。
一方、ヴェイガンはXラウンダー専用機の開発を重視し、ゼハート・ガレット専用機・ゼイドラとデシル・ガレット専用機・クロノスを開発した。主力MSは最新鋭機であるドラドに更新されつつあるが、こちらも四半世紀以上前の主力機であるガフランやバクトが現役で稼動している。

A.G.164〜(キオ編、三世代編)

この時代のヴェイガンは地球侵略を見越して開発されていた局地専用MSを相次いで投入しているが、Xラウンダー専用機においては既に技術的に性能向上が限界とされている。地球連邦軍はAGE-2をベースにした可変MSクランシェを主力とし、ヴェイガンに劣るとされた機動力の大幅向上に成功した。一方で宇宙においてはA.G.140年代を前後して反連邦勢力が台頭し、連邦正規軍に対抗可能なカスタムMSが出現するようになる。 ここになってヴェイガンの技術の高さの理由が明らかになる。銀の杯条約で破棄された技術が詰められたデータバンク「EXA-DB」の一部を入手したことにより、地球連邦軍を上回る技術を得る事が出来たと語られている。


『ガンダム Gのレコンギスタ』

ガンダム Gのレコンギスタ』(Gレコ)世界におけるモビルスーツ(MS)は、宇宙世紀が終焉を迎えて「リギルド・センチュリー」(R.C.)と呼ばれる時代になってから作られたもの。アニメ本編はR.C.1014年を中心に描かれる。

上記の通り、『Gレコ』世界はU.C.系作品世界の延長上にあるため、MSもある程度宇宙世紀の技術を反映した形で作られている(アニメ本編では、「旧世紀の遺物」として、宇宙世紀時代のMSがいくつか登場している)。しかし全ての機体が、「フォトンバッテリー」と呼ばれる動力で稼働する。

R.C.時代では「過剰な技術の進歩は世界の滅亡をもたらす」として新技術の開発はタブー視されていたが、後に公然と破る国家も登場し、更に金星近くの宙域に存在する「ビーナス・グロゥブ」の中核組織「ヘルメス財団」が設計した「G系統」のモビルスーツが戦場に投入された。


『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の世界におけるモビルスーツ(MS)は、人類存亡の危機を引き起こした「厄祭戦」と呼ばれる大戦争を引き起こした禁断の兵器「モビルアーマー」を倒すために生み出された。作中にはその当時から現存しているものと、アニメ本編の舞台となる約300年後に作られたものの2種が登場する。全ての機体が動力源として「エイハブ・リアクター」と呼ばれる相転移炉を搭載しており、高出力や高機動性とパイロットにかかるGの軽減を達成している。ただし、厄祭戦後はMS自体が貴重な存在とされており、独自にMSを生産ないし維持・運用できるのは資金力・技術力に優れたごく限られた勢力のみで、とりわけエイハブ・リアクターの新造は、地球圏最大の軍事組織「ギャラルホルン」のみが可能とされている。ギャラルホルン以外の軍事組織は、MS本体のみを新造してエイハブ・リアクターは厄祭戦当時のものをレストアして使用している。それ以外の民間軍事会社などは、モビルワーカー(MW)という、装甲車や戦車の延長上にある兵器を所有するに留まっている。

一部のガンダム・フレーム限定でMSには「阿頼耶識(アラヤシキ)システム」と呼ばれる、人間の生体神経とマシンネットワークをダイレクトリンクさせる事で、通常MSの数倍に及ぶ高機動性を獲得出来るユニットが搭載されている。このユニットとパイロットがリンクするには(基本的に取り外せない)インターフェイスを人体に取り付ける事が必要とされる。しかし劇中で普及している手術は不完全な物であり、施術を行われた少年には終生寝たきりになるリスクがあることやナノマシンの練度の低さから適合する年齢が10代限定であるなど倫理的な問題点を有しているので、非人道的なシステムとして一般には周知され忌み嫌われている。劇中後半では肉体が損壊し四肢の組織の壊死も始まっていたパイロットを一種の生体パーツとしてMSに組み込み、歪んだ形で「人機一体」を成し遂げた機体も登場した。最終的には、その実験データを元に厄祭戦のオリジナルの性能を持った阿頼耶識システムが復活している。

解説

ここからは、いずれの世界観にも共通する点や比較しながら解説する点を取り上げてゆく。

モビルスーツの構造

モビルスーツは基本的に人型をしており、ほとんどは胴部・頭部・両腕・両足を有する。一部にこれ以外の可動部として翼などを有する機体や頭部と胴部が一体となったもの、脚部の代わりとなる移動装置を備えるものもある。

宇宙世紀
主動力はミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉[45]。駆動方式においては、一年戦争(宇宙世紀0079)の機体群ではジオン軍機において「流体内パルスシステム」[46][注 8]、連邦軍機においては「フィールドモーター」を使用する方式が採用されている[47]。また、この時代のMSはボディ構造はフレームレスのモノコックが一般的である[46][注 9]。その後、宇宙世紀0087年のグリプス戦役以降の時代ではムーバブルフレームを採用したボディと、フィールドモーターで駆動する方式[49]が普及する。
未来世紀
動力源・駆動方式は不明。
アフターコロニー
動力源・駆動方式は不明。
アフターウォー
動力源・駆動方式は不明。
正暦
発掘等によって複数の時代のMSが混在するが、そのうちスモーと∀ガンダムの駆動方法には「Iフィールド駆動」の採用が明かされている。これは機体周囲に不可視のビーム梁を張り巡らし、それを制御する事で動作させるというもの[50]
コズミック・イラ
ボディはフレーム構造が一般的。大別して核分裂エンジンを搭載した機体とバッテリーを動力とした機体が存在するが、どちらもモーターによって電力駆動する点は変わらない[51]。ハードウェアにはこの時代で広く普及した量子コンピューターを標準搭載する[52]
西暦
電源には大別してバッテリーを用いた機体とGNドライヴを用いた機体が存在するが、いずれもモーターによる電力駆動機械となる[53]。ただし、GNドライヴ搭載機は既存機が推進器等を複数のデバイスで賄っていたのに対し、そのほとんどをGN系統の機器に一元化できるため、より構造が簡略化されている特徴を持つ[54]
AG
MSの動力源・駆動方式ともに不明。
リギルド・センチュリー
電力源には「フォトン・バッテリー」が用いられる[55]。装甲もフォトンエネルギーの出力を放出するフォトン装甲を採用する[55]。駆動方式は不明。
P.D.
動力源にはエイハブ・リアクターを採用[56]。全てのMSが「高硬度レアアロイ」と呼ばれる頑強な素材で構成されるインナーフレームを持つ。駆動方式は一般的にはモーター駆動だが、ガンダム・フレームはシリンダー駆動を採用しており、より人間に近い動きが可能となっている。

モビルスーツの操作

宇宙世紀

動作の大半はコンピュータが代行しているが、一年戦争の機体においてはフットペダルとレバーを用いてパイロットから制御を行う。飛行方向の制御から武器選択と発射まではスティック部で行える。フットペダルは右方向がスロットル用で左方向はブレーキまたは逆噴射用。ただし、モードセレクターを切り替える事で右ペダルは歩行動作用となる。航行も予め航路設定プログラムが入力されている[57]

さらに同じ1年戦争時期の作品である「機動戦士ガンダム サンダーボルト」でのジオン軍サイドでのリビング・デッド師団で用いられているMSでは「リユース・P・デバイス」と呼ばれているシステムが導入されている。これは操縦桿の代わりに特殊な端子を組み込まれた義手・義足をコネクターに差し込み、挙動を同期させるという特殊な操縦方法で、これを用いたMSが作中に登場している。

