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2020年7月26日 (日) 21:47時点における版
『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ)は、寺島良安により江戸時代中期に編纂された日本の類書(百科事典)[1]。正徳2年(1712年)成立。
概要
編集者は大坂の医師寺島良安で、師の和気仲安から「医者たる者は宇宙百般の事を明らむ必要あり」と諭されたことが編集の動機であった。明の王圻による類書『三才図会』を範とした絵入りの百科事典で、約30年余りかけて編纂された。
全体は105巻81冊に及ぶ膨大なもので、各項目には和漢の事象を天(1-6巻)、人(7-54巻)、地(55-105巻)の三部(三才)に分けて並べて考証し、図(挿絵、古地図[2])を添えた。各項目は漢名と和名で表記され、本文は漢文で解説されている。木版による印刷で版元は大坂杏林堂。
空想上のものや、荒唐無稽な項目もあるが、博物学などにとり貴重な文化遺産といえる。博物学者南方熊楠は、全巻を筆写したという[3]。また著者が医師(もちろん漢方医)であるだけに、東洋医学に関する記事は非常に正確で、鍼灸師の中には、これをもっとも信頼できる古典と見る人もいる。[要出典]
各巻の構成
巻数 | 分類[4] |
---|---|
1 | 天部 (※ 宇宙。各惑星など。) |
2 | 天文 |
3 | 天象類 (※主に暈、虹、霧、雷など気象の類。ただしほうき星も含む) |
4 | 時候類 (※暦、暦法、年中行事など) |
5 | 暦占類(※ 暦と占が一体化したもの。六曜ほか多数。) |
6 | 暦択日神(暦日吉凶) |
7 | 人倫類 (※人間の各社会階層や様々な職業) |
8 | 人倫親族 (※男、女、老人、児童。子・孫・親・祖父母・伯父叔母・甥 姪 等々) |
9 | 官位部 (※ 官位、昇進の概要、各省庁。軍人の階級。仏教の僧の階層~善知識。) |
10 | 人倫之用 (※ 結婚、媒酌人、友人、独身。旅人、主人・客人、盗人、囚人、密夫、男色、ふたなり。盲人、聾唖。白子、いぼ、こぶ、そばかす。勇者、飲んだくれ。死、葬儀 等々) |
11 | 経絡部 (※ 人体解剖学、経穴など) |
12 | 支体部 (※ 身体の各部位(頭、目、鼻、口、胸、腹、腰、尻、陰嚢、子宮、月経。肩、腕、手、脚、足 等々)の機能、症状と対処法) |
13 | 異国人物 (※ 外国、外国の民族・部族、外国の重要人物、外国語、外交関係 等々) |
14 | 外夷人物 |
15 | 芸器 |
16 | 芸能 |
17 | 嬉戯部 |
18 | 楽器類 |
19 | 神祭附仏供具 |
20 | 兵器防備具 |
21 | 兵器征伐具 |
22 | 刑罰 |
23 | 漁猟具 |
24 | 百工具 |
25 | 容飾具 |
26 | 服玩具 |
27 | 絹布類 |
28 | 衣服類 |
29 | 冠帽類 |
30 | 履襪類 |
31 | 庖厨具 |
32 | 家飾具 |
33 | 車駕類 |
34 | 船橋類 |
35 | 農具類 |
36 | 女工具 |
37 | 畜類 |
38 | 獣類 |
39 | 鼠類 |
40 | 寓類 怪類 |
41 | 水禽類 |
42 | 原禽類 |
43 | 林禽類 |
44 | 山禽類 |
45 | 龍蛇部 |
46 | 介甲部 |
47 | 介貝部 |
48 | 魚類 河湖 有鱗魚 |
49 | 魚類 江海 有鱗魚 |
50 | 魚類 河湖 無鱗魚 |
51 | 魚類 江海 無鱗魚 |
52 | 卵生類 |
53 | 化生類 |
54 | 湿生類 |
55 | 地部 |
56 | 山類 |
57 | 水類 |
58 | 火類 |
59 | 金類 |
60 | 玉石類 |
61 | 雑石類 |
62本 | 中華(もろこし)、北京、南京、山東省、山西省 |
62末 | 河南省、陝西省、湖広省 |
63 | 江西省、浙江省、福建省、広東省、広西省、貴州省、四川省、雲南省 |
64 | 地理 大日本国、朝鮮国、琉球国、蝦夷島、西域、天竺、北地諸狄、西南諸蠻 |
65 | 陸奥、出羽 |
66 | 上野、下野、常陸、上総、下総、安房 |
67 | 武蔵、相模、伊豆 |
68 | 越後、佐渡、越中、信濃 |
69 | 甲斐、駿河、遠江、三河 |
70 | 能登、加賀、越前、飛騨、美濃 |
71 | 若狭、近江、尾張、伊勢、志摩、伊賀 |
72 | 山城 |
73 | 大和 |
74 | 摂津 |
75 | 河内 |
76 | 和泉、紀伊、淡路 |
77 | 丹波、丹後、但馬、因幡、播磨、 |
78 | 美作、備前、備中、備後、伯耆、出雲、隠岐 |
79 | 阿波、土佐、讃岐、伊予、安芸、石見、周防、長門 |
80 | 豊前、豊後、筑前、筑後、日向、肥後、大隅、薩摩、肥前、壱岐、対馬 |
81 | 家宅類 |
82 | 香木類 |
83 | 喬木類 |
84 | 灌木類 |
85 | 寓木類、苞木・竹之類 |
86 | 五果類 |
87 | 山果類 |
88 | 夷果類 |
89 | 味果類 |
90 | 瓜果類 |
91 | 水果類 |
92本 | 山草類上巻 |
92末 | 山草類下巻 |
93 | 芳草類 |
94本 | 湿草類 |
94末 | 湿草類 |
95 | 毒草類 |
96 | 蔓草類 |
97 | 水草 藻類 苔類 |
98 | 石草類 |
99 | 葷草類 |
100 | 瓜菜類 |
101 | 芝茸類 |
102 | 柔滑菜 |
103 | 穀類 |
104 | 菽豆類 |
105 | 造醸類 |
刊本
- 『和漢三才図会』(東京美術、2冊、1970年)
脚注
関連項目
外部リンク
- 和漢三才図会 上 1巻-36巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- 和漢三才図会 中 37巻-71巻 - 同上
- 和漢三才図会 下 72巻-105巻- 同上
- 『和漢三才図会[リンク切れ]』 - 九州大学総合研究博物館デジタルアーカイブ