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2020年6月18日 (木) 10:42時点における版
杉森 久英(すぎもり ひさひで、1912年(明治45年)3月23日 - 1997年1月20日)は日本の小説家。
略歴
石川県七尾市の公務員の家庭に生まれ、金沢市で育つ。石川県立金沢第一中学校から第四高等学校を経て、1934年(昭和9年)に東京帝国大学国文科卒業。地方公務員(公立学校教員)となり、旧制埼玉県立熊谷中学校(現在の埼玉県立熊谷高等学校)の教師となった。
教員を退職後、中央公論社編集部に入社。編集者という職に自信を失い退職後、大政翼賛会文化部、日本図書館協会などを経て、戦後河出書房に入り『文藝』の編集に従事。1947年『文藝』編集長に就任。
1953年デイヴィッド・ガーネットやフランツ・カフカの影響が色濃い短篇小説『猿』が芥川賞の候補になったのを機に作家専業となる。伝記小説の分野で活動し、1962年には同郷の作家島田清次郎の伝記小説『天才と狂人の間』で直木賞受賞。
晩年は「邦楽を楽しむ会」を主催[1]。宇野信夫、栗本薫夫妻、小杉健治、泡坂妻夫夫妻、娘の佐々木涼子、杉浦幸雄、峯島正行、大歳克衛らが会員だった[2]。
死後、遺族によって七尾市に寄贈された約1万冊にのぼる蔵書や直筆原稿は、七尾市立図書館の中に杉森久英記念文庫の名で保存されている。フランス文学者・舞踊評論家の佐々木涼子は長女。
受賞叙勲歴
著書
- 森鷗外(福村書店 1952 (国語と文学の教室) )
- 黄色のバット(角川書店 1959)のちソノラマ文庫
- 天才と狂人の間 島田清次郎の生涯(河出書房新社 1962)のち角川文庫、河出文庫
- 早稲田の虎・猿(河出書房新社 1962)
- 海の見える窓(講談社 1963)のちソノラマ文庫
- 回遊魚(新潮社 1963)
- 辻政信(文藝春秋新社 1963)「参謀・辻政信」河出文庫
- 徳田球一(文藝春秋新社 1964)
- 啄木の悲しき生涯(河出書房新社 1965)のち角川文庫
- 大風呂敷(毎日新聞社 1965)のち角川文庫、集英社文庫(後藤新平の伝記小説)
- 動物的、あまりに動物的(明治書院 1966)
- 滝田樗陰 ある編集者の生涯(中公新書 1966)
- 美酒一代 鳥井信治郎伝 日本ウイスキー物語(毎日新聞社 1966)のち新潮文庫
- 苦悩の旗手太宰治(文藝春秋 1967)のち角川文庫、河出文庫
- 頭山満と陸奥・小村(毎日新聞社 1967)「浪人の王者頭山満」河出文庫
- 伝説と実像 昭和人物伝(新潮社 1967)「昭和の怪物たち」河出文庫
- 明治の宰相 伊藤博文伝(文藝春秋 1969)のち角川文庫
- アラビア太郎(文藝春秋 1970)のち集英社文庫
- 小説三木武吉(集英社 1970)
- 中国みたまま(文藝春秋 1972)
- 毛皮を買うヴィーナス(毎日新聞社 1972)
- アジアの憂鬱 台北・香港・バンコク・アラブ(浪曼 1974)
- 錆びたサーベル(河出書房新社 1974)のち集英社文庫
- 暗殺(光文社 1974)のち文庫
- 昭和史見たまま 戦争と日本人(読売新聞社 1975)
- 大谷光瑞(中央公論社 1975)のち文庫
- 椰子の木蔭(時事通信社 1975)
- 夕陽将軍 小説・石原莞爾(河出書房新社 1977.7)のち文庫
- 風雲を呼ぶ男(時事通信社 1977.2)「挑戦する経営者」集英社文庫(一部)
- 食後の雑談(筑摩書房 1977.12)
- 小説坂口安吾(河出書房新社 1978.9)のち文庫
- 怒るべからず一癖斎(河出書房新社 1979.5)
- あわてるな一癖斎(毎日新聞社 1979.9)
- 天皇の料理番(読売新聞社 1979.12)のち集英社文庫(料理人秋山徳蔵をモデルとした作品。のちドラマ化)
- 一癖斎放言(あずさ書房 1981.5)
- 侠骨 昭和水滸伝青春篇(集英社 1982.2)
- 荒野に骨を曝す(光文社 1984.1)
- 食いしん坊一癖斎(河出書房新社 1984.12)
- 能登(集英社 1984.9)
- 近衛文麿(河出書房新社 1986.11)のち文庫
- 明治天皇(中央公論社 1986.11)のち人物文庫
- 小説菊池寛(中央公論社 1987.10)
- 大政翼賛会前後(文藝春秋 1988.12)のちちくま文庫
- 間違いだらけのニッポン 一癖斎酔話(読売新聞社 1989.12)
- 食べて美味けりゃすべてよし 一癖斎食話(日本経済新聞社 1990.6)
- わが後に洪水あれ(潮出版社 1990.10)
- 仕事部屋(日本古書通信社 1991.10 (こつう豆本))
- 新渡戸稲造(読売新聞社 1991.12)のち人物文庫
- 人間の鑑賞 昭和の人々はかく生きた(PHP研究所 1991.3)
- 私の英学修業(日本古書通信社 1993.2 (こつう豆本) )
- 塀の中のこおろぎ 一癖斎酔話其の2(読売新聞社 1993.12)
- すぐそこまで来ていながら(PHP研究所 1994.9)
- ニッポン人を叱る 一癖斎直言(読売新聞社 1996.3)
- 天才横綱 輪島大士物語(河出書房新社 1998.1)
- 戦後文壇覚え書(河出書房新社 1998.1)
- 人われを漢奸と呼ぶ 汪兆銘伝(文藝春秋 1998.6)