U.C.0088年の時代を描いた『ガンダム・センチネル』には「IMPC(Integrated Maneuver Propulsion Control/統合機動推進制御)」と呼ばれる制御システムがデザインされている。IMPCは発進、巡航、空間戦闘、着陸、歩行の五つの基本機動を自動的に制御しており、パイロットは状況に応じスイッチを切り替えるだけで機体がそれに対応した動作を行うため、パイロットの重要性はそのままに操縦の負担が大幅に軽減されている。IMPCは教育型コンピューターに構築されたシステムであり、パイロットの操縦データを入力することでシステムがそれを覚え、動作パターンのアップデートを行っていく。ただし、データにない動作はパイロットが独自に対応しなければならず、データ通りの行動に不満を持つ場合もパイロット自身が操縦して修正しなくてはならない。また、システムのアップデートには熟練パイロットによる操縦データの供給が必須となっており、データ供給を目的とした教導隊も設立されているが、IMPC自体は熟練パイロットから人を堕落させる妖精である「インプ」の蔑称で呼ばれている。動作パターンの構築についてはパイロットの操作を学習する他にも、基本的な動作についてはモビルスーツの教育型コンピューターに人工知能端末を外部接続し、両者を仮想空間上で戦わせることで構築することができる旨が『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』で語られている。

U.C.0090年代前半(『逆襲のシャア』の時代)にはアームレイカーと呼ばれる球状のコントロールスティックによる操縦方式が浸透した。これはスラスターの噴射からモビルスーツの指の動きまで、全ての操作を手元で行うことができるという物であった。だが、その一方で衝撃によって手が抜けやすく、万一手指を負傷した場合、機体の操作に支障をきたすという欠点があった。それゆえに不評も重なり、数年後の連邦軍機ではアームレイカーの採用は中止されている。また、サイコミュにより操縦をサポートしている機体も存在する。

『逆襲のシャア』の3年後の世界を描いた『機動戦士ガンダムUC』では、コンソールのタッチパネルやレバーに備えられたボタンでの武器の選択、使用、パージを行っている描写が見られる。またフットペダルを踏み込んだり、レバーを前に押し出すとモビルスーツの推進器の出力が上がるようである。しかし、フットペダルとレバーを操作して出力を上げる描写があるのはいずれもユニコーンガンダムで、しかも別々のシーンでこれらの方法が用いられている。よって二つの方法が連動している操作方法なのか、あるいは別の操作方法なのかどうかははっきりとしない。 そして、上記のユニコーンガンダムはNT-Dというシステムが起動してデストロイモードに移行すると、手足による操作からパイロットの意思をダイレクトに機体モーションに反映するインテンション・オートマチックに切り替わる。これはサイコミュの技術発展が成した産物であるサイコフレームが骨格となっているため実現したシステムである。

未来世紀

未来世紀においてはモーションキャプチャに似たシステムを用い、コクピット内の操縦者の動きをトレースすることでモビルファイターを動かすモビルトレースシステムが実用化されている。これはモビルスーツの操作技術としては史上最高峰の技術とされ、実用化されていたのはこの時代だけである。また、この技術を採用しているか否かで「モビルスーツ」と「モビルファイター」は明確に区別されている。後にこの技術は失われてしまい、この時代に作られた機動兵器はコクピットを交換して運用される事となった。しかしながら格闘技に精通したパイロットでなければ真価を引き出せない点、パイロットによる癖が出やすく均一化が困難という軍用としては無視できない欠点を抱えており、実際にはモビルトレースシステムが従来の操縦システムに取って代わられることはなく軍用としてはファントマライジングガンダムなど一部のみの採用に留まり、実態としては軍用の量産機としては大半がモビルスーツである。特殊な例として明らかに自動車のハンドルにしか見えない操縦桿で操作されるバトラーベンスンマムのようなケースも見られる。

アフター・コロニー
OZ製の一般的なモビルスーツではレバーやペダルを用いて制御を行う[58]。ガンダムエピオンはデータヘルメットによって戦場の様子が投影される仕組みとなっており、スイッチ類で操作を行う[58]
アフター・ウォー
モビルスーツの操縦系統において明示的な設定は存在しない。
正暦
明示的な設定は存在しない。
コズミック・イラ

コズミック・イラのモビルスーツは、シナプス融合による神経接続によって操縦が行われる[59][注 10]。このため、コズミック・イラのモビルスーツにおいては生体組織を模したバイオ系コンピュータが使用される[60][注 11]コーディネイターの身体能力を基準に造られたザフト製のモビルスーツは、大半のナチュラルでは元々戦闘における運用実績が無いこともあって操作が困難であった。ナチュラルがナチュラル用OSを搭載していないMSを操縦できないのは、インターフェイスの複雑さ故に、常人の脳神経が持つ処理能力ではその膨大なパイロットワークをこなせないからであり、操縦を可能にするにはシステムのイオンポンプを神経接続速度をナチュラルのそれに合わせてやらねばならない[注 10][注 12]ほか、人工知能によるアシスト[61]や予め動作パターンを入力し、システム側がパイロットに対応する[62]等幾つかの補助手段を講じる必要性がある。そのため地球連合軍ストライクの実戦データをもとにナチュラルでも操作できるモビルスーツのOS(オペレーティングシステム)を開発するまで、モビルスーツ普及に支障をきたすこととなる。他の世界観のモビルスーツも人工知能などによる操作補助がなされているとされるが、コズミック・イラ作品群では特にOSなどを重要な要素として描いている。

西暦

西暦においては、人類革新連盟のモビルスーツは立座型コクピットとなっており直立状態で操縦を行う。コクピット内にはモニターがなく、パイロットは専用のヘッドマウントディスプレイが取り付けられた専用のスーツを着用しヘッドマウントディスプレイから外部情報を得る。また、宇宙型ではコクピット内は真空になっており、パイロットにはヘッドマウントディスプレイから外部情報と共に空気が送られている。

アドバンスド・ジェネレーション

明示的な設定は存在しない。

リギルド・センチュリー

明示的な設定は存在しない。

P.D.

P.D.においては、着席状態でのレバーやフットペダル等による操縦という面で旧来のシリーズと同様であるものの、操縦システムに有機デバイスシステム「阿頼耶識システム」を導入しているか否かで大きく異なる。阿頼耶識システムが搭載された機体は、パイロットの脊椎に埋め込まれたコネクターと有線接続するためのインターフェースを有する。パイロットは接続した機体の情報を脳内で処理するためマニュアルを必要とせず、通常の操縦方法より反応速度や操作性が向上し、網膜投影システム等により自身の体のような感覚で機体を操ることを可能にする。ただし、パイロットに必要となる手術の危険性や、基本的に成長期の子供にしか定着しないという特性に加え、MSに使用すれば膨大な情報フィードバックが脳に深刻な負荷をかけ、機体と脳を過度にシンクロさせると肉体に障害を負ってしまうおそれがあるなど、パイロットにかかる負担が非常に大きい。そのため主流となった大戦末期以降は非人道的なシステムとされ、正規にはほぼ忘れられた技術となっていくが、その後も地球圏外の識字率の低い貧困層や犯罪組織において運用される傾向にある。

モビルスーツの動力

『機動戦士ガンダム』(その他「宇宙世紀」)
宇宙世紀作品群においてはミノフスキー物理学を応用したミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉が動力源とされる。このためロケットノズルの推進剤を除く機体そのものの稼働時間、航続力は極めて長大であり、作戦行動上は事実上無制限といってよい。燃料を構成するヘリウム、セシウム5等は木星で採取され、「ジュピトリス」等の輸送船団によって定期的に地球に運ばれてくる。
アムロが初陣でザクIIの動力炉をビームサーベルで斬ったために大爆発が起こり、コロニー外壁にダメージを与えた描写があり、他にも『08MS小隊』の陸戦型ジムや『Vガンダム』のジャベリン、『ガンダムUC』のリゼルなど度々動力炉を原因とする大爆発を起こすシーンが描かれているが、これについては『機動戦士ガンダムNT』でヘリウム3がミノフスキー粒子と結びつくことで臨界状態になり、そこに誘爆することで臨界爆発が起きると設定されている。現実の熱核融合炉では原理的に、核分裂で爆発する原子爆弾で核融合を起こす水素爆弾と異なり、放射性物質が飛び散る危険性はあるものの破壊や暴走による爆発の危険はなく、本来であれば核融合が停止するだけである。また、臨界爆発を意図的に起こす場合も大量のミノフスキー粒子が必要となり、ヘリウム3を備蓄したガスタンク一基を臨界爆発させるには連邦全軍のミノフスキー粒子散布装置を集めても足りないと言われている。
なお、『08MS小隊』や『Vガンダム』ではそれらの爆発を核爆発に類するもの[63]、あるいは核爆発であると明言して扱っている描写[64]があり、さらに『Vガンダム』では大気圏内において戦艦の核爆発を警戒する場面や、意図的にモビルスーツを爆弾として利用する場面も存在するため、時代に関係なくモビルスーツや艦船に搭載されている動力炉によって発生する大爆発はいわゆる核爆発に当たる物として設定されている。
その他に動力炉に関係する演出としてはサザビーV2ガンダムが戦闘中にパワーダウンを引き起こす描写がある。
『機動新世紀ガンダムX』
機動新世紀ガンダムX』では15年間放置されていたガンダムXが、手入れなしで特に支障なく一通りの戦闘をこなしていた。
『∀ガンダム』
この作品では、どれほどの期間土中に埋もれていたのかわからない(7800年程度)モビルスーツがそのまま稼働しているが、これはすべての機体が半永久機関を搭載しているという設定である。中でも人類の文明が最も栄えた時代に作られたといわれている∀ガンダムスモーは、縮退炉(いわゆるブラックホールエンジン)が動力源となっている。
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ
これに対して『機動戦士ガンダムSEED』シリーズにおいてはモビルスーツの動力源やその運用可能時間は重要な問題となっている。コズミック・イラ71年当時のモビルスーツは、宇宙世紀のモビルスーツとは違い核融合炉は実用化されておらず、ザフトの散布したニュートロンジャマーによって核分裂反応炉が使用不可であるため、ほとんどの機体がバッテリー駆動である。そのため機体の稼動時間制限や母艦との連携が非常に重要なファクターになっている。劇中でも多くの機体、取り分けビーム兵器やPS装甲等の高出力の装備を有する機体は幾度となくバッテリー切れによる帰艦を余儀無くされている。
後に、ニュートロンジャマーを無効化するニュートロンジャマーキャンセラー(劇中では「Nジャマーキャンセラー」と省略され表現される)を搭載することにより、核分裂エンジンを使用することが可能になったモビルスーツも登場する。それらのモビルスーツは、バッテリー駆動の機体では搭載できないような大出力の兵器を使用することが可能であるため、他のモビルスーツと比較して格段に戦闘力が高い。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦終結後、ユニウス条約により核エンジンの軍事目的における使用が禁止されたため、コズミック・イラ73年(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』)において、ザフトは母艦からモビルスーツに無線で電力を供給できるデュートリオンビーム送電システムを開発、インパルスを始めとする「セカンドステージモビルスーツ」に採用される。ただし、この頃オーブにおいて核エンジンを動力とするフリーダムがそのままの状態で復元され、実戦でも使用されているが、作中でこの件が問題にされたことはなかった。小説版においては、戦後の混乱の最中、フリーダムの資料は破棄されたものとして扱われている[注 13][65]。『SEED』の劇中でもフリーダム、ジャスティスが核エンジンを搭載していることはザフト内でも秘匿されていたような描写が見られる。
この頃地球連合軍が強奪したガイア等のモビルスーツにもデュートリオンビーム受信システムが搭載はされていたが、地球連合軍にデュートリオンビーム送電システムのノウハウや設備が無かったため、バッテリーのみでの駆動で運用されていた模様である。その後、地球連合軍の核攻撃などでユニウス条約が事実上形骸化したため、核エンジンとデュートリオンシステムという2つのジェレネーターのハイブリッド化によって出力増加と半無限の持続時間の確保が図られ、デスティニー等ザフトの新型モビルスーツに搭載された。クライン派のストライクフリーダム等も、このハイブリッド機構により従来の数倍の出力を得ることに成功している。
現実世界の原子力発電臨界により連続発生する核分裂反応の熱で水を煮沸させタービンを回転させるタイプが主流であるが、コズミック・イラ世界の原子炉ではMHD発電を採用し、炉からの熱エネルギーを電力に直接変換している[66]。艦船の動力源は開戦以前は原子力を採用していたものの、Nジャマーによってそれらが無効化されたため、旧式のガスタービン[67]や太陽光発電を用いたものが散見され、推進器にはレーザー核融合パルス推進を用いているとされる[注 14]
『機動戦士ガンダム00』
機動戦士ガンダム00』にてソレスタルビーイング(以下CB)が所有するガンダムには太陽炉(以下GNドライヴ)という半永久機関が搭載され推進・動力供給・防御・ジャミングを一手に担う。これによりガンダムが活動を開始した2307年当時、各国が所有するMSを遥かに上回る能力を持っていた。2307年時点の各国のMSの動力源については詳しく言及されていないが、内燃機関や太陽光発電を利用した外部電源方式を採用していた。後に、30基の擬似太陽炉(以下GNドライヴ[T])とそれを搭載する機体(ジンクス)がユニオン・人類革新連盟・AEUに提供されCBのアドバンテージは消失した。
5年後の2312年ではCBがGNドライヴを2基使用したツインドライヴシステムを搭載するダブルオーガンダムの他に、GNコンデンサーで稼動するGNアーチャー等のMSが完成している。またGNドライヴ[T]は連邦によって生産が行われ、主力兵器のほとんどがGNドライヴ[T]搭載機となったが、それを取り扱う施設の問題から場所によって旧世代機のMSも配備され続けている。また、イノベイター勢力が保有するガデッサ等のMSにも搭載されているが、彼等の技術によって改良が加えられ小型化・高性能化されている。
2種類存在するGNドライヴの相違点は、発生するGN粒子の特性・稼働時間の有無・生産性の違いが挙げられる。GNドライヴは「トポロジカル・ディフェクト」と呼ばれる現象を稼働原理としており、活動時間はほぼ無限の半永久機関となっている。反面生産性は皆無でGNドライヴの製造には膨大な時間[注 15]と木星のような高重力下の環境が必要とされる。これに対しGNドライヴ[T]は、電力によりGN粒子を発生させるといういわばGN粒子変換器で、活動時間が有限であるが出力に関しては同等の能力を持っている、また生産性も高く量産にも向いている。GNドライヴ[T]が生成するGN粒子は真紅[注 16]の光を放つ。このGN粒子の放つ光の違いから、GN粒子の光だけでどちらのドライヴを搭載しているかは識別可能である。
また、通常の3倍以上の機体スペックを発揮するトランザムシステム (TRANS-AM) がGNドライヴのブラックボックスに搭載されていた。これはオリジナル特有の能力だったが、後にGNドライヴ[T]でも同システムが発動出来るようになりこのアドバンテージも無くなっている。トランザムシステム発動中は機体スペックを大幅に引き上げるメリットがあるものの、蓄積したGN粒子を大量消費するため発動後の機体性能が大幅に低下する。またGNドライヴ[T]にて同システムを発動しGN粒子を使いきった場合、最悪ドライヴ破損にも繋がるデメリットも存在する。
擬似GN粒子の人体に対する影響はドライヴから放出されているだけなら特に毒性は無く、ビーム兵器用に高圧縮した時のみ毒性が発生する(改良型では無毒化された)。またオリジナルのGN粒子もある特定条件下では強い毒性が発生する性質がある[注 17]
第2世代の段階でGNドライヴを2基搭載するツインドライヴシステムの構想は存在したものの、機体の大型化を招くのと安定度の不安から実現しなかった。後にイオリア・シュヘンベルグ(ヴェーダ)によって送られたトランザムシステムと共にツインドライヴの情報がプトレマイオス側に送られ、これにより実現化の目処が立っていたがドライヴ同士のマッチングの問題が発生、ガンダムエクシアと0ガンダムに搭載されていたGNドライヴによって同調に成功したものの出力が安定していなかったが、後にそれを制御するシステムを備えたオーライザーが完成し、ツインドライヴシステムの全能力が発揮されることになった。
『機動戦士ガンダムAGE』
動力源について特別に語られるシーンはほぼ見受けられないが、作業用のモビルスタンダード「デスペラード」については、水素エンジンを搭載している設定となっている。
『ガンダム Gのレコンギスタ』
この世界のMSは全て「フォトン・バッテリー」と呼ばれる特殊なバッテリーで稼働しており、それを生産・供給しているのは地球から伸びた軌道エレベーターの終点にある「ヘルメス財団」と設定されている。ヘルメス財団以外がバッテリーを製造することは禁止されており、独占供給状態を維持している。また、彼らが人々に広めている宗教「スコード教」は大多数の人が信仰しており、日常のあいさつに「スコード」という言葉が用いられるほど人々の生活に根付いている。
搭載MSの中でも主人公機のG-セルフは特にバッテリーの出力が高く、その余剰出力によって機体が青く発光する現象が散見された。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』
この世界では、物語開始時点から約300年前に「エイハブ・リアクター」という相対炉が発明され、それが「厄祭戦」という世界規模の大戦争の遠因となったとされている。このリアクターはMS、艦船に搭載される目的で広く普及し、内部で発生させる「エイハブ粒子」の作用によりMSパイロットへのG負荷の軽減、宇宙船内での擬似重力の形成などの副次効果ももたらした。耐用年数も非常に長く、300年前に放棄されたリアクターがそのまま稼働している例も多い。
ただし、エイハブ粒子が電波障害を引き起こしやすいという短所も持ち合わせているため、市街地に持ち込むと都市インフラを麻痺させてしまう。そのため地球では、都市部にリアクター、およびそれを搭載した兵器を持ち込むことを固く禁じている。
この作品における「ガンダム」は、リアクターを2基内蔵して並列稼働させる「ガンダム・フレーム」という骨格を採用したMSを指す。しかしながらリアクターの並列稼働は技術的に困難を伴い、コストも高くなってしまうため、ガンダム・フレームは72機で生産が打ち切られ、番組中の年代では26機の残存が確認されているとされる。

推進剤

MSは機体本体の動力以外に、スラスターやロケットモーターをいくつも装備している。コズミック・イラや宇宙世紀の世界観では、石油を初めとする化石燃料資源がとうの昔に枯渇したことになっている(だが宇宙世紀にガソリン車がまだ存在する)。これに伴って、コズミック・イラでは(ニュートロンジャマーで阻害されるまでは)発電所や軍艦のエネルギー源が専ら原子力になっている。アフター・コロニー、アフター・ウォー、コズミック・イラにおいて航空機のジェットエンジン、艦船のガスタービン、そしてMSのスラスターの燃料はそれぞれ明文化がなされていないものも存在する。

宇宙世紀における推進方式

宇宙世紀においては、宇宙空間では熱核ロケットエンジン、大気圏内では熱核ジェットエンジンを使用する。前者は炉心からのエネルギーによってプロペラントタンク内の推進剤を加熱膨張し、これを任意の方向に噴射する。後者は、水素を媒体として大気に熱エネルギーを伝え、これを高速噴射することで推力を得るものであるが、大気がない宇宙空間では使用できないため、宇宙戦用MSなどでは前者を使用する。また、大気圏内・外を問わず使用できる汎用MSでは、これらを切り替えられるMSも存在する。いずれの方法であれ、推進剤を使い切ってしまうとバーニアやスラスターによる機動は不可能になり、地上では歩行・走行のみ、宇宙空間では他の浮遊物を押す、蹴るなどしての反作用を使った移動しか出来なくなる。

アフター・コロニーにおける推進方式

明文化された推進方式としては、ガンダムL.O.ブースターにおいては反応炉から得られたエネルギーの推進利用[68]ガンダムグリープにおいて星間エネルギー吸入式プラズマジェットの存在が言及されている[69]

コズミック・イラにおける推進方式

コズミック・イラは地上において超電導電磁推進により吸入した空気を噴射することで行われるとされ、水を注排出することで水中でも利用できる[70]推進器を導入している。反面、大気圏外の推進方式には不明瞭な点があり、ガス噴射を用いるコスモグラスパーレーザー核融合パルス推進を搭載する「アークエンジェル」を除けば言及はなされていない。設定担当の森田繁は、「何を噴射して推進剤にしているかは決めていないんです」と答えている一方で、大気圏内ならば暖めた空気を噴出しているのではないかとの見解を示している[71]

CE73年になると、光圧を推力に変換するヴォワチュール・リュミエールも登場した。

西暦における推進方式

西暦のモビルスーツにおいては、CBの所有するガンダムはGN粒子を噴射するGNバーニアを用いており、それ以外のモビルスーツは水素や電気を推進剤としている。ユニオンにおいては、水素をフレームに浸透させることで燃料を確保する方式を採用。また、太陽光発電システムから直接電力を受信することでエネルギーを得る機体も存在する(AEUの機体)。一方の人類革新連盟のティエレン宇宙型やティエレンタオツーは燃料タンクを装備しているなど技術的には古いといえるが、水を燃料とするなど他国とあまり変わらない。CBの支援組織「フェレシュテ」が保有するガンダムの一機、ガンダムアブルホールもGN粒子を噴射するGNバーニアと水素を燃料とするプラズマジェットを使い分けることができる。

P.D.における推進方式

エイハブリアクターから発するエイハブ粒子を噴射するエイハブスラスターが存在。この方式ならば新たな推進剤は必要としないが、非力なため姿勢制御等への使用がメインとなる。そのため、主な推進器は高熱によって膨張した水素を噴射する熱相転移スラスターが用いられている[72]

モビルスーツの武装

火器類

モビルスーツの武装は、大きく分けて実在の歩兵火器をモビルスーツ大に大型化したものと、ビームライフルに代表されるビーム兵器など架空の兵器とに分けられる(なお、主人公が使う機体はほとんどビーム兵器が使用されている)。ビームライフルやメガ粒子砲などはミノフスキー粒子を圧縮して打ち出す武器で、MSのほとんどはこの武器を通常装備としている。火薬を使用した火器は確実さとエネルギー消費の少なさから、ビーム兵器は破壊力と弾速から用いられる。宇宙世紀においては特にメガ粒子によるビームが用いられる。他にもレールガンが使用されることもある。形態としてはマシンガンアサルトライフルスナイパーライフルバズーカに似たものが多い。生物よりも遥かに強靭なボディを持つモビルスーツは、人間なら両手でなければ到底保持できないようなバズーカなども片手で軽々と扱うことが出来る。

また、手持ちの火器とは別に、小型(と言っても数十ミリ口径のものにはなるが)の機関砲バルカン砲を内蔵火器として装備しているモビルスーツも多数存在する。これらの火器は頭部や胸部に設置されることが多く、主に迎撃・防御用兵器として使用される。ガンダムガンキャノンジム等に搭載されているバルカン砲は口径60mm、発射速度は毎分500〜2000発程度であるという。

この他、機種によっては固定火器として大砲(キャノン砲)や大型ビーム砲、ロケットランチャーなどを装備している場合もある。中にはこうした大型火器の運用を主目的とした、自走砲的な運用がなされるモビルスーツも存在している(例としてガンキャノン・ガンタンク)。これらは一般に支援モビルスーツなどと呼称される。

宇宙世紀では一年戦争の頃には多くのバリエーションが見られるが、機体の万能化により次第にその姿を消していく。

コズミック・イラの地球連合軍では、汎用モビルスーツのバックパックを砲戦仕様のもの(代表例としてはストライクランチャーストライカーザクウォーリアのガナーウィザード、ダガーLウィンダムに装備可能なドッペルホルン連装無反動砲などがある)に換装することで支援機体としての運用性を確保する方法が一般的であるため、地球連合軍による換装システム確立以前の機種であるザウートとその後継機であるガズウートバスターとその量産型バスターダガーカラミティを除けば、支援モビルスーツという分類のモビルスーツ自体がほとんど存在しない。

西暦においては、CBのガンダムが使用する武装の大半がGNドライヴ(太陽炉)から供給されるGN粒子を用いたビーム兵器であるのに対し、他の国家群は実弾兵器のみの状態が当初は続いた。しかし、後にCBから内通者が出たことにより、CBのテクノロジーが世界に拡散し、「擬似太陽炉」が開発された。この擬似太陽炉とビームライフルを標準装備した初の量産型MS「GN-X(ジンクス)」が開発され、地球連邦はCBを一旦は壊滅させるほどの大戦果をあげることができた。しかし4年後に活動を再開したCBは再度ガンダムを開発。これに対抗する国家群の兵器の進歩も止まらず、CB側は機体のパワーアップ機構「トランザム」と連動した武装の開発、国家群改め地球連邦は擬似太陽炉の出力と信頼性向上を果たし、ガンダムに勝るとも劣らない大出力ビーム砲を装備した機体、さらにはトランザムを模倣した機体も登場した。MSの分類という点では、国家群のうちユニオンおよびAEUは「ユニオンリアルド、AEUヘリオンなど高機動・可変MSによる汎用性」を重視していたのに対し、人類革新連盟は「ティエレンなど重装甲型MSの大量配備」を重視しており、国家ごとのドクトリンの違いによりMSの系統が決まっていた面が大きい。これらの違いは国家群が地球連邦として統合後、主力MSがGN-X系や、その発展型のアヘッド系に移行したことでほぼ統一された。さらに上位機種として、イノベイドの士官が登場する「ガ」シリーズも開発されたが、こちらは明確に砲撃戦用、格闘専用など役割を明確化している。

A.Gにおいては、ガンダムAGE-1の装備する革新的なビームライフル「ドッズライフル」により、U.EのMSの装甲に対抗する術を得た。このライフルは後に地球側の標準装備として量産され、戦局の打開に貢献した。MSの分類についてはU.E側が様々な役割を持ったMSを多数繰り出すのに対し、地球側は汎用機と、一部それをチューンアップしたエース用の高機動戦闘向けの機体がほとんどであった。ガンダムAGE-1、2、3は戦局に応じて手足を交換する「ウェアシステム」によって機体特性を大幅に変更でき、格闘戦から遠距離砲撃戦、高機動戦闘まであらゆる戦局に対応することが可能であった。

リギルド・センチュリーにおいての射撃兵装は旧来のシリーズを踏襲している。

P.Dにおいては、MS大の機関砲やアサルトライフル、バズーカ砲や滑腔砲などは普及しているものの、ナノラミネートアーマーの普及によって射撃兵装が牽制程度にしか役に立たないため、アニメ第1期終了時点では射撃・砲撃戦用のMSというものは存在しない。登場勢力の中でMSを最も多く運用するギャラルホルンは、機体を全て汎用MS「グレイズ」とその派生機で揃えており、手持ち火器を持ち替えることで多様な任務に対応させている。アニメ第2期ではグレイズの後継機「レギンレイズ」の配備が上級士官向けに始まっているが、そちらの射撃兵装も実弾兵器であるレールガンがオプションで用意されているにとどまる。その他の勢力も、殆どは手持ち火器や簡単な装備追加に留めており、極端な射撃能力の向上は図られていない。

格闘武装

MSが近接白兵戦を実施する場合、ナイフなどをモビルスーツ大にして熱や高周波で破壊力を増したもの、あるいはビームサーベルのように刃をビーム化したものがいわゆる「斬撃兵装」としておもに使用される。

何らかの理由で携帯武装を使用できない場合、徒手空拳の“素手”による殴打、蹴りをおこなう場合もある。細かい関節が集中するマニピュレーター(手)で拳を作り殴りつけることについては、一部関連書籍において『機動警察パトレイバー』の例等にならいあまり推奨されない緊急戦闘手段である旨解説される場合があり、小説版『ジオニックフロント』でも、ソフィ・フランがジムを相手に格闘攻撃を仕掛けた際、「サーボ機構に負担がかかるため整備班からは止められている」といった発言があることから、モビルスーツによる格闘はそれなりに機体へ負担をかけるというマイナス面があるとされている。

しかしながら、「ガンダムシリーズ」の映像作品劇中ではそういったマニピュレータの強度的問題に関する懸念は全く描写されず格闘戦が展開される。『機動戦士ガンダム』TV版第1話および劇場版Iにおいて、ガンダムが素手でザクIIのマルチプルノズルを引きちぎる描写があった。シャア・アズナブル少佐のMS-06SザクIIは左拳でボディブローをガンダムの右脇腹に叩き込み当該箇所の装甲を撓ませた。また、脱走兵ククルス・ドアンの駆るMS-06ザクIIが追っ手のザクIIを正拳突きで撃破したり、オルテガのMS-09ドムがミデア輸送機を両手を組んだナックルボムで破壊したりもしている。『機動戦士Ζガンダム』では主人公カミーユのガンダムMK-II3号機がもう1機のMK-IIを連続殴打。『機動戦士ガンダムΖΖ』では主人公ジュドーがゲモン・バジャック駆るゲゼを相手にボクシングのような動きをみせ、逆にゲゼの右2本の腕の連続ジャブを返されノックアウトされてしまう場面があった。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、武器を使い果たしたνガンダムサザビーの頭部に左ストレートの連打を見舞って内部全周モニターの一部を破壊している。『機動戦士ガンダム0083』ではバニングのRGM-79Cジム改がやはり左ストレートでザメルを殴りつけた。『機動戦士Vガンダム』ではワタリーのZM-S08Gゾロがマニピュレータをドリルのように高速回転させたコークスクリューパンチでVガンダムの右腕を破壊している。一方、もともと初期設定でのザクIは、ショルダーアタックを代表とする格闘能力のみで戦うことになっていた。

機動新世紀ガンダムX』のガンダムXガンダムダブルエックス、『機動戦士ガンダムSEED』のストライクガンダムは、両者とも初陣で敵MSに正拳突きを見舞っている。

水陸両用モビルスーツの多くは携帯火器を持たず、その保持のためのマニピュレータも備えず、「アイアンネイル」(ないし「バイスクロー」)と呼ばれる巨大な金属製のかぎ爪を用いた格闘戦を主戦法とする例が大半である。これは設定上では水中で火薬式の銃砲弾やビームの使用が困難なこと、演出上では半魚人的な化け物としてデザインされた水陸両用MSのキャラクター的特質によるものである。ただ、アイアンネイルの見た目はかぎ爪であるものの、戦場で一定の作業性を持つマニピュレーターとしての機能も有していると設定されている[73]

水中行動時、マニピュレーターの代わりに固定式の格闘武装(大抵は巨大な爪)を装備していることが多い(爪の他にも、ロケットランチャーやビーム砲を腕部に内蔵しているケースも頻繁に見受けられる。従って大抵の場合、こうしたモビルスーツの腕部は「手」としての機能を成さない)。

ただし、またそれ以外では、一方、ライフルのストックで殴りかかるという現実の歩兵戦で多用されている戦法も『機動戦士Ζガンダム』以降は全く使われなくなった。特殊な例としてはグフに装備されたヒートロッドが存在するが、装備した機体の種類は少数に留まっている。その一方で、ショルダーアタック戦法は、マラサイからギラ・ドーガデナン・ゾンへとその無骨な外観とともに継承されている。

『Gガンダム』の未来世紀で行われているガンダムファイトでは格闘家がモビルトレースシステムを用いてモビルファイターを動かすことから、他の世界観のモビルスーツと比べて格闘戦用の武装を用いる割合が非常に高い。例えばシャイニングガンダムのシャイニングフィンガーやゴッドガンダムの爆熱ゴッドフィンガーなど、手そのものを必殺の武器にしてしまうケースもある。他のモビルファイターも、他の世界観では見られないような奇抜な武装を数多く用いている。

一方さらに他の世界観でもジ・Oセラヴィーガンダムの隠し腕やデスティニーガンダムの掌部ビーム砲「パルマ・フィオキーナ」など、意表を突く格闘用武装を持つケースはある。

『鉄血のオルフェンズ』ではビーム兵器が厄祭戦時代の対人兵器として設定されている[74]世界観となっており、近接戦は剣や手斧、メイスといったごく一般的な武器で行われている。これらの武器は旧来のシリーズのような赤熱化や超振動などの特別なギミックは備えておらず、力任せに斬りつける、叩きつけるのが基本戦法である。このような戦術が一般化している理由としては、ナノラミネートアーマーという特殊装甲の存在があり、これを打ち破るには物理衝撃を直に与えることが有効とされているためである。ナノラミネートアーマーはMSのみならず戦艦にも装備されるほど普及しており、中には「強襲装甲艦」というジャンルの戦艦が存在する。これは、艦の前面にナノラミネートアーマーを装備した強固な装甲を装備し、それを頼みに敵陣に突入、場合によってはそのまま体当たりを仕掛けることも可能な戦艦である。

遠隔操作兵器

宇宙世紀作品群には、ミノフスキー粒子存在下でニュータイプの強力な感応波によって遠隔操作を行うサイコミュという技術が開発されている。これによりビットファンネルと呼ばれる遠隔操作用小型兵器が生まれた。また、ニュータイプではない人間(オールドタイプ)でも扱えるようにした、有線式のインコムも存在する(ただし、射程・動きの精密さ等で劣る)。「ガイア・ギア」の時代では、ニュータイプ能力を持たない人間にでもファンネルが使用できるほどに技術が進歩しているが、肉体的・精神的に凄まじい負担がかかる事を覚悟せねばならない。これらは機体から射出・操作し、多数の敵を同時に攻撃したり、逆に一体の敵を死角から取り囲んで集中砲火を浴びせるなど、オールレンジ攻撃を行うことが出来る。『ガンダムX』にも同じような技術「フラッシュシステム」が存在するが、単なる小型兵器を操るだけでなく、機種によってはビットモビルスーツという無人モビルスーツを遠隔操作出来る。

コズミック・イラではガンバレルドラグーンシステムといった遠隔操作兵器が登場するが、これらは感応波ではなく有線ないし無線(量子通信)で操作される。しかし操縦者にニュータイプに似た超人的な空間認識能力を要求するため、限られた人間にしか扱えなかった。しかし、後にシステムに改良が加えられ、ある程度の普遍化に成功している。

西暦では、GNビットと、それを発展させたGNファングが登場する。こちらの制御手段は、ハロなどの機械的バックアップを受けるか、脳量子波を用いて自力で制御するかの2つが判明している。

そのほかの兵器

現実世界において中〜遠距離兵器として頻繁に用いられるミサイルは、(モビルスーツで白兵戦を行う意義の関係からか)モビルスーツ用の主武装としてはあまり用いられない。特に宇宙世紀作品群においてはミノフスキー粒子によって、コズミック・イラ作品群においてはニュートロンジャマーによって、レーダーが使えなくなっている場合が多いためである(このミノフスキー粒子やニュートロンジャマーという存在自体が、モビルスーツによる白兵戦を必然のものとするために創作されたものである)。ただし、小型のミサイルを固定火器やオプション武装として装備しているモビルスーツは、世界観、時代を問わず比較的多い。その母艦となる艦船等も対艦、対空ミサイル兵装を普通に装備しており、また使用しているため、「電波妨害」の設定が影響した具体的場面描写は皆無に近い。

まれに戦略兵器として、核兵器あるいはこれに匹敵する破壊力を持った兵器がモビルスーツによって運用されることがある。宇宙世紀では一年戦争初期にザクIIC型が核を運用したが、後に南極条約によってこの種の大量破壊兵器の使用が禁じられた。しかしガンダム開発計画においてガンダム試作2号機が核攻撃用モビルスーツとして開発され、デラーズ・フリートによって核弾頭ごと強奪されたあげく実際に連邦軍艦隊への襲撃に使用されてしまった。『∀ガンダム』では核弾頭が禁断の兵器として発掘されるが、月面都市に衝突しそうな小惑星を破壊するために∀ガンダムによって使用される。また、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にあっては、地球連合軍ウィンダムに核ミサイルを搭載しプラント攻撃を図ったが、これはザフトのニュートロンスタンピーダーによって阻止されている。核以外でも化学兵器である毒ガスが、一年戦争初期のコロニー攻撃などにおいてモビルスーツによって使用されている。

特殊な兵器としてはマイクロウェーブによるエネルギー伝送を利用したガンダムXサテライトキャノン及びガンダムDXのツインサテライトキャノン、ナノマシンによって周囲の物体を分解してしまう∀ガンダム及びターンX月光蝶、CBのメインコンピュータ「ヴェーダ」とリンクする機体全てを制御下に置くガンダムナドレのトライアルシステム及びセラフィムガンダムのトライアルフィールドが挙げられる。これらは単機で戦局や地形を変えるほどのすさまじい力を有すると共に、それぞれの世界観そのものと直結した存在でもある。

モビルスーツの運用・補給・支援について

運用のための設備について

モビルスーツは専用の整備設備を持つ基地、あるいは同等の機能を有する海上空母宇宙戦艦宇宙空母などの艦艇での運用が前提となっている。

前者の例としては『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』での極東方面コジマ大隊基地や、『ガンダムSEED』のアルテミスなどが挙げられる。これらはMSのみならず、大型艦船なども入港するため、大規模なデッキが複数存在する場合が多い(『機動戦士ガンダム』のソロモンや、各コロニーなどで描写がなされている)。また、巨大な宇宙要塞になると、アルテミスの傘などの特殊な防衛兵器が見受けられる場合もある。

後者の例としては『機動戦士ガンダム』のホワイトベースドロス、『Ζガンダム』のアーガマ、『逆襲のシャア』のラー・カイラム、『ガンダムSEED』のアークエンジェル、『ガンダム00』の地球連邦軍所属の艦艇などが挙げられる。これらはモビルスーツを発進させるためのカタパルトや着艦のためのデッキ、および整備のための諸設備を備えている他、『ガンダム00』ではジンクス系列の機体に搭載されているGNドライヴ[T]はスターターが必要な関係上、専用の設備が必要となるため、MS母艦との連携が必須となる。

飛行能力について

飛行に適さない人型であるモビルスーツは基本的に単独での飛行を行うことは不可能であり、単体での機動力が不足する大気圏内などでは空中で運用するための様々な装備が開発されている。ただし、時代設定や作品によっては技術革新により単独での飛行能力を有する場合も存在している。

特に宇宙世紀を舞台とした作品において、時折空中戦に近い戦闘が行われる場面が見られるが、それらはあくまでジャンプや滑空、航空機からの自由落下によるものであり、ほとんどの作品でモビルスーツは単独の飛行能力を持たない。 空中戦の際には多くの場合、モビルスーツを上に搭載する航空機類であるサブフライトシステムと呼ばれる補助移動手段が使用されている。 宇宙世紀0080年代後半に実用化された可変モビルスーツの内、大気圏内で運用する機体は航空力学で飛行に適した形態に変形することで単独での飛行を行うことが可能となっているが、構造の複雑化や運用コストの増加などが懸念材料となっていた。

その他に、人型を維持した上での単独飛行能力を持たせる挑戦としてグフフライトタイプバイアランなどの複数の機体が開発されている。 これらは機体自体に大きな推力を持たせることで強引に飛行させるという手法が取られていたが、推進剤の消耗が激しく稼働時間に乏しいなどの欠点を抱えており、長距離・長時間の飛行能力をもったモビルスーツは宇宙世紀0100年代にミノフスキークラフトを搭載したMSであるΞガンダムペーネロペーの誕生を待つこととなる。 この二機は音速を超える速度で長距離飛行を行える程の高い飛行能力を持つ機体だったが、ミノフスキークラフトの搭載によって大型化し、全高は30mにも迫るほどであった。

モビルスーツに小型化の潮流が訪れると、出力の向上と本体の飛躍的な軽量化、ミノフスキーフライトの普及などにより、ほぼ飛行と呼んで差し支えないほどの機動力を持つようになるが、やはりそれらも基本的には推力による長時間滞空に過ぎないため、長距離移動などの際には引き続きサブフライトシステムなどに頼る状態であった。アニメとして最も未来の宇宙世紀を描いた『Vガンダム』ではV2ガンダムに搭載されたミノフスキードライブが推進剤を用いずに高い機動力を発揮する技術として登場するが、非常に高いコストや過負荷によって高エネルギー状態のミノフスキー粒子がビームとして放出される等の課題が存在している。

その後の宇宙世紀0220年代を描いた『G-SAVIOUR』では、大気圏内を描いたゲーム版の描写に出撃や撤退などで推力による単独飛行を行うシーンが見られる他、腰部に追加のユニットを装着することで長時間飛行を行うことが出来るようになっている事が確認できる。

支援兵器について

モビルスーツ単体では火力や機動力が不足する場合にはサブフライトシステムの他にも武装を追加するための支援兵器を使用することがある。

直接モビルスーツが乗り込む物の他に、『Ζガンダム』のGディフェンサーや『ガンダム00』のオーライザーなどのようにモビルスーツと合体して機動力・戦闘力を増強するものもある。大型のものでは『機動戦士ガンダム0083』のガンダム試作3号機のアームドベース・オーキスや、『機動戦士ガンダムSEED』のフリーダムガンダムなどが装備するミーティア、そして『ガンダムUC』のシナンジュが装備するハル・ユニットなど、MSに戦略兵器クラスの機動力や攻撃力を持たせられる大型装備も存在する。

大気圏再突入について

モビルスーツによる大気圏再突入が行われることもある。

『機動戦士ガンダム』において、ガンダムは単体での大気圏突入を余儀なくされた状況で、耐熱フィルム(テレビアニメ版)あるいは耐熱エアフィールド(映画版)で機体を守り無事生還したが、何も無しで突入したザクはあっけなく燃え尽きてしまっている。なお、漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場しているガンダムには、本来大気圏突入用の特殊装備は備わっていなかったが、大気圏突入が可能な母艦ホワイトベースの陰に入ることで機体の過熱を防ぎ、奇跡的に大気圏突入に成功したという描写になっている。

『Ζガンダム』においては一般のモビルスーツにバリュートというパラシュートエアバッグを組み合わせたような装置を装着・展開することで大気圏突入を行っている。また、ガンダムMk-IIが乗るスペースシャトル型の盾のようなフライングアーマーや、Ζガンダムデルタプラスのようなウェイブライダー形態への変形機構をもつMSは翼部あるいは盾、および同時に発生する衝撃波によって機体を熱から保護している。またその変形した機体自体がフライングアーマーと同様に他の機体を乗せての大気圏突入することが可能である。

漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』において、クロスボーン・ガンダムビームシールドで大気圏突入を行っている描写があるが、本来想定されている運用方法ではなく、扱いとしては事故に近かった。しかしこの件により、ビームシールドによる大気圏突入が可能なことが証明されたため、その後の時代設定の作品である『機動戦士Vガンダム』では、ビームシールド使用によるMS単体の大気圏突入が日常的に行われ、宇宙艦船までが艦首にビームシールドを備えて大気圏突入を行うようになっている。

『新機動戦記ガンダムW』およびそのOVA版『ENDLESS WALTZ』に登場するガンダムシリーズは、すべて何らかの方法で単機での大気圏突入が可能である。ウイングガンダムウイングガンダムゼロは(ネオ)バードモードへの変形、ウイングガンダムゼロ(EW版)は4枚の翼で機体を包む、などの例が挙げられるが、ガンダムヘビーアームズ改アルトロンガンダムは、特に機体を包んだり変形させたりすることなく、大気圏突入可能である点が特筆に価する。しかし、EW劇中でウイングガンダムゼロは翼を使わずに大気圏に突入したが、特段の損傷はなかった。

『機動新世紀ガンダムX』に登場するガンダムダブルエックスは、Gファルコンと合体することで、大気圏突入が可能になる。

『機動戦士ガンダムSEED』および『SEED DESTINY』に登場するフェイズシフト装甲を搭載した一連のガンダムシリーズ、とりわけ核エンジン搭載機は、これを活用することで機体の過熱を抑え、単機での大気圏突入が可能である。

『機動戦士ガンダム00』のCB所有のガンダムは、GNフィールドを展開することにより、単機での大気圏突入が可能となる。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のモビルスーツは、本来は単独での大気圏突入能力を持ってはいないが、ガンダムバルバトスが単独での大気圏突入を余儀なくされた状況で、倒したMSを盾にして機体を守り無事生還するという荒業を見せた。

補給について

モビルスーツも兵器の一種である以上、推進剤・弾薬の補充や機体のこまめな整備が欠かせない。それらが得られない場合にはモビルスーツの運用には少なくない支障を来たす。

ホワイトベースは当初孤立状態で満足な補給を得られず苦労しており、『第08MS小隊』ではやはり補給不足でなにかと苦労する前線の様子が描かれている。

『Ζガンダム』ではエゥーゴが鹵獲したガンダムMk-IIの3機のうち2機が解体されて交換パーツにされてしまっている。ジオン側も量産機とはいえザク一機でも補給・整備には手間がかかり、開戦当初の優勢を維持できなかったのも戦線の拡大に補給が追いつかなかったためであるとされる。このため勢力下であっても現地住民の敵対心を煽るような行為を避ける傾向が見られた。前線で支援を受けられない兵士は生身によるゲリラ的な攻撃を仕掛けることもあった。

また、運用現場における細かな改良、整備手順の見直し、改変も日常茶飯事であった。

もっとも正規の補給が受けられない状況でもどうにかしてしまうケースは結構ある。『ガンダムSEED』では連合やプラントから離反した艦艇が結集した三隻同盟がジャンク屋ギルドを通じて補給をまかなっており、『ガンダムX』のバルチャー達に至っては自身のコネを使った独自の補給ルートを構築したり、ありあわせのジャンクパーツでモビルスーツを修理・改造強化したりさらには新しい武器やモビルアーマーまで作ってしまっている。また『ガンダムW』ではレジスタンス的な後方支援に加えて、機体構造の共通化による整備性の向上、パイロット自身で資材調達・改修を行う技術の訓練により戦力を維持していた。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では、装甲を欠損した箇所に敵のMSのパーツを無理やり取り付ける、2機奪ったMSを共食い整備によって1機に集約するなどして、整備性の向上と最低限の戦力の維持に努めている。

特異な例として『∀ガンダム』では過去の遺物であるモビルスーツや装備品を発掘して運用しており、それらの中にはナノマシンによる自己修復機能を持つ機体(∀ガンダムなど)も存在していた(その分、壊れたら自己修復が終わるまでは手の施しようがないが)。

脚注

注釈

  1. ^ 『グレートメカニック9』(双葉社ムック)のダグラム特集内のダグラムスタッフ達との対談で、「多分僕が言い出したこと」高橋自身が語っている。
  2. ^ ただ、これは後にサンライズでSF考証を手がけることになる森田繁が、1980年代初めの同人誌「ガンサイト」やムック「ガンダムセンチュリー」で作った略語で、また裏設定の創作を手がけるプロダクション「伸童舎」のメンバーらによる、1990年代以降の関連書籍にも記載されている。それ以前には、単に“機動服”という意味を意図した乱暴な和製英語として存在していた。また、劇場版第2作『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』のパンフレットに掲載された大河原邦男のイラストには、「宇宙白兵戦用重機動宇宙服」という言葉が意訳語として掲載されていた
  3. ^ 一方で、この時、提出されたMIP-X1は後にAMBACシステムを導入した重装甲・重武装の機動兵器であるモビルアーマーとして発展している[4]
  4. ^ 尚、ガンダムタイプは旧連邦製の既存MSとは装備規格を共通化している[30]
  5. ^ この名称は、バンダイ『1/100 MGフリーダムガンダム』付属解説書の記述による[34]
  6. ^ それ以前に内燃機関を採用したMSも存在したが、これも発電した電力で駆動する方式をとっていた[39]
  7. ^ この際に流出したGNドライヴはと呼ばれるもので、ソレスタルビーイングが保有するオリジナルの仕様とは異なり、活動時間に制限を持っていた[39]。この搭載型量産MSであるジンクスは3国連合の国連軍において使用されたあと[39]、地球連邦が誕生した後もジンクスが三代にわたってマイナーチェンジされ量産がなされているが、2312年に上述の殲滅作戦にて鹵獲したガンダムのデータを基に上位機種として完全新型機アヘッドが就役した。このアヘッドもアレハンドロ・コーナー一派が開発を進めていたもので[42]、基本構造が第3世代ガンダムに近くなった[43]。ただし擬似太陽炉搭載型MSは独立治安維持部隊「アロウズ」に優先的に供給されているため、以前の各陣営の主力機体も継続して使用されている。また、上位種を自称するイノベイターと名乗る集団もガデッサやガラッゾといったGNZシリーズという専用機を保有しており、こちらは彼らが掌握した「ヴェーダ」のアクセスレベル7から入手した第3世代ガンダムのデータを流用して建造(こちらはアヘッドとは系統が異なる完全なコピーでありオリジナルのガンダムに限りなく近い性能を持つ)[42]したものである。故に、ジンクス、アヘッドとも異なる系統の機体である。また、今まで開発されたガンダムのデータを全て組み合わせて開発された機体がリボーンズガンダムである。CB内部の裏切者であるアレハンドロ・コーナーは、リボーンズガンダムの母体となった1ガンダムのデータを基に専用機アルヴァアロンを開発させている。
  8. ^ 流体内パルスシステムとは、動力炉から発生したエネルギーをコンバーターによってパルス状の圧力に変換し、流体パイプに導くことによって関節を駆動させるローター・シリンダー伝達するというものである。これには油圧シリンダーと比較し作動スピードが速く、かつ構造が単純な利点が存在した[46]
  9. ^ 例外的にフレーム構造を採用したケンプファーも見られる[48]
  10. ^ a b ガンダムSEED第28話劇中シーンで、キラ・ヤマトが語るところによる。
  11. ^ 設定を担当した森田繁は、作中で「脳幹が高温で溶ける」、「リンゲル液で冷却する」といった旨の台詞は取り入れたものの、掘り下げる事は無かったと語っている[60]
  12. ^ アニメ『ガンダムSEED』第28話ではM1アストレイ側の代謝速度を40%向上させる事で対応させた。第27話においては同じインターフェイスであれば、その操縦能力は高度な脳神経を持つコーディネイターがナチュラルを圧倒する事をエリカ・シモンズが「明々白々なことである」と語っている。しかし映像作品ではない「公式外伝」であるASTRAYシリーズでは、作業目的ならばナチュラルにでも問題なく操作が出来、また訓練よってコーディネイターと遜色ない戦闘を行う事が出来る事が描写されている。
  13. ^ これは停戦に貢献した三隻同盟のスタッフが戦後に責任を追及されぬよう、アイリーン・カナーバが取り計らったものであるとタリア・グラディスは見解している[65]
  14. ^ 資料によっては核融合炉の実用化がなされていない世界観であるにも関わらず、艦船に核融合炉を採用しているとするものも存在する
  15. ^ 小説版では20年かかったといわれている
  16. ^ アルヴァトーレとアルヴァアロンは金色、改良型は赤みを帯びたオレンジ色
  17. ^ 本編から15年前のCBで起きた事故ではルイード・レゾナンスとマレーネ・ブラディがガンダムプルトーネに乗るシャル・アクスティカを助けようとしてGN粒子を大量に浴びたために死亡、シャルもその毒性により髪の色が銀白色に変わり、そのほかにも左目の虹彩が変異してしまった(これらは粒子の影響なのか定かではないが)。この毒性に関してはCBの医師であるJB・モレノが研究していた

出典

  1. ^ 『映像の原則』より。
  2. ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、13頁、ISBN 4-87777-028-3
  3. ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、34-35頁、ISBN 4-87777-028-3
  4. ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、54-56頁、ISBN 4-87777-028-3
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  8. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ 機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション (3) 連邦軍編』講談社、1984年、2006年7月(復刻版)、70頁。(ISBN 978-4063721775)
  9. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ 機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション (3) 連邦軍編』講談社、1984年、2006年7月(復刻版)、73頁。(ISBN 978-4063721775)
  10. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ 機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション (3) 連邦軍編』講談社、1984年、2006年7月(復刻版)、90頁。(ISBN 978-4063721775)
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  68. ^ プラモデルキット「HG ガンダムLOブースター」取扱説明書参照
  69. ^ プラモデルキット「HG ガンダムグリープ」取扱説明書参照
  70. ^ 後藤リウ『機動戦士ガンダムSEED 3 平和の国』角川スニーカー文庫、2003年8月、50頁。(ISBN 4-04-429103-9)
  71. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房、2006年5月、168-170頁。(ISBN 978-4812426876)
  72. ^ 双葉社「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ メカニック&ワールド」参照
  73. ^ バンダイ『1/144ズゴックE』付属解説書等による。
  74. ^ HGハシュマル』取扱説明書より。

参考文献

  • 雑誌
  • 小説
    • 小説『ガイア・ギア』
    • 富野由悠季『ガイア・ギア1』(初版)角川書店、1988年9月1日。ISBN 978-4-04-410123-7 
  • 書籍
    • 『ガンダムMSヒストリカ Vol.5』(初版)講談社、2010年9月24日。ISBN 978-4-06-370083-1 
    • 宇宙世紀ボックス
    • 『電撃データコレクション機動戦士Vガンダム』(初版)株式会社メディアワークス、1999年10月15日。ISBN 4-8402-1330-5 
  • 分冊百科

関連項